JP4294240B2 - スプレー塗布法、電子写真装置用部品の製造方法及びそれを用いた電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスプレー塗工によるスプレー被塗布物の製造方法、特に電子写真装置用部品の製造方法、さらに詳しくはスプレー塗布法で1μm以下の薄膜が形成された電子写真装置用部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置には、従来から知られているように、感光体を一様に帯電する帯電部材、感光体上に静電潜像を形成する露光部材、静電潜像をトナー像で現像する現像部材、得られたトナー像を転写体に転写する転写部材、トナー像を転写体上に定着させる定着部材、感光体上の残留トナーをクリーニングするクリーニング部材、感光体上の静電潜像を除去する除電部材等の構成部材がある。
【0003】
それぞれの構成部材は、電子写真装置の高速化、信頼性の向上、高画質化等の要求により年々進歩している。特に近年では高画質フルカラーの要求が強く、それぞれの構成部材の品質は従来のものでは不十分となりつつあり、さらに品質を向上する必要が生じている。
【0004】
電子写真装置の構成部材のうち感光体を例に考えると、デジタル化、レーザービーム径の絞り込み、フルカラー化等に対応しつつ、従来からの画像品質を飛躍的に向上させようとすると、感光体の感光層の均一性が従来の品質では対応でき無くなってきた。具体的には感光体1本内に許容できる膜厚の差(塗布ムラ)が従来比で1/2以下の品質を達成する必要が生じてきている。
【0005】
また、感光体の形状に目を向けると、フルカラー4色定位置現像の要求から、従来の小径感光体の要求とは逆行するφ150以上の大口径の感光体も開発する必要が生じている。
【0006】
今、大口径の感光体を従来同様の浸漬塗布で形成し、従来比1/2の塗布ムラを実現するように考えてみる。浸漬塗布法において塗布層の膜厚は形成液の粘度、引き上げ速度で決まり、その他は膜厚ムラを生じさせる要因となりうる。具体的には、被塗布物を形成液中に浸漬する際の塗布槽内形成液の乱れ、重力や風のながれ、さらには隣接する被塗布物からの溶剤の揮発などがそれである。これらの因子の影響を考慮し、感光体の塗布層の均一化を志向すれば被塗布物1つ1つの間隔は大きく、さらに塗工槽は十分に大きく、形成液は大量に準備する必要がある。しかし、このような対応は不合理であり、実際には採用できないと言わざるを得ない。
【0007】
次に、感光層形成方法の別の手段であるスプレー塗布法について考える。スプレー塗工方式はこれまで浸漬塗工法が苦手としてきた分野で採用されてきた。具体的には次のようなケースである。浸漬塗布では引き上げ後のwetな塗膜が重力の影響を受けやすく上下の膜厚差を生じやすい為、工業用広幅感光体では感光体を横向けにセットして回転させながらスプレー塗布する方法が採用された例、感光層形成液として、顔料の沈降が著しい塗布液を用いた場合の形成方法としてスプレー塗布が採用された例、2液型架橋タイプのバインダーを含む塗布液を用いた成膜法としての例、などがそうである。
【0008】
このようにスプレー塗布法には浸漬塗布に比べ有効な点がいくつかあげられる。しかし、電子写真装置部品の製造方法において、全面的に浸漬塗布法に取って代われなかった理由はスプレー塗布で形成された塗膜の表面品質、均一性が浸漬塗工のものと比べて劣ることに一因がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の課題、すなわちスプレー塗布により形成された塗膜の均一性を向上することをその目的とするものである。すなわち本発明はスプレー塗工法で形成される塗膜の均一性を向上させることを第一の課題としている。特に1μm以下の薄膜における塗布層の均一性向上を課題とし、均一性のレベルは浸漬塗布法以上のレベルとすることを狙いとしている。また、その結果、従来塗布法では困難であった1200dpi以上の高画質フルカラーに絶えうる、電子写真装置用部品を供給することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは近年の高画質フルカラー電子写真装置に絶えうる薄膜形成方法について鋭意検討した。特に膜厚1μm以下の薄膜領域で膜の塗布ムラを低減することを検討し、スプレー塗布の特性と好適な塗工条件を見出し、本発明に到達した。
