JP3971061B2 - バイオマス物質液化物の製造装置とその方法 - Google Patents

バイオマス物質液化物の製造装置とその方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば生分解性または生物崩壊性を有する種々の樹脂原料等として有用なバイオマス物質の液化物を製造するバイオマス物質液化物の製造装置とその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、石油等の化石原料から生産されるプラスチック、合成繊維等の使用量は莫大である。しかし、化石資源は有限なものであり、再生使用にも限界があるため、これら化石資源の使用量低減が強く望まれている。
【0003】
また、化石資源を原料として生産された化学製品は自然分解しないため、廃棄する際には焼却処理などを必要とする。しかし、これら化学製品を焼却処理を行う際には、大きな燃焼エネルギを放出したり、CO2 等の温室効果ガスや、ダイオキシン等の有害化学物質を発生させ得るため、大気汚染や、地球環境の温暖化等に十分な配慮をしなければならない。
【0004】
また、一般廃棄物および産業廃棄物の排出量は膨大である。このような廃棄物の中には、食品製造過程で必要成分を抽出した後の絞り滓や、外皮等のセルロース物質や、糖類物質、リグノセルロース物質としての木材等のバイオマス物質廃棄物が含まれる。そして、このような一般廃棄物および産業廃棄物の中に含まれる木質廃棄物の量はかなり多く、年間4000万トン以上に達すると言われている。
【0005】
一方、地球上に存在するバイオマス物質の量は膨大である。これらバイオマス物質は、自然界においても微生物の作用により分解されて無機物に還元するという物質循環リサイクルがある。したがって、バイオマス物質を基にした材料は、化石燃料を原料とした材料に比べると、廃棄処理にともなう環境負荷がはるかに軽減される。さらに、これらバイオマス物質は化石燃料に比べると、人類の力ではるかに短い時間で作り出す事が可能であり、原料枯渇の問題がない。
【0006】
しかしながら、現在、バイオマス廃棄物は、熱加工が困難な材料であること等から有効利用できる用途は極めて少ない。例えば、キノコ生産、飼料等にバイオマス廃棄物の一部が使用されるのみである。そして、バイオマス廃棄物のほとんどは産業廃棄物として焼却処理されている。したがって、バイオマス廃棄物の再利用率は極めて低く、地球環境保全の見地から資源の有効活用を図るべく、このようなバイオマス物質についても有効活用する方法の開発が強く望まれている。
【0007】
このようなバイオマス物質の有効利用のためのアプローチの一つとして、生分解性または生物崩壊性を有する種々の樹脂原料として、あるいは燃料源等として使用できるようにするために、バイオマス物質を液化させることが種々検討されるとともに、この液化物を用いた樹脂の製造もいくつか検討されている。
【0008】
例えば、特開昭61−261358号公報には、バイオマス物質の一種であるリグノセルロース物質をフェノール類の存在下で200〜300℃に加熱することにより液化できることが記載されている。また、特開昭62−79230号公報には、リグノセルロース物質をアルコール類、多価アルコール類、オキシエーテル類、環状エーテル類、およびケトン類から選択される一または二以上の物質に加えて、150〜350℃に加熱することにより液化できることが記載されている。さらに、特開平8−225653号公報には、リグノセルロース物質を酸触媒、環状エステルおよび多価アルコールの存在下で100〜200℃に加熱することにより液化できることが記載されている。
【0009】
また、リグノセルロース物質を工業生産スケールで多量に効率よく液化させる方法や、装置としては、例えば、特開平5−140322号公報に記載されているものがある。これは、耐圧設計された反応容器と、攪拌機と、容器内の圧力を制御する加圧排気装置と、薬液供給装置と、熱媒加熱循環装置とを備えたバッチ式の装置を設け、反応容器内でリグノセルロース物質を所定温度、所定圧力に調整しつつ攪拌を行うことで、リグノセルロース物質を多量に液化させようにしたものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭61−261358号公報、特開昭62−79230号公報および特開平8−225653号公報に示されたリグノセルロース物質の液化方法では実験レベルで少量のリグノセルロース物質を液化させるのに長時間を要しており、到底工業的に応用できるものではない。
【0011】
また、特開平5−140322号公報に示されたリグノセルロース物質の液化方法と装置は、1つの反応容器内でリグノセルロース物質を液化させる方式、いわゆるバッチ式である。この場合には反応後の液化物を反応容器内から取り出す工程や、反応容器内に新たに液化する材料を投入する工程中、すなわち反応容器内の入れ替え作業中は反応容器内で液化反応を行うことができない問題がある。そのため、この分、装置の運転効率が低下するためリグノセルロース物質の液化効率はいまだ満足できるものではない上に、得られる液化物の品質にバラツキが生じ易い、すなわち製造安定性が低い問題がある。
【0012】
さらに、この装置は、リグノセルロース物質の液化物の製造のみを目的として特別に設計、製作されることになるので、汎用性に乏しい装置であることから、装置コストが多大であり、このため製造コストが増大するという難点もある。
【0013】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、例えば生分解性または生物崩壊性を有する種々の樹脂原料等として使用できるバイオマス物質の液化物を効率よく、かつ再現性良く連続的に低コストで製造できるとともに、得られる液化物の品質にバラツキが生じることなく製造安定性に優れたバイオマス物質液化物の製造装置とその方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、バイオマス物質の液状化プロセスについて継続的に試験を行い、実験室レベルでは十分に目的を達成する技術を開発した。すなわち、バイオマス物質と、酸触媒と、フェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質とを、ある種の条件下で混合することによってバイオマス物質が液化されるということである。上記の開発に引き続き、また同時に、発明者らは、本プロセスを工業的に成立させる方法および装置について検討した。
【0015】
一方、バイオマス物質と同様の有機物質であるプラスチックの分野においては、反応・混練を押出機中で行うリアクティブプロセシング(反応押出)あるいはリアクティブコンパウンディング(反応をともなう混練押出)が活用され始めていた。発明者らは、この事実に着目し、本プロセスに押出機を適用することを検討した。
【0016】
発明者らは、本格的に押出機で試験を行う前に、口径20mm、L/D=25、異方向回転、フルフライトスクリュを持つ試験用二軸押出機で実験を行った。結果は、ある程度の液状化が可能であり、押出機による液状化の可能性が確認された。
【0017】
ここで、発明者らは、どのような形式の押出機が、本プロセスに最適であるかを検討した。この押出機の形式としては、現状では、スクリュの本数により単軸、二軸、三軸以上の各形式の押出機がある。また、回転方向により異方向回転と同方向回転の各形式の押出機がある。さらに、二軸以上では噛み合い条件により完全噛み合い、部分噛み合い、非噛み合いの各形式の押出機がある。発明者らは鋭意調査を行った結果、混練能力、生産能力等の機械的性能に優れ、かつコストパフォーマンスが良いということ、そしてプラスチックの反応・混練分野で現在最も多用されているということより、完全噛み合い型同方向回転二軸押出機を実験に適用することを選択した。
【0018】
押出機による最初の実験においては、バイオマス物質としてリグノセルロース物質の未乾燥の木粉を使用した。木粉は、その他の液体である酸触媒や溶剤と一緒に、押出機の基部に設けられた原料供給口に一括して供給された。この場合、溶剤の粘度が低いこと、および液体の量が木粉の量に比べて比較的多いことから、木粉を安定して前方にスクリュにより搬送することができず、運転を行うことができなかった。そこで、プラスチックの混練において多用される別供給方式(サイドフィード方式)を採用することにした。すなわち、原料供給口と押出機先端に設けられた液化物の吐出口の間に、酸触媒と溶剤のための供給口を設け、そこへこれら物質を液体注入した。この方法により、木粉を安定して前方にスクリュにより搬送できるようになった。
【0019】
しかし、今度は、木粉中に含まれる水分が押出機中で蒸発し、その水蒸気が押出機基部の原料供給口に逆流する現象により安定した原料供給が阻害されるために、安定した運転を行うことができなかった。原料搬送部に相当するシリンダ設定温度を低くすることで、上記の蒸気逆流現象は若干緩和されたが、根本的な解決とはならなかった。そこで、やはりプラスチックの混練分野で使用されている、特開平10−6383号公報のような方法を適用することにした。すなわち、原料供給口と溶剤・酸触媒注入口の間に、水蒸気を放出するベント口を設ける方式を採用した。この方法の採用により、原料供給口への蒸気逆流量は減少し、安定した運転ができるようになった。この場合、搬送部(移送部)のシリンダ設定温度は、木粉の炭化・劣化を防止するために比較的低く、そして水蒸気除去後の反応・混練部のシリンダ設定温度は、混練・反応を促進するために比較的高くしている。
【0020】
以上の改良により安定した運転が実現され、吐出口から液状化された木粉が吐出された。分析してみると未液化残渣率が高く、かつ流動性が劣っていた。未液化残渣率が高い原因としては、滞留時間の不足により溶解が十分に進行していないことが原因と考えられた。また、流動性の不足に対しては、未液化残渣が多いことと同時に、液化した物が高分子化(架橋反応)していることが考えられた。特に、吐出後の過剰な液化物の蓄熱により、架橋反応が進行したためと考えられた。
【0021】
以上の問題点に対し、発明者らは次のような対策を行った。滞留時間の増大により未液化残渣を少なくするために、L/Dを39から48へ長くすると同時に、スクリュの構成を滞留時間がより長くなる構成に変更した。また、吐出物の過剰蓄熱による架橋反応を防ぐために、反応、混錬、脱揮を行う二軸押出機に、押出機をタンデム型に接続し、その押出機で必要な程度に液化物の冷却を行うことにした。さらに、この反応は酸触媒の酸性下で進行することから、酸触媒を中和する物質を、反応、混練、脱揮を行う二軸押出機中の液状化反応後のバイオマス物質に供給して反応を停止することで過剰反応を防止することにした。この対策により、液化物中の未液化残渣は減少し、今までにない良好な結果を得ることができた。また、中和物質の供給および冷却用押出機の採用により、吐出物の架橋反応あるいは過剰反応が防止され、安定した品質が得ることができた。
【0022】
冷却用押出機の冷却については、多価アルコール系あるいは環状エステル系では、液化物が常温でも液体状態を保持するため、冷水などにより常温まで冷却した。一方、フェノール系では、常温では固化するため、冷却用押出機を80℃前後に温度コントロールを行って冷却した。特に、冷却の均一性を出す必要性がある場合は、温水を使用した冷却であるスクリュ温度調節が適用される。
【0023】
以上の対策により、良好な品質のバイオマス物質を得ることができたが、得られたバイオマス物質中には未反応の過剰溶剤が含まれており、これを除去するための脱揮処理をバッチプロセスで行わなければならなかった。そこで、発明者らは、通常のプラスチックの押出成形において行われているように、反応停止後に脱揮工程を盛り込むことで、プロセスの更なる合理化を図ることにした。
【0024】
反応停止後に脱揮を行うために、反応、混練、脱揮を行う二軸押出機に真空ベント口が設けられた。また、脱揮不足に備えるために、反応、混練、脱揮を行う二軸押出機にタンデム型に接続された冷却用押出機の接続口より上流側(いわゆるリアベント)と下流側にも真空ベント口を設けた。これにより、多くの未反応の過剰溶剤が除去され、後処理の脱揮作業が不要となった。
【0025】
