JP4297315B2 - 定着用ベルトの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等において、シート上の未定着トナーを溶融圧着し、該シートに定着させるために使用される定着装置に用いられる定着ベルトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置用の定着装置としては、従前より、定着ローラと加圧ローラとを互いに圧接させて、両ローラの間にニップ部を形成すると共に、発熱源を定着ローラから取り出し、定着ローラから離間して配設された加熱ローラにこの発熱源を内蔵させ、加熱ローラと定着ローラとの間をエンドレスベルトで連結して、発熱源からの熱を、エンドレスベルトを走行させてニップ部に供給するように構成し、このニップ部を未定着トナーが担持された未定着シートを挿通させることにより、未定着トナーを加圧・溶融して、シート上に定着させる所謂ベルト式定着装置が開発され、実用に供されている。
【0003】
このようなベルト式定着装置においては、上述したように、加熱ローラからの熱をエンドレスベルトを介してニップ部に伝達しなければならないため、このエンドレスベルトには、例えば、特開平6−318001号に開示されるような範囲の熱容量が要求されている。また、このエンドレスベルトは比較的高速でエンドレス走行されるため、所要の屈曲疲労耐久性も要求されている。このような熱容量と屈曲疲労耐久性との観点を同時に満足するためのベルト基材としては、現在、ニッケル電鋳製やポリイミド樹脂製のものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、ニッケル電鋳製とポリイミド樹脂製を比較すると、熱容量とコストとの観点においてはニッケル電鋳製が好適するものの、屈曲疲労耐久性の観点においてはポリイミド樹脂製が好適している。しかし、ポリイミド樹脂製のベルト基体は、エンドレス走行を達成するために円筒形状に一体的に加工しなければならず、高コストの主たる原因となっている。このために、ポリイミド樹脂製のベルト基体を有する定着ベルトにおいては、コストの低廉化が強く要望され、具体的な解決が期待されている。
【0005】
このような要請のもとで、例えば特開2001-142325号公報に示されるように、ベルト基材を、外側シート材、接着層、内側シート材を順次積層して形成し、外側シート材及び接着層の一端部よりも内側シート材の一端部を実質的に短くして第1の相欠きを形成すると共に、外側シート材および接着層の他端部よりも内側シート材の他端部を実質的に長くして第2の相欠きを形成し、これら第1第2の相欠きを接着層を介して相欠き継ぎして接着し、基材を相欠き継ぎにより円筒体に形成するようにする技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、この従来公報に開示された製造方法を実施しようとすると、他端部における内側シート材の突出部分上に、一端における外側シート材の突出部分に塗布された接着層を重ねあわして接着させる作業が必須となるものであり、この接着作業において、間に空気溜まりを発生させず、また、皺を寄らせない状態を達成するためには、かなりの熟練が要求されるものであり、実際への利用に困難性が指摘されている。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みなされたもので、この発明の主たる目的は、低廉に且つ容易に製造することの出来る耐熱樹脂製のベルト基材を備えた定着ベルトの製造方法を提供することである。
【0008】
また、この発明の他の目的は、耐熱樹脂製の定着ベルトを安価に且つ容易に製造することの出来る製造方法を提供することである。
【0009】
また、この発明の別の目的は、ポリイミド樹脂製の定着ベルトを安価に且つ容易に製造することの出来る製造方法を提供することである。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項1の記載によれば、円筒状の芯金の外周に、ポリイミドからなる第1の耐熱樹脂フィルムを、互いに対向する側縁が互いに重ならず且つ0.5mm以下の隙間を有するように巻き付ける第1の工程と、この第1の工程で巻きつけられた第1の耐熱樹脂フィルムの外周面に全面に渡りシリコーンゴム材料からなる弾性接着剤を塗布する第2の工程と、この第2の工程で塗布された弾性接着剤の外周に、前記第1の耐熱樹脂フィルムと同じか薄い厚さのポリイミドからなる第2の耐熱樹脂フィルムを、互いに対向する側縁が互いに重ならず且つ0.5mm以下の隙間を有するように、この側縁が、前記第1の耐熱樹脂フィルムの側縁と、重なり合わないようにこれからオフセットした状態で巻き付ける第3の工程と、前記弾性接着剤を固化させる第4の工程と、前記第2の耐熱樹脂フィルムの外周に、シリコーンゴムを塗布することにより、厚さ50〜1000μmの弾性層を形成する第5の工程と、前記弾性層の外周に、離型層を形成する第6の工程と、を具備することを特徴としている。
