JP4292206B2 - エレベーター用巻上機 - Google Patents

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Description

この発明は、ロープを駆動し、かごを昇降させるエレベーター用巻上機に関するものである。
従来のエレベーター用巻上機として、綱車の背面にブレーキアーム、ブレーキシュー等から構成されたブレーキ装置が配置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−289954号公報
しかしながら、このものの場合、綱車、ブレーキ装置の両者をそれぞれ保守、点検する場合、両面から保守、点検しなければならず、そのために、巻上機が昇降路の壁面と昇降するかごとの間に配置されたときに、例えば綱車に対向した壁面領域では、反かご側に突出した保守、点検用のスペースを設けなければならないという問題点があった。
また、上記スペースが無いときには、綱車の溝の摩耗量、ロープ外れ止めとロープとの隙間等を、目視により直接確認することができず、作業者は、かご側から鏡を用いて上記摩耗量を確認し、また専用すきまゲージを用いて上記隙間を確認しており、専用の鏡、専用すきまゲージを用いて、手間の掛かる綱車の保守、点検作業を行わなければならないという問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、ブレーキ装置とともに、綱車についても、ブレーキ装置と同じく同一方向から直接目視により保守、点検作業を行うことが可能となり、綱車に対向した壁面領域で、反かご側に突出した保守、点検用のスペースを設ける必要性が無く、また綱車の保守、点検作業も容易となるエレベーター用巻上機を得ることを目的とする。
この発明に係るエレベーター用の巻上機は、内部にモータが設けられたモータ側ハウジングと、このモータ側ハウジングに対向して固定されたブレーキ側ハウジングと、このブレーキ側ハウジング及び前記モータ側ハウジングを貫通して固定された固定軸と、前記ブレーキ側ハウジング内で前記固定軸に回転自在に設けられた綱車と、前記モータ側ハウジングに設けられ前記綱車とともに回転するブレーキドラムと、前記ブレーキ側ハウジングに一端部が回動自在に設けられた一対のブレーキアームと、それぞれのブレーキアームに設けられ前記ブレーキドラムの制動面に摺接するブレーキシューと、前記ブレーキ側ハウジングで一対の前記ブレーキアーム間に設けられ一対のブレーキアームを互いに離間する方向に付勢した制動ばねと、前記ブレーキ側ハウジングで一対の前記ブレーキアームの他端部間に設けられ、前記制動ばねの弾性力に逆らって他端部を吸引してブレーキアームを回動させる電磁マグネットとを備えたものである。
この発明のエレベーター用の巻上機によれば、ブレーキ装置とともに、綱車についても、ブレーキ装置と同じく同一方向から直接目視により保守、点検作業を行うことが可能となり、綱車に対向した壁面領域で、反かご側に突出した保守、点検用のスペースを設ける必要性が無く、また綱車の保守、点検作業も容易となる、
[図1]この発明の実施の形態1の巻上機が昇降路に取り付けられた状態を示す構成図である。
[図2]図1の巻上機においてブレーキ装置が開放状態を示す正面図である。但し、ブレーキアーム及びその近傍においては一部切り欠き断面図を含む。
[図3]図2の巻上機をA−A線に沿って切断したときの矢視断面図である。
[図4]図2の巻上機の平面図である。
[図5]図2の巻上機の右側面図である。但し、モータ側ハウジングでは一部切り欠き断面図を含む。
[図6]図2の巻上機をB−B線に沿って切断したときの矢視断面図である。
[図7]図2の巻上機の底面図である。
[図8]図1の巻上機においてブレーキ装置が制動状態を示す正面図である。
以下、この発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明するが、各図において同一、同等部材、または部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の巻上機3が昇降路1に取り付けられた状態を示す構成図である。
