JP4292187B2 - 蔵階付き建物 - Google Patents
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Description
また、蔵への物品の搬入作業や蔵からの物品の搬出作業を行う際には踊り場を用いるので、その作業の間、他の居住者は階段を使用することができない。
前記蔵階4には、建物の正面側に蔵階居室41が設けられるとともに、建物の背面側に2つの蔵K1,K2が前記蔵階居室41に面して設けられ、これら蔵K1,K2と蔵階居室41の床レベルは同一となっており、前記2つの蔵K1,K2の出入口45,45は、前記蔵階居室41に面して設けられ、前記2つの蔵K1,K2の間には下階から前記蔵階居室41に至る階段27と、この蔵階居室41から上階に至る階段42とが設けられていることを特徴とする。
屋根の棟下には仕切り壁部44が設けられており、この仕切り壁部44によって前記蔵階居室41と前記2つの蔵K1,K2とが仕切られていることを特徴とする。
前記蔵K1,K2の上の上階部分には上階の居室32,33が設けられ、この居32,32に隣接して該居室32,33と床レベルが同一の収納庫32d,33dが前記仕切り壁部44と対向する外壁の内側に設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蔵階付き建物において、
前記蔵階居室41の上方には、前記上階の天井まで吹き抜ける吹き抜け空間F2が設けられ、
前記蔵K1,K2の上の上階部分には上階の居室32,33が設けられ、
前記蔵階居室41の真上の一部に、前記上階の居室32の上方で隣接するとともに該上階の居室32と連通する収納部36が配置されていることを特徴とする。
また、蔵階居室には、上階に至る階段が設けられているので、蔵と上階とが、蔵階居室及び階段を介して接続された状態となり、蔵から居室に搬出された物品を階段を介して上階に運搬することや、上階から物品を階段及び居室を介して蔵に搬入することができる。
まず、構成を説明する。
図1〜図13に示す蔵階付き建物1は、2階建ての木質系プレファブ住宅であり、1階(下階)2と2階(上階)3との間に蔵階4を備えた構成となっている。蔵階4とは、物品の保管、貯蔵のための蔵K1,K2を備えた階のことであり、この蔵階4の蔵K1,K2の高さは約1.4メートル程度となっている。
1階は以下のような構成となっている。なお、ここでは図5、図10〜図13を主に参照して蔵階付き建物1の蔵K2部分の構造を説明する。
すなわち、基礎115に床パネルが複数設置されることによって、1階床120が形成されている。この床パネル120上には1階壁(下階壁)121が立設されている。この1階壁121は、複数の壁パネルを連結することによって構成されたものである。壁パネルは、框材を矩形枠状に組立て、この矩形枠の表裏両面にそれぞれ合板等の面材を取り付けたものである。このような壁パネルによって構成された1階壁121の表面には、図示しない防水透湿シートが取り付けられたうえで、胴縁を介して外装材122が取り付けられている。この外装材122は1階壁121の表面に工場等によって予め取り付けられたものである。なお、外装材122は現場で1階壁121に取り付けてもよい。
すなわち、前記1階壁121の上端面には、蔵階床となる床部43が固定されている。この床部43は、複数の床パネルを連結することによって構成されたものである。床パネルは、框材を矩形枠状に組立て、この矩形枠の上面に合板等の面材を取り付けたものである。このような床部43は、図5に示すように、対向する外壁間に亙って設けられており、これによって建物の水平構面を構成している。
また、1階壁121と2階壁124とは上下の長さが等しくなっており、2階壁124の上端面には、受材126が固定され、複数の屋根パネルによって構成された屋根140の軒先部が受材126によって支持されている。なお、屋根140は、ここでは177mmの厚みを有する屋根パネルによりなり、受材126と棟側の梁141とで支持され、これら受材126と梁141との間の中間梁、つまり母屋梁を不要としている。これにより上階内の空間を広いものとしている。さらに、2階壁124の側面には、以下のようにして2階の床部(上階床部)31が固定されている。
なお、本実施の形態では、埋木134を壁パネル130の上下方向の中央部に設けているが、これに加えて、埋木134を上下に所定間隔(例えば151mmピッチ)で設けてもよい。
なお、図10においては一方の2階壁124に固定された受材135を図示しているが、一方の2階壁124に対向する他方の2階壁内にも同様にして埋木が設けられ、この埋木に受材が固定されている。
2階の床部31は、複数の床パネルを連結することによって構成されている。この床パネルは框材を矩形枠状に組立て、この矩形枠の上面に合板等の面材を取り付けてなるもので、これら床パネルによって構成された2階の床部31の下面には天井材136が取り付けられている。