【0011】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項2の記載によれば、円筒状の芯金の外周に、ポリイミドからなる第1の耐熱樹脂フィルムを、互いに対向する側縁が互いに重ならず且つ0.5mm以下の隙間を有するように巻き付ける第1の工程と、前記第1の耐熱樹脂フィルムと同じか薄い厚さの第2の耐熱樹脂フィルムの下面に弾性接着剤を塗布する第2の工程と、前記第1の工程で巻きつけられた第1の耐熱樹脂フィルムの外周面に、前記第2の耐熱樹脂フィルムを、互いに対向する側縁が互いに重ならず且つ0.5mm以下の隙間を有するように、この側縁が、前記第1の耐熱樹脂フィルムの側縁と、重なり合わないように、これからオフセットした状態で巻き付ける第3の工程と、前記弾性接着剤を固化させる第4の工程と、前記第2の耐熱樹脂フィルムの外周に、シリコーンゴムを塗布することにより、厚さ50〜1000μmの弾性層を形成する第5の工程と、前記弾性層の外周に、離型層を形成する第6の工程と、を具備することを特徴としている。
【0015】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項の記載によれば、前記第6の工程において、フッ素樹脂製フィルムを被覆することにより、前記離型層を形成させることを特徴としている。
【0018】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項の記載によれば、前記ポリイミドは、芳香族ポリイミドであることを特徴としている。
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項5の記載によれば、前記第2の耐熱樹脂フィルムの厚さが12.5〜25μmであることを特徴としている。
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項6の記載によれば、前記第1の耐熱樹脂フィルムの厚さが25〜50μmであることを特徴としている。
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項7の記載によれば、前記弾性接着剤の厚さが10〜40μmであることを特徴としている。
【0020】
【発明を実施する形態】
以下に、この発明に係わる定着ベルトの製造方法の一実施例の手順を、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0021】
{定着装置10の概略説明}
先ず、図1に示すように、この一実施例の定着装置10は、ハウジング構造として、図示しない電子式画像形成装置、例えば、電子プリンタのフレームに固定されるハウジング(図示せず)を備えてている。この定着装置10は、ローラ構成として、図示しない側板に固定軸線回りに回転自在に軸支された定着ローラ12と、定着ローラ12に転接する状態で、且つ、定着ローラ12の固定軸線と平行に設定された固定軸線回りに回転自在に支持された加圧ローラ14と、定着ローラ12から離間する状態で回動自在に支持された加熱ローラ16とを備えて構成されている。
【0022】
また、この定着装置10は、加熱ローラ16の内部に配設された、例えばハロゲンランプ等の加熱源18と、定着ローラ12と加熱ローラ16とに渡りエンドレスに巻回された、この発明の位置実施例に係わる定着ベルト(熱伝達ベルト)20とを更に備えている。
【0023】
ここで、詳細は後述するが、定着ローラ12は弾性ローラとして構成され、一方、加圧ローラ14は弾性ローラより硬いローラ上硬度を有するローラから構成されている。一方、加圧ローラ14は図示しないスプリングを介して定着ローラ12に圧接する方向に付勢されている。この結果、定着ローラ12と加圧ローラ14との互いの転接部(ニップ部)においては、両者は互いに所定の圧接力で転接し、これにより、定着ローラ12が転接部で凹んだ状態にもたらされることになる。即ち、ニップ幅が十分に確保されるように設定されている。