以上の対策により、本システムの装置構成も変更となった。すなわち、本システムは、バイオマス物質の反応、混練、脱揮用二軸押出機と、これにタンデム型に接続された脱揮、冷却用の単軸あるいは二軸押出機で構成される組み合わせ押出機となった。また、反応、混練、脱揮用二軸押出機のスクリュ構造は、供給された木粉(バイオマス物質)の安定輸送を行う搬送部、木粉中の水分除去を行う乾燥部、木粉と溶剤を酸触媒下で混練しかつ反応を行う反応・混練部、液状化したバイオマス物質の過剰反応を抑制するために酸触媒の中和剤を混合する反応停止部、反応停止後のバイオマス物質中に含まれる未反応の過剰溶剤を除去する脱揮部、液化物を搬送・押し出す押出部によって構成されるようになった。
【0026】
以上の装置、方法の改善により、バイオマス物質の液化物の製造装置および方法が確立できた。本方法は、従来方法に比べて、二軸押出機の持つ強い混練・反応能力により未液化残渣を低レベルとすることができるだけでなく、より高いバイオマス物質比でも液状化可能になった。また、含有される水分の除去を二軸押出機中で行う、未反応の過剰溶剤の除去を本装置中で行うことにより、事前乾燥および脱揮作業が不要となり、大幅な設備の合理化も可能になった。さらに、反応、混練、脱揮用の二軸押出機へタンデム型に接続された単軸あるいは二軸押出機による強くかつ均質な冷却効果は、液化物の品質安定性を改善し、工業化にとって有効な手段となった。そして、以上の技術的事項から次に示す本発明の装置および方法が導かれる。
【0027】
すなわち、請求項1の発明はバイオマス物質が供給される材料供給部と、
この材料供給部から供給されたバイオマス物質を粉砕しながら搬送する粉砕搬送部と、
この粉砕搬送部で粉砕されたバイオマス物質の液状化反応を促進させるための反応用薬剤を注入する反応用薬剤注入部と、
上記バイオマス物質と上記反応用薬剤とを混合し、混練して上記バイオマス物質の液状化反応を促進させる反応促進部と、
この反応促進部の下流側に配置され、液状化反応される上記バイオマス物質の反応を停止させる反応停止剤を注入する反応停止剤注入部と、
この反応停止剤注入部の下流側に配置され、未反応薬剤を除去する脱揮部とを備え、上記バイオマス物質の液化物を製造する第1の押出機と、
この第1の押出機から送り出される高温の上記バイオマス物質の液化物を冷却する冷却手段と、
この冷却手段で上記バイオマス物質の液化物を冷却しながら上記バイオマス物質の液化物の取出し口側に搬送する搬送手段とを備えた第2の押出機とを具備することを特徴とするバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項1の発明ではバイオマス物質の液化物の製造時には材料供給部から第1の押出機に供給されたバイオマス物質を粉砕搬送部で粉砕しながら搬送し、反応用薬剤注入部で反応用薬剤を注入したのち、反応促進部でバイオマス物質と反応用薬剤とを混合して混練してバイオマス物質の液状化反応を促進させる。その後、反応停止剤注入部で、反応停止剤を注入し、液状化反応されるバイオマス物質の反応を停止させることにより、バイオマス物質の過剰反応による高分子化を防止する。続いて、脱揮部で未反応薬剤を除去してバイオマス物質の液化物を製造した後、この第1の押出機から送り出される高温のバイオマス物質の液化物を第2の押出機に供給し、バイオマス物質の液化物を冷却しながらバイオマス物質の液化物の取出し口側に搬送するようにしたものである。
【0028】
請求項2の発明は上記第1の押出機はシリンダの内部に2本のスクリュが回転自在に挿入された二軸押出機であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項2の発明では第1の押出機である二軸押出機の駆動時にはシリンダの内部に挿入された2本のスクリュが回転駆動されてバイオマス物質が搬送されるようにしたものである。
【0029】
請求項3の発明は上記第1の押出機は上記シリンダの温度を調整する温度調整手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項3の発明では第1の押出機の駆動時には温度調整手段によってシリンダの温度を調整することにより、シリンダの温度をバイオマス物質の炭化・劣化を防止する比較的低温状態に設定したり、バイオマス物質の反応、混練、脱揮を促進する比較的高温状態に設定できるようにしたものである。
【0030】
請求項4の発明は上記第1の押出機はバイオマス物質中に含有される水分を除去するベント口が、上記材料供給部と上記反応用薬剤注入部との間に設けられ、上記ベント口の周囲に上記バイオマス物質の乾燥部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項4の発明では第1の押出機の駆動中、材料供給部と反応用薬剤注入部との間のベント口からバイオマス物質中に含有される水分を除去することにより、ベント口の周囲の乾燥部でバイオマス物質を乾燥させるようにしたものである。
【0031】
請求項5の発明は上記第1の押出機は上記シリンダ内の2本のスクリュに上記粉砕搬送部と、上記乾燥部と、上記反応促進部と、上記反応停止剤注入部と上記脱揮部との間に配置される反応停止部と、上記脱揮部と、この脱揮部から押出される液状化された上記バイオマス物質の押出部とにそれぞれ配置されるスクリュが設けられていることを特徴とする請求項1、2、4のいずれかに記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項5の発明では第1の押出機の駆動中、シリンダ内の2本のスクリュの回転にともない粉砕搬送部と、乾燥部と、反応促進部と、反応停止剤注入部と脱揮部との間に配置される反応停止部と、脱揮部と、この脱揮部から押出される液状化されたバイオマス物質の押出部とにそれぞれ配置される各スクリュによってバイオマス物質をシリンダ内で円滑に順次搬送させるようにしたものである。
【0032】
請求項6の発明は上記反応促進部は上記シリンダの内部の2本のスクリュに複数のニーディングディスクと複数のスクリュセグメントとを交互に配置して上記バイオマス物質の反応を調整する反応調整手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項6の発明では反応促進部のシリンダの内部の2本のスクリュに複数のニーディングディスクと複数のスクリュセグメントとを交互に配置することにより、バイオマス物質がニーディングディスクを通過する際にバイオマス物質の液状化反応が急速に進行することを防止してバイオマス物質の反応を好適な状態に調整するようにしたものである。
【0033】
請求項7の発明は上記第1の押出機は上記粉砕搬送部の上記シリンダの設定温度が上記バイオマス物質の炭化・劣化を防止する150℃以下の低温状態に設定され、上記反応促進部および上記脱揮部の上記シリンダの設定温度が反応、混練、脱揮を促進する160℃〜190℃の高温状態に設定されていることを特徴とする請求項5に記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項7の発明では第1の押出機の粉砕搬送部のシリンダの設定温度を150℃以下の低温状態に設定することにより、粉砕搬送部を通るバイオマス物質の炭化・劣化を防止するとともに、反応促進部および脱揮部のシリンダの設定温度を160℃〜190℃の高温状態に設定することにより、バイオマス物質の反応、混練、脱揮を促進するようにしたものである。
【0034】
請求項8の発明は上記第2の押出機は加熱・冷却能力を持つシリンダの内部に1本のスクリュが回転自在に挿入された単軸押出機、あるいは加熱・冷却能力を持つシリンダの内部に2本のスクリュが回転自在に挿入された二軸押出機が上記第1の押出機に対してタンデム型に接続されたものであることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項8の発明では第1の押出機から送られるバイオマス物質の液化物を第2の押出機を構成する単軸押出機のシリンダの内部の1本のスクリュの回転、あるいは二軸押出機のシリンダの内部の2本のスクリュの回転により、バイオマス物質の液化物の取出し口側に円滑に搬送するようにしたものである。
【0035】
請求項9の発明は上記第2の押出機は上記第1の押出機から送り出される上記バイオマス物質の液化物の押出物中から未反応薬剤を除去する第2の脱揮部が設けられていることを特徴とする請求項1または8に記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項9の発明では第1の押出機から第2の押出機にバイオマス物質の液化物を送り出す際に、第2の押出機の第2の脱揮部によってバイオマス物質の液化物中から未反応薬剤を除去するようにしたものである。
【0036】
請求項10の発明は上記第2の押出機は上記バイオマス物質の液化物の用途に応じて、上記冷却手段によって上記バイオマス物質の液化物過剰反応を防止する室温に冷却されていることを特徴とする請求項1または8に記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項10の発明ではバイオマス物質の液化物の用途に応じて、第2の押出機の冷却手段によってバイオマス物質の液化物過剰反応を防止する室温に冷却されているようにしたものである。
【0037】
請求項11の発明は上記反応用薬剤注入部に注入される反応用薬剤はフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種の物質と酸触媒あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項11の発明ではフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種の物質と酸触媒あるいはそれらの混合物からなる反応用薬剤を反応用薬剤注入部に注入させるようにしたものである。
【0038】
請求項12の発明は上記反応停止剤注入部に注入される反応停止剤は上記酸触媒を中和する物質によって形成され、上記反応促進部の酸触媒下で進行する上記バイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応を停止し、架橋反応の過剰反応による高分子化を防止するものであることを特徴とする請求項11に記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項12の発明では酸触媒を中和する物質によって形成された反応停止剤を反応停止剤注入部に注入させることにより、反応促進部の酸触媒下で進行するバイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応を停止し、架橋反応の過剰反応による高分子化を防止するようにしたものである。
【0039】
請求項13の発明は上記脱揮部で上記未反応薬剤を除去する手段は上記反応停止部で上記酸触媒を中和する物質により、上記バイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応が停止された後に、液状化されたバイオマス物質中に含まれる過剰薬剤をも吸引除去するベント口を備えていることによることを特徴とする請求項12に記載のバイオマス物質液化物の製造装置である。
そして、本請求項13の発明では反応停止部で酸触媒を中和する物質により、バイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応が停止された後に、液状化されたバイオマス物質中に含まれる未反応の過剰溶剤を脱揮部のベント口で未反応薬剤を吸引除去するようにしたものである。
【0040】
請求項14の発明はバイオマス物質の液化物を製造する第1の押出機にバイオマス物質を供給するバイオマス物質供給工程と、
上記材料供給部から供給されたバイオマス物質を粉砕しながら搬送する粉砕搬送工程と、
この粉砕搬送工程で粉砕されたバイオマス物質に液状化反応を促進させるための反応用薬剤を注入する反応用薬剤注入工程と、
上記バイオマス物質と上記反応用薬剤とを混合し、混練して上記バイオマス物質の液状化反応を促進させる反応促進工程と、
この反応促進工程で液状化反応されたのち、上記バイオマス物質の液状化反応を停止させる反応停止剤を注入する反応停止剤注入工程と、
この反応停止剤注入工程で注入された反応停止剤によって液状化反応が停止された上記バイオマス物質から未反応薬剤を除去する脱揮工程と、
上記第1の押出機で製造された高温の上記バイオマス物質の液化物を上記第1の押出機とタンデムに接続された第2の押出機に供給するバイオマス物質の液化物供給工程と、
