JP2011089000A - バイオマス液化燃料の製造方法 - Google Patents

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衛華 銭
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Abstract

【課題】
硫酸等の液体の強酸や強塩基を使用することなく、温和な条件下で、セルロース系バイオマスを極めて高い転化率にて液化することにより、バイオマス液化燃料を製造する方法を提供すること。
【解決手段】
セルロース系バイオマスを前処理してセルロース系バイオマス原料とする前処理ステップと、前記セルロース系バイオマス原料を有機溶媒に添加してセルロース系バイオマス分散溶液とする添加ステップと、前記セルロース系バイオマス分散溶液を固体触媒の存在下で加熱処理する加熱処理ステップとを含むことを特徴とするバイオマス液化燃料の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、バイオマス液化燃料の製造方法及びその製造装置に関する。さらに詳しくは、固体触媒の存在下、セルロース系バイオマスを原料とし、その単独処理及び有機溶媒付加熱分解反応によるバイオマス液化燃料の製造方法及びその製造装置に関する。
再生可能であり、かつ二酸化炭素を固定するバイオマス資源の導入が検討されている。バイオマス資源として有望なものとしては、森林樹木、サトウキビ等に代表されるセルロース系バイオマス及び都市ごみ等の廃棄物である。これらのバイオマス資源をエネルギーとして使用するためには、原料であるバイオマス資源を高転化率にて、液体燃料等のバイオマス燃料に変換するプロセスの開発が重要である。
従来、セルロース系バイオマスからエタノール等のバイオマス燃料を製造する方法として、加水分解及び酵素処理を行うプロセスを含む糖化方法が開示されている(特許文献1及び特許文献2)。しかしながら、前記方法においてはセルロース系バイオマスの加水分解に、強酸である硫酸やアルカリ水溶液を使用しているため、硫酸の回収や中和工程が必要であるという問題点がある。しかも、前記方法においては、酸又は塩基処理の後に酵素処理が必須の工程となっており、酵素の価格が高価な上にその酵素の回収にもコストがかかるという問題点がある。
また、セルロース系バイオマスから、エタノール等のバイオマス燃料を製造する方法は、その処理工程において、水乃至酸又はアルカリ水溶液を使用しているため、最終生成物であるエタノールは、多量の水を含有し、その燃料密度は、きわめて低いものとなっているという問題点を有する。その結果、エタノールをバイオ燃料として使用する場合には、水分を除去しなければならず、その精製工程が必須のものとなる。
なお、本件特許出願人は、本件発明に関連する文献公知発明が記載された刊行物として、以下の技術文献を開示する。
特開2008−43328号公報 特開2006−87350号公報
以上のような状況に鑑み、本発明の課題は、硫酸やアルカリ水溶液等の強酸や強塩基を使用することなく、セルロース系バイオマスを極めて高い転化率にて液化することにより、バイオマス液化燃料を製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、セルロース系バイオマスを前処理してセルロース系バイオマス原料とする前処理ステップと、前記セルロース系バイオマス原料を有機溶媒に添加してセルロース系バイオマス分散溶液を調製する溶液調製ステップと、前記セルロース系バイオマス分散溶液を固体触媒の存在下で加熱処理する加熱処理ステップとを含む、バイオマス液化燃料を製造する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
また、前記バイオマス液化燃料を製造する方法のために、セルロース系バイオマスを前処理してセルロース系バイオマス原料とする前処理手段と、前記セルロース系バイオマス原料を有機溶媒に添加してセルロース系バイオマス分散溶液を調製する溶液調製手段と、前記セルロース系バイオマス分散溶液に固体触媒を供給する触媒供給手段と、前記固体触媒が供給されたセルロース系バイオマス分散溶液を加熱する加熱手段を含むことを特徴とするバイオマス液化燃料製造装置も見出した。
