JP4294128B2 - 内視鏡洗浄装置及び内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管路を備えた内視鏡及びその内視鏡の洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、内視鏡は使用後、そのチャンネルや鉗子起上部や付属ボタン類を洗浄し、清潔に保つようにしている。特に、チャンネルチューブはいわゆるテフロンなどの汚れのつきにくい材質で作られているが、手作業によるブラシで洗浄しなければ汚れが蓄積する虞があった。
【0003】
内視鏡用洗浄装置は長期間使用を続けるうちに洗浄槽の表面に水垢が徐々に蓄積するため、定期的に洗浄層の内部を水垢除去剤などで清掃する必要があった。また、水垢の蓄積を減少させ、細菌などの繁殖を防止するために毎日最後に洗浄槽の内部に残った水滴を清潔な布などで拭う作業をしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、内視鏡の管路内の煩わしい清掃作業を軽減し、かつ内視鏡の管路内を清潔に保てる内視鏡及び内視鏡洗浄装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、管路内面に光触媒作用を有する光触媒部が配置された内視鏡に接続される内視鏡洗浄装置であって、紫外線光源装置部と、上記紫外線光源装置部に接続された光導管と、上記光導管の先端に設けられたコネクタと、を含み、上記コネクタは、上記内視鏡の管路端部に接続されて、上記管路端部から光を上記管路内に照射することを特徴とする内視鏡洗浄装置である。
【0006】
また、他の発明は、上記内視鏡洗浄装置に接続される内視鏡であって、管路内面に光触媒作用を有する光触媒部が配置され、さらに、上記管路内面は、鏡面に形成されていることを特徴とする内視鏡である。
【0008】
酸化チタンなどの光触媒は、紫外線などの光を受けると、光エネルギーによって励起し、その表面に付着した汚れや細菌などを強力に分解して消滅させる性質があることが知られている。
その機序は、光が当たると、触媒の表面に電子とホールができる。電子は空気中の酸素と反応して、過酸化水素を作り、ホールは触媒表面の微量な水分と反応して、活性酸素の一種の酸化力の強いOHラジカルを生成する。この酸化還元作用により触媒表面は殺菌されるほか、付着した有機物は最終的に二酸化炭素と水に分解される。
【0009】
本発明は、この機能を応用することで上記課題を解決するようにしたものである。すなわち、汚れが付着し易い内視鏡の管路内面に光触媒作用を有する光触媒部を形成し、上記内視鏡の管路端部に接続可能なコネクタを有した光導管を用いて上記内視鏡の管路内へ上記励起光を照射すると、使用後における内視鏡の管路内面における汚れや細菌を分解して清潔にすることができる。他の発明では、上記内視鏡の管路の内面を上記光触媒部に光触媒作用を励起させるための励起光を反射する鏡面に形成したので、上記励起光は内視鏡の管路内面における鏡面により管路内の隅々まで行き渡る。よって、洗浄装置による洗浄工程と絡めて内視鏡の管路内に励起光を照射できるようになり、効率よく高レベルのリプロスができるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
図1を参照して本発明の第1実施形態に係る内視鏡洗浄装置のシステムを説明する。図1はその内視鏡システムを概要的に示す構成図である。
【0011】
(構成)
図1中、1は内視鏡であり、2は紫外線照射装置である。内視鏡1は操作部3、挿入部4及びライトガイドケーブル5を備えてなり、この内視鏡1内には多種類の管路が形成されている。ここでは、鉗子挿通用チャンネル6と送気用チャンネル7と送水用チャンネル8と吸引用チャンネル9が設けられている。