上記第2の押出機に供給された上記バイオマス物質の液化物を冷却しながら上記バイオマス物質の液化物の取出し口側に搬送する搬送工程と
を具備することを特徴とするバイオマス物質液化物の製造方法である。
そして、本請求項14の発明ではバイオマス物質の液化物の製造時には第1の押出機に供給されたバイオマス物質を粉砕搬送工程で粉砕しながら搬送し、反応用薬剤注入工程で反応用薬剤を注入するとともに、反応促進工程でバイオマス物質と反応用薬剤とを混合し、混練してバイオマス物質の液状化反応を促進させたのち、反応停止剤注入工程で、反応停止剤を注入することにより、液状化反応されるバイオマス物質の反応を停止させる。これにより、バイオマス物質の過剰反応による高分子化を防止する。その後、脱揮工程で未反応薬剤を除去してバイオマス物質の液化物を製造した後、この第1の押出機から送り出される高温のバイオマス物質の液化物を第2の押出機に供給し、バイオマス物質の液化物を冷却しながらバイオマス物質の液化物の取出し口側に搬送するようにしたものである。
【0041】
請求項15の発明は上記第1の押出機での上記粉砕搬送工程は上記バイオマス物質の温度が上記バイオマス物質の炭化・劣化を防止する150℃以下の低温状態に設定され、
上記反応促進工程および上記脱揮工程での上記バイオマス物質の温度が反応、混練、脱揮を促進する160℃〜190℃の高温状態に設定されていることを特徴とする請求項14に記載のバイオマス物質液化物の製造方法である。
そして、本請求項15の発明では第1の押出機の粉砕搬送工程のシリンダの設定温度を比較的低温状態に設定することにより、粉砕搬送工程におけるバイオマス物質の炭化・劣化を防止するとともに、反応促進工程および脱揮工程のシリンダの設定温度を比較的高温状態に設定することにより、バイオマス物質の反応、混練、脱揮を促進するようにしたものである。
【0042】
請求項16の発明は上記反応用薬剤注入工程で注入される反応用薬剤はフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種の物質と酸触媒あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項14に記載のバイオマス物質液化物の製造方法である。
そして、本請求項16の発明ではフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種の物質と酸触媒あるいはそれらの混合物からなる反応用薬剤を反応用薬剤注入工程で注入させるようにしたものである。
【0043】
請求項17の発明は上記反応停止剤注入工程は上記反応促進工程の酸触媒下で進行する上記バイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応を、上記酸触媒を中和する物質によって形成される反応停止剤を注入して停止し、架橋反応等の過剰反応による高分子化を防止する工程であることを特徴とする請求項16に記載のバイオマス物質液化物の製造方法である。
そして、本請求項17の発明では反応促進工程の酸触媒下で進行するバイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応を、反応停止剤注入工程で、酸触媒を中和する物質によって形成される反応停止剤を注入して停止し、架橋反応等の過剰反応による高分子化を防止するようにしたものである。
【0044】
請求項18の発明は上記第2の押出機での上記搬送工程は上記第1の押出機から送り出される上記バイオマス物質の液化物の押出物中から未反応薬剤を除去する第2の脱揮工程を具備することを特徴とする請求項14に記載のバイオマス物質液化物の製造方法である。
そして、本請求項18の発明では第1の押出機から第2の押出機にバイオマス物質の液化物の押出物を送り出す際に、第2の押出機の第2の脱揮工程によってバイオマス物質の液化物の押出物中から未反応薬剤を除去するようにしたものである。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1および図2を参照して説明する。図1は本実施の形態の多糖類等のバイオマス物質液化物の製造装置全体の概略構成を示すものである。本実施の形態のバイオマス物質液化物の製造装置にはバイオマス物質、例えば木粉などのリグノセルロース物質を供給する材料供給フィーダ(材料供給部)1と、該材料の反応、混練、脱揮を行い、バイオマス物質の液化物を製造する第1の押出機2と、この第1の押出機2に対してタンデム型に接続され、最終的に必要な温度に冷却されたバイオマス物質の液化物を取出し口である吐出ノズル3側に吐出する脱揮、冷却用の第2の押出機4とが設けられている。ここで、材料供給フィーダ1としては、通常のプラスチック成形に用いられる容量式のスクリュフィーダ等が使用される。ただし、木粉等では、フィーダ1のホッパ部でブリッジ現象が発生する可能性があるため、ブリッジ防止のアジテータ等を付加する方が良い。さらに、最終用途によって、液化物の高精度で安定した物性が要求される場合は、重量式の原料供給フィーダを使用する方が良い。
【0046】
また、第1の押出機2には溶媒および酸触媒の注入を行う液体注入装置5と、酸触媒を中和する物質の供給を行う反応停止装置6と、未反応の過剰溶剤を真空吸引する真空ベント装置7とが連結されている。なお、第1の押出機2と第2の押出機4との間はジャンクション部8を介して連結されている。
【0047】
また、本実施の形態の第1の押出機2は二軸押出機で構成されている。図2は本実施の形態の第1の押出機2の概略構成を示すものである。この第1の押出機2にはシリンダ10の内部に2本のスクリュ11が回転自在に挿入されている。ここで、2本のスクリュ11は減速機12を介してモータ13に連結されている。そして、このモータ13により減速機12を介して2本のスクリュ11が回転駆動されるようになっている。
【0048】
また、シリンダ10には減速機12との連結端部側(図2中で右側)から順にバイオマス物質が供給される原料供給口(材料供給部)14と、バイオマス物質中に含有される水分を放出するベント口15と、溶剤や酸触媒を液体注入する液体注入口16と、酸触媒を中和する物質を供給する停止剤供給口17と、未反応の過剰溶剤を放出する真空ベント口18とがそれぞれ設けられている。
【0049】
さらに、スクリュ11には、バイオマス物質を搬送しながら予熱を行う搬送部19と、バイオマス物質中に含まれる水分を蒸発分離し、ベント口15から放出する乾燥部20と、バイオマス物質と溶剤とを酸触媒下で反応、混練を行う反応・混練部21と、液化したバイオマス物質の反応を停止するために酸触媒を中和する物質を混合する反応停止部22と、反応停止後の液化したバイオマス物質に含まれる未反応の過剰溶剤を除去する脱揮部23と、液状化したバイオマス物質を押出す押出部24とがそれぞれ設けられている。
【0050】
ここで、スクリュ11の搬送部19はフルフライト形状のスクリュエレメント19aによって構成され、シリンダ10の原料供給口14と対応する位置に配置されている。
【0051】
また、スクリュ11の乾燥部20はシリンダ10の原料供給口14とベント口15との間に配置されている。そして、このスクリュ11の乾燥部20はフルフライト形状のスクリュエレメント20aと混練用のニーディングブレードを複数個連続して取付けたニーディングディスク20bとによって構成されている。なお、スクリュ11の乾燥部20は、基本的にはフルフライト形状のスクリュエレメント20aによって構成されるが、含水分の蒸発分離を促進し、バイオマス物質を微粉砕して後工程での反応、混練を促進するために、本実施の形態のように混練用のニーディングディスク20bを組合わせて用いてもよい。
【0052】
そして、スクリュ11の搬送部19と乾燥部20とによって材料供給フィーダ1から供給されたバイオマス物質を粉砕しながら搬送する粉砕搬送部25が構成されている。
【0053】
さらに、シリンダ10には原料供給口14とベント口15との間に例えば電気式ヒータあるいは熱媒等の加熱装置26が取付けられている。そして、シリンダ10内のバイオマス物質は、乾燥部20において、シリンダ10に取付けられた加熱装置26により加熱され、含水分を蒸発分離し、分離された水分がベント口15から水蒸気として放出されるようになっている。
【0054】
また、シリンダ10の液体注入口16には液体注入装置5の液体注入部(反応用薬剤注入部)27が連結されている。ここで、液体注入装置5には粉砕搬送部25で粉砕されたバイオマス物質の液状化反応を促進させるための反応用薬剤である溶剤用のタンク28と、酸触媒用のタンク29とが設けられている。さらに、溶剤用のタンク28には溶剤移送配管30の一端部が連結されている。この溶剤移送配管30の中途部には溶剤用の注入ポンプ31が介設されている。なお、溶剤移送配管30の他端部は液体注入部27に取付けられる溶剤用の注入弁32に連結されている。
【0055】
また、酸触媒用のタンク29には酸触媒移送配管33の一端部が連結されている。この酸触媒移送配管33の中途部には酸触媒用の注入ポンプ34が介設されている。さらに、酸触媒移送配管33の他端部は液体注入部27に取付けられる酸触媒用の注入弁35に連結されている。
【0056】
そして、注入ポンプ31の駆動にともない溶剤用のタンク28内に収容されている溶剤が溶剤移送配管30を通して圧送され、注入弁32を経由して液体注入部27に圧入されるとともに、同様に注入ポンプ34の駆動にともない酸触媒用のタンク29内に収容されている酸触媒が酸触媒移送配管33を通して圧送され、注入弁35を経由して液体注入部27に圧入されてバイオマス物質の液状化反応を促進させるようになっている。
【0057】
なお、注入ポンプ31、34としては、反応度合いの変動を極小化するため、そして押出特性の安定化を図るために定量性の良いポンプを使う方が良い。また、液体注入装置5としては酸触媒と溶剤とを液体混合装置などでブレンドし、混合液として一台の注入装置で供給してもよい。さらに、融点が常温以上の溶剤に対しては、注入装置5全体を加熱して第1の押出機2に供給するようになっている。
【0058】
また、スクリュ11の反応・混練部21はシリンダ10のベント口15と停止剤供給口17との間に配置されている。そして、この反応・混練部21の上流側の部分には、ニーディングディスク部21aが設けられている。ここで、ニーディングディスク部21aの上流部分にはバイオマス物質の更なる微粉砕を行い、かつシリンダ10の液体注入口16から注入された溶剤および酸触媒の原料供給口14への逆流を防止するために、スクリュ溝内部の原料充満率が高くなるようにニーディングブレードを複数個連続して取付けた第1のニーディングディスク21a1 が配設されている。
【0059】
さらに、このニーディングディスク部21aの下流部分にはスクリュ溝内部の原料充満率が低くなるようにニーディングブレードを複数個連続して取付けた第2のニーディングディスク21a2 が配設されている。この第2のニーディングディスク21a2 の部分は、シリンダ10の液体注入口16と対応する位置に配置されている。そして、溶剤注入ポンプ31および酸触媒注入ポンプ34から、溶剤移送配管30および酸触媒移送配管33、さらに溶剤用注入弁32および酸触媒用注入弁35を経由して圧送されてきた溶剤および酸触媒がこの第2のニーディングディスク21a2 の部分に注入されるようになっている。
【0060】
また、反応・混練部21におけるニーディングディスク部21aよりも下流側の部分にはニーディングブレードを複数個連続して取付けたニーディングディスク21bとフルフライトスクリュ21cとを交互に配置してバイオマス物質の反応を調整する反応調整手段36が設けられている。ただし、反応・混練部21のスクリュをニーディングディスクや、逆ネジレのフルフライトスクリュのみで構成した場合には液化されたバイオマス物質の一部がニーディングディスクや、逆ネジレのフルフライトスクリュからの強いせん断作用等により温度上昇を起こし、過剰な架橋反応を引き起こす可能性がある。そのため、本実施の形態では搬送能力は強いが混練能力が低いいくつかのフルフライトスクリュによっていくつかのニーディングディスクに分割することにより、バイオマス物質を緩やかに、あるいはステップ的に液化させるようになっている。
【0061】
