JPH08259676A - ポリ乳酸の重合方法及び重合装置 - Google Patents

ポリ乳酸の重合方法及び重合装置

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JPH08259676A
JPH08259676A JP6048295A JP6048295A JPH08259676A JP H08259676 A JPH08259676 A JP H08259676A JP 6048295 A JP6048295 A JP 6048295A JP 6048295 A JP6048295 A JP 6048295A JP H08259676 A JPH08259676 A JP H08259676A
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雅男 松井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ラクチドを主成分とする重合原料を溶融状態
で効果的に重合し、高品質のポリ乳酸類を得ることが出
来る工業化可能な方法及び装置を提供することを目的と
する。 【構成】 タンク1中の重合原料のラクチド、タンク3
及び5の共重合成分や添加剤を溶融混合装置7に供給し
て混合後、それぞれ攪拌装置を有し、直列的に結合され
た少なくとも2つの反応容器10、14に供給する。各
々の反応容器で所定の反応を完了した反応物は、フィニ
ッシャー20、フィルタ−22を経て系外に連続的に排
出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリ乳酸の工業生産に
適する重合方法及び重合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】生分解性又は自然環境下で分解するポリ
マーが、環境保護の見地から注目されている。特にポリ
乳酸は、農産物を粗原料とすること及びポリマーの耐熱
性、溶融成型性、強度などに優れ、最も実用性が高いと
期待されている。
【0003】ポリ乳酸は、乳酸の直接重合、乳酸エステ
ル(メチルエステル、エチルエステル)の重合、乳酸の
環状2量体であるラクチドの重合などによって得られ
る。特にラクチドの溶融重合は、最も能率的であり工業
化に適すると期待されるが、いまだ工業化に適する方法
や装置は確立されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ラクチドを加熱溶融す
れば、容易に重合しポリ乳酸を得ることが出来る。しか
しポリ乳酸は溶融時の安定性が低く、長時間溶融状態を
保つと、分解、ラセミ化、及び着色が著しい。このた
め、溶剤中で比較的低温で重合することが試みられてい
るが、危険な溶剤を使用すること、重合後のポリマーと
溶剤の分離、溶剤の回収と精製などがかなり困難な上、
コスト高となり、工業化に最適とは言えない。 ラクチ
ドの溶融重合では、上記のようにポリマーの熱分解の問
題があり、その解決のため重合反応時間を極力短縮し、
重合中のポリマーの劣化を最少限に抑える必要がある
が、その技術は未確立である。
【0005】米国特許5,142,023(1992
年)には、制御された光学純度を有するラクチドのポリ
マー(ポリ乳酸)の連続製造法が開示されている。しか
しその方法の重点はラクチドの連続製造法にあり、ラク
チドの連続重合法については詳細な記載はなく、実施例
5〜8にフラスコによる実験が示されているに過ぎな
い。 本発明の目的は、ラクチドを主成分とする重合原
料を溶融状態で効果的に重合し、高品質のポリ乳酸類を
得ることが出来る工業化可能な方法及び装置を提供する
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】上記本発明の目
的は、ラクチドを主成分とする原料を溶融状態で反応さ
せて重合する方法において、(1) 原料を重合装置の1端
に連続的又は間欠的に供給し、(2) 互いに区画され、そ
れぞれ攪拌又は混合装置を有する少なくとも2個の反応
容器が、直列的に結合された多段反応装置によって重合
し、且つ(3) 重合装置の他端より重合物を連続的に取り
出すことにより達成される。
【0007】本発明において、ポリ乳酸とは、乳酸を主
成分とする重合体であり、ポリL−乳酸ホモポリマー、
ポリD−乳酸ホモポリマー、ポリL/D−乳酸共重合
物、これらのポリ乳酸に他のエステル結合形成性成分、