本発明によれば、セルロース系バイオマスを簡易かつ容易に液化することによりバイオマス液化燃料を製造することができる。また、各種セルロース系バイオマスを高い液化率(高転化率)にて液化することにより、バイオマス液化燃料を製造することができ、しかもバイオ燃料と固体触媒との分離が容易であり、かつバイオ燃料の回収が容易なバイオマス液化燃料の製造方法が提供される。特に本発明においては、溶媒に水を使用することなく、かつ酵素処理工程を要することなく加熱処理のみによりバイオマスを液化させ、糖に有機溶媒が修飾されたバイオマス液化燃料を製造することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、個々に開示する実施形態は、本発明のバイオマス液化燃料の製造方法、及び、バイオマス液化燃料の製造装置の例であり、これに限定されるものではない。
(第1実施形態)
本発明のバイオマス液化燃料の製造方法は、セルロース系バイオマスを前処理してセルロース系バイオマス原料とする前処理ステップと、前記セルロース系バイオマス原料を有機溶媒に添加してセルロース系バイオマス分散溶液を調製する溶液調製ステップと、前記セルロース系バイオマス分散溶液を固体触媒の存在下で加熱処理する加熱処理ステップとを含むことを特徴とする。
本発明のバイオマス燃料の製造方法において、セルロース系バイオマスとは、植物壁を構成する多糖類のセルロースを含むバイオマスであり、一般的には、木、草、農産物、農産物の非食部及び農産物の残渣をいう。その他には、建築廃材、間伐材、稲わら、アシ、麦わら、バガス(サトウキビの搾り貸カス)、とうもろこしの茎や葉っぱが含まれる。前記セルロース系バイオマスは、主としてセルロース、ヘミセルロース及びリグニンから構成されている。セルロースは、代表的な単糖であるグルコースが脱水縮合した多糖類であり、ヘミセルロースはグルコース、キシロース、マンノース等が脱水縮合した複合多糖類である。さらに、リグニンは、フェノール性化合物で分解しにくいため、バイオマス原料として利用することは困難であるが、本発明においては、後述する溶媒付加熱分解反応によれば、他のセルロース系バイオマスと同様に利用することができる。
本発明においては、前記セルロース系バイオマスを前処理して、セルロース系バイオマス原料とする。前処理とは、セルロース系バイオマスと、溶媒との溶媒付加熱分解反応させる前に必要な処理である。具体的には、セルロース系バイオマスを洗浄し、乾燥、粉砕等が含まれる。たとえば、天然のセルロース系バイオマスを水洗し、その後、絶乾燥法等により乾燥し、市販のミル粉砕装置を使用して、所定の大きさに粉砕する処理等である。このような処理を行った後、前記セルロース系バイオマスは、所定の大きさを有するセルロース系バイオマス原料となる。セルロース系バイオマス原料のバイオマスの粒径は、2mm以下で、20メッシュ乃至10メッシュが好ましい。20メッシュ未満であると、消費エネルギーが大きくなり、前処理コストが高くなり好ましくない。一方、2mmを超えると、十分な溶媒付加熱分解反応が起きないため好ましくない。
次に、前処理(洗浄、乾燥、粉砕処理)で得られたセルロース系バイオマス原料を有機溶媒に添加し、セルロース系バイオマス分散溶液とする。前記有機溶媒としては、バイオ燃料製造後に精製を要することなく、有機溶媒自体が、そのまま燃料として使用できるものであれば特に制限されるものではない。
本発明において、バイオ燃料としての燃焼効率の観点から、極性有機溶媒、たとえば、アルコール、グリコール、低分子量ポリグリコールを例示することができる。アルコールは、例えば、炭素数1〜10までのアルコール、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル1−プロパノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル1−ブタノール、3−メチル1−ブタノール、2、2ジメチル1−プロパノール等を例示することができる。グリコール類には、炭素数1〜5までのグリコール、たとえば、エチレングリコール、グリセリン等を例示することができる。
また、本発明において用いる有機溶媒は、二価又は三価アルコールであること好ましい。特に、エチレングリコール又はトリグリセリンであることが好ましい。
本発明のバイオマス燃料の製造方法においては、前記セルロース系バイオマス分散溶液中のセルロース系バイオマス原料と前記有機溶媒とを固体触媒の存在下溶媒付加熱分解反応させ、セルロース系バイオマス原料の液化を行う。なお、前記溶媒付加熱分解反応とは、通常のエステルの溶媒付加分解反応を意味するものであり、セルロース系バイオマス原料は、グルコース、フルクトース、キシロース、マンノース等の糖類に有機溶媒が修飾された生成物及びその他の液体化合物となることをいう。