そして、この反応・混練部21によってバイオマス物質と反応用薬剤とを混合し、混練してバイオマス物質の液状化反応を促進させる反応促進部37が形成されている。
【0062】
また、シリンダ10の停止剤供給口17には反応停止装置6の液体中和剤注入部(反応停止剤注入部)38が連結されている。ここで、反応停止装置6には液状化反応されるバイオマス物質の反応を停止させる反応停止剤である液体中和剤、すなわち酸触媒の中和液のタンク39が設けられている。このタンク39には反応停止剤移送配管40の一端部が連結されている。この反応停止剤移送配管40の中途部には反応停止剤用の注入ポンプ41が介設されている。さらに、反応停止剤移送配管40の他端部は液体中和剤注入部38に取付けられる反応停止剤用の注入弁42に連結されている。そして、注入ポンプ41の駆動時にはタンク39内の液体中和剤が反応停止剤移送配管40を通して圧送され、注入弁42を経由してシリンダ10の停止剤供給口17に圧入されるようになっている。この中和液は、液化されたバイオマス物質と混合され、酸触媒を中和してバイオマス物質の液化反応を停止するようになっている。
【0063】
なお、本実施の形態では、反応停止剤として液体を使用しているが、固体の反応停止剤を使用することも可能である。その場合は、二軸スクリュ式のサイドフィーダ等を用いて、第1の押出機2に強制押し込みにより供給することになる。
【0064】
また、スクリュ11の反応停止部22はシリンダ10の停止剤供給口17と真空ベント口18との間に配置されている。この反応停止部22を構成するスクリュには混合のみを行うニーディングディスク43、あるいは切り欠きスクリュ等が使用される。
【0065】
また、シリンダ10の真空ベント口18には真空ベント装置7のベントポート44が取付けられている。このベントポート44には真空配管45の一端部が連結されている。この真空配管45の他端部は脱揮物を凝縮させるコンデンサー46を経て真空ポンプ47に連結されている。そして、この真空ポンプ47の駆動にともないベントポート44に真空状態が形成され、この真空により、液化されたバイオマス物質中の未反応の過剰溶剤が除去されるようになっている。
【0066】
また、シリンダ10の真空ベント口18に配置されている脱揮部23を構成するスクリュは、反応停止部22と隣り合う部分に、樹脂シールを行い、かつ脱揮作用による中和液の吸引を防ぐ逆ネジレのスクリュ、あるいはニーディングディスク等が配置され、その他の部分にはフルフライトスクリュ48が配置されている。
【0067】
さらに、スクリュ11の押出部24は、バイオマス物質の液化物の架橋反応を防ぐため、搬送のみを行うフルフライトスクリュ49等によって構成される。
【0068】
また、第1の押出機2と第2の押出機4との間のジャンクション部8は第1の押出機2の端末部に取付けられるアダプタ部50と、液化したバイオマス物質が流れる単管部51と、第2の押出機4に取付けられたフィードブロック部52とから構成されている。
【0069】
なお、本実施の形態ではジャンクション部8は、第1の押出機2と第2の押出機4との間を密閉系で接続しているが、ジャンクション部8を取外し、第1の押出機2の吐出口から第2の押出機4の接続口へ直接流し込むことも可能である。
【0070】
また、第2の押出機4は加熱・冷却能力を持つシリンダ53の内部に1本のスクリュ(搬送手段)54が回転自在に挿入された単軸押出機、あるいは加熱・冷却能力を持つシリンダ53の内部に2本のスクリュ54が回転自在に挿入された二軸押出機で構成されている。ここで、シリンダ53内のスクリュ54は減速機55を介してモータ56に連結されている。そして、このモータ56により減速機55を介してスクリュ54が回転駆動されるようになっている。
【0071】
また、第2の押出機4にはスクリュ54の冷却、あるいは温度調節を行うために冷媒、あるいは熱媒をスクリュ54の内部に流し込むためのスクリュ冷却継手部(冷却手段)57と、シリンダ53を冷却、あるいは温度調節を行うためのジャケット部(冷却手段)58と、未反応の過剰溶剤を除去する真空リアベント部59と、同じく未反応の過剰溶剤を除去する真空ベント部60とがそれぞれ設けられている。ここで、ジャケット部58については、冷却水の通水パイプを内部に持つパイプ鋳込みヒータを使い、冷却と温度調節の両方を行うことが可能である。
【0072】
さらに、スクリュ54は、冷却効果を最大限発揮させるため、せん断作用による発熱を防ぐため、圧縮部あるいは混練部を持たないフルフライトスクリュが使用される。
【0073】
また、真空リアベント部59はジャンクション部8との接続口の上流側に配置され、真空ベント部60はジャンクション部8との接続口の下流側に配置されている。さらに、真空リアベント部59および真空ベント部60には第1の押出機2の真空ベント装置7と同様の構成の真空ベント装置61が連結されている。すなわち、この真空ベント装置61には真空リアベント部59および真空ベント部60にそれぞれ連結される真空配管62と、脱揮物を凝縮させるコンデンサー63と、真空ポンプ64とが設けられている。そして、真空ポンプ64の駆動にともない真空リアベント部59および真空ベント部60にそれぞれ真空状態が形成され、この真空により、第2の押出機4のシリンダ53内を流れる液化されたバイオマス物質中の未反応の過剰溶剤が除去されるようになっている。これにより、反応、混練、脱揮用の第1の押出機2での脱揮不足に備えるようになっている。
【0074】
なお、本発明において、取り扱い可能な材料は次の通りである。すなわち、バイオマス物質は、何らかの技術により人間が有効に利用できるエネルギや、有機原料に変換可能な生命体を基にした有機物質全てを指す。本発明において、対象となるバイオマス物質は特に限定されるものではないが、例えば、リグノセルロース物質、食品、糖類物質、あるいは食品、糖類物質の製造過程で不要となる物質等が挙げられる。
【0075】
リグノセルロース物質は、リグニン、セルロースおよびへミセルロースを三大主成分とするものである。代表的な物質として、例えば、木粉、木材繊維、木材チップ、単板クズなどの木材を粉砕した物、藁、もみ殻などの植物繊維素、グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、古紙などの紙・パルプ類等が挙げられる。上記木材の種類としては、特に限定されず、例えばマカンバ、シトカスプルース、スギ、アカマツ、ポプラ、ラワン、ヒノキ等が挙げられる。
【0076】
食品としては、米、小麦、トウモロコシ等の穀類やジャガイモ、サツマイモ等の芋類が挙げられる。糖類物質としては、澱粉等の多糖類物質、あるいは砂糖、バガス等が挙げられる。さらに、これら糖類物質や食品を製造する際に不要物として処理される漉し殻(コーヒーやビール等)、外皮などが挙げられる。
【0077】
また、使用するバイオマス物質の粒度も特に限定はされないが、生産性を考慮すると粒度の小さいものを用いるのが好ましい。
【0078】
さらに、バイオマス物質は、酸触媒の存在下に、フェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質(溶剤)と反応することにより、液化される。
【0079】
上記フェノール類としては、特に限定されるものではないが、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾシノール、アクリルレゾシノール、ビスフェノールA等が挙げられる。中でも、バイオマス物質との反応性が高いフェノール、ビスフェノールAが好適に用いられる。
【0080】
また、多価アルコール類としては、特に限定されるものではないが、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ぺンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレングリコール等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビドール、マンニトール、スークロース等、あるいはこれらを出発物質とするポリカプロラクトンを一部に含むポリエーテルポリオール等の三官能以上の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、安価で工業的に入手し易いグリセリンとポリエチレングリコールの混液などが好適に用いられる。
【0081】
環状エステル類としては、特に限定されるものではないが、開環反応して重合し得る物が好適であり、例えばプロピオラクトン、β−ブチロラクトン、α,α‘−ビスクロロメチルプロピオラクトン、α,α’−ジメチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、グリコリド、トリメチルカーボネート、ネオペンチルカーボネート、エチレンオキサレート、プロピオンオキサレート、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトン、γ−メチル−ε−カプロラクトン、4−メチル−7−イソプロピル−ε−カプロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε−カプロラクトン、シス−ジサリシリド、トリサリシリド等が挙げられる。これらの中でも、安価で工業的に入手しやすくバイオマス物質を液化させ易いε−カプロラクトンが好適に用いられる。
【0082】
さらに、酸触媒としては、特に限定されず、例えば無機酸、有機酸、ルイス酸等が挙げられ、具体的には硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、3フッ化ホウ素等が好適に用いられる。
【0083】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のバイオマス物質液化物の製造装置の使用時には容量式、あるいは重量式の材料供給フィーダ1によってバイオマス物質、例えば水分を含有する木粉等のリグノセルロース物質が、反応、混練、脱揮用の第1の押出機2の原料供給口14からシリンダ10の内部に投入される(バイオマス物質供給工程)。
【0084】
投入されたバイオマス物質は、シリンダ10内のフルフライト形状のスクリュエレメント19aによって構成されるスクリュ11の搬送部19により前方に輸送され、乾燥部20に到達する。
【0085】
さらに、乾燥部20において、バイオマス物質は、混練用のニーディングディスク20bおよびフルフライト形状のスクリュエレメント20aによって順次前方に輸送される。このとき、バイオマス物質は、シリンダ10に取付けられた電気式ヒータ、あるいは熱媒等の加熱装置26により加熱される。これにより、バイオマス物質の含水分が蒸発分離し、分離された水分がベント口15から水蒸気としてシリンダ10の外部に放出される。
【0086】
さらに、乾燥部20を通るバイオマス物質はニーディングディスク20bによって微粉砕されて含水分の蒸発分離が促進されるとともに、後工程に搬送される(粉砕搬送工程)。
【0087】
また、乾燥部20を通過したバイオマス物質は、反応・混練部21に到達する。このとき、反応・混練部21に流入されたバイオマス物質はニーディングディスク部21aにおける上流部分の第1のニーディングディスク21a1 を経て第2のニーディングディスク21a2 側に搬送される。ここで、第1のニーディングディスク21a1 はスクリュ溝内部の原料充満率が高く、第2のニーディングディスク21a2 はスクリュ溝内部の原料充満率が低くなるように設定されているので、バイオマス物質が第1のニーディングディスク21a1 を通る際に更に微粉砕される。
【0088】
さらに、第1の押出機2の運転中、液体注入装置5からシリンダ10の液体注入口16に溶剤および酸触媒が供給される(反応用薬剤注入工程)。このとき、溶剤および酸触媒は第2のニーディングディスク21a2 の部分に注入される。
【0089】
そして、注入された溶剤および酸触媒とバイオマス物質とは、第2のニーディングディスク21a2 の部分で混練される。このとき、液体注入された溶剤および酸触媒が原料供給口14側へ逆流することが、スクリュ溝内部の原料充満率が高くなる第1のニーディングディスク21a1 によって防止される。
【0090】