例えば、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン類、ジカルボ
ン酸とジオールなどを共重合した共重合ポリ乳酸及びそ
れらに副次成分として添加物を混合したものなどを包含
する。ヒドロキシカルボン酸の例としては、グリコール
酸、ヒドロキシブチルカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸
など、ラクトンの例としては、ブチロラクトン、カプロ
ラクトンなど、ジカルボン酸の例としては炭素数4〜2
0の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸、ジオールの例としては、炭素数2〜20の脂
肪族ジオールがあげられる。これらの共重合原料は、あ
らかじめ重合して末端に水酸基をもつポリマーとしたも
の、例えばポリエチレンアジペートをラクチドと反応
(共重合)させて、ブロック共重物を得ることが出来
る。同様に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリブチレンエーテルなどポリアルキレン
エーテルのオリゴマー及びポリマーも共重合成分として
用いられる。同様にポリアルキレンカーボネートのオリ
ゴマー及びポリマーも共重合成分として用いられる。添
加物の例としては、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収
剤、顔料、着色剤、無機粒子、各種フィラー、離型剤、
可塑剤、その他類似のものがあげられる。これらの共重
合成分及び添加剤の添加率は任意であるが、主成分は乳
酸又は乳酸由来のもので、共重合成分及び添加剤は50
重量%以下、特に30%以下とすることが多い。
【0008】ラクチドを主成分とする重合原料とは、ラ
クチドに上記共重合成分や添加剤などを加えたもので、
ラクチドが50重量%以上のものを言う。重合触媒は、
原料に混合することもあり、反応容器中で重合系に添加
することも出来る。
【0009】図1は、本発明の実施の状態を示す系統図
の例である。図において、タンク1の中のラクチド(粉
末)は計量フィーダー2により攪拌装置を持つ溶融混合
装置7に連続的又は間欠的に供給される。タンク3及び
5の中の共重合成分や添加剤も同様に計量フィーダー
(粉末)又はポンプ(液体)4及び6で供給され所定の
比率で混合、溶融される。固体(粉末又は粒状)の重合
原料は、計量精度がやゝ低いので、必要に応じ、前もっ
て溶融し計量ポンプに送込むことも好ましい。溶融混合
装置7に重合触媒を供給した場合、温度が140℃以上
では重合が起り、140℃以下ではほとんど反応は起ら
ず、主として混合が行なわれる。溶融混合された重合原
料は送液ポンプ8により送られ、フィルター9によって
濾過した後第1反応容器10に供給される。第1反応容器
10は、攪拌又は混合装置を有し、内部の反応物を充分に
攪拌しつつ所定温度に加熱する。タンク11の中の重合触
媒は計量ポンプ12によって計量されつつ反応容器10へ所
定量供給される。
【0010】第1反応容器10の内部で所定の反応を終え
た反応物は、送液ポンプ13によって攪拌又は混合装置を
有する第2反応容器14に供給される。第2反応容器14の
反応物には、必要に応じ、タンク15の中の重合触媒を所
定量、ポンプ16により供給する。また重合後期に添加す
る添加剤は、タンク17から計量ポンプ18により第2反応
容器14の後部に供給する。第2反応容器14で所定の反応
を完了した反応物は、送液ポンプでフィニッシャー20に
供給され、所定の操作を経て、計量ポンプ21によって送
られ、フィルター22を経て系外へ取出される。23は系外
へ取出された重合物である。
【0011】溶融混合装置7は、重合原料や添加物を充
分に溶融且つ混合するもので、容器の形はタンク型でも
筒型でもよいが、1端から原料を供給し、他端から混合
物を取出す筒型が好ましい。攪拌装置は任意のものが用
いられるが、一軸のスクリュウ、互いに噛み合う2軸の
スクリュウ、互いに噛み合う又は重なり合う多数の攪拌
素子をもつ2軸の混合機、互いに噛み合うらせん形の攪
拌素子を有するニーダーなどが好ましく用いられる。特
に、互いに噛み合う2軸又は多軸攪拌装置は、攪拌機や
容器への容器物の付着が少なく、セルフクリーニング作
用があるので好ましい。
【0012】反応容器10及び14の形も、タンク型でも筒
