JP4297664B2 - バイオマス物質の液化物の製造装置及び製造方法 - Google Patents

バイオマス物質の液化物の製造装置及び製造方法 Download PDF

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    • Y02E50/30Fuel from waste, e.g. synthetic alcohol or diesel

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の樹脂又は樹脂原料、燃料、さらには有用化学物質等として用いられる、バイオマス物質の液化物の製造装置及び製造方法に関する。
【0002】
なお、この明細書において、「液化」の語は、「誘導体化」、「熱可塑化」、「グラフト化」を含む意味で用いる。
【0003】
【従来の技術】
現在、石油等の化石原料から生産される燃料、化学原料、プラスチック、合成繊維等の使用量は莫大である。しかし、化石資源は有限なものであり、再生使用にも限界があるため、これら化石資源の使用量低減及び代替資源の開発が強く望まれている。
【0004】
また、化石資源を原料として生産された化学製品の殆どは自然分解しないため、廃棄する際には焼却処理などを必要とする。しかし、これら化学製品の焼却処理を行う際には、大きな燃焼エネルギーを放出したり、CO2 等の温室効果ガスや、ダイオキシン等の有害化学物質を発生させ得るため、大気汚染や、地球環境の温暖化等に十分な配慮をしなければならない。
【0005】
一方、再生可能な有機資源として地球上最も大量に存在するバイオマス物質は、食糧、飼料、家具、建材、繊維、紙、その他の工業原材料等として古くから広く使われている。これらバイオマス物質は、自然界においても微生物の作用により分解されて無機物に還元するという物質循環リサイクルが可能である。従って、バイオマス物質を基にした材料は、化石資源を原料とした材料に比べると、廃棄処理にともなう環境負荷がはるかに軽減される。更に、これらバイオマス物質は化石燃料に比べると、人類の力ではるかに短い時間で作り出す事が可能であり、適切な管理をする限り原料枯渇の問題がない。
【0006】
しかしながら、バイオマス物質、特に量的にバイオマスの大部分を占めるリグノセルロース物質は、成分が複雑であると共に熱加工が困難な材料であること等から利用方法が大きく限られているし、残廃材、端材等を有効利用できる用途は極めて少ない。その結果、バイオマス物質からはプラスチックのような加工性及び物性ともに優れ、且つ安価な材料を作り出すことが出来ず、間伐材、林地残材、木材工業の加工残廃材、家屋解体材、食品製造過程で必要成分を抽出した後の絞り滓や、穀物の外皮等のセルロース物質等のバイオマス物質廃棄物の排出量は膨大である。例えば、一般廃棄物および産業廃棄物の中に含まれる木質廃棄物の量だけでも、日本だけで年間4000万トン以上に達すると言われている。これらのバイオマス廃棄物のほとんどは産業廃棄物として焼却処理されている。したがって、バイオマス廃棄物の再利用率は極めて低く、地球環境保全の見地から資源の有効活用を図るべく、このようなバイオマス物質についても有効活用する方法の開発が強く望まれている。
【0007】
このようなバイオマス物質の有効利用のためのアプローチとして、セルロース、デンプン、木材等を原料にしてバイオマス液化物、各種の熱硬化性樹脂原料、熱可塑性樹脂などへ変換する研究開発は多くなされている。特に近年は生分解性または生物崩壊性を意識した材料開発は盛んになっている。
【0008】
例えば、特開昭61−261358号公報には、バイオマス物質の一種であるリグノセルロース物質をフェノール類の存在下で200〜300℃に加熱することにより液化できることが記載されている。また、特開昭62−79230号公報には、リグノセルロース物質を、アルコール類、多価アルコール類、オキシエーテル類、環状エーテル類、およびケトン類から選択される一または二以上の物質に加えて150〜350℃に加熱することにより液化できることが記載されている。更に、特開平8−225653号公報には、リグノセルロース物質を酸触媒、環状エステルおよび多価アルコールの存在下で100〜200℃に加熱することにより液化できることが記載されている。更に、特開平5−125101号公報には、熱可塑性を示し、単独でも成形可能な澱粉エステルグラフト共重合体の製造方法が記載されている。また、特開平9−31308号公報には、デンプンにポリエステル鎖をグラフトし、そのグラフト鎖の末端及びデンプン直結の水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されていることにより可塑加工性の良いポリエステルグラフト重合澱粉の製造方法が記載されている。
【0009】
また、リグノセルロース物質を工業生産スケールで多量に効率よく液化させる方法や、装置としては、例えば、特開平5−140322号公報に記載されているものがある。これは、耐圧設計された反応容器と、攪拌機と、容器内の圧力を制御する加圧排気装置と、薬液供給装置と、熱媒加熱循環装置とを備えたバッチ式の装置を設け、反応容器内でリグノセルロース物質を所定温度、所定圧力に調整しつつ攪拌を行うことで、リグノセルロース物質を多量に液化させようとしたものである。
【0010】
しかしながら、バイオマス物質、特にリグノセルロース物質は通常嵩比重が低く、且つ熱、溶媒に対して鈍感であるので、これらのバイオマス物質の液化反応は通常大量の反応試薬を要するので、反応装置が巨大化するのみならず反応時間が長く能率は非常に悪かった。即ち、1つの反応容器内でリグノセルロース物質を液化させる方式、いわゆるバッチ式ではリグノセルロース物質の重量の数倍の液状試薬を使用しないと、かさ比重の低いリグノセルロース物質中に多くの空気層が存在し、熱の伝わりが悪いので反応物の加熱に長時間を要する。そのため、装置の運転効率が低くリグノセルロース物質の液化効率は未だ満足できるものではない上に、得られる液化物の品質にバラツキが生じ易い、即ち製造安定性が低いという問題がある。更に、バイオマス物質の液化反応は通常副反応を伴うので、このような長時間加熱は液化生成物の品質を劣化させる恐れがある。反応装置のスケールが大きければ大きいほどこのような問題が顕著となる。したがって量産装置へのスケールアップには限界がある。
【0011】
それを改良する方法として特開平10−147786号公報には、液化材料に溶媒となる薬品を所定の比率で混合し、この混合物を加熱した槽内に高温下で連続的に攪拌させながら搬送させることにより液化材料を液化する方法が開示されている。しかし、この方法では、シリンダ筒体の内に1本のスクリュフィーダを挿入した装置を使用しているので、バイオマス物質と液化溶媒との混合物は流動性に乏しく付着性が高く、それらはスクリューの全表面、すなわちスクリュー軸とスクリュー羽根との各表面に接触して、付着、摩擦やせん断力によりスクリューと共回りしようとし、そして共回りすることで、熱伝導効率及び送り効率が低下し、生産性、安定性が低下するものとなる。場合によっては流路を閉塞することもある。また、バイオマス物質は多くの場合、かさ比重の低い固形物で、液化溶媒と混合した混合物は溶媒を多量に入れない限り通常空気層を多く含む熱伝導性の低い粉体であり、液化温度に到達する前に加圧しても溶融しないし溶媒にも溶解しない特徴を有する。それを加熱した槽内に圧縮せん断力をかけずに攪拌搬送するだけでは加熱効果が非常に低く、満足な液化効率が得られない。しかし熱伝導率を高めるためにバイオマス混合物を圧縮すると、十分加熱してないバイオマスは加圧しても溶融しないので攪拌トルクが急増したり、バイオマス物質から溶媒が搾り出されてバイオマス物質が硬く攪拌軸に付着したりして、シリンダを詰まらせたりすることがある。従って、この方法では安定した品質を有する液化物を高能率で製造するのは困難であった。
【0012】
そこで、2000−103864号公報には、バイオマスを供給、粉砕、搬送、乾燥、溶媒混合、液化反応、反応停止、脱揮などの工程を含め得る連続液化装置と方法が開示されている。この装置は2軸押出機を採用しバイオマスを強制搬送する能力を有すると共にバイオマスの液化反応の各段階の特徴を対応した設計を有するので、高効率、高品質でバイオマスの液化物を製造することは可能となった。また、この技術は2軸押出機の粉砕、混合及び表面更新効果によりかさ比重の低いバイオマス物質への熱伝導速度が著しく向上すると共により低い試薬量での反応も可能となった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの連続式反応装置は、スクリュー等の攪拌部材がバイオマス物質等の反応物を投入口から排出口へという一定方向に自軸回転することによって反応物を撹拌しながら連続的に推進せしめるため、反応物の装置内における理想的な滞留時間と撹拌効果を両立することが困難であるという問題があった。
【0014】
即ち、バイオマスは熱を加えても溶融しない材料であり、液化反応は通常のプラスチック加工のような熱により相変化ではなく、化学反応による性状変化であり、反応試薬の浸透から加熱反応が完成するまで数分ないし数十分はかかる。その間に効果的な攪拌と精密な温度制御も必要である。理想的な撹拌、熱伝導効果を得るためにスクリュを速く自軸回転させると、反応槽内における反応物の移動速度が速くなり、それに伴って装置内における反応物の滞留時間が短くなるので、バイオマスの液化が不完全になる。
【0015】
一方、装置内における反応物の滞留時間を長くするためにスクリューを遅く自軸回転させると、反応物に対する潰し、攪拌、混合、混練、加熱は不十分・不均一になり、満足的な反応効果は得られない。特にセルフクリーニング性のない単軸装置などにおいては、固形のバイオマス物質は攪拌羽根の押さえにより一定の形態に整えられた状態で、又は液状であっても層流状で推進せしめられ、反応物を十分に撹拌することができないという問題があった。更には反応物がスクリューに付着して共周りをし、場合によってはスクリューに硬く固着してしまうことがあった。
【0016】
もとより、装置のL/Dを増大し、スクリューを早く自軸回転させれば、バイオマス物質等の反応物の滞留時間も長くなり、それなりの撹拌効果を得ることもできるが、装置の大型化やコスト高を招くという問題があると共に、反応物の付着防止対策、異なるバイオマス種及び反応目的への対応は到底困難であった。
更に、バイオマスの液化は形態及び体積の変化を始め複雑な変化を段階的に行い、その影響因子は通常のプラスチックの可塑加工とは大きく異なる、主に温度と時間に依存する。高能率の液化装置を創製するためにこのようなバイオマス液化の段階的な変化特徴にあった装置の設計をする必要がある。
【0017】
この発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、あらゆるバイオマス材料及び反応パターンに対し装置内におけるバイオマス物質の理想的な滞留時間と理想的な撹拌効果とを両立することができ、安価で対応性が広く高能率、高品質な液化を実現し得る、バイオマス物質の液化物の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、撹拌軸の周面に撹拌羽根が設けられてなる1ないし複数の撹拌部材と、該撹拌部材を収容したケーシングと、前記撹拌部材を順方向と逆方向に交互に自軸回転させる駆動機構とを有した撹拌処理装置を1個備えた又は前記撹拌処理装置が複数個直列状に連結されたバイオマス物質の液化物の製造装置からなり、この製造装置の上流側にバイオマス物質を供給する材料供給部が設けられ、前記製造装置の下流側に液化生成物を排出する排出部が設けられ、該排出部と前記材料供給部の間にバイオマス物質を液化させる反応用薬剤を注入する反応用薬剤注入部が設けられていることを特徴とするバイオマス物質の液化物の製造装置によって達成される。
【0019】
この装置によれば、バイオマス等の反応物は、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転に伴って、ケーシング内において往復運動を繰り返しながら推進せしめられ、材料供給部側から排出部側まで移動する。このため、反応装置内における反応物の実際の移動距離は各ケーシングの長さの総和より長くなり、それに伴って製造装置内における反応物の滞留時間も長くなる。
【0020】
そして、このバイオマス物質の滞留時間は、撹拌部材の回転速度のみならず、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転の組合せに依存することから、バイオマス物質の滞留時間と撹拌部材の回転速度との完全依存性は切り離される。このため、バイオマス物質の滞留時間は、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転の組合せによって任意に設定することができると共に、バイオマス反応物の撹拌効果は、撹拌部材の回転速度により任意に設定することができ、製造装置(反応装置)内におけるバイオマス物質の理想的な滞留時間と理想的な撹拌効果とを両立することが可能となる。
【0021】
また、バイオマス物質は、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転の交互運動により押されたり引かれたりし、一定の個所に留まったりあるいは一定の形状に整えられたりすることがないので、反応物が撹拌羽根と共回りすることを防止することができ、また交互運動の衝撃でバイオマス反応物が乱流を形成するので、反応物をより確実に撹拌することができる。
【0022】
さらに、液化装置のケーシングおよび撹拌部材を長く形成する必要がないので、小型で安価な装置を実現することができる。
【0023】
この発明の製造装置では、前記反応用薬剤注入部と前記排出部の間に所定の液化反応温度で保温して液化を行う液化反応部が設けられているのが好ましい。これにより液化反応が速やかに進行するものとなる。
【0024】
また、前記液化反応部と前記排出部の間にバイオマス物質の液化反応を停止させる反応停止剤を注入する反応停止剤注入部が設けられているのが好ましい。これにより、液化反応を終了させた状態でバイオマス物質の液化物を排出部より排出できる。
【0025】
また、前記反応停止剤注入部と前記排出部の間に、未反応薬剤や水分等の揮発成分を除去する揮発成分除去部が設けられているのが好ましい。これにより未反応薬剤や水分等の不純物を取り除くことができ、高純度で高品質のバイオマス物質の液化物を製造できる。
【0026】
この発明において、より好適な製造装置は、撹拌軸の周面に撹拌羽根が設けられてなる1ないし複数の撹拌部材と、該撹拌部材を収容したケーシングと、前記撹拌部材を順方向と逆方向に交互に自軸回転させる駆動機構とを有した撹拌処理装置を1個備えた又は前記撹拌処理装置が複数個直列状に連結されたバイオマス物質の液化物の製造装置からなり、この製造装置の上流側にバイオマス物質を供給する材料供給部が設けられ、該材料供給部の下流側にバイオマス物質を加熱しながら下流側に向けて搬送する予熱搬送部が設けられ、該予熱搬送部の下流側にバイオマス物質を液化させる反応用薬剤を注入する反応用薬剤注入部が設けられ、該反応用薬剤注入部の下流側に前記バイオマス物質と反応用薬剤を混合する混合部が設けられ、該混合部の下流側に所定の液化反応温度まで加熱する加熱部が設けられ、該加熱部の下流側に所定の液化反応温度で保温して液化を行う液化反応部が設けられ、該液化反応部の下流側にバイオマス物質の液化反応を停止させる反応停止剤を注入する反応停止剤注入部が設けられ、該反応停止剤注入部の下流側に未反応薬剤や水分等の揮発成分を除去する揮発成分除去部が設けられ、該揮発成分除去部の下流側に液化生成物を冷却しながら排出する冷却排出部が設けられていることを特徴とする。
【0027】
本構成では、上述した諸効果に加えて、予熱搬送部、混合部、加熱部が、液化反応部の前に設けられているので、液化反応部での液化反応が効率良く進行するものとなる利点がある。
【0028】
更に、より一層好適な製造装置は、撹拌軸の周面に撹拌羽根が設けられてなる1ないし複数の撹拌部材と、該撹拌部材を収容したケーシングと、前記撹拌部材を順方向と逆方向に交互に自軸回転させる駆動機構とを有した撹拌処理装置が3個直列状に連結されたバイオマス物質の液化物の製造装置からなり、上流側の第1撹拌処理装置において、バイオマス物質を供給する材料供給部が設けられ、該材料供給部の下流側にバイオマス物質を加熱しながら下流側に向けて搬送する予熱搬送部が設けられ、該予熱搬送部の下流側にバイオマス物質を液化させる反応用薬剤を注入する反応用薬剤注入部が設けられ、該反応用薬剤注入部の下流側に前記バイオマス物質と反応用薬剤を混合する混合部が設けられ、該混合部の下流側に所定の液化反応温度まで加熱する加熱部が設けられ、中間位置の第2撹拌処理装置において、所定の液化反応温度で保温して液化を行う液化反応部が設けられ、該液化反応部の下流側にバイオマス物質の液化反応を停止させる反応停止剤を注入する反応停止剤注入部が設けられ、下流側の第3撹拌処理装置において、未反応薬剤や水分等の揮発成分を除去する揮発成分除去部が設けられ、該揮発成分除去部の下流側に液化生成物を冷却しながら排出する冷却排出部が設けられていることを特徴とする。
【0029】
本構成によれば、バイオマスの液化は、バイオマス物質と反応用薬剤との混合及び加熱、バイオマス物質の液化反応及びその反応の停止、バイオマス液化生成物の精製処理といった三つの段階の処理を異なる装置で行うことにより、それぞれの処理段階に対応する最も適する装置の設計と条件設定が出来、より高効率、高能力、高精度の液化が可能となる。
【0030】
また、撹拌部材は、順方向および逆方向の自軸回転の切り替えおよび各自軸回転時間が自動的に制御されるものであるのが好ましい。これによれば、目的に応じて撹拌部材の自軸回転パターンを簡単かつ確実に設定することができる。
【0031】
また、撹拌部材は、順方向と逆方向の自軸回転の切り替え(順方向から逆方向への切り替え又は逆方向から順方向への切り替え)時の停止時間Tsが下式[1]の範囲に設定されるものであるのが好ましい。なお、下式[1]の最右項の数値「2」の単位は秒である。
0≦Ts<t+2・・・[1]
Ts:撹拌部材の順方向と逆方向の自軸回転の切り替え時の停止時間
t:駆動機構の駆動が停止してから撹拌部材が停止するまでの時間(惰力回転時間)
これによれば、撹拌部材の停止状態による反応物の撹拌効率の低下を防止できるとともに、駆動源の急激な回転方向変更により駆動機構にダメージを与えることを防止することができる。
【0032】
また、前記撹拌部材は、順方向の自軸回転時間Tfが下式[2]の範囲に設定されるのが望ましい。
0<Tf<0.2×(60p)/(Nk)・・・[2]
Tf:撹拌部材の順方向の自軸回転時間
p:撹拌部材の撹拌羽根のピッチ数
N:撹拌部材の自軸回転速度
k:係数(0<k≦1)
これによれば、供給時刻の異なるバイオマス材の混ぜ合わせを防止することができるとともに、バイオマスの液化反応の均一性を保つことができる。
【0033】
また、撹拌部材は、逆方向の自軸回転時間Trが下式[3]または下式[4]の範囲に設定されるのが望ましい。
0<Tr<Tmin・・・[3]
Tmax<Tr<Tf・・・[4]
Tr:撹拌部材の逆方向の自軸回転時間
Tf:撹拌部材の順方向の自軸回転時間
Tmin、Tmax:kN(Ts+Tr)(Tf−Tr)/{30p(Tf+Tr+2Ts)}=0.1の解(Tr)のうちの小さい値(Tmin)と大きい値(Tmax)これによれば、バイオマスの液化の一層の均一を図ることができる。
【0034】
また、予熱搬送部、反応用薬剤注入部、混合部、加熱部、液化反応部、反応停止剤注入部、揮発成分除去部および冷却排出部の各部の温度を独立に測定、調整できる温度検知・調整手段が設けられているのが好ましい。この構成を採用すれば、バイオマスの特徴及び液化の段階に応じて温度を精密的にコントロールすることができ、バイオマスの加熱、液化反応、脱揮(揮発成分除去)、冷却等の工程をそれぞれ最適条件に設定することができる。
【0035】
また、材料供給部と反応用薬剤注入部の間にバイオマス物質中に含有される水分を除去する第1ベント口が1ないし複数個設けられるとともに、該第1ベント口の周囲にバイオマス物質の乾燥を行う乾燥部が設けられているのが好ましい。これによれば、バイオマスの前乾燥工程は不要になり、バイオマス物質に含有する水分は、バイオマス物質と溶媒との混合の前に反応系外部へ放出でき、水蒸気の逆流、噴出による投入障害を防ぐことができる。従って、安定な投入及び安定な反応物の搬送が実現できて、安定した品質を有する液化生成物が得られる。
【0036】
また、加熱部と反応停止剤注入部の間にバイオマス物質の反応中に発生する水分又は他の低沸点物質を除去する第2ベント口が1ないし複数個設けられているのが好ましい。これによれば、乾燥段階に残された水分及びバイオマスの液化反応中に生成される水分等を速やかに系外へ放出でき、安定した反応制御が得られると共に液化生成物中に含まれた低沸点物の大部分を効率よく除去できる。
【0037】
また、撹拌部材の外周とケーシング内周面との間に略軸方向に延びる隙間が設けられ、この隙間を介して水分等の揮発成分が軸方向に移動して前記ベント口から放出されるものとなされているのが好ましい。これによれば、反応中に発生するガスにより反応物の突沸や噴出などを防ぐことができ、より一層の制御安定性を得ることができる。
【0038】
また、前記反応用薬剤注入部及び前記混合部の温度は50〜170℃の範囲に設定される一方、前記加熱部、液化反応部及び揮発成分除去部の温度は120〜250℃の範囲に設定されるのが好ましい。液化反応触媒は強酸を含む酸性物質を使われることが多いので、液化装置の接液部は高耐酸性材質で作られることが好ましいが、それにしても高温に加熱されている装置に酸を含む反応用薬剤に直接接触させると腐蝕が他の部分より速く進行することとなる。また、注入された反応用薬剤とバイオマス物質との分散混合が十分行われる前に高温加熱すると不均一な反応が起こる恐れがある。上記温度設定にすれば、装置への腐蝕及び不均一反応を低減できると共に高い液化能率を得ることができる。
【0039】
また、反応用薬剤注入部に注入される反応用薬剤はフェノール類、アルコール類、多価アルコール類、環状エステル類等の水酸基を有する又は潜在的に水酸基を有する化合物、又はオキシエーテル類、環状エーテル類、炭酸アルキレン類、及びケトン類からなる群より選択される一種または二種以上の化合物、或いはこれらの混合物であるのが好ましい。この構成を採用すれば、多種の樹脂原料、燃料、化学物質として有用なバイオマス液化物を得ることができる。
【0040】
また、反応用薬剤としては、無機酸、有機酸類、高級脂肪酸類、多塩基酸、多塩基酸無水物、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、アルデヒド類からなる群より選択される一種または二種以上の化合物、或いはこれらの混合物であるのが好ましい。これにより、バイオマスのエステル化、エーテル化、グラフト等各種のバイオマス物質の誘導体を得ることができる。
【0041】
また、上記反応用薬剤としてさらに反応触媒が注入されるのが好ましく、これによりバイオマス物質の液化効率を高めることができる。
【0042】
また、前記反応用薬剤注入部と前記反応停止剤注入部の間に、第二の反応用薬剤、反応用副薬剤、バイオマス原料等の第2薬剤を投入するための投入口が1ないし複数個設けられているのが好ましい。これによれば、前記第二の反応用薬剤等を途中添加することにより多種多様な反応を効率良く同時に又は順次に行わせることができる。
【0043】
上記第2薬剤として、以下のa)、b)、c)、d)、e)、f)の何れか或いはそれらの混合物が用いられるのが好ましい。
【0044】
a)フェノール類、アルコール類および環状エステル類など水酸基又は潜在的に水酸基を有する化合物等の液化用試薬及び液化触媒
b)各種の無機酸、有機酸類、高級脂肪酸類、多塩基酸又はその無水物、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、アルデヒド類等の修飾変性用試薬及び修飾変性用触媒
c)各種のビニルモノマー、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、多塩基酸又はその無水物類、グリコール類等のグラフト重合用試薬及び重合開始剤
d)各種の酸、アルカリ、重合開始剤等の反応触媒
e)同種又は異種のバイオマス物質
f)各種の溶媒
このような構成を採用すれば、バイオマス物質の複数種の試薬による液化、バイオマス物質液化物に対する化学修飾/変性、バイオマス物質の液化物のグラフト重合等の各種処理を容易且つ効率良く行うことができる。
【0045】
また、前記第2薬剤は、予め所定の温度に加熱されているもの、又は投入工程中に所定の温度まで加熱されるものであるのが好ましい。これによれば、これら第2薬剤を投入しても反応系内の温度の低下を防ぐことができ、高い反応速度及び高精度の温度制御を維持できるものとなる。
【0046】
また、前記反応停止剤注入部に注入される反応停止剤としては、前記酸触媒を中和して失活させることができ、かつ分解、架橋、高融点化反応等の副反応を防止し得る物質が用いられるのが好ましい。これにより、生成物の分解、架橋、高分子化、高融点化反応等の副反応を防止することができる。
【0047】
また、前記液化反応部の下流側に、バイオマス物質の液化生成物中に含まれる未液化部分等の固形物を除去する固形物除去手段が設けられているのが好ましい。これにより、バイオマス物質中に混入した異物、サイズ的に大きすぎて液化しきれずに残った未液化バイオマス残渣、さらには中和塩等の固形物を容易に除去することができて、高品質なバイオマス液化物を得ることができる。
【0048】
また、前記揮発成分除去部は、未反応薬剤や水分等の揮発成分を吸引除去できる1ないし複数個の第3ベント口により構成されているのが好ましい。これにより、未反応試薬、水分等を反応終了後余熱を利用して引き続き効率良く除去することができ、後処理工程は不要となる。
【0049】
また、前記液化反応部と前記揮発成分除去部の間に流量制御機構が設けられているのが好ましい。このような構成を採用すれば、粘度の低い液状になったバイオマス物質の液化物が揮発成分除去部(脱揮部)の真空により空気等のガス成分と共に強制的に吸入されることを防止できて安定した処理ができると共に、揮発成分除去部(脱揮部)で高い真空度を得ることができて高い脱揮効果を得ることができる。
【0050】
また、前記排出部は、強制排出手段が付設された排出口からなるのが好ましい。このような構成を採用すれば、排出口からの空気逆流を防ぐことができて脱揮部で高い真空度を得ることができると共に、液化生成物が低粘度であっても液化生成物を安定して排出することができる。
【0051】
前記撹拌処理装置が、前記ケーシングの内部に1本の撹拌部材が配置された単軸型である場合には、従来の単軸押出機の安価さ及びメンテナンスの容易性という長所を保ちながら高能率のバイオマス物質液化物の製造装置を提供できる。
【0052】
前記撹拌処理装置が、前記ケーシングの内部に複数本の撹拌部材が配置された多軸型である場合には、より一層高い処理能率を実現できると共に搬送性に優れ、かつ制御精度のあるバイオマス物質液化物の製造装置を提供できる。
【0053】
また、前記ケーシング内に、複数の撹拌部材がその撹拌軸を上流側の撹拌部材の撹拌軸の中に挿通配置する態様で同一軸上に直列状態に設けられると共に、各撹拌部材はそれぞれ独立した駆動機構により駆動せしめられるものとなされ、少なくとも1つの撹拌部材が、順方向と逆方向に交互に自軸回転するものとなされている構成を採用するのが好ましい。この構成を採用すれば、順方向および逆方向に交互に自軸回転する撹拌部材を装置の必要な箇所に設けることができる。また、すべての撹拌部材を順方向および逆方向に交互に自軸回転するものとし、かつそれぞれ回転条件を変えれば、バイオマス物質の種類や上記各種処理に応じた様々な撹拌を行うことができる。
【0054】