また、第2のニーディングディスク21a2 の部分で混練された溶剤および酸触媒とバイオマス物質との混合物は続いてスクリュ溝内部の原料充填率が低くなるニーディングディスク部21aの下流側に押出される。そして、混練された溶剤および酸触媒とバイオマス物質との混合物は続いて、反応・混練部21の下流側部分の複数のニーディングディスク21bとフルフライトスクリュ21cとを交互に並べた反応調整手段36でさらに混練される(反応促進工程)。
【0091】
このとき、反応・混練部21のスクリュをニーディングディスクや、逆ネジレのフルフライトスクリュのみで構成される一つの長大な物とすると、液化されたバイオマス物質の一部がニーディングディスクからの強いせん断作用等により温度上昇を起こし、過剰な架橋反応を引き起こす可能性がある。そのため、本実施の形態では反応・混練部21のスクリュは、搬送能力は強いが混練能力が低いフルフライトスクリュによっていくつかに分割され、そしてバイオマス物質は反応調整手段36の複数のニーディングディスク21bとフルフライトスクリュ21cとによって緩やかに徐々に、あるいはステップ的に液化される。
【0092】
また、反応・混練部21において液化されたバイオマス物質は、反応停止部22に送り込まれる。ここには、反応停止剤用の注入ポンプ41から反応停止剤移送配管40、そして反応、混練、脱揮用の第1の押出機2の停止剤供給口17に取り付けられた反応停止剤用の注入弁42を経由して圧送されてきた酸触媒の中和液が圧入される(反応停止剤注入工程)。
【0093】
この中和液は、液化されたバイオマス物質と混合され、酸性条件を中和してバイオマス物質の液化反応を停止する。また、中和液により反応が停止された液化バイオマス物質中には、未反応の過剰溶剤が含まれている。これらの過剰溶剤は、反応停止部22の次に設けられた脱揮部23によって除去される(脱揮工程)。
【0094】
この脱揮部23においては、反応、混練、脱揮を行う第1の押出機2の真空ベント口18に取り付けられたベントポート44に、真空配管45とコンデンサー46を経由して接続された真空ポンプ47により、真空状態が形成される。この真空により、液化されたバイオマス物質中の未反応の過剰溶剤が除去される。
【0095】
また、脱揮部23では反応停止部22と隣り合う部分に配置された樹脂シールおよび逆ネジレのスクリュ、あるいはニーディングディスク等で、第1の押出機2の真空ベント口18に脱揮作用による中和液の吸引を防ぐ。さらに、脱揮部23のフルフライトスクリュ48を通過したバイオマス物質の液化物は、押出部24のフルフライトスクリュ49によって均質化されながら、ジャンクション部8へ搬送される。
【0096】
また、反応、混練、脱揮用の第1の押出機2で液化されたバイオマス物質は、ジャンクション部8を経由して、脱揮、冷却用の単軸あるいは二軸押出機からなる第2の押出機4に送り込まれる(バイオマス物質の液化物供給工程)。
【0097】
なお、本実施の形態ではジャンクション部8は、第1の押出機2と第2の押出機4との間を密閉系で接続しているが、ジャンクション部8を取外し、第1の押出機2の吐出口から第2の押出機4の接続口へ直接流し込むことも可能である。
【0098】
そして、第2の押出機4に送り込まれたバイオマス物質の液化物は、シリンダ53内のスクリュ54によって脱揮、冷却用の第2の押出機4の先端のノズル3に向かって搬送される(搬送工程)。
【0099】
このとき、第2の押出機4ではジャケット部58に冷却水、あるいは熱媒を流してシリンダ53の冷却、あるいは温度調節が行われる。さらに、スクリュ冷却継手部57からスクリュ54に導入される冷却水、あるいは熱媒によってスクリュ54が冷却、あるいは温度調節される。そのため、第2の押出機4によるバイオマス物質の液化物の搬送中、第2の押出機4のシリンダ53内を搬送されるバイオマス物質の液化物はシリンダ53およびスクリュ54を介して原料特性に応じた温度まで冷却および均質化される。
【0100】
また、第2の押出機4によるバイオマス物質の液化物の搬送中、真空ポンプ64の駆動にともない真空リアベント部59および真空ベント部60にそれぞれ真空状態が形成される。そして、この真空により、第2の押出機4のシリンダ53内を流れる液化されたバイオマス物質中の未反応の過剰溶剤が除去される。この場合、シリンダ53の設定温度は、真空リアベント部59および真空ベント部60では脱揮効果を促進するために比較的高温に設定され、それ以降の部分ではバイオマス物質の原料特性に応じた必要温度まで冷却するために比較的低温に設定される。
【0101】
また、脱揮、冷却用の第2の押出機4により必要な温度まで冷却されたバイオマス物質の液化物は、脱揮、冷却用の第2の押出機4の先端に取り付けられたノズル3から、最終的な液化物として吐出される。
【0102】
次に、本実施の形態のバイオマス物質液化物の製造装置の実験機(図3参照)および比較用の実験機(図4参照)を用いて行った第1の実験の結果を、次に示す実施例(1−1)〜(1−6)および比較例(1−1)〜(1−4)を用いて説明する。
【0103】
ここで、用いたバイオマス物質は、含水率約20%のオガクズ(マツ)である。溶剤としては、多価アルコール系のポリエチレングリコールとグリセリンを70:30の比で混合した物を使用した。さらに、酸触媒は硫酸を使用し、ポリエチレングリコールとグリセリンの混合液に約3%(3重量部)添加した。すなわち、溶剤と酸触媒の混合液として、第1の押出機2に注入した。反応停止剤としては、水酸化マグネシウム水溶液を使用した。なお、この実験結果は次の表1および表2に示す通りである。ここで、バイオマス物質の液化物における未液化残渣率は
未液化残渣率(%)=残渣重量(g)/仕込み木粉重量(g)×100
である。
【0104】
【表1】
Figure 0003971061
【0105】
【表2】
Figure 0003971061
【0106】
(実施例1−1):
図3は、本実施の形態のバイオマス物質液化物の製造装置の実験機全体の概略構成を示すものである。ここでは、反応、混練、脱揮用の第1の押出機101として、東芝機械製の同方向回転二軸押出機(形格:TEM−37BS)を、また脱揮、冷却用の第2の押出機102として東芝機械製の同方向回転軸押出機(形格:TEM−37B)をそれぞれ使用し、脱揮、冷却用の第2の押出機102を反応、混練、脱揮用の第1の押出機101にタンデム型に接続した。ただし、第1の押出機101のジャンクション部103から第2の押出機102の接続口111へ直接流し込む開放系とした。さらに、スクリュ口径は、どちらの機械も37mmである。
【0107】
また、木粉用の材料供給フィーダ104には容量式の単軸スクリュフィーダを使用し、溶剤と酸触媒の混合液および反応停止剤の中和液の注入には二連式のプランジャポンプ105を使用した。なお、図3中で、121は溶剤と酸触媒の混合液の注入装置、122は反応停止剤の中和液の注入装置である。
【0108】
さらに、反応、混練、脱揮用の第1の押出機101は、L/D=48、シリンダ温度調節は7ゾーンで加熱・冷却制御である。また、シリンダには、基部からジャンクション部103に向かって原料供給口106、ベント口107、液体注入口108、停止剤供給口109、真空ベント口110が設けられている。この真空ベント口110には真空ポンプ123と、コンデンサ124とを備えた第1の脱揮装置125が連結されている。
【0109】
ここで、ベント口107には、木粉の舞い上がり、あるいは盛り上がりを押さえるベントブロックが取り付けられ、真空引きは行わず、大気開放とした。さらに、液体注入口108および反応停止剤供給口109には、液体注入弁が取り付けられている。ただし、本実施例1の液体は常温で液体であるため、加熱は行わず、常温で注入した。スクリュは、搬送部、乾燥部、反応・混練部、反応停止部、脱揮部、押出部から構成されるものを使用した。
【0110】
また、脱揮、冷却用の第2の押出機102は、L/D=32、シリンダは加熱・冷却が可能であり、シリンダ基部には、ジャンクション部103との接続口111が設けられている。さらに、ジャンクション部103との接続口111の前後には、真空リアベント口112と真空ベント口113が設けられている。そして、真空リアベント口112および真空ベント口113には真空ポンプ126と、コンデンサ127とを備えた第2の脱揮装置128が連結されている。
【0111】
なお、第2の押出機102のシリンダを冷却、或いは温度調節を行うための図示しないジャケット部の内部に冷却水を通水して接続口111に流れ込んだ液化物を冷却するようにした。
【0112】
また、スクリュは、全てフルフライトスクリュから構成されるものを使用し、スクリュ冷却は実施しなかった。スクリュ回転数は、30rpmで固定とした。さらに、脱揮、冷却用の第2の押出機102の先端には、内径約10mmのノズル114を取り付け、そこから液化された木粉が吐出された。
【0113】
また、反応、混練、脱揮用の第1の押出機101の反応・混練部、脱揮部および押出部のシリンダ設定温度を170℃に設定し、木粉3.5kg/Hを原料供給口106へ、溶剤と酸触媒6.0kg/Hを液体注入口108に供給し、木粉比約33%の液化物を作成した。
【0114】
この実験では、スクリュ回転数100rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機101の出口における液化物の温度は約170℃であった。また、脱揮、冷却用の第2の押出機102の先端に取り付けられたノズル114の出口での液化物の温度は約17℃であり、外観の良好な液体状態で吐出された。さらに、吐出された液化物の未液化残渣率は約14%と従来より良好であり、その他の物性も良好であった。
【0115】
(実施例1−2):
実施例1−1と全く同様の装置、シリンダ設定温度を用い、木粉3.0kg/Hを原料供給口106へ、溶剤と酸触媒の混合液3.8kg/Hを液体注入口108に供給し、木粉比約40%の液化物を作成した。
【0116】
この実験では、スクリュ回転数100rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機101の出口における液化物の温度は約160℃であった。また、脱揮、冷却用の第2の押出機102の先端に取り付けられたノズル114の出口での液化物の温度は約17℃であり、外観の良好な液体状態で吐出された。さらに、吐出された液化物の未液化残渣率は約7%と極めて理想的であり、その他の物性も良好であった。
【0117】
(実施例1−3):
実施例1−1と全く同様の装置を用い、木粉3.0kg/Hを原料供給口106へ、溶剤と酸触媒の混合液3.8kg/Hを液体注入口108に供給し、木粉比約40%の液化物を作成した。ただし、反応・混練部、脱揮部および押出部のシリンダ設定温度を180℃に変更した。
【0118】
この実験では、スクリュ回転数100rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機101の出口における液化物の温度は約170℃であった。また、脱揮、冷却用の第2の押出機102の先端に取り付けられたノズル114の出口での液化物の温度は約17℃であり、外観の良好な液体状態で吐出された。さらに、吐出された液化物の未液化残渣率は約7%と極めて良好であったが、その他の物性が許容範囲内ではあるが若干低下した。
【0119】
(実施例1−4):
実施例1−1と全く同様の装置を用い、木粉3.0kg/Hを原料供給口106へ、溶剤と酸触媒の混合液3.8kg/Hを液体注入口108に供給し、木粉比約40%の液化物を作成した。ただし、反応・混練部、脱揮部および押出部のシリンダ設定温度をさらに190℃に変更した。
【0120】
この実験では、スクリュ回転数100rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機101の出口における吐出物は、ゲル化していた。その後、反応、混練、脱揮用の第1の押出機101のトルクが次第に上昇し、トルクオーバで停止した。この原因は、シリンダ設定温度が高すぎたために、シリンダ内部で過剰に液化物の架橋反応が進行し、液化物が高分子化したためと推測された。
【0121】
(実施例1−5):
実施例1−1と全く同様の装置、シリンダ設定温度を用い、木粉3.3kg/Hを原料供給口106へ、溶剤と酸触媒の混合液2.8kg/Hを液体注入口108に供給し、木粉比約50%の液化物を作成した。
【0122】