型でもよいが、デッドスペースが少ない筒型が好まし
い。反応容器の攪拌機は、互いに噛み合うスクリュウ
や、2フライト(長円形)や3フライト(3角形様)な
どの攪拌素子、円板又は多葉形(クローバー形など)の
攪拌翼をもつ2軸又は多軸のものがセルフクリーニング
の観点から好ましいが、あらかじめ原料(触媒を含む)
が充分に混合されておれば、静止混合器(後述)も応用
出来る。これらの筒型又はタンク型の反応容器には、反
応物を出し入れする出入口の他、添加剤を供給したり、
蒸発物や気体を除去するための気体出入口を設けること
が出来る。図1では、反応容器は2個(フィニッシャー
を加えれば3個)の例を示したが、反応容器は3個以上
とすることが出来る。反応容器の数が多いほど、反応は
均一に行なわれるが、ポリ乳酸の溶融重合では、反応時
間を短かくすることがポリマーの劣化を防ぐために必要
であり、あまり多くの容器を多段的に結合することは得
策でなく、段数は2〜6、特に2〜4が好ましい。
【0013】フィニッシャー20は、タンク17より供給さ
れた添加剤を均一に混合したり、未完結の重合を完結せ
しめたり、未反応のモノマー(ラクチド)の除去、或い
は、触媒失活剤(酸、酸エステルなど)の添加による重
合触媒の活性低減等の補助的作用をするもので、省略す
ることも出来る。フィニッシャーには1軸又は多軸の攪
拌機を設けてもよいが、静止混合器を応用してもよい。
静止混合器は、案内装置により流れの分割と複合(合
流)を多段的に行なうもので、本発明者等が特公昭47
−15526、同47−15527、同47−1552
8、同47−15533などで開示したもの(多層化混
合器)、及び特開昭47−33166に開示されたもの
(ケニックス型)、及びそれらに類似する可動部のない
混合装置があげられる。
【0014】水分、低沸点物質及び未反応のモノマーを
除去するには、図2〜5に示すような2軸の攪拌装置を
持つ容器で、例えば真空吸引用の気体出入口(ベント孔
など)を持つものが、蒸発面積を大きくすることが出来
るので好ましい。
【0015】図1の重合装置において、最終の計量ポン
プ21は所定(一定)の送り出し量とすることが、系全体
の安定な運転と均一な重合品を得るために、好ましい。
そのためにはポンプ21の背圧が一定となるよう容器20の
内部の送液機構及び送液ポンプ19の送液量を制御するこ
とが好ましい。同様に、ポンプ19の背圧を一定とするよ
うに容器14内部の送液機構とポンプ13を制御することが
好ましく、同じくポンプ13の背圧を一定とするように容
器10内部の送液機構及びポンプ8を制御することが好ま
しく、同じくポンプ8の背圧を一定とするように、容器
7内部の送液機構及び原料計量供給装置2、4、6、1
6、18などを制御することが好ましい。制御方式は、O
N−OFF型つまり間欠フィード型でもよいが、ポンプ
等の回転速度を徐々に増減する連続又はステップ方式の
方がより好ましいことが多い。いずれにせよこのような
制御によって、均一なポリマーを安定に得ることが出来
る。他方反応容器を1個だけで重合した場合は、得られ
るポリマーの重合度や残存モノマー量が不安定で変動し
易く、工業生産に適しない。これは、溶融粘度数ポイズ
〜数10ポイズ程度の重合原料と、溶融粘度数1,000 ポ
イズ程度の重合したポリマーが同一容器内に混在するた
めの不安定さに起因するものと思われる。従って、反応
容器を2つ直列的に用い、第1反応容器では、反応を比
較的ゆっくり進めて溶融粘度数100〜2,000 ポイズ程
度までに達せしめ、第2反応容器はより早い反応速度
(高温や高触媒濃度)で短時間内に粘度3,000 〜10,000
ポイズ程度まで高めることが、安定且つ均一な重合のた
め好ましい。
【0016】複数の反応容器の反応(重合)条件、すな
わち温度、触媒濃度、圧力又は真空度、平均滞留時間、
攪拌速度などは、同一でもよいが、重合の進行にあわせ
て、それぞれ最適の条件を選ぶことが好ましい。例え
ば、原料の溶融混合装置7の温度は110〜140℃と
し、原料中の水分や低沸点成分を除去するために、必要
があれば排気孔より排気する。第1反応(重合)容器10
の温度は、比較的ゆっくり反応させるために140〜1
80℃程度の比較的低温が好ましい。更に、筒型容器に
おいて、反応物の供給部では低目に、反応物の出口に近
づくに従って温度を高めるように温度の勾配をもたせる
のが好ましい。第2反応(重合)容器は、重合度を短時
間で早く上昇させるため、触媒を追加したり、反応温度