前記固体触媒とは、固体担体に酸又は塩基性の官能基が担持された酸又は塩基の固体状の触媒をいう。前記固体触媒の担体として使用できる物質としては、官能基を固定化担持することができる物質であれば、特に制限されるものではない。また、固体触媒の担体自体が、その表面構造に所定の官能基を有するものであってもよい。例えば、ポリスチレン担体の表面に酸が固定された陽イオン交換樹脂や、その表面構造に酸性基又は水酸基等を有するシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ゼオライト、活性炭などを例示することができる。さらには、これらの二種類以上の組み合わせからなる固体触媒の担体の混合物を例示することができる。なお、陽イオン交換樹脂の種類や、シリカ、アルミナ担体の焼成処理温度を調整することによって、適宜にその表面に存在する酸性基や塩基性基を適宜調製して、その固体触媒の酸性や塩基性を変化させることができる。また、本発明においては、前記固体触媒は、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸から選ばれるいずれかの酸を用いて処理した触媒担体であることが好ましい。
前記固体触媒を構成する酸又は塩基性の官能基は、前記セルロース系バイオマス原料と有機溶媒とが溶媒付加熱分解反応することができるものであれば、特に制限されるものではなく、前記セルロース系バイオマス原料の種類や生成物の反応部位に応じて、適宜に選択することができる。例えば、酸性基としては、強酸性のスルホン酸基や水素イオン等のブレンステッド酸や、電子対を受け取ることができる性質を有するルイス酸を持つ官能基を例示することができる。つまり、本発明の固体触媒として、ルイス酸型固体触媒及びブレンステッド酸型固体触媒を用いることが好ましい。
また、本発明の固体触媒は、熱可塑性樹脂又は無機固体もしくはその両方にスルホン酸基又はOH基もしくはその両方を導入したものから選ばれることが好ましい。
一方、セルロース系バイオマス原料を構成するバイオマスが、例えば、アカマツ廃材等の木質系バイオマスである場合には、アカマツ廃材の表面を構成するリグニン成分を溶解させるために水酸基を有する担体を使用することもできる。例えば、官能基として、水酸基を有する担体である酸化マグネシウムや水酸化マグネシウム等の化合物や電子対を与える性質を有するルイス塩基を持つ官能基を採択することができる。本発明においては、前記セルロース系バイオマス原料と有機溶媒とを、担体表面の官能基の存在下において、溶媒付加熱分解反応させることによって、セルロース系バイオマスを糖に溶媒が修飾された生成物とその他の液体生成物とすることができる。溶媒付加熱分解反応は、通常のエステルの溶媒付加分解反応により進行し、セルロース系バイオマス原料は、グルコース、フルクトース、キシロース、マンノース等の糖類に溶媒が修飾された生成物及びその他の液体化合物となる。
本発明のバイオマス燃料の製造方法においては、前記固体触媒の存在下、前記セルロース系バイオマス分散溶液を、所定の加熱温度にて加熱し、溶媒付加熱分解反応させる。加熱温度としては、前記固体触媒の耐久温度となる使用担体の融点に応じて適宜設定することができ、30℃乃至400℃、好ましくは、50℃乃至300℃で、さらに好ましくは、70℃乃至250℃である。具体的には反応温度は、担体の融点がその上限の限界温度となる。例えば、ポリスチレンを担体とする場合には、反応温度を70℃から150℃に設定することができる。また、シリカを担体とする場合には、反応温度を70℃から300℃に設定することができる。アルミナを担体とする場合には、反応温度を70℃から300℃に設定することができる。
溶媒付加熱分解反応は、固体触媒、セルロース系バイオマス原料及び有機溶媒を直接接触することができる種々の反応系にて行うことができる。例えば、前記固体触媒をカラムに充填した装置を構成し、セルロース系バイオマス原料を溶媒に溶解させたセルロース系バイオマス分散溶液と作製し、この溶液を固体触媒が充填されたカラムに通すことにより、溶媒付加熱分解反応をさせ液化した後、バイオマス液化燃料を得ることができる。また、バッチ式により、固体触媒、前記セルロース系バイオマス原料を、有機溶媒を混合し、攪拌させ溶媒付加熱分解反応をさせ液化した後、固体触媒を濾別することによりバイオマス液化燃料を得ることができる。