この実験では、スクリュ回転数100rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機101の出口における液化物の温度は約170℃であった。また、脱揮、冷却用の第2の押出機102の先端に取り付けられたノズル114の出口での液化物の温度は約17℃であり、外観は硬い液体状態、すなわち若干流動性が劣る状態で吐出された。ここで、吐出された液化物の未液化残渣率は約19%と従来よりは良好であり、その他の物性も良好であった。
【0123】
(実施例1−6):
実施例1−1と全く同様の装置を用い、木粉3.3kg/Hを原料供給口106へ、溶剤と酸触媒の混合液2.8kg/Hを液体注入口108に供給し、木粉比約50%の液化物を作成した。ただし、反応・混練部、脱揮部および押出部のシリンダ設定温度を160℃に変更した。
【0124】
この実験では、スクリュ回転数100rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機101の出口における液化物の温度は約165℃であった。また脱揮、冷却用の第2の押出機102の先端に取り付けられたノズル114の出口での液化物の温度は約25℃であり、外観は硬い液体状態、すなわち若干流動性が劣る状態で吐出された。ここで、吐出された液化物の未液化残渣率は約36%と高かったが、その他の物性はそれほど悪くなかった。
【0125】
(比較例1−1):
図4は本実施の形態のバイオマス物質液化物の製造装置との比較用の実験機全体の概略構成を示すものである。本実験機では、反応、混練用の押出機201として、東芝機械製の同方向回転二軸押出機(形格:TEM−37BS)を使用し、冷却用の押出機は使用しなかった。さらに、木粉用の原料供給フィーダ202には容量式の単軸スクリュフィーダを、溶剤と酸触媒の混合液の注入には二連式のプランジャポンプ203を使用した。なお、図4中で、211は溶剤と酸触媒の混合液の注入装置である。
【0126】
また、反応、混練用の押出機201は、L/D=39、シリンダ温度調節は6ゾーンで加熱・冷却制御である。さらに、シリンダには、基部から反応、混練用の押出機201の先端に取り付けられたノズル204に向かって原料供給口205、ベント口206、液体注入口207が設けられている。先端に取り付けられたノズル204は、内径約10mmであり、そこから液化された木粉が吐出された。
【0127】
また、本実験機による実験の初期段階では、ベント口206および液体注入口207には盲栓を取り付けた。すなわち、木粉中に含有される水蒸気の除去は行わず、溶剤と酸触媒の混合液はシリンダ基部の原料供給口205に木粉と一緒に供給した。
【0128】
しかし、この場合、溶剤と酸触媒の混合液の量が木粉に比べて比較的多いために、シリンダ内の搬送部のスクリュで原料を安定して輸送することができず、運転ができなかった。
【0129】
そのため、液体注入口207に液体注入弁を取り付け、溶剤と酸触媒の混合液をサイドフィード方式で供給することにした。ただし、この混合液は常温で液体であるため、混合液の加熱は行わず、常温で注入した。
【0130】
このように溶剤と酸触媒の供給をサイドフィード方式へ変更することにより、搬送部の木粉の輸送は安定した。しかし、今度は、木粉中に含有される水分が搬送部で蒸発分離して、原料供給口205に逆流する現象が発生した。そのため、木粉が原料供給口205の側壁等に付着して、安定した原料供給を阻害するようになった。
【0131】
そこで、ベント口206に取り付けられた盲栓を取り外し、替わりに水蒸気を放出しながら木粉の舞い上がり、あるいは盛り上がりを押さえるベントブロックを取り付けた。この場合、水蒸気の流れと同時に木粉が飛散するのを防ぐため、真空引きは行わず、大気開放とした。この変更により、水蒸気の原料供給口205への逆流は大幅に低減され、安定した原料供給が可能になった。
【0132】
以上の変更に伴い、本実験機による押出機201のスクリュは、搬送部、乾燥部、反応・混練部、押出部から構成されるものに変更された。そして、反応、混練用の押出機201の反応・混練部および押出部のシリンダ設定温度を170℃に設定し、木粉3.0kg/Hを原料供給口205ヘ、溶剤と酸触媒6.0kg/Hを液体注入口207に供給し、木粉比約33%の液化物を作成した。
【0133】
この実験では、スクリュ回転数100rpmの時の反応、混練用の押出機201の出口における液化物の温度は約165℃であった。また、吐出物の外観は泥状であった。さらに、吐出された液化物の未液化残渣率は約35%と高く、その他の物性も良くなかった。
【0134】
(比較例1−2):
実施例1−1と全く同様の装置、シリンダ設定温度を用い、木粉3.0kg/Hを原料供給口205ヘ、溶剤と酸触媒の混合液4.5kg/Hを液体注入口207に供給し、木粉比約40%の液化物を作成した。
【0135】
この実験では、スクリュ回転数100rpmの時の反応、混練用の押出機201の出口における液化物の温度は約170℃であった。また、吐出物の外観はペースト状であった。さらに、吐出された液化物の未液化残渣率は約32%と高く、その他の物性もあまり良くなかった。
【0136】
(比較例1−3):
実施例1−1と全く同様の装置、シリンダ設定温度を用い、木粉3.0kg/Hを原料供給口205へ、溶剤と酸触媒の混合液3.0kg/Hを液体注入口207に供給し、木粉比約50%の液化物を作成した。
【0137】
この実験では、スクリュ回転数120rpmの時の反応、混練用の押出機201の出口における液化物の温度は約170℃であった。また、吐出物の外観はペースト状であった。さらに、吐出された液化物の未液化残渣率は約37%と高く、その他の物性もあまり良くなかった。
【0138】
(比較例1−4):
滞留時間を長くするためにスクリュ回転数を60rpmに低下した。この場合には、反応、混練用の押出機201の出口における液化物の温度は約170℃であった。また、 吐出物の外観は硬い泥状であった。さらに、吐出された液化物の未液化残渣率は約28%とと意外に低かったが、その他の物性はあまり良くなかった。
【0139】
また、上記表1および表2の実験結果における実施例(1−1)〜(1−6)と比較例(1−1)〜(1−4)との比較は次の通りである。すなわち、比較例(1−1)〜(1−3)の構成では、反応、混練用押出機201のL/Dが短いため、滞留時間が不足し、反応不足により未液化残渣率が高い。また、冷却用押出機を使用していない、および反応停止処理を行っていないため、吐出後のバイオマス物質の液化物の蓄熱により、架橋反応が進行し、バイオマス物質の液化物が高分子化している。この二つの理由から、バイオマス物質の液化物の流動性が低下し、工業的に有用なバイオマス物質の液化物を得ることができなかった。
【0140】
一方、実施例(1−1)〜(1−6)の構成では、反応、混練、脱揮用の第1の押出機101のL/Dが長いために、必要な反応時間に対して滞留時間が十分あることより、未液化残渣率が低くなった。
【0141】
また、反応、混練、脱揮用の第1の押出機101において反応停止処理を行ったことにより、バイオマス物質の液化物の架橋反応が抑制されたため、高分子化が生ぜず、流動性の良いバイオマス物質の液化物を得ることができた。さらに、脱揮、冷却用の第2の押出機102を使用したことにより、バイオマス物質の液化物の蓄熱量が冷却により低減されたことにより、架橋反応が抑制されるとともに、バイオマス物質の液化物の均質化、および急速な温度低下による酸化防止も行われたため、高品質のバイオマス物質の液化物を得ることができた。
【0142】
ただし、シリンダ設定温度はリグノセルロース物質としてのバイオマス物質の液化物の液化率および架橋反応に微妙な影響を及ぼし、適正温度は170℃〜180℃前後にある事が判明した。すなわち、160℃以下では反応不足となり、190℃以上では架橋反応が進行してバイオマス物質の液化物の流動性が失われる。
【0143】
また、本発明装置による利点として、高いバイオマス物質比でも液化が可能な事が挙げられる。従来の方法(比較例(1−1)〜(1−4))では、木粉比が約33%程度の場合で、未液化残渣率が30数%程度であった。しかしながら、本発明における実施例1−5に示したように、木粉比が約50%でも、20%以下の未液化残渣率が達成できた。
【0144】
さらに、脱揮処理を本装置中で行っているため後処理が不要となり、本装置でバイオマス物質の液化物を製造するための全てのプロセスを、連続して行うことができるようになった。
【0145】
また、上記表1および表2では記述されていないが、スクリュ回転数を変更した場合、バイオマス物質の液化物中の未液化残渣率は変化した。すなわち、滞留時間が短くなるような運転条件の場合(例えば、スクリュ回転数を速くする、あるいは処理量を増大させる場合)は未液化残渣率は増大し、滞留時間が長くなるような運転条件の場合(例えば、スクリュ回転数を遅くする、あるいは処理量を低下させる場合)は、未液化残渣率が低下した。このことは、用途に応じて、バイオマス物質の液化物の特性を変化させられることを意味し、実際の工業化において、幅広い生産形態を可能にする。その結果、上記実施例(1−1)〜(1−6)および比較例(1−1)〜(1−3)の実験結果の比較から、本発明の装置が、バイオマス物質の液化に有効であることが確認された。
【0146】
次に、糖類物質としてのバイオマス物質として、乾燥した澱粉を用いた第2の実験を行なった。そして、この第2の実験の結果を、次に示す実施例(2−1)〜(2−2)および比較例(2−1)〜(2−4)を用いて説明する。
【0147】
なお、図5は、この第2の実験で使用したバイオマス物質液化物の製造装置の実験機全体の概略構成を示すものである。ここでは、反応、混練、脱揮用の第1の押出機301として、東芝機械製の同方向回転二軸押出機(形格:TEM−37BS)を、また脱揮、冷却用の第2の押出機302として東芝機械製の同方向回転軸押出機(形格:TEM−37B)をそれぞれ使用し、脱揮、冷却用の第2の押出機302を反応、混練、脱揮用の第1の押出機301にカスケード型に接続した。ただし、第1の押出機301と第2の押出機302とのジャンクション部303は、反応・混練用第1の押出機301と冷却用第2の押出機302を固定しない開放系とした。さらに、スクリュ口径は、どちらの機械も37mmである。
【0148】
澱粉用の原料供給フィーダ304には容量式の単軸スクリュフィーダを使用し、溶剤と酸触媒の混合液および反応停止剤の注入には二連式のプランジャポンプ305を使用した。なお、図5中で、321は溶剤と酸触媒の混合液の注入装置、322は反応停止剤の中和液の注入装置である。
【0149】
さらに、反応、混練、脱揮用の第1の押出機301は、L/D=48、シリンダ温度調節は7ゾーンで加熱・冷却制御である。また、シリンダには、基部からジャンクション部303に向かって原料供給口306、液体注入口307、停止剤供給口308、真空ベント口309が設けられている。この真空ベント口309には真空ポンプ323と、コンデンサ324とを備えた第1の脱揮装置325が連結されている。
【0150】
なお、澱粉は乾燥しているため、木粉用の装置のような水蒸気排出用のべント口107(図3参照)は省略することができる。液体注入口307および反応停止剤供給口308には、液体注入弁が取り付けられている。ただし、ここで注入される液体は常温で液体であるため、加熱は行わず、常温で注入される。スクリュは、搬送部、反応・混練部、反応停止部、脱揮部、押出部から構成されるものを使用した。
【0151】
また、脱揮、冷却用の第2の押出機302は、L/D=32、シリンダは加熱・冷却が可能であり、シリンダ基部には、ジャンクション部303との接続口311が設けられている。さらに、ジャンクション部303との接続口311の前後には、真空リアベント口312と真空ベント口313が設けられている。そして、真空リアベント口312および真空ベント口313には真空ポンプ326と、コンデンサ327とを備えた第2の脱揮装置328が連結されている。
【0152】
また、第2の押出機302のスクリュは、全てフルフライトスクリュから構成されるものを使用し、スクリュ冷却は実施しなかった。スクリュ回転数は、30rpmで固定とした。さらに、第2の押出機302の先端には、内径約10mmのノズル314が取り付けられ、そこから液化された澱粉が吐出される。
【0153】
また、この第2の実験で用いた溶剤ととしては、多価アルコール系のポリエチレングリコールとグリセリンを70:30の比で混合した物を使用した。さらに、酸触媒は硫酸を使用し、ポリエチレングリコールとグリセリンの混合液に約3%(3重量部)添加した。すなわち、溶剤と酸触媒の混合液として、押出機に注入した。反応停止剤としては、水酸化マグネシウム水溶液を使用した。
