近年、健康志向の高まり、運動不足の解消、スリムな体形の維持、肥満の解消、気分のリフレッシュ、ストレス解消といった様々な目的で、ウオーキングやジョギングを行う人々が増加している。ウオーキングやジョギングは手軽に低コストで行える有酸素運動であり、蓄積した脂肪分を燃焼するのに最適な運動であることから、男女を問わず幅広い世代で人気である。
ウオーキングやジョギングは一般的に室外で行うものであるので、外部の空気を体内に直接吸い込む環境にある。しかし、人間が呼吸するとき、常に良好な環境であることはなく、吸い込んだ吸気中に、人体に有害な成分を含む場合もある。
また、ウオーキングやジョギングを継続して行うことが、より効果を高める。毎日欠かさず継続する人も多い。季節や時間を問わず年中行えるため、例えば、春季にはスギやヒノキの花粉が大気中に放出される環境の中をウオーキングやジョギングすることになり、花粉症の人は被害を受ける。また、冬季においては、インフルエンザ等の感染症が流行していると、ウイルスや細菌が猛威を振るう環境でウオーキングやジョギングすることになり、感染するおそれがある。特に、運動の最中は、疲労により感染症に対する抵抗力が低下しているので、運動を行っていない状態よりも感染するリスクが大きい。
このように、健康増進、運動不足の解消、スリムな体形の維持、肥満の解消、気分のリフレッシュ、ストレス解消といった目的のために各自がウオーキングやジョギングを行うと、逆に上記理由によって人体に悪い影響を及ぼしてしまう。
したがって、これらの問題を根本的に解決し、季節や時間を問わずいつの時期においても最も効果的なウオーキングやジョギングを行うためには、カビ、浮遊菌、ウイルス、花粉およびダニ等のアレルゲン成分が存在しない室内環境においてウオーキングやジョギングすればよい。しかし、通勤や通学のときにウオーキングやジョギングする人々にとっては、室内でウオーキングやジョギングするといった行為は非現実である。
そこで、少なくとも人間が空気を吸入する顔面近傍の空間、すなわち鼻や口の周囲において、これらの花粉やウイルス等が無い、あるいは不活化された環境を形成することが望まれる。小型の空気浄化装置であれば、除去・不活化が可能であり、携帯も容易であるので、好ましい形態となる。携帯型空気浄化装置を所有して、ウオーキングやジョギングすることにより、感染症やアレルギー性疾患になるリスクが解消される。
ところで、住宅環境といった人間が生活する環境において、カビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニ等のアレルゲン成分である生物に由来する汚染原因を除去/不活化するための手法として、大気中の正イオンと負イオン(以下、正負イオンと称する)を利用する方法が非常に好ましい方法として用いられる。正負イオンの効果については、特許文献1に詳細に記載されている。以下に、簡単に説明する。
イオン発生装置の作動原理は、プラズマ領域を形成してイオンを発生するイオン発生電極を有するイオン発生素子の電極間に、交流の高電圧、多くの場合はパルス電圧を印加すると、放電によりイオン発生電極から正イオンと負イオンを発生する。発生した正イオンとしては、H+(H2O)m(mは任意の自然数)、負イオンとしてはO2 −(H2O)n(nは任意の自然数)が最も安定的に生成している。イオン種については、質量分析法による精密な測定で確認されている。
これらの正イオンと負イオンが空気中に同時に生成すると、化学反応を起こし、活性種である過酸化水素H2O2またはヒドロキシラジカル・OHを生成する。これらの過酸化水素H2O2またはヒドロキシラジカル・OHが極めて強力な活性を示し、空気中の浮遊菌やウイルスや花粉やダニのアレルゲン成分を除去・不活化することができるというものである。
したがって、上記の効果を発揮するには、空間に正イオンと負イオンの両方を供給しなければならない。また、上記の効果を空間に波及させるためには、正負イオンを含む空気を空間に放出する必要がある。そこで、送風手段を設け、送風手段からの空気の気流によりイオンを波及させる方法が好ましい。
図1に、室内空間等において用いられる空気浄化装置を模式的に示す。この空気浄化装置は、カビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニのアレルゲン成分等を除去・不活化することに効果的であり、イオン発生素子1と送風装置2とから構成されている。送風装置2は、イオン発生素子1で発生した正負イオンを空間に効果的に拡散させるために多用される。
