JP4293704B2 - 高粘度液状物の乾燥方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流動層乾燥に関するものであり、特に高粘度液状物を希釈することなく流動層乾燥機を用いて乾燥することのできる、高粘度液状物の乾燥方法に係るものである。
【0002】
【発明の背景】
従来より、粘度が3000〜10000cPと高粘度のポリマー、天然多糖類等の高分子、あるいはこれらを含むスラリー状の高粘度液状物の乾燥には、ドラムドライヤあるいはベルト式伝導伝熱乾燥機が使用されている。
しかしながらこれらの装置を用いる場合には、装置の構造及び高粘度液状物の性状に由来する補助作業を要してしまうものであり、高粘度液状物を熱伝導面であるドラムやコンベヤベルト上に塗布した状態で乾燥が行われるため、乾燥品はシート状となって、ドラムやコンベヤベルトに付着してしまう。このため付着した乾燥品を剥離するスクレーパが必須部材となっており、非常に手間のかかるスクレーパのメンテナンス作業を定期的に行わなければならない。
【0003】
また上記ドラムドライヤ及びベルト式伝導伝熱乾燥機以外にも、スプレードライヤや流動層乾燥機等を使用することも可能であるが、その場合には高粘度液状物を噴霧が可能となるように希釈して1000cP程度まで粘度を低下させる必要があり、水分負荷の増大にともなう処理時間の増大を引き起こしてしまう。
更に高粘度液状物を希釈して粘度を低下させて乾燥したとしても、物質によっては所望の粉粒体とはならずに綿状の乾燥物となってしまうこともあり、その取り扱いが非常に困難なものとなってしまう。
上述のように、高粘度液状物は粘着性を有するためにその扱いが非常に困難なものであって、手間がかからず、なお且つ短時間で乾燥することのできる方法並びに装置の開発が望まれている。
【0004】
【解決を試みた技術課題】
本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、特に高粘度液状物を希釈することなく短時間で乾燥することができ、更に手間のかかるメンテナスを要することのない、新規な高粘度液状物の乾燥方法の開発を技術課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項1記載の高粘度液状物の乾燥方法は、流動風吹込室、流動室及び排気室を上下方向に連接するとともに前記流動風吹込室と流動室との間に目皿板を仕切りとして具え、更に前記流動室内に原料液供給用のノズルを具え、前記流動風吹込室から供給される熱風によって前記ノズルから供給された原料液の乾燥を行う方法において、前記ノズルから供給される原料液は高粘度液状物であり、あらかじめ流動室内に粉粒体の流動層を形成させた状態でこの流動層内に原料液を供給することにより、前記流動層を形成する粉粒体を高粘度液状物に対して付着させ、高粘度液状物表面の粘着性を排除した状態で乾燥を行うことを特徴として成るものである。
この発明によれば、流動室内で高粘度液状物同士が互いに付着したり、流動室内壁に付着したりすることがないため、高粘度液状物の乾燥を円滑に行うことができるとともに、手間のかかるメンテナンスを排除することができる。
また従来手法のように高粘度液状物を希釈する必要がないため、乾燥を短時間で行うことができる。
【0006】
また請求項2記載の高粘度液状物の乾燥方法は、前記請求項1記載の要件に加え、前記流動層には、すでに乾燥が終了した製品を粉砕して供給することにより、高粘度液状物に対して付着する粉粒体が不足しないようにすることを特徴として成るものである。
この発明によれば、高粘度液状物への粉粒体の付着が確実になされるため高粘度液状の付着を確実に防止することができ、高粘度液状物の乾燥をより円滑に行うことができる
してこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、高粘度液状物の乾燥装置について説明し、この装置の作動状態と合わせて本発明の高粘度液状物の乾燥方法について説明する。
図中符号1で示すものが高粘度液状物の乾燥装置として用いる流動層乾燥機である。このものは中空塔状の全体形状を有するものであって、最下部に流動風吹込室2を形成し、その上部に目皿板3を具えるとともにこの目皿板3を仕切りとして流動室5を具え、更に流動室5の上方には排気室6を連接状態に具えて構成される。
【0008】
前記流動風吹込室2は上面を開口した円筒状部材であって、その側周部に吹込口2aを形成するとともに、この吹込口2aに対しては流動風供給装置7が接続される。この流動風供給装置7は、ヒータ71によってブロワ72から供給された外気を昇温するとともに流動風吹込室2に供給する装置であり、流動風吹込室2内部の一例として前記吹込口2aの上部に設けた温度センサ73の検出値に応じてバルブ74の開度を調節できるように構成される。なお流動風供給装置7は前記ブロワ72から、ヒータ71を経由して吹込口2aに至る経路を主たる経路とするものであるが、前記ヒータ71を経由しないバイパス経路を並設するものであって、このバイパス経路に具えたバルブ75を操作して非加熱状態の外気を取り込むことが可能となる。
また前記流動風吹込室2の上部に具えた目皿板3は、一例として円形の金属板の板面に多数の孔をいわゆるパンチングメタル状に穿設して成るものである。
【0009】
また前記流動室5は上下面を開口した逆円錐台状部材であって、図示は省略するが側周面に適宜扉、監視窓を設け、内部の洗浄等のメインテナンス及び目視を可能に構成するものである。そして側周部の下部に排出口5aを形成するとともに、この排出口5aに対しては一例としてスクリューコンベヤを適用した排出装置8が接続される。