【0012】
上記鉗子挿通用チャンネル6は挿入部4から操作部3にわたって配置され、その先端が挿入部4の先端に開口している。鉗子挿通用チャンネル6の基端は操作部3に設けられた挿入口部10に接続されている。この挿入口部10には上記吸引用チャンネル9の先端が接続されている。そして、挿入口部10には図示しない鉗子栓が内視鏡1の使用時において装着される。
【0013】
上記操作部3には送気送水切換え弁装置11と吸引切換え弁装置12が設けられている。図1は送気送水切換え弁装置11と吸引切換え弁装置12の各シリンダ11a,12aの部分のみを記載している。各シリンダ11a,12a内には、図示しない操作釦付ピストン部組が着脱自在に装着される。この送気送水切換え弁装置11と吸引切換え弁装置12の構成は一般的なものでよい。送気送水切換え弁装置11のシリンダ11aは送気用チャンネル7の途中部分と送水用チャンネル8の途中部分の両方の部分に介在し、その送気用チャンネル7と送水用チャンネル8に連通している。吸引切換え弁装置12のシリンダ12aは吸引用チャンネル9の途中部分に介在し、吸引用チャンネル9に連通している。
【0014】
送気用チャンネル7と送水用チャンネル8と吸引用チャンネル9はライトガイドケーブル5内を通じてコネクタ部13まで導かれ、コネクタ部13に設けられたそれぞれの口部7a,8a,9aに接続される。これらの部分の構成も一般的な内視鏡のものと同様である。
【0015】
上記構成の内視鏡1において、上記チャンネル6,7,8,9をそれぞれ形成する各チューブ部材の内表面、つまり気体や液体が流通する側の表面には、紫外線の照射を受けることにより光触媒反応を起こす酸化チタンもしくは過酸化チタンのコーティングが施され、光触媒作用を有する光触媒部を形成している。各チャンネル6,7,8,9の内面のコーティング面は鏡面として形成されている。
【0016】
尚、上記チューブ部材の内表面にフッ素系の防汚処理膜を形成してこの表面に光触媒部を形成してもよい。
また、望ましくは鉗子挿通用チャンネル6の挿入口部10、送気送水切換え弁装置11のシリンダ11a、吸引切換え弁装置12のシリンダ12aの内面も光触媒作用を有する光触媒部がコーティングにより形成され、それらの内面は鏡面に形成されている。
【0017】
一方、上記紫外線照射装置2は、紫外線光源装置部21と、フレキシブルな光導管(光ケーブル)22を備えてなり、紫外線光源装置部21には照射スイッチ21aが設けられている。光導管22の先端側部分は、複数の光導管部22a,22b,22cに分岐し、光導管部22a,22b,22cの先端にはそれぞれ別々にコネクタ23a,23b,23cが設けられている。光導管部22aのコネクタ23aは鉗子挿通用チャンネル6の挿入口部10に接続できるようになっており、光導管部22bのコネクタ23bは送気送水切換え弁装置11のシリンダ11aに接続できるようになっており、光導管部22cのコネクタ23cは吸引切換え弁装置12のシリンダ12aに対して接続できるようになっている。
【0018】
また、上記コネクタ23b,23cは連結部材24により一体的に連結され、単一の装着アダプタ25としてユニット化されている。そして、装着アダプタ25は内視鏡1の操作部3におけるシリンダ11a,12aに対してパッキングシート26を介して装着されるようになっている。
【0019】
(作用)
