JP4274401B2 - 定着用ベルトの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等において、シート上の未定着トナーを溶融圧着し、該シートに定着させるために使用される定着装置に用いられる定着ベルトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置用の定着装置としては、従前より、定着ローラと加圧ローラとを互いに圧接させて、両ローラの間にニップ部を形成すると共に、発熱源を定着ローラから取り出し、定着ローラから離間して配設された加熱ローラにこの発熱源を内蔵させ、加熱ローラと定着ローラとの間をエンドレスベルトで連結して、発熱源からの熱を、エンドレスベルトを走行させてニップ部に供給するように構成し、このニップ部を未定着トナーが担持された未定着シートを挿通させることにより、未定着トナーを加圧・溶融して、シート上に定着させる所謂ベルト式定着装置が開発され、実用に供されている。
【0003】
このようなベルト式定着装置においては、上述したように、加熱ローラからの熱をエンドレスベルトを介してニップ部に伝達しなければならないため、このエンドレスベルトには、例えば、特開平6−318001号に開示されるような範囲の熱容量が要求されている。また、このエンドレスベルトは比較的高速でエンドレス走行されるため、所要の屈曲疲労耐久性も要求されている。このような熱容量と屈曲疲労耐久性との観点を同時に満足するためのベルト基材としては、現在、ニッケル電鋳製やポリイミド樹脂製のものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、ニッケル電鋳製とポリイミド樹脂製を比較すると、熱容量とコストとの観点においてはニッケル電鋳製が好適するものの、屈曲疲労耐久性の観点においてはポリイミド樹脂製が好適している。しかし、ポリイミド樹脂製のベルト基体は、エンドレス走行を達成するために円筒形状に一体的に加工しなければならず、高コストの主たる原因となっている。このために、ポリイミド樹脂製のベルト基体を有する定着ベルトにおいては、コストの低廉化が強く要望され、具体的な解決が期待されている。
【0005】
このような要請のもとで、例えば特開2001-142325号公報に示されるように、ベルト基材を、外側シート材、接着層、内側シート材を順次積層して形成し、外側シート材及び接着層の一端部よりも内側シート材の一端部を実質的に短くして第1の相欠きを形成すると共に、外側シート材および接着層の他端部よりも内側シート材の他端部を実質的に長くして第2の相欠きを形成し、これら第1第2の相欠きを接着層を介して相欠き継ぎして接着し、基材を相欠き継ぎにより円筒体に形成するようにする技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、この従来公報に開示された製造方法を実施しようとすると、他端部における内側シート材の突出部分上に、一端における外側シート材の突出部分に塗布された接着層を重ねあわして接着させる作業が必須となるものであり、この接着作業において、間に空気溜まりを発生させず、また、皺を寄らせない状態を達成するためには、かなりの熟練が要求されるものであり、実際への利用に困難性が指摘されている。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みなされたもので、この発明の主たる目的は、低廉に且つ容易に製造することの出来る耐熱樹脂製のベルト基材を備えた定着ベルトの製造方法を提供することである。
【0008】
また、この発明の他の目的は、耐熱樹脂製の定着ベルトを安価に且つ容易に製造することの出来る製造方法を提供することである。
【0009】
また、この発明の別の目的は、ポリイミド樹脂製の定着ベルトを安価に且つ容易に製造することの出来る製造方法を提供することである。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項1の記載によれば、第1の耐熱樹脂フィルムと第2の耐熱樹脂フィルムとを、弾性接着剤を介して互いに貼り合わせて貼り合わせシートを形成する第1の工程と、この貼り合わせシートを、前記第1の耐熱樹脂フィルムが内側となる状態で、円筒状の巻きつけ治具の外周に、互いに隣接する側縁が互いに接触するように隙間なく巻きつけ、円筒状のベルト基体を構成させる第2の工程と、前記巻きつけ治具の外周面上で、第1及び第2の耐熱樹脂フィルムを相対的に摺動させ、各々の互いに隣接する側縁を互いに重ならないようにオフセットさせる第3の工程と、前記弾性接着剤を固化させる第4の工程とを具備することを特徴としている。
【0011】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項2の記載によれば、少なくとも第1の耐熱樹脂フィルムと第2の耐熱樹脂フィルムとを、弾性接着剤を介して互いに貼り合わせて貼り合わせシートを形成する第1の工程と、この貼り合わせシートを、前記第2の耐熱樹脂フィルムが外側となる状態で、円筒状の巻きつけ治具の内周に、互いに隣接する側縁が互いに接触するように隙間なく巻きつけ、円筒状のベルト基体を構成させる第2の工程と、前記巻きつけ治具の内周面上で、第1及び第2の耐熱樹脂フィルムを相対的に摺動させ、各々の互いに隣接する側縁を、互いに重ならないようにオフセットさせる第3の工程と、前記弾性接着剤を固化させる第4の工程とを具備することを特徴としている。
