JP4291098B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば空気圧縮機、真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
一般に、スクロール式流体機械は、固定スクロールと該固定スクロールに対面して設けられた旋回スクロールとを含んで構成されている。また、固定スクロールと旋回スクロールとは、円板状に形成された鏡板と、該鏡板の内径側から外径側に向け渦巻状に巻回するように該鏡板に軸方向に立設されたラップ部とをそれぞれ備えている。これにより、固定スクロールと旋回スクロールとは、互いのラップ部を重ね合わせることによって複数の圧縮室を画成している。
そして、スクロール式流体機械は、駆動軸によって旋回スクロールを固定スクロールに対し一定の旋回半径をもって旋回運動させることにより、固定スクロールの外径側に設けた吸込口から気体を吸込み、各圧縮室内で順次圧縮し、この圧縮流体を固定スクロールの内径側に設けた吐出口から外部に向けて吐出することができる。
また、スクロール式流体機械には、各ラップ部の周面に凹凸を形成することにより、各ラップ部間の隙間を小さくして圧縮室の密閉性を高め、圧縮効率を向上するようにしたものがある(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
特開平5−141379号公報 発明協会公開技報公技番号2001−1746号
この従来技術によるスクロール式流体機械は、固定スクロール、旋回スクロールのラップ部の周面に軸方向に延びる複数本の突起(凹溝)を形成している。また、この突起はラップ部の渦巻方向、即ち内径側から外径側に亘ってほぼ等しい間隔で形成されている。
ところで、上述した従来技術によるスクロール式流体機械は、ラップ部の周面に軸方向に延びる複数本の突起(凹溝)を形成することにより、対面するラップ部間から漏れ出る圧縮流体を少なくし、圧縮室の密閉性を高めている。
しかし、従来技術による突起は、横断面四角形状をなしているから、先端が広幅に形成されている。このため、突起が相手側のラップ部に接触した場合には、摩擦抵抗による動力損失が大きくなる、大きな騒音が生じる、かじりが生じる等の問題が発生してしまう。
また、各突起は、ラップ部の内径側から外径側に亘ってほぼ等しい間隔で形成されているから、ラップ部の曲率半径が小さくなる内径側で圧縮室を密閉するためには各突起の間隔が大き過ぎてしまい、圧縮流体が漏れ出て圧縮効率の低下を招くという問題がある。
さらに、スクロールが旋回運動するときには、例えば各突起間のなす角度が全て等しく設定されていると、複数本の突起が相手方の周面にほぼ等しいタイミングで最接近することがある。そして、これらの最接近部位では、突起と周面との間に形成される微小な隙間を介して高圧側の圧縮室から低圧側の圧縮室に流体が流れ込み、このときに流れの渦が生じることによって笛の原理で異音が発生し易い。
このため、従来技術では、スクロール式流体機械を運転するときに、固定スクロールと旋回スクロールとの間で複数の箇所から異音が一斉に発生し、これらは高い周波数の大きな騒音となって流体の吸込口等から外部に漏れ出ることがあり、これによって機械の運転環境が悪化するという問題がある。
さらにまた、従来技術では、ラップ部の周面に軸方向の全長に亘って延びる複数本の突起(凹溝)を設けている。このため、ラップ部の周面のうち突起を除いた部位は、突起を設けないものに比べて、固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部との間の隙間が大きくなるから、圧縮効率が低下してしまうという問題もある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の第1の目的は、圧縮室の密閉性を高めるためにラップ部に設けられた突起の強度を高めると共に、運転時の動力損失、騒音等を防止することができるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、ラップ部の突起によって圧縮流体の漏れを少なくし、圧縮効率を高めることができるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