本発明のバイオマス液化燃料の製造方法によって、製造されたバイオマス燃料は、セルロースやヘミセルロース由来の単糖やオリゴ糖類に溶媒由来官能基を付加した混合物であり、常温では液体である。さらにバイオマス液化燃料を改質して、燃料油やその他の化成品の原料に用いることが可能である。また、このバイオマス液化燃料は、精製を要することなく、反応完了後、そのまま、重質油のわかりにボイラの原料油として好適に用いることができる。また、本発明のバイオマス燃料の製造方法によって、得られたバイオマス液化燃料は、通常バイオマス資源としては、その嵩高さのため、輸送、その後の精製・加工工程に不便なものであるが、本件発明のバイオマス燃料の製造方法により、バイオマス資源を液化することにより、輸送にも便利なとなる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、前記バイオマス液化燃料製造方法のためのバイオマス液化燃料製造装置である。それは、セルロース系バイオマスを前処理してセルロース系バイオマス原料とする前処理手段と、前記セルロース系バイオマス原料を有機溶媒に添加してセルロース系バイオマス分散溶液を調製する溶液調製手段と、前記セルロース系バイオマス分散溶液に固体触媒を供給する触媒供給手段と、前記固体触媒が供給されたセルロース系バイオマス分散溶液を加熱する加熱手段を含むことを特徴とする。
ここでいう、「セルロース系バイオマス」、「前処理」、「有機溶媒」、「固体触媒」等については、前記第1実施形態であるバイオマス液化燃料製造方法で説明したのと同様である。また、ここでいう「前処理手段」、「溶液調製手段」、「触媒供給手段」、及び「加熱手段」は、当業者が前記バイオマス液化燃料製造方法を行うために用いる公知の手段であればよく、特に限定されない。
以下、本発明について実施例を用いて説明するが、本発明は、何らこれらに限定されるものではない。
(製造例1)
<固体酸触媒:「硫酸化ジルコニア」の製造>
本発明において使用されるセルロース系バイオマスを処理するための固体酸触媒の一例として、以下のように硫酸化ジルコニアを調製した。酸化ジルコニアとして(JRC−ZRO−2〜5)を使用し、その粒径32〜50メッシュに粉砕した。その後、コニカルビーカに前記酸化ジルコニアを2g採取し、0.5モル/リットルの硫酸水溶液中に溶解させ、分散させて1時間放置後、10分程度吸引ろ過し、硫酸化ジルコニアを得た。さらに、前記操作により得られた硫酸化ジルコニアを30℃にて、24時間乾燥し、その後るつぼを用いて、600℃にて3時間、空気中にて焼成し、固体酸触媒を調製した。
(製造例2〜製造例3)
製造例1において、酸化ジルコニアを処理する酸として、それぞれ硝酸、塩酸を使用して、硝酸化ジルコニア、塩酸化ジルコニアを製造した。
(製造例4)
<スルホン酸-メソポラスシリカ固体酸触媒:MPS−1>
本発明において使用されるブレンステッド酸型固体触媒の一例として、以下のようにメソポーラスシリカにスルホン基を導入した触媒を調製した。P123と呼ばれるポリマーを塩酸で溶解させ、TEOS(Tetraethyl Orthoslilcate)と呼ばれるシリカと混合させ、ポリマーの金型の上にシリカを導入させる。そして、MPTMS(3-mercaptopropyltrimethoxysilane)を混合し、チオール基(−SH)をシリカの上に導入する。その後、過酸化水素を入れ酸化させ、チオール基をスルホン基(−SOH)にする。そして、シリカの結晶を成長させ、金型であるポリマーをエタノールで洗い流して真空乾燥を行い、スルホン酸−メソポラスシリカ固体酸触媒(MPS−1)を得た。
(実施例1)
セルロース系バイオマスとして、アシパルプ(脱リグニン処理済、組成:ホールセルロース91.4%、ヘミセルロース0.5%、酸不溶リグニン7.1%、酸可溶リグニン1.0%)を採択し、これを原料とし、固体酸触媒と溶媒によるバイオマスの液化を行った。バイオマスの液化は、以下のようにして行った。まず、前記アシパルプを市販ミル粉砕装置:ワンダーブレンダー(WB−1・大阪化学株式会社)にて粉砕し、その後、絶乾法により乾燥させた。前記粉砕、乾燥後のアシパルプをその粒径約14メッシュアンダー程度として調製した。前記、粉砕及び乾燥させたアシパルプ1.0gをメタノール15gに混ぜて、アシパルプを含有するメタノール溶液を作製した。
固体触媒として、製造例1で製造した前記硫酸化ジルコニアを採択し、バイオマスの液化反応を行った。なお、硫酸化ジルコニアの物性は、ペレット状のもの(粒径×長さ:2×10mm)である。反応装置として、25φステンレス製チューブにスエジロッグ製のキャップをつけた、密閉可能なチューブ型反応管にアシパルプ粒子を含有するメタノール溶液15gを入れ、前記固体酸触媒1.0gを入れた。その後、180℃、6.0時間、液化反応を行った。