【0012】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項3の記載によれば、前記第3の工程において、前記第1及び第2の耐熱樹脂フィルムを、円周方向に沿って相対的に偏倚させることを特徴としている。
【0013】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項4の記載によれば、前記第3の工程において、前記第1の耐熱樹脂フィルムを固定して、前記第2の耐熱樹脂フィルムを偏倚させることを特徴としている。
【0014】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項5の記載によれば、前記第3の工程において、前記第1の耐熱樹脂フィルムを、前記巻きつけ治具の外周面に吸引することにより固定させることを特徴としている。
【0015】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項6の記載によれば、前記第3の工程において、前記第1及び第2の耐熱樹脂フィルムを、円周方向に沿って相対的に偏倚させることを特徴としている。
【0016】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項7の記載によれば、前記第3の工程において、前記第2の耐熱樹脂フィルムを固定して、前記第1の耐熱樹脂フィルムを偏倚させることを特徴としている。
【0017】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項8の記載によれば、前記貼り合わせシートは、前記巻きつけ治具の外周に巻きつけられることに先立ち、平行四辺形状に成形されることを特徴としている。
【0018】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項9の記載によれば、前記平行四辺形状に成形された貼り合わせシートは、これの互いに平行な一対の辺が、前記巻きつけ治具の外周に巻きつけられた状態で、円筒形状の円形状の端縁を構成し、他方の平行な一対の辺が、互いに接合されてスパイラル状の接合ラインを構成するように、形成されることを特徴としている。
【0019】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項10の記載によれば、前記貼り合わせシートは、前記巻きつけ治具の外周に巻きつけられることに先立ち、矩形状に成形されることを特徴としている。
【0020】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項11の記載によれば、前記矩形状に成形された貼り合わせシートは、これの互いに平行な一対の辺が、前記巻きつけ治具の外周に巻きつけられた状態で、円筒形状の円形状の端縁を構成し、他方の平行な一対の辺が、互いに接合されて前記円筒形状の軸線に平行な接合ラインを構成するように、形成されることを特徴としている。
【0021】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項12の記載によれば、前記貼り合わせシートは、前記巻きつけ治具の内周に巻きつけられることに先立ち、矩形状に成形されることを特徴としている。
【0022】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項13の記載によれば、前記矩形状に成形された貼り合わせシートは、これの互いに平行な一対の辺が、前記巻きつけ治具の内周に巻きつけられた状態で、円筒形状の円形状の端縁を構成し、他方の平行な一対の辺が、互いに接合されて前記円筒形状の軸線に平行な接合ラインを構成するように、形成されることを特徴としている。
【0023】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項14の記載によれば、前記第3の工程の終了後、前記円筒状に形成されたベルト基体を前記巻きつけ治具から取り出し、前記第4の工程を実施することを特徴としている。
【0024】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求15の記載によれば、前記第3の工程の終了を、前記円筒状に形成されたベルト基体を前記巻きつけ治具に取り付けておいたままの状態で、前記第4の工程を実施することを特徴としている。
【0025】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項16の記載によれば、前記第2の耐熱樹脂フィルムの外周に、弾性層を形成する第5の工程を更に具備することを特徴としている。
【0026】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項17の記載によれば、前記第5の工程において、シリコーンゴムを塗布することにより前記弾性層を形成する事を特徴している。
【0027】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項18の記載によれば、前記弾性層の外周に、離型層を形成する第6の工程を更に具備することを特徴としている。
【0028】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項19の記載によれば、前記第6の工程において、フッ素樹脂製フィルムを被覆することにより、前記離型層を形成させることを特徴としている。