イオン発生素子1の表面には、誘電体3が設けられ、この誘電体3の裏側には、誘電電極4が設けられる。この誘電電極4と対向するように、誘電体3の表面には、イオン発生電極5が取付けられている。図1では、イオン発生電極5の形状は網状となっている。
イオン発生電極5および誘導電極4は、リード線6を通じて高圧パルス駆動回路7に接続されている。高圧パルス駆動回路7は、イオン発生素子1の内部に収納されている。
このような構成のイオン発生素子1において、イオン発生素子1を駆動するパルス電圧が印加され、送風装置2が駆動される。つまり、イオン発生電極5および誘導電極4間に正負電圧からなる、ピーク値が例えば約2.7kVであるパルス電圧を印加し、送風装置2を駆動することにより、空気Aが通風路8を通る。イオン発生素子1を通過するとき、空気Aはイオン発生電極5から発生したイオンを含み、イオンを十分に含んだ空気Bとなって、空間に放出される。
イオンを十分に含んだ空気Bは、正イオンと負イオンとを両方含んでいる。空気中に放出された正負イオンは、空気中に存在するカビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニのアレルゲン成分を不活化・除去するという効果的な影響を空気に与えることができる。
カビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニ等のアレルゲン成分を不活化・除去するため、イオン発生素子のイオン発生電極で発生する正負イオンを、より広い範囲に拡散させるには、正負イオンを室内に放出する送風装置2を備えていることが望ましい。
ここで言う、正負イオンを空間に拡散させるための送風装置2の運転方法については、特に限定されるものではない。連続運転でもよいし、また、運転と停止の繰り返しといった方法でも構わないが、イオン発生素子1のイオン発生電極5で発生した正負イオンを空間に効率的に拡散、放出させることが効果的である。更に、送風装置2の形状に関しても、特に限定されるものではない。
上記の通り、室内空間において正負イオンを放出することにより、人体に悪影響を及ぼすカビや浮遊菌やウイルスや花粉やダニのアレルゲンを除去・不活化することができる。
このように浮遊菌やウイルスや花粉やダニのアレルゲンに対して優れた効果を示す正負イオンを室内環境だけではなく、室外でウオーキングやジョギングを行っているときにおいても活用すればよい。正負イオンにより、人間が呼吸することになる顔面近傍の空間、すなわち鼻や口の周りに存在する、カビや浮遊菌やウイルスや花粉やダニのアレルゲンを除去・不活化することができれば、ウオーキングやジョギングの最中に感染症にかかるリスクが大幅に低下する。
そこで、室外において正負イオンの効果を発揮させるために、室内空間といった広い空間全体に正負イオンを放出するのではなく、ある特定の空間に局所的に正負イオンを放出する方法が提案されている。正負イオンを局所空間に放出することは、室内空間全体に正負イオンを放出するよりも比較的容易に達成できる。
人間が呼吸により吸気することになる空間である、鼻や口の周りに正負イオンを放出する方法として、小型で運搬の容易な携帯型空気浄化装置が提案されている。特に、正負イオンを空気中に放出する空気浄化装置であって携帯に便利な小型のものが、例えば特許文献2に開示されている。以下、このような携帯型空気浄化装置を簡単に説明する。
携帯型空気浄化装置は、本体内部にイオン発生素子を備え、正イオンと負イオンを空気中に放出し、空気中に浮遊する細菌を除去することを特徴としている。電源には、携帯性に優れた着脱可能な電池やバッテリ等が使用され、使い勝手が向上する。
空気浄化装置の本体の振動を検知する振動センサを備えることにより、振動センサの検知結果に基づきイオン発生素子の駆動を制御する。これにより、屋外の歩行中等、状況に応じて効率よく正負イオンを発生させることができる。
携帯型空気浄化装置は、使用形態に応じた形状、例えばマスク型に加工される。本体を顔に装着して、マスクとして使用することができる。あるいは、ペンダント型に加工することにより、本体を身体に装着することができる。さらには、ブローチ型に加工して、本体を衣服に取り付けることもできる。
したがって、これらの特徴を活かすことにより、室内ではなく室外において、正負イオンを発生するイオン発生素子を備えた携帯型空気浄化装置として効果的に利用することができる。
上記の携帯型空気浄化装置であれば、使用環境が室内空間だけに限定されるものではなく、室外にも手軽に持ち運びすることが可能である。ウオーキングやジョギングの最中にも用いることが可能となる。