【0024】
このように概略構成される定着装置10においては、図示しない搬送機構を介して搬送されてきた未定着シートSは、未定着トナーが付着していない面を加圧ローラ14側を向くように設定された状態で、定着ベルト20が巻かれた定着ローラ12と加圧ローラ14との転接部(ニップ部)に向けて案内され、両者12,14の間を圧接された状態で挿通されることにより、未定着トナーが熱圧着されてシート上に定着されることになる。
【0025】
以下、上述した種々の構成要素を順次個別に説明する。
{定着ローラ24の説明}
【0026】
上述した定着ローラ12は、図示しないベアリングを介して回転自在に軸支される芯金部と、この芯金部の外周に同軸に配設され、定着ベルト20が巻回されるローラ本体とを備えて構成されている。この定着ローラ12のローラ外径は、この一実施例では38mmに設定されている。ここで、この一実施例において、芯金部は、直径25mmの鉄製シャフトから形成され、ローラ本体は、芯金部の外周に厚さ6.5mmで取り付けられたシリコーンゴム耐熱弾性体(具体的には、ローラ上にてJISA硬度で18度)から形成されている。
【0027】
{加圧ローラ14の説明}
上述したように、加圧ローラ14は、回転自在に軸支される芯金部と、この芯金部の外周に同軸に配設されたローラ本体とを備えて構成され、ローラ外径を35mmに設定されている。ここで、この一実施例において、芯金部は、外径29mmの鉄製パイプから形成され、ローラ本体は、芯金部の外周に厚さ3mmで取り付けられたシリコーンゴム耐熱弾性体(具体的には、上述した定着ローラ12のシリコーンゴム耐熱弾性体よりも硬めのローラ上にてJIS A硬度で40度のもの)から形成されている。
【0028】
{加熱ローラ16の説明}
上述した加熱源18を内蔵する加熱ローラ16は、この一実施例においては、直径30mmのアルミニウムパイプ製芯金の外周面に、厚さ20μmのPTFEの被覆層をコーティングしたものから構成されている。この加熱ローラ16の両端は、ベアリングを介して回転自在に軸支されており、各ベアリングの内側には、図示していないが、耐熱樹脂のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製のカラーが挿入されており、これにより、定着ベルト20のエンドレス走行時における蛇行や片寄りを防止している。
【0029】
この加熱ローラ16の内部には、発熱手段としての加熱源18が内蔵されているが、この一実施例においては、この加熱源18は、最大出力が800Wのハロゲンランプから構成されている。
【0030】
{定着ベルト20の説明}
この発明の特徴をなす定着ベルト20は、未定着シートS上の未定着トナーを定着温度まで過剰な熱量を与えることなく定着できるように、その定着ベルト20の1平方cm当たりの熱容量が、0.002cal/℃乃至0.025cal/℃の範囲内のものが好ましいものである。
【0031】
このため、この一実施例においては、図2に示すように、定着ベルト20は、2層の耐熱樹脂フィルムを互いに接着剤を介して張り合わせた構成のベルト基体22と、このベルト基体22の外周面に厚さ200μmでコーティングされた導電性シリコーンゴム製の弾性層24と、この弾性層24の外周面(表層)に厚さ50μmで被覆されたPFAの耐熱離型層26とを備えて、内径が60mmとなるように構成されている。
【0032】
以下に、このポリイミド樹脂製の張り合わせベルトとしてのベルト基体22を備えた定着ベルト20の構成及び成形(製造)方法につき、詳細に説明する。
【0033】
この定着ベルト20は、図3に示すように、第1の耐熱樹脂フィルムとしての短冊状の第1のポリイミド樹脂フィルム22aをスパイラル状に巻き込む共に、巻き込み状態でこの第1のポリイミド樹脂フィルム22aの互いに隣接する側縁が互いに僅かなギャップを介して近接するように設定された円筒状の第1層22Aと、第2の耐熱樹脂フィルムとしての短冊状の第2のポリイミド樹脂フィルム22bをスパイラル状に巻き込むと共に、巻き込み状態でこの第2のポリイミド樹脂フィルム22bの互いに隣接する側縁が僅かなギャップを介して互いに近接するように設定された円筒状の第2層22Bとを備えたベルト基体22を備え、図2に再び示すように、第2層22Bは、第1層Aの外周面上に弾性接着剤22cを介して接着されている。