また、前記撹拌部材は、固定軸と、該固定軸の両端部分に回転自在に外嵌された回転スリーブと、これら回転スリーブ間において前記固定軸に外嵌されて固定された固定スリーブと、前記回転スリーブと固定スリーブに亘って外嵌されかつ両端が回転スリーブに固着されたリボン状又はコイル状スクリュー羽根とで構成され、少なくとも一方の回転スリーブに駆動機構が連結されて、前記スクリュー羽根が順方向と逆方向に交互に自軸回転するものとなされているのが好ましい。この構成を採用すれば、駆動機構を駆動することで、回転スリーブを固定軸に支持させて駆動回転し得、もってリボンスクリュー羽根又はコイルスクリュー羽根を、回転スリーブと一体に駆動回転し得る。従って、投入したバイオマス物質を、スクリューの繰り返す自軸回転によって順次排出口側に推進せしめることができる。このときバイオマス物質等は、リボンスクリュー羽根又はコイルスクリュー羽根の表面を介しての押出力により推進せしめられ、その際に、ケーシングや固定スリーブが固定されているので、これらとの間において、反応物が共回りすることを防止し得ると共に、攪拌効果を一層向上させることができる。これにより、バイオマス物質の液化反応の安定性、均一性及び反応条件の制御精度の高さを確保することができる。
【0055】
また、前記撹拌部材は、エンドプレート側を片持ち支持された中心軸と、該中心軸に外嵌されかつエンドプレート側を片持ち支持された中空の固定軸と、該固定軸の両端部分に回転自在に外嵌された回転スリーブと、これら回転スリーブ間において前記固定軸に外嵌されて固定された固定スリーブと、前記回転スリーブと固定スリーブに亘って外嵌されかつ両端が回転スリーブに固着されたリボン状又はコイル状スクリュー羽根とで構成されると共に、排出口側の回転スリーブは中心軸に連結され、前記エンドプレート側において、少なくとも一方の回転スリーブに連結される駆動機構が設けられて、前記スクリュー羽根が順方向と逆方向に交互に自軸回転するものとなされているのが好ましい。これによれば、撹拌部材の回転に対する反応物の抵抗に応じて撹拌部材の駆動位置を選択することができ、一層の運転安全性と対応能力を確保することができる。
【0056】
また、前記撹拌部材は、エンドプレート側を片持ち支持された中空の固定軸と、該固定軸の両端部分に回転自在に外嵌された回転スリーブと、これら回転スリーブ間において前記固定軸に外嵌されて固定された固定スリーブと、前記回転スリーブと固定スリーブに亘って外嵌されかつ両端が回転スリーブに固着されたリボン状又はコイル状スクリュー羽根とで構成された第1撹拌部と、前記中空の固定軸の下流側に同一軸上に直列状態に設けられ、その中心にある駆動軸は前記中空の固定軸に挿通させた態様で、かつ前記エンドプレート側を片持ち支持されてなるスクリューからなる第2撹拌部とで構成され、前記下流側の回転スリーブは前記スクリューに連結され、前記エンドプレート側において、少なくとも一方の回転スリーブに連結される駆動機構が設けられ、前記スクリュー羽根が順方向と逆方向に交互に自軸回転するものとなされているのが好ましい。この構成を採用すれば、エンドプレート側の駆動機構を駆動することで、固定軸のある撹拌部材と固定軸のない撹拌部材を同時に駆動することができ、バイオマス物質の共回りが起こりやすい区間のみに固定軸を有する撹拌部材を設けているから、安定な処理を行うことができる。
【0057】
前記リボン状又はコイル状スクリュー羽根は、前記材料供給部と前記加熱部の間に設けられているのが好ましい。これにより、固形未液化バイオマス物質の攪拌部材への付着、共回り及び詰まりを防止することができるので、順調な液化を実現できる。
【0058】
また、前記ベント口から放出される揮発成分を回収する回収手段が付設されているのが好ましい。揮発成分を回収するので、環境への負荷を回避できる利点がある。
【0059】
また、前記バイオマス物質は、木材、古紙等のリグノセルロース、デンプン、糖等の糖類、もみがら、小麦ふすま、オカラ、米ぬか等の農業生産品、食品及び食品工業廃棄物、或いはセルロースアセテート、変性デンプン等のバイオマス誘導体からなる群より選択される一種または二種以上の物質であるのが好ましい。中でも、前記バイオマス物質は、木材、古紙等のリグノセルロース、デンプン、糖等の糖類、もみがら、小麦ふすま、オカラ、米ぬかからなる群より選ばれる一種または二種以上の物質であるのが特に好ましい。これにより、未利用バイオマスの中で量的に最も多いこれらの物質を各種の有用な樹脂原料、燃料又は化学物質へ有効利用することを容易かつ安価に実現することができる。
【0060】
また、この発明に係るバイオマス物質の液化物の製造方法は、上記いずれかの構成に係る製造装置を用いてバイオマス物質の液化物を製造する方法であって、前記製造装置内にその材料供給部を介してバイオマス物質を投入すると共に前記反応用薬剤注入部を介して反応用薬剤を投入し、前記撹拌部材を順方向と逆方向に交互に自軸回転させることによって前記ケーシング内でバイオマス物質と反応用薬剤を撹拌混合してバイオマス物質を液化して液化生成物を得、該液化生成物を前記排出部より排出することを特徴とする。
【0061】
また、この発明の別のバイオマス物質の液化物の製造方法は、上記いずれかの構成に係る製造装置を用いてバイオマス物質の液化物を製造する方法であって、前記バイオマス物質を前記製造装置内にその材料供給部を介して連続的に供給する材料供給工程と、前記供給されたバイオマス物質を加熱しながら下流側に向けて搬送する予熱搬送工程と、前記バイオマス物質を液化させる反応用薬剤を前記製造装置の反応用薬剤注入部を介して注入する反応用薬剤注入工程と、前記バイオマス物質と反応用薬剤を混合せしめる混合工程と、前記混合物を所定の液化反応温度まで加熱する加熱工程と、前記所定の液化反応温度に保温して液化反応を行わしめる液化反応工程と、前記バイオマス物質の液化反応を停止させる反応停止剤を前記反応停止剤注入部を介して注入して液化反応を停止させる液化停止工程と、未反応薬剤や水分等の揮発成分を前記揮発成分除去部を介して除去する揮発成分除去工程と、液化生成物を冷却すると共に前記排出部を介して液化生成物を排出する排出工程とを包含することを特徴とする。
【0062】
上記いずれの製造方法においても、バイオマス等の反応物は、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転に伴って、ケーシング内において往復運動を繰り返しながら推進せしめられ、材料供給部側から排出部側まで移動する。このため、反応装置内における反応物の実際の移動距離は各ケーシングの長さの総和より長くなり、それに伴って製造装置内における反応物の滞留時間も長くなる。そして、このバイオマス物質の滞留時間は、撹拌部材の回転速度のみならず、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転の組合せに依存することから、バイオマス物質の滞留時間と撹拌部材の回転速度との完全依存性は切り離される。このため、バイオマス物質の滞留時間は、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転の組合せによって任意に設定することができると共に、バイオマス反応物の撹拌効果は、撹拌部材の回転速度により任意に設定することができ、製造装置(反応装置)内におけるバイオマス物質の理想的な滞留時間と理想的な撹拌効果とを両立することが可能となる。また、バイオマス物質は、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転の交互運動により押されたり引かれたりし、一定の個所に留まったりあるいは一定の形状に整えられたりすることがないので、反応物が撹拌羽根と共回りすることを防止することができ、また交互運動の衝撃でバイオマス反応物が乱流を形成するので、反応物をより確実に撹拌することができる。
【0063】
上記製造方法において、前記反応用薬剤注入工程及び前記混合工程の温度は50〜170℃の範囲に設定する一方、前記加熱工程、液化反応工程及び揮発成分除去工程の温度は120〜250℃の範囲に設定するのが好ましい。上記温度設定にすれば、装置への腐蝕及び不均一反応を低減できると共に高い液化能率を得ることができる。
【0064】
前記反応用薬剤としては、フェノール類、アルコール類、多価アルコール類、および環状エステル類等の水酸基又は潜在的に水酸基を有する化合物、またはオキシエーテル類、環状エーテル類、炭酸アルキレン類、およびケトン類から選択される一種または二種以上の物質、或いはこれらの混合物を用いるのが好ましい。
【0065】
前記反応用薬剤としては、無機酸、有機酸類、高級脂肪酸類、多塩基酸、多塩基酸無水物、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、アルデヒド類からなる群より選択される一種または二種以上の化合物、或いはこれらの混合物を用いるのが好ましい。これにより、バイオマスのエステル化、エーテル化、グラフト等各種のバイオマス物質の誘導体を得ることができる。
【0066】
また、上記反応用薬剤としてさらに反応触媒が注入されるのが好ましく、これによりバイオマス物質の液化効率を高めることができる。
【0067】
また、前記反応用薬剤注入工程及び前記反応停止剤注入工程の間に、第二の反応用薬剤、反応用副薬剤、液化原料等の第2薬剤を投入するための投入工程を設けるのが好ましい。これにより、前記第二の反応用薬剤等を途中添加することにより多種多様な反応を効率良く同時に又は順次に行わせることができる。
【0068】
また、前記第2薬剤として、以下のa)、b)、c)、d)、e)の何れかあるいはそれらの混合物を用いるのが好ましい。
【0069】
a)フェノール類、アルコール類および環状エステル類など水酸基又は潜在的に水酸基を有する化合物から選択される一種または二種以上の物質
b)各種の無機酸、有機酸類、多塩基酸又はその無水物類、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、アルデヒド類などから選択される一種または二種以上の物質と反応触媒あるいはそれらの混合物、さらには必要に応じて溶媒類
c)各種のビニルモノマー、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、多塩基酸又はその無水物類、グリコール類から選択される一種または二種以上の物質と重合開始剤、反応触媒あるいはそれらの混合物、溶媒など
d)各種の反応触媒
e)同種又は異種のバイオマス物質。
【0070】
また、前記第2薬剤は、予め所定の温度に加熱されているもの、又は投入工程中に所定の温度まで加熱されたものである場合には、これら第2薬剤を投入しても反応系内の温度の低下を防ぐことができ、高い反応速度及び高精度の温度制御を維持することができる。
【0071】
また、前記液化反応工程で得られたバイオマス物質の液化生成物中に含まれる未液化部分等の固形物を除去する固形物除去工程を設けるのが好ましい。これにより、バイオマス物質中に混入した異物、サイズ的に大きすぎて液化しきれずに残った未液化バイオマス残渣、さらには中和塩等の固形物を容易に除去することができて、高品質なバイオマス液化物を製造できる。
【0072】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図1〜5を参照して説明する。図1はこの第1実施形態のバイオマス物質液化物の製造工程の概略フローチャートである。この第1実施形態の製造装置の全体概略構成を図2に示す。この製造装置は、主に3つの撹拌処理装置から構成され、各撹拌処理装置の概略構成をそれぞれ図3〜5に示す。この第1実施形態のバイオマス物質液化物の製造装置は、バイオマス物質、例えば木粉等のリグノセルロース物質の供給、これらバイオマス物質の乾燥、反応用薬剤との混合、液化反応温度までの加熱を行う第1撹拌処理装置(2)と(図3参照)、この第1撹拌処理装置(2)に対してタンデム型に接続され、所定の温度に加熱されたバイオマス反応物を液化反応温度に保温しながら液化する第2撹拌処理装置(3)と(図4参照)、この第2撹拌処理装置(3)に対してタンデム型に接続され、未反応薬剤を除去したのち冷却したバイオマス物質の液化物を排出口である吐出ノズル(4)から吐出する第3撹拌処理装置(5)(図5参照)とからなる。ここで、材料供給フィーダ(1)としては、通常のプラスチック成形に用いられる容量式のスクリュフィーダ等が使用される。ただし、木粉、デンプン等の細粉状バイオマス原料では、フィーダ(1)のホッパ部でブリッジ現象が発生する可能性があるため、ブリッジ防止のアジテータ等を付加するのが良い。さらに、最終用途によって、液化物の高精度で安定した物性が要求される場合は、重量式の原料供給フィーダを使用するのが好ましい。
【0073】
また、第1撹拌処理装置(2)には溶媒および酸触媒の注入を行う液体注入装置(反応用薬剤注入部)(6)が連結されている。第2撹拌処理装置(3)には酸触媒を中和する物質の供給を行う反応停止装置(反応停止剤注入部)(7)が連結されている。第3撹拌処理装置(5)には未反応薬剤等を真空吸引する真空ベント装置(揮発成分除去部)(8)が連結されている。なお、第1装置(2)と第2装置(3)との間、及び第2装置(3)と第3装置(5)との間はそれぞれジャンクション部(9)(10)を介して連結されている。
【0074】
また、第1撹拌処理装置(2)はシリンダ内部に1本のスクリューが回転自在に挿入された単軸押出機、あるいはシリンダ内部に2本以上のスクリューが回転自在に挿入された多軸押出機で構成されている。便宜上単軸押出機とするが、基本的には多軸押出機にも類似している。
【0075】
前記第1撹拌処理装置(2)には、ケーシングであるシリンダ(11)の内部に撹拌部材であるスクリュー(12)が回転自在に挿入配置されている。ここで、スクリュー(12)はその中心駆動軸(撹拌軸)(12A)が中空の筒状固定軸(13)を挿通する様態で減速機(14)を介してモータ(駆動機構)(15)に連結されている。モータ(15)は制御盤(16)により回転速度、回転方向及びそれぞれの回転持続時間を制御されている。そして、このモータ(15)により減速機(14)を介してスクリュー(12)が順回転、逆回転、停止の所定の組合せからなるパターンで回転駆動されるようになされている。
【0076】
このスクリュー(12)の動作について具体的に説明すると、このスクリュー(12)は、制御盤(16)にある制御機構の動作に従って、例えば順方向の自軸回転→停止→逆方向の自軸回転→停止(順方向の自軸回転数>逆方向の自軸回転数)という1サイクルの自軸回転パターンを連続して繰り返す。そして、その自軸回転パターンに従って、シリンダ(11)内のバイオマス物質は、図6に示すように、順方向に距離Dだけ移動→停止→逆方向に距離dだけ移動→停止という1サイクルの往復運動を連続して繰り返しながら推進せしめられ、シリンダ(11)の供給口(17)付近から排出口(42)付近まで平均移動速度Vで移動する。
【0077】
ところで、スクリュー(12)が同じ回転速度で順回転と逆回転とし、バイオマス物質など反応物の平均移動速度Vを数式化すると、
V=kPN(Tf−Tr)/(Tf+Tr+2Ts)・・・[5]
k:スクリュの形状、被処理材(バイオマス物質など反応物)物性状、充満度などにより決定される係数(0<k≦1)
P:スクリュー12のピッチ
N:スクリュー12の回転速度
Tf:スクリュー12の順方向の自軸回転時間
Tr:スクリュー12の逆方向の自軸回転時間
Ts:スクリュー12の順方向と逆方方向の切り替えのための停止時間
となり、したがって、反応物の処理装置内での滞留時間trは下式で表すことが出来る。
tr=p(Tf+Tr+2Ts)/(kN(Tf−Tr))・・・・・[6]
p:スクリュー12のピッチ数
式[6]から分かるように、スクリュー(12)の回転速度Nがどのような値をとっても、スクリュー(12)の順方向および逆方向の自軸回転時間(TfおよびTr)を変えることで、反応物のシリンダ(11)内での処理時間は自由自在に設定することができる。
【0078】
このため、反応物の滞留時間は、スクリュー(12)の順方向および逆方向の自軸回転の組合せによって任意に設定することができると共に、バイオマス物質等反応物の撹拌効果は、スクリュー(12)の回転速度により任意に設定することができ、バイオマス等反応物のシリンダ(11)内における理想的な滞留時間と撹拌効果を両立することが可能となる。
【0079】
また、反応物は、スクリュー(12)の順方向および逆方向の自軸回転の交互運動により押されたり引かれたりし、一定の個所に留まったりあるいは一定の形状に整えられたりすることがないので、バイオマス物質がスクリュー(12)と共回りすることを防止することができる。また、スクリュー(12)の交互運動の衝撃により、バイオマス物質等反応物が乱流を形成するので、反応物をより確実に撹拌することができる。
【0080】
制御盤(16)は、駆動機構(駆動モータ)(15)の回転速度、回転方向および回転状態の持続時間を速度設定器、逆回転機構、タイマー、回転速度を変換する際の加減速度を制御する加減速度設定器等により駆動機構(駆動モータ)(15)を自在に制御するものである。なお、この制御盤(16)による駆動モータ(15)の回転速度、方向の変更・制御は、駆動モータ(15)の電流の位相、方向を制御する電気式でもよいし、あるいは駆動モータ(15)の回転方向の変更をせず、設定したプログラムに応じて自動制御した歯車箱/クラッチのような機械装置を用いてスクリュー(12)の回転状態を自動制御する機械方式であってもよい。また、直接駆動源はモータのような電動式でもよいし、エンジン等の原動機、油圧式等の他の駆動方式であってもよい。
【0081】
また、シリンダ(11)には減速機(14)との連結端部側(図3中で右側)から順にバイオマス物質が供給される供給口(17)と、バイオマス物質中に含有される水分を放出する第1ベント口(18)と、反応用薬剤(液化剤)や酸触媒を注入する反応用薬剤注入口(19)とがそれぞれ設けられている。なお、スクリューが逆回転の際、供給口(17)から投入された原料は逆方向(減速機14との連結端部)へ移動するため、それを受け入れるために供給口(17)とエンドプレート(25)の間に十分な空間を保有せしめるのが好ましい。
【0082】
更に、この第1撹拌処理装置(2)には、バイオマス物質を搬送しながら予熱を行う予熱搬送部(20)と、バイオマス物質中に含まれる水分を蒸発分離して第1ベント口(18)から放出せしめる乾燥部(21)と、バイオマス物質と反応用薬剤(液化剤)と酸触媒との分散混合を行う混合部(22)と、均一に混合されたバイオマス反応物を高速に所定液化温度まで加熱する高速加熱部(23)と、加熱された反応物を押出す押出部(24)とがそれぞれ設けられている。
【0083】
ここで、スクリュー(12)は、予熱搬送部(20)から混合部(22)までは、片持ち状でエンドプレート(25)の外側にある固定軸固定用冶具(26)に固定されている中空の固定軸(13)に亘って外嵌されかつその下流端が中空の固定軸(13)と隣接する羽根(12B)に固着されたコイル状スクリュー羽根(12C)によって構成され、シリンダ(11)の供給口(17)、第1ベント口(18)、及び反応用薬剤注入口(19)と対応する位置に配置されている。
【0084】
また、中空固定軸(13)の両端部分には、軸受(27)(28)が配設され、この軸受(27)(28)のインナーレースはスクリュー(12)の中心軸(12A)に接し、アウターレースは中空固定軸(13)に固定されている。なお中空固定軸(13)とスクリューのフルフライト部(12B)の端面間及び固定軸(13)とエンドプレート(25)の間にはシール部材(29)(30)が介在している。中空固定軸(13)は固定軸固定用冶具(26)でキーなどにより固定されている。
【0085】
そして、投入されたバイオマス物質及び反応用薬剤(液化薬剤)は、スクリュー(12)の回転と連動されるコイル状スクリュー(12C)の表面を介しての押出し力により推進せしめられ、その際に、シリンダ(11)や、中空固定軸(13)が固定されているので、これらとの間において、反応物がスクリュー(攪拌部材)(12)へ付着したり共回りをしたりすることなく、スクリュー(12)の順回転、逆回転の交互運動によってバイオマス物質など被処理物が任意な回転速度で攪拌されながら推進せしめることができるようになされている。
【0086】
また、シリンダ(11)には例えば電気式ヒータ、熱媒、さらにはシリンダ(11)が電磁波透過性材料であればマイクロ波等の加熱装置(32A)(32B)(32C)が取付けられている。そして、シリンダ(11)内のバイオマス物質は、乾燥部(21)において、シリンダ(11)に取付けられた加熱装置(32A)により加熱され、含水分を蒸発分離し、分離された水分が第1ベント口(18)から水蒸気として放出されるようになされている。
【0087】
また、シリンダ(11)の反応用薬剤注入口(19)には液体注入装置(反応用薬剤注入部)(6)の液体注入部(33)が連結されている。ここで、液体注入装置(6)には、乾燥部(21)で乾燥されたバイオマス物質の液化反応を起こさせるための反応用薬剤を貯留するタンク(34)と、酸触媒を貯留するタンク(35)とが設けられている。更に、タンク(34)には反応用薬剤移送配管(36)の一端部が連結されている。この移送配管(36)の中途部には注入ポンプ(37)が介設されている。なお、前記移送配管(36)の他端部は液体注入部(33)に取付けられた注入弁(38)に連結されている。
【0088】
また、前記酸触媒用のタンク(35)には酸触媒移送配管(39)の一端部が連結されている。この酸触媒移送配管(39)の中途部には注入ポンプ(40)が介設されている。更に、酸触媒移送配管(39)の他端部は、液体注入部(33)に取付けられた注入弁(41)に連結されている。
【0089】
そして、注入ポンプ(37)の駆動にともないタンク(34)内に収容されている反応用薬剤(液化剤)が液化剤移送配管(36)を通して圧送され、注入弁(38)を経由して液体注入部(33)に圧入され、同様に注入ポンプ(40)の駆動にともないタンク(35)内に収容されている酸触媒が酸触媒移送配管(39)を通して圧送され、注入弁(41)を経由して液体注入部(33)に圧入されるようになされている。
【0090】
前記液体注入部(33)から圧入された反応用薬剤(液化薬剤)及び酸触媒は、混合部(22)において、乾燥されたバイオマス物質と混合・混練される。ここでも固定軸を有し、順回転、逆回転の交互運動をしているコイルスクリュー(12C)は反応物の攪拌部材(スクリュー)への付着防止及び効果的な攪拌の実現に寄与している。なお、混合部(22)においては液化薬剤とバイオマス物質との混合は十分ではないので、不均一な反応を防止すべく混合部(22)の温度は液化反応に必要な温度より低温に設定することが好ましい。
【0091】
なお、注入ポンプ(37)(40)としては、反応度合いの変動を極小化するため、そして押出特性の安定化を図るために定量性の良いポンプを使うのが好ましい。また、液体注入装置(6)としては酸触媒と液化剤とを液体混合装置などでブレンドし、混合液として一台の注入装置で供給してもよい。また、融点が常温以上の液化剤に対しては、注入装置(6)全体を加熱して供給する。更に、注入された液化剤をバイオマスの液化反応温度までの加熱に要する時間を短縮し一層の生産能率の向上を図るためには、液化剤または液化剤と触媒の混合物を予め加熱してから供給するようにするのが好ましい。また、付着性の強いバイオマス原料又は反応処方を使用する場合、反応試薬を反応温度付近に予め加熱してから注入することにより、付着を解消又は大きく低減できる。即ち、乾燥状態のバイオマス物質は本来付着性が小さく、付着性が液状反応試薬に濡れることにより著しく増大されるものである。また、反応試薬と混合したバイオマス物質が反応温度までに加熱され、反応の進行により流れ性が生じると再び付着性が減少するということである。即ち、付着性が大きいのはバイオマス物質と反応試薬と混合した時点から混合物がバイオマスの液化反応温度になるまでの加熱段階である。従って、この段階を短縮又は無くすことにより、反応物の付着を無くす又は大きく低減することが可能である。この段階を無くす方法としては、反応試薬を第1装置に注入する前に予め反応温度付近に加熱する方法が挙げられる。例えば、液化剤等を液化剤用タンク(34)で加熱装置(図示しない)により加熱してから液化剤注入ポンプ(37)により保温した液化剤移送配管(36)を通じて注入するようにしてもよいし、液化剤移送中に加熱装置により連続加熱しながら注入してもよい。
【0092】
なお、本実施形態では、バイオマス物質を供給口(17)から投入し、反応用薬剤(液化剤)及び酸触媒を反応用薬剤注入口(19)から投入しているが、反応用薬剤や触媒が揮発性のものでない場合はこれら反応用薬剤、触媒をバイオマス物質と共に原料供給口(17)から同時に供給しても良いし、別の混合装置で反応用薬剤/酸触媒/バイオマス物質の全部または一部を予め混合してから一緒に原料供給口(17)から供給してもよい。
【0093】
また、スクリュー(11)の高速加熱部(23)は、混合部(22)の下流に配置されている。高速加熱部(23)は、均一に混合されたバイオマス反応物を迅速にバイオマスの予定液化反応温度に加熱するために、熱伝導面積が大きく撹拌効果の大きい浅溝型の切り欠きスクリュー(12B)が設けられ、バイオマス反応物を加熱装置32Cにより高速で所定液化反応温度に加熱できるようになされている。また、バイオマス反応物は、温度上昇に伴って軟化・液化し、体積も減少するので、スクリュー(12B)のピッチ又は溝深さは段階的に又は徐々に小さくして反応物に圧縮を与えるのが好ましい。高速加熱部スクリュー(12B)の圧縮比はバイオマス種及び形態に応じて1から3の間に設定することが好ましい。そして、バイオマス物質はこの高速加熱部(23)においてスクリュー(12B)の順回転、逆回転の交互運動により効果よく攪拌されながら推進せしめることができるようになっている。そしてバイオマス物質は繰り返し圧縮されることにより空気が追い出されるとともに効果的に加熱され、迅速に予定液化反応温度になるようになされている。
【0094】
なお、本実施形態ではスクリュー(12)の構成は、予熱搬送部(20)から混合部(22)までの間、固定軸を有するコイルスクリューとしているが、バイオマス物質の形態及び流れ性等に応じて全スクリューを固定軸を有するコイルスクリュー又はリボンスクリューにしてもよいし、全スクリューを通常のスクリューにしてもよい。また、スクリューの形状、圧縮比等は、特に限定されない。
【0095】
更に、第1撹拌処理装置(2)は、2軸以上の多軸押出機を用いる場合、含水分の蒸発分離を促進し、バイオマス物質を微粉砕して後工程での分散混合、高速加熱を促進するために、上記乾燥部(21)、混合部(22)、及び高速加熱部(23)にそれぞれ一部の混練用のニーディングディスクを組合わせて用いるものとしても良い。
【0096】
更に、高速加熱部(23)の下流にある排出口(42)から排出されるバイオマス反応物の温度を測定する測温抵抗体が設けられ、PID制御温度コントローラ等により、反応物の温度が設定温度になるように加熱装置(32C)の出力を調整するようになされている。
【0097】
また、第1撹拌処理装置(2)と第2撹拌処理装置(3)との間のジャンクション部(9)は、第1装置(2)の端末部に取付けられたアダプタ部(43)と、加熱したバイオマス物質が流れる保温管部(44)と、加熱されたバイオマス反応物から放出される水分等の揮発性成分を放出する第1ベント口(45)と、第2装置(3)に取付けられたフィードブロック部(46)とから構成されている。
【0098】
なお、本実施形態ではジャンクション部(9)は、第1装置(2)と第2装置(3)との間をベント口付きで接続しているが、流れ性不十分で自然落下は困難な反応物に対しては保温管部(44)に、第1装置(2)で加熱された反応物を強制的に第2装置(3)の接続口へ押し込む装置(スクリュー等)を取付けても良いし、又はジャンクション部(9)を取外し、第1装置(2)の吐出口から第2装置(3)の接続口へ直接流し込むようにしても良い。更には第1装置(2)は、第2装置(3)のサイドフィーダのように横から直接第2装置に押し込む態様に構成しても良い。
【0099】