ウオーキングやジョギングにおいては、花粉やウイルスやアレルゲン成分といった有害な成分を含む環境の中を通ることが大いに考えられる。人間が呼吸により吸気することになる鼻や口の周りに、携帯型空気浄化装置から正負イオンを放出すると、花粉やウイルスやアレルゲン成分といった有害な成分が除去・不活化される。その結果、ウオーキングやジョギング中に感染症やアレルギー性疾患になるリスクを回避することができる。
ここで、携帯型空気浄化装置には、次のような形態がある。第1の形態としては、マスク型の携帯型空気浄化装置である。これを図2に示す。正負イオンを発生するイオン発生素子1を備えたマスクであって、人間の口元に押し当てるマスク部分10が通気性を有する不織布から成っている。マスク部分10の両端に一対の携帯型イオン発生素子1が搭載される。イオン発生素子1は、リード線11を介して電池やバッテリ等の電源12に接続されている。
イオン発生素子1をマスクに搭載することにより、人間が空気を吸い込む際に有害な成分が除去・不活化され、感染症やアレルギー性疾患を回避することができる。さらに、マスク型の場合、人間が吐き出す空気に含まれる臭い成分を除去、分解できるので、口臭を防止することができる。
第2の形態であるペンダント型の携帯型空気浄化装置を図3に示す。この携帯型空気浄化装置では、ペンダント本体20の内部に小型のイオン発生素子1および送風装置2が設けられ、イオン発生素子1および送風装置2に電力を供給する電源12と本体20とはリード線11によって接続されている。このリード線11を首に掛けて、ペンダントとして携帯できるようになっている。スイッチをオンすると、イオン発生素子1と送風装置2が駆動され、吸気口から外部の空気Aが取り込まれる。空気Aはイオン発生素子1から発生した正負イオンを含んだ状態となり、送風路8を通り、正負イオンを十分に含んだ空気Bとなって、外部空間に放出される。正負イオンの効果により、ペンダント型の携帯型空気浄化装置を着用している人間の周囲の空気中のカビや浮遊菌やウイルスや花粉やダニのアレルゲンを除去・不活化することができる。
第3の形態として、携帯型空気浄化装置を衣服や帽子等の人間が着用する装身具に取り付けるという方法も採用することができる。図4、5に、装身具に取り付け可能な携帯型空気浄化装置の概要を示す。図4に示す携帯型空気浄化装置では、イオン発生素子1と送風装置2に電力を供給するための電池やバッテリ等の電源12がリード線6を通してケース30の外部に取り付けられている。図5の携帯型空気浄化装置では、イオン発生素子1と送風装置2に電力を供給するための電源12がケース30に内蔵されている。
スイッチをオンすると、イオン発生素子1と送風装置2が作動する。吸い込まれた空気Aは、イオン発生素子1のイオン発生電極5で発生する正負イオンを含有して、イオンを十分に含んだ空気Bとして外部空間に放出される。
イオンを十分に含んだ空気Bは、正イオンと負イオンとを両方含んでおり、空気中に放出されると、空気中に存在するカビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニのアレルゲン成分を不活化・除去する。
この携帯型空気浄化装置でも、動作原理は、図1に示した室内環境で用いられる空気浄化装置と同様である。この携帯型空気浄化装置によっても、カビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニのアレルゲン成分等を除去・不活化することに効果的である。
このような携帯型空気浄化装置は、人間が身につける物、例えば帽子に取り付けることができる。図6に示すように、ウオーキングやジョギングを行う人間がかぶる帽子31に携帯型空気浄化装置32が取り付けられている。携帯型空気浄化装置32は、帽子31の側面に取り付けられる。携帯型空気浄化装置32は、正負イオンを発生するイオン発生素子1と、正負イオンを空間に放出するための送風装置2と、イオン発生素子1や送風装置2に電気を供給するための電池やバッテリ等の電源12とを備えている。図中、33は歩数計である。
帽子31において、携帯型空気浄化装置32を取り付ける位置は、少なくとも鼻や口の周りに正負イオンを放出できるように、帽子31の前部、横部、上部に設置されていることが好ましい。帽子31の後部に携帯型空気浄化装置32が設置されると、顔面近傍に効果的に正負イオンを放出することが困難となる。
帽子31に取り付けられた携帯型空気浄化装置32を用いて、ウオーキングやジョギングを行うとき、携帯型空気浄化装置32を作動すると、鼻や口の周りに効果的に正負イオンが放出される。カビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニ等のアレルゲン成分による感染症やアレルギー性疾患になるリスクを低減することができる。