本実施例において、前記の反応により、セルロースバイオマスであるアシパルプを液化して得られた反応物は0.2μmのメンブレンフィルタ(アドバンテックス社製、品名TO20A047A)で濾過し、残渣とメタノール可溶部とに分離した。最初に投入したセルロースバイオマス原料の重量と液化後に回収された残渣の重量から、バイオマスの液化率(Liquefaction Rate)として算出した。メタノール可溶部の液体生成物を、以下のように液体クロマトグラフィーによる定性・定量分析を行った。
(実施例2乃至実施例4)
液化反応時間をそれぞれ1時間(実施例2)、3時間(実施例3)、12時間(実施例4)に変化させた以外は、実施例1と同様にセルロース系バイオマスの液化を行った。結果を表1に示す。以下、表1に、実施例1から実施4の固体酸−メタノールによるバイオマス(アシパルプ)から算出したバイオマスの全液化率を示した。この結果より、反応時間の増大に伴い、液化率は増大し、反応時間が6時間で頭打ちになることがわかった。
(実施例5乃至実施例6)
固体触媒使用量を0.25g(実施例5)、0.5g(実施例6)とした以外は、実施例1と同様にして、アシパルプの液化を行った。その結果を表2に示した。
(比較例1)
固体触媒を使用しない以外は、実施例1と同様にしてバイオマス(アシパルプ)の液化を行った。その結果を表2に示した。
(実施例7乃至実施例9)
メタノール30gを使用し、アシパルプの使用量をそれぞれ3.0g(実施例7)、6.0g(実施例8)、9.0g(実施例9)とした以外は、実施例1と同様にして、バイオマスの液化を行った。その結果を表3に示した。これより、パルプの添加量に伴い、バイオマス液化率は減少し、6.0g以上で減少傾向が見られることが考えられる。
(実施例10乃至実施例12)
バイオマス原料をそれぞれ稲ワラ(実施例10)やススキ(実施例11)及び稲わら(実施例12)とした以外は、実施例1と同様にして液化を行った。その結果を表4に示した。この結果より、いずれのバイオマスでも、液化できること、また、赤松の液化率が最も高かったことが分かった。
(実施例13乃至実施例16)
バイオマス原料を稲わら(実施例13)、アカマツ(実施例14)、市販セルロース(実施例15)、アシパルプ(実施例16)とし、溶媒量を30gとした以外は、実施例1と同様にして液化を行った。その結果を表5に示した。この結果より、いずれのバイオマスでも、液化できること、また、稲ワラに比べて赤松の液化率が高かったことが分かった。
(実施例17乃至実施例18)
バイオマス原料に稲わらを使用し、反応時間を12時間(実施例17)、24時間(実施例18)とした以外は、実施例1と同様にして液化を行った。その結果を表6に示した。
(実施例19及び実施例20)
バイオマス原料にアカマツを使用し、反応時間を12時間(実施例19)、24時間(実施例20)とした以外は、実施例1と同様にして液化を行った。その結果を表7に示した。表6及び表7より、反応時間の増大に伴い、稲ワラ及びアカマツの液化率の上昇が見られなかった。一方、アカマツにおいては反応時間の増大に伴い、液化率の上昇が見られた。
(実施例21乃至実施例24)
溶媒をエチレングリコール(実施例21及び実施例23)、1−ブタノール(実施例22及び実施例24)を使用し、バイオマスを稲わら、アカマツを使用し、反応温度を200℃とした以外は、実施例1と同様にして液化を行った。その結果を表8に示した。
(実施例25乃至実施例27)
バイオマス原料に稲わらを使用し、反応温度を200℃(実施例25)、230℃(実施例26)、260℃(実施例27)とした以外は、実施例1と同様にして液化を行った。その結果を表9に示した。
(実施例28乃至実施例30)
バイオマス原料に赤松を使用し、反応温度を200℃(実施例28)、230℃(実施例29)、260℃(実施例30)とした以外は、実施例1と同様にして液化を行った。その結果を表10に示した。
反応温度の増大に伴い、稲わら及びアカマツともに転化率が見られた。稲わらの方は、反応温度200℃付近で頭打ちになり、260℃で約7%上昇傾向が見られ、260℃で51.0%と最も高い転化率を得る事が出来た。アカマツの方は、200℃で転化率が高くなったものの、230℃でまた低くなった。260℃時で56.3%の転化率を得ることができた。
(実施例31乃至実施例33)
バイオマス原料を稲わら(実施例31)、アカマツ(実施例32)、市販セルロス(実施例33)とし、溶媒をエチレングリコール30gとした以外は、実施例1と同様にして液化を行った。その結果を表11に示した。この結果より、いずれのバイオマスでも、液化できること、また、溶媒にエチレングリコールを用いても稲わらに比べてアカマツの液化率が高かったことがわかった。