【0154】
(実施例2−1):
反応、混練、脱揮用の第1の押出機301の反応・混練部、脱揮部および押出部のシリンダ設定温度を180℃に設定し、澱粉6.8kg/Hを原料供給口306へ、溶剤と酸触媒9.2kg/Hを液体注入口307に供給し、澱粉比約43%の液化物を作成した。スクリュ回転数80rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機301の出口における液化物の温度は約180℃であった。また、脱揮、冷却用の第2の押出機302の先端に取り付けられたノズル314の出口での液化物の温度は約17℃であり、外観の良好な液体状態で吐出された。吐出された液化物の未溶解残渣率は0%と極めて良好であり、その他の物性も比較的良好であった。
【0155】
(実施例2−2):
実施例2−1と全く同様の装置、シリンダ設定温度を用い、澱粉6.5kg/Hを原料供給口306ヘ、溶剤と酸触媒の混合液6.5kg/Hを液体注入口307に供給し、澱粉比約50%の液化物を作成した。スクリュ回転数180rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機301の出口における液化物の温度は約180℃であった。また、脱揮、冷却用の第2の押出機302の先端に取り付けられたノズル314の出口での液化物の温度は約17℃であり、外観の良好な液体状態で吐出された。吐出された液化物の未溶解残渣率は0%と極めて良好であり、その他の物性も良好であった。
【0156】
(比較例2−1):
実施例2−1と全く同様の装置を用い、澱粉6.8kg/Hを原料供給口306ヘ、溶剤と酸触媒の混合液9.2kg/Hを液体注入口307に供給し、澱粉比約43%の液化物を作成した。ただし、第1の押出機301の反応・混練部、脱揮部および押出部のシリンダ設定温度を170℃とした。スクリュ回転数100rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機301の出口における液化物の温度は約170℃であった。また、脱揮、冷却用の第2の押出機302の先端に取り付けられたノズル314の出口での液化物の温度は約17℃であり、外観は硬い液体状態で吐出された。吐出された液化物の未溶解残渣率は0%であったが、その他の物性が許容範囲内ではあるが若干低下した。
【0157】
(比較例2−2):
実施例2−1と全く同様の装置を用い、澱粉6.5kg/Hを原料供給口306ヘ、溶剤と酸触媒の混合液6.5kg/Hを液体注入口307に供給し、澱粉比約50%の液化物を作成した。ただし、第1の押出機301の反応・混練部、脱揮部および押出部のシリンダ設定温度を150℃とした。スクリュ回転数60rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機301の出口における液化物の温度は約150℃であった。また、脱揮、冷却用の第2の押出機302の先端に取り付けられたノズル314の出口での液化物の温度は約17℃であり、外観は流動性の乏しいゲル状態で吐出された。吐出された液化物の未溶解残渣率は42%であり、極めて液化率が低かった。
【0158】
(比較例2−3):
実施例2−1と全く同様の装置を用い、澱粉6.5kg/Hを原料供給口306ヘ、溶剤と酸触媒の混合液6.5kg/Hを液体注入口307に供給し、澱粉比約50%の液化物を作成した。ただし、第1の押出機301の反応・混練部、脱揮部および押出部のシリンダ設定温度を160℃とした。スクリュ回転数60rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機301の出口における液化物の温度は約160℃であった。また、脱揮、冷却用の第2の押出機302の先端に取り付けられたノズル314の出口での液化物の温度は約17℃であり、外観は流動性の乏しいゴム状態で吐出された。吐出された液化物の未溶解残渣率は25%とと液化率が低かった。
【0159】
(比較例2−4):
実施例2−1と全く同様の装置を用い、澱粉6.5kg/Hを原料供給口306へ、溶剤と酸触媒の混合液6.5kg/Hを液体注入口307に供給し、澱粉比約50%の液化物を作成した。ただし、第1の押出機301の反応・混練部、脱揮部および押出部のシリンダ設定温度を170℃とした。スクリュ回転数180rpmの時の反応、混練、脱揮用の第1の押出機301の出口における液化物の温度は約170℃であった。また、脱揮、冷却用の第2の押出機302の先端に取り付けられたノズル314の出口での液化物の温度は約17℃であり、外観は硬い液体状態で吐出された。吐出された液化物の未溶解残渣率は0%であったが、その他の物性が若干悪かった。
【0160】
なお、この第2の実験の実験結果は次の表3および表4に示す通りである。
【0161】
【表3】
Figure 0003971061
【0162】
【表4】
Figure 0003971061
【0163】
以上の第1の実験および第2の実験の通り、実施例(1−1)〜(1−6),(2−1)〜(2−2)および比較例(1−1)〜(1−3),(2−1)〜(2−4)で、本発明の装置が、バイオマス物質の液化に有効であることが確認された。
【0164】
すなわち、比較例(1−1)〜(1−3)の構成では、反応、混練用押出機のL/Dが短いため、滞留時間が不足し、反応不足により未溶解残渣率が高い。また、冷却用押出機を使用していない、および反応停止処理を行っていないため、吐出後の液化物の蓄熱により架橋反応が進行し、液化物が高分子化している。この二つの理由から、流動性が低下し、工業的に有用なバイオマス物質の液化物を得ることができなかった。
【0165】
一方、実施例(1−1)〜(l−6)の構成では、反応、混練、脱揮用押出機のL/Dが長いために、必要な反応時間に対して滞留時間が十分あることより、未溶解残渣率が低くなった。また、脱揮、冷却押出機を使用したこと、および反応停止処理を行ったことより、液化物の蓄熱による架橋反応が抑制されたため、高分子化がおきず、流動性の良い液化物を得ることができた。
【0166】
また、実施例(1−1)〜(1−6),(2−1)〜(2−2)および比較例(1−1)〜(1−3),(2−1)〜(2−4)より、シリンダ設定温度は糖類物質としてのバイオマス物質の液化率および架橋反応に微妙な影響を及ぼし、適正温度は170℃〜180℃前後にある事が判明した。すなわち、160℃以下では反応不足となり、190℃以上では架橋反応が進行して流動性が失われる。
【0167】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では、反応、混練、脱揮を行う二軸押出機からなる第1の押出機2と脱揮、冷却用の単軸あるいは二軸押出機からなる第2の押出機4とをタンデム型に接続して組み合わせ、バイオマス物質と、溶剤および酸触媒、あるいはそれらの混合物をそれぞれ別々の場所から供給し、先に供給されたバイオマス物質中に含有されている水分を反応、混練、脱揮用の第1の押出機2のベント口15から除去した後に、乾燥されたバイオマス物質とポンプ31、34により反応、混練、脱揮用の第1の押出機2に圧入された溶剤を酸触媒下で反応・混練することで液化させ、この生成したバイオマス物質の液化物にポンプ41により圧入される酸触媒の中和剤を混合して酸性雰囲気を消滅させて反応を停止することで過剰反応を防ぎ、未反応の過剰溶剤を真空除去した後に、バイオマス物質の液化物を第2の押出機4で脱揮、冷却することにより、バイオマス物質の液化が高効率、連続的、定常的に処理できるようになる。そのため、バイオマス物質の液化を連続的かつ安定的に実施可能であり、かつ高品質の液化物を工業的に得ることができる。
【0168】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
【0169】
【発明の効果】
請求項1、2の発明では材料供給部から第1の押出機に供給されたバイオマス物質を粉砕搬送部で粉砕しながら搬送し、反応用薬剤注入部で反応用薬剤を注入した状態で、反応促進部でバイオマス物質と反応用薬剤とを混合し、混練してバイオマス物質の液状化反応を促進させたのち、反応停止剤注入部で、反応停止剤を注入して液状化反応されるバイオマス物質の反応を停止させることにより、バイオマス物質の過剰反応による高分子化を防止する。続いて、バイオマス物質の液化物に残る未反応の過剰溶剤を脱揮部で除去した後、第1の押出機から送り出される高温のバイオマス物質の液化物を第2の押出機に供給し、バイオマス物質の液化物を冷却しながらバイオマス物質の液化物の取出し口側に搬送するようにしたものである。そのため、例えば生分解性または生物崩壊性を有する種々の樹脂原料等として有用なバイオマス物質の液化物を多量に効率よく、再現性良く連続的に、かつ低コストで製造できるとともに、得られる液化物の品質にバラツキが生じることなく製造安定性に優れる。
【0170】
また、請求項3の発明では第1の押出機にシリンダの温度を調整する温度調整手段を設けたので、第1の押出機の駆動時に温度調整手段によってシリンダの温度を調整することにより、シリンダの温度をバイオマス物質の炭化・劣化を防止する比較的低温状態に設定したり、バイオマス物質の反応、混練、脱揮を促進する比較的高温状態に設定することができる。
【0171】
また、請求項4の発明ではバイオマス物質中に含有される水分を除去するベント口が、第1の押出機の材料供給部と反応用薬剤注入部との間に設けられ、ベント口の周囲にバイオマス物質の乾燥部が配置されているので、第1の押出機の駆動中、材料供給部と反応用薬剤注入部との間のベント口からバイオマス物質中に含有される水分を除去することにより、ベント口の周囲の乾燥部でバイオマス物質を乾燥させることができる。
【0172】
また、請求項5の発明では第1の押出機の駆動中、シリンダ内の2本のスクリュの回転にともない粉砕搬送部と、乾燥部と、反応促進部と、反応停止剤注入部と脱揮部との間に配置される反応停止部と、脱揮部と、この脱揮部から押出される液状化されたバイオマス物質の押出部とにそれぞれ配置される各スクリュによってバイオマス物質をシリンダ内で円滑に順次搬送させることができる。
【0173】
また、請求項6の発明では反応促進部のシリンダの内部の2本のスクリュに複数のニーディングディスクと複数のスクリュセグメントとを交互に配置することにより、バイオマス物質がニーディングディスクを通過する際にバイオマス物質の反応が急速に進行することを防止してバイオマス物質の反応を好適な状態に調整することができる。
【0174】
また、請求項7の発明では第1の押出機の粉砕搬送部のシリンダの設定温度を150℃以下の低温状態に設定することにより、粉砕搬送部を通るバイオマス物質の炭化・劣化を防止するとともに、反応促進部および脱揮部のシリンダの設定温度を160℃〜190℃の高温状態に設定することにより、バイオマス物質の反応、混練、脱揮を促進することができる。
【0175】
また、請求項8の発明では第1の押出機に対して第2の押出機をタンデム型に接続することにより、第1の押出機から送られるバイオマス物質の液化物を第2の押出機を構成する単軸押出機のシリンダの内部の1本のスクリュの回転、あるいは二軸押出機のシリンダの内部の2本のスクリュの回転により、バイオマス物質の液化物の取出し口側に円滑に搬送することができる。
【0176】
また、請求項9の発明では第1の押出機から第2の押出機にバイオマス物質の液化物を送り出す際に、第2の押出機の第2の脱揮部によってバイオマス物質の液化物中から未反応の溶剤を除去することができる。
【0177】
また、請求項10の発明ではバイオマス物質の液化物の用途に応じて、第2の押出機の冷却手段によってバイオマス物質の液化物の過剰反応を防止する室温に冷却することができる。
【0178】
また、請求項11の発明ではフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種の物質と酸触媒あるいはそれらの混合物からなる反応用薬剤を反応用薬剤注入部に注入させることにより、バイオマス物質の液状化反応を促進させることができる。
【0179】