したがって、イオン発生素子1、送風装置2、電源12を備えた携帯型空気浄化装置32を作動することによって、帽子31を着用した人間が呼吸により吸引する局所的な空間である鼻や口の周りに正負イオンが放出される。たとえ周囲の空気にカビや浮遊菌やウイルスや花粉及びダニ等のアレルゲン成分が含有されている場合においても、イオン発生装置から鼻や口の周りに放出された正負イオンにより不活化・除去された状態となっており、人体に吸引しても、感染症やアレルギー性疾患を発症するリスクは大幅に抑制される。これにより、室内ではなく、室外をウオーキングやジョギングしても、本来の目的である健康増進の効果を一層高めることができる。
特開2002−95731号公報
特開2003−343887号公報
本実施形態の携帯型空気浄化装置40は、顔面近傍に装着される装身具である帽子31に取り付けられて使用されるものである。そして、空気浄化装置は、携帯中、常に使用者の顔面近傍に正負イオンを供給して、イオン濃度を維持できるようになっている。特に、ウオーキングやジョギングを行っているときに、鼻と口の周りに局所的に正負イオンを供給する。
図8に示すように、携帯型空気浄化装置40は、正イオンと負イオンを発生するイオン発生素子1と、正負イオンを外部に放出するための送風装置2と、外部機器と通信するための通信装置41と、これらに電力を供給する電源12とを備えている。イオン発生素子1、送風装置2および通信装置41は、携帯可能なケース30に設けられる。ケース30の一端側に吸気口42が形成され、他端側に吹出口43が形成される。送風装置2は一端側に配され、ケース30内に吸気口42から吹出口43に至る通風路44が形成される。
電池あるいはバッテリからなる電源12は、ケース30の外側に着脱可能に取り付けられ、リード線6を介して内部のイオン発生素子1等に接続されている。電源12を外部に設けることによって、電源12の容量が低下したときに容易に電源12を交換することができる。
また、図9に示すように、電源12をケース30に内装してもよい。なお、イオン発生素子1、送風装置2および電源12は、特許文献1、2に記載されている従来のものと同じである。
携帯型空気浄化装置40は、図10に示すように、帽子31の側頭部側に取り付けられる。ケース30の吹出口43は、前方に向き、かつ斜め下に向くように調節されている。すなわち、正負イオンを顔面近傍に放出できるように、吹出口43からの放出する風向きが設定される。
スイッチをオンすると、イオン発生素子1と送風装置2が作動し、ケース30内に吸い込まれた空気Aは、イオン発生素子1のイオン発生電極5上に発生する正負イオンを吹き流す。正負イオンを十分に含んだ空気Bとなって、吹出口43から外部空間に放出される。イオンを十分に含んだ空気Bは、正イオンと負イオンとを両方含んでおり、空気中に放出されると、空気中に存在するカビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニのアレルゲン成分を不活化・除去する。顔面において、空気中のイオン濃度が高くなっているので、この効果が十分に発揮される。特に、鼻と口の周りでのイオン濃度が高いので、清浄な空気を吸い込めることになる。
そして、図11に示すように、上記の空気浄化装置40は、別体の外部機器と通信可能とされ、イオン発生素子1および送風装置2を駆動制御する制御装置45を備えている。外部機器は、身体に装着される歩数計33とされ、歩行や走行といった身体の移動状態を検知する移動検知器46と、空気浄化装置40と通信する通信装置47を有している。
通信装置47が歩数計33から駆動信号を受信すると、マイコンからなる制御装置45は、駆動信号に応じて正負イオンの放出を制御する。すなわち、空気浄化装置40と歩数計33とが組み合わされて、携帯型空気浄化システムが構成される。
ウオーキングやジョギングを行う場合、運動量を測る目安として、図6にも示したように、歩いた歩数を計測する機器である歩数計33が用いられる。歩数計33を身体に装着して用いることにより、歩数を基準として歩行距離やエネルギー消費量を算出することができる。歩数計33は、一般的に腰の位置に取り付けられる。歩数を数字によって目視で確認することができ、効果的かつ計画的なウオーキングやジョギングを行える。
図12に示すように、歩数計33の本体50には、ウオーキングやジョギングにおいての歩数を表示する表示部51と、電力を供給する電源52と、電源スイッチ53が設けられている。電源スイッチ53の操作により、電源オン/オフされたり、あるいは表示部51のカウントがゼロにリセットされる。