【0011】
(1)膜厚1μm以下の層を少なくとも1層以上均一にスプレー塗工した電子写真装置用部品の製造方法であって、該層の1つが電荷発生層であって、下記式(1)で表されるビスアゾ顔料を含み、該1μm以下の電荷発生層の膜厚をX(μm)、その膜厚1μm以下の層を形成するのに必要なスプレー塗布回数をY(回:整数)とした場合に、下記の式を満足するようにスプレー塗布し、かつスプレーガンから噴霧される塗布液微粒子の平均粒径が1〜6μmであることを特徴とするスプレー塗工した電子写真装置用部品の製造方法。
−3×Ln(X)+1 ≦ Y
【化1】
(2)前記スプレー塗工に用いられるスプレー塗液は少なくともバインダーと沸点100℃以下の有機溶剤と沸点130℃以上の有機溶剤を含有することを特徴とする前記(1)に記載の製造方法。
(3)前記電子写真装置用部品が電子写真用感光体である前記(1)〜(2)のいずれか一つに記載の製造方法。
(4)前記電子写真装置用部品が電子写真用感光体であり、かつ前記膜厚1μm以下の層が導電性支持体と感光層との間に設けられた下引き層であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の製造方法。
(5)前記電子写真装置用部品が電子写真用感光体であり、かつ前記膜厚1μm以下の層が感光層と保護層との間に設けられた中間層であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の製造方法。
(6)前記(1)〜(5)に記載の製造方法で形成された電子写真装置用部品。
(7)少なくとも前記(6)の電子写真装置用部品と書き込み波長700nm以下、ビーム面積3000μm -2 以下のLDを備えたフルカラー電子写真装置。
【0012】
(2)膜厚1μm以下の層を少なくとも1層以上均一にスプレー塗工した電子写真装置用部品の製造方法であって、1μm以下の層の膜厚をX(μm)、その膜厚1μm以下の層を形成するのに必要なスプレー塗布回数をY(回:整数)とした場合に、下記の式を満足するようにスプレー塗布することを特徴とするスプレー塗工した電子写真装置用部品の製造方法。
−3×Ln(X)+1 ≦ Y
【0013】
(3)スプレーガンから噴霧される塗布液微粒子の平均粒径が1〜6μmであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の製造方法、
【0014】
(4)前記スプレー塗工に用いられるスプレー塗液は少なくともバインダーと沸点100℃以下の有機溶剤と沸点130℃以上の有機溶剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の製造方法、
【0015】
(5)前記電子写真装置用部品が電子写真用感光体である前記(2)〜(4)のいずれか一つに記載の製造方法、
【0016】
(6)前記電子写真装置用部品が現像ローラーである前記(2)〜(4)のいずれか一つに記載の製造方法、
【0017】
(7)前記電子写真装置用部品が中間転写体である前記(2)〜(4)のいずれか一つに記載の製造方法、
【0018】
(8)前記電子写真装置用部品が電子写真用感光体であり、かつ前記膜厚1μm以下の層が電荷発生層であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれか一つに記載の製造方法、
【0019】
(9)前記電子写真装置用部品が電子写真用感光体であり、かつ前記膜厚1μm以下の層が導電性支持体と感光層との間に設けられた下引き層であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれか一つに記載の製造方法、
【0020】
(10)前記電子写真装置用部品が電子写真用感光体であり、かつ前記膜厚1μm以下の層が感光層と保護層との間に設けられた中間層であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれか一つに記載の製造方法、