をやゝ高目の180〜210℃として、滞留時間を短か
目とすることなどが好ましい。フィニッシャーの温度
は、その目的によって異なるが、一般的にはポリマーの
劣化を防ぐため、出来るだけ低温で、短時間とすること
が好ましい。
【0017】未変性のポリL−乳酸(ホモポリマー)の
融点は約175℃であるから、その重合温度は180℃
以上が必要である。他方共重合によって融点を5〜30
℃低下せしめた共重合ポリ乳酸は、より低温で重合可能
なので、重合中の劣化を抑制することが出来る。可塑剤
は溶融粘度を低下させることが多いので、可塑剤の添加
により、より低温で重合操作を行なうことが出来、熱劣
化防止の点で好ましいことが多い。
【0018】重合時間(平均滞留時間)は、短かい方が
よい。特にポリマーの融点以上の温度での滞留時間は、
出来るだけ短かく、例えば1時間以内が好ましく、45
分以内が特に好ましく、30分以内が最も好ましく、本
発明により多くの場合15分以内とすることができる。
従って、例えば第1反応容器10、第2反応容器14、フィ
ニッシャー20における反応物の各平均滞留時間は、1〜
20分が好ましく、1〜15分が特に好ましく、1〜1
0分が最も好ましく、多くの場合1〜5分とする。ラク
チドの開環重合は、触媒の種類、触媒濃度、反応温度な
どを選ぶことにより、このような短時間で行なうことが
出来るが、均一に反応させるには充分な攪拌又は混合が
必要である。
【0019】図2及び図3に、図1の重合装置の原料溶
融混合装置7、反応容器10及び14、及びフィニッシャー
20に好適な2軸混練押出機の例を示す。図2は、2軸混
練機の横断面図で、30及び31は駆動軸、32及び33は互い
に噛み合う2フライト型(長円形)攪拌素子、34は外筒
(シリンダー)、35は反応物や気体などが入る空間、36
は外筒を加熱するブロック、37は加熱ブロックを加熱又
は冷却する熱媒の通路である。勿論、加熱は電熱で行な
ってもよく、冷却は空冷でもよい。図2においてdは筒
内部空間の直径である。
【0020】図3は、図2に示した2軸混練機の縦断面
図(混練素子等は側面図)である。図において、34は外
筒(加熱ブロックは省略)、38は互いに噛み合うスクリ
ュウ型送液素子部、39は互いに噛み合う2フライト型の
混練素子部、40は反応物又は原料の供給孔、41及び42
は、添加剤の供給、不活性気体の供給、排気などを行な
うベント孔であり、43は反応物の出口であり、44は攪拌
軸の駆動部である。
【0021】図4及び図5は、互いに重なり合う平板攪
拌素子を多数持つ2軸攪拌機を有する反応容器の例で、
図1の原料溶融混合装置7、反応容器10、14及びフィニ
ッシャー20に好適に用いられる。図4はその横断面図
で、50及び51は駆動軸、52及び53は円板型攪拌素子、54
は容器、55は反応物、56は空間、57は排気、給気又は添
加剤の供給を行なう孔である。
【0022】図5は図4の装置の平面図で、多数の攪拌
素子52及び53が駆動軸50及び51に取付けられ、互いに重
なり合うように配置されているのを示す。58は反応物の
入口であり、59は反応物の出口である。図4〜5の装置
は、攪拌素子が円板の例を示したが、攪拌素子は多葉形
(例えばクローバーの葉の形など)でもよく、適宜穴や
凹凸を有するものでもよく、船のスクリュウや扇風機の
羽根のような形でもよく、その他色々の応用が可能であ
る。この型の反応装置の特徴は、図4に示すように容器
内の下半分に反応物を満し、上半分は空間に出来るの
で、重合系から揮発成分(水分、残存モノマーなど)を
除去するために有利である。すなわち反応物(重合、原
料、重合中のポリマーなど)は攪拌素子の表面に付着し
て上部空間を通過するので、その表面積が大きく、低沸
点物質の蒸発が効果的に行なわれる。この装置自体には
送液機能はないので、反応物は重力により入口から出口
へ移動する。攪拌素子をスクリュウ形にすれば反応物を
送る作用が得られる。
【0023】図1において、重合を終了したポリマー
は、そのまゝ直ちに紡糸したり製膜することも出来る。
すなわちポンプ19から出たポリマー流又は、フィルター
22から出たポリマー流を、紡糸機や製膜装置その他の溶
融成型装置に直接供給することが出来る。この場合は、
再溶融工程が不要であり、ポリマーの劣化も少ないとい
うメリットがある。このような直接紡糸、直接成型の場
合、残存モノマーを出来るだけ少なくするため、フィニ
ッシャーを効果的に用いることが出来る。