次に、本実施形態の第2撹拌処理装置(3)はシリンダ内部に1本のスクリューが回転自在に挿入された単軸押出機で構成されている。この第2撹拌処理装置(3)にはシリンダ(ケーシング)(47)の内部に1本のスクリュー(48)が回転自在に挿入されている。前記スクリュー(48)は減速機(49)を介して駆動機構(駆動モータ)(50)に連結されている。モータ(50)は制御盤(51)により回転速度、回転方向及びそれぞれの回転持続時間を制御されている。前記駆動モータ(50)により減速機(49)を介してスクリュー(48)が順回転、逆回転、停止の所定の組合せからなるパターンで回転駆動されるようになされている。ここで、スクリュー(48)の作用は、前記第1装置(2)における作用と同様であり、反応物の滞留時間及び撹拌作用は、スクリュー(48)の回転速度及び回転の順方向および逆方向の自軸回転の組み合わせによって任意に設定できるので、バイオマス等反応物のシリンダ(47)内における理想的な滞留時間と撹拌効果を両立することが可能となる。
【0100】
また、シリンダ(47)は減速機(49)との連結端部側(図4中で右側)から順に加熱されたバイオマス反応物が供給される反応物供給口(52)と、バイオマス物質の液化反応中に生成される水分又は他の揮発性物質を放出する第2ベント口(53)(54)と、酸触媒を中和する物質を供給する反応停止剤供給口(55)とがそれぞれ設けられている。
【0101】
更に、バイオマス物質を所定の液化温度で保温しながら液化する液化反応部(56)と、バイオマスの液化反応を停止させるための反応停止剤と混合する反応停止部(57)と、反応停止した液化バイオマス物質を押出す押出部(58)が設けられている。
【0102】
前記液化反応部(56)は、シャフトが細い深溝型で空間率の高い板状フルフライト羽根(56A)によって構成されている。また、バイオマス物質が液化の進行に伴って液状化し、体積も減少するので、液化反応部スクリュー(56A)のピッチは押出し方向へ段階的に又は徐々に小さくなっている。液化反応部スクリュー(56A)の圧縮比はバイオマス種及び形態に応じて1から5の間に設定することが好ましい。また、液化反応部(56)に、例えば電気式ヒータあるいは熱媒等の加熱装置(59A)が取付けられている。
【0103】
そして、シリンダ(47)内のバイオマス物質は、この液化反応部においてスクリュー(56A)の順回転、逆回転の交互運動により効果よく攪拌されながら推進せしめることができるようになされている。これにより、バイオマス物質は繰り返し圧縮されながら徐々に液化し、スクリューピッチが狭くなるに伴って充満率も高くなるようになっている。
【0104】
バイオマス物質の液化反応で生じる水分等の低沸点物質は、第2ベント口(53)(54)から放出されるようになっている。
【0105】
また、シリンダ(47)の反応停止剤供給口(55)には反応停止装置(反応停止剤注入部)(7)の液体中和剤注入部(60)が連結されている。この反応停止装置(7)にはバイオマス物質の反応を停止させる反応停止剤である液体中和剤、すなわち酸触媒の中和液のタンク(61)が設けられている。このタンク(61)には反応停止剤移送配管(62)の一端部が連結されている。反応停止剤移送配管(62)の中途部には注入ポンプ(63)が介設されている。更に、反応停止剤移送配管(62)の他端部は、液体中和剤注入部60に取付けられた注入弁(64)に連結されている。そして、注入ポンプ(63)の駆動時には、タンク(61)内の液体中和剤が、反応停止剤移送配管(62)を介して圧送され、注入弁(64)を経由してシリンダ(47)の反応停止剤供給口(55)に圧入される。この中和剤は、反応停止部(57)において液化されたバイオマス物質と混合され、酸触媒を中和してバイオマス物質の液化反応を停止させる。
【0106】
なお、本実施形態では、反応停止剤として液体を使用しているが、固体の反応停止剤を使用することも可能である。この場合、二軸スクリュ式のサイドフィーダ等を用いて停止剤供給口(55)に強制押し込みにより供給するのが良い。
【0107】
また、前記反応停止部(57)は、停止剤供給口(55)と排出口(65)との間に配置されている。この反応停止部(57)に配置されるスクリュー(57A)には混合機能を重視した切り欠きスクリュー等が使用される。
【0108】
また、この第2撹拌処理装置(3)には、バイオマス液化反応中又は液化反応後の中和反応中に生じる水分(水蒸気)が、反応物の移動を乱すことなくスムーズに装置のベント口から放出できるようにするために、シリンダ(47)内の上部に攪拌軸方向にガス移動ができる空間を設けるか、または切り欠きスクリューを使用することが好ましい。
【0109】
なお、本実施形態では、第2装置(3)は通常の単軸押出機としているが、第1装置から送り出された反応物の流動性が不十分で第2装置のスクリューに付着したり共回りしたりする恐れがある場合、第1装置と同様の固定軸を有するスクリューを用いても良い。また、スクリューの形状、圧縮比等も広範囲に変化させることは可能である。更には、2軸以上の多軸押出機又は他の形式の連続処理装置を使用してもよい。更に、本実施形態では、第2装置は、1台の単軸押出機としているが、処理量等に応じて2台以上連接して使用しても良い、この場合、各装置に適宜ベント口を設けて反応中生成する水分等の揮発性物質を放出させるのが良い。
【0110】
また、第2装置(3)と第3装置(5)との間のジャンクション部(10)は、第2装置(3)の端末部に取付けられたアダプタ部(66)と、液化、反応停止されたバイオマス物質が流れる単管部(67)と、反応停止されたバイオマス物質から放出される水分等の揮発性成分を放出するベント口(68)と、第3装置(5)の連接口に取付けられたフィードブロック部(69)とから構成されている。
【0111】
また、第2装置(3)の末端部に取付られたアダプタ(66)に、バイオマス物質の未液化残渣、酸触媒の中和で生成される塩、又は混入された異物等の固形物を取り除くための固形物除去手段(異物除去装置)(70)が取付けられている。異物除去装置(70)は、スライドプレート方式スクリーンやプレート付きフィルター等の公知なものを使用できる。
【0112】
なお、本実施形態では、液化反応工程と反応停止工程は1つの装置(3)により行っているので、異物除去装置(70)が反応停止工程より下流の位置に設けられているが、異物除去装置(70)の設置場所は液化工程の下流以降であれば、ほかの位置に設けられても良い。
【0113】
次に、第3撹拌処理装置(5)の本体71は、端部間が連結される1個の槽型のケーシング(72)と1個の筒状のケーシング(73)と、槽型のケーシング(72)の閉塞を行うエンドプレート(74)と、他方のケーシング(73)と連接する排出口(4)等から構成される。装置(5)の本体内部に1本のスクリュー(撹拌部材)(75)が回転自在に挿入され、さらに、スクリュー(75)は減速機(76)を介して駆動機構(駆動モータ)(77)に連結されている。モータ(77)は、制御盤(78)により回転速度、回転方向及びそれぞれの回転持続時間を制御されている。前記モータ(77)により減速機(76)を介してスクリュー(75)が順回転、逆回転、停止の所定の組合せからなるパターンで回転駆動されるようになされている。
【0114】
前記第3装置(5)には、スクリュー(75)の冷却、あるいは温度調節を行うために冷媒、あるいは熱媒をスクリュー(75)の内部に流し込むためのスクリュ冷却継手部(冷却手段)(79)と、ケーシング(72)(73)を冷却、あるいは温度調節を行うためのジャケット部(冷却手段)(80)(81)と、未反応の過剰液化剤を除去する真空ベント口(82)とがそれぞれ設けられている。前記ジャケット部(80)(81)については、冷却水の通水パイプを内部に持つパイプ鋳込みヒータを使い、冷却と温度調節の両方を行うことが可能である。
【0115】
(83)は、反応停止後のバイオマス物質の反応生成物に含まれる未反応の薬剤や水分を除去する揮発成分除去部(脱揮部)、(84)は、脱揮した液化生成物を冷却あるいは温度調節する冷却部、(85)は、冷却した液化生成物を排出する排出部である。
【0116】
前記揮発成分除去部(脱揮部)(83)には、反応物の脱揮を促進するために反応物の攪拌、表面の更新及び掻き揚げ効果の大きい切り込みスクリュー(83a)及びプレート状羽根(83b)が交互に配置されている。冷却部(84)では、冷却効果を最大限発揮させるため、せん断作用による発熱を防ぐため、せん断作用の少ないフルフライトスクリュー又はプレート状羽根が使用される。
【0117】
なお、脱揮及び冷却効果を向上するために装置内の必要な滞留時間を保ちながらスクリュー(75)の回転速度を高速に設定することが望ましいので、本実施形態ではこれを高速回転のスクリュー(75)を順方向、逆方向の交互回転させることにより実現できるようになっているが、通常この段階ではバイオマスの反応は既に停止しているので、反応物が順序よく搬送される必要がない場合、撹拌能力のみで搬送能力のないあるいは非常に小さいプレート状羽根等の採用により、撹拌部材を通常の単方向連続回転方式で高速回転させる方法を使用してもよい。
【0118】
また、本体(71)の真空ベント口(82)には真空ベント装置(8)のベントポート(86)が取付けられている。このベントポート(86)には真空配管(87)の一端部が連結されている。真空配管(87)の他端部は脱揮物を凝縮させるコンデンサー(88)を経て真空ポンプ(89)に連結されている。そして、この真空ポンプ(89)の駆動にともないベントポート(86)に真空状態が形成され、この真空により、液化されたバイオマス物質中の未反応の薬剤等が除去されるようになされている。
【0119】
なお、本実施形態で、脱揮部のケーシング(72)を攪拌部材の上に空間を有する槽型の構造としているのは、真空により反応物の真空ベント口(82)からの吸引流出を防ぐと共により広い区間から脱揮できるようにするためである。処理する液化物の特性及び脱揮の要求によりケーシング及び攪拌部材の構造を他の方式に適宜変更してもよい。
【0120】
また、第3装置(5)の投入口と連結する単管部(67)に、第3装置(5)にある真空ベントポート(86)に形成される真空により外部空気の脱揮部への吸入を防ぐために電磁弁(90)が設けられ、この電磁弁(90)の上部に液体センサー(91)が設けられ、センサー(91)はコントローラ(92)を通じて電磁弁上部に常時反応物があるように電磁弁(90)の開閉が調節されるようになされている。これにより空気の脱揮部内への混入が防止でき脱揮部の真空度の低下を防止できる。
【0121】
また、第3装置(5)の排出口(4)に、冷却又は温度調節後のバイオマス液化生成物を脱揮部の真空により負圧を克服して強制排出する強制排出手段(装置)(93)が設けられている。この強制排出装置(93)は特に限定されないが、脱揮真空度、排出量、必要揚程等を考慮し選択すればよい。排出安定性及び高粘度物への対応性から、ギアポンプ、ネジポンプ等の回転式の容積ポンプを用いるのが特に好ましい。
【0122】
なお、第3撹拌処理装置(5)で制御投入及び強制排出手段(90)を用いたのは、バイオマスの液化生成物の粘度が低く、かつ第3装置は完全噛みあい2軸押出機等液シール性の高い装置ではなく、液シールのみでは満足出来る脱揮効果と排出効果が得られないからであるが、2軸押出機の使用等液シール及び負圧排出が出来る装置であれば、投入口部の電磁弁及び/又は排出部の強制排出手段を設けなくてもよい。
【0123】
また、本実施形態では、バイオマス物質の液化処理の全過程をその処理の特徴条件に沿って3つの装置に分けて行うようにしているが、処理量及び処理の内容によってはこれらの過程を1ないし2台の装置にまとめて行ってもよいし、4台以上の装置で直列又は一部並列で行ってもよい。例えば並列した2台以上の高速加熱装置から1台の保温液化装置へ、あるいは1台の保温液化装置から並列した2台以上の脱揮冷却装置へ、あるいは2台以上の保温液化装置を直列でつなげる等適宜組み合わせて構成しても良い。
【0124】
次に、本発明の第2実施形態を図7〜9を参照して説明する。図7はこの第2実施形態のバイオマス物質液化物の製造工程概略のフローチャート、図8は第2実施形態の製造装置の全体の概略構成、図9は第2実施形態で使用される液化反応装置の構成図を示すものである。図7に示すように、本実施形態は、バイオマス物質の液化反応途中又は反応完了後に第2のバイオマス物質又は/及び反応試薬を同時又は順次に追加し、より高度なバイオマス物質の液状化製品を製造する方法を提供するものである。従って本第2実施形態は図8に示すようにバイオマス物質の液化工程の途中又は後に第2のバイオマス物質の投入工程及び/又は反応試薬(第2薬剤)の注入工程が設けられた以外は、前記第1実施形態と同様であるので、図8及び図9中、第2のバイオマス物質の投入工程及び/又は反応試薬の注入工程が設けられた装置(94)以外の装置、部位には図2〜図5に示す装置、部位と同じ符号を付す。即ち、本実施形態のバイオマス物質液化物の製造装置には、バイオマス物質、例えば木粉等のリグノセルロース物質を供給する材料供給フィーダ(材料供給部)(1)と、該材料の乾燥、液化薬剤との混合、混合物の反応温度までの加熱を行う第1撹拌処理装置(2)と、該第1装置(2)に対してタンデム型に接続され、第1装置(2)から送られた加熱された反応物を予定した液化反応温度に保温しながらバイオマス物質を所定の程度で液化させ、引き続き修飾変性反応または追加バイオマス投入・液化を行う第2撹拌処理装置(94)と、この第2装置(94)に対してタンデム型に接続され、バイオマス液化生成物に含まれる未反応試薬及び水分等を除去すると共に液化生成物を所定の温度に冷却して取出し口である吐出ノズル(排出口)(4)に吐出する第3撹拌処理装置(5)が設けられている。
【0125】
また、第1撹拌処理装置(2)には溶媒および酸触媒の注入を行う液体注入装置(反応用薬剤注入部)(6)が連結されている。
【0126】
前記第2撹拌処理装置(94)には、バイオマス物質又は固形試薬の供給を行う粉体供給装置(95)と、液体試薬の供給を行う薬剤供給装置(96)と、酸等の反応触媒を中和する物質の供給を行う反応停止装置(反応停止剤注入部)(97)がそれぞれ連結されている。
【0127】
前記第3撹拌処理装置(5)には未反応薬剤(液化剤)を真空吸引する真空ベント装置(8)が連結されている。なお、第1装置(2)と第2装置(94)との間、及び第2装置(94)と第3装置(5)との間はそれぞれジャンクション部(9)(10)を介して連結されている。
【0128】
バイオマス物質の液化及び修飾変性反応を行う第2撹拌処理装置(94)以外は、前記第1実施形態と同様の構成を採用しているので、これらの構成の説明は省略する。
【0129】
以下、図8及び図9を参考しつつ、第2実施形態の製造装置で使用される第2撹拌処理装置(94)の構成等について説明する。
【0130】
第2撹拌処理装置(94)は、シリンダ内部に1本のスクリューが回転自在に挿入された単軸押出機を用いて構成されている。この第2装置(94)には温度調整手段を有するシリンダ(98)の内部に1本のスクリュー(99)が回転自在に挿入されている。スクリュー(99)は減速機(100)を介して駆動機構(駆動モータ)(101)に連結されている。駆動モータ(101)は制御盤(102)により回転速度、回転方向及びそれぞれの回転持続時間を制御されている。そして、このモータ(101)により減速機(100)を介してスクリュー(99)が順回転、逆回転、停止の所定の組合せからなるパターンで回転駆動されるようになされている。
【0131】
また、シリンダ(99)には、減速機(100)との連結端部側(図9中で右側)から順にバイオマス物質の反応混合物が供給される供給口(103)と、バイオマス物質の液化反応中に生成される水分及び他の揮発性物質を放出する第2ベント口(104)と、バイオマス物質等の固形原料が供給される原料供給口(105)と、液化試薬又は変性試薬等の液状の第2薬剤が供給される第2薬剤供給口(106)と、水分等低沸点物質を放出するベント口(107)と、酸等の反応触媒を中和して又は失活させてバイオマス物質の反応を停止させる物質を供給する反応停止剤供給口(108)とがそれぞれ設けられている。
【0132】
更に、バイオマス物質の反応物の温度を所定の温度に調整・保持しながら液化させる液化反応部(109)と、液化途中又は液化後のバイオマス物質と第2のバイオマス物質又は反応試薬(第2薬剤)とを混合する混合部(110)と、混合分散した反応物を反応に必要な所定温度に調節/保持しながら所定の反応を行う後反応部(111)と、バイオマス物質の液化又は変性反応を停止させるための反応停止剤と混合する反応停止部(112)と、反応停止した液化バイオマス物質を押出す押出口(113)が設けられている。
【0133】
更に、スクリュー(99)の液化反応部(109)は、シャフトが細い深溝型で空間率の高い板状フルフライト羽根(109A)によって構成される。バイオマス物質が反応の進行に伴って液状化し、体積も減少するので液化反応部スクリュー(109A)のピッチは段階的に又は徐々に小さくし反応物に圧縮を与えるのが好ましい。液化反応部(109)の圧縮比はバイオマス種及び形態に応じて1から5の間に設定することが好ましい。そして、バイオマス物質はこの液化反応部においてスクリュー(109A)の順回転、逆回転の交互運動により反応物は効果よく攪拌されながら推進せしめることができるようになされている。そしてバイオマス物質は繰り返し圧縮されながら徐々に液化し、スクリューピッチが狭くなるに伴って充満率も高くなるようになっている。しかしベント口付近のスクリューは反応物の溢れ出しを防止するためにピッチを大きくして充満率を下げるのが好ましい。そしてバイオマス物質の液化反応で生じる水分等の低沸点物質は前記第2ベント口(104)から放出されるようになされている。
【0134】
更に、液化反応部(109)の温度は2点以上に分けてそれぞれ独立制御された例えば電気式ヒータ或いは熱媒等の加熱装置(114)(115)が取付けられている。これにより、シリンダ(98)内のバイオマス物質は、所定の液化反応温度で液化されるようになされている。
【0135】
また、シリンダ(98)の反応物供給口(103)には粉体原料投入用ホッパー(116)が設けられ、該ホッパー(116)にバイオマス物質又は固形反応試薬が投入される。バイオマス物質等は定量フィーダなどの粉体供給装置(95)を用いて供給される。
【0136】
前記第2薬剤供給口(106)には、薬剤供給装置(96)の薬剤注入部(117)が連結されている。薬剤供給装置(96)には、液化反応されるバイオマス物質に同種または異種の液化溶媒、または液化バイオマス物質の変性反応用の薬剤タンク(118)が設けられている。このタンク(118)には第2薬剤移送配管(119)の一端部が連結されている。この第2薬剤移送配管(119)の中途部には注入ポンプ(120)と、加熱装置(121)が介設されている。更に、第2薬剤移送配管(119)の他端部は、薬剤注入部(117)に取付けられた注入弁(122)に連結されている。そして、注入ポンプ(120)の駆動時にはタンク(118)内の第2薬剤が第2薬剤移送配管(119)を通して圧送され、圧送途中に加熱装置(121)で所定の温度に加熱された後、注入弁(122)を経由してシリンダ(98)の第2薬剤供給口(106)に圧入されるものとなされている。ここで用いられる第2薬剤は、特に制限がなく、バイオマス物質の液化物の液化度を変えたり、粘度を調整したりする物質、またはバイオマス液化物の分子量を変えたり、相溶性を向上したりするための薬剤等が挙げられる。
【0137】
更に、触媒用タンク(123)が設けられ、このタンク(123)に反応用触媒移送配管(124)の一端部が連結されている。この移送配管(124)の中途部には注入ポンプ(125)が介設されている。更に、触媒移送配管(124)の他端部は、薬剤注入部117に取付けられた注入弁(126)に連結されている、または第2薬剤移送配管(119)の適切な場所に連接し第2薬剤と合流混合してから、注入弁(122)を経由してシリンダ(98)の第2薬剤供給口(106)に圧入されるようになされている。この触媒の種類は特に限定されず、バイオマス物質の液化、グラフト重合、エステル化、エーテル化反応等を促進するもの等が挙げられる。
【0138】
なお、この実施形態では、第2薬剤供給口(106)から供給される触媒の量は反応用薬剤の添加量と比べると非常に少ない場合を例示しているが、触媒の添加量が多い場合においては薬剤と同様に触媒タンクまたは触媒移送経路に加熱装置を設けても良い。また、触媒の移送配管は第2薬剤供給口(106)と連接するのではなく、薬剤加熱装置(121)の入り口部の前に薬剤移送配管(119)に注入して液化剤と合流させ、液化剤と触媒の混合物を加熱装置(121)により加熱させてから第2薬剤供給口(106)に注入する方法を採用してもよい。更には、後反応薬剤供給装置(96)としては触媒と液化剤とをブレンドし、混合液として1台の注入装置で供給してもよい。
【0139】
また、スクリュー(99)の混合部(110)は、シリンダ(98)の粉体原料供給口(105)と第2薬剤供給口(106)との間に配置されている。そして、この混合部(110)は、新しく投入された反応物を迅速に液化バイオマスと均一に分散混合させるために、切り欠きスクリューなど混合・分散機能を有するスクリュー(110A)が設けられている。また、粉体原料及び液状薬剤の投入の空間を確保するために混合部の充満度を下げるようにスクリュー(110A)のピッチはそれより上流部にある(109A)より大きくなるように設計されている。
【0140】
また、混合部(110)よりも下流側にある後反応部(111)はフルフライトスクリューまたは切り欠きスクリューまたはそれらの併用のスクリュー(111A)を配置している。
【0141】
この混合部(110)と後反応部(111)において、液化されたバイオマス物質と所定温度に加熱された後反応用薬剤はスクリュー(110A)によって混合され、そして混合物は引き続き後反応部(111)において所要の反応が行われるようになされている。
【0142】
更に、後反応により生じた水分等の低沸点物質はベント口(107)から放出できるようになされている。
【0143】
また、前記反応停止剤供給口(108)には反応停止装置(97)の液体中和剤注入部(127)が連結されている。反応停止装置(97)にはバイオマス物質の液化反応、変性反応またはグラフト反応等の反応を停止させる反応停止剤、例えば反応触媒を中和するまたは失活させる薬剤のタンク(128)が設けられている。このタンク(128)には反応停止剤移送配管(129)の一端部が連結されている。この移送配管(129)の中途部には注入ポンプ(130)が介設されている。さらに、反応停止剤移送配管(129)の他端部は、液体停止剤注入部(127)に取付けられた注入弁(131)に連結されている。そして、注入ポンプ(130)の駆動時にはタンク(128)内の反応停止剤が反応停止剤移送配管(129)を通して圧送され、注入弁(131)を経由してシリンダ(98)の反応停止剤供給口(108)に圧入されるようになっている。この停止剤は、反応停止部(112)においてバイオマス物質の反応物と混合され、反応触媒を中和してバイオマス物質の反応を停止する。
【0144】
なお、本実施形態では、反応停止剤として液体を使用しているが、固体の反応停止剤を使用することも可能である。その場合は、二軸スクリュ式のサイドフィーダ等を用いて停止剤供給口に強制押し込みにより供給するのが良い。
【0145】
また、スクリュー(99)の反応停止部(112)は、シリンダ(98)の反応停止剤供給口(108)と押出口(113)との間に配置されている。この反応停止部(112)を構成するスクリュー(122A)には混合を行う切り欠きスクリュー等が使用される。
【0146】
更に、スクリュー(99)の押出部スクリュー(113A)は、バイオマス物質の液化物を排出口への搬送を行うフルフライトスクリュー等によって構成される。
【0147】
なお、本実施形態では、第2撹拌処理装置(液化反応装置)(94)は、単軸押出機からなり、そのスクリュー(99)の構成はフルフライトや切り欠きスクリューなど簡単の構造のものを使用しているが、バイオマス物質の反応混合物の流れ性等に応じてスクリューの一部または全部を図3のスクリューの上流部のような固定軸を有するコイルスクリュー又はリボンスクリューにしてもよい。また、スクリューの形状、圧縮比なども広範囲に変化させることは可能である。さらには、2軸以上の多軸押出機又は他の形式の連続処理装置を使用してもよい。
【0148】
また、本実施形態では、液化反応工程と後反応工程は1台の単軸押出機で対応しているが、処理量等に応じて2台以上連接して使用してもよい。その場合は、各装置に適宜ベント口を設けて反応中生成する水分等揮発性物質を放出せるのが良い。
【0149】
また、第2撹拌処理装置(94)の末端出口部にアダプタ部(132)が取付られ、該アダプタ(132)に、バイオマス物質の未液化残渣、触媒の中和に生成される塩、又は混入された異物を取り除くための固形物除去装置(133)が取付けられている。固形物除去装置はスライドプレート方式スクリーンやプレート付きフィルターなど公知なものを使用できる。
【0150】
なお、本実施形態では反応工程と反応停止工程は1つの装置で行っているので固形物除去装置(133)が反応停止工程より下流の位置に設けられているが、固形物除去装置(133)の設置場所は液化工程の下流以降であれば、ほかの位置に設けられてもよい。
【0151】
前記第2撹拌処理装置(液化反応装置)(94)から送り出した液化反応物がジャンクション(10)を経由して第3撹拌処理装置(5)に送られ、脱揮・冷却されてから吐出ノズル(排出口)(4)から液化生成物が排出される。これらの部分の構成と機能は第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0152】
次に、本発明の第3の実施の形態を図10及び図11を参考して説明する。図10は本発明の第3の実施形態の反応装置全体の全体の概略構成を示したが、本実施の形態は、上記第1及び第2の実施の形態のバイオマスの乾燥、加熱、反応試薬の注入との混合、混合物の反応温度への加熱といった工程を一段と合理化し、さらに高速度及び大容量の処理装置を提供することを目的とする。これらの工程は本実施の形態に用いられる第1の装置(高速混合装置)で行われる。本実施の形態において保温反応工程以降の工程を行う第2の装置及び第3の装置の構成お及び作用は上記第1又は第2の実施の形態のと同じであるので、説明に同じ符号を使用する。
【0153】
即ち、本実施の形態のバイオマス物質液化物または誘導体の製造装置にはバイオマス物質、例えば木粉などのリグノセルロース物質を供給する材料供給フィーダ(材料供給部)1と、該材料の乾燥、加熱、反応薬剤との混合を行う第1の装置150と、この第1の装置150に対してタンデム型に接続され、第1の装置150から送られた加熱された反応物を予定した反応温度に保温しながらバイオマス物質を所定の程度に反応させ、場合によっては引き続き第2の修飾変性反応または追加バイオマス投入・液化を行う第2の装置3(94)と、この第2の装置3(94)に対してタンデム型に接続され、バイオマス反応生成物に含まれる過剰な未反応試薬及び水分などを除去すると共に反応生成物を所定の温度に冷却して取出し口である吐出ノズル4側に吐出する第3の装置5とが設けられている。
【0154】
また、第1の装置150には反応試薬および触媒の注入を行う液体注入装置151が連結されている。
【0155】
第2の装置3(94)にはバイオマス物質又は固形試薬の供給を行う粉体供給装置95と、液体試薬の供給を行う薬剤供給装置96と、酸などの反応触媒を中和する物質の供給を行う反応停止装置97がそれぞれ連結されている。
【0156】
また、第3の装置5には未反応の過剰反応試薬を真空吸引する真空ベント装置8が連結されている。なお、第1の装置150と第2の装置3(94)との間、及び第2の装置3(94)と第3の装置5との間はそれぞれジャンクション部9、10を介して連結されている。
【0157】
ここで、バイオマスの乾燥、加熱、反応試薬の注入との混合、混合物の反応温度への加熱を行う第1の装置150以外は第1実施形態または第2実施形態と同様なものを使用することが出来るので説明を省略する。