また、請求項12の発明では酸触媒を中和する物質によって形成された反応停止剤を反応停止剤注入部に注入させることにより、反応促進部の酸触媒下で進行するバイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応を停止し、架橋反応の過剰反応による高分子化を防止することができる。
【0180】
また、請求項13の発明では反応停止部で酸触媒を中和する物質により、バイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応が停止された後に、液状化されたバイオマス物質中に含まれる未反応の過剰溶剤を脱揮部のベント口で吸引除去することができる。
【0181】
また、請求項14の発明ではバイオマス物質の液化物の製造時には第1の押出機に供給されたバイオマス物質を粉砕搬送工程で粉砕しながら搬送し、反応用薬剤注入工程で反応用薬剤を注入するとともに、次の反応促進工程でバイオマス物質と反応用薬剤とを混合し、混練してバイオマス物質の液状化反応を促進させたのち、反応停止剤注入工程で、反応停止剤を注入し、液状化反応されるバイオマス物質の反応を停止させることにより、バイオマス物質の過剰反応による高分子化を防止し、さらに次の脱揮工程で未反応の溶剤を除去してバイオマス物質の液化物を製造した後、この第1の押出機から送り出される高温のバイオマス物質の液化物を第2の押出機に供給し、バイオマス物質の液化物を冷却しながらバイオマス物質の液化物の取出し口側に搬送するようにしたので、バイオマス物質の液化物を多量に効率よく、再現性良く連続的に、かつ低コストで製造できるとともに、得られる液化物の品質にバラツキが生じることなく製造安定性に優れる。
【0182】
また、請求項15の発明では第1の押出機の粉砕搬送工程のシリンダの設定温度を150℃以下の低温状態に設定することにより、粉砕搬送工程におけるバイオマス物質の炭化・劣化を防止するとともに、反応促進工程および脱揮工程のシリンダの設定温度を160℃〜190℃の高温状態に設定することにより、バイオマス物質の反応、混練、脱揮を促進することができる。
【0183】
また、請求項16の発明ではフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種の物質と酸触媒あるいはそれらの混合物からなる反応用薬剤を反応用薬剤注入工程で注入させることができる。
【0184】
また、請求項17の発明では反応促進工程の酸触媒下で進行するバイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応を、反応停止剤注入工程で、酸触媒を中和する物質によって形成される反応停止剤を注入して停止することにより、架橋反応等の過剰反応による高分子化を防止することができる。
【0185】
また、請求項18の発明では第1の押出機から第2の押出機にバイオマス物質の液化物の押出物を送り出す際に、第2の押出機の第2の脱揮工程によってバイオマス物質の液化物の押出物中から未反応の溶剤を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるバイオマス物質液化物の製造装置全体を示す概略構成図。
【図2】第1の実施の形態の製造装置で使用される第1の押出機を示す概略構成図。
【図3】第1の実施の形態のバイオマス物質液化物の製造装置における第1の実験で使用される実施例(1−1)〜(1−6)の実験装置の概略構成図。
【図4】第1の実施の形態のバイオマス物質液化物の製造装置における第1の実験で使用される比較例(1−1)〜(1−4)の実験装置の概略構成図。
【図5】第1の実施の形態のバイオマス物質液化物の製造装置における第2の実験で使用される実施例(2−1)〜(2−2)および比較例(2−1)〜(2−4)の実験装置の概略構成図。
【符号の説明】
2 第1の押出機
3 吐出ノズル(取出し口)
4 第2の押出機
14 原料供給口(材料供給部)
23 脱揮部
25 粉砕搬送部
27 液体注入部(反応用薬剤注入部)
37 反応促進部
38 液体中和剤注入部(反応停止剤注入部)
54 スクリュ(搬送手段)
57 スクリュ冷却継手部(冷却手段)
58 ジャケット部(冷却手段)

Claims (18)

  1. イオマス物質が供給される材料供給部と、
    この材料供給部から供給されたバイオマス物質を粉砕しながら搬送する粉砕搬送部と、
    この粉砕搬送部で粉砕されたバイオマス物質の液状化反応を促進させるための反応用薬剤を注入する反応用薬剤注入部と、
    上記バイオマス物質と上記反応用薬剤とを混合し、混練して上記バイオマス物質の液状化反応を促進させる反応促進部と、
    この反応促進部の下流側に配置され、液状化反応される上記バイオマス物質の反応を停止させる反応停止剤を注入する反応停止剤注入部と、
    この反応停止剤注入部の下流側に配置され、未反応薬剤を除去する脱揮部とを備え、上記バイオマス物質の液化物を製造する第1の押出機と、
    この第1の押出機から送り出される高温の上記バイオマス物質の液化物を冷却する冷却手段と、
    この冷却手段で上記バイオマス物質の液化物を冷却しながら上記バイオマス物質の液化物の取出し口側に搬送する搬送手段とを備えた第2の押出機とを具備することを特徴とするバイオマス物質液化物の製造装置。
  2. 上記第1の押出機はシリンダの内部に2本のスクリュが回転自在に挿入された二軸押出機であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  3. 上記第1の押出機は上記シリンダの温度を調整する温度調整手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  4. 上記第1の押出機はバイオマス物質中に含有される水分を除去するベント口が、上記材料供給部と上記反応用薬剤注入部との間に設けられ、上記ベント口の周囲に上記バイオマス物質の乾燥部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  5. 上記第1の押出機は上記シリンダ内の2本のスクリュに上記粉砕搬送部と、上記乾燥部と、上記反応促進部と、上記反応停止剤注入部と上記脱揮部との間に配置される反応停止部と、上記脱揮部と、この脱揮部から押出される液状化された上記バイオマス物質の押出部とにそれぞれ配置されるスクリュが設けられていることを特徴とする請求項1、2、4のいずれかに記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  6. 上記反応促進部は上記シリンダの内部の2本のスクリュに複数のニーディングディスクと複数のスクリュセグメントとを交互に配置して上記バイオマス物質の反応を調整する反応調整手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  7. 上記第1の押出機は上記粉砕搬送部の上記シリンダの設定温度が上記バイオマス物質の炭化・劣化を防止する150℃以下の低温状態に設定され、上記反応促進部および上記脱揮部の上記シリンダの設定温度が反応、混練、脱揮を促進する160℃〜190℃の高温状態に設定されていることを特徴とする請求項5に記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  8. 上記第2の押出機は加熱・冷却能力を持つシリンダの内部に1本のスクリュが回転自在に挿入された単軸押出機、あるいは加熱・冷却能力を持つシリンダの内部に2本のスクリュが回転自在に挿入された二軸押出機が上記第1の押出機に対してタンデム型に接続されたものであることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  9. 上記第2の押出機は上記第1の押出機から送り出される上記バイオマス物質の液化物の押出物中から未反応薬剤を除去する第2の脱揮部が設けられていることを特徴とする請求項1または8に記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  10. 上記第2の押出機は上記バイオマス物質の液化物の用途に応じて、上記冷却手段によって上記バイオマス物質の液化物過剰反応を防止する室温に冷却されていることを特徴とする請求項1または8に記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  11. 上記反応用薬剤注入部に注入される反応用薬剤はフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種の物質と酸触媒あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  12. 上記反応停止剤注入部に注入される反応停止剤は上記酸触媒を中和する物質によって形成され、上記反応促進部の酸触媒下で進行する上記バイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応を停止し、架橋反応の過剰反応による高分子化を防止するものであることを特徴とする請求項11に記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  13. 上記脱揮部で上記未反応薬剤を除去する手段は上記反応停止部で上記酸触媒を中和する物質により、上記バイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応が停止された後に、液状化されたバイオマス物質中に含まれる過剰薬剤をも吸引除去するベント口を備えていることによることを特徴とする請求項12に記載のバイオマス物質液化物の製造装置。
  14. バイオマス物質の液化物を製造する第1の押出機にバイオマス物質を供給するバイオマス物質供給工程と、
    上記材料供給部から供給されたバイオマス物質を粉砕しながら搬送する粉砕搬送工程と、
    この粉砕搬送工程で粉砕されたバイオマス物質に液状化反応を促進させるための反応用薬剤を注入する反応用薬剤注入工程と、
    上記バイオマス物質と上記反応用薬剤とを混合し、混練して上記バイオマス物質の液状化反応を促進させる反応促進工程と、
    この反応促進工程で液状化反応されたのち、上記バイオマス物質の液状化反応を停止させる反応停止剤を注入する反応停止剤注入工程と、
    この反応停止剤注入工程で注入された反応停止剤によって液状化反応が停止された上記バイオマス物質から未反応薬剤を除去する脱揮工程と、
    上記第1の押出機で製造された高温の上記バイオマス物質の液化物を上記第1の押出機とタンデムに接続された第2の押出機に供給するバイオマス物質の液化物供給工程と、
    上記第2の押出機に供給された上記バイオマス物質の液化物を冷却しながら上記バイオマス物質の液化物の取出し口側に搬送する搬送工程と
    を具備することを特徴とするバイオマス物質液化物の製造方法。
  15. 上記第1の押出機での上記粉砕搬送工程は上記バイオマス物質の温度が上記バイオマス物質の炭化・劣化を防止する150℃以下の低温状態に設定され、
    上記反応促進工程および上記脱揮工程での上記バイオマス物質の温度が反応、混練、脱揮を促進する160℃〜190℃の高温状態に設定されていることを特徴とする請求項14に記載のバイオマス物質液化物の製造方法。
  16. 上記反応用薬剤注入工程で注入される反応用薬剤はフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種の物質と酸触媒あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項14に記載のバイオマス物質液化物の製造方法。
  17. 上記反応停止剤注入工程は上記反応促進工程の酸触媒下で進行する上記バイオマス物質とフェノール類、多価アルコール類および環状エステル類から選択される一種または二種以上の物質との反応を、上記酸触媒を中和する物質によって形成される反応停止剤を注入して停止し、架橋反応等の過剰反応による高分子化を防止する工程であることを特徴とする請求項16に記載のバイオマス物質液化物の製造方法。
  18. 上記第2の押出機での上記搬送工程は上記第1の押出機から送り出される上記バイオマス物質の液化物の押出物中から未反応薬剤を除去する第2の脱揮工程を具備することを特徴とする請求項14に記載のバイオマス物質液化物の製造方法。
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