さらに、本発明の第3の目的は、ラップ部の突起による騒音等を抑制でき、低騒音で良好な運転環境を実現できるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
本発明によるスクロール式流体機械は、鏡板に内径側から外径側に向け渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された一方のスクロールと、該一方のスクロールに対向して設けられ鏡板に該一方のスクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するために内径側から外径側に向け渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された他方のスクロールとを備えている。
そして、上述した課題を解決するために、請求項1による発明が採用する構成の特徴は、少なくとも前記一方のスクロールのラップ部の周面には、渦巻方向に間隔をもって軸方向に延びる複数本の突起を設け、該各突起の横断面形状はその頂部と前記周面とをつなぐ裾野を凹状曲面として形成し、かつ隣合う突起のなす角度αの範囲は、前記突起の高さをhとし、前記突起が形成された部位における前記周面の曲率半径をρとし、向い合う前記ラップ部の内周面と外周面との間の半径方向の間隔寸法をTとしたとき、前記角度αの下限値αminを、αmin=2×{√(T/2×h)}/ρとして設定し、前記一方のスクロールの隣合う突起の間にあるラップ部周面と前記他方のスクロールのラップ部周面とが最接近したときの隙間寸法をS′とし、前記一方のスクロールの前記最接近したラップ部周面を挟んで隣合う前記突起の頂部と前記他方のスクロールのラップ部周面との間の隙間のうち何れか小さい方の隙間寸法をSとしたとき、前記角度αの上限値αmaxを、S′>Sを満たす範囲内で設定する構成としたことにある。
請求項2の発明によると、突起の凹状曲面は凹円弧面として形成する構成としている。
請求項3の発明によると、ラップ部に形成された突起の凹状曲面の曲率半径寸法Rは、ラップ部の半径方向の間隔寸法Tに対し、1/4×T≦Rとなる大きさをもって形成する構成としている。
請求項4の発明によると、ラップ部に形成された突起は、頂部の幅寸法W1と突起全体の幅寸法W2とを、W1×2≦W2となる関係をもって形成する構成としている。
請求項5の発明によると、突起は、渦巻方向の間隔寸法を内径側で狭く外径側で広くなるように形成する構成としている。
請求項6の発明によると、突起は、一方のスクロールのラップ部と他方のスクロールのラップ部との互いに対面する内周面と外周面のうちいずれか一方の周面にだけ設ける構成としている。
請求項7の発明によると、ラップ部に形成された各突起は、一方のスクロールのラップ部の内周面と外周面とに設ける場合と、他方のスクロールのラップ部の内周面と外周面とに設ける場合と、一方のスクロールのラップ部の内周面と他方のスクロールのラップ部の内周面とに設ける場合と、一方のスクロールのラップ部の外周面と他方のスクロールのラップ部の外周面とに設ける場合とのうち、いずれか一つとする構成としている。
請求項8の発明によると、突起は、頂部の幅寸法W1を0mm≦W1≦2mmをもって形成する構成としている。
請求項9の発明によると、突起の頂部が対面するラップ部の周面に接近したときの内周側の隙間寸法S1と外周側の隙間寸法S2とは、S1<S2となる関係をもって形成する構成としている。
請求項10の発明によると、突起の高さhは0.12mm≧h≧0.03mmとなる範囲内で形成する構成としている。
請求項11の発明によると、各突起は、鏡板に立設されたラップ部のうち当該鏡板から離れた軸方向の一部にのみ形成する構成としている。
請求項12の発明によると、各突起はラップ部のうち渦巻方向の内径側のみに形成し、ラップ部の外径側には非突起形成部位を設け、ラップ部の非突起形成部位は、一方のスクロールのラップ部と他方のスクロールのラップ部とが最も外径側で最接近する圧縮開始位置から内径側に向けて略1巻分にわたる部位としてしている。
請求項1の発明によれば、各突起の横断面形状は、その頂部と前記周面とをつなぐ裾野を凹状曲面として形成する構成としたので、各突起の横断面を略三角形状に形成することができる。これにより、応力集中を防止して頂部での強度を高めることができ、耐久性を向上することができる。