【0158】
以下、図11を参考して第3実施形態の製造装置で使用される第1の装置150の構成例を説明する。
【0159】
本実施形態の第1の装置150はシリンダ内部に2本のスクリュが回転自在に挿入された2軸混練押出機で構成されている。この装置150は加熱・冷却能力をもつシリンダ152の内部に2本のスクリュ153が回転自在に挿入されている。ここで、スクリュ153は減速機154を介してモータ155に連結されている。モータ155は制御盤156により制御されている。そして、このモータ155により減速機154を介してスクリュ153が回転駆動されるようになっている。
【0160】
また、シリンダ152は減速機154との連結端部側(図11中で右側)から順にバイオマス物質が供給される原料供給口157と、バイオマス物質中に含有されるの水分が蒸発排出されるためのベント口158と、バイオマス物質の液化反応を起こさせるための液化反応用薬剤を供給される液体注入口159とがそれぞれ設けられている。
【0161】
さらに、スクリュ153には、バイオマス物質を搬送しながら予熱する搬送部160と、バイオマス物質中に含まれる水分を蒸発分離し、ベント口158から放出する加熱乾燥部161と、乾燥加熱されたバイオマス物質と液化用薬剤との混合混練を行う混合部162と、バイオマス物質と液化薬剤との混合物を押出す押出部163とがそれぞれ設けられている。
【0162】
ここで、スクリュ153の搬送部160はフルフライト形状のスクリュエレメント160aによって構成され、シリンダ152の原料供給口157と対応する位置に配置されている。
【0163】
また、スクリュ153の加熱乾燥部161はシリンダ152の原料供給口157とベント口158との間に配置されている。そして、このスクリュ153の加熱乾燥部161はフルフライト形状のスクリュエレメント161aと混練用のニーディングブレードを複数個連続して取付けたニーディングディスク161bとによって構成されている。なお、スクリュ153の乾燥部161は、基本的にはフルフライト形状のスクリュエレメント161aによって構成されるが、含水分の蒸発分離を促進し、バイオマス物質を微粉砕して後工程での反応、混練を促進するために、本実施の形態のように混練用のニーディングディスク161bを組合わせて用いてもよい。
【0164】
そして、スクリュ153の搬送部160と加熱乾燥部161とによって材料供給フィーダ1から供給されたバイオマス物質を粉砕しながら搬送する粉砕搬送部164が構成されている。
【0165】
さらに、シリンダ152には原料供給口157とベント口158との間に例えば電気式ヒータあるいは熱媒等の加熱装置165が取付けられている。そして、シリンダ152内のバイオマス物質は、加熱乾燥部161において、シリンダ152に取付けられた加熱装置165により加熱され、含水分を蒸発分離し、分離された水分がベント口158から水蒸気として放出されるようになっている。その同時に木粉は反応温度の付近に加熱されている。
【0166】
また、シリンダ152の液体注入口159には薬剤加熱供給装置151の液体注入部(反応用薬剤注入部)166が連結されている。ここで、薬剤加熱供給装置151には加熱乾燥部161で乾燥・加熱されたバイオマス物質の液化又は誘導体化反応を起こさせるための反応用薬剤用のタンク167と、触媒用のタンク168とが設けられている。さらに、薬剤用のタンク167には薬剤移送配管169の一端部が連結されている。この薬剤移送配管169の中途部には薬剤用の注入ポンプ170と、この薬剤用注入ポンプ170の下流には移送中の薬剤を所定の温度に加熱するための薬剤加熱装置171とが介設されている。なお、薬剤移送配管169の他端部は薬剤用の注入弁171に連結されている。
【0167】
また、薬剤用タンク167にはタンク内の薬剤を攪拌するためにタンクに設置された攪拌装置173と、薬剤用タンク内の液化剤を所定の温度に加熱するための液化剤加熱装置174とが設けられている。
【0168】
また、触媒用のタンク168には触媒移送配管175の一端部が連結されている。この触媒移送配管175の中途部には触媒用の注入ポンプ176が介設されている。さらに、触媒移送配管175の他端部は液体注入部166に取付けられる触媒用の注入弁177に連結されている。
【0169】
そして、薬剤用タンク内の薬剤を攪拌装置173の攪拌下で薬剤加熱装置174により薬剤を一定の温度に加熱保持されながら、注入ポンプ170の駆動にともない予備加熱された薬剤が薬剤移送配管169を通して圧送されながら、薬剤加熱装置171によりさらに所定の温度まで加熱され、注入弁172を経由して液体注入部166に圧入されるとともに、同様に注入ポンプ176の駆動にともない触媒用のタンク168内に収容されている触媒が触媒移送配管175を通して圧送され、注入弁177を経由して液体注入部166に圧入されてバイオマス物質の液化又は誘導体化反応を起こさせるようになっている。
【0170】
なお、薬剤用タンク167内の薬剤の温度は薬剤の熱劣化が起こらない程度及び注入ポンプの耐熱性、耐腐食性等の因子を考慮して設定してよい。薬剤移送経路に設置された薬剤加熱装置171の温度設定は、薬剤及び触媒を混合部162に注入され、バイオマス物質と均一に混合した後の混合物の温度はバイオマスの液化又は誘導体化反応に所要の温度になるように設定すればよい。なお、薬剤加熱装置171又は174の能力は十分であればどちらか一つのみ設けることであってもよい。
【0171】
また、一層温度制御の精度を高めるために、第1の装置150の排出口に温度測定装置178を設け、検出される反応混合物の温度により出力コントローラ179から加熱装置171の出力を調節して薬剤の加熱温度を最適化することができる。
【0172】
注入ポンプ170、176としては、反応度合いの変動を極小化するため、そして押出特性の安定化を図るために定量性の良いポンプを使う方が良い。
【0173】
なお、本実施の形態では触媒の添加量は反応試薬(薬剤)の添加量と比べると非常に少ない場合を例示しているが、触媒の添加量は多い場合においては薬剤と同様に触媒タンク及び触媒移送経路に加熱装置を設けることも出来る。また、触媒の移送配管は液体注入部166と連接するではなく、薬剤加熱装置171の入り口部の前に薬剤移送配管169に注入して薬剤と合流させ、薬剤と触媒の混合物を加熱装置171により加熱させてから混合部162に注入する方法を用いてもよい。さらには、液体注入装置151としては触媒と反応試薬とをブレンドし、混合液として一台の注入装置で供給してもよい。
【0174】
また、スクリュ153の混合部162はシリンダ152の液体注入口159と混合物押出部163との間に配置されている。そして、この混合部162の上流側の部分には、ニーディングディスク部162aが設けられている。ここで、ニーディングディスク部162aの上流部分にはバイオマス物質の更なる微粉砕を行い、かつシリンダ152の液体注入口159から注入された反応試薬および触媒の原料供給口157への逆流を防止するために、スクリュ溝内部の原料充満率が高くなるようにニーディングブレードを複数個連続して取付けた第1のニーディングディスク162a1 が配設されている。
【0175】
さらに、このニーディングディスク部162aの下流部分にはスクリュ溝内部の原料充満率が低くなるようにニーディングブレードを複数個連続して取付けた第2のニーディングディスク162a2が配設されている。この第2のニーディングディスク162a2の部分は、シリンダ152の液体注入口159と対応する位置に配置されている。そして、薬剤注入ポンプ170および触媒注入ポンプ176から、反応試薬移送配管169および触媒移送配管175、さらに反応試薬用注入弁172および触媒用注入弁177を経由して圧送されてきた所定の温度に加熱された反応試薬および触媒がこの第2のニーディングディスク162a2 の部分に注入されるようになっている。
【0176】
また、混合部162におけるニーディングディスク部162aよりも下流側の部分にはフルフライトスクリュ162bとニーディングブレードを複数個連続して取付けたニーディングディスク162cとを配置している。そしてこの混合部162によってバイオマス物質と反応用薬剤とを高速で混合する高速混合部180が形成されている。
【0177】
なお、本実施の形態では混合部162において搬送能力は強いが混練能力が低いフルフライトスクリュ162bによってニーディングディスク162aとニーディングディスク部162cを分割することは、高速混合部180の処理能力を高めると共に、バイオマス物質反応物がニーディングディスクの強いせん断作用等により温度上昇を起こし、制御精度を損なったり高温下での架橋反応を引き起こしたりすることを防ぐためである。
【0178】
そして、この高速混合部180において、加熱されたバイオマス物質と所定温度に加熱された反応用薬剤はニーディングディスク162a2、162bによって混合と温度均一化させ、そして液化又は誘導体化反応温度下で軟化・反応し始まるバイオマス物質はニーディングブレード162cの混練粉砕作用によりさらに微粉砕されると共に反応用薬剤と均一な混合物を形成されるようになっている。
【0179】
さらに、スクリュ152の押出部163は、バイオマス物質と反応薬剤との混合物を速やかに次の装置へ搬送するために、搬送のみを行うフルフライトスクリュ163aによって構成される。
【0180】
また、第1の装置150と第2の装置3との間のジャンクション部9は押出部163の端末部に取付けられるアダプタ部181と、混合されたバイオマス反応物が流れる保温管部182と、バイオマス物質の反応による生成される水分など揮発性成分を放出するベント口183とから構成され、次の保温反応装置3の投入口へと流れ込むようになっている。
【0181】
なお、本実施例においては、高速でバイオマス及び反応試薬との混合物を所定反応温度に調整するために、バイオマス物質の十分な乾燥及び反応薬剤及びバイオマス物質の予備加熱は重要である。従ってバイオマス物質が多くの水分が含有する場合、バイオマス原料投入装置1に加熱乾燥機能を取り付けるか、または別工程でバイオマス物質を予め乾燥することが好ましい。バイオマス物質の乾燥方法及び装置は特に限定されるものではなく、従来公知な方法及び装置を使用すればよい。
【0182】
なお、本発明において、バイオマス物質は、何らかの技術により人間が有効に利用できるエネルギーや、有機原料に変換可能な生命体を基にした有機物質全てを指す。本発明において、対象となるバイオマス物質は特に限定されるものではないが、例えば、樹木、竹、ケナフなどのリグノセルロース物質、米、麦、大豆、トウモロコシ、砂糖などの食品・糖類物質、あるいは米ぬか、オカラ、ふすま、酒粕、ビール粕、コーヒー粕など食品、糖類物質の製造過程で不要となる物質等が挙げられる。
【0183】
前記リグノセルロース物質は、リグニン、セルロースおよびへミセルロースを三大主成分とするものである。代表的な物質として、例えば、木粉、木材繊維、木材チップ、単板クズなどの木材や竹を粉砕した物、藁、もみ殻、バガス、ケナフなどの植物繊維素、グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、古紙などの紙・パルプ類等が挙げられる。上記木材や竹の種類としては、特に限定されず、例えばマカンバ、シトカスプルース、スギ、アカマツ、ポプラ、ラワン、ヒノキ等が挙げられる。
【0184】
前記食品としては、米、小麦、トウモロコシ等の穀類やジャガイモ、サツマイモ等の芋類が挙げられる。糖類物質としては、澱粉等の多糖類物質、あるいは砂糖、ブドウ糖等が挙げられる。さらに、これら糖類物質や食品を製造する際に不要物として処理される漉し殻(コーヒーやビール等)、外皮等が挙げられる。その他にも、工業製品としてのセルロースアセテート、カルボキシメチルセルロース、各種変性デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテルなどのバイオマス物質の誘導体、変性物等が挙げられる。
【0185】
また、使用するバイオマス物質の粒度も特に限定はされないが、生産性を考慮すると粒度の小さいものを用いるのが好ましい。
【0186】
前記バイオマス物質は、例えば、酸触媒の存在下に、フェノール類、アルコール類および環状エステル類など水酸基又は潜在的に水酸基を有する化合物、またはオキシエーテル類、環状エーテル類、炭酸アルキレン類、およびケトン類から選択される一種または二種以上の物質(液化剤)と反応することにより液化される。
【0187】
前記フェノール類としては、特に限定されるものではないが、例えばフェノール、アルキルフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾシノール、アクリルレゾシノール、ビスフェノールA等が挙げられる。中でも、バイオマス物質との反応性が高いフェノール、レゾシノール、ビスフェノールAが好適に用いられる。
【0188】
また、アルコール類としては、特に限定されるものではないが、例えばペンタノール、ヘキサノール、デカノールなどの脂肪族1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ぺンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレングリコール等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビドール、マンニトール、スークロース等、あるいはこれらを出発物質とするポリカプロラクトンを一部に含むポリエーテルポリオール等の三官能以上の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、安価で工業的に入手し易いグリセリンとポリエチレングリコールの混液等が好適に用いられる。
【0189】
前記環状エステル類としては、特に限定されるものではないが、開環反応して重合し得る物が好適であり、例えばプロピオラクトン、β−ブチロラクトン、α,α‘−ビスクロロメチルプロピオラクトン、α,α’−ジメチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、グリコリド、トリメチルカーボネート、ネオペンチルカーボネート、エチレンオキサレート、プロピオンオキサレート、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトン、γ−メチル−ε−カプロラクトン、4−メチル−7−イソプロピル−ε−カプロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε−カプロラクトン、シス−ジサリシリド、トリサリシリド、ラクチド等が挙げられる。これらの中でも、安価で工業的に入手しやすくバイオマス物質を液化させ易いε−カプロラクトンが好適に用いられる。
【0190】
他にも特に限定されるものではないが、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなど炭酸アルキレン類、炭素数が4個以上を有する脂肪族有機酸類、乳酸などのヒドロキシ酸類などが挙げられる。前記液化剤の使用量は、特に限定されるものではないが、バイオマス物質の乾燥重量100部に対して5〜1000重量部の範囲で使用するのが好ましい。5重量部未満では、バイオマス物質に対して目的の液化、改質効果が得られがたいので好ましくないし、1000重量部を超えると生成物としての用途には支障がないがバイオマスの利用という視点からは好ましくない。
【0191】
また、前記酸触媒としては、特に限定されず、例えば無機酸、有機酸、ルイス酸等が挙げられ、具体的には硫酸、燐酸、塩酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、3フッ化ホウ素等が好適に用いられる。
【0192】
前記酸触媒の使用量は特に限定されるものではないが、液化剤に対して0.1wt%から20wt%の範囲で使用されることが好ましい。また液化反応温度は、バイオマス種、液化溶媒・触媒種により異なるが、90℃〜190℃の範囲が好ましい。反応温度が90℃以下になると反応速度が低く必要反応時間が長いので能率的に不利である。190℃以上になると高温により副反応が起こり品質の劣化が起こるとともに反応制御が困難となる。
【0193】
さらに、バイオマス物質は、無機酸、有機酸類、高級脂肪酸類、多塩基酸又はその無水物、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、アルデヒド類、ビニルモノマーなどから選択される一種または二種以上の物質及び必要に応じては反応触媒と反応することにより、誘導体化、グラフト重合、各種の修飾・変性等が行われる。
【0194】
誘導体化等の反応の温度は、バイオマス種及び反応試薬の種類により異なるが、50℃から250℃の範囲が好ましい。本発明の反応装置は攪拌混練効果が優れているので、反応の高速化のために反応試薬の沸点などを考慮した上でより高温での反応が可能である。
【0195】
次に、上記構成の作用について説明する。まずは本発明の第1実施形態について説明する。第1実施の形態のバイオマス物質液化物の製造装置の使用時には容量式、あるいは重量式の材料供給フィーダ(材料供給部)(1)によってバイオマス物質、例えば木粉等のリグノセルロース物質が、第1装置(2)の原料供給口(17)から第1装置(2)のシリンダ(11)の内部に投入される(バイオマス物質の供給工程)。
【0196】
シリンダ(11)の内部に配置されているスクリュー(12)は、駆動モータ(15)により順回転、逆回転、停止の所定の組合せからなるパターンで回転駆動する。
【0197】
投入されたバイオマス物質又はその反応物はスクリュー(12)の繰り返し回転により推進せしめられ、シリンダ(11)の供給口(17)付近から排出口(42)付近まで平均移動速度Vで移動する。なお、バイオマス物質は通常かさ比重が低く熱伝導性が悪いので、反応速度及び処理能率を高めるために高いスクリュ回転速度の設定が好ましい。
【0198】
ここで、前記式[6]によりバイオマス物質の反応物のシリンダ(11)内の滞留時間とスクリュの回転速度との関係は、スクリュー(12)の順回転、逆回転の回転時間を調整することにより完全に切り離れることが出来るので、これらの条件を組み合わせることにより如何なるバイオマス物質の反応においても対応できるようになっている。
【0199】
そして投入されたバイオマス物質は、スクリュー(12)の上述した作用により、シリンダ(11)の予熱搬送部(20)内のスクリュー(12C)により攪拌されながら前方に輸送され、加熱乾燥部(21)に到達する(予熱搬送工程)。
【0200】
加熱乾燥部(21)において、バイオマス物質は、シリンダ(11)に取付けられた電気式ヒータ、あるいは熱媒等の加熱装置(32A)により加熱される。これにより、バイオマス物質の含水分が蒸発分離し、分離された水分が第1ベント口(18)から水蒸気として加熱装置の外部に放出される(乾燥工程)。
【0201】
加熱乾燥部(21)を通過したバイオマス物質は、混合部(22)に到達し、反応用薬剤注入口(19)から注入される反応用薬剤(液化剤)および酸触媒と混合される。(反応用薬剤注入工程)。
【0202】
そして、注入された液化剤、酸触媒及びバイオマス物質は、混合部(22)で迅速に分散混合される(混合工程)。なお、この混合部においては液化薬剤とバイオマス物質との混合はまだ十分ではないので、不均一な反応の防止のために混合部の温度は液化反応に必要な温度より低温に設定されている。
【0203】
また、前記供給口(17)から混合部(22)までのスクリュー(12C)は中空固定軸(13)を有するコイル状羽根であるので、バイオマス物質等はスクリューの表面を介しての押出し力により推進せしめられ、その際に、シリンダ(11)や、中空固定軸(13)が固定されているので、これらとの間において、バイオマス物質が攪拌部材(スクリュー)(12)へ付着したり共回りをしたりすることがなく、搬送性の悪いバイオマス物質に対してもスムーズに攪拌・搬送することができる。また、スクリュー(12)が順回転、逆回転の交互運動を繰り返して行うので、バイオマス物質等の被処理物が任意な回転速度で攪拌されることが可能となり、また、順・逆回転間の衝撃力も加味して通常の定常回転方向式スクリューより著しく大きな攪拌効果が得られるので、バイオマス物質等反応物の乾燥、混合、加熱は高速・高能率で行うことができる。
【0204】
そして、均一に分散、混合されたバイオマス及び液化薬剤の混合物は高速加熱部(23)に送られる。高速加熱部(23)は均一に混合されたバイオマス反応物を迅速にバイオマスの予定液化反応温度に加熱するために、熱伝導面積が大きく攪拌効果の大きい浅溝型の切り欠きスクリュー(12B)が設けられ、バイオマス反応物をシリンダ(11)に取り付けた加熱装置(32C)により高速で所定液化反応温度まで加熱する(加熱工程)。また、バイオマス反応物は温度上昇に伴って軟化・液化し、体積も減少するので高速加熱部スクリュー(12B)のピッチ又は溝深は段階的に又は徐々に小さくし反応物に圧縮を与えるようにしている。
【0205】
そして、バイオマス物質はこの高速加熱部(23)においてスクリュー(12B)の順回転、逆回転の交互運動により効果よく攪拌されながら推進せしめられるものとなされている。バイオマス物質は繰り返し圧縮されることにより空気が追い出されるとともに効果的に加熱され、迅速に予定液化反応温度になるようになっている。
【0206】
更に、高速加熱部(23)の下流にある第1装置(2)の排出口(42)から排出されるバイオマス反応物の温度を測定する測温抵抗体がアダプタ(43)に設けられ、PID制御温度コントローラ等により、反応物の温度が設定温度になるように加熱装置(32C)の出力が調整される。
【0207】
前記高速加熱部(23)において液化反応温度に加熱されたバイオマス物質の反応物は、押出し部(24)のスクリューにより第1装置(2)から押出し、ジャンクション部(9)の保温管部(44)を経由して第2装置(3)に移送される。液化の進行に伴って放出される水分等の低沸点物質はベント口(45)から放出される。
【0208】
しかして、投入されたバイオマス物質の反応混合物は第2装置(3)の液化反応部(56)のスクリュー(56A)により攪拌・推進せしめながら液化される(液化反応工程)。ここで、スクリュー(48)は、シャフトが細い深溝型で空間率の高い板状フルフライト羽根(56A)によって構成されているので、より大量の処理が出来る。また、この液化反応部スクリュー(56A)のピッチは押出し方向へ段階的に又は徐々に小さくなっているので、空気層を多く含んでいるバイオマス反応物に圧縮を与え、空気層の排除を行うことができる。
【0209】
シリンダ(47)内のバイオマス物質の反応物の温度及び成分の均一性を保持すると共に、攪拌のせん断力及び圧縮力により粒子状のバイオマス物質を潰して一層液化反応の均一性と速度を高めるために、スクリュ回転速度を高速にするのが好ましい。スクリュー(48)の回転パターンを順回転/逆回転を交互に行うことにより、スクリュー(48)の回転速度を理論上任意に設定することができる。そしてバイオマス物質は繰り返し圧縮されながら徐々に液化し、スクリュピッチが狭くなるに伴って充満率も高くなるようになっている。
【0210】
バイオマス物質から追い出された空気や液化反応で生じた水分等の低沸点物質は第2ベント口(53)(54)から放出される。
【0211】
前記液化反応部(56)において液化されたバイオマス物質は、反応停止部(57)に送り込まれる。ここで、反応停止剤供給口(55)から反応停止剤が注入され、液化反応物中の酸性触媒成分を中和して反応を停止させる(液化停止工程)。
【0212】
前記反応が停止されたバイオマスの液化生成物は、押出部(58)の押出しスクリューにより、固形物除去装置(固形物除去手段)(70)を通過して第2装置(3)から排出される。固形物除去装置では、バイオマス材料中の異物や、サイズが特に大きくて所定の液化反応時間内で液化しきれなかった残渣等が除去される。
【0213】
そして液化生成物はジャンクション部(10)の単管部(67)から電磁弁(90)を経由して第3装置(5)に流れ込む。電磁弁(90)の上部に液体センサー(91)が取り付けられており、電磁弁(90)が単管部(67)に液化物が存在するときしか開放しないようになっているので、単管部(67)から第3装置(5)への空気の侵入が防止される。
【0214】
前記第3装置(5)に流れ込んだ液化バイオマス物質中には、中和で生成された水分、液化反応で副生成物として生成された水分又は他の低沸点物質、さらには未反応の余剰液化剤が含まれている。これらの物質を製品中から除去する必要がある場合、これらの物質は、揮発成分除去部に設けられた脱揮部(83)によって除去される(揮発成分除去工程)。
【0215】
この脱揮部(83)においては、第3装置(5)の真空ベント口(82)に取り付けられたベントポート(86)により真空状態が形成される。この真空により、液化されたバイオマス物質中の揮発性成分等が除去される。この場合、脱揮部(83)のケーシング(72)の設定温度は、脱揮効果(揮発成分除去効果)を促進するために比較的高温に設定される。
【0216】
脱揮された液化生成物は、冷却部(84)に送り込まれる。この冷却部(84)ではジャケット部(81)に冷却水、あるいは熱媒を流して円筒型ケーシング(73)の冷却、あるいは温度調節が行われる。
【0217】
また、脱揮、冷却用の第3装置(5)により必要な温度まで冷却されたバイオマス物質の液化物は、第3装置(5)の先端に取り付けられたノズル(排出口)(4)から最終的な液化物として吐出される。なお、冷却部スクリュー(84a)の排出力は、装置内に形成された真空に対抗して液化生成物を排出できない場合、ポンプ等の強制排出装置(93)を取り付けるのが望ましい。
【0218】
次に、本発明の第2実施形態の作用について説明する(図7、図8)。本発明の第2実施形態の構成の作用については、材料供給工程、予熱搬送工程、混合工程、高速加熱工程といった工程を行う第1装置(2)が、前記第1実施形態と同様の構成からなるので、その説明は省略する。
【0219】
即ち、前記第1実施形態と同様に、バイオマス物質の反応物が高速加熱部(23)で反応温度まで加熱されてから第1装置(2)から排出される。
【0220】
しかして、上記反応物は本実施形態の第2装置(94)(図8参照)の反応物供給口(103)に流れ込み、液化反応部(109)においてスクリュー(99)の順回転、逆回転の繰り返し運転により攪拌・推進せしめながら液化される(液化反応工程)。ここで、スクリュー(99)は、シャフトが細い深溝型で空間率の高い板状フルフライト羽根(109A)によって構成されているので、より大量の処理が出来る。また、液化反応部スクリュー(109A)のピッチは、押出し方向へ段階的に又は徐々に小さくなっているので、空気層を多く含まれているバイオマス反応物に圧縮を与え、バイオマスの液化反応を促進しながら空気層を排除できる。そして、空気及び液化反応中に生成された水分及び他の揮発性物質が、第2ベント口(104)から放出される。
【0221】
そして、液化されたバイオマス物質に対して、第2のバイオマス物質等固形原料が原料供給口(105)から供給され、混合部(110)において混合部スクリュー(110A)によって分散混合される。この第2のバイオマス物質は、引き続いて後反応部(111)において液化される。液化中に生成された水分等低沸点物質はベント口(107)から放出される(第2の液化反応工程)。
【0222】
また、第2のバイオマス物質を投入するかどうかに関わらず、第2薬剤供給口(106)から液化剤、反応触媒、修飾試薬等の第2薬剤を1種又は2種以上注入する。注入された第2薬剤は、混合部(110)において反応物と均一に混合され、引き続いて後反応部(111)において液化バイオマス物質と反応せしめられる(変性、修飾等の第2の反応工程)。
【0223】
また、上記第2のバイオマス物質の液化または第2薬剤との反応が完了した後、反応停止剤供給口(108)から反応停止剤が注入され、反応物中の触媒成分を中和して反応を停止させる(液化停止工程)。
【0224】