【0029】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項20の記載によれば、前記耐熱樹脂フィルムは、熱硬化性樹脂から形成されていることを特徴としている。
【0030】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項21の記載によれば、前記熱硬化性樹脂は、ポリイミドである事を特徴している。
【0032】
また、この発明に係わる定着ベルトの製造方法は、請求項22の記載によれば、前記弾性接着剤が、シリコーンゴム材料から形成されていることを特徴としている。
【0033】
【発明を実施する形態】
以下に、この発明に係わる定着ベルトの製造方法の一実施例の手順を、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0034】
{定着装置10の概略説明}
先ず、図1に示すように、この一実施例の定着装置10は、ハウジング構造として、図示しない電子式画像形成装置、例えば、電子プリンタのフレームに固定されるハウジング(図示せず)を備えてている。この定着装置10は、ローラ構成として、図示しない側板に固定軸線回りに回転自在に軸支された定着ローラ12と、定着ローラ12に転接する状態で、且つ、定着ローラ12の固定軸線と平行に設定された固定軸線回りに回転自在に支持された加圧ローラ14と、定着ローラ12から離間する状態で回動自在に支持された加熱ローラ16とを備えて構成されている。
【0035】
また、この定着装置10は、加熱ローラ16の内部に配設された、例えばハロゲンランプ等の加熱源18と、定着ローラ12と加熱ローラ16とに渡りエンドレスに巻回された、この発明の位置実施例に係わる定着ベルト(熱伝達ベルト)20とを更に備えている。
【0036】
ここで、詳細は後述するが、定着ローラ12は弾性ローラとして構成され、一方、加圧ローラ14は弾性ローラより硬いローラ上硬度を有するローラから構成されている。一方、加圧ローラ14は図示しないスプリングを介して定着ローラ12に圧接する方向に付勢されている。この結果、定着ローラ12と加圧ローラ14との互いの転接部(ニップ部)においては、両者は互いに所定の圧接力で転接し、これにより、定着ローラ12が転接部で凹んだ状態にもたらされることになる。即ち、ニップ幅が十分に確保されるように設定されている。
【0037】
このように概略構成される定着装置10においては、図示しない搬送機構を介して搬送されてきた未定着シートSは、未定着トナーが付着していない面を加圧ローラ14側を向くように設定された状態で、定着ベルト20が巻かれた定着ローラ12と加圧ローラ14との転接部(ニップ部)に向けて案内され、両者12,14の間を圧接された状態で挿通されることにより、未定着トナーが熱圧着されてシート上に定着されることになる。
【0038】
以下、上述した種々の構成要素を順次個別に説明する。
{定着ローラ24の説明}
【0039】
上述した定着ローラ12は、図示しないベアリングを介して回転自在に軸支される芯金部と、この芯金部の外周に同軸に配設され、定着ベルト20が巻回されるローラ本体とを備えて構成されている。この定着ローラ12のローラ外径は、この一実施例では38mmに設定されている。ここで、この一実施例において、芯金部は、直径25mmの鉄製シャフトから形成され、ローラ本体は、芯金部の外周に厚さ6.5mmで取り付けられたシリコーンゴム耐熱弾性体(具体的には、ローラ上にてJISA硬度で18度)から形成されている。
【0040】
{加圧ローラ14の説明}
上述したように、加圧ローラ14は、回転自在に軸支される芯金部と、この芯金部の外周に同軸に配設されたローラ本体とを備えて構成され、ローラ外径を35mmに設定されている。ここで、この一実施例において、芯金部は、外径29mmの鉄製パイプから形成され、ローラ本体は、芯金部の外周に厚さ3mmで取り付けられたシリコーンゴム耐熱弾性体(具体的には、上述した定着ローラ12のシリコーンゴム耐熱弾性体よりも硬めのローラ上にてJIS A硬度で40度のもの)から形成されている。
【0041】
{加熱ローラ16の説明}
上述した加熱源18を内蔵する加熱ローラ16は、この一実施例においては、直径30mmのアルミニウムパイプ製芯金の外周面に、厚さ20μmのPTFEの被覆層をコーティングしたものから構成されている。この加熱ローラ16の両端は、ベアリングを介して回転自在に軸支されており、各ベアリングの内側には、図示していないが、耐熱樹脂のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製のカラーが挿入されており、これにより、定着ベルト20のエンドレス走行時における蛇行や片寄りを防止している。
【0042】
この加熱ローラ16の内部には、発熱手段としての加熱源18が内蔵されているが、この一実施例においては、この加熱源18は、最大出力が800Wのハロゲンランプから構成されている。
【0043】
{定着ベルト20の説明}
この発明の特徴をなす定着ベルト20は、未定着シートS上の未定着トナーを定着温度まで過剰な熱量を与えることなく定着できるように、その定着ベルト20の1平方cm当たりの熱容量が、0.002cal/℃乃至0.025cal/℃の範囲内のものが好ましいものである。
【0044】