また流動室5の内部には、一例として二流体ノズルを適用したノズル9を、その供給口が上方に指向するように具えるものであり、このノズル9に対して流動室5の外部に配したポンプPから原料液Lが供給され、ここから流動室5内に供給される。なおノズル9はその供給口が下方に指向するように具えてもよいし、更に流動室5の内壁に対して取り付ける等してもよいが、その供給口に関しては原料液Lを乾燥、破砕して生成された粉粒体Gによって形成される流動層Fの内部に位置するようにする。
【0010】
そして前記流動室5側周部の上部、具体的には前記流動層Fの上方に位置する部位に対して製品供給口5bを形成するとともに、一例としてすでに乾燥が終了した製品を供給するための製品供給装置10を具えるものである。この製品供給装置10には、一例として破砕機11を具えるものであって、排出装置8の後段で取り込んだ製品を、前記破砕機11によって破砕した後、製品供給口5bから流動層Fに投入するための搬送手段を具えて成るものである。
【0011】
また前記排気室6は底面を開口した円筒状部材であり、上面に排気口6aを形成するとともにこの排気口6aに接続した管路にファン6bを具えることにより、排気室6内に位置する気体を排出できるように構成したものである。そしてこの排気室6内にはバグフィルタ6c具えることにより、排出する気体中からの粉塵の除去を図るものである。
【0012】
粘度液状物の乾燥装置として用いる流動層乾燥機1は一例として上述したような構造を有するものであり、以下この装置を用いた高粘度液状物の乾燥方法について説明する。なおこの実施の形態ではポリマー、天然多糖類等の高分子を取り扱うものであって、原料液Lは常温での粘度が1000cP(蜂蜜程度)〜10000cP(でんぷん糊程度)と高粘度なものである。
まず流動風供給装置7を起動して流動風吹込室2内に熱風を供給すると、この熱風は目皿板3を通過して流動室5内に至り、やがてバグフィルタ6cを通過した後、排気口6aから外部に排気される。
【0013】
次いで製品供給装置10からすでに造粒乾燥が終了した粒径0.1mm〜10mm程度の製品を、破砕機11によって破砕して粒径数μm〜100μm程度の粉粒体Gとした後に製品供給口5bから投入すると、この粉粒体Gは流動層吹込室2から供給される熱風によって流動室5内において流動層Fを形成することとなる。
なおこのような流動室5内への粉粒体Gの供給は、流動風供給装置7による送風の開始前に行っておいてもよい。
【0014】
続いてポンプPを起動して、ノズル9から流動室5内に原料液Lを供給するものであって、細い紐状に押し出された原料液Lは図2に示すように圧縮空気によって0.1mm〜10mm程度の長さに切断されて粒状となった原料液Lの表面全域には流動層Fを形成する粉粒体Gが付着する。このため原料液L表面の粘着性を排除することとなり、流動室5内に連続的に供給される粒状の原料液L同士の付着及び原料液Lの流動室5内壁への付着を引き起こすことなく乾燥が進行するものである。
【0015】
なお上述のような原料液Lの乾燥は、バッチ式あるいは連続式のいずれかで行うことが想定されるものであり、バッチ式の場合には一バッチ分の原料液Lに所要とされる量の粉粒体Gをあらかじめ流動室5内に供給しておけばよい。一方、連続式の場合には、流動室5内への原料液Lの供給が進むにつれて粉粒体Gが不足してくるため、定期的に製品供給装置10を起動して粉粒体Gを追加投入することにより、原料液L同士の付着及び原料液Lの流動室5内壁への付着を確実に防止することができる。
【0016】
【他の実施の形態】
本発明は上述した実施の形態を基本となる実施の形態とするものであるが、本発明の技術的思想に基づいて、以下に示す実施の形態を採ることもできる。
すなわち先の基本となる実施の形態においては、外部に排出された製品を破砕して得た粉粒体Gを流動層Fに対して供給するようにしたが、乾燥の終了した原料液L(製品)を、流動室5内で破砕して流動層Fに対して供給するような形態を採ることもできる。この場合には破砕機11を流動室5内の上部適宜の位置に配するものとする。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、特に高粘度液状物を希釈することなく短時間で乾燥することができ、更に手間のかかるメンテナスを排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 粘度液状物の乾燥装置を示す骨格図である。
【図2】 流動室内を示す透視斜視図並びに原料液に対して粉粒体が付着した状態を示す拡大図である。
【符号の説明】
1 流動層乾燥機
2 流動風吹込室
2a 吹込口
3 目皿板
5 流動室
5a 排出口
5b 製品供給口
6 排気室
6a 排気口
6b ファン
6c バグフィルタ
7 流動風供給装置
8 排出装置
9 ノズル
10 製品供給装置
11 破砕機
71 ヒータ
72 ブロワ
73 温度センサ
74 バルブ
75 バルブ
F 流動層
G 粉粒体
L 原料液
P ポンプ

Claims (2)

  1. 流動風吹込室、流動室及び排気室を上下方向に連接するとともに前記流動風吹込室と流動室との間に目皿板を仕切りとして具え、更に前記流動室内に原料液供給用のノズルを具え、前記流動風吹込室から供給される熱風によって前記ノズルから供給された原料液の乾燥を行う方法において、前記ノズルから供給される原料液は高粘度液状物であり、あらかじめ流動室内に粉粒体の流動層を形成させた状態でこの流動層内に原料液を供給することにより、前記流動層を形成する粉粒体を高粘度液状物に対して付着させ、高粘度液状物表面の粘着性を排除した状態で乾燥を行うことを特徴とする高粘度液状物の乾燥方法。
  2. 前記流動層には、すでに乾燥が終了した製品を粉砕して供給することにより、高粘度液状物に対して付着する粉粒体が不足しないようにすることを特徴とする請求項1記載の高粘度液状物の乾燥方法。
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