使用後の内視鏡1の各チャンネル6,7,8,9の中には患者の粘液・血液または細菌などの有機物が入り込んで汚れている。このため、そのチャンネル6,7,8,9にシリンジなどを接続して送水し、大まかな汚れを清掃した後、紫外線照射装置2の光導管22の光導管部22a,22b,22cを内視鏡1の鉗子挿通用チャンネル6の挿入口部10、送気送水切換え弁装置11のシリンダ11a、吸引切換え弁装置12のシリンダ12aに対してそれぞれ別々に接続する。このようにして、内視鏡1の各チャンネル6,7,8,9の入り口部分に光導管22の光導管部22a,22b,22cを接続してから紫外線照射装置2の照射スイッチ21aを入れることで、各チャンネル6,7,8,9内に紫外線が照射される。紫外線はチャンネル6,7,8,9の中で内面反射を繰り返し、隅々までに行き渡る。特にチャンネル6,7,8,9の内面が鏡面として形成されているので、紫外線はチャンネル6,7,8,9の末端まで届く。また、チャンネル6,7,8,9の内表面の酸化チタンもしくは過酸化チタンがその光触媒作用で、チャンネル6,7,8,9の内表面に付着した汚染有機物を酸化分解し、それを分解除去する。
【0020】
この後、内視鏡1から紫外線照射装置2を取り外し、通常の洗浄工程を行うことによりチャンネル6,7,8,9内に残るものを十分に流し出し、チャンネル6,7,8,9内を高度に清潔にすることができる。従って、チャンネル6,7,8,9内にブラシ等を通すような面倒な清掃作業をせずに、チャンネル6,7,8,9内を清潔に洗浄することができる。また、光触媒作用は細菌などの微生物を分解消毒する機能もあり、同時に消毒も行われるため、その後の消毒工程の簡略化及び能率化が図れる。また、消毒の程度が高まる。
【0021】
[第2実施形態]
図2を参照して本発明の第2実施形態に係る内視鏡洗浄消毒装置を説明する。図1はその内視鏡洗浄消毒装置の斜視図である。
【0022】
(構成)
この内視鏡洗浄消毒装置の装置本体31には、内視鏡32を中に設置する洗浄槽33と、洗浄槽33の上部開口を開閉する蓋34が設けられている。洗浄槽33の中央部には洗浄槽33内の液量を削減する目的で塔35が設置されている。この塔35には上記内視鏡32の操作釦類やピストン部組等の付属品を入れる籠36と、この籠36内の部品に紫外線を照射するための紫外線ランプ37が装備されている。
【0023】
上記内視鏡32は上述した第1実施形態での内視鏡1と同様、その管路内には光触媒作用を有する光触媒部がコーティング等により施されている。また、上記内視鏡32の操作釦類や他の付属品の外表面にも、酸化チタンもしくは過酸化チタンをコーティングすることにより光触媒作用を有する光触媒部が形成されている。さらに内視鏡32の挿入部38における鉗子挿通用チャンネルの先端部分にある鉗子起上台39の部品表面にも光触媒部がコーティング等により施されている。
【0024】
上記洗浄槽33にはこの中に内視鏡32を設置したとき、その挿入部38における先端部分の設置部位に対向して紫外線ランプ40が設置されている。この紫外線ランプ40は上記内視鏡32の鉗子起上台39に向けて紫外線を照射するものである。
尚、上記籠36の表面にも光触媒作用を有する光触媒部を形成してもよい。
【0025】
上記洗浄槽33の内壁には流液噴射用吐出口41が設けられている。この吐出口41はこれより高圧水や消毒液を噴射し、その流液により内視鏡32の外表面を洗浄または消毒する。
【0026】
上記装置本体31には紫外線照射装置42が組み込まれている。この紫外線照射装置42は紫外線発生装置部43と、上記洗浄槽33の側壁に設けられた光コネクタ44と、上記紫外線発生装置部43と光コネクタ44を結ぶ光ケーブル45と、上記光コネクタ44に接続されて上記洗浄槽33内に延出可能な複数のフレキシブルな光導管部46a,46b,46cを有する。
【0027】
上記各光導管部46a,46b,46cはそれぞれ内視鏡32のチャンネルに個別的に接続される。この接続の仕方は前述した第1実施形態のものに同じである。そして、内視鏡32のチャンネル(管路)に対して光導管部46a,46b,46cをそれぞれ接続することにより紫外線発生装置部43から光ケーブル45及び光コネクタ44を通じて送られてきた紫外線を光導管部46a,46b,46cを通じて内視鏡32のチャンネル内に照射することができる。