一方、突起の頂部は、対面するラップ部の周面に接触したときに、容易につぶれたり、摩耗することができるから、何回も接触することなくラップ部の周面に馴染ませることができる。これにより、動力損失を軽減し、また損傷、騒音、かじり等の発生を防止でき、耐久性、信頼性を向上することができる。
また、隣合う突起のなす角度αの下限値αminは、突起の高さhと、突起の形成部位における周面の曲率半径ρと、ラップ部の半径方向の間隔寸法Tとを用いてαmin=2×{√(T/2×h)}/ρとして設定したので、例えばエンドミル等の切削工具によりスクロールの母材を切削加工してラップ部を形成するときには、ラップ部の内周面と外周面とに沿った切削動作を行うだけで、母材のうち内周面と外周面との間に位置する底面部を速やかに削取ることができる。
これにより、スクロールの製造時には、2つの周面に沿った最低限の切削動作によって渦巻状のラップ部を効率よく形成でき、また切削動作の途中で各突起も一緒に加工成形できるので、生産性を高めることができる。
さらに、隣合う突起のなす角度αの上限値αmaxは、一方のスクロールの隣合う突起の間にあるラップ部周面と他方のスクロールのラップ部周面とが最接近したときの隙間寸法をS′とし、一方のスクロールの前記最接近したラップ部周面を挟んで隣合う突起の頂部と他方のスクロールのラップ部周面との間の隙間のうち何れか小さい方の隙間寸法をSとしたとき、S′>Sを満たす範囲内で設定したので、例えばラップ部が各突起の中間部位で相手方のラップ部に最接近した場合でも、この最接近部位に形成される隙間と比較して、突起の位置に形成される隙間を小さくすることができ、突起の位置でラビリンス効果を確実に発揮することができる。これにより、ラップ部が突起を含めていずれの部位で相手方のラップ部に最接近する場合でも、各スクロールのラップ部間の隙間を常に小さく保持でき、各圧縮室の密閉性を高めることができる。
請求項2の発明によれば、各突起の凹状曲面を凹円弧面として形成したので、例えばエンドミル等の工具を用いて突起を容易に加工でき、生産性を向上することができる。
請求項3の発明によれば、突起の凹状曲面の曲率半径寸法Rは、ラップ部の半径方向の間隔寸法Tに対し、1/4×T≦Rとなる大きさをもって形成しているので、ラップ部の周面を切削加工するときに使用するエンドミル等の工具を交換することなく、そのまま用いて各突起を切削加工することができ、生産性の向上、コストの低減を図ることができる。
請求項4の発明によれば、突起は、頂部の幅寸法W1と突起全体の幅寸法W2とを、W1×2≦W2となる関係をもって形成しているので、突起の根元側を広幅にして強度を高めることができ、耐久性を向上させることができる。
請求項5の発明によれば、突起は、渦巻方向の間隔寸法を内径側で狭くなるように形成する構成としているので、ラップ部の曲率半径が内径側で小さくなるときに、この曲率半径に沿って複数の突起を狭い間隔で配置することができる。このため、半径方向で対面するラップ部間の隙間を小さくして圧縮室の密閉性を高めることができ、圧縮性能を向上することができる。
請求項6の発明によれば、突起は、一方のスクロールのラップ部と他方のスクロールのラップ部との互いに対面する内周面と外周面のうちいずれか一方の周面にだけ設ける構成としているので、突起を平滑なラップ部の周面に対面させることができ、突起同士の接触によるかじり等を防止することができる。
請求項7の発明によれば、ラップ部に形成された各突起は、一方のスクロールのラップ部の内周面と外周面とに設ける場合と、他方のスクロールのラップ部の内周面と外周面とに設ける場合と、一方のスクロールのラップ部の内周面と他方のスクロールのラップ部の内周面とに設ける場合と、一方のスクロールのラップ部の外周面と他方のスクロールのラップ部の外周面とに設ける場合とのうち、いずれか一つとしている。これにより、いずれの場合でも突起は平滑なラップ部の周面に対面させることができ、突起同士の接触によるかじり等を防止することができる。
請求項8の発明によれば、突起は、頂部の幅寸法W1を0mm≦W1≦2mmをもって形成しているので、突起の頂部は、対面するラップ部の周面に接触したときに、容易につぶれたり、摩耗することができ、何回も接触することなくラップ部の周面に馴染むことができる。これにより、動力損失を軽減し、また損傷、騒音、かじり等の発生を防止でき、耐久性、信頼性を向上することができる。