歩数計33の動作原理としては、人間が歩いた際の一歩ごとの上下振動によって、内蔵されているばね振り子54が伸縮し、このばね振り子54の上下動で歩数を計測する。本体50内部には、表示部51への電力供給等に用いるための電池あるいはバッテリ等からなる電源52が設置されている。表示部51は、デジタル表示式であるが、指針によるアナログ表示式であってもよい。
また、歩数計33の精度は、年齢や性別等で上下動の度合いが変わってくるが、この歩数計33の精度は、内蔵したばね振り子54の検出可能な最小振動の設定を変更することにより、使用者や使用環境に合わせて設定することが可能である。
歩数計33を例えば腰周辺の衣服あるいはベルトに取り付け、ウオーキングやジョギングを行うと、一歩毎に歩数計33の数値が増加していく。表示部51の確認により、ウオーキングやジョギングによる運動量を確認することができる。
歩数計33は、歩行により発生した振動に伴う内蔵のばね振り子54の上下動をセンシングしているので、ウオーキングやジョギングの途中で止まれば、歩数計33の数値も停止する。すなわち、歩数計33は、移動状態を随時モニタリングしていることになる。
近年では、様々な新しい複合機能を有する歩数計が開発されている。例えば特開平11−56819号公報には、歩数計をセンシングできるような形態について記載されている。通常の歩数計33では、歩数を数え、その数字を表示するだけである。利用者の体重等から消費カロリーを計算し、表示できるものもある。上記公報によると、様々な情報を一元管理し、さらにネットワーク上のサーバーと連携をとることにより、健康管理あるいはダイエットを効果的に行えるようにした電子歩数計端末が提供されている。このように、通常は歩数を計測するだけの単一機能しか有さない歩数計は、電子化することにより付加価値が高まる。
また、特開2002−312754号公報に記載されているように、被計測者の歩行中の歩幅の変化に対応し、歩幅が関連する情報を正確に換算する機能を有する歩数計が提供されている。すなわち、身長と歩行ピッチにより変化する歩幅が歩幅演算手段により求められ、この歩幅に基づいて歩行関連情報演算手段により歩行関連情報が求められる。被計測者は常に一定の歩幅で歩行しなければならないといった意識をすることなく歩行し、正確な歩行関連情報を得ることができる。このように、単に歩数を表示部に示すだけといった単純な歩数計だけではなく、複合機能を有する歩数計が開発されている。
そこで、本発明では、歩数計33に対して、その歩数をカウントする機能を利用して、停止状態、歩行状態、走行状態といった動作状態を検知する移動検知装置としての役割を付加する。ウオーキングやジョギングを行っている人間が動いていてもあるいは立ち止まっていても、鼻や口の周りに最適に正負イオンを放出するように、歩数計33が検知した動作状態に応じて、携帯型空気浄化装置40のイオン発生素子1と送風装置2の運転状態を常に最適なものとなるように制御する。すなわち、移動状態の変化にかかわらず、常に良好な条件で正負イオンが放出されるように、歩数計33による動作状態の検知結果と携帯型空気浄化装置40による正負イオンの放出の制御とを連動させる。
歩数計33を単にウオーキングやジョギングでの歩数を確認するだけに用いるのではなく、図13に示すように、内部のばね振り子54の上下振動によって生じた出力を外部に送信できる通信装置47を設ける。通信装置47には、電源52から電力が供給される。空気浄化装置40との通信は、特定小電力無線、ブルートゥース、赤外線、光、超音波等による無線によって行われる。なお、歩数計33の通信装置47と空気浄化装置40の通信装置41とをケーブルによって結び、有線による通信を行ってもよい。
歩数計33には、ばね振り子54の上下振動を電気的もしくは磁気的に感知する振動センサが設けられている。ウオーキングやジョギングにより歩数計33が振動すると、ばね振り子54の上下振動を振動センサが検知して、検知信号を通信装置47に出力する。通信装置47は、振動センサからの出力に応じて駆動信号を無線通信により空気浄化装置40に送信する。
振動センサの検知信号の出力タイミングに応じて、通信装置47は駆動信号を送信する。人間が動いているときには、歩数計33のばね振り子54も上下振動をするため、通信装置47から駆動信号が送信される。特に、速く歩くときや走っているときには、単位時間当たりの歩数が増加するので、ばね振り子54の振動回数も増加する。その結果、振動センサの検知信号の出力タイミングが速くなり、通信装置47から送信される駆動信号の出力タイミングが速くなる。一方、ウオーキングやジョギングの最中でも、小休憩や信号待ち等で止まっている場合、歩数計33のばね振り子54は振動しない。したがって、通信装置47から駆動信号は送信されない。