【0028】
(作用)
次に、上記内視鏡洗浄装置の作用について説明する。まず、使用済みの内視鏡32を洗浄槽33にセットし、内視鏡32のチャンネルの入り口に紫外線照射装置42の光導管部46a,46b,46cをそれぞれ接続する。また、内視鏡32の付属品は籠36内に入れ、洗浄槽33の蓋34を閉める。
【0029】
内視鏡洗浄消毒装置を始動すると、吐出口41より洗浄水が内視鏡32の外表面に吹き付けられ、洗浄される。この工程中または工程後に紫外線発生装置部43及び紫外線ランプ37,40が作動し、酸化チタンコーティングされた内視鏡32のチャンネル内、鉗子起上台39及び付属ボタン類に紫外線を照射する。紫外線が照射された酸化チタンは光触媒作用により、内視鏡32のチャンネル内表面、鉗子起上台39や付属ボタン類に付着した汚染有機物を分解除去する。ブラシをかけるなどのような面倒な清掃作業をせずともそれらを清潔にすることができる。
【0030】
次に、内視鏡32を消毒する場合、この工程では吐出口41より消毒液が内視鏡1の外表面に吹き付けられ、また、消毒液に内視鏡32を浸漬することにより内視鏡32及び付属ボタン類等の消毒がなされる。また、この消毒工程中または工程後に紫外線発生装置部43及び紫外線ランプ37,40が作動して、酸化チタンコーティングされた内視鏡32のチャンネル内、鉗子起上台39及び付属ボタン類に紫外線を照射し、酸化チタン等の光触媒作用により、チャンネルの内表面、鉗子起上台39や付属ボタン類に付着して僅かに残っていた汚染有機物を分解し除去する。これにより十分な消毒がなされ、それらをより清潔にすることができる。通常、洗浄工程において汚染有機物は分解し除去されるので、消毒を行う場合には紫外線を照射することは必ずしも必要でない。
【0031】
[第3実施形態]
図3を参照して本発明の第3実施形態に係る内視鏡洗浄消毒装置を説明する。図1はその内視鏡洗浄消毒装置のシステムの説明図である。
【0032】
(構成)
図3中、51は内視鏡洗浄消毒装置の洗浄槽であり、この洗浄槽51内には内視鏡52が設置される。洗浄槽51には蓋53が設けられている。洗浄槽51の底面には例えばランジュバン型の超音波振動子54を取り付けた円板状の振動板55が取着されている。そして、超音波振動子54を振動させることにより洗浄液中に超音波振動を発振する。
【0033】
さらに洗浄槽51の中央部にはその洗浄槽51内に溜める洗浄水や消毒液の液量を削減する目的で塔56が設置されている。この塔56の内部には洗浄槽51内の液体を加保温するためのヒータ57が設けられている。
【0034】
塔56の頭部には洗浄槽51と蓋53で囲われた内部の表面に紫外線を照射するための紫外線ランプ58が取り付けられている。紫外線が照射される洗浄槽51と蓋53の内表面には酸化チタンなどの光触媒作用をなす物質でコーティングされ、光触媒部が形成されている。
【0035】
上記洗浄槽51には流液噴出口61が設けられている。流液噴出口61には、流液洗浄用ポンプ62の吐出口に接続された流液洗浄用管路63が接続されている。この流液噴出口61は流液洗浄用ポンプ62からの高圧水を洗浄槽51内に向けて噴射するものである。この流液噴出口61から高圧水が噴出されると、洗浄槽51内で、その近傍におかれた被洗浄物が非常によく洗浄される。
【0036】
上記流液洗浄用ポンプ62の吸い込み側は洗浄槽51の底部に設けた循環液吸い込み口64に接続されている。循環液吸い込み口64にはスコープ管路内洗浄用管路66が接続されている。上記スコープ管路内洗浄用管路66の他端はスコープ管路内洗浄用ポンプ67に接続されている。スコープ管路内洗浄用ポンプ67の吐出口には管路70が接続され、この管路70の途中には逆止弁68と電磁開閉弁69が設けられている。そして、この管路70は洗浄槽51のチャンネル接続口72に接続されている。チャンネル接続口72は内視鏡52の各種チャンネルに内視鏡管路洗浄用チューブ73を介して連結されるようになっている。洗浄槽51内において内視鏡52は内視鏡操作部保持部74上に設置されている。