このため、この一実施例においては、図2に示すように、定着ベルト20は、2層の耐熱樹脂フィルムを互いに接着剤を介して張り合わせた構成のベルト基体22と、このベルト基体22の外周面に厚さ200μmでコーティングされた導電性シリコーンゴム製の弾性層24と、この弾性層24の外周面(表層)に厚さ50μmで被覆されたPFAの耐熱離型層26とを備えて、内径が60mmとなるように構成されている。
【0045】
以下に、このポリイミド樹脂製の張り合わせベルトとしてのベルト基体22を備えた定着ベルト20の構成及び成形(製造)方法につき、詳細に説明する。
【0046】
この定着ベルト20は、図3に示すように、第1の耐熱樹脂フィルムとしての短冊状の第1のポリイミド樹脂フィルム22aをスパイラル状に巻き込む共に、巻き込み状態でこの第1のポリイミド樹脂フィルム22aの互いに隣接する側縁が互いに僅かなギャップを介して近接するように設定された円筒状の第1層22Aと、第2の耐熱樹脂フィルムとしての短冊状の第2のポリイミド樹脂フィルム22bをスパイラル状に巻き込むと共に、巻き込み状態でこの第2のポリイミド樹脂フィルム22bの互いに隣接する側縁が僅かなギャップを介して互いに近接するように設定された円筒状の第2層22Bとを備えたベルト基体22を備え、図2に再び示すように、第2層22Bは、第1層Aの外周面上に弾性接着剤22cを介して接着されている。
【0047】
また、図4に示すように、第1層22Aにおける互いに近接する側縁と、第2層22Bにおける互いに近接する側縁とが、円筒形状の軸方向に関してオフセットした状態に設定されている。
【0048】
次に、この発明の特徴となる点であるが、以上のように構成される定着ベルト20の製造方法を、以下に説明する。
【0049】
即ち、この定着ベルト20の製造方法においては、図5に示すように、先ず、第1の耐熱樹脂フィルムとしての第1のポリイミド樹脂フィルム22aをテープ状にして備え、また、第2の耐熱樹脂フィルムとしての第2のポリイミド樹脂フィルム22bをテープ状にして備え、両者を互いに間に弾性接着剤22cを介して重ね合わせて、貼り合わせシート28を形成する。尚、この弾性接着剤22cは、この状態で、何ら接着力を呈するものではなく、後述するように、加熱することにより、初めて接着力が発揮されるように設定されている。
【0050】
また、この接着剤22cは、図示するように、ノズル30から吐出されて、第1及び第2のポリイミド樹脂フィルム22a,22bの接合部位に溜めらて、両フィルム22a,22bの走行に応じて、両者の間に塗りこまれていくように設定されている。ここで、上述した接合部位には、一対の圧接ローラ32a,32bが設けられており、両圧接ローラ32a,32bに挟み込まれて、接着剤22cの層厚は薄く均一に規制されると共に、中の空気が確実に押し出されて気泡の無い良好な状態が達成されることになる。
【0051】
この貼り合わせシート28を、次に、図6に示すように、平行四辺形状に切り落とした状態で成形する。ここで、この平行四辺形状においては、互いに平行な一対の辺28a,28bが、これを後述する巻きつけ治具34の外周に巻きつけて円筒形状を構成する状態で、この円筒形状の円周状の端縁を構成し、他方の平行な斜辺28c、28dが、巻きつけ治具34の外周面上で互いに接合されてスパイラル状の接合ラインを構成するように、予め形成されている。即ち、平行四辺形状に切り落とされた状態で、第1及び第2のポリイミド樹脂フィルム22a,22bは、完全に重ねあわされ、どこも突出していない状態に設定されている。
【0052】
そして、図7に示すように、円筒状の外径60mm(φ60mm)の巻きつけ治具34を用意する。この巻きつけ治具34の外周面には、図示していないが、吸引孔が多数形成されており、これら吸引孔は、これも図示しない吸引ポンプに接続されていて、この吸引ポンプの起動(又は、起動中の吸引ポンプに図示しない切り替え弁を介して接続されること)により、各吸引孔に負圧(吸引力)が発生するように設定されている。
【0053】
このように構成された巻きつけ治具34の外周に、図7及び図8に示すように、上述した平行四辺形状の貼り合わせシート28を、第1のポリイミド樹脂フィルム22aが内側となる状態で、これの互いの側縁(斜辺)28c,28dが互いに接触するように緊密に隙間無く巻きつけ、円筒形状のベルト基体を形成する。
【0054】
尚、この実施例においては、貼り合わせシート28の互いに接合される側縁(斜辺)により形成されるスパイラル状の接合ラインは、巻きつけ治具34の外周面を1周しない範囲で形成されるように、この貼り合わせシート28は巻きつけ治具34の外周面に巻きつけられるように設定されている。
【0055】
ここで、このように、貼り合わせシート28を巻きつけ治具34の外周に巻きつける状態において、この平行四辺形状の幅寸法(辺28a,28b間の距離)が、形成される円筒形状のベルト基体の軸長さを規定するものであり、高さ寸法(斜辺28c,28d間の距離)が、形成される円筒形状のベルト基体の円周長さを規定している。
【0056】
次に、この巻きつけ状態を維持したままで、上述した吸引孔に負圧(吸引力)を発生させ、内側に位置する第1のポリイミド樹脂フィルム22aを、巻きつけ治具34の外周面に固定する。
【0057】
この後、図9に示すように、外側に位置する第2のポリイミド樹脂フィルム22bを、巻きつけ治具34の円周方向に沿って偏倚させる。これにより、第1及び第2のポリイミド樹脂フィルム22a,22bの互いに隣接する側縁(接合ライン)が、互いに円周方向に沿ってオフセットし、互いに重ね合わされない状態が達成されることになる。
【0058】