【0034】
また、図4に示すように、第1層22Aにおける互いに近接する側縁と、第2層22Bにおける互いに近接する側縁とが、円筒形状の軸方向に関してオフセットした状態に設定されている。
【0035】
次に、この発明の特徴となる点であるが、以上のように構成される定着ベルト20の製造方法を、以下に説明する。
【0036】
即ち、この定着ベルト20の製造方法においては、図5に示すように、円筒状の外径60mm(φ60mm)の中子30を用意し、第1層22Aを規定する幅50mm、厚さ50μmの短冊状の第1のポリイミド樹脂フィルム22aをスプール32に巻き取らせておき、先ず、この中子30の外周に、第1のポリイミド樹脂フィルム22aの先端を、例えば両面接着テープ等を用いて貼り付け、この第1のポリイミド樹脂フィルム22aの互いの側縁が互いに接触するように緊密に、且つ、その巻き角度が約75度となるように設定する。
【0037】
この後、図6に示すように、中子30の外周に、第1のポリイミド樹脂フィルム22aを隙間無くスパイラル状に巻きつける。
【0038】
次に、この巻きつけ状態を維持したままで、この第1のポリイミド樹脂フィルム22aの外周面に接着剤を塗布して接着剤層22cを形成する。
【0039】
この後、第2層22Bを規定する幅50mm、厚さ25μmの短冊状の第2のポリイミド樹脂フィルム22bを別のスプール34に巻き取り、図7に示すように、これの先端を接着剤層22cを介して、第1のポリイミド樹脂フィルム22aの外周面に接着し、この第2のポリイミド樹脂フィルム22bの互いの側縁が互いに接触するように緊密に、且つ、その巻き角度が約75度となるように設定する。
【0040】
この第2のポリイミド樹脂フィルム22bを巻きつける際に、これの互いに接触する端縁が、第1のポリイミド樹脂フィルム22aの互いに接触する端縁に対して、円筒状の芯金30の軸方向に関してオフセットした状態となるように設定する。
【0041】
この後、図8に示すように、第1のポリイミド樹脂フィルム22aの外周に、第2のポリイミド樹脂フィルム22bを隙間無くスパイラル状に巻きつける。
【0042】
そして、全体を加熱することにより、第1のポリイミド樹脂フィルム22aと第2のポリイミド樹脂フィルム22bとを接着して、ベルト基体22を構成させる。
【0043】
このようにしてベルト基体22を構成した後、第2層22Bの外周面に導電性のシリコーンゴムを所定の厚さでコーティングし、加硫させることにより、導電性を有する弾性層24を形成する。
【0044】
最後に、この弾性層24の外周に、導電性PFA樹脂を50μmに被覆して、耐熱離型層26を構成し、中子30を抜き出して、定着ベルト20を独立した状態で取り出す。このようにして定着ベルト20を形成する。
【0045】
尚、このようにして定着ベルト20を形成する過程において、接着剤の接着性を発揮させるための加熱工程や、加硫工程において、ポリイミド樹脂フィルムも加熱されることになり、この結果、ある程度の収縮が発生することになる。この結果、ポリイミド樹脂フィルムを互いの側縁が互いに接触する状態でスパイラル状に巻きつけたとしても、上述した加熱工程を経ることにより、巻きつけられたポリイミド樹脂フィルムの互いに接触していた側縁は、収縮により、間に僅かな隙間が発生することになるが、この隙間は後述するように、画質に何らの悪影響を与えるものでなく、問題がないものである。
【0046】
次に、定着ベルト20を規定する種々のファクターにつき、詳細に説明する。先ず、再び図3に示すように、第1のポリイミド樹脂フィルム22a及び第2のポリイミド樹脂フィルム22bの夫々のスパイラル状に巻き込む際の巻き角度は、フィルムの幅と円筒形状の径とにより決まるものであり、以下の表1に示す関係となっている。
【0047】
【表1】
Figure 0004297315
【0048】
この表1から、定着ベルト20の径が20mm〜80mmにある範囲において、37度〜87度の範囲が適正巻き角度であることが判明した。ちなみに、本実施例における数値は、これら巻き角度の適正範囲に入っているものである。
【0049】