(実施例34及び実施例35)
バイオマス原料を市販セルロース(実施例34)、稲わら(実施例35)とし、溶媒をエチレングリコール30gとし、反応温度を180℃、反応時間を3hとし、触媒をMPS−1とした以外は、実施例1と同様にして液化を行った。その結果を表12に示した。これより、エチレングリコールを溶媒に用いた液化実験では、MPS−1を添加することで液化率は向上することがわかった。
(比較例2乃至比較例4)
固体触媒の有無による液化率の影響を調べた。バイオマス原料をアシパルプ(比較例2)、稲わら(比較例3)、アカマツ(比較例4)とし、溶媒量を30gとし、無触媒とした以外は、実施例1と同様にして液化を行った。その結果を表13に示した。これより、固体触媒の添加効果により、バイオマスの液化率が向上していくことがわかった。
本発明のバイオマス液化燃料の製造方法は、低コストであるバイオマス資源から、バイオマス液化燃料を製造することができるものであり、バイオマテリアルの開発及びエネルギー製造分野の技術分野に大きく貢献することができるものである。特に、既存の石油プラント等を利用した化学工業分野の発達に寄与することができる。さらには、バイオマス資源の有効な活用及び二酸化炭素の固定化を図ることができるので、環境技術分野の技術革新に大きく寄与することができる。

Claims (12)

  1. セルロース系バイオマスを前処理してセルロース系バイオマス原料とする前処理ステップと、前記セルロース系バイオマス原料を有機溶媒に添加してセルロース系バイオマス分散溶液を調製する溶液調製ステップと、前記セルロース系バイオマス分散溶液を固体触媒の存在下で加熱処理する加熱処理ステップとを含むことを特徴とするバイオマス液化燃料の製造方法。
  2. 前記加熱処理は、50℃〜300℃にて行うことを特徴とする請求項1に記載のバイオマス液化燃料の製造方法。
  3. 前記有機溶媒は、炭素数1〜10のアルコールであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバイオマス液化燃料の製造方法。
  4. 前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のバイオマス液化燃料の製造方法。
  5. 前記有機溶媒は、二価又は三価アルコールであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のバイオマス液化燃料の製造方法。
  6. 前記有機溶媒は、エチレングリコール又はトリグリセリンであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のバイオマス液化燃料の製造方法。
  7. 前記固体触媒は、ルイス酸型固体触媒であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のバイオマス液化燃料の製造方法。
  8. 前記固体触媒は、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸から選ばれるいずれかの酸を用いて処理した触媒担体であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のバイオマス液化燃料の製造方法。
  9. 前記固体触媒は、ブレンステッド酸型固体触媒であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のバイオマス液化燃料の製造方法。
  10. 前記固体触媒は、熱可塑性樹脂及び/又は無機固体にスルホン酸基/又はOH基を導入したものから選ばれるであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のバイオマス液化燃料の製造方法。
  11. 前記セルロース系バイオマスは、稲わらまたは木材であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のバイオマス液化燃料の製造方法。
  12. セルロース系バイオマスを前処理してセルロース系バイオマス原料とする前処理手段と、前記セルロース系バイオマス原料を有機溶媒に添加してセルロース系バイオマス分散溶液を調製する溶液調製手段と、前記セルロース系バイオマス分散溶液に固体触媒を供給する触媒供給手段と、前記固体触媒が供給されたセルロース系バイオマス分散溶液を加熱する加熱手段を含むことを特徴とするバイオマス液化燃料製造装置。
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