このエレベーターでは、昇降路1の壁面に梁2を介して巻上機3が固定されている。巻上機3の綱車4にはロープ5が巻き掛けされている。このロープ5の一端部は、かご側返し車6を介してかご7に接続されている。ロープ5の他端部は、おもり側返し車8を介して釣合いおもり9に接続されている。
図2は図1の巻上機3を示す正面図、図3は図2の巻上機3をA−A線に沿って切断したときの矢視断面図である。
この巻上機3では、対向したモータ側ハウジング11とブレーキ側ハウジング12とが対向して固定されている。モータ側ハウジング11及びブレーキ側ハウジング12の中心部には固定軸10が固定されている。この固定軸10には、軸受け13を介して綱車4が回転自在に設けられている。回転方向に沿って複数形成された溝15を有する綱車4には、径方向に延び軸線方向に突出した凹状形状のブレーキドラム14が連続的に形成されている。ブレーキドラム14の最外周端面20は、溝15よりモータ側ハウジング11側にある。ブレーキドラム14の外周面には、綱車4の回転方向に沿って複数個の永久磁石16が等分間隔で固定されている。ブレーキドラム14の外径側には、永久磁石16に対向してステータ19がモータ側ハウジング11に固定されて配置されている。ステータ19は、円環状のコア17と、このコア17に導線が巻回されたコイル18とから構成されている。なお、永久磁石16とステータ19とによりモータを構成している。
ブレーキ側ハウジング12には、上記A−A線を中心線とした対称位置に支持ピン21を中心に回動自在の一対のブレーキアーム22が設けられている。
それぞれのブレーキアーム22は、図5に示すようにその中間部でモータ側ハウジング11側に三角形状に突出している。この突出部には、図2に示すように段付きボルト23が貫通しており、この段付きボルト23の先端部に、ブレーキドラム14の内面側の制動面25に圧接されるブレーキシュー24が螺着されている。ブレーキシュー24の制動面25と反対側には、半球状の凹部26が形成されている。ブレーキシュー24とブレーキアーム22との間には、球面状の座金27が凹部26に対して摺動可能に設けられている。段付きボルト23の頭部28とブレーキアーム22との間にはコイルばね29が圧縮された状態で設けられている。このコイルばね29の弾性力により、ブレーキシュー24はブレーキアーム22側に付勢されている。
図3及び図5に示すように、綱車4の直下には、ブレーキ側ハウジング12に固定された制動ばね30が設けられている。この制動ばね30は、一対のブレーキアーム22を互いに離間する方向に付勢されている。
また、図3及び図5に示すように、綱車4の直下には、ブレーキ側ハウジング12に固定された電磁マグネット31が設けられている。
綱車4の近傍には、図4、図6及び図7に示すように、ブレーキ側ハウジング12に固定されたL字形状のロープ外れ止め32が一対設けられており、このロープ外れ止め32により、綱車4の溝15からロープ5が外れるのを防止している。
上記構成の巻上機3では、コイル18に通電することで、ステータ19と永久磁石16との間に生じる電磁誘導作用により、ブレーキドラム14及びブレーキドラム14と一体の綱車4が回転する。この綱車4にはロープ5が巻き掛かれているので、ロープ5に吊り下げられたかご7は昇降する。
綱車4が回転しているときには、電磁マグネット31は、通電されて電磁力が生じており、図2に示すように、制動ばね30の弾性力に逆らって、それぞれのブレーキアーム22の先端部を吸着している。即ち、一対のブレーキアーム22はそれぞれ支持ピン21を中心に回動しており、ブレーキアーム22に固定されたブレーキシュー24は、ブレーキドラム14の制動面25から離間している。
一方、電磁マグネット31への通電が遮断されると、電磁マグネット31からの電磁力は消失し、制動ばね30の弾性力により、ブレーキアーム22はそれぞれ支持ピン21を中心に回動し、ブレーキシュー24は、ブレーキドラム14の制動面25に圧接し、ブレーキドラム14及びブレーキドラム14と一体の綱車4の回転が停止する。