【0021】
(11)前記(1)〜(10)に記載の製造方法で形成された電子写真装置用部品、
【0022】
(12)膜厚のムラが3%以内であることを特徴とする電子写真用感光体、
(13)少なくとも前記(11)の電子写真装置用部品と書き込み波長700nm以下、ビーム面積3000μm-2以下のLDを備えたフルカラー電子写真装置、
に関する。
【0023】
以下本発明をさらに詳しく説明する。
本発明のスプレー塗工には、一般のスプレーガンを使用することができ、また塗布液の供給機構にも特に制約はなく、各種ポンプ方式、圧送方式、自重方式等の何れの方法も選択できる。ガンに導入される圧力エアーは一般的なDryエアーを用いることが出来る。本発明においてはスプレーガンにより霧化された塗布液の微粒子径は1〜6μmが好ましい。6μm以上では塗布液の微粒化が十分ではなく、1μm以下の薄膜を均一に成膜することは出来ない。塗布液の微粒子径が1μm以下の場合、形成される塗膜の均一性にとっては有効であるが、塗布液の付着効率、及び塗布速度が著しく低下し、実用上好ましい領域ではない。
【0024】
通常、スプレー塗工においては、沸点が100℃以下の低沸点溶媒のみを用いて塗膜を形成すると、塗膜表面の細かな荒れが発生し、塗膜がスリガラス状に仕上がることが知られている。また、逆に沸点が150℃以上の高沸点溶剤のみを用いて塗膜が形成すると、塗布後の塗膜は乾きが遅く、液だれや膜厚のムラを著しく大きく生じさせることが分かっている。しかしながら、本発明の製造方法においては、塗布液の吐出量を少なく、霧化エアー圧力または流量を大きくする、形成液固形分濃度を低くするなどして、スプレー霧化粒子の径および密度を小さくして、膜厚に応じて、薄い膜ほど積層回数を増やして成膜し、スプレー時の粒子が飛翔中に乾きを伴いながら付着し、塗膜を仕上げる方法であるので、溶媒の沸点は塗布膜の仕上がりに対して、従来のスプレー塗布法ほどは大きな影響を及ぼさないため、本発明においては塗布液溶媒は一般的な溶剤が単独でも混合溶剤でも使用できる。特に沸点100℃以下の低沸点溶媒と、沸点130℃以上の高沸点溶媒とを混合することで塗膜品質を一定レベルに保ちながらスプレー塗布回数を低減することが可能であり、この場合、生産効率が著しく向上する。
【0025】
沸点100℃以下の溶媒としては、メチルエーテル、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルアルコール、酢酸エチル、アセトン、塩化メチレン、シクロヘキサン等溶媒便覧等に記載の沸点100℃以下の溶剤が使用できる。沸点130℃以上の溶剤としては、ベンジルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン、ブチルセロソルブ、ジグリコールジアセテート、キシレン、o−ジクロロベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等溶剤便覧等に記載されている沸点130℃以上の溶剤が使用できる。
【0026】
図1は円筒状の被塗布物(4)を縦に配置し、被塗布物を回転させながらスプレー塗布しているところである。図1においてはスプレーガン(1)はボールネジにより、上方から下方へ移動しながら塗布している。本発明においては被塗布物の回転速度、スプレーガンの移動速度は任意に設定できる。ただし、被塗布物の回転速度が遅く、スプレーガンの送り速度が速すぎる場合には当然、螺旋状の塗膜が形成されることとなり、このような組み合わせ領域は使用しない。
【0027】
本発明における塗布回数とは、被塗布物の任意の一点上をスプレーガンの中心が通過する回数を言う。たとえば、図1において被塗布物の長さが400mm、スプレーガンの塗布速度(移動速度)を5mm/secとすると、400/5=80(sec)間、図1の装置でスプレーすることにより、被塗布物の全面にスプレー塗布1回分の塗膜が形成される。これを本発明が見出した関係式に従い複数回繰り返すことにより、1μm以下の薄膜がスプレー塗布によっても均一に成膜可能となる。
【0028】