あるいは、歩数計33が、振動センサの検知信号から動作状態を判断して、その動作状態を示す情報を含む駆動信号を送信してもよい。このようにして、歩数計33は、動作状態に応じた駆動信号を送信することができる。
歩数計33からの駆動信号を受信した空気浄化装置40の制御装置45は、駆動信号からウオーキングやジョギングでの動作状態を判断する。すなわち、制御装置45は、止まっている停止状態、歩いている歩行状態、走っている走行状態の内、いずれの状態にあるかを認識する。そして、その動作状態に応じて、常に使用者の顔面近傍に正イオンと負イオンを供給できるように、空気抵抗を考慮して正負イオンの放出を最適な状態に変更する。
制御装置45による正負イオンの第1の放出制御としては、送風装置2の送風能力を変化させる。具体的には、風速を変化させる。制御装置45は、静止状態から歩行状態、走行状態と変化して、空気抵抗が大きくなるにつれて、風速が速くなるように制御する。このとき、イオン発生素子1の駆動は変化させない。
送風装置2には、電動のプロペラ型やシロッコ型のモータファンが用いられる。モータファンでは、供給される電圧によりファンの回転速度が変わる。この入力電圧を歩数計33からの駆動信号に基づき変更することにより、ファンの回転速度が変化し、送風能力(風速)が変化する。入力電圧については、使用するモータファンにより適宜選択されるが、10V以下の印加電圧でも十分に作動する場合が多い。このように風速が変化することにより、顔面近傍に放出される正負イオンの供給条件が変わるので、動作状態が変化しても、常に鼻や口の周りにおいて十分なイオン濃度を維持することができる。
ウオーキングやジョギング時は、歩行が止まっている場合に対して、空気抵抗が作用するので、放出した正負イオンは後方に押し戻される。そこで、ウオーキングやジョギング時には、送風装置2のモータファンへの印加電圧を大きくして、空気抵抗に打ち勝つだけの風力で正負イオンを放出する。
第2の放出制御としては、空気浄化装置40から放出する風向きを変更する。ケース30は、帽子31に水平軸周りに回動自在に装着され、ケース30の角度を変化させるための角度変更装置を備えている。角度変更装置は、ギアとモータとの組み合わせ、ステッピングモータ、シリンダ等の公知の技術によって構成され、ケース30の吹出口43を下向きから水平方向の間で調節する。制御装置45は、停止状態から歩行状態、走行状態と変化して、空気抵抗が大きくなるにつれて、角度変更装置を制御して、正負イオンの放出方向を変化させる。このとき、イオン発生素子1の駆動および風速は変化させない。
停止状態のときのケース30の位置を基準にして、歩行状態のときには、ケース30を少し上方に向かって回動させる。走行状態のときには、ケース30を水平に近い状態まで回動させる。動作状態が変化して、空気抵抗が強くなるにしたがって、風向きが顔面の前方から離れる方向に変更される。
ウオーキングやジョギング時は、止まっている場合に対して、空気抵抗が作用するので、放出した正負イオンは後方に押し戻される。そこで、ウオーキングやジョギング時には、空気抵抗に打ち勝つために、鼻や口の周りよりもさらに前方に正負イオンを放出する。したがって、ウオーキングやジョギングのいずれの状況においても、人間の鼻や口の周囲が常に空気浄化装置40から放出された正負イオンで満たされるようになる。一方、小休憩等で立ち止まった場合には、停止状態にあるという駆動信号によって、ケース30の吹出口43が下向きに近くなるように変更される。鼻や口の周りに正負イオンが満たされるように、正負イオンが放出される。このように、ウオーキングやジョギング時に、常に鼻や口の周りにおける正負イオンの濃度を高くすることができる。
第3の放出制御としては、イオン発生素子1が発生する正負イオンの発生量を変更する。正負イオンの発生は、イオン発生電極5の沿面放電によって行われる。イオン発生電極5への印加電圧が変化すれば、イオン発生量は変化する。制御装置45は、移動状態の変化に応じて高圧パルス駆動回路7の駆動を制御して、印加電圧を変化させる。印加電圧が高くなれば、発生する正負イオンが多くなる。すなわち、制御装置45は、移動速度が速くなるほど、印加電圧が高くなるように制御する。このとき、送風装置2の風速および風向きは変化させない。