即ち、フィルム幅が30mm以下となると、巻き回数が増え、加工性・性能上の観点で好ましくない。また、フィルム幅が100mmを超えると、外径寸法の小さいサイズのものが作り難くなり、また、フィルムのロスも大きくなる。一方、製品サイズとしては、定着ベルト20の外径が20mm以下ではフィルムが巻きにくいとの問題があり、また、外径寸法100mm以上では、定着装置が全体的に大きくならざるを得ず、好ましくないことが判明した。
【0050】
一方、上述した接着剤層22cを構成する接着剤としては、この実施例においては、シリコーンゴム系接着剤が用いられており、特に、2液付加LTV(商品名:SE1700、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)が用いられている。尚、このシリコーンゴム系接着剤は、絶縁性を呈するものであるが、これに導電性の2液付加LTV(商品名:DY35−3027、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を混合して、抵抗値を10exp10Ω・cm以下に調整して導電性を呈するようにして用いることができるである。
【0051】
また、この接着剤としては、シリコーンゴム系に限定されることなく、エポキシ樹脂係接着剤(商品名:アレムコボンド568、米国アレムコ・プロダクツ社製)やフッ素樹脂系接着剤(商品名:EN−540CL、三井デュポンフロロケミカル社製)をも用いることが出来るものである。
【0052】
尚、これら接着剤を変えた場合の接着強度は、以下の表2に示す通りとなった。尚、接着強度の測定には、10mm幅にテストピースをカットして、ストログラフV10−C(東洋精機製作所社製)を用いて、180度剥離テストを行った。
【0053】
【表2】
Figure 0004297315
【0054】
この表2から、用いた全ての接着剤について、接着強度の観点からは、問題なく用い得ることが判明した。ここで、この実施例においては、上述したように2液付加LTVタイプのシリコーンゴム系接着剤が用いられている。
【0055】
更に、このように2液付加LTVタイプののシリコーンゴム系接着剤を用いる場合における接着剤層22cの層厚を5μm〜40μmの範囲で変化させた場合の最適値を、接着強度の観点から検証した。この結果、以下の表3の示す通りとなった。尚、この表3に示す接着強度は、上述の表2で示した接着強度の測定と同一の測定条件で行った。
【0056】
【表3】
Figure 0004297315
【0057】
この表3から、接着剤層22cの層厚としては、接着強度の観点からは、10μm〜40μmの範囲が最適することが判明した。
【0058】
次に、上述した構成の定着装置に、この定着ベルト20を組み込んだ際の耐久性を、接着剤の材質を異ならして評価した。尚、この耐久性試験において、ニップ部の温度を150℃となるように温度調整し、ニップ幅を4.0mmとなるように、加圧ローラ14の付勢力を調整し、定着ベルト20の走行速度を80mm/秒で連続空回転して、接着剤層22cに割れが出るまでの耐久時間を測定した。この結果を、次の表4に示す。
【0059】
【表4】
Figure 0004297315
【0060】
この表3から、耐久性の観点からは、接着剤としての材質としては、シリコーンゴム製のものが良いことが判明した。従って、上述した表2に示す接着強度の観点と総合すると、接着剤の材質としては、付加LTVタイプのシリコーンゴム系接着剤が最適することが判明した。また、付加型LTVであれば1液付加LTV、2液付加LTVのどちらをも用いることができるものである。
【0061】
尚、この表4において「貼り合わせ幅」とは、上述したように、形成することにより発生する所の、互いに隣接するポリイミド樹脂フィルムの近接する側縁間の隙間を意味しており、「フィルム段差」とは、この隙間に発生する凹みの深さを意味しており、即ち、第2層22Bのフィルム厚を意味しているものである。
【0062】
次に、この定着ベルト20を組み込んだ定着装置を、実機としてのカラー複写機(具体的には、商品面:カラーページプロPS、ミノルタ社製)に装着して、画像評価を行った。この画像評価においては、貼り合わせ幅を変えた場合の画像評価と、第1層22Aと第2層22Bとのフィルム厚を変えた場合の画像評価と、弾性層24の厚さを変えた場合の画像評価との、3種類の画像評価を行った。また、各画像評価においては、黒べた(4色)10枚を取り、画像上に欠陥があるかを判定した画質評価と、初期定着画像(電源を入れてから1分後)を取り、これの定着率を測定した結果としての定着性評価と、通常の画像を取った後、白紙を通紙してオフセット現象がないかを判定した帯電オフセット評価との3種類を各々実施した。貼り合わせ幅を変えた場合の結果を表5に、フィルム厚を変えた場合の結果を表6に、弾性層24の厚さを変えた場合の結果を表7に、夫々示す。