【0024】一方、ポンプ19又はフィルター22から出た
ポリマーを、押出口金に接続してストランド状又はシー
ト状に成型、冷却、切断してチップ(ペレット)化する
ことが出来る。同様に水中カッターで、水中に押出した
ポリマーを直ちに切断、チップ化し、冷却することも出
来る。チップ化されたポリマーは、再溶融して繊維、シ
ート、フィルム、各種成型品を製造することが出来る。
更に、チップ中の残存モノマーの低減や重合度を高める
ため、チップ状で固相重合したり、チップを貧溶媒で処
理して,ポリマーは溶解しないで残存低分子物(モノマ
ー、オリゴマー)を抽出した後に、使用することも出来
る。
【0025】
【実施例】以下の実施例において、部及び%は特に断ら
ない限り重量部、重量%である。ポリ乳酸の分子量は、
試料のクロロホルム 0.1%溶液のGPC分析で、分子量
500以下のものを除く、高分子物の分散の重量平均値
である。
【0026】[実施例1]図1の連続重合装置によっ
て、L−ラクチドの重合を行なった。溶融攪拌装置7
は、互いに噛み合うスクリュウを取付けた2軸攪拌装置
を有するシリンダー内径(d) 30mmのもので、2つの回
転軸は同方向回転で、速度は30rpm である。タンク1
内の粉末状L−ラクチドは振動フィーダーで定量供給す
る。タンク2内の安定剤(ヒンダートフェノール)チバ
ガイギー社イルガノックス1010は溶融し、ギァポンプで
ラクチドに対し0.05%となるように定量供給する。シリ
ンダーの温度は120℃である。第2ベント孔より窒素
ガスを供給し、第1ベント孔より排出する。フィルター
9はステンレス鋼不織布で実効孔径10μmのものであ
る。 第1反応容器は図2及び3に示す2軸混練機で、
シリンダー内径40mm、同方向回転で速度60rpm であ
る。タンク11の重合触媒オクチル酸錫をラクチドに対し
て 0.1%、計量ポンプ12によって原料供給孔へ供給す
る。シリンダー温度は、原料供給部付近150℃、中央
ベント孔付近160℃、先端部170℃とし、この容器
内の反応物の平均滞留時間は約150秒とし、第2ベン
トより第1ベントへ窒素ガスを流す。
【0027】第2反応容器も図2及び3に示す2軸混練
機で、シリンダー内径30mm、同方向回転で速度30rp
m 、温度は195℃とし、タンク15より触媒オクチル酸
錫を0.05%追加供給する。反応物の平均滞留時間は約9
0秒である。
【0028】フィニッシャー20は、内径15mm、長さ
1.2mのパイプで、内部にケニックス型静止混合素子を
40個内蔵しており、温度は185℃で、先端に計量ポ
ンプ、フィルター及び押出口金を取付け、ストランド状
に押出し、水中で冷却して切断してチップを得た。ポン
プ21のポリマー送り速度は100g/min である。得ら
れたチップから、重合開始30分後及びそれから1時間
毎にサンプリングして平均分子量及び残存モノマー量を
測定した結果を表1に示す。
【0029】比較のため、同じ装置を用い、第1反応容
器だけで重合したポリマーをポンプ13の後で取出してチ
ップ化した。反応条件は、前記実験とほぼ同じ分子量を
得るために、触媒添加量 0.3%、シリンダー温度は原料
供給部170℃、中央部190℃、後部195℃、攪拌
軸は同方向60rpm 、滞留時間240秒とした。前記実
験と同様にサンプリングしたポリマーの平均分子量及び
モノマー残存量を測定した。測定結果を表1に示す。表
1に見るように、本発明方法による多段反応方式は、比
較例の1段反応方式にくらべて、変動率が小さく安定性
が高い、残存モノマー量が少ないなどの点で優れてい
る。
【0030】
【表1】 [実施例2]実施例1とほぼ同様にして、但しタンク5
より両末端が水酸基で分子量20,000のポリエチレングリ
コールをラクチドに対し5%供給し共重合する。ポリエ
チレングリコールは、安定剤イルガノックスを 0.1%混
合してある。溶融混合装置7及び第1反応容器10の条件
は、実施例1と同じであり、第2反応容器は、温度19
0℃である。
【0031】実施例1の比較例とほぼ同様にして、但し
上記と同様にタンク5よりポリエチレングリコールをラ
クチドに対して5%添加した。第1反応容器の重合条件
は、触媒添加量 0.3%、シリンダー温度170℃−18
5℃−190℃、攪拌速度60rpm 、滞留時間240秒
である。
【0032】実施例1と同様に、1時間毎にサンプリン
グしたポリマーの分子量及び残存モノマーの平均値、標