本発明者らの検討では、塗膜のほしい膜厚が1μm以下の領域ではスプレー塗布によって均一な塗膜を得ることは、極めて、困難であること、薄膜領域においては塗布液の微粒化を進めながら、複数回塗布することが、均一性向上に有効であること、1μm以下の薄膜領域においては、膜厚が薄くなればなるほど均一化が難しく、塗布回数をさらに多くする必要があることが判明している。
【0029】
図1のスプレー塗布装置においては塗布時のスプレーガンの移動方向に特に制約はない。すなわち、スプレーガンが上方から下方へ移動する際にのみ塗布する一方向塗りであっても、スプレーガンの往復動作中塗布を続ける往復塗布方式でも構わない。
また、生産効率を向上させるためスプレーガンを2つ或いは3つと複数配置し、それぞれのガンが、順次被塗布物に対して塗布を行っても構わない。
【0030】
本発明においては、複数回塗布することの目的は膜厚1μm以下の薄膜の均一成膜である。この領域の薄膜を形成するには塗布液の固形分は通常1wt%前後の低固形分濃度の塗布液が用いられる。さらにスプレー霧化をより微粒化するためには、高いエアー圧力、或いはエアー流量を多くする、スプレーガンの液量調節器を出来る限り絞る、或いはノズル先端の開孔径を小さくする等の調整を行う。このような状態で複数回塗布を行って、1μm以下の薄膜を均一に形成するには前回塗布した塗膜がおおむね乾いた状態で次のスプレー塗布が行われる必要がある。逆に言うと、1回目の塗布で形成したウェット膜がウェット状態のまま次の塗布を迎えると、前述の高圧、多量のエアーがウェット膜を乱す原因となり好ましくない。
【0031】
従って、前出のスプレーガンを2個併設配置した場合では、第1ガン目の膜がほぼ乾燥状態になってから第2ガン目が来るように、第2ガン目を配置することが好ましい。
【0032】
本発明においては、第1ガン、第2ガンとを接近させ、第1ガンにより形成される塗膜がウェットな状態で、第2ガン目により塗膜が形成される場合には、両ガンの1オシレートを合わせて1回塗工と表現する。
【0033】
図2は円筒状の被塗布物(801)を横置きに配置させ、被塗布物駆動手段(807)駆動伝達手段(808)被塗布物保持手段(803)エアースプレーガン(804)塗布液保持手段(802)塗布液撹拌手段(806)塗布液(805)を図示した例である。この装置を用いて本発明を適用するには、装置のスプレーガンが1個であるためスプレーガンは最少でも1往復以上のオシレート動作をし、2回以上塗布して、1μm以下の均一薄膜を得ることが出来る。ここでも、所望の膜厚が薄ければ薄いほど塗布回数を多くする方が塗膜の均一性の観点から有利である。但し、ある膜厚を得るために均一化ばかりを志向して100回以上もの塗布を繰り返すようでは生産効率が非常に悪く、有効な手段とは言えないので、適度な回数で塗膜の均一化と生産効率とのバランスを取るべきである。
【0034】
本発明では均一化を志向した最少限の塗布回数と膜厚との関係を一般式化したため、膜厚に要求される塗布回数の限度が把握でき有用である。
【0035】
次に本発明が係わるスプレー塗工方法が利用できる電子写真装置並びに電子写真装置用部品について説明する。
【0036】
図3は、中間転写方式を用いたフルカラー電子写真装置の1例の概要を示している。帯電器(20)により帯電され露光手段(21)により例えば像様に露光されて感光体(18)上に形成された潜像は、まず1色めの現像部(19)にて1色めの現像ユニット(K)により顕像化され、次に中間転写ベルト(11)との当接部にて中間転写体(11)へ転写される。ここでの転写を一次転写という。一方、顕像が中間転写ベルト(11)に一次転写された後、感光体(18)はクリーニング前除電器(24)で除電され、クリーニング手段(25)でクリーニングされ除電ランプ(26)で全面露光により残留電荷が除電されて2色めの画像形成工程に供される。フルカラーの場合、この工程を3色或いは4色繰り返し、中間転写体即ち中間転写ベルト(11)にフルカラー画像を形成する。中間転写体(11)に形成された像は、次に転写材(例えば紙)(15)上に一括転写される。ここでの転写を二次転写という。ここで転写バイアス電圧は転写ローラ(13)により印加され、転写材はその後定着工程を経てフルカラー画像として出力される。無端状の中間転写体(11)は駆動ローラ(12)、バイアスローラ(A)、接地ローラ(B)、テンションローラ(C)、(D)等の各ローラ間に架け渡されており、図中矢印方向に回動する。図中、符号(22)は電位センサ、符号(23)はPセンサである。上記プロセスの二次転写工程において、二次転写のために転写材(15)の背面から中間転写体上のトナーと逆極性のバイアスを印加する部材を二次転写ローラと呼ぶ。