そして、全体を加熱することにより、第1のポリイミド樹脂フィルム22aと第2のポリイミド樹脂フィルム22bとが接着剤層22cを介して接着され、最終的なベルト基体22が構成される。
【0059】
このようにしてベルト基体22を構成した後、第2層22Bの外周面に導電性のシリコーンゴム(製品名:DY35−2080、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を所定の厚さでコーティングし、硬化させることにより、導電性を有する弾性層24を形成する。
【0060】
最後に、この弾性層24の外周に、厚さ50μmの導電性PFA樹脂(グンゼ社製)を被覆して、耐熱離型層26を構成し、巻きつけ治具34を抜き出して、定着ベルト20として独立した状態で取り出す。このようにして定着ベルト20の製造が完了する。
【0061】
尚、このようにして定着ベルト20を形成する過程において、接着剤の接着性を発揮させるための加熱工程や、硬化工程において、ポリイミド樹脂フィルムも加熱されることになり、この結果、ある程度の収縮が発生することになる。この結果、ポリイミド樹脂フィルムを互いの側縁が互いに接触する状態でスパイラル状に巻きつけたとしても、上述した加熱工程を経ることにより、巻きつけられたポリイミド樹脂フィルムの互いに接触していた側縁は、収縮により、間に僅かな隙間が発生することになるが、この隙間は後述するように、画質に何らの悪影響を与えるものでなく、問題がないものである。
【0062】
次に、定着ベルト20を規定する種々のファクターにつき、詳細に説明する。
【0063】
先ず、上述した接着剤層22cを構成する接着剤としては、この実施例においては、シリコーンゴム系接着剤が用いられており、特に、2液付加LTV(商品名:SE1700、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)が用いられている。尚、このシリコーンゴム系接着剤は、絶縁性を呈するものであるが、これに導電性の2液付加LTV(商品名:DY35−3027、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を混合して、抵抗値を10exp10Ω・cm以下に調整して導電性を呈するようにして用いることができるである。
【0064】
また、この接着剤としては、シリコーンゴム系に限定されることなく、エポキシ樹脂係接着剤(商品名:アレムコボンド568、米国アレムコ・プロダクツ社製)やフッ素樹脂系接着剤(商品名:EN−540CL、三井デュポンフロロケミカル社製)をも用いることが出来るものである。
【0065】
尚、これら接着剤を変えた場合の接着強度は、以下の表1に示す通りとなった。尚、接着強度の測定には、10mm幅にテストピースをカットして、ストログラフV10−C(東洋精機製作所社製)を用いて、180度剥離テストを行った。
【0066】
【表1】
Figure 0004274401
【0067】
この表1から、用いた全ての接着剤について、接着強度の観点からは、問題なく用い得ることが判明した。ここで、この実施例においては、上述したように2液付加LTVタイプのシリコーンゴム系接着剤が用いられている。
【0068】
更に、このように2液付加LTVタイプののシリコーンゴム系接着剤を用いる場合における接着剤層22cの層厚を5μm〜40μmの範囲で変化させた場合の最適値を、接着強度の観点から検証した。この結果、以下の表2の示す通りとなった。尚、この表3に示す接着強度は、上述の表2で示した接着強度の測定と同一の測定条件で行った。
【0069】
【表2】
Figure 0004274401
【0070】
この表2から、接着剤層22cの層厚としては、接着強度の観点からは、10μm〜40μmの範囲が最適することが判明した。
【0071】
次に、上述した構成の定着装置に、この定着ベルト20を組み込んだ際の耐久性を、接着剤の材質を異ならして評価した。尚、この耐久性試験において、ニップ部の温度を150℃となるように温度調整し、ニップ幅を4.0mmとなるように、加圧ローラ14の付勢力を調整し、定着ベルト20の走行速度を80mm/秒で連続空回転して、接着剤層22cに割れが出るまでの耐久時間を測定した。この結果を、次の表3に示す。
【0072】
【表3】
Figure 0004274401
【0073】
この表3から、耐久性の観点からは、接着剤としての材質としては、シリコーンゴム製のものが良いことが判明した。従って、上述した表2に示す接着強度の観点と総合すると、接着剤の材質としては、1液付加LTVタイプのシリコーンゴム系接着剤が最適することが判明した。尚、この表3において「貼り合わせ幅」とは、上述したように、形成することにより発生する所の、互いに隣接するポリイミド樹脂フィルムの近接する側縁間の隙間を意味しており、「フィルム段差」とは、この隙間に発生する凹みの深さを意味しており、即ち、第2層22Bのフィルム厚を意味しているものである。
【0074】
次に、この定着ベルト20を組み込んだ定着装置を、実機としてのカラー複写機(具体的には、商品面:カラーページプロPS、ミノルタ社製)に装着して、画像評価を行った。この画像評価においては、貼り合わせ幅を変えた場合の画像評価と、第1層22Aと第2層22Bとのフィルム厚を変えた場合の画像評価と、弾性層24の厚さを変えた場合の画像評価との、3種類の画像評価を行った。また、各画像評価においては、黒べた(4色)10枚を取り、画像上に欠陥があるかを判定した画質評価と、初期定着画像(電源を入れてから1分後)を取り、これの定着率を測定した結果としての定着性評価と、通常の画像を取った後、白紙を通紙してオフセット現象がないかを判定した帯電オフセット評価との3種類を各々実施した。貼り合わせ幅を変えた場合の結果を表4に、フィルム厚を変えた場合の結果を表5に、弾性層24の厚さを変えた場合の結果を表6に、夫々示す。