準偏差、変動率を表2に示す。表2に見るように、ポリ
乳酸/ポリエチレングリコールの共重合系についても、
本発明方法によるポリマーは変動率が小さく、均一なポ
リマーを安定して得ることが出来る。
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】本発明によって、ラクチドを主成分とす
るポリ乳酸を、溶融重合法によって、能率的且つ安定し
て連続的に製造可能となった。また均一性に優れ、熱劣
化の少ない高品質のポリ乳酸を短時間で容易に得ること
が出来る。
【0035】これまで、ラクチドを主成分とする重合原
料の溶融重合による工業生産に適する方法は確立してい
ないが、本発明によって高効率の工業生産が初めて可能
になった。従って将来、地球環境の保全にポリ乳酸が貢
献出来る可能性が高まった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す連続多段重合装置の系統
図である。
【図2】本発明の反応容器として好適な2軸混練機の横
断面図である。
【図3】2軸混練機の縦断面図である。
【図4】本発明の反応容器に好適な2軸攪拌機を有する
反応容器の横断面図である。
【図5】該反応容器の平面図である。
【符号の説明】
1ラクチドタンク 2計量フィーダー 3
添加剤タンク 4計量フィーダー 5添加剤タンク 6
計量ポンプ 7溶融混合装置 8送液ポンプ 9
フィルター 10第1反応容器 11触媒タンク 12
計量ポンプ 13送液ポンプ置 14第2反応容器 15
触媒タンク 16計量ポンプ 17添加剤タンク 18
計量ポンプ 19送液ポンプ 20フィニッシャー 21
計量ポンプ 22フィルター 23重合物(ポリマー) 30駆動軸 31駆動軸 32
攪拌素子 33攪拌素子 34外筒(シリンダー) 35
空間 36加熱ブロック 37熱媒通路 38
スクリュウ型送液部 39混練素子部 40反応物(原料)供給孔 41
ベント孔 42ベント孔 43反応物出口 44
駆動部 50駆動軸 51駆動軸 52
攪拌素子 53攪拌素子 54容器 55
反応物 56空間 57給排気孔 58
反応物入口 59反応物出口

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクチドを主成分とする重合原料を溶融
    状態で反応させて重合する方法において、(1) 重合原料
    を重合装置の1端に連続的又は間欠的に供給し、(2) 互
    いに区画され、それぞれ攪拌又は混合装置を有する少な
    くとも2個の反応容器が、直列的に結合された多段反応
    装置によって重合し、(3) 重合装置の他端より重合物を
    連続的に取り出すことを特徴とするポリ乳酸類の重合方
    法。
  2. 【請求項2】 直列的に結合された少なくとも2段の反
    応容器において、反応温度、反応時間、触媒濃度及び圧
    力からなる反応条件の少なくとも1つが異なる、請求項
    1記載の重合方法。
  3. 【請求項3】 直列的に結合された少なくとも2段の反
    応容器において、後段の容器の触媒濃度又は/及び反応
    温度が、前段の容器のそれよりも高い、請求項1〜2記
    載の重合方法。
  4. 【請求項4】 直列的に結合された少なくとも2段の反
    応容器において、後段の容器の反応温度が前段の容器の
    それよりも低い、請求項1〜3記載の重合方法。
  5. 【請求項5】 重合原料を計量し連続的又は間欠的に重
    合反応装置の1端に供給する原料供給部と、互いに区画
    され、それぞれ攪拌又は混合装置を有し、直列的に結合
    された少なくとも2個の反応容器からなる多段重合反応
    装置と、重合されたポリマーを、重合反応装置の他端よ
    り連続的に取出す装置とを有するポリ乳酸の溶融連続重
    合装置。
  6. 【請求項6】 反応容器が筒状であり、多数の攪拌素子
    を単数又は複数の回転軸に取付けた攪拌装置を有し、且
    つ筒部の1端に反応物を供給する供給口を、他端に反応
    物を取出す取出口を有する、請求項5記載の重合装置。
  7. 【請求項7】 反応容器が、案内装置によって反応物の
    流れの分割と複合を多段的に繰返す静止混合器を有する
    ものである、請求項5〜6記載の重合装置。
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