正負イオンの発生量は、歩行状態や走行状態のときに空気抵抗が作用して、後方に押し戻される量よりも多くなるように印加電圧が設定される。正負イオンが鼻や口の周りに向かって大量に放出されると、正負イオンの存在する空間が、顔面近傍からその前方にわたって広がる。これにより、ウオーキングやジョギング時に、空気抵抗の作用によって正負イオンが後方に押し戻されても、顔面近傍において正負イオンが残留しているので、十分な正負イオンが鼻や口の周りに供給されることになる。
以上のようにして、ウオーキングやジョギングをしている人間が外部の空気を吸い込む際に、歩いていたり走っていたり、あるいは小休憩していたりといったように、どのような状況にあっても、正負イオンの放出が制御され、顔面近傍におけるイオン濃度を高濃度に維持することができる。したがって、正負イオンの効果により、室外においてカビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニ等のアレルゲン成分が除去・不活化された状態となる。
次に、制御装置45による動作状態に応じた正負イオンの放出の制御動作を図14にしたがって説明する。まず、ウオーキングやジョギングを始める前に、携帯型空気浄化装置40を取り付けた帽子31をかぶり、移動検知機能を有する歩数計33を身体のいずれかの部分、例えば腰のベルト等に取り付ける。なお、空気浄化装置40の吹出口43から放出する風向きは、図10に示すように、空気抵抗がない状態、すなわち停止状態において、正負イオンを顔面近傍に吹き出すように設定されている。
空気浄化装置40と歩数計33を電源オンすると、イオン発生素子1と送風装置2が作動する。図10に示すように、ウオーキングやジョギングを開始しようとしている人間の顔面近傍に向けて正負イオンが放出され、鼻や口の周りに十分なイオン濃度の正負イオンが供給される。カビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニ等のアレルゲン成分が除去・不活化することにより、室外において、たとえ呼吸により空気を吸い込んでも感染症やアレルギー性疾患とならない環境が醸成される。
ウオーキングやジョギングを開始すると、歩数計33は、内部のばね振り子54が振動することにより随時動作状態をモニタリングする。このモニタリングした情報に応じた駆動信号が、歩数計33の通信装置47により送信される。空気浄化装置40の通信装置41は、歩数計33からの駆動信号を受信する。空気浄化装置40の制御装置45は、受信した駆動信号に基づき、動作状態を判断する。その判断結果に応じて正負イオンの放出を制御する。
ウオーキングやジョギングの最中に小休憩等で止まった場合等の停止状態の場合には、歩行が停止することにより、歩数計33のばね振り子54の振動も停止する。このとき、歩数計33は、駆動信号を送信しない。空気浄化装置40は歩数計33からの駆動信号を受信しなくなる。あるいは、歩数計33は、停止状態にあることを示す駆動信号を送信する。これにより、制御装置45は、停止状態であると判断する。
停止状態になると、図10に示すように、人間は空気抵抗を受けない状況にある。空気浄化装置40では、正負イオンの放出が停止状態に応じて最適化される。すなわち、第1、第2、第3のいずれかの放出制御にしたがって、人間の鼻と口の周りに最も効果的に正負イオンが到達するように、正負イオンが放出される。
この結果、人間の鼻と口の周囲はイオンを十分に含んだ空気で満たされる。空気中に存在するカビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニのアレルゲン成分による感染症やアレルギー性疾患の影響を回避することができる。
ウオーキングを行っている歩行状態の場合、約1m〜1.7mで移動しているため、それだけの空気抵抗を受ける状況にある。また、移動速度は毎秒2〜3歩程度となるので、これに合わせて歩数計33のばね振り子54は振動する。これにより、歩数計33は、ばね振り子54の振動に連動した駆動信号を送信する。あるいは、歩数計33は、歩行状態にあることを示す駆動信号を送信する。制御装置45は、この駆動信号を受信して、歩行状態であると判断する。
歩行状態になると、図15に示すように、人間は空気抵抗を受ける。空気浄化装置40では、正負イオンの放出が歩行状態に応じて最適化される。すなわち、第1、第2、第3のいずれかの放出制御にしたがって、人間の鼻と口の周りに最も効果的に正負イオンが到達するように、正負イオンが放出される。例えば、放出された正負イオンは、空気抵抗により押し戻されるので、このことをあらかじめ考慮して、正負イオンは、人間の鼻と口の周りではなく、それよりも前方に向けて放出される。これによって、人間の鼻と口の周囲はイオンを十分に含んだ空気で満たされる。