反応が停止されたバイオマスの液化生成物は、押出口(113)の押出しスクリュー(113A)により、固形物除去装置(133)を通して第2装置(94)から排出される。固形物除去装置(133)では、バイオマス材料中の異物、サイズが特に大きくて所定液化反応時間内で液化しきれなかった残渣等が除去される。
【0225】
また、第2装置(94)のシリンダ(98)内のバイオマス物質の反応物の分散、混合、反応、反応停止などの工程を高速化しかつ反応の均一性を保持するために、スクリュ回転速度は高速に設定するのが好ましい。スクリュー(99)の回転パターンを順回転/逆回転を交互に行うことにより、スクリュー(99)の回転速度は理論上任意に設定することが出来る。
【0226】
反応停止されたバイオマス物質の反応生成物は、第2装置(94)からジャンクション(10)を経由して揮発成分除去部(8)に送られ、脱揮冷却してから吐出ノズル(排出口)(4)から液化生成物が排出される。これらの部分の構成と作用は前記第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0227】
次に、本発明の第3実施形態の構成の作用について説明する(図10、図11)。本発明の第3実施形態の構成の作用については、バイオマス物質と反応試薬を高速混合し、所定反応温度になった後、保温反応工程、第2の試薬原料投入工程、第2の反応工程、反応停止工程、未反の成分除去工程、真空脱揮工程、冷却排出工程といった工程を行う第2の装置3(94)及び第3の装置5が上記第1または第2実施形態のと同様であるので説明を省略する。
【0228】
本第3実施形態のバイオマス物質液化物または誘導体の製造装置の使用時には容量式、あるいは重量式の材料供給フィーダ1によってバイオマス物質、例えば少量の水分(10%前後まで)を含有する木粉等のリグノセルロース物質が、第1の装置150の原料供給口157から第1の装置150のシリンダ152の内部に投入される(バイオマス物質の供給工程)。
【0229】
投入されたバイオマス物質は、シリンダ152内のフルフライト形状のスクリュエレメント160aによって構成されるスクリュ153の搬送部160により前方に輸送され、加熱乾燥部161に到達する。
【0230】
さらに、加熱乾燥部161において、バイオマス物質は、混練用のニーディングディスク161bおよびフルフライト形状のスクリュエレメント161aによって順次前方に輸送される。このとき、バイオマス物質は、シリンダ152に取付けられた電気式ヒータ、あるいは熱媒等の加熱装置165により加熱される。これにより、バイオマス物質の含水分が蒸発分離し、分離された水分がベント口158から水蒸気としてシリンダ152の外部に放出される。
【0231】
さらに、加熱乾燥部161を通るバイオマス物質はニーディングディスク161bによって微粉砕されて含水分の蒸発分離が促進されるとともに、後工程に搬送される(粉砕搬送工程)。
【0232】
また、加熱乾燥部161を通過したバイオマス物質は、高温に加熱されるとともに、混練部162に到達する。このとき、混練部162に流入されたバイオマス物質はニーディングディスク部162aにおける上流部分の第1のニーディングディスク162a1 を経て第2のニーディングディスク162a2 側に搬送される。ここで、第1のニーディングディスク162a1 はスクリュ溝内部の原料充満率が高く、第2のニーディングディスク162a2 はスクリュ溝内部の原料充満率が低くなるように設定されているので、バイオマス物質が第1のニーディングディスク162a1 を通る際に更に微粉砕される。
【0233】
さらに、第2の装置150の運転中、液体注入装置151からシリンダ152の液体注入口159に所定の温度に加熱された反応試薬および触媒が供給される(反応用薬剤注入工程)。このとき、反応試薬および触媒は第2のニーディングディスク162a2 の部分に注入される。
【0234】
そして、注入された反応試薬および触媒とバイオマス物質とは、第2のニーディングディスク162a2 の部分で混練される。このとき、液体注入された溶剤および触媒が原料供給口157側へ逆流することが、スクリュ溝内部の原料充満率が高くなる第1のニーディングディスク162a1 によって防止される。
【0235】
また、第2のニーディングディスク162a2 の部分で混練された反応試薬および触媒とバイオマス物質との混合物は続いてスクリュ溝内部の原料充填率が低くなるニーディングディスク部162aの下流側に押出される。そして、混練された反応試薬および触媒とバイオマス物質との混合物は続いて、混練部162の下流側部分のニーディングディスク162bとフルフライトスクリュ162cによりさらに均一化される(混合工程)。
【0236】
このとき、注入された反応試薬は所定の温度に加熱されているので、それとバイオマス物質との混合により、混合物の温度は瞬時に所定の反応温度付近に到達することができ。
【0237】
また、混合物の温度を一層正確に制御するためには、混合物排出口に取り付けれれている温度センサー178から検知される排出物の温度信号を反応試薬加熱装置171へフィードバックしそれにより加熱装置の出力を制御することにより、排出物の温度を所定反応温度に正確に制御することができる。
【0238】
そして排出されたバイオマス反応物はジャンクション部9を経由して第2の装置へ流れ込み。以降の工程及び作用は第1及び第2の実施の形態と同じであので、説明を省略する。
【0239】
【実施例】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。本発明の第1実施形態のバイオマス物質液化物の製造装置を用いてバイオマス物質の液化を行った。ここで、バイオマス物質としては、オガクズ、OA古紙、小麦ふすま、米ぬか、トウモロコシ種皮、トウモロコシデンプン、セルロースジアセテート(CDA)を用いた。これらのバイオマス物質の含水率は下表1に示す。
【0240】
【表1】
Figure 0004297664
【0241】
バイオマスの液化溶媒(反応用薬剤)としては、多価アルコール系溶媒3種類及びフェノール系溶媒1種類を用いた(表2参照)。また、バイオマスの誘導体化試薬としてはエステル化試薬のε−カプロラクトンを用いた(表2参照)。溶媒にバイオマス種に応じて触媒として硫酸を溶媒重量の2〜5wt%を添加した。すなわち、液化剤は溶媒と酸触媒の混合液として、高速混合部に注入した。また、誘導体化試薬は、ε−カプロラクトンとオクタン酸第1錫触媒との混合物として混合部に注入した。反応停止剤としては、液化の場合は33wt%水酸化ナトリウム水溶液を使用し、誘導体化の場合には特に反応停止を行わなかった。
【0242】
【表2】
Figure 0004297664
【0243】
図12は、本実施の形態のバイオマス物質液化物または誘導体の製造装置の実験機全体の概略構成を示すものである。ここでは、バイオマス物質の反応物の混合、加熱のための第1の装置201としては、シリンダは内径100mm、長さ3000mm、スクリュ回転は順回転/逆回転/停止の自動制御機能を有する単軸押出し装置を、バイオマス物質の液化又は誘導体化、反応停止を行うための第2の装置202として、シリンダ内径100mm、長さ2800mm、スクリュ回転は順回転/逆回転/停止の自動制御機能を有する単軸押出し装置を、また液化又は誘導体化反応終了後の反応生成物を脱揮、冷却用の第3の装置203として、内径200mm、長さ3000mmの槽型単軸処理装置をそれぞれ使用し、液化/誘導体化反応、反応停止用の第2の装置202を混合、加熱用の第1の装置201にタンデム型に接続した。また、脱揮、冷却用の第3の装置203を反応用の第2の装置202にタンデム型に接続した。ただし、各装置の排出口でサンプリングするために第1の装置201のジャンクション部204から第2の装置202の接続口205へ直接流し込む開放系とし、第2の装置202のジャンクション部206にはガス抜き及びサンプリング用のベント口207を設けた。なお、第1の装置201及び第2の装置202のスクリュの順回転/逆回転/停止の動作の切り替え及び各動作持続時間は制御盤にタイマーを組んだスクリュ駆動モーターの電流相位制御回路により自動制御した。なお、本実施の形態においてスクリュの順回転から逆回転、又はその逆の逆回転から順回転の切り替えのときの停止時間はすべて0.6秒にした。
【0244】
また、バイオマス材料用の材料供給フィーダ208には重量式2軸スクリュフィーダを使用し、反応試薬と触媒の混合液はモーノポンプ209、反応停止剤である中和液の注入には三連式のプランジャポンプ210、および第3の装置203から反応生成物の排出はギヤーポンプ211を使用した。なお、図12中で、212は反応試薬の混合液の注入装置、213は反応停止剤の中和液の注入装置、214は第2の装置202から送り出された反応生成物を第3の装置203へ流れ込む流量を制御し空気の第3の装置203への吸入を防止するためのバルブである。
【0245】
さらに、乾燥、混練、高速加熱用の第1の装置201のシリンダには、基部からジャンクション部204に向かって原料供給口215、ベント口216、液体注入口217が設けられている。液化/誘導体化、反応停止用の第2の装置202のシリンダには、基部からジャンクション部206に向かって原料供給口218、ベント口219、220、停止剤供給口221が設けられている。さらに、脱揮、冷却用の第3の装置203のケーシングには、基部から排出口222に向かって原料供給口223、真空ベント口224が設けられている。真空ベント口224には真空ポンプ225と、コンデンサ226とを備えた脱揮装置227が連結されている。
【0246】
さらに、反応試薬と触媒の混合液の注入装置212の注入ポンプ209及び第1の装置201の液体注入口217の間に注入される混合液を連続加熱する電気式加熱装置228が設置されている。
【0247】
第1の装置201の構成は図3(a)に示された概略構成とほぼ同様である。シリンダの内部に回転自在に挿入された攪拌スクリュは、有効長3000mm、外径97mm、スクリュの上流部の2000mmまでは外径54.5mmの中空固定軸が内挿され、中空固定軸の外周に亘って線径20mmのコイルスクリュが設けられ、このコイルスクリュはそれより下流部にあるフルフライトスクリュ部と固着し、フルフライトスクリュは中空固定軸の中心部を挿通した中心駆動軸より駆動されているように構成されている。また、高速加熱部はシャフト径90mmの浅溝型の切り欠けスクリュが設けられている。また、シリンダは5ゾーンに分けて電気式ヒーターにより温度調節されている。
【0248】
なお、固定軸を有するコイル状スクリュの作用を比較するために、固定軸を有しない長さ3000mm、外径97mm、投入部、乾燥部、分散混合部シャフト56mm、高速加熱部シャフト90mmのフルフライトスクリュをも使用された(図13)。
【0249】
また、本実施例で反応薬剤は常温で液体である場合、薬剤タンクの加熱は行わず、常温で注入した。常温で固体であるフェノールを液化剤として用いる場合、薬剤タンクにヒーターを入れて反応薬剤を50℃に加熱保温しながら注入した。それ以上の温度に反応薬剤を加熱してから注入する場合は、注入ポンプ209と液体注入口217の間に設けられているヒーターユニット228(10kw)により加熱しながら注入することにした。
【0250】
また、第2の装置202の構成は図4に示された概略構成とほぼ同様である。シリンダの内部に回転自在に挿入された攪拌スクリュは、有効長2750mm、外径98mm、シャフト径45mmの高空間率板状スクリュで構成されている。また、シリンダは熱媒ジャケットにより温度調節されている。
【0251】
また、脱揮、冷却用の第3の装置203の構成は図5に示された概略構成とほぼ同様である。槽式ケーシング部(脱揮部)は長さ2000mm、槽底部半円形部直径200mm、槽高さ400mm、円筒部(冷却部)は長さ500mm、内径200mm、槽内に回転自在に挿入された攪拌スクリュは、有効長2450mm、外径200mm、シャフト径100mmで構成されている。また、脱揮部及び冷却部のケーシングにそれぞれ熱媒ジャケットが設けられて熱媒油または水で温度調節する。
【0252】
実施例にはバイオマス物質の反応物の乾燥、混合及び加熱用の第1の装置201、加熱されたバイオマスの反応物を保温液化/誘導体化、反応停止を行う第2の装置202、および反応物の脱揮、冷却を行う第3の装置203のそれぞれの作用を評価するために、各装置の排出口から排出される処理物を独立に評価した。バイオマス物質の反応物の乾燥、混合及び加熱用の第1の装置201の評価は、バイオマス原料、投入・搬送・乾燥・反応試薬等との混合・加熱・排出各工程は順調であるか、排出口204から排出される反応物は均一に混合・処理されているか、その温度は後続の液化/誘導体化装置202での液化又は誘導体化反応に要求される反応温度に達成しているかなどである。その結果を、実施例1−1から実施例1−36、比較例1−1から比較例1−17に示す。混合・加熱されたバイオマスの反応物を保温液化/誘導体化、反応停止を行う第2の装置202の評価は、反応、反応停止各工程は順調であるか、排出反応生成物の外観は均一であるか、バイオマス物質の液化又は誘導体化は十分であるか、反応停止(中和)工程は十分かつ均一に行われているか(pH)などである。その結果を、実施例2−1から実施例2−20、比較例2−1から比較例2−7に示す。反応物の脱揮、冷却を行う第3の装置203の評価は、水分、未反応試薬の除去は十分であるか、冷却は十分であるかである。その結果を、実施例3−1から実施例3−16、比較例3−1から比較例3−5に示す。ここで、バイオマス物質の液化物における液化度は
液化度(%)=(仕込みバイオマス重量(g)−残渣重量(g))/仕込みバイオマス重量(g)×100である。
なお、残渣量はバイオマス液化生成物を50倍量のジオキサン/水(8/2)混合液中に十分攪拌溶解後、1μパスのガラスフィルタでろ過し残留物を乾燥秤量して未液化残渣とした。
【0253】
反応生成物中の水分または未反応試薬量は、反応生成物全体重量に対しての重量パーセントとした。測定方法としてはそれぞれカールフィッシャー水分計及び高速液相クロマトグラフィ(HPLC)を用いた。
【0254】
まずは、第1の装置の作用に関する実施例を以下に説明する。
(実施例1−1(液化))第1装置の加熱乾燥部の温度を180℃に設定し、分散・混合部の温度を160℃に設定した。重量式フィーダ208より含水量15%の木粉を35.29kg/hの速度で投入口25から投入した。木粉乾燥ベースで溶媒/木粉比が1.5になるようにモーノポンプからPEG400/グリセリン/硫酸=70/30/3の混合液化剤を45kg/hの速度で液体注入口217に注入した。高速加熱部の温度を200℃に設定し、スクリュの回転速度は120rpmであったが、順回転4秒→停止0.6秒→逆回転2.5秒→停止0.6秒といったサイクルで繰り返し運転した。バイオマス反応物の反応装置内で順/逆回転で由来する間歇排出による滞留時間の偏差の最大値≦N (Ts+Tr) (Tf−Tr)/(30p(Tf+Tr+2Ts) =3.9%である。
ここで、
Ts:スクリュの順方向と逆方向(又はその逆)の自軸回転の切り替え時の停止時間
Tf:スクリュの順方向の自軸回転時間
Tr:スクリュの逆方向の自軸回転時間
p:スクリュの撹拌羽根のピッチ数
N:スクリュの自軸回転速度
したがって、上記順/逆回転設定は十分な処理均一性が得られることである。この実験では、木粉に含まれている水分は水蒸気として順調にベント口216から放出された。木粉の装置内での滞留時間は約3.5分であったが、排出口から流動性のよい均一なペースト状物が排出された。排出物の温度は166℃であり、木粉液化反応温度に適した。排出物は順調にジャンクション204から第2の装置202の投入口218に流れ込んだ。
【0255】
(実施例1−2(液化)):高速加熱部温度を220℃に設定した以外はすべて実施例1−1と同様の条件であった。第1の装置201の出口における反応物の温度178℃であり、木材の液化に適した温度であった。排出物の安定性、流れ性も良好であった。排出物は容易に第2の装置202の原料投入口218に流れ込んだ。
【0256】
(実施例1−3(液化)):高速加熱部温度を180℃に設定した以外はすべて実施例1−1と同様の条件であった。第1の装置201の出口における反応物の温度155℃であり、排出物は泥状で流れ性が十分ではないが、均一であった。
以上実施例1−1から実施例1-3の結果は、高速加熱段の温度を変えることで容易に反応物の排出温度を制御できることを示した。
【0257】
(実施例1−4、実施例1−5(液化)):スクリュの回転速度をそれぞれ140rpm、160rpmにした以外はすべて実施例1−1と同様の条件であった。ただ、反応物が装置201内での滞留時間を実施例1−1と同様に3.5分とするために、逆回転時間はそれぞれ140rpmの場合には2.7秒、160rpmの場合には2.8秒にした。各工程がすべて順調に進み、装置201の出口における反応物の温度がそれぞれ170℃、174℃であり、予定の液化反応温度であった。排出物の安定性、流れ性も良好であった。
この2つの実験は、実施例1−1と比べると滞留時間は同じであるが排出される反応物の温度は実施例1−1よりそれぞれ4℃、8℃高かった。表3に示したように、木粉投入してから排出されるまでの滞留期間中にスクリュにより回転攪拌される回数(周数)は、120rpmの場合の355回に対して、140rpmの場合は416回、160rpmの場合は476回であった。したがって、同様な滞留時間であっても、スクリュ回転速度が高ければ高いほど、攪拌が良くなる。
【0258】
(実施例1−6、実施例1−7(液化)):スクリュの順回転/逆回転の回転時間をそれぞれ6秒/3.9秒と8秒/5.2秒に変えた以外はすべて実施例1−1と同様の条件であった。バイオマスの滞留時間は同じ3.5分であり、スクリュ回転数も同じ120rpmであった。各工程が順調で排出口における反応物の温度はそれぞれ168℃、169℃であり、液化反応に適した温度であった。排出物は流れ性が良好であり、容易に第2の装置202の原料投入口218に流れ込んだ。
表3に示したように、この2つの実験は順回転/逆回転両方の時間を長くしたことにより実質的攪拌回数が増加した。これによりバイオマス反応物への熱の伝わりが良くなりより高い温度を達成できた。
【0259】
(実施例1−8、実施例1−9(液化)):スクリュ逆回転の回転時間を延長して反応物の滞留時間を延長した以外はすべて実施例1−1と同様の条件であった。すなわち、スクリュの逆回転時間を実施例1−1の2.5秒からそれぞれ2.8、3.0秒に延長することにより、スクリュの回転速度が120rpmを保ちながら滞留時間はそれぞれ4.5分、5.6分と延長した。その結果、排出口におけるバイオマス反応物の温度は155℃から176℃、181℃とそれぞれ高めることができた。排出物は流れ性が良好であり、容易に第2の装置202の原料投入口218に流れ込んだ。
以上の実施例から、高速加熱部温度、スクリュ回転数、順回転/逆回転時間といったパラメーターを変えることにより、バイオマス反応物の攪拌状況、処理時間を自由自在に設定し、容易にバイオマス反応物を予定所要な状態まで加熱することができることを示した。
【0260】
(実施例1−10、実施例1−11(液化)):実施例1−2より溶媒投入量を変更して溶媒/木粉比をそれぞれ1.2、2にした以外は、実施例1−2と全く同様な条件であった。2つの実験とも液比1.5の場合と同様に順調であり、排出口204における排出物の温度はそれぞれ174℃と178℃であり、液化反応に適した温度であった。溶媒/木粉比が1.2の場合、出口204から排出される反応物は少し流れ性が低かったが、スムーズに第2の装置に流れ込むことができた。
【0261】
(実施例1−12(液化)):バイオマス物質は木粉の代わりにデンプンを使用した。溶媒/デンプン比が1.2とした。他の条件は実施例1−1と同様であった。投入、搬送、乾燥、混合、加熱各工程とも順調であり、ジャンクション204から流れ性良好な混合物が排出された。排出口における混合物の温度は167℃であり、デンプンの液化反応に適する温度であった。
【0262】
(実施例1−13(液化)):バイオマス物質としてOA古紙を使用した。溶媒組成はPEG400/グリセリン/硫酸=70/30/5、古紙投入量は25kg/h、溶媒投入量は50kg/hであった。装置構成及各部温度、スクリュ回転状態の設定は実施例1−11と同様であった。
古紙の投入、搬送、乾燥、溶媒との混合、加熱とも順調であり、排出口204から良好な流れ性を有する混合物が得られた。排出口における反応物の温度は177℃であり、古紙の液化反応温度に適していた。
【0263】
(実施例1−14、実施例1−15、実施例1-16(液化)):バイオマス物質はOA古紙の代わりにトウモロコシ種皮、小麦ふすま、米ぬかをそれぞれ使用した以外は、実施例1−13と同様であった。3種類のバイオマス物質とも投入、乾燥、混合、加熱各工程とも順調であり、排出物の流れ性は多少悪かったが、第2の装置202の原料投入口218に流れ込むことができた。排出物の温度はそれぞれ173℃、175℃、175℃でありこれらのバイオマス物質の液化反応に適した温度であった。
以上の結果から、本発明は多種なバイオマス廃棄物に容易に対応できることが分かる。
【0264】
(実施例1−17(液化)):液化剤の温度をヒーター228により150℃に加熱しながら注入した。木粉投入量が47.1kg/h、液化剤投入量が48kg/hであった。高速加熱部温度を190℃にした。スクリュの逆回転時間を2.3秒にした。他の条件は実施例1−10と同様であった。本実施例で液化剤を予備加熱してから注入されるので、装置201内での加熱工程を大幅に短縮したため、高速加熱部の温度を190℃と低めに設定するとともに装置内での滞留時間も前実施例の3.5分から3.0分に短縮した。各処理が順調であり、液化剤/木粉比が1.2と低いにも関わらず、均一かつ流動性のよい混合物を得た。排出物の温度は173℃で液化反応に適した。
【0265】
(実施例1−18(液化)):液化剤/木粉比を1.5とし、総投入量を107kg/hにした以外は、実施例1−17と同じ条件であった。液化剤が150℃に加熱してから注入したので、総投入量が107kg/hと高いにもかかわらず、各工程は順調で排出物の温度は174℃で流れ性の良いペースト状であった。
【0266】
(実施例1−19(液化)):実施例1−18より総投入量をさらに127.1kg/hに増大した(液化剤/木粉比2)。高速加熱部の温度を200℃にした。他の条件は実施例1−17と同様であった。各工程は順調で排出物の温度は172℃で流れ性の良いうすいペースト状であった。
実施例1−17から1−19の結果より、反応試薬の予備加熱により第1の処理装置の能率及び安定性を大幅に向上できることを示した。
【0267】
(実施例1−20(液化)):液化溶媒はPEG400/グリセリンの混合系の代わりにPEG600の単一溶媒を使用した。溶媒に対して硫酸触媒量が3%であった。溶媒/木粉比は2で総投入量は79.4kg/hであった。他の条件は実施例1−1と同様であった。PEG600は前記の混合系溶媒より粘度は多少高かったが、各工程とも順調であり、流れ性良好なペースト状物が排出され、排出口204における混合物の温度は170℃であり、木材の液化反応に適した温度であった。
【0268】
(実施例1−21(液化)):液化溶媒はPEG600の代わりにε―カプロラクトン/グリセリン/硫酸=70/30/2の混合物を使用した。他の条件はすべて実施例1−20と同様であった。各工程は順調であり流れ性の良いペースト状反応物が得られ排出口204におけるバイオマス反応混合物の温度は171℃で液化に適している温度であった。
【0269】
(実施例1−22(液化)):液化溶媒はフェノールを使用した。硫酸触媒量はフェノールに対して2wt%であった。フェノール/木粉比は2とした。フェノールは室温で固体であるので溶媒タンクにヒーターを入れて50℃に加熱・保温しながら投入した。装置条件としては、加熱乾燥部は上述多価アルコール類溶媒の場合と同様に180℃に設定した。しかしフェノールは高温では揮発性が大きいので、分散混合部及び高速加熱部とも多価アルコール液化の場合より低い温度設定をした。すなわち、分散混合部は150℃、高速加熱部は170℃であった。一方、スクリュの逆回転時間を3.2秒にしてバイオマスの装置内での滞留時間を7.2分にした。
各工程は順調であり出口204から排出される反応物は良好な流れ性があり、容易に第2の装置202へ流れ込んだ。このような条件でフェノールの反応中の揮散を有効に抑えるとともに、効果的な攪拌及び十分の処理時間を確保できたので、良好な液化状態及び適切な温度を有する反応物が得られた。排出口における反応物の温度は156℃であり、木粉のフェノール液化に適した温度であった。
【0270】
(実施例1−23(液化)):原材料投入量は実施例1−22より50%増加し、他の条件は実施例1−22と同様であった。処理工程は前実施例と同様に順調であり、反応物の排出口における温度は154℃であった。原料投入量が50%増加したにも関わらず、反応物の温度は2℃しか差がなかったので、良好な処理安定性を示した。
【0271】
(実施例1−24(液化)):フェノール/木粉比を3にした以外は、実施例1−22と同様な条件であった。処理工程は前実施例と同様に順調であり、反応物の排出口における温度は158℃であった。反応物の排出温度は実施例1−22より高かったのは、フェノール/木粉比が高くなったため熱伝導率が向上し加熱効果がよくなったからと考えられる。
【0272】
(実施例1−25(液化)):フェノール/木粉比を0.5にし、木粉投入量は25kg/h、高速加熱部温度を180℃に設定した以外は、実施例1−22と同様な条件であった。フェノール/木粉比は0.5と低いので、処理装置内での反応物の状態は処理中に殆ど粉状であった。加熱を促進するために高速加熱部の温度を180℃に設定した。排出物は粉粘土状で流動性が悪かったが、均一性が良好で温度も154℃で木粉の液化反応温度範囲にあった。
【0273】
(実施例1−26(液化)):実施例1−25よりさらにフェノール/木粉比を0.2に低減した。液化溶媒が少なく木粉全体の浸潤は困難であるので、分散前の不均一反応を防ぐために分散混合部温度を140℃に低く設定した。他の条件は実施例1−25と同様であった。排出物は均一性良好な黒褐色粉状で、温度は152℃で木粉のフェノール液化反応温度範囲であった。
【0274】
(実施例1−27(誘導体化)):本実施例はデンプンのエステル誘導体化を目的とした。第1の装置201の加熱乾燥部の温度を180℃に設定し、分散・混合部の温度を150℃に設定した。重量式フィーダ208より含水量13%のデンプンを23.5kg/hの速度で投入口25から投入した。デンプン乾燥ベースでエステル化剤/デンプン比が1.5になるようにモーノポンプからε−カプロラクトン/オクタン酸第1錫=100/1の混合誘導体化剤を30kg/hの速度で液体注入口217に注入した。高速加熱部の温度を220℃に設定し、スクリュの回転速度は120rpmであったが、順回転4秒→停止0.6秒→逆回転3秒→停止0.6秒といったサイクルで繰り返し運転した。バイオマス物質の装置内での滞留時間は5.6分であった。
この実験では、デンプンに含まれている水分は水蒸気としてベント口216から放出された。乾燥されたデンプンは分散混合部で触媒を含んだカプロラクトンと混合しながら予備加熱してから、高速加熱部で所要のエステル化温度に加熱される。排出口ジャンクション204から流動性のよい均一なペースト状物が排出された。排出物の温度は186℃であり、高速にエステル化反応が行い得る温度であった。排出物は順調にジャンクション204から第2の装置202の投入口218に流れ込んだ。
【0275】
(実施例1−28(誘導体化)):エステル化剤/デンプンの重量比を2にした以外は実施例1−27の条件と全く同様であった。各処理工程が順調で排出口ジャンクション204からうすいペースト状の混合物が排出され、混合物の温度は188℃であった。
【0276】
(実施例1−29(誘導体化)):エステル化反応の均一性を一層向上するために、エステル化剤はカプロラクトン/ジメチルスルホキシド(DMSO)/オクタン酸第1錫=100/50/1の混合物にした。混合液/デンプンの重量比を1.5にした。装置の条件は実施例1−27と全く同様であった。各処理工程が順調で排出口ジャンクション204からペースト状の混合物が排出され、混合物の温度は188℃であった。