【0075】
【表4】
Figure 0004274401
【0076】
【表5】
Figure 0004274401
【0077】
【表6】
Figure 0004274401
【0078】
尚、表4乃至表6において、画質評価の基準としては、「○」は画像上に欠陥がない場合を示し、「×」は画像上に欠陥がある場合を示している。また、定着性評価の基準としては、「○」は定着率85%以上を示し、「×」は定着率80%以下を示している。また、帯電オフセット評価においては、「○」はオフセット現象無しを示し、「×」はオフセット現象がないことを示している。
【0079】
尚、上述の表4から、貼り合わせ幅が0.5mm以下であれば、画像評価に何ら悪影響を与えないことが判明した。また、表5から、第2層22Bの厚さが第1層22Aの厚さよりも厚くなった場合に、画質評価に問題が出るが、少なくとも同等以下であれば問題がないことが判明した。更に、表6から、弾性層24の層厚は、50乃至1000μmの範囲が最適することが判明した。
【0080】
以上詳述したように、この実施例においては、定着ベルト20を従来のように円筒形状に一体的に形成することと比較して、テープ状のポリイミドフィルムを2層構造として貼り合わせて製造しているため、その製造コストは従来と比して飛躍的に低廉化させることが出来ることになる。また、貼り合わせシートを巻きつけ治具の外周に巻きつけることにより、接合ラインが互いに重なり合った状態で円筒状に一旦形成し、その後、外層と内層とを互いに相対的に摺動させて、接合ラインを互いに重ならないようにオフセットさせるようにして、巻きつけ治具から取り出して独立させた状態でも、円筒形状が維持できるようにしているので、容易に貼り合わせシートから円筒状のベルト基体を製造することができることになる。
【0081】
この発明は、上述した一実施例の構成に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
【0082】
例えば、上述した実施例において、ベルト基体10は、第1及び第2のポリイミド樹脂フィルムを貼り合わせた2層貼り合わせシートから構成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、少なくとも第1及び第2のポリイミド樹脂フィルムを貼り合わせた多層貼り合わせシートから構成されるものであれば良く、具体的には、例えば、第1乃至第3のポリイミド樹脂フィルムを貼り合わせた3層貼り合わせシートから構成されるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0083】
また、上述した実施例においては、貼り合わせシートを平行四辺形状に形成するように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、図10及び図11に変形例として示すように、貼り合わせシートを矩形状に形成するようにしてもよいことは言うまでもない。要は、巻きつけ治具の外周に巻きつけた際に、互いに対向する端縁同士が接合されて円筒形状を呈することができるものであれば、その形状を問わない。
【0084】
特に、貼り合わせシートを矩形状に形成した場合には、図11に示すように、接合ラインは、円筒状の軸線に平行な状態となるが、本発明においては、この接合ラインを外層及び内層のシートを互いに摺動させてずらせることにより、重なり合わない状態としているので、何ら問題の無いものである。
【0085】
また、上述した実施例において、弾性層24を導電性を有するように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、耐熱樹脂フィルムとしてのポリイミド樹脂、接着剤層22c、耐熱離型層26の何れか1つが導電性材料であれば、定着ベルト20を全体的に帯電しないレベルまで下げることができるものである。
【0086】
また、上述した実施例においては、外側に位置する第2のポリイミド樹脂フィルム22bを円周方向に沿って偏倚させて、第1及び第2のポリイミド樹脂フィルム22a,22bの互いの接合ラインが重ねあわないようにしたが、この発明は,このような手順に限定されることなく、例えば、第2のポリイミド樹脂フィルム22bを軸方向に沿って偏倚させてもよいし、円周方向及び軸方向に同時に移動させるようにしてもよいことは言うまでも無い。
【0087】
また、上述した実施例においては、ベルト基体22を巻きつけ治具34の外周に貼り付けた状態で加熱して、接着剤層22cの接着力が発揮されるように説明したが、この発明は,このような手順に限定されることなく、例えば、ベルト基体22を巻きつけ治具34から取り外して、単体として加熱して、ベルト基体22を規定するように構成しても良いものである。
【0088】
また、上述した一実施例においては、貼り合わせシート28を巻きつけ治具34の外周面に巻きつけて、円筒形状に成形するように説明したが、この発明は、このような手順に限定されることなく、図12及び図13に他の実施例として示すように製造しても良いものである。尚、以下の説明において、上述した一実施例と同一又は同様の部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0089】