ジョギングを行っている走行状態の場合、約1.7m〜2.5mで移動しているため、それだけの空気抵抗を受ける状況にある。また、移動速度は毎秒3〜5歩程度となるので、これに合わせて歩数計33のばね振り子54は振動する。これにより、歩数計33は、ばね振り子54の振動に連動した駆動信号を送信する。あるいは、歩数計33は、走行状態にあることを示す駆動信号を送信する。制御装置45は、この駆動信号を受信して、走行状態であると判断する。
走行状態になると、図16に示すように、人間は歩行状態より強く空気抵抗を受ける。空気浄化装置40では、正負イオンの放出が走行状態に応じて最適化される。すなわち、第1、第2、第3のいずれかの放出制御にしたがって、人間の鼻と口の周りに最も効果的に正負イオンが到達するように、正負イオンが放出される。例えば、放出された正負イオンは、空気抵抗により押し戻されるので、このことをあらかじめ考慮して、正負イオンは、人間の鼻と口の周りではなく、歩行状態の場合よりも前方に向けて放出される。これによって、人間の鼻と口の周囲はイオンを十分に含んだ空気で満たされる。
したがって、ウオーキングやジョギング中であっても、人間の鼻と口の周囲は正負イオンを十分に含んだ空気で満たされる。人間が吸い込む空気中に存在するカビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニ等のアレルゲン成分が除去・不活化され、これらに起因する感染症やアレルギー性疾患の影響を回避することができる。
ウオーキングやジョギングのように人間が速く移動している場合には、空気抵抗の影響がより大きくなるので、空気抵抗に抗して、人間の鼻や口の周囲よりも前方に正負イオンを積極的に放出したり、あるいは鼻や口の周りのイオン濃度が高くなるように正負イオンを放出する。このような空気抵抗を考慮したイオン放出条件を設定することにより、ウオーキングやジョギングしている場合においても、止まっている場合と同様に、鼻や口の周りでは最適なイオン濃度が維持される。したがって、カビ、浮遊菌、ウイルス、花粉及びダニ等のアレルゲン成分が除去・不活化される。このようにして、室外をウオーキングやジョギングしても、感染症やアレルギー性疾患を発症するリスクを避けて、本来の目的である健康増進の効果を一層高めることができる。
そして、歩数計33のような移動状態を検知する移動検知装置と空気浄化装置40とをそれぞれ別体とすることにより、移動検知装置と空気浄化装置1を一体化する場合に比べて、空気浄化装置40を小型化、軽量化できる。したがって、空気浄化装置40の携帯性がよくなり、帽子31等の装身具に取り付けても負担にならず、使用性に優れた空気浄化装置を実現できる。
以上のように、本発明は、特許文献2の記載内容を何ら否定するものではなく、特許文献2記載の携帯型空気浄化装置よりも菌等の除去、不活化の機能をさらに効果的に向上させたものである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。空気浄化装置を取り付ける装身具として、顔面近傍に向けて正負イオンを放出可能なものであればよく、例えば眼鏡、ヘルメット、ブローチ等が挙げられる。また、本実施形態の空気浄化装置は、人間を対象としているが、犬や猫のような愛玩動物を対象にして、首輪に空気浄化装置を取り付けてもよい。
動作状態を検知する機能を有する外部機器として、移動するときに受ける風圧を検知する圧力センサ、風速計を用いてもよい。これらは、検知信号を受けて、空気浄化装置に駆動信号を送信する通信装置を備える。歩数計や圧力センサ、風速計は移動状態を検知できるので、正負イオンの放出制御を自動的に行える。これに対し、手動で動作状態に応じた駆動信号を出力する外部機器としてもよい。例えば、押しボタンスイッチや切替スイッチとする。動作状態に応じて、スイッチを操作すると、駆動信号が出力される。これらのスイッチは、空気浄化装置と別体としてもよく、あるいは空気浄化装置に一体的に設けてもよい。
正負イオンの放出制御において、第1〜第3の放出制御を挙げたが、それぞれ単独で行う代わりに、これらを任意に組み合わせて放出制御を行ってもよい。また、停止状態、歩行状態、走行状態の3段階に分けて放出制御する代わりに、連続的に放出制御を行ってもよい。したがって、動作状態に適した詳細な放出制御を行うことができ、正負イオンの効果を大いに発揮させることができる。
ケースの角度を変化させる角度変更装置の代わりに、吹出口にルーバを回動自在に設ける。ルーバはモータ等によって回動される。吹出口から吹き出される正負イオンの風向きは、ルーバによって設定される。