【0063】
【表5】
Figure 0004297315
【0064】
【表6】
Figure 0004297315
【0065】
【表7】
Figure 0004297315
【0066】
尚、表5乃至表7において、画質評価の基準としては、「○」は画像上に欠陥がない場合を示し、「×」は画像上に欠陥がある場合を示している。また、定着性評価の基準としては、「○」は定着率85%以上を示し、「×」は定着率80%以下を示している。また、帯電オフセット評価においては、「○」はオフセット現象無しを示し、「×」はオフセット現象がないことを示している。
【0067】
尚、上述の表5から、貼り合わせ幅が0.5mm以下であれば、画像評価に何ら悪影響を与えないことが判明した。また、表6から、第2層22Bの厚さが第1層22Aの厚さよりも厚くなった場合に、画質評価に問題が出るが、少なくとも同等以下であれば問題がないことが判明した。更に、表7から、弾性層24の層厚は、50乃至1000μmの範囲が最適することが判明した。
【0068】
以上詳述したように、この実施例においては、定着ベルト20を従来のように円筒形状に一体的に形成することと比較して、短冊状のポリイミドフィルムをスパイラル状に巻きつけると共に2層構造として貼り合わせて製造しているため、その製造コストは従来と比して飛躍的に低廉化させることが出来ることになる。
【0069】
この発明は、上述した一実施例の構成に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
【0070】
例えば、上述した実施例において、弾性層24を導電性を有するように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、耐熱樹脂フィルムとしてのポリイミド樹脂、接着剤層22c、耐熱離型層26の何れか1つが導電性材料であれば、定着ベルト20を全体的に帯電しないレベルまで下げることができるものである。
【0071】
また、上述した実施例においては、中子30の外周に巻き付けられた第1のポリイミド樹脂フィルム22aの外周面に接着剤を塗布して接着剤層22cを形成するように説明したが、この発明は、このような手順に限定されることなく、第2のポリイミド樹脂フィルム22bの内周面に予め接着剤を塗布して接着剤層22cを形成し、中子30の外周に巻きつけられた第1の耐熱樹脂フィルム22aの外周面に、接着剤層22cを下面に形成された第2の耐熱樹脂フィルム22bを、互いに対向する側縁が互いに接合するように隙間なく、これの互いに接合する側縁が、第1の耐熱樹脂フィルム22aの互いに接合する側縁と、重なり合わないように、これからオフセットした状態で巻き付けるように手順を構成しても、同様な効果を奏する事ができるものである。
【0072】
また、上述した実施例においては、短冊状のポリイミド樹脂フィルムを中子30の外周面においてスパイラル状に巻きつけるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、短冊状のポリイミド樹脂フィルムを中子30の円周方向に沿って巻きつけて、互いに対向する側縁同士を接合するように構成してもよいことは言うまでもない。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、高価な円筒状のポリイミド樹脂製ベルト基材を用いなくとも、短冊状のポリイミド樹脂フィルムを貼り合わせることにより、低廉に製造することの出来る耐熱樹脂製のベルト基材を備えた定着ベルトの製造方法が提供されることになる。
【0074】
また、この発明によれば、耐熱樹脂製の定着ベルトを安価に製造することの出来る製造方法が提供されることになる。
【0075】
また、この発明によれば、ポリイミド樹脂製の定着ベルトを安価に且つ容易に製造することの出来る製造方法が提供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる製造方法により製造される定着ベルトの一実施例のものが組み込まれる定着装置の構成を概略的に示す正面図である。