【0037】
上記管路70の途中には逆止弁75を介してエアー供給管路76が接続されている。エアー供給管路76にはコンプレッサー77が連結されている。すなわちコンプレッサー77からの圧縮空気も上記内視鏡52の各種チャンネルの接続用口部に送られ、それらのチャンネル内の除水を行うようになっている。
【0038】
また、洗浄槽51の上部には注入口81が設けられ、この注入口81には消毒液タンク82からの消毒液注入管路83が注入ポンプ84及び逆止弁85を介して接続されている。注入口81は例えば水道等の給水源86に接続した給水管路87が接続されている。給水管路87の途中には、給水弁88及び給水フィルター89が介挿され、さらに給水管路87は逆止弁90を介して上記注入口81に接続されている。
【0039】
また、洗浄槽51の底部には排水口92が設けられ、この排水口92には管路切替弁93を介して、上記消毒液タンク82に通じる消毒液回収管路94と排水管路95が接続されている。上記排水管路95の途中には排水ポンプ96が介挿して設けられている。
【0040】
上記洗浄槽51の上部にはダクト97が接続されている。このダクト97は一連の工程中の洗浄槽51への気液の出入りの際のエアーの出入り口になるものであり、これはエアー管路98とガスフィルター99を介して大気に開放される。
【0041】
(作用)
上記構成の内視鏡洗浄消毒装置を使用する場合、まず、洗浄槽51内に使用済みの内視鏡52をセットし、内視鏡管路洗浄用チューブ73を用いて内視鏡52とチャンネル接続口72を連結する。その後、操作パネルの各種操作スイッチの操作に伴い、洗浄、消毒、すすぎ、送気の各工程が行われる。洗浄、消毒の時間や消毒液の温度などは図示していない設定パネルでユーザーが設定する。
【0042】
始動後の動作の一例を示すと、まず洗浄工程では初めに給水弁88が開き、給水源86からの洗浄水が給水フィルター89及び給水系管路87を介して注入口81から洗浄槽51内に供給される。また、予め設定された液量の洗剤を工程開始前にユーザーが洗浄槽51内に注入しておく。そして、一定量の水が供給されると、流液洗浄が開始され、指定水位に達したら給水弁88が閉じる。この工程では、内視鏡52に付着した大きな汚れ、柔らかい汚れ、軽い汚れ等が洗浄される。すなわち洗浄槽51内で渦巻いている液流や流液噴出口61から噴出された液の衝撃力によって大きな汚れ、柔らかい汚れ、軽い汚れ等が落とされる。
尚、内視鏡52は後の消毒工程での消毒液量を最小にするため、塔56の周囲にいわゆるとぐろ状に巻かれ、高さが低くなるように設置される。
【0043】
予め設定された流液洗浄の工程時間が終了すると、続いて超音波洗浄が行われる。この超音波洗浄工程では超音波振動子54を振動させることにより洗浄液中に超音波振動を与え、内視鏡52に付着した堅い汚れや、複雑な形状部の汚れ等を強力に落す。
【0044】
この超音波洗浄工程が終了すると、再び流液洗浄が行なわれる。この工程では超音波洗浄によって、ふやけて内視鏡52から剥がれかかった汚れ等が落とされる。
【0045】
これらの一連の洗浄工程が終了すると、管路切替弁93を排水側に開くと同時に排水ポンプ96が駆動される。すると、洗浄槽51内の洗浄液が外部に排出される。その後、再び給水弁88が開いて新しい水が洗浄槽51内に供給されると共に、スコープ管路内洗浄用ポンプ67が駆動されて、すすぎが行われる。また、このすすぎ工程の後半ではスコープ管路内洗浄用ポンプ67が停止されると共に、コンプレッサー77がオンされ、チャンネル接続口72を介して内視鏡52の各種チャンネルにエアーが送り込まれ、内視鏡52のチャンネル内に水切りが行われる。