請求項9の発明によれば、各突起の頂部が対面するラップ部の周面に接近したときの内周側の隙間寸法S1と外周側の隙間寸法S2とは、S1<S2となる関係をもって形成する構成としたので、半径方向で対面するラップ部間で接触が生じる場合には、駆動側のスクロールのラップ部の内周面と固定側または従動側のスクロールのラップ部の外周面とを先に接触させることができる。この接触によって駆動側のスクロールには自転力の方向と同じ方向に回転させようとする力が作用するから、駆動側のスクロールを自転力の方向に押付けてがたつきを無くすことができ、作動音を低減し、圧縮効率を向上することができる。
請求項10の発明によれば、突起の高さhは0.12mm≧h≧0.03mmとなる範囲内で形成している。この場合、ラップ部は、各圧縮室で発生する圧縮熱等によって熱変形し易く、その変形量は、例えば径方向に対して0.03mm程度となることが判っている。このため、突起の高さhを0.03mm以上に形成しておくことにより、ラップ部のうち各突起の間に位置する部位が熱変形したときに相手方のラップ部に直接接触するのを防止でき、ラップ部を接触による損傷から保護することができる。また、突起の高さhを0.12mm以下に抑えることにより、圧縮室の密閉性を確保しつつ、突起を小型化することができる。
請求項11の発明によれば、突起はラップ部のうち鏡板から離れた軸方向の一部にのみ形成したので、突起の軸方向長さ寸法を短くすることができ、突起によって生じる異音を小さくすることができる。また、隣合う突起間の溝部をラップ部の軸方向に対して小さくすることができるから、固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部との間の平均隙間を小さくすることができ、圧縮効率を高めることができる。そして、ラップ部内の温度を低減でき、チップシール等の寿命を延長することができる。また、ラップ部の熱倒れが顕著に生じる歯先部分に突起を形成した場合には、熱倒れによるかじりを突起によって防止することができる。
しかも、ラップ部の歯元側には突起を設けていないため、突起の形成時には、例えばラップ部の周面のうち各突起の間となる部位を、ラップ部の歯先から軸方向の途中位置まで溝状に切削加工するだけで、各突起を容易に形成することができる。従って、ラップ部の軸方向の全長に亘って突起を設けた場合に比べて、ラップ部を削る箇所を減少させることができ、加工コストを低減できると共に、歯元側での寸法管理を容易に行うことができる。
さらに、ラップ部の歯元側では、ラップ部の外周面と相手方のラップ部の内周面との間の隙間を、突起を設けないときの間隔寸法と同程度に設定することができるから、この位置でのラップ部の接触を防ぐことができ、信頼性を向上することができる。
請求項12の発明によれば、各突起はラップ部のうち渦巻方向の内径側のみに形成し、ラップ部の外径側には非突起形成部位を設けたので、例えばラップ部の最も外径側に画成される圧縮室の閉込み位置等では、各ラップ部の平滑な周面同士を最接近または接触させることができる。これにより、圧縮時の体積効率に対して影響が大きい外径側の圧縮室を良好にシールでき、圧縮性能を高めることができる。
特に、ラップ部の外周側では圧縮熱による温度上昇が少ないから、かじり現象が生じ難い。このため、ラップ部の外周側に設けた非突起形成部位では他方のラップ部との隙間寸法を小さくすることができる。これにより、各ラップ部の外径側で平滑な周面同士を確実に最接近または接触させることができ、ラップ部の内径側の突起によって発生した異音が外径側の吸込口等から外部に漏れるのを防ぐことができる。
また、請求項12の発明によれば、ラップ部の非突起形成部位は、各スクロールのラップ部が最も外径側で最接近する圧縮開始位置から内径側に向けて略1巻分にわたる部位としたので、例えば圧縮開始位置等における外径側の圧縮室のシール性を高め、ラップ部の外径側から内径側にわたって圧縮動作を安定的に行うことができる。また、圧縮開始位置から内径側に向けて略1巻分にわたって非突起形成部位を設けたから、外径側では必ず一箇所で各ラップ部の平滑な周面同士を最接近または接触させることができ、この周面同士が最接近等する箇所で内径側の突起によって生じる異音が外部に漏れるのを確実に遮断することができる。