即ち、他の実施例においては、先ず、図12に示すように、上述した一実施例で説明した形成方法と同一の形成方法で形成した貼り合わせシート28を、円筒形状の巻きつけ治具36の内周面に巻きつけ、軸方向に沿う両端縁28c、28dを互いに接合させることにより円筒形状に成形し、その後、図13に示すように、内周に位置する第1のポリイミド樹脂フィルム22aを、巻きつけ治具36の周方向(従って、円筒形状に成形された貼り合わせシートの周方向)に沿って、外周に位置する第2のポリイミド樹脂フィルム22bに対して相対的に摺動させる。
【0090】
ここで、巻きつけ治具36の内周面に接する側の第2のポリイミド樹脂フィルム22bは、自身の有する所謂腰の強さ(原形状である平坦形状に復帰しようとする力)により、巻きつけ治具36の内周面に所定の強さで摩擦係合しているので、この結果、上述した一実施例の場合のように、巻きつけ治具34に接する側の第1のポリイミド樹脂フィルム22aを吸引等により巻きつけ治具34の外周面に強制的に保持させておくような構成を採用する必要がない。
【0091】
そして、このように内周に位置する第1のポリイミド樹脂フィルム22aのみが第2のポリイミド樹脂フィルム22bから周方向に沿って移動させるられることにより、第1のポリイミド樹脂フィルム22aの接合ライン22c、22dは、第2のポリイミド樹脂フィルム22bの接合ラインから周方向に沿って偏倚して、互いに重なり合わない状態となる。
【0092】
このよにして、上述した他の実施例のように貼り合わせシート28を、巻きつけ治具36の内周面に巻きつけて円筒状に成形したとしても、上述した一実施例の場合と同様な効果が達成されると共に、上述した一実施例の場合と比較して、吸引工程が省略可能となり、製造手順が簡易化される効果が更に達成されることになる。
【0093】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、高価な円筒状のポリイミド樹脂製ベルト基材を用いなくとも、テープ状のポリイミド樹脂フィルムを貼り合わせることにより、低廉に且つ容易に製造することの出来る耐熱樹脂製のベルト基材を備えた定着ベルトの製造方法が提供されることになる。
【0094】
また、この発明によれば、耐熱樹脂製の定着ベルトを安価に且つ容易に製造することの出来る製造方法が提供されることになる。
【0095】
また、この発明によれば、ポリイミド樹脂製の定着ベルトを安価に且つ容易に製造することの出来る製造方法が提供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる製造方法により製造される定着ベルトの一実施例のものが組み込まれる定着装置の構成を概略的に示す正面図である。
【図2】定着ベルトの構造を示す断面図である。
【図3】定着ベルトの構造を示す正面図である。
【図4】定着ベルトを構成する第1層及び第2層の夫々の接合側縁が、軸方向に沿ってオフセットしている状態を示す断面図である。
【図5】この発明に係わる定着ベルトの製造方法を説明するもので、第1のポリイミド樹脂フィルムと第2のポリイミド樹脂フィルムとを接着剤を介して貼り合わせる状態を示す図である。
【図6】貼り合わせシートを平行四辺形状に成形した状態を示す平面図である。
【図7】巻きつけ治具の外周に平行四辺形状の貼り合わせシートを巻きつけた状態で示す斜視図である。
【図8】図7に示す状態を平面視で示す平面図である。
【図9】図8に示す状態から、外側の第2のポリイミド樹脂フィルムを円周方向に偏倚させた状態で示す平面図である。
【図10】図6に示す貼り合わせシートを矩形状とした変形例を示す平面図である。
【図11】巻きつけ治具の外周に図10に示す矩形状のシートを巻きつけた状態で示す斜視図である。
【図12】この発明に係わる定着ベルトの製造方法の他の実施例の手順を示す図であって、貼り合わせシートを巻きつけ治具の内周面に巻きつけた状態で示す図である。
【図13】図12に示す状態から、内周に位置する第1のポリイミド樹脂フィルムのみを周方向に沿って偏倚させた状態で示す図である。
【符号の説明】
10 定着装置
12 定着ローラ
14 加圧ローラ
16 加熱ローラ
18 加熱源
20 定着ベルト
22 ベルト基体
22A 第1層
22B 第2層
22a 第1のポリイミド樹脂フィルム
22b 第2のポリイミド樹脂フィルム
22c 接着剤層
24 弾性層
26 耐熱離型層
28 貼り合わせシート
28a;28b;28c;28d 辺
30 接着剤吐出用のノズル
32a;32b 圧接ローラ
34 巻きつけ治具
36 巻きつけ治具

Claims (22)

  1. 少なくとも第1の耐熱樹脂フィルムと第2の耐熱樹脂フィルムとを、弾性接着剤を介して互いに貼り合わせて貼り合わせシートを形成する第1の工程と、
    この貼り合わせシートを、前記第1の耐熱樹脂フィルムが内側となる状態で、円筒状の巻きつけ治具の外周に、互いに隣接する側縁が互いに接触するように隙間なく巻きつけ、円筒状のベルト基体を構成させる第2の工程と、
    前記巻きつけ治具の外周面上で、第1及び第2の耐熱樹脂フィルムを相対的に摺動させ、各々の互いに隣接する側縁を、互いに重ならないようにオフセットさせる第3の工程と、
    前記弾性接着剤を固化させる第4の工程と、
    を具備することを特徴とする定着ベルトの製造方法。