【0046】
すすぎ工程が終了した後、続いて消毒工程が行われる。この消毒工程では初めに消毒液タンク82の中の消毒液が注入ポンプ84、消毒液注入管路83を通じて注入口81から洗浄槽51内に供給される。ここで、逆止弁85、90は、給水と消毒液が逆流しないように配置されているので、消毒液が逆流することがない。
【0047】
一方、ダクト97は一連の工程中の洗浄槽51への気液の出入りの際のエアーの出入り口であり、エアー管路98とガスフィルター99を介して大気に開放されているため、消毒工程時の消毒液の蒸気等はこのガスフィルター99で吸着または分解されるため、大気には放出されない。
【0048】
そして、内視鏡52の全体は洗浄槽51内に溜められた消毒液中に完全に浸漬されると共に、スコープ管路内洗浄用ポンプ67のオン操作により洗浄槽51内の消毒液がチャンネル接続口72に供給され、内視鏡52のチャンネル内の消毒も行われる。この消毒工程により装置内の汚れ得る管路の全てに消毒液が回るため、装置内をも自動的に消毒することができる。そして、所定時間が経過すると管路切替弁93が回収側に開き、消毒液が消毒液タンク82に回収される。
【0049】
消毒工程の終了後、続いて再びすすぎ工程が行われる。このすすぎ工程の後、コンプレッサー77の駆動により内視鏡52のチャンネル内の水切りが完全に行われる。さらに一定時間経過後、排水ポンプ96が停止する。
【0050】
この排水後、内視鏡52を洗浄槽51から取り出し、操作パネル上の点灯スイッチを押すと、塔56に設けられた紫外線ランプ58が点灯し、紫外線が酸化チタンなどの光触媒作用をする物質でコーティングされた洗浄槽51と蓋53で囲われた内部の表面に照射される。紫外線は槽内の内面反射で洗浄槽51内にくまなく照射される。紫外線を受ける洗浄槽51や蓋53の内表面にはコーティングされた酸化チタンなどの光触媒部が形成されており、その光触媒作用で、内表面に付着した汚染有機物を効果的に分解除去することができる。このため、装置内を常に清潔に保つことができる。
【0051】
本例では塔56に紫外線ランプ58を設置したが、洗浄槽51の内壁や蓋53の内側に設置しても同等の効果が得られる。
尚、消毒液の通らない給水系の給水フィルター89、給水系管路87、エアーのダクト97、エアー管路98内にも光触媒部を形成し、それらの内部に紫外線を照射できる小型の紫外線照射用ランプを付加設置することで、装置のより高度なクリーン化を図ることができる。
【0052】
一方、光触媒作用は、効率は劣るものの、一般可視光線でも起きるので、高価な紫外線ランプを使わずコストダウンのために一般光源を使用することも考えられる。また、蓋53を光り透過性のあるガラスなどの透明材質で作ることで、長期間装置を使用していない間も洗浄槽51内は設置された室内の光によって自己清浄される機能を持たすこともできる。
【0053】
勿論、この第3実施形態のものに前述した第1実施形態または第2実施形態の紫外線照射装置を付加して内視鏡やその構成部品に形成された光触媒作用を有する光触媒部に対し、励起光を照射して汚れや細菌などを分解除去するようにしてもよい。
【0054】
<付記>
1.内視鏡の管路内に形成された光触媒作用を有する光触媒部に対し、上記光触媒作用を励起するための励起光を照射する励起光照射手段を有することを特徴とする内視鏡洗浄装置。
2.内視鏡の構成部品に形成された光触媒作用を有する光触媒部に対し、上記光触媒作用を励起するための励起光を照射する励起光照射手段を有することを特徴とする内視鏡洗浄装置。
3.洗浄液にさらされる部位に設けられ、少なくとも表面が光触媒作用を有する素材にて形成された光触媒部材と、上記光触媒作用を励起するための励起光を上記光触媒部材に照射する励起光照射手段とを有することを特徴とする内視鏡洗浄装置。