【図2】定着ベルトの構造を示す断面図である。
【図3】定着ベルトの構造を示す正面図である。
【図4】定着ベルトを構成する第1層及び第2層の夫々の接合側縁が、軸方向に沿ってオフセットしている状態を示す断面図である。
【図5】この発明に係わる定着ベルトの製造方法を説明するもので、第1のポリイミド樹脂フィルムの先端を中子に貼り付けた状態を示す図である。
【図6】中子の外周に、第1のポリイミド樹脂フィルムをスパイラル状に緊密に巻き付けた状態を示す図である。
【図7】中子の外周に巻きつけられた第1のポリイミド樹脂フィルムの外周に、第2のポリイミド樹脂フィルムの先端を貼り付けた状態で示す図である。
【図8】第1のポリイミド樹脂フィルムの外周に、第2のポリイミド樹脂フィルムをスパイラル状に緊密に巻きつけた状態を示す図である。
【符号の説明】
10 定着装置
12 定着ローラ
14 加圧ローラ
16 加熱ローラ
18 加熱源
20 定着ベルト
22 ベルト基体
22A 第1層
22B 第2層
22a 第1のポリイミド樹脂フィルム
22b 第2のポリイミド樹脂フィルム
22c 接着剤層
24 弾性層
26 耐熱離型層
30 中子
32 スプール
34 別のスプール

Claims (7)

  1. 円筒状の芯金の外周に、ポリイミドからなる第1の耐熱樹脂フィルムを、互いに対向する側縁が互いに重ならず且つ0.5mm以下の隙間を有するように巻き付ける第1の工程と、
    この第1の工程で巻きつけられた第1の耐熱樹脂フィルムの外周面に全面に渡りシリコーンゴム材料からなる弾性接着剤を塗布する第2の工程と、
    この第2の工程で塗布された弾性接着剤の外周に、前記第1の耐熱樹脂フィルムと同じか薄い厚さのポリイミドからなる第2の耐熱樹脂フィルムを、互いに対向する側縁が互いに重ならず且つ0.5mm以下の隙間を有するように、この側縁が、前記第1の耐熱樹脂フィルムの側縁と、重なり合わないようにこれからオフセットした状態で巻き付ける第3の工程と、
    前記弾性接着剤を固化させる第4の工程と、
    前記第2の耐熱樹脂フィルムの外周に、シリコーンゴムを塗布することにより、厚さ50〜1000μmの弾性層を形成する第5の工程と、
    前記弾性層の外周に、離型層を形成する第6の工程と、
    を具備することを特徴とする定着ベルトの製造方法。
  2. 円筒状の芯金の外周に、ポリイミドからなる第1の耐熱樹脂フィルムを、互いに対向する側縁が互いに重ならず且つ0.5mm以下の隙間を有するように巻き付ける第1の工程と、
    前記第1の耐熱樹脂フィルムと同じか薄い厚さの第2の耐熱樹脂フィルムの下面に弾性接着剤を塗布する第2の工程と、
    前記第1の工程で巻きつけられた第1の耐熱樹脂フィルムの外周面に、前記第2の耐熱樹脂フィルムを、互いに対向する側縁が互いに重ならず且つ0.5mm以下の隙間を有するように、この側縁が、前記第1の耐熱樹脂フィルムの側縁と、重なり合わないように、これからオフセットした状態で巻き付ける第3の工程と、
    前記弾性接着剤を固化させる第4の工程と、
    前記第2の耐熱樹脂フィルムの外周に、シリコーンゴムを塗布することにより、厚さ50〜1000μmの弾性層を形成する第5の工程と、
    前記弾性層の外周に、離型層を形成する第6の工程と、
    を具備することを特徴とする定着ベルトの製造方法。
  3. 前記第6の工程において、フッ素樹脂製フィルムを被覆することにより、前記離型層を形成させることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着ベルトの製造方法。
  4. 前記ポリイミドは、芳香族ポリイミドであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の定着ベルトの製造方法。
  5. 前記第2の耐熱樹脂フィルムの厚さが12.5〜25μmである請求項1〜4の何れか1項に記載の定着ベルトの製造方法。
  6. 前記第1の耐熱樹脂フィルムの厚さが25〜50μmである請求項1〜5の何れか1項に記載の定着ベルトの製造方法。
  7. 前記弾性接着剤の厚さが10〜40μmである請求項1〜6の何れか1項に記載の定着ベルトの製造方法。
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