なお、図5から分かるように、ブレーキシュー24は、ブレーキアーム22の回動面からモータ側ハウジング11側に離れているので、ブレーキシュー24には、偏った荷重が作用し、そのままその荷重が制動面25に及ぶ虞がある。これに対しては、ブレーキアーム22とブレーキシュー24との間に、遊動可能な座金27が介在しており、この座金27により、ブレーキシュー24の制動面25に対する偏荷重が抑制される。
以上説明したように、この実施の形態によるエレベーター用巻上機3によれば、綱車4側に、ブレーキ装置を構成する、一対のブレーキアーム22、ブレーキシュー24、制動ばね30及び電磁マグネット31が配置されているので、綱車4、ブレーキ装置を構成する各構成部材は、同一方向から直接目視により保守、点検作業を行うことが可能となり、保守、点検作業が向上する。
特に、巻上機3は、昇降路1の壁面に、昇降路1内を昇降するかご7側に綱車4が面するように固定されているので、作業者は、広いスペースで保守、点検作業を行うことができ、わざわざ巻上機3に対向した壁面領域に、反かご7側に突出した保守、点検用のスペースを設ける必要性も無い。
また、座金27は、半球状の凹部26に対して摺動可能であるので、ブレーキアーム22からのブレーキシュー24の制動面25に対する偏荷重が抑制され、制動性能が安定化する。また、制動面25に摺接したブレーキシュー24の偏摩耗、異常摩耗が低減されるとともに、ブレーキドラム14の制動面25の摩耗量も低減される。
また、ブレーキ側ハウジング12には、綱車4の溝15を覆いロープ5が溝15から外れるのを防ぐロープ外れ止め32が設けられているので、綱車4、ブレーキ装置を構成する各構成部材の保守点検をする際に、専用の鏡、専用すきまゲージを用いることなく、同一方向からロープ外れ止め32とロープ5との隙間を直接目視することが可能となる。

Claims (4)

  1. 内部にモータが設けられたモータ側ハウジングと、
    このモータ側ハウジングに対向して固定されたブレーキ側ハウジングと、
    このブレーキ側ハウジング及び前記モータ側ハウジングを貫通して固定された固定軸と、
    前記ブレーキ側ハウジング内で前記固定軸に回転自在に設けられた綱車と、
    前記モータ側ハウジングに設けられ前記綱車とともに回転するブレーキドラムと、
    前記ブレーキ側ハウジングに一端部が回動自在に設けられた一対のブレーキアームと、
    それぞれのブレーキアームに設けられ前記ブレーキドラムの制動面に摺接するブレーキシューと、
    前記ブレーキ側ハウジングで一対の前記ブレーキアーム間に設けられ一対のブレーキアームを互いに離間する方向に付勢した制動ばねと、
    前記ブレーキ側ハウジングで一対の前記ブレーキアームの他端部間に設けられ、前記制動ばねの弾性力に逆らって他端部を吸引してブレーキアームを回動させる電磁マグネットと
    を備えたエレベーター用巻上機。
  2. 前記ブレーキシューの制動面と反対側の面に形成された半球状の凹部に対して摺動可能な球面状の座金と、
    前記ブレーキアーム及び前記座金を貫通しているとともに先端部で前記ブレーキシューを固定したボルトと、
    このボルトの基端部の頭部と前記ブレーキアームとの間に設けられ前記ブレーキシューをブレーキアーム側に付勢したばねと
    を備えた請求項1に記載のエレベーター用の巻上機。
  3. 前記ブレーキ側ハウジングには、前記綱車の溝を覆いロープが溝から外れるのを防ぐロープ外れ止めが設けられている請求項1または2に記載のエレベーター用の巻上機。
  4. 昇降路の壁面に、昇降路内を昇降するかご側に前記綱車が面するように固定されている請求項1ないし3の何れか1項に記載のエレベーター用の巻上機。
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