また、2階の床部31には、この2階の床部31を上下に貫通する開口部32b(後述する)が形成されている。なお、開口部32bと蔵階床部43との間には階段137が設けられており、この階段137を通って2階から蔵階の蔵K2に出入りできるようになっている。このように、1階壁121の上端面に固定された蔵階の床部43が水平構面を構成しており、この蔵階の床部43に固定された2階壁124の側面に2階の床部31が固定されているので、2階の床部31の上下位置を変更する場合、1階壁121および2階壁124の高さを設計変更することなく、かつ、水平構面の構造設計を見直すことなく、2階壁124の側面に対する2階の床部31の固定位置を変更するだけでよい。したがって、2階の床部31の上下位置を簡単に変更できる。また、1階壁121と2階壁124とは上下の長さがほぼ等しいので、これら壁121、124をトラックの荷台に効率よく積み込むことができ、よって輸送効率が向上する。さらに、2階壁124内に、受材135を固定するための埋木134を上下に所定間隔で複数設け、所望の埋木134を選択することによって、2階の床部31が固定される受材135の固定位置を選択でき、よって、2階の床部31の高さ位置を容易に変更できる。
図6に示すように、蔵階付き建物1の1階2には、蔵階付き建物1の正面側の外壁11に沿って和室21と、和室21に隣接する1階居室22とが左右に並んで配置され、和室21の奧側には和室21に隣接して玄関23が配置されている。この玄関23の奧側には浴室24、洗面所(水回り設備を備えた室)25が配置されている。
この第1廊下26の右側に隣接し、第1廊下26に沿って蔵階4の蔵階居室41に至る下階段27が配置されている。また、第1廊下26の一端部には、第1廊下26に直交し、背面側の外壁12に沿う第2廊下28が接続されている。この第2廊下28は第1廊下26の一端部から右側に向かって延在し、基端部分で下階段27の上り口を構成するとともに、先端部は建物1の背面側の右隅に配置された便所(水廻設備を備えた室)29に突き当たっている。
詳細には、蔵階において、蔵階付き建物1の正面側と背面側とを2つに分けるように正面側に蔵階居室41が左右に延在して配置され、この蔵階居室41の奧側に2階に至る上階段42が設けられているとともにこの上階段42を挟んで2つの蔵K1,K2が配置されている。
また、建物の屋根の棟と下階の床との間には中央壁50が設けられており、この中央壁によって前記蔵階居室と前記2つの蔵とが仕切られている
蔵階居室41では、建物1の正面側に外壁11に3つの引違い窓41b,41c,41dが設けられており、これら3つの窓のうち中央と右側の窓41c,41dは掃き出し窓であり、これら窓41c,41dを介して蔵階居室41から外壁面に設けられたバルコニー47に往き来自在となっている。
このように、蔵階4の蔵K1は浴室24、洗面所25等のように、一般に天井高がほぼ一定でそれ以上高くする必要のない水回り設備を備えた室の上に配置され、蔵K2は、一般に天井高がほぼ一定でそれ以上高くする必要のない便所29などの水回り設備を備えた室の上に配置されているので、これら蔵K1,K2の上の2階の階高、詳細には、2階居室32,33に大きな影響を及ぼすことがないものとなっている。
さらに蔵K1,K2は、図5に示すように、その上部で2階3の床部31を構成する床パネルにより仕切られており、蔵K1,K2上部分にはそれぞれ2階の居室32,33(図8参照)が設けられている。
上階段42は、その上り口が下階段27の降り口と隣接するように設けられ、蔵K1,K2上の2階の2階居室32,33への往き来を可能とするものである。
このように、2階の2階居室32,33の床部31に開口部32a,33aが形成されているので、これら開口部32a,33aを通して、2階3の居室32,33と蔵階4の蔵K1,K2との往き来や、2階の居室32,33から蔵K1,K2に対して物品の出し入れを容易に行うことができるものとなっている。
さらに、2階居室32には、その前面側に2階居室32の上方と連通し且つ、蔵階居室41の左側の領域(ここでは蔵階居室41における台所41a領域)の真上部分に配置された収納部36が配置されている。この収納部36は2階居室32と框37で仕切られ、2階居室32のロフトを形成している(図9参照)。このように2階居室32に隣接して、該2階居室32の上方と連通し且つ蔵階居室41の真上に収納部36が配置されているので、収納部36の底面は2階居室32の床部31よりも上方に位置するものとなっており、これにより、蔵階の床部43から収納部36の底面までの蔵階居室41の天井高を確保しつつ、蔵階居室41の上方の天井部分のデッドスペースの一部を2階居室32の収納部36として利用したものとなっており、蔵階付き建物1内空間を有効活用したものとなっている。
また2階居室32,33のうちの右側の上階居室33と上階段42の前面側には、上階の天井まで吹き抜けた吹き抜け空間F2が設けられており、蔵階居室41と連通している。