【0037】
図3において、現像器はBk、C、M、Yの4色が定位置で設けられており、A3用紙対応のフルカラー電子写真装置であれば、感光体18、中間転写ベルト11は共にφ150mm以上の大きなサイズのものでなければならない。また、フルカラー機においても高画質の要求は年々強くなり、トナーを均一に保持する必要がある部材、具体的には感光体や中間転写体或いは現像ローラーは従来品よりも高品質のものを提供する必要が生じている。
【0038】
感光体、中間転写体、現像ローラーは支持部材上に薄膜を形成して各部品として利用することが多く、これらの部品にとっては本発明の薄膜領域のスプレー塗膜を均一化させる技術は非常に有用である。
【0039】
以下感光体を例に説明する。感光体は支持体上複数の層を形成して得られる。すなわち支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、さらにはこの上に、必要に応じて中間層/保護層を設けるなど、機能分離した積層型感光体が主流である。これらの層のなかでは下引き層、電荷発生層、中間層が本発明の膜厚領域で使用されることが多く、本発明はこれらの層を形成する際に有用である。
【0040】
たとえば、電荷発生層は通常0.1〜0.5μmの範囲で形成される。従来はこの層の塗布ムラとしては中心膜厚から±6%強の膜厚バラツキで製造されていたが、今日の1200dpiに対応し、高画質化を図る為、本発明を適用すると塗布ムラは中心膜厚から±3%以下程度にまで低減することが出来、電荷発生層の均一化ひいては感光体特性の均一化が達成され、トナー像の均一化が図れる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明に係わる塗工方法を電子写真感光体の電荷発生層に適用した実施例によって説明する。ただし、本発明は実施例によって何ら制約を受けるものではない。
なお、部はいずれも重量基準である。
【0042】
実施例1
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL(大日本インキ化学工業社製))15重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業社製))10重量部をメチルエチルケトン150重量部に溶解し、これに酸化チタン粉末(タイペールCR−EL(石原産業社製))90重量部を加えボールミルで24時間分散し、下引層用塗工液を作製した。
【0043】
これをφ168mm、長さ340mm、厚み30μmのニッケルシームレスベルトに浸漬塗工法によって塗工し130℃20分間乾燥し厚み3.5μmの中間層を形成した。
次にポリビニールブチラール樹脂(エスレックHL−S(積水化学工業社製))4重量部をシクロヘキサノン/メチルエチルケトン(1/1比)の混合溶媒150重量部に溶解し、これを下記構造式(1)に示す
【0044】
【化1】
【0045】
ビスアゾ顔料に10重量部を加え、ボールミルで120時間分散後、さらにシクロヘキサノン/メチルエチルケトン(1/1比)の混合溶媒210重量部を加えて3時間分散を行った。これを容器に取り出し固形分が1.0重量%となるようにシクロヘキサノン/メチルエチルケトン(1/1比)の混合溶媒で稀釈した。こうして得られた電荷発生層用塗工液を前記中間層上に図2のエアスプレー装置を用いて塗布し130℃20分間乾燥して、厚み0.3μmの電荷発生層を形成した。
また、この時のスプレー塗布条件は表1に示す条件とした。
【0046】
次に、テトラヒドロフラン70部に、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂10部、シリコンオイル(KF−50(信越化学工業社製))0.002部を溶解し、これに下記構造式(2)の電荷輸送物質7部を加えて電荷輸送層用塗工液を作製した。こうして得られた電荷輸送層用塗工液を電荷発生層上に浸漬塗工後、110℃20分間乾燥し、厚み25μmの電荷輸送層を形成した。