【0055】
4.内視鏡を収納可能な洗浄室と、上記洗浄室に設けられた、光触媒作用を有する光触媒部と、上記光触媒作用を励起するための励起光を上記光触媒部に照射する励起光照射手段とを有することを特徴とする内視鏡洗浄装置。
5.少なくとも表面が光触媒作用を有する光触媒部が形成された光触媒部品を備えた内視鏡と、上記光触媒作用を励起するための励起光を上記光触媒部に照射する励起光照射手段とを有することを特徴とする内視鏡洗浄システム。
6.少なくとも内部管路の内表面に、光触媒作用を有する光触媒部が形成された内視鏡と、上記光触媒作用を励起するための励起光を上記光触媒部に照射する励起光照射手段とを有することを特徴とする内視鏡洗浄システム。
【0056】
7.少なくとも表面が光触媒作用を有する素材より形成された光触媒部を有する光触媒部品を備えたことを特徴とする内視鏡。
8.内視鏡において少なくともそのチャンネルの内表面を酸化チタンコーティング、もしくは過酸化チタンコーティングをし、使用後の内視鏡を洗浄する洗浄工程中や消毒工程中もしくは、それらの工程の前後に、少なくともチャンネル内に紫外線照射装置により紫外線を照射して、内視鏡に付着した有機物や細菌を酸化チタンまたは過酸化チタンの光触媒反応により分解する内視鏡システム。
【0057】
9.少なくともチャンネル内表面を酸化チタンコーティング、もしくは過酸化チタンコーティングをした内視鏡を使用後に洗浄する内視鏡洗浄消毒装置において、洗浄工程中や消毒工程中もしくは、それらの工程の前後に、少なくとも内視鏡のチャンネル内に紫外線を照射する機能を有し、紫外線を照射することにより内視鏡に付着した有機物や細菌を酸化チタンまたは過酸化チタンの光触媒反応により分解することを特徴とした内視鏡洗浄消毒装置。
10.少なくとも洗浄槽内表面を酸化チタンコーティングもしくは過酸化チタンコーティングをし、洗浄槽内に付着した有機物や細菌を上記酸化チタンまたは過酸化チタンの光触媒反応により分解させるための紫外線照射装置を有した内視鏡洗浄装置。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、内視鏡の管路内の煩わしい清掃作業を軽減し、かつ内視鏡の管路内を清潔に保てる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る内視鏡洗浄装置のシステムの概要的な構成を示す説明図。
【図2】第2実施形態に係る内視鏡洗浄消毒装置の斜視図。
【図3】第3実施形態に係る内視鏡洗浄消毒装置のシステムの説明図。
【符号の説明】
1…内視鏡、2…紫外線照射装置、6…鉗子挿通用チャンネル、
7…送気用チャンネル、8…送水用チャンネル、9…吸引用チャンネル、
21…紫外線光源装置部、22…フレキシブルな光導管。
Claims (2)
- 管路内面に光触媒作用を有する光触媒部が配置された内視鏡に接続される内視鏡洗浄装置であって、
紫外線光源装置部と、
上記紫外線光源装置部に接続された光導管と、
上記光導管の先端に設けられたコネクタと、を含み、
上記コネクタは、上記内視鏡の管路端部に接続されて、上記管路端部から光を上記管路内に照射することを特徴とする内視鏡洗浄装置。 - 請求項1に記載の内視鏡洗浄装置に接続される内視鏡であって、管路内面に光触媒作用を有する光触媒部が配置され、
さらに、上記管路内面は、鏡面に形成されていることを特徴とする内視鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31348598A JP4294128B2 (ja) | 1998-11-04 | 1998-11-04 | 内視鏡洗浄装置及び内視鏡 |
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