【0277】
(実施例1−30(誘導体化)):デンプンの代わりにセルロースジアセテート(CDA)を用いた。エステル化試薬としてε−カプロラクトン/オクタン酸第1錫=100/1の混合液を用いた。エステル化試薬/CDAの重量比を1にした。他の条件は実施例1−27と全く同様であった。各処理工程が順調で排出口ジャンクション204からペースト状の混合物が排出され、混合物の温度は185℃であった。
【0278】
(比較例1−1(液化)):実施例1−1と全く同様な装置を用い、装置各部の加熱温度、木粉、液化溶媒投入量も実施例1−1と同じであった。しかしスクリュの順回転/逆回転の交互運転をやめ、回転方向を順回転のみの連続運転にした。反応物が装置201内での滞留時間を実施例1−1と同様に3.5分になるように、スクリュ回転速度を23rpmに設定した。
この実験で木粉の投入及び反応物の装置201内での搬送は順調であったが、排出口204における排出物の温度は141℃で実施例1−1より25℃も低かった。この温度は木材の高速液化反応に不十分であった。また、排出物の外観は黒、赤の2色の非均一な粉/泥状であった。反応混合物の均一化及び予備液化反応は進んでないので流動性もなかった。
この実験は、反応物の装置内での滞留時間は実施例1−1と同じ3.5分であるが、排出されるまでにスクリュにより攪拌される回数(回転数)は実施例1−1の355回転に対し、80.5回転しかなかった。その結果、反応物に熱が十分伝わってないし、加熱の均一性も悪かった。
【0279】
(比較例1−2、比較例1−3(液化))高速加熱部温度をそれぞれ220℃、240℃に設定した以外は比較例1−1と全く同様な条件であった。木粉の投入及び反応物の装置201内での搬送は順調であったが、排出口204における排出物の温度はそれぞれ148℃、151℃であった。排出物の外観は黒、赤の2色の非均一粉/泥状であり、流動性に欠け第2の装置へ流れ込むことができなかった。
この実験は、高速加熱部の温度を高く設定することで被処理物の温度を高めることができたが、回転速度が23rpmと低く反応物の攪拌が不十分であるので、反応物に熱を均一に伝えることができず、処理均一性の悪い反応物となった。
【0280】
(比較例1−4〜比較例1−6(液化))スクリュ回転速度をそれぞれ60rpm、90rpm、120rpmに設定した以外は比較例1−1と全く同様な条件であった。すべての実験は木粉の投入及び反応物の装置201内での搬送は順調であったが、排出口204における排出物の温度はそれぞれ124℃、106℃、104℃と低かった。排出物の外観は赤黒色均一な粉状で、流れ性がなかった。
この実験は、スクリュ回転速度を増大することで攪拌効果の改善を図った。その結果、排出物の均一性が良くなっているが(2色が見えない)、排出物の温度は逆に比較例1−1より低下した。それはスクリュ回転速度の増大により反応物の装置201内での滞留時間が減少した結果である。すなわち、回転速度が23rpmから60rpm、90rpm、120rpmとそれぞれ増大すると、滞留時間は3.5分から1.4分、0.9分、0.7分とそれぞれ減少した。また、表4から知られるように、スクリュ回転速度を増大させても、反応物が排出されるまでに受けた回転攪拌の回数は殆ど変わらなかったので、攪拌速度が高くなった分処理の均一性は向上するが処理時間が短くなったので処理が不十分となった。以上のこの結果から、スクリュ順回転のみでは攪拌効果と滞留時間を両立することは不可能であることを示した。
【0281】
(比較例1−7(液化)):加熱乾燥部温度を100℃に設定した以外は、実施例1−2と全く同様な条件であった。木粉の投入は順調であるがベント口216から水蒸気の揮散が少なかった。排出口204から反応物が蒸気とともに不安定に噴出し、排出物の温度は167℃であった。この温度は加熱乾燥部を180℃に設定した実施例1−2より11℃も低かった。
【0282】
(比較例1−8(液化)):第1の装置210のベント口216に盲栓を取り付けた。すなわち、木粉中に含有される水分の除去は行わない以外は、実施例1−2と全く同様な条件であった。水蒸気は投入口215へ逆流し、蒸気及び木粉の舞い上がりにより木粉の投入は防がれ、安定な投入ができなかった。排出口204からも反応物が蒸気とともに不安定に噴出し、排出物の温度は169℃であった。この温度はベント口210が開放した実施例1−2より9℃も低かった。
以上の実験は、バイオマス物質が含有する水分を加熱乾燥部で乾燥除去することが重要であることを示した。高速加熱部に水分が多量に存在するとそれの蒸発により反応物の温度を低下させるだけでなく、蒸気の装置外への噴出により反応物は不均一移動となり処理・排出の均一性を大きく損なうこととなる。
【0283】
(比較例1−9(液化)):スクリュの順回転/逆回転の回転時間を30秒/20秒に変えた以外はすべて実施例1−1と同様の条件であった。滞留時間は同じ3.5分であり、スクリュ回転数も同じ120rpmであった。各工程が順調であったが、排出された反応物は粗い木粉粒子が混在するような不均一なものであった。排出物の温度は169℃で実施例1−1よりも高く、木材の液化反応に適する温度であるが、流れ性が実施例1−1より悪かった。
この実験は、順回転/逆回転のそれぞれの持続時間を大幅に増大したので、木粉の装置内での平均滞留時間は3.5分であるが、1サイクル当たりに投入される木粉の処理装置内の移動距離は装置の全長の70%にも達するので、一部の木粉の実際の滞留時間は2分程度であった。即ち、反応物の装置内での滞留時間の偏差は、≦N (Ts+Tr) (Tf−Tr)/(30p(Tf+Tr+2Ts) =20%であった。
したがって、このような長いサイクル時間の設定は処理の均一性には不利である。
【0284】
(比較例1−10(液化)):液化剤の温度をヒーター228により150℃に加熱しながら注入した。高速加熱部の温度を200℃に設定した。他の条件は比較例1−6と同様であった。すなわち、スクリュは120rpm順回転のみであった。液化剤を加熱してから注入したので、比較例1−6の加熱不十分の問題を解決し、排出物の温度は163℃と液化に適した温度になったが、蒸気が排出口から噴出し反応物の排出は不安定であるし排出物の外観も2色で液化剤との混合が不十分であることを示した。
【0285】
(比較例1−11(液化))液化剤の温度をヒーター228により150℃に加熱しながら注入した。高速加熱部の温度を200℃に設定した。他の条件は比較例1−1と同様であった。すなわち、スクリュは23rpm順回転のみであった。液化剤を加熱してから注入したので、比較例1−1の加熱不十分の問題を解決し、さらに滞留時間も比較例1−10より長かったので、排出物の温度は169℃とより液化に適した温度になった。しかし、比較例1−10と同様に、蒸気が排出口から噴出し反応物の排出は不安定であるし排出物の外観も2色で液化剤との混合が不十分であることを示した。
【0286】
(比較例1−12(液化)):比較例1−10、比較例1−11での蒸気噴出は反応物中の水分は完全に除去されてないのは原因と考えられるので、木粉を予め乾燥してから使用した。他の条件は比較例1−11と同様であった。その結果、蒸気の噴出は大きく低減し、排出物の温度も175℃とさらに高くなった。しかし排出物は赤、黒2色のペースト状物で、順回転/逆回転のスクリュ回転条件のものと比べると、混合・加熱処理の均一性が悪かった。
以上の結果から、液化試薬を予め加熱してから注入する方法は、加熱工程を短縮又は省略することは可能であるが、液化試薬とバイオマス物質との高速かつ効果的な混合は一層重要となることを示した。
【0287】
(比較例1−13(誘導体化)):実施例1−27と全く同様な装置を用い、装置各部の加熱温度、デンプン、誘導体化試薬投入量も実施例1−27と同じであった。しかしスクリュの順回転/逆回転の交互運転をやめ、回転方向を順回転のみの連続運転にした。反応物が装置201内での滞留時間を実施例1−27と同様に5.5分になるように、スクリュ回転速度を15rpmに設定した。
この実験でデンプンの投入及び反応物の装置201内での搬送は順調であったが、排出口204における排出物の温度は164℃で実施例1−1より22℃も低かった。この温度は連続処理装置で高速誘導体化反応に不十分であった。また、排出物は不均一なペースト状で攪拌不十分に由来の塊があった。
以上の実施例は固定軸を有するスクリュ(図3)を使用したものであった。付着性が低くスクリュへの付着や共回りがしないバイオマス物質反応物又はその工程に対しては、より簡単で安価な固定軸を有しないスクリュ(図13)を使用してもよい。以下のその実施例を示す。
【0288】
(実施例1−31(液化)):装置構成は固定軸を有しないスクリュ(図13)を使用した以外は実施例1−1と同様であった。液化溶媒はPEG400/グリセリン混合溶媒系で溶媒/木粉比は1.5でした。各部の温度設定は実施例1−1と同様であった。しかし実施例1−1のスクリュより攪拌混練能力が低いので、同様な処理安定性と加熱効果を得るために原料投入量を66.9kg/hに減少し、処理時間を4.5分に延長した。その結果、処理は安定で出口における排出物の温度は168℃であり、良好な結果が得られた。
【0289】
(実施例1−32(液化)):バイオマス物質は木粉の代わりにデンプンを使用した以外の条件は、実施例1−31と同様であった。実施例1−14の結果と比べると処理時間は1分間延長したが、結果は良好であった。
【0290】
(実施例1−33(液化)):スクリュは固定軸を有しないものを使用し、処理時間は8.3分に延長した以外は、実施例1−21でのフェノール液化と同様な条件で実験を行った。反応物が順調に混合・加熱され、排出口における温度は154℃であり、木材のフェノール液化に適する条件であった。
【0291】
(実施例1−34(液化)):液化剤の温度をヒーター228により150℃に加熱しながら注入した。木粉投入量が35.3kg/h、液化剤投入量が60kg/hで、総投入量が95.3kg/hであった。高速加熱部温度を190℃にした。スクリュの逆回転時間を2.5秒にした。他の条件は実施例1−31と同様であった。各処理が順調であり、均一かつ流動性のよい混合物を得た。排出物の温度は174℃と液化反応に適した。
この実験は液化剤を予備加熱してから注入したので、溶媒注入してから液化温度までに加熱する過程に良く起こるスクリュへの付着や共回りが解消でき、上記固定軸を有するスクリュと同様な処理能力と処理安定性を示した。
【0292】
(実施例1−35(液化)):バイオマス物質は木粉の代わりに古紙を使用し、スクリュ逆回転時間を2.8秒にした以外は実施例1−30と同様な条件であった。各処理が順調であり、均一かつ流動性のよい混合物を得た。排出物の温度は177℃で古紙の液化反応に適した。
【0293】
(実施例1−36(液化)):液化剤のフェノールの温度をヒーター228により140℃に加熱しながら注入した。木粉投入量が23.5kg/h、液化剤投入量が40kg/hで、総投入量が63.5kg/hであった。高速加熱部温度を165℃にした。スクリュの逆回転時間を2.5秒にした。他の条件は実施例1−33と同様であった。各処理が順調であり、均一かつ流動性のよい混合物を得た。排出物の温度は155℃と木材のフェノール液化反応に適した。
【0294】
(比較例1−14(液化)):液化剤の予備加熱をしない、高速加熱部温度を220℃に設定し、スクリュ逆回転時間は2.8秒した以外の条件は、実施例1−34と同様であった。反応物はスクリュに付着して共回りをしたりして、バイオマスの投入及び処理物の排出とも不安定であった。排出物の温度も170℃から180℃の間大きく変動していた。
この実験は、実施例1−31と同様に液化剤の加熱がなかったが、投入量が多いのでバイオマス反応物がスクリュへの付着がしやすくなり、被処理物の安定な搬送ができないことを示した。しかし、実施例1-11及び実施例1−34は本比較例と同様な原料投入量をしたが、処理は順調であった。これは実施例1−11が固定軸有するスクリュを用い、実施例1−34は反応試薬を予備加熱したので、本比較例の条件より被処理物のスクリュへの付着や共回りの発生が大きく低減できるので、大きな投入量をしても安定な処理ができる。
【0295】
(比較例1−15(液化)):フェノールの加熱温度は50℃とし、高速加熱部温度170℃、スクリュ逆回転時間3.3秒にした以外は、実施例1−36と同様な条件であった。反応物はスクリュに付着して共回りをしたりして、バイオマスの投入及び処理物の排出とも不安定であった。排出物の温度も135℃から150℃の間大きく変動していた。
この実験は、実施例1−33と同様に液化剤の加熱がなかったが、投入量が多いのでバイオマス反応物がスクリュへの付着がしやすくなり、被処理物の安定な搬送ができないことを示した。しかし、実施例1−36は本比較例と同様な原料投入量をしたが、処理は順調であった。これは、実施例1−36は反応試薬を予備加熱したので、本比較例の条件より被処理物のスクリュへの付着や共回りの発生が大きく低減できるので、大きな投入量をしても安定な処理ができる。
【0296】
(比較例1−16、比較例1−17(液化)):バイオマス物質を木粉の代わりにそれぞれ古紙、トウモロコシ種皮にし、総投入量を76.6kg/hにした以外は、比較例1−14と同様な条件であった。投入量が比較例1−14より低いものの、古紙及びトウモロコシ種皮の形状はシート状で付着性が強いので、比較例1−14と同じように、反応物はスクリュに付着し投入及び排出とも不安定であった。排出物の温度及び状態はばらつきが大きく均一な混合物ではなかった。
【0297】
次に、上記実施例及び比較例の条件で第1の装置201で乾燥、混合、加熱処理された反応物をジャンクション部204から第2の装置202の原料供給口218に投入され、第2の装置202で液化反応及び液化反応後の反応停止工程を行い、第2の装置202から排出される液化生成物をベント口207からサンプリングし、評価した。その結果を表9〜11に示した実施例2−1から実施例2−20、比較例2−1から比較例2−7に示す。
【0298】
(実施例2−1(液化)):上記実施例1−1の条件で第1の装置201から排出され、温度166℃の反応混合物を第2の装置202の原料供給口218に投入された。第1の装置での処理中に水分の揮発により被処理物の重量が初期投入量より減少するので第2の装置の投入口218に投入された反応物の量は初期投入量より少ないが参考のために初期投入量の値を表した。スクリュの回転条件は、回転数120rpm、順回転6秒→停止0.6秒→逆回転0.6秒→停止0.6秒といったサイクルで繰り返す連続運転をした。この条件により被処理物の第2の装置内での滞留時間は8.8分であり、投入してから排出されるまで被処理物が受けた攪拌(回転)の回数は952回転であった。
バイオマス反応物の反応装置202内でスクリュの順/逆回転に由来する間歇排出による滞留時間の偏差の最大値≦N (Ts+Tr) (Tf−Tr)/(30p(Tf+Tr+2Ts) =2.7%である。したがって、上記順/逆回転設定は十分な処理均一性が得られることとなる。また、保温反応部の温度は175℃に設定し、反応停止部温度も同じ175℃に設定した。
この結果、反応物が順調に第2の装置202の原料供給口218へ投入することができ、スクリュの順/逆回転の繰り返し回転により攪拌しながら排出口206の方向へと移動させ、液化反応中に生じた水分等低沸点物はベント口219、220から放出された。それて液体注入口221から理論中和量の水酸化ナトリウム水溶液を注入し、液化反応を停止させて液化生成物はジャンクション206から第3の装置203へと流れ込んだ。
この実験で、第2の装置202の排出口から排出される液化生成物は良好な液状であり、排出口における液化生成物の温度は166℃、木材の液化度は92%であった。pHは6-7であり、水分量は3.9%であった。この結果から、第2の装置において木材は十分に液化され、中和も十分に行っていることを示した。水分は液化中に生成された水分及び中和に生成された水分を含んでいる。
【0299】
(実施例2−2(液化)):スクリュの逆回転時間を4.5秒に、反応物の第2の装置内での滞留時間を5.6分と短縮した以外は、実施例2−1の条件と全く同じである。処理は順調であり、排出物の温度は166℃と実施例2−1と同じであるが、滞留時間は短くなったので木粉の液化度は86%であった。それにしても十分良好な液化生成物であった。
【0300】
(実施例2−3(液化)):スクリュの回転数を150rpmにし、逆回転時間を5秒に、滞留時間を7分にした以外は、実施例2−1の条件と全く同じである。処理は順調であり、排出物の温度は167℃とほぼ実施例2−1と同じであるが、滞留時間は短くなったので木粉の液化度は88%であった。十分良好な液化生成物であった。
【0301】
(実施例2−4(液化)):第1の装置の処理は実施例1−2の条件を用いた。即ち、第2の装置に投入される反応混合物の温度は178℃であった。他の条件は、実施例2−1と全く同じであった。処理は順調であり、排出物の温度は170℃と実施例2−1より4℃高く、木粉の液化度は96%と一段良好となった。中和は同様に問題がなかったが、温度が高くなったので水分量は実施例2−1より低かった。
【0302】
(実施例2−5(液化)):第1の装置の処理は実施例1−10の条件を用いた。即ち、液化剤/木粉比が1.2で、第2の装置に投入される反応混合物の温度は174℃であった。他の条件は、実施例2−1と全く同じであった。投入される反応物は多少粘度が高かったが、処理は順調であり、排出物の温度は169℃であり、木粉の液化度は92%と良好な結果を示した。
【0303】
(実施例2−6(液化)):第1の装置の処理は実施例1−11の条件を用いた。即ち、液化剤/木粉比が2で、第2の装置に投入される反応混合物の温度は178℃であった。他の条件は、実施例2−1と全く同じであった。処理は順調で、排出物の温度は171℃であり、木粉の液化度は98%とほぼ完全であった。
【0304】
(実施例2−7(液化)):第1の装置の処理は実施例1−12の条件を用いた。即ち、木粉の代わりにデンプンを使用し、液化剤/デンプン比が1.2で、第2の装置に投入される反応混合物の温度は164℃であった。デンプンは木粉より液化しやすいので、第2の装置202の条件としては、保温反応部及び反応停止部とも170℃にした。スクリュの逆回転時間は4.5秒にして滞留時間を5.6分とした。他の条件は、実施例2−1と全く同じであった。処理は順調で、排出物の温度は165℃であり、未液化残渣はなかった。
【0305】
(実施例2−8(液化)):第1の装置の処理は実施例1−13の条件を用いた。即ち、木粉の代わりにOA古紙を使用し、液化剤/古紙比が2で、第2の装置に投入される反応混合物の温度は177℃であった。OA古紙は木粉より液化しにくいので、第2の装置202の条件としては、保温反応部及び反応停止部とも180℃にした。他の条件は、実施例2−1と全く同じであった。処理は順調で、排出物の温度は173℃であり古紙の液化度は88%であった。OA古紙に充填剤などを含有していることを考慮しこの液化度の値はほぼ液化が完了したと考えられる。
【0306】
(実施例2−9(液化)):第1の装置の処理は実施例1−14の条件を用いた。即ち、木粉の代わりにトウモロコシの種皮を使用し、液化剤/種皮比が2で、第2の装置に投入される反応混合物の温度は173℃であった。他の条件は、実施例2−8と全く同じであった。処理は順調で、排出物の温度は173℃でありトウモロコシの種皮の液化度は86%であった。
【0307】
(実施例2−10、実施例2−11(液化)):第1の装置の処理はそれぞれ実施例1−15、実施例1−16の条件を用いた。即ち、木粉の代わりに小麦ふすまと米ぬかを使用した。第2の装置に投入される反応混合物の温度は両方とも175℃であった。他の条件は、実施例2−8と全く同じであった。処理は順調で、排出物の温度は両方とも175℃であり、液化度はそれぞれ86%及び82%であった。流れ性など他の品質も良好であった。
【0308】
(実施例2−12(液化)):第1の装置の処理は実施例1−18の条件を用いた。即ち、液化薬剤を第1の装置201へ注入する前に150℃に予備加熱し、木粉投入量は47.1kg/hとし、液化剤投入量は60kg/hとした。第2の装置に投入される反応混合物の温度は174℃であった。第2の装置の保温反応部及び反応停止部の温度は180℃にした。他の条件は、実施例2−3と全く同じであった。処理は順調で、排出物の温度は175℃であり木粉の液化度は92%であった。
【0309】
(実施例2−13(液化)):第1の装置の処理は実施例1−19の条件を用いた。即ち、反応薬剤を第1の装置201へ注入する前に150℃に予備加熱し、木粉投入量は47.1kg/hとし、液化剤投入量は80kg/hとした。総投入量は127.1kg/hであった。第2の装置に投入される反応混合物の温度は172℃であった。第2の装置の条件は、実施例2−12と全く同じであった。処理は順調で、排出物の温度は175℃であり木粉の液化度は94%であった。
【0310】
(実施例2−14(液化)):第1の装置の処理は実施例1−20の条件を用いた。即ち、反応薬剤はPEG600の単一溶媒を使用した。第2の装置に投入される反応混合物の温度は170℃であった。第2の装置の条件は、実施例2−8と全く同じであった。処理は順調で、排出物の温度は169℃であり木粉の液化度は87%であった。
【0311】
(実施例2−15(液化)):第1の装置の処理は実施例1−21の条件を用いた。即ち、反応薬剤はε―カプロラクトン/グリセリンの混合溶媒であった。第2の装置に投入される反応混合物の温度は171℃であった。第2の装置の条件は、実施例2−6と全く同じであった。処理は順調で、排出物の温度は166℃であり木粉の液化度は93%であった。
【0312】
(実施例2−16(液化)):第1の装置の処理は実施例1−22の条件を用いた。即ち、反応薬剤はフェノールであった。第2の装置に投入される反応混合物の温度は156℃であった。第2の装置の条件は、保温反応部及ぶ反応停止部とも170℃に設定した。スクリュの逆回転時間は5.2秒で、第2の装置での滞留時間は11.1分であった。他の条件は実施例2−15と全く同じであった。処理は順調で、排出物の温度は166℃であり木粉の液化度は89%であった。液化生成物中に未反応のフェノール量が30.8%含有した。
【0313】
(実施例2−17(液化)):第1の装置の処理は実施例1−25の条件を用いた。即ち、反応薬剤はフェノールであり、フェノール/木粉比は0.5であった。第2の装置に投入される反応混合物の温度は154℃であった。第2の装置の条件は、実施例2−16と全く同じであった。処理は順調で、排出物の温度は162℃であった。溶媒量が少なかったので排出物はペースト状であり木粉の液化度は64%であった。液化生成物中に未反応のフェノール量が8.6%含有した。
【0314】
(実施例2−18(誘導体化)):本実験はデンプンをエステル化するためのものである。第1の装置の処理は実施例1−28の条件を用いた。即ち、ε−カプロラクトンをエステル化剤としてデンプンとの混合物を誘導体化反応温度までに加熱したものであった。第2の装置に投入される反応混合物の温度は188℃であった。第2の装置の条件は、保温反応部と反応停止部ともに200℃に設定した。他の条件は実施例2−16と全く同じであった。反応は順調で、排出物の温度は192℃であった。溶融状物であった。未反応カプロラクトン量は12.8%であった。
【0315】
(実施例2−19(誘導体化)):本実験はデンプンをエステル化するためのものである。第1の装置の処理は実施例1−29の条件を用いた。即ち、エステル化剤ε−カプロラクトンにデンプンの溶媒としてDMSOを添加した。第2の装置に投入される反応混合物の温度は188℃であった。第2の装置の条件は、実施例2−18と全く同じであった。反応は順調で、排出物の温度は192℃であった。溶融状物であった。未反応カプロラクトン量は8.3%であった。
【0316】
(実施例2−20(誘導体化)):本実験はセルロースジアセテートをエステル化するためのものである。第1の装置の処理は実施例1−30の条件を用いた。ε−カプロラクトン/CDAの重量比は1であった。第2の装置に投入される反応混合物の温度は185℃であった。第2の装置の条件は、実施例2−18と全く同じであった。反応は順調で、排出物の温度は190℃であった。溶融状物であった。未反応カプロラクトン量は6.9%であった。
【0317】
(比較例2−1(液化)):第2の装置202のスクリュは順回転のみで、回転速度は10rpmであった。他の条件は、実施例2−1と全く同じであった。装置内での滞留時間も8.6分と実施例2−1とほぼ同じであった。しかし装置202からの排出物はペースト状で実施例2−1と全く異なった。排出物の温度は150℃から162℃で均一性がなかった。木材の液化度は72%であり実施例2−1の92%より著しく低かった。
表6及び表7に反応混合物が装置202に投入してから排出されるまで受けた回転回数を示したが、実施例2−1の952回転に対し、比較例2−1は86回転しかなかった。即ち、比較例2−1においては、反応物が十分な攪拌がされてないので、装置202のシリンダにある加熱装置からの熱の補充が受けにくいし水分の蒸発などによる温度低下した反応物に対しても十分な攪拌がないので温度の均一化ができない。その結果、反応物の温度は不均一であるとともに液化反応も十分に進まなかった。
【0318】
(比較例2−2(液化)):第2の装置202のスクリュの回転速度を30rpmにした以外は、比較例2−1と全く同じ条件であった。スクリュ回転速度は3倍速くしたので、滞留時間は2.9と大きく減少した。しかし、回転速度が速くしてもバイオマス反応物が装置内に受けた攪拌回数は比較例2−1と変わらなかった。回転速度が速くなった分攪拌の均一性が向上し反応生成物の温度は155℃から163℃で比較例2−1より変動範囲は小さかったが、反応時間が短くなったので木材の液化度は64%と比較例2−1より低かった。
【0319】
(比較例2−3(液化)):比較例2−2よりスクリュ回転速度をさらに60rpmにした以外は、比較例2−2と全く同じ条件であった。反応物の滞留時間は1.4分と大きく減少した。排出された反応生成物の温度は158℃から163℃であり、木材の液化度は62%と比較例2−2よりさらに悪くなった。
以上の結果から、順回転のみのスクリュ回転は攪拌効果と滞留時間を両立することができないことを示した。
【0320】
(比較例2−4(液化)):第1の装置の処理は実施例1−2の条件を用いた。即ち、第2の装置に投入される反応物の温度は178℃と比較例2−1より高かった。さらに、第2の装置の保温反応部及び反応停止部の温度を180℃とより高温に設定した。他の条件は比較例2−1全く同じであった。投入される反応物の温度及び第2の装置の温度設定とも高くなったので、比較例2−1より液化が進み、木粉の液化度は82%と向上した。しかし液化生成物に多くの粒子状物が混在し、反応の均一性が悪かった。
【0321】
(比較例2−5(液化)):第1の装置の処理は実施例1−22の条件を用いた。即ち、液化溶媒はフェノールであった。反応物投入温度は157℃であり、第2の装置の保温反応部及び反応停止部の温度を170℃と設定した。他の条件は比較例2−1全く同じであった。反応生成物の温度は158℃から163℃と不均一であり、木粉の液化度は76%であった。
【0322】
(比較例2−6(液化)):第1の装置の処理は比較例1−1の条件を用いた。即ち、第2の装置に投入される反応混合物の温度は141℃で不均一な反応物であった。第1の装置201から排出される混合物は流れ性が悪かったので補助スクリュを用いて第2の装置202の投入口218へ押し込んだ。第2の装置の条件は、実施例2−1と全く同じであった。処理は順調であったが、排出物はペースト状で液化度は76%と低かった。排出物の温度も162℃と低かった。
この実験は、第1の処理装置でバイオマス反応物は十分かつ均一に加熱されでない反応物に対して、第2の装置は空間率の高いスクリュ構造を有する攪拌処理装置であるので、それを迅速液化温度までに加熱するのは困難であるので、十分な反応が困難であることを示した。