  2. 少なくとも第1の耐熱樹脂フィルムと第2の耐熱樹脂フィルムとを、弾性接着剤を介して互いに貼り合わせて貼り合わせシートを形成する第1の工程と、
    この貼り合わせシートを、前記第2の耐熱樹脂フィルムが外側となる状態で、円筒状の巻きつけ治具の内周に、互いに隣接する側縁が互いに接触するように隙間なく巻きつけ、円筒状のベルト基体を構成させる第2の工程と、
    前記巻きつけ治具の内周面上で、第1及び第2の耐熱樹脂フィルムを相対的に摺動させ、各々の互いに隣接する側縁を、互いに重ならないようにオフセットさせる第3の工程と、
    前記弾性接着剤を固化させる第4の工程と、
    を具備することを特徴とする定着ベルトの製造方法。
  3. 前記第3の工程において、前記第1及び第2の耐熱樹脂フィルムを、円周方向に沿って相対的に偏倚させることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルトの製造方法。
  4. 前記第3の工程において、前記第1の耐熱樹脂フィルムを固定して、前記第2の耐熱樹脂フィルムを偏倚させることを特徴とする請求項3に記載の定着ベルトの製造方法。
  5. 前記第3の工程において、前記第1の耐熱樹脂フィルムを、前記巻きつけ治具の外周面に吸引することにより固定させることを特徴とする請求項4に記載の定着ベルトの製造方法。
  6. 前記第3の工程において、前記第1及び第2の耐熱樹脂フィルムを、円周方向に沿って相対的に偏倚させることを特徴とする請求項2に記載の定着ベルトの製造方法。
  7. 前記第3の工程において、前記第2の耐熱樹脂フィルムを固定して、前記第1の耐熱樹脂フィルムを偏倚させることを特徴とする請求項に記載の定着ベルトの製造方法。
  8. 前記貼り合わせシートは、前記巻きつけ治具の外周に巻きつけられることに先立ち、平行四辺形状に成形されることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルトの製造方法。
  9. 前記平行四辺形状に成形された貼り合わせシートは、これの互いに平行な一対の辺が、前記巻きつけ治具の外周に巻きつけられた状態で、円筒形状の円形状の端縁を構成し、他方の平行な一対の辺が、互いに接合されてスパイラル状の接合ラインを構成するように、形成されることを特徴とする請求項8に記載の定着ベルトの製造方法。
  10. 前記貼り合わせシートは、前記巻きつけ治具の外周に巻きつけられることに先立ち、矩形状に成形されることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルトの製造方法。
  11. 前記矩形状に成形された貼り合わせシートは、これの互いに平行な一対の辺が、前記巻きつけ治具の外周に巻きつけられた状態で、円筒形状の円形状の端縁を構成し、他方の平行な一対の辺が、互いに接合されて前記円筒形状の軸線に平行な接合ラインを構成するように、形成されることを特徴とする請求項10に記載の定着ベルトの製造方法。
  12. 前記貼り合わせシートは、前記巻きつけ治具の内周に巻きつけられることに先立ち、矩形状に成形されることを特徴とする請求項2に記載の定着ベルトの製造方法。
  13. 前記矩形状に成形された貼り合わせシートは、これの互いに平行な一対の辺が、前記巻きつけ治具の内周に巻きつけられた状態で、円筒形状の円形状の端縁を構成し、他方の平行な一対の辺が、互いに接合されて前記円筒形状の軸線に平行な接合ラインを構成するように、形成されることを特徴とする請求項12に記載の定着ベルトの製造方法。
  14. 前記第3の工程の終了後、前記円筒状に形成されたベルト基体を前記巻きつけ治具から取り出し、前記第4の工程を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の定着ベルトの製造方法。
  15. 前記第3の工程の終了を、前記円筒状に形成されたベルト基体を前記巻きつけ治具に取り付けておいたままの状態で、前記第4の工程を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の定着ベルトの製造方法。
  16. 前記第2の耐熱樹脂フィルムの外周に、弾性層を形成する第5の工程を更に具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の定着ベルトの製造方法。
  17. 前記第5の工程において、シリコーンゴムを塗布することにより前記弾性層を形成する事を特徴とする請求項16に記載の定着ベルトの製造方法。
  18. 前記弾性層の外周に、離型層を形成する第6の工程を更に具備することを特徴とする請求項16又は17に記載の定着ベルトの製造方法。
  19. 前記第6の工程において、フッ素樹脂製フィルムを被覆することにより、前記離型層を形成させることを特徴とする請求項18に記載の定着ベルトの製造方法。
  20. 前記耐熱樹脂フィルムは、熱硬化性樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着ベルトの製造方法。
  21. 前記熱硬化性樹脂は、ポリイミドである事を特徴とする請求項20に記載の定着ベルトの製造方法。
  22. 前記弾性接着剤が、シリコーンゴム材料から形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着ベルトの製造方法。
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