【0047】
【化2】
以上のようにして、実施例1の電子写真感光体を作製した。
【0048】
【表1】
【0049】
以上のようにして得られた電子写真感光体を図3の構成を有するレーザービーム径2400μm2の電子写真装置に組み込み、A3サイズの中間調画像を出力し画像の濃淡差をマクベス濃度計にて測定したところ濃度差は0.01以下と極めて良好な均一性を示す画像であることが確認された。また、電荷発生層の膜厚のバラツキを明らかにするため、バラツキを下記式のように定めて評価したところ、この実施例1においては平均膜厚0.3μmに対して、最大膜厚は0.303μm、最小膜厚は0.298μmであり、実施例1のバラツキは下記式より1.6%と分かった。(注:膜厚は電荷発生層の600nmにおける吸光度から換算して求めた。)
バラツキ=(最大膜厚−最小膜厚)/平均膜厚×100 (単位:%)
【0050】
比較例1
実施例1の電荷発生層形成方法をスプレー塗布から浸漬塗布方式に変更して電子写真用感光体を得た。得られた感光体を実施例1と同様に塗膜の均一性を評価したところ。中間調画像に濃淡ムラがはっきりと認められた。この濃淡差をマクベス濃度計で確認したところ、画像濃度の差は0.06認められた。また、画像の濃度差に対応する部分の膜厚は中心膜厚0.3μmに対して、薄い方は0.282μm、厚い方の膜厚は0.316μmであることが求まり、膜厚バラツキは11%(0.034μm)であることが判明した。
【0051】
実施例2〜14、比較例2〜12
実施例1で電荷発生層の形成に当たって、スプレー塗布条件及び電荷発生層の膜厚を以下の表2のように変更し、実施例2〜14及び比較例2〜12の感光体を得た。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
以上のようにして得られた実施例及び比較例の電子写真用感光体を実施例と同様にして評価した。実施例及び比較例のサンプルは電荷発生層の膜厚が0.06〜1.01μmの範囲で異なるため感度特性が異なる。従って、画像評価に当たっては電子写真装置のレーザービーム強度を調整してそれぞれの電子写真感光体がほぼ同じ露光後電位を示す状態にして評価した。実施例1〜14の電子写真用感光体を電子写真装置に組み込み中間調の画像を確認したところ何れのサンプルも画像の濃淡差は全く認められず。マクベス濃度計で濃度差を確認したところ何れも0.01以下の濃度バラツキであった。画像上のドット再現性について確認したところその再現性はすこぶる良好であった。また、実施例の感光体の電荷発生層の膜厚を調査したところ、膜厚のムラは中心膜厚に対して3%以内に収まっていることが確認できた。
【0055】
これに対して比較例の感光体は電子写真装置に組み込んだ場合、何れも画像上の不具合が認められた。画像上の不具合としては中間調画像の濃淡ムラ(比較例1〜12)、まだら状画像の発生(比較例5〜9)、ウロコ状画像の発生(比較例3、比較例7)であった。
【0056】
これらについて塗工因子ごとの解析を行ったところ1μm以下の薄膜領域をスプレー塗布で形成するには微粒化を進めることは重要であるが、微粒化だけでなく塗布回数(換言すればDry膜の上への膜の積み上げ、及びその回数)が重要であることが判明した。
【0057】
塗布回数について上記の実施例、比較例について解析を行った結果を図4にしめす。
図中●は本発明のスプレー塗布法に従った実施例のサンプルを、▲は比較例のサンプルを示している。中間調のムラについて実施例と比較例で結果が全く2分されたわけであるので、図中の実線よりも上側が良好な塗布領域と判断できる。さらに、図中の実線は本発明の提案式
−3×Ln(X)+1 ≦ Y
で良く近似できることがわかる。
【0058】
比較例のサンプルの電荷発生層を確認したところ各比較例の電荷発生層の膜厚バラツキは実施例のものよりも大きく、それぞれの平均膜厚の4%以内に膜厚バラツキが収まっているサンプルは1本も無かった。
【0059】