【0323】
(比較例2−7(誘導体化)):第2の装置202のスクリュは順回転のみにした以外は、実施例2−18と全く同じであった。しかし、装置内での滞留時間を実施例2−18とほぼ同じになうように、スクリュ回転数は8rpmにした。装置202からの排出物はペースト状で実施例2−18と全く異なった。排出物の温度は162℃から175℃で均一性がなかった。反応生成物中に未反応のカプロラクトンは38.4%と多かった。エステル化反応が不十分であることを示した。
【0324】
次に、上記実施例及び比較例で第2の装置で液化反応を行い、得られた反応生成物を引き続き第3の装置203に投入して脱揮、冷却工程を行った結果を、実施例3−1〜実施例3−16、比較例3−1〜比較例3−5に示す。
【0325】
(実施例3−1(液化)):前実施例2−1で第2の装置202から排出され、温度166℃、含水率3.9%の反応生成物を流量制御バルブ214を通して第3の装置203の原料供給口223に投入された。第3の装置に空気が混入しないようにバルブ214の上部に常に反応生成物が溜まるようにバルブ214を調整した。第3の装置203においてバイオマスの反応がすでに停止されているので、スクリュの構成は図5に示されたような推進力の低いスクリュであった。スクリュの回転条件は150rpmの順回転のみであった。
装置の脱揮部の温度は120℃と設定した。冷却部は水冷とした。真空ベント部224は水封式真空ポンプと連結し、脱揮部の圧力は10000Pa以下であった。冷却されたバイオマス反応生成物はギヤーポンプ211より排出された。
この実験で、反応生成物が第3の装置203内での滞留時間は約20分であった。排出口222から排出されたバイオマス反応生成物の温度は35℃であり、反応生成物中の水分量は0.4%であった。即ち、第3の装置203の脱揮作用により反応生成物の含水率は3.9%から0.4%に減少した。冷却も効果的であった。
【0326】
(実施例3−2(液化)):前実施例2−2で第2の装置202から排出され、温度166℃、含水率4.4%の反応生成物を第3の装置203に投入した。第3の装置の条件はすべて実施例3−1と同じであった。第3の装置203からの排出物は温度35℃、含水率0.4%であった。脱水及び冷却効果が良好であった。
【0327】
(実施例3−3(液化)):前実施例2−5で第2の装置202から排出され、温度169℃、含水率3.4%の反応生成物を第3の装置203に投入した。投入量が実施例3−1より少なかったので滞留時間は22分であった以外は、第3の装置の条件はすべて実施例3−1と同じであった。第3の装置203からの排出物は温度35℃、含水率0.5%であった。脱水及び冷却効果が良好であった。
【0328】
(実施例3−4(液化)):前実施例2−7で第2の装置202から排出され、温度165℃、含水率3.1%のデンプン液化反応生成物を第3の装置203に投入した。第3の装置の条件はすべて実施例3−1と同じであった。第3の装置203からの排出物は温度35℃、含水率0.3%であった。脱水及び冷却効果が良好であった。
【0329】
(実施例3−5(液化)):前実施例2−8で第2の装置202から排出され、温度173℃、含水率4.4%の古紙液化反応生成物を第3の装置203に投入した。第3の装置の条件はすべて実施例3−1と同じであった。第3の装置203からの排出物は温度35℃、含水率0.4%であった。脱水及び冷却効果が良好であった。
【0330】
(実施例3−6から実施例3−8(液化)):前実施例2−9から実施例2−11で第2の装置202から排出されたトウモロコシの種皮、ふすま、米ぬかの液化反応生成物をそれぞれ第3の装置203に投入した。第3の装置の条件はすべて実施例3−1と同じであった。第3の装置203からの排出物は温度36℃、含水率0.3〜0.4%であった。脱水及び冷却効果が良好であった。
【0331】
(実施例3−9(液化)):前実施例2−12で第2の装置202から排出され、温度175℃、含水率4.2%の木粉液化反応生成物を第3の装置203に投入した。投入量が107.1kg/hで多かったので滞留時間は15分であった。第3の装置203の処理条件はすべて実施例3−1と同じであった。第3の装置203からの排出物は温度37℃、含水率0.3%であった。脱水及び冷却効果が良好であった。
【0332】
(実施例3−10(液化)):前実施例2−13で第2の装置202から排出され、温度173℃、含水率4.0%の木粉液化反応生成物を第3の装置203に投入した。投入量が127.1kg/hで実施例3−4よりさらに多かったので滞留時間は13分であった。第3の装置203の処理条件はすべて実施例3−1と同じであった。第3の装置203からの排出物は温度38℃、含水率0.5%であった。脱水及び冷却効果が良好であった。
【0333】
(実施例3−11(液化)):前実施例2−14で第2の装置202から排出され、温度168℃、含水率4.4%の木粉のPEG600による液化反応生成物を第3の装置203に投入した。第3の装置203の処理条件はすべて実施例3−1と同じであった。第3の装置203からの排出物は温度35℃、含水率0.3%であった。脱水及び冷却効果が良好であった。
【0334】
(実施例3−12(液化)):前実施例2−15で第2の装置202から排出され、温度166℃、含水率3.1%の木粉のカプロラクトン/グリセリンによる液化反応生成物を第3の装置203に投入した。第3の装置203の処理条件はすべて実施例3−1と同じであった。第3の装置203からの排出物は温度35℃、含水率0.3%であった。脱水及び冷却効果が良好であった。
【0335】
(実施例3−13(液化)):前実施例2−16で第2の装置202から排出され、温度165℃、フェノール含有率30.8%、含水率2.7%の木粉のフェノール液化物を第3の装置203に投入した。フェノールの蒸留除去はより高温が必要であるので、脱揮部のジャケットの温度は150℃に設定した。フェノール液化物の融点は100℃前後であるので水冷の代わりにジャケットに空気を入れて空冷をした。液化生成物の第3の装置での滞留時間は約50分であった。脱揮部の圧力は6000Pa以下であった。第3の装置203からの排出物は温度116℃、含水率0.1%、未反応フェノール含有率は1.8%であった。フェノールの除去率が良好であった。
【0336】
(実施例3−14(誘導体化)):本実験はデンプンをエステル化するためのものである。前実施例2−18で第2の装置202から排出され、温度192℃、未反応カプロラクトン含有率12.5%のデンプンエステル化混合物を第3の装置203に投入した。エステル化試薬であるカプロラクトンがまだ12.5%残っているので、第3の装置においてさらにエステル化反応を進行するように第3の装置の脱揮部の温度を180℃に設定した。冷却部ジャケットに空気を入れて空冷をした。反応物の第3の装置での滞留時間は約25分であった。脱揮部の圧力は6000Pa以下であった。第3の装置203からの排出物は温度168℃の溶融状物であり、未反応カプロラクトン含有率は1.8%であった。良好なデンプン誘導体が得られた。
この実験で、第3の装置の作用は未反応のカプロラクトンを除去するだけでなく、エステル化反応自身が引き続き進行するので、排出される反応生成物は未反応モノマー残留量は少なかった。
【0337】
(実施例3−15(誘導体化)):本実験はデンプンをエステル化するためのものである。前実施例2−19で第2の装置202から排出され、温度192℃、未反応カプロラクトン含有率8.3%、溶媒であるDMSO含有率19.6%のデンプンエステル化混合物を第3の装置203に投入した。第3の装置の条件は実施例3−14と全く同じであった。反応物の第3の装置での滞留時間は約30分であった。第3の装置203からの排出物は温度172℃の溶融状物であり、未反応カプロラクトン含有率は1.2%、DMSO残留量が2.4%であった。良好なデンプン誘導体が得られた。
この実験で、溶媒であるDMSOは非反応性物質であるので、第3の装置の脱揮により効果的に除去されることを示した。
【0338】
(実施例3−16(誘導体化)):本実験はセルロースジアセテートをエステル化するためのものである。前実施例2−20で第2の装置202から排出され、温度190℃、未反応カプロラクトン含有率6.9%のセルロースアセテートエステル化混合物を第3の装置203に投入した。第3の装置の条件は実施例3−14と全く同じであった。反応物の第3の装置での滞留時間は約40分であった。第3の装置203からの排出物は温度169℃の溶融状物であり、未反応カプロラクトン含有率は1.4%であった。良好なセルロースアセテート誘導体が得られた。
【0339】
(比較例3−1(液化)):前実施例2−1で第2の装置202から排出され、温度166℃、含水率4.4%の反応生成物を第3の装置203に投入した。第3の装置の脱揮部は120℃加熱の代わりに水冷にした以外は、すべて実施例3−1と同じで条件であった。第3の装置203からの排出物は温度31℃、含水率1.2%であった。冷却は十分であったが脱揮部の加熱はなかったので脱水は不十分であった。
【0340】
(比較例3−2(液化)):前実施例2−1で第2の装置202から排出され、温度166℃、含水率4.4%の反応生成物を第3の装置203に投入した。真空ベント224に真空をかけなかった以外は、すべて比較例3−1と同じで条件であった。第3の装置203からの排出物は温度36℃、含水率3.8%であった。冷却は十分であったが脱揮部の加熱及び真空ともなかったので脱水は行わなかった。
【0341】
(比較例3−3(液化)):前実施例2−16で第2の装置202から排出され、温度165℃、フェノール含有率30.8%、含水率2.7%の木粉のフェノール液化物を第3の装置203に投入した。脱揮部は150℃加熱の代わりに空冷にした以外は、すべて実施例3−13と同じで条件であった。第3の装置203からの排出物は温度102℃、含水率0.1%、フェノール率10.2%であった。脱揮部の加熱がないのでフェノールの除去は不十分であった。
【0342】
(比較例3−4(誘導体化)):本実験はデンプンをエステル化するためのものである。前実施例2−18で第2の装置202から排出され、温度192℃、未反応カプロラクトン含有率12.5%のデンプンエステル化混合物を第3の装置203に投入した。第3の装置の真空ベント224に真空をかけなかった以外は、すべて実施例3−14と同じで条件であった。第3の装置203からの排出物は温度174℃、未反応カプロラクトン含有率は3.7%であった。真空脱揮を行ってないので実施例3−14より残留モノマー量が多かった。
【0343】
(比較例3−5(誘導体化)):脱揮部は180℃加熱の代わりに空冷にした以外は、すべて比較零例3−4と同じで条件であった。第3の装置203からの排出物は温度148℃、未反応カプロラクトン含有率は8.3%であった。
この実験は、第3の装置はエステル化反応及び脱揮を促進するための加熱を行ってないので、未反応モノマーは多量に残留した。
【0344】
次に、本発明の第2の実施の形態のバイオマス物質液化物または誘導体の製造装置の実験機(図14参照)を用いて行った結果を、次に示す実施例4−1〜実施例4−4を用いて説明する。
図14は、本実施の形態のバイオマス物質液化物の製造装置の実験機全体の概略構成を示すものである。ここでは、バイオマス物質の反応物の混合、加熱のための第1の装置の構成及び作用は前記第1の実施の形態の実施例と同じであるので、同じ符号で記述し説明を省略する。
【0345】
バイオマス物質の液化/誘導体化反応を行うとともに、その反応後に第2の試薬又はバイオマス物質を投入し引き続き第2の液化又は誘導体化反応を行うための第2の装置230として、シリンダ内径100mm、長さ2800mm、スクリュ回転は順回転/逆回転/停止の自動制御機能を有する単軸押出し装置を用いた。装置各部の構成は図9に示したとおりであった。なお、第2の装置230のスクリュの順回転/逆回転/停止の動作の切り替え及び各動作持続時間は制御盤にタイマーを組んだスクリュ駆動モーターの電流相位制御回路により自動制御した。なお、本実施の形態のにおいてスクリュの順回転から逆回転、又はその逆の逆回転から順回転の切り替えのときの停止時間はすべて0.6秒にした。
【0346】
第2の装置230のシリンダには、基部からジャンクション部206に向かって原料供給口231、ベント口232、固形原料供給口233、液体試薬供給口234、ベント口235、停止剤供給口236設けられている。
また、バイオマス材料用の材料供給フィーダ237には重量式2軸スクリュフィーダを使用し、反応試薬またはそれと触媒の混合液は三連式のプランジャポンプ238、反応停止剤である中和液の注入には三連式のプランジャポンプ239をそれぞれ用いた。なお、図14中で、240は反応試薬の混合液の注入装置、241は反応停止剤の中和液の注入装置である。
【0347】
なお、脱揮、冷却用の第3の装置203及び各装置の連接部のジャンクション部は、前記第1の実施の形態の実施例の同じであるので、同じ符号を使用し説明を省略する。
【0348】
(実施例4−1(液化木材のエステル化)):前実施例1−29で第1の装置201から排出される液化木材を引き続き第2の装置230の原料投入口231に投入した。第3の装置230の第2の原料供給口233には原料を投入しなく、水分放出口として利用した。薬剤供給口234にエステル化試薬としてε―カプロラクトンを20kg/hの速度で注入した。第2の装置の反応部(原料投入口231から第2の原料投入口233までの区間)、後反応部(第2の原料投入口233から反応停止剤注入口236までの区間)、及び反応停止部の温度をすべて190℃に設定した。スクリュの回転速度を150rpmとし、順回転6秒→停止0.6秒→逆回転5.2秒→停止0.6秒といったサイクルで繰り返し運転をした。反応物の装置内での滞留時間は約8.8分であった。
この実験で、投入口231に投入された木粉反応物はスクリュの高速の順/逆回転の攪拌作用を受けて液化しながら進み、液化反応中に生成した水分は高温によりベント口232及び原料投入口233から排出した後、試薬供給口234から供給されたε―カプロラクトンと混合し、液化反応触媒の硫酸を触媒として、後反応部においで木材の液化生成物の水酸基と反応して末端エステル化反応を行う。また、後反応部において木材の液化も引き続き進行する。
その結果、第3の装置230から排出された反応生成物は流れ性の良い液状であり、木粉の液化度は87%で、未反応のカプロラクトンモノマーの量は1.2%と少なかった。即ち、木粉の液化及び木粉反応物のエステル化とも順調であった。
【0349】
(実施例4−2(木材/デンプン混合液化)):前実施例1−29で第1の装置201から排出される液化木材を引き続き第2の装置230の原料投入口231に投入した。第3の装置230の第2の原料供給口233にデンプン12.5kg/hを投入し、バイオマス含有量50%のバイオマス混合液化物を調製した。薬剤供給口234を盲栓にした。第2の装置230の他の条件は実施例4−1と全く同じであった。
この実験で、投入口231に投入された木粉反応物はスクリュの高速の順/逆回転の攪拌作用を受けて反応しながら進み、液化反応中に生成した水分は高温によりベント口232から排出した後、第2の原料供給口から供給されたデンプンと混合し、木粉を液化しながらデンプンを液化し、よりバイオマス含有率の高い液化生成物となった。第3の装置230から排出された液化生成物は流れ性の良い液状であり、バイオマスの液化度は92%であった。
【0350】
(実施例4−3(液化デンプンのエステル化)):実施例4−1の液化木材の代わりに液化デンプンを用いた。すなわち、前実施例1−12で第1の装置201から排出される液化デンプンを引き続き第2の装置230の原料投入口231に投入した。第3の装置の薬剤供給口234にエステル化試薬としてε―カプロラクトンを10kg/hの速度で注入した。第2の装置の反応部、後反応部、及び反応停止部の温度をすべて175℃に設定した。スクリュの回転速度を120rpmとし、順回転6秒→停止0.6秒→逆回転5秒→停止0.6秒といったサイクルで繰り返し運転をした。反応物の装置内での滞留時間は約8.8分であった。
この実験も実施例4−1と同様に順調であった。第3の装置230から排出された反応生成物は流れ性の良い液状であり、デンプンの液化度は100%で、未反応のカプロラクトンモノマーの量は2.6%と少なかった。即ち、デンプンの液化及び液化物のエステル化とも順調であった。
【0351】
(実施例4−4(液化デンプンのエステル化)):実施例4−3よりさらにエステル化量を増大した。即ち、第3の装置の薬剤供給口234にカプロラクトンを30kg/hの速度で注入した。反応部、後反応部及び反応停止部の温度をすべて180℃に設定した。他の条件は実施例4−3と同じであった。第3の装置230から排出された反応生成物は流れ性の良い液状であり、デンプンの液化度は100%で、未反応のカプロラクトンモノマーの量は2.4%と少なかった。即ち、デンプンの液化及び液化物のエステル化とも順調であった。
以上の実施例で得られた反応生成物の脱揮及び冷却工程は、上記第1の実施の形態の実施例と共通であるので、説明を省略する。
【0352】
次に、本発明の第3の実施の形態のバイオマス物質の液化物または誘導体の製造装置の実験機(図15参照)を用いて行った結果を、次に示す実施例5−1〜実施例5−8及び比較例5−1を用いて説明する。
【0353】
(実施例5−1(液化)):図15は、本実施例のバイオマス物質の液化物または誘導体の製造装置の実験機全体の概略構成を示すものである。ここでは、バイオマス物質の乾燥、加熱、乾燥加熱したバイオマス物質と予め反応温度に加熱された反応試薬との高速混合のための第1の装置250としては、東芝機械製の同方向回転二軸押出機(形格:TEM−37B)を用いた。第1の装置250から排出され、所定の反応温度になった反応混合物は、ジャンクション部204から保温反応のために第2の装置へと流れ込むが、これ以降の工程は上記第1の実施の形態と同じであるので、図15には同じ符号を使用し説明を省略する。
【0354】
さらに、乾燥、混合用の第1の装置250のスクリュは、口径37mm、L/D=48であった。シリンダ温度調節は7ゾーンで加熱・冷却制御である。また、シリンダには、基部からジャンクション部204に向かって原料供給口251、ベント口252、液体注入口253が設けられている。
【0355】
また、装置250の原料供給口にはバイオマス原料投入フィーダ254、液体注入口253には反応試薬注入装置255がそれぞれ設けられている。バイオマス材料用の材料供給フィーダ254には重量式2軸スクリュフィーダを使用し、反応試薬注入装置255に収容した反応試薬と触媒の混合液の注入はモーノポンプ256を使用した。注入ポンプ256及び第1の装置250の液体注入口253の間に注入される混合液を連続加熱する電気式加熱装置257が設置されている。
【0356】
また、液体注入口253には、液体注入弁が取り付けられている。スクリュは、搬送部、乾燥部、加熱部、混合部、押出部から構成されるものを使用した。
【0357】
装置250の加熱乾燥部(L/D約30)の温度を180℃、混合・押出部(L/D約10)の温度を175℃に設定した。スクリュ回転速度を150rpmにした。
【0358】
木粉23.5kg/hを原料供給口251へ、PEG400/グリセリン/硫酸(70/30/3)の反応試薬混合液30kg/hをラインヒーター257により180℃に加熱してから液体注入口253に供給した(試薬/木粉比1.5)。
【0359】
そして、原料供給口251に投入された木粉は乾燥部に乾燥され、水分はベント口252から放出される。乾燥された木粉はさらに加熱され、混合部で180℃に予備加熱された反応試薬とニーディングディスクなどにより高速に混練混合してから、装置250の排出口から排出された。排出物は均一なペースト状で温度は172℃であり、木材の液化反応に適した温度であった。排出物は容易に第2の装置202の投入口へ流れ込んだ。
【0360】
この実験は各処理工程が非常に安定であった。2軸装置は高価であるが、本発明の方法で処理量が大きく、且つ腐蝕性試薬との接触部は混合押出部のみで(L/D約10)短いので耐蝕対策も採りやすく、コストパフォーマンスは優れているものである。
【0361】
以上第1の装置250により混合加熱されたバイオマス反応物は、第2及び第3の装置により保温反応、反応終止及び脱揮冷却を行うが、これらの工程は前記第1の実施の形態の実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0362】
(実施例5−2(液化)):液化試薬の注入量を24kg/h(試薬/木粉比1.2)にした以外はすべて実施例5−1と同じであった。各工程の処理は順調で装置250からの排出物は均一な泥状で温度は170℃であった。木粉の液化反応に適した温度であった。
【0363】
(実施例5−3(液化)):液化試薬の注入量を40kg/h(試薬/木粉比2)にした以外はすべて実施例5−1と同じであった。各工程の処理は順調で装置250からの排出物は均一なうすいペースト状で温度は173℃であった。木粉の液化反応に適した温度であった。
【0364】
(実施例5−4(液化)):木粉の代わりにデンプン23kg/hを投入し、液化試薬の注入量を20kg/h(試薬/デンプン比1)にした。液化試薬の予備加熱温度を175℃に、装置250の分散混合部の温度設定を165℃にした。ほかの条件はすべて実施例5−1と同じであった。各工程の処理は順調で装置250からの排出物は均一なペースト状で温度は164℃であった。デンプンの液化反応に適した温度であった。
【0365】
(実施例5−5(液化)):液化試薬の注入量を40kg/h(試薬/デンプン比2)にし、試薬予備加熱温度を172℃にした以外はすべて実施例5−4と同じであった。各工程の処理は順調で装置250からの排出物は均一なうすいペースト状で温度は165℃であった。デンプンの液化反応に適した温度であった。
【0366】
(実施例5−6(液化)):デンプンの変わりに古紙を用いた。液化試薬の予備加熱温度を180℃にし、混合部温度を175℃にした以外はすべて実施例5−5と同じであった。各工程の処理は順調で装置250からの排出物は均一なうすいペースト状で温度は175℃であった。古紙の液化反応に適した温度であった。
【0367】
(実施例5−7(誘導体化)):本実施例はデンプンのエステル誘導体化を目的とした。デンプン23kg/hを投入し、エステル化試薬としてε−カプロラクトン/オクタン酸第1錫=100/1の混合誘導体化剤を30kg/hの速度で180℃に加熱してから注入した(試薬/デンプン比1.5)。装置250のほかの条件はすべて実施例5−1と同じであった。各工程の処理は順調で装置250からの排出物は均一なペースト状で温度は173℃であった。デンプンのエステル化反応に適した温度であった。
【0368】
(実施例5−8(誘導体化)):本実施例はセルロースアセテートのエステル誘導体化を目的とした。セルロースジアセテート(CDA)20.4kg/hを投入し、エステル化試薬としてε−カプロラクトン/オクタン酸第1錫=100/1の混合誘導体化剤を20kg/hの速度で180℃に加熱してから注入した(試薬/CDA比1)。分散混合部の温度を180℃にした。装置250のほかの条件はすべて実施例5−1と同じであった。各工程の処理は順調で装置250からの排出物は均一なペースト状で温度は175℃であった。セルロースジアセテートのエステル化反応に適した温度であった。
【0369】
(比較例5-1(液化)):加熱乾燥部温度を100℃に設定した以外は実施例5−1とすべて同じであった。ベント口252からの水蒸気の放出が少なく、排出口ジャンクション204から多量の蒸気が噴出した。ジャンクション204からの排出物は泥状であり温度は159℃であった。
この実験は、木粉の乾燥及び予備加熱ができてないので、予熱された試薬との混合だけで所定温度に達成するのは困難であった。
【0370】
【表3】
Figure 0004297664
【0371】
【表4】
Figure 0004297664
【0372】
【表5】
Figure 0004297664
【0373】
【表6】
Figure 0004297664
【0374】
【表7】
Figure 0004297664
【0375】
【表8】
Figure 0004297664
【0376】
【表9】
Figure 0004297664
【0377】
【表10】
Figure 0004297664
【0378】
【表11】
Figure 0004297664
【0379】
【表12】
Figure 0004297664
【0380】
【表13】
Figure 0004297664
【0381】
【表14】
Figure 0004297664
【0382】
【表15】
Figure 0004297664
【0383】
【表16】
Figure 0004297664
【0384】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、バイオマス等の反応物は、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転に伴って、ケーシング内において往復運動を繰り返しながら推進せしめられ、材料供給部側から排出部側まで移動する。このため、反応装置内における反応物の実際の移動距離は各ケーシングの長さの総和より長くなり、それに伴って製造装置内における反応物の滞留時間も長くなる。そして、このバイオマス物質の滞留時間は、撹拌部材の回転速度のみならず、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転の組合せに依存することから、バイオマス物質の滞留時間と撹拌部材の回転速度との完全依存性は切り離される。このため、バイオマス物質の滞留時間は、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転の組合せによって任意に設定することができると共に、バイオマス反応物の撹拌効果は、撹拌部材の回転速度により任意に設定することができ、製造装置(反応装置)内におけるバイオマス物質の理想的な滞留時間と理想的な撹拌効果とを両立することが可能となる。また、バイオマス物質は、撹拌部材の順方向および逆方向の自軸回転の交互運動により押されたり引かれたりし、一定の個所に留まったりあるいは一定の形状に整えられたりすることがないので、反応物が撹拌羽根と共回りすることを防止することができ、また交互運動の衝撃でバイオマス反応物が乱流を形成するので、反応物をより確実に撹拌することができる。さらに、液化装置のケーシングおよび撹拌部材を長く形成する必要がないので、小型で安価な装置を実現することができる。
【0385】
請求項2に係る発明によれば、液化反応を速やかに進行できる。
【0386】
請求項3に係る発明によれば、液化反応を終了させた状態でバイオマス物質の液化物を排出部より排出できる。
【0387】
請求項4に係る発明によれば、高純度で高品質のバイオマス物質の液化物を製造できる。
【0388】
請求項5、6に係る発明によれば、上記諸効果に加えて、液化反応を効率良く進行できる。また、請求項6の発明では、より高効率、高能力、高精度の液化を行うことができる。
【0389】
請求項7に係る発明によれば、バイオマス物質の理想的な滞留時間と理想的な撹拌効果とを十分に実現できる。
【0390】
請求項8に係る発明によれば、目的に応じて撹拌部材の自軸回転パターンを簡単かつ確実に設定できる。
【0391】
請求項9に係る発明によれば、撹拌効率の低下を防止できると共に、駆動機構へのダメージを防止できる。
【0392】
請求項10に係る発明によれば、バイオマスの液化反応の均一性を保つことができる。
【0393】
請求項11に係る発明によれば、バイオマスの液化の一層の均一を図ることができる。
【0394】
請求項12に係る発明によれば、各工程を最適条件に設定できる。
【0395】
請求項13に係る発明によれば、安定な投入及び安定な反応物の搬送が実現できて安定した品質の液化物が得られる。
【0396】
請求項14に係る発明によれば、安定した反応制御をなし得ると共に液化生成物中に含まれた低沸点物の大部分を効率良く除去できる。