これにより、蔵K1,K2を利用する際に、建物1内において下階段27や上階段42や階段の備える踊り場などと比べて占有スペースが大きい蔵階居室41を用いて行うので、蔵K1,K2への物品の搬入作業や蔵K1,K2からの物品の搬出作業を容易に行うことができるとともに、蔵K1,K2の利用を蔵階居室41のみを使用して行うことができ、蔵K1,K2に物品を収納したり、蔵K1,K2から物品を取り出したりする作業の最中でも蔵階居室41以外の室や、階段27,42などを利用することができる。
これら図14〜図17に示す蔵階付き建物1A、1Bでは、いずれも上階(2階3A、3B)と下階(1階2A、2B)の間に収納室である蔵K1,K2、K3を有する蔵階4A、4Bを備え、蔵階4A、4Bには蔵K1,K2、K3に隣接して床レベルが同一の蔵階居室(居室)41、41Bが設けられ、さらに、蔵K1,K2、K3の出入口45は、蔵階居室41、41Bに面して設けられている。また、これら蔵階居室41、41Bには、それぞれ上階に至る上階段42が設けられており、蔵階居室41、41Bの上方には、2階3A、2Bの天井まで吹き抜ける吹き抜け空間F1とF2、F1とF3がそれぞれ設けられている。また、蔵階付き建物1A、1Bには、蔵K1,K2、K3直下の下階部分に浴室24、洗面所25、便所29などの水回り設備を備えた室のうち少なくとも一つが配置されている。そして、蔵K1,K2、K3の上の2階部分には2階の居室32と33、32と33Bが配置され、この2階の居室32と33、32と33Bの床(床部31)には、下方の前記蔵K1,K2、K3と連通する開口部32a,33bがそれぞれ形成されている。
この蔵階付き建物1Aにおける台所22Aは、第2廊下28と1階居室22とを仕切る壁部221に形成された開口部221aを介して第2廊下28から往き来自在となっている。また、台所22Aは、正面側の1階の居室22Bと収納家具22dにより間仕切られている。
また、蔵階4Aの蔵階居室41に設けられた間仕切り壁48は、平面視コ字状をなし、上下階段27,42の昇降口に対向して配置されコ字状の底部を形成する壁体と、この壁体の両側に接続されるとともに、蔵階居室41と蔵K1,K2とを仕切る壁44に直交して接続された側壁体とを備え、側壁体にはそれぞれ開き戸48aが取り取り付けられた開口部が設けられている。この開口部を介して上下階段27,42から蔵階居室41に往き来可能となっている。
図17に示す蔵階付き建物1Bでは、上述した蔵階付き建物1において、間口を小さくして、和室21、玄関23、浴室24,洗面所25,第1廊下26、下階段27、便所29、蔵K1、2階居室32、上階段42、収納部36、吹き抜け空間F1はそのままで、第2廊下28、1階居室22、蔵階居室41、蔵K2、吹き抜け空間F2、2階の居室33等の専有面積をそれぞれ小さくして、第2廊下部28A、1階居室22C、蔵階居室41B、蔵K3、吹き抜け空間F3、2階の居室33B等を備えた構成としている。
なお、これら上述した蔵階付き建物1のバリエーションである蔵階付き建物1A、1Bにおける作用効果は蔵階付き建物1の有する構成要素による作用効果と略同様である。
また、上記実施の形態における蔵階付き建物は2階建ての住宅とし、上階を2階、下階を1階として説明したが、これに限らず上下階の間に蔵を有する蔵階を備えた建物で有ればどのような建物としてもよい。例えば、3階建て以上の建物に適用することも可能である。
2 1階(下階)
3,3A 2階(上階)
4,4A,4B 蔵階
27 上下階段
32 上階居室
32d 収納庫
32a 開口部
33 上階居室
33d 収納庫
41,41A,41B 蔵階居室
42 上階段(階段)
44 仕切り壁部
K1,K2,K3 蔵
Claims (4)
- 上階と下階の間に収納室であり、かつ平均的な身長の大人が腰や頭を少し低くした状態で移動できる高さの蔵を有する蔵階を備えた蔵階付き建物において、
前記蔵階には、建物の正面側に蔵階居室が設けられるとともに、建物の背面側に2つの蔵が前記蔵階居室に面して設けられ、これら蔵と蔵階居室の床レベルは同一となっており、前記2つの蔵の出入口は、前記蔵階居室に面して設けられ、前記2つの蔵の間には下階から前記蔵階居室に至る階段と、この蔵階居室から上階に至る階段とが設けられていることを特徴とする蔵階付き建物。 - 請求項1に記載の蔵階付き建物において、
屋根の棟下には仕切り壁部が設けられており、この仕切り壁部によって前記蔵階居室と前記2つの蔵とが仕切られていることを特徴とする蔵階付き建物。 - 請求項2に記載の蔵階付き建物において、
前記蔵の上の上階部分には上階の居室が設けられ、この居室に隣接して該居室と床レベルが同一の収納庫が前記仕切り壁部と対向する外壁の内側に、この外壁に面して設けられていることを特徴とする蔵階付き建物。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の蔵階付き建物において、
前記蔵階居室の上方には、前記上階の天井まで吹き抜ける吹き抜け空間が設けられ、
前記蔵の上の上階部分には上階の居室が設けられ、
前記蔵階居室の真上の一部に、前記上階の居室の上方で隣接するとともに該上階の居室と連通する収納部が配置されていることを特徴とする蔵階付き建物。
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