従って、本発明に従えば1μm以下の薄膜領域において、塗膜の均一化を著しく進めることが出来ることが分かり、そのバラツキを3%以内におさめることが可能となり、今後の電子写真装置用部品の薄膜形成の際には非常に有用であることが分かる。
【0060】
実施例15、16
実施例1と全く同様のスプレー塗工条件で電子写真用感光体を作成した。但し、実施例15においては電荷発生層の溶媒を100%メチルエチルケトンに、実施例16においては100%シクロヘキサノンに置き換えた。
【0061】
それらの電子写真装置内での画像特性はおおむね良好であった。しかし、実施例15においてはドットの再現性に若干のバラツキが確認された。原因を調べたところ、電荷発生層の表面粗さが実施例1〜14に比べ劣ることが判明し、そのことに起因すると考えられる。
【0062】
実施例16においては若干のまだら模様が画像状に見えるケースが確認された。これは軽微な塗布ムラの発生が起因している。
【0063】
実施例1、15、16より、100℃以下の低沸点の溶媒と130℃以上の高沸点の溶媒が混合して用いられた場合に本発明はさらに著しい効果を発揮する事が分かる。
【0064】
以上は電子写真装置用部品の電子写真感光体の電荷発生層について本発明を適用してみた例であるが、本発明はさらに他の機能性部品に適用しても十分にその効果を発揮することが分かる。
【0065】
実施例17
本発明の塗布法を現像ローラーの表面保護層、中間転写ベルトの表面保護層、電子写真感光体の下引き層及び電荷発生層について適用し、各部品を形成し、このとき現像ローラーおよび中間転写ベルトの表面保護層形成液はフッ化ビニリデンゴム7部、タルク3部、酢酸エチル590部、酢酸ブチル400部とし、感光体の下引き層および電荷発生層の形成液は実施例1に準じた。それぞれのスプレー塗布法は下記の条件にて行った。図3の電子写真感光体に組み込んだところ極めて均一性の高い良好な画像が得られ画像のザラツキ感も全くなかった。
【0066】
【表4】
【0067】
以上本発明を被塗布物として電子写真装置用部品を用いた場合について説明してきたが、本発明の本質は1μm以下の薄膜形成においてその膜厚の均一性を向上することにあり、被塗布物は電子写真装置用部品に制限されるものではない。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればスプレー塗工法で形成される塗膜の均一性を向上させることができる。特に1μm以下の薄膜における塗布層の均一性が向上する。均一性のレベルは浸漬塗布法以上のレベルを達成することが出来る。また、その結果、従来塗布法では困難であった1200dpi以上の高画質フルカラーに絶えうる、電子写真装置用部品を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用するスプレー塗布法の説明図。
【図2】同上別のスプレー塗布法の説明図。
【図3】フルカラー電子写真装置の説明図。
【図4】塗布回数と塗布膜厚との関係を示すグラフ。
Claims (7)
- 前記スプレー塗工に用いられるスプレー塗液は少なくともバインダーと沸点100℃以下の有機溶剤と沸点130℃以上の有機溶剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記電子写真装置用部品が電子写真用感光体である請求項1〜2のいずれかに記載の製造方法。
- 前記電子写真装置用部品が電子写真用感光体であり、かつ前記膜厚1μm以下の層が導電性支持体と感光層との間に設けられた下引き層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の製造方法。
- 前記電子写真装置用部品が電子写真用感光体であり、かつ前記膜厚1μm以下の層が感光層と保護層との間に設けられた中間層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の製造方法。
- 請求項1〜5に記載の製造方法で形成された電子写真装置用部品。
- 少なくとも請求項6の電子写真装置用部品と書き込み波長700nm以下、ビーム面積3000μm-2以下のLDを備えたフルカラー電子写真装置。
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