【0397】
請求項15に係る発明によれば、より一層優れた制御安定性を確保できる。
【0398】
請求項16に係る発明によれば、装置への腐食及び不均一反応を低減できると共に高い液化効率を実現できる。
【0399】
請求項17に係る発明によれば、多種の樹脂原料、燃料、化学物質等として有用なバイオマス液化物が得られる。
【0400】
請求項18に係る発明によれば、バイオマスのエステル化、エーテル化、グラフト等各種のバイオマス物質の誘導体が得られる。
【0401】
請求項19に係る発明によれば、液化効率を向上できる。
【0402】
請求項20に係る発明によれば、多種多様な反応を同時に又は順次に行わせることができる。
【0403】
請求項21に係る発明によれば、バイオマス物質の複数種の試薬による液化、バイオマス物質液化物に対する化学修飾/変性、バイオマス物質の液化物のグラフト重合等の各種処理を容易且つ効率良く行うことができる。
【0404】
請求項22に係る発明によれば、高い反応速度及び高精度の温度制御を維持できる。
【0405】
請求項23に係る発明によれば、生成物の分解、架橋、高分子化、高融点化反応等の副反応を防止できる。
【0406】
請求項24に係る発明によれば、固形不純物のない高品質のバイオマス液化物が得られる。
【0407】
請求項25に係る発明によれば、後処理工程が不要になる。
【0408】
請求項26に係る発明によれば、安定した処理ができると共に、高い脱揮効果が得られる。
【0409】
請求項27に係る発明によれば、揮発成分除去部で高い真空度を得ることができると共に液化生成物を安定して排出できる。
【0410】
請求項28に係る発明によれば、メンテナンスの容易性を有した高能率のバイオマス物質液化物の製造装置を提供できる。
【0411】
請求項29に係る発明によれば、より一層高い処理能率を実現できると共に搬送性に優れ、かつ制御精度のある装置を提供できる。
【0412】
請求項30に係る発明によれば、バイオマス物質の種類や各種処理に応じた様々な撹拌を行うことができる。
【0413】
請求項31に係る発明によれば、液化反応の安定性、均一性及び反応条件の制御精度の高さを確保できる。
【0414】
請求項32に係る発明によれば、撹拌部材の回転に対する反応物の抵抗に応じて撹拌部材の駆動位置を選択することができ、一層の運転安全性と対応能力を確保することができる。
【0415】
請求項33に係る発明によれば、エンドプレート側の駆動機構を駆動することで、固定軸のある撹拌部材と固定軸のない撹拌部材を同時に駆動することができ、バイオマス物質の共回りが起こりやすい区間のみに固定軸を有する撹拌部材を設けているから、安定な処理を行うことができる。
【0416】
請求項34に係る発明によれば、固形未液化バイオマス物質の攪拌部材への付着、共回りおよび詰まりを防止することができるので、順調な液化を実現できる。
【0417】
請求項35に係る発明によれば、環境への負荷を回避できる。
【0418】
請求項36、37に係る発明によれば、未利用バイオマスの中で量的に最も多いこれらの物質を各種の有用な樹脂原料、燃料又は化学物質へ有効利用することを容易かつ安価に実現することができる。
【0419】
請求項38、39に係る発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を享受できる。
【0420】
請求項40に係る発明によれば、装置への腐食及び不均一反応を低減できると共に高い液化効率を実現できる。
【0421】
請求項41に係る発明によれば、多種の樹脂原料、燃料、化学物質等として有用なバイオマス液化物が得られる。
【0422】
請求項42に係る発明によれば、液化効率を向上できる。
【0423】
請求項43に係る発明によれば、装置の処理能率を大幅に向上できる。
【0424】
請求項44に係る発明によれば、多種多様な反応を同時に又は順次に行わせることができる。
【0425】
請求項45に係る発明によれば、バイオマス物質の複数種の試薬による液化、バイオマス物質液化物に対する化学修飾/変性、バイオマス物質の液化物のグラフト重合等の各種処理を容易且つ効率良く行うことができる。
【0426】
請求項46に係る発明によれば、高い反応速度及び高精度の温度制御を維持できる。
【0427】
請求項47に係る発明によれば、固形不純物のない高品質のバイオマス液化物を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る製造装置における製造フローチャート図である。
【図2】第1実施形態の製造装置の全体概略構成図である。
【図3】(a)は第1実施形態の製造装置の第1撹拌処理装置を示す概略構成図、
(b)はスクリュー部の変化を示す図である。
【図4】第1実施形態の製造装置の第2撹拌処理装置を示す概略構成図である。
【図5】第1実施形態の製造装置の第3撹拌処理装置を示す概略構成図である。
【図6】装置内の物質の移動パターンを示す図である。
【図7】第2実施形態に係る製造装置における製造フローチャート図である。
【図8】第2実施形態の製造装置の全体概略構成図である。
【図9】第2実施形態の製造装置の第2撹拌処理装置を示す概略構成図である。
【図10】第3実施形態の製造装置の全体概略構成図である。
【図11】第3実施形態の製造装置の第1撹拌処理装置を示す概略構成図である。
【図12】第1実施形態の製造装置の実験装置を示す概略構成図である。
【図13】上記実験装置の第1装置を示す概略構成図である。
【図14】第2実施形態の製造装置の実験装置を示す概略構成図である。
【図15】第3実施形態の製造装置の実験装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…材料供給部
2…第1撹拌処理装置
3…第2撹拌処理装置
4…排出口
5…第3撹拌処理装置
6…反応用薬剤注入部
7…反応停止剤注入部
8…揮発成分除去部
11…ケーシング
12…撹拌部材(スクリュー)
13…中空固定軸
15…駆動機構(モータ)
18…第1ベント口
19…反応用薬剤注入口
20…予熱搬送部
22…混合部
23…加熱部
25…エンドプレート
47…ケーシング(シリンダ)
48…撹拌部材(スクリュー)
50…駆動機構(モータ)
53…第2ベント口
54…第2ベント口
56…液化反応部
72…ケーシング
73…ケーシング
74…エンドプレート
75…撹拌部材(スクリュー)
77…駆動機構(モータ)
85…排出部
93…強制排出手段

Claims (47)

  1. 撹拌軸の周面に撹拌羽根が設けられてなる1ないし複数の撹拌部材と、該撹拌部材を収容したケーシングと、前記撹拌部材を順方向と逆方向に交互に自軸回転させる駆動機構とを有した撹拌処理装置を1個備えた又は前記撹拌処理装置が複数個直列状に連結されたバイオマス物質の液化物の製造装置からなり、
    この製造装置の上流側にバイオマス物質を供給する材料供給部が設けられ、前記製造装置の下流側に液化生成物を排出する排出部が設けられ、該排出部と前記材料供給部の間にバイオマス物質を液化させる反応用薬剤を注入する反応用薬剤注入部が設けられていることを特徴とするバイオマス物質の液化物の製造装置。
  2. 前記反応用薬剤注入部と前記排出部の間に所定の液化反応温度で保温して液化を行う液化反応部が設けられている請求項1に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  3. 前記液化反応部と前記排出部の間にバイオマス物質の液化反応を停止させる反応停止剤を注入する反応停止剤注入部が設けられている請求項2に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  4. 前記反応停止剤注入部と前記排出部の間に、未反応薬剤や水分等の揮発成分を除去する揮発成分除去部が設けられている請求項3に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  5. 撹拌軸の周面に撹拌羽根が設けられてなる1ないし複数の撹拌部材と、該撹拌部材を収容したケーシングと、前記撹拌部材を順方向と逆方向に交互に自軸回転させる駆動機構とを有した撹拌処理装置を1個備えた又は前記撹拌処理装置が複数個直列状に連結されたバイオマス物質の液化物の製造装置からなり、
    この製造装置の上流側にバイオマス物質を供給する材料供給部が設けられ、該材料供給部の下流側にバイオマス物質を加熱しながら下流側に向けて搬送する予熱搬送部が設けられ、該予熱搬送部の下流側にバイオマス物質を液化させる反応用薬剤を注入する反応用薬剤注入部が設けられ、該反応用薬剤注入部の下流側に前記バイオマス物質と反応用薬剤を混合する混合部が設けられ、該混合部の下流側に所定の液化反応温度まで加熱する加熱部が設けられ、該加熱部の下流側に所定の液化反応温度で保温して液化を行う液化反応部が設けられ、該液化反応部の下流側にバイオマス物質の液化反応を停止させる反応停止剤を注入する反応停止剤注入部が設けられ、該反応停止剤注入部の下流側に未反応薬剤や水分等の揮発成分を除去する揮発成分除去部が設けられ、該揮発成分除去部の下流側に液化生成物を冷却しながら排出する冷却排出部が設けられていることを特徴とするバイオマス物質の液化物の製造装置。
  6. 撹拌軸の周面に撹拌羽根が設けられてなる1ないし複数の撹拌部材と、該撹拌部材を収容したケーシングと、前記撹拌部材を順方向と逆方向に交互に自軸回転させる駆動機構とを有した撹拌処理装置が3個直列状に連結されたバイオマス物質の液化物の製造装置からなり、
    上流側の第1撹拌処理装置において、バイオマス物質を供給する材料供給部が設けられ、該材料供給部の下流側にバイオマス物質を加熱しながら下流側に向けて搬送する予熱搬送部が設けられ、該予熱搬送部の下流側にバイオマス物質を液化させる反応用薬剤を注入する反応用薬剤注入部が設けられ、該反応用薬剤注入部の下流側に前記バイオマス物質と反応用薬剤を混合する混合部が設けられ、該混合部の下流側に所定の液化反応温度まで加熱する加熱部が設けられ、
    中間位置の第2撹拌処理装置において、所定の液化反応温度で保温して液化を行う液化反応部が設けられ、該液化反応部の下流側にバイオマス物質の液化反応を停止させる反応停止剤を注入する反応停止剤注入部が設けられ、
    下流側の第3撹拌処理装置において、未反応薬剤や水分等の揮発成分を除去する揮発成分除去部が設けられ、該揮発成分除去部の下流側に液化生成物を冷却しながら排出する冷却排出部が設けられていることを特徴とするバイオマス物質の液化物の製造装置。
  7. 前記撹拌部材が順方向と逆方向に交互に自軸回転することによって、前記ケーシング内のバイオマス物質や液化生成物等を撹拌しながら前記材料供給部側から前記排出部側に向けて推進せしめる請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  8. 前記撹拌部材は、順方向および逆方向の自軸回転の切り替えおよび各自軸回転時間が自動的に制御されるものである請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  9. 前記撹拌部材は、順方向と逆方向の自軸回転の切り替え時の停止時間Tsが下式[1]の範囲に設定されるものである請求項1〜8のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
    0≦Ts<t+2・・・[1]
    Ts:撹拌部材の順方向と逆方向の自軸回転の切り替え時の停止時間
    t:駆動機構の駆動が停止してから撹拌部材が停止するまでの時間(惰力回転時間)
  10. 前記撹拌部材は、順方向の自軸回転時間Tfが下式[2]の範囲に設定されるものである請求項1〜9のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
    0<Tf<0.2×(60p)/(Nk)・・・[2]
    Tf:撹拌部材の順方向の自軸回転時間
    p:撹拌部材の撹拌羽根のピッチ数
    N:撹拌部材の自軸回転速度
    k:係数(0<k≦1)
  11. 前記攪拌部材は、逆方向の自軸回転時間Trが下式[3]または下式[4]の範囲に設定されるものである請求項1〜10のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
    0<Tr<Tmin・・・[3]
    Tmax<Tr<Tf・・・[4]
    Tr:撹拌部材の逆方向の自軸回転時間
    Tf:撹拌部材の順方向の自軸回転時間
    Tmin、Tmax:kN(Ts+Tr)(Tf−Tr)/{30p(Tf+Tr+2Ts)}=0.1の解(Tr)のうちの小さい値(Tmin)と大きい値(Tmax)
  12. 前記予熱搬送部、反応用薬剤注入部、混合部、加熱部、液化反応部、反応停止剤注入部、揮発成分除去部および冷却排出部の各部の温度を独立に測定、調整できる温度検知・調整手段が設けられている請求項5〜11のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  13. 前記材料供給部と前記反応用薬剤注入部の間にバイオマス物質中に含有される水分を除去する第1ベント口が1ないし複数個設けられるとともに、該第1ベント口の周囲にバイオマス物質の乾燥を行う乾燥部が設けられている請求項1〜12のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  14. 前記加熱部と前記反応停止剤注入部の間にバイオマス物質の反応中に発生する水分又は他の低沸点物質を除去する第2ベント口が1ないし複数個設けられている請求項5〜11のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  15. 前記撹拌部材の外周とケーシング内周面との間に略軸方向に延びる隙間が設けられ、この隙間を介して水分等の揮発成分が軸方向に移動して前記ベント口から放出されるものとなされている請求項13または14に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  16. 前記反応用薬剤注入部及び前記混合部の温度は50〜170℃の範囲に設定される一方、前記加熱部、液化反応部及び揮発成分除去部の温度は120〜250℃の範囲に設定される請求項5〜15のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  17. 前記反応用薬剤注入部に注入される反応用薬剤はフェノール類、アルコール類、多価アルコール類、環状エステル類等の水酸基を有する又は潜在的に水酸基を有する化合物、又はオキシエーテル類、環状エーテル類、炭酸アルキレン類、及びケトン類からなる群より選択される一種または二種以上の化合物、或いはこれらの混合物である請求項1〜16のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  18. 前記反応用薬剤は、無機酸、有機酸類、高級脂肪酸類、多塩基酸、多塩基酸無水物、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、アルデヒド類からなる群より選択される一種または二種以上の化合物、或いはこれらの混合物である請求項1〜16のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  19. 前記反応用薬剤として、さらに触媒が注入される請求項17または18に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  20. 前記反応用薬剤注入部と前記反応停止剤注入部の間に、第二の反応用薬剤、反応用副薬剤、バイオマス原料等の第2薬剤を投入するための投入口が1ないし複数個設けられている請求項3〜19のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  21. 前記第2薬剤として、以下のa)、b)、c)、d)、e)、f)の何れか或いはそれらの混合物が用いられる請求項20に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
    a)フェノール類、アルコール類および環状エステル類など水酸基又は潜在的に水酸基を有する化合物等の液化用試薬及び液化触媒
    b)各種の無機酸、有機酸類、高級脂肪酸類、多塩基酸又はその無水物、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、アルデヒド類等の修飾変性用試薬及び修飾変性用触媒
    c)各種のビニルモノマー、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、多塩基酸又はその無水物類、グリコール類等のグラフト重合用試薬及び重合開始剤
    d)各種の酸、アルカリ、重合開始剤等の反応触媒
    e)同種又は異種のバイオマス物質
    f)各種の溶媒
  22. 前記第2薬剤は、予め所定の温度に加熱されているもの、又は投入工程中に所定の温度まで加熱されるものである請求項20または21に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  23. 前記反応停止剤注入部に注入される反応停止剤として、前記酸触媒を中和して失活させることができ、かつ分解、架橋、高融点化反応等の副反応を防止し得る物質が用いられる請求項3〜22のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  24. 前記液化反応部の下流側に、バイオマス物質の液化生成物中に含まれる未液化部分等の固形物を除去する固形物除去手段が設けられている請求項1〜23のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  25. 前記揮発成分除去部は、未反応薬剤や水分等の揮発成分を吸引除去できる1ないし複数個の第3ベント口により構成されている請求項5〜24のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  26. 前記液化反応部と前記揮発成分除去部の間に流量制御機構が設けられている請求項5〜25のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  27. 前記排出部は、強制排出手段が付設された排出口からなる請求項1〜26のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  28. 前記撹拌処理装置は、前記ケーシングの内部に1本の撹拌部材が配置された単軸型である請求項1〜27のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  29. 前記撹拌処理装置は、前記ケーシングの内部に複数本の撹拌部材が配置された多軸型である請求項1〜27のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  30. 前記ケーシング内に、複数の撹拌部材がその撹拌軸を上流側の撹拌部材の撹拌軸の中に挿通配置する態様で同一軸上に直列状態に設けられると共に、各撹拌部材はそれぞれ独立した駆動機構により駆動せしめられるものとなされ、少なくとも1つの撹拌部材が、順方向と逆方向に交互に自軸回転するものとなされている請求項1〜29のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  31. 前記撹拌部材は、固定軸と、該固定軸の両端部分に回転自在に外嵌された回転スリーブと、これら回転スリーブ間において前記固定軸に外嵌されて固定された固定スリーブと、前記回転スリーブと固定スリーブに亘って外嵌されかつ両端が回転スリーブに固着されたリボン状又はコイル状スクリュー羽根とで構成され、少なくとも一方の回転スリーブに駆動機構が連結されて、前記スクリュー羽根が順方向と逆方向に交互に自軸回転するものとなされている請求項1〜29のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  32. 前記撹拌部材は、エンドプレート側を片持ち支持された中心軸と、該中心軸に外嵌されかつエンドプレート側を片持ち支持された中空の固定軸と、該固定軸の両端部分に回転自在に外嵌された回転スリーブと、これら回転スリーブ間において前記固定軸に外嵌されて固定された固定スリーブと、前記回転スリーブと固定スリーブに亘って外嵌されかつ両端が回転スリーブに固着されたリボン状又はコイル状スクリュー羽根とで構成されると共に、排出口側の回転スリーブは中心軸に連結され、前記エンドプレート側において、少なくとも一方の回転スリーブに連結される駆動機構が設けられて、前記スクリュー羽根が順方向と逆方向に交互に自軸回転するものとなされている請求項1〜29のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  33. 前記撹拌部材は、
    エンドプレート側を片持ち支持された中空の固定軸と、該固定軸の両端部分に回転自在に外嵌された回転スリーブと、これら回転スリーブ間において前記固定軸に外嵌されて固定された固定スリーブと、前記回転スリーブと固定スリーブに亘って外嵌されかつ両端が回転スリーブに固着されたリボン状又はコイル状スクリュー羽根とで構成された第1撹拌部と、
    前記中空の固定軸の下流側に同一軸上に直列状態に設けられ、その中心にある駆動軸は前記中空の固定軸に挿通させた態様で、かつ前記エンドプレート側を片持ち支持されてなるスクリューからなる第2撹拌部とで構成され、
    前記下流側の回転スリーブは前記スクリューに連結され、前記エンドプレート側において、少なくとも一方の回転スリーブに連結される駆動機構が設けられ、前記スクリュー羽根が順方向と逆方向に交互に自軸回転するものとなされている請求項1〜29のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  34. 前記スクリュー羽根は、前記材料供給部と前記加熱部の間に設けられている請求項31〜33のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  35. 前記ベント口から放出される揮発成分を回収する回収手段が付設されている請求項13〜34のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  36. 前記バイオマス物質は、木材、古紙等のリグノセルロース、デンプン、糖等の糖類、もみがら、小麦ふすま、オカラ、米ぬか等の農業生産品、食品及び食品工業廃棄物、或いはセルロースアセテート、変性デンプン等のバイオマス誘導体からなる群より選択される一種または二種以上の物質である請求項1〜35のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  37. 前記バイオマス物質は、木材、古紙等のリグノセルロース、デンプン、糖等の糖類、もみがら、小麦ふすま、オカラ、米ぬかからなる群より選ばれる一種または二種以上の物質である請求項36に記載のバイオマス物質の液化物の製造装置。
  38. 請求項1〜37のいずれか1項に記載の製造装置を用いてバイオマス物質の液化物を製造する方法であって、
    前記製造装置内にその材料供給部を介してバイオマス物質を投入すると共に前記反応用薬剤注入部を介して反応用薬剤を投入し、前記撹拌部材を順方向と逆方向に交互に自軸回転させることによって前記ケーシング内でバイオマス物質と反応用薬剤を撹拌混合してバイオマス物質を液化して液化生成物を得、該液化生成物を前記排出部より排出することを特徴とするバイオマス物質の液化物の製造方法。
  39. 請求項1〜37のいずれか1項に記載の製造装置を用いてバイオマス物質の液化物を製造する方法であって、
    前記バイオマス物質を前記製造装置内にその材料供給部を介して連続的に供給する材料供給工程と、
    前記供給されたバイオマス物質を加熱しながら下流側に向けて搬送する予熱搬送工程と、
    前記バイオマス物質を液化させる反応用薬剤を前記製造装置の反応用薬剤注入部を介して注入する反応用薬剤注入工程と、
    前記バイオマス物質と反応用薬剤を混合せしめる混合工程と、
    前記混合物を所定の液化反応温度まで加熱する加熱工程と、
    前記所定の液化反応温度に保温して液化反応を行わしめる液化反応工程と、
    前記バイオマス物質の液化反応を停止させる反応停止剤を前記反応停止剤注入部を介して注入して液化反応を停止させる液化停止工程と、
    未反応薬剤や水分等の揮発成分を前記揮発成分除去部を介して除去する揮発成分除去工程と、
    液化生成物を冷却すると共に前記排出部を介して液化生成物を排出する排出工
    程とを包含することを特徴とするバイオマス物質の液化物の製造方法。
  40. 前記反応用薬剤注入工程及び前記混合工程の温度は50〜170℃の範囲に設定する一方、前記加熱工程、液化反応工程及び揮発成分除去工程の温度は120〜250℃の範囲に設定する請求項39に記載のバイオマス物質の液化物の製造方法。
  41. 前記反応用薬剤として、フェノール類、アルコール類、多価アルコール類、および環状エステル類等の水酸基又は潜在的に水酸基を有する化合物、またはオキシエーテル類、環状エーテル類、炭酸アルキレン類、およびケトン類からなる群より選択される一種または二種以上の物質、或いはこれらの混合物を用いる請求項38〜40のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造方法。
  42. 前記反応用薬剤として、無機酸、有機酸類、高級脂肪酸類、多塩基酸、多塩基酸無水物、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、アルデヒド類からなる群より選択される一種または二種以上の化合物、或いはこれらの混合物を用いる請求項38〜40のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造方法。
  43. 前記反応用薬剤としてさらに触媒を注入する請求項41または42に記載のバイオマス物質の液化物の製造方法。
  44. 前記反応用薬剤注入工程及び前記反応停止剤注入工程の間に、第二の反応用薬剤、反応用副薬剤、液化原料等の第2薬剤を投入するための投入工程を設ける請求項39〜43のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造方法。
  45. 前記第2薬剤として、以下のa)、b)、c)、d)、e)の何れかあるいはそれらの混合物を用いる請求項44に記載のバイオマス物質の液化物の製造方法。
    a)フェノール類、アルコール類および環状エステル類など水酸基又は潜在的に水酸基を有する化合物から選択される一種または二種以上の物質
    b)各種の無機酸、有機酸類、多塩基酸又はその無水物類、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、アルデヒド類などから選択される一種または二種以上の物質と反応触媒あるいはそれらの混合物、さらには必要に応じて溶媒類
    c)各種のビニルモノマー、環状エステル類、ラクチド、オキシド類、多塩基酸又はその無水物類、グリコール類から選択される一種または二種以上の物質と重合開始剤、反応触媒あるいはそれらの混合物、溶媒など
    d)各種の反応触媒
    e)同種又は異種のバイオマス物質
  46. 前記第2薬剤は、予め所定の温度に加熱されているもの、又は投入工程中に所定の温度まで加熱されたものである請求項44または45に記載のバイオマス物質の液化物の製造方法。
  47. 前記液化反応工程で得られたバイオマス物質の液化生成物中に含まれる未液化部分等の固形物を除去する固形物除去工程を設ける請求項38〜46のいずれか1項に記載のバイオマス物質の液化物の製造方法。
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