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。
ここで、図1ないし図13は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、旋回スクロールに突起を設けた場合を例に挙げて述べる。
図1はスクロール式空気圧縮機の縦断面図を示し、この図1において、1はスクロール式空気圧縮機の固定スクロールで、該固定スクロール1は、筒状に形成されたケーシング(図示せず)の端部に取付けられている。また、固定スクロール1は、略円板状に形成され中心が後述する駆動軸8の軸線O1−O1と一致するように配設された鏡板2と、該鏡板2の表面2Aに立設された渦巻状のラップ部3と、鏡板2の外径側からラップ部3を取囲むように軸方向に突出した筒部4と、該筒部4から径方向外側に拡開したフランジ部5とによって大略構成されている。
ここで、図2は図1に示すスクロール式空気圧縮機の横断面図で、ラップ部3は、この図2に示す如く、内径側(半径方向の内側)が巻始め端となり、外径側(半径方向の外側)が巻終り端となる渦巻状に形成されている。また、ラップ部3の内周面3Aと外周面3Bとは、凹凸のない平滑面として形成されている。
また、固定スクロール1には、鏡板2の外径側に位置して後述の圧縮室15空気を吸込む吸込口6が設けられ、鏡板2の中央には圧縮室15で圧縮した空気を吐出する吐出口7が設けられている。
8はケーシングに回転可能に設けられた駆動軸で、該駆動軸8は、回転中心となる軸線O1−O1を有している。また、駆動軸8は、固定スクロール1側の先端側が偏心して延びるクランク軸8Aとなり、該クランク軸8Aの中心線となる軸線O2−O2は、駆動軸8の軸線O1−O1に対して旋回半径εだけ偏心している。そして、駆動軸8のクランク軸8Aには、旋回軸受9を介して後述の旋回スクロール10が回転可能に取付けられている。
10は固定スクロール1と対向して駆動軸8に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール10は、軸線O2−O2を中心にして円板状に形成された鏡板11と、該鏡板11の表面11Aから軸方向に立設された渦巻状のラップ部12とによって大略構成されている。
そして、旋回スクロール10は、ラップ部12が固定スクロール1のラップ部3に対し、例えば180度だけずらして重なり合うように配設されている。これにより、両者のラップ部3,12間には後述する複数の圧縮室15が画成される。そして、スクロール式空気圧縮機を運転すると、外周側の圧縮室15は、吸込口6から空気を吸込み、この空気を旋回スクロール10が旋回運動する間に内径側に移動しつつ順次圧縮し、最後に吐出口7から外部に圧縮空気を吐出する。
ここで、旋回スクロール10を構成するラップ部12は、鏡板11の表面11Aに軸方向(軸線O1−O1の方向)に立設されている。また、ラップ部12は、内径側が巻始め端となり、外径側が巻終り端となるn巻からなる渦巻状に形成され、このときの半径方向の間隔、即ち1巻目と2巻目、2巻目と3巻目、…(n−1)巻目とn巻目の間隔は寸法Tに設定されている。また、ラップ部12の内周面12Aと外周面12Bには、後述する内径側突起13と外径側突起14とが形成されている。そして、ラップ部12は、例えばエンドミル等の切削工具を用いて渦巻状に切削加工される。
13,13,…はラップ部12の内周面12A側に設けられた複数本の内径側突起で、該各内径側突起13は、図3、図4に示す如く、ラップ部12の渦巻方向(長さ方向)に間隔をもって軸方向に延びて形成されている。ここで、各内径側突起13は、図5に示すように横断面からみたとき、狭幅な頂部13Aと、該頂部13Aとラップ部12の内周面12Aとをつなぐ左,右の裾野となる凹円弧面13B,13Bとによって略三角形状に形成されている。また、各凹円弧面13Bは、頂部13Aからラップ部12の内周面12Aにかけて滑らかに形成された凹状曲面となっている。
一方、14,14,…はラップ部12の外周面12B側に渦巻方向に間隔をもって軸方向に延びて設けられた複数本の外径側突起で、該各外径側突起14は、前記各内径側突起13とほぼ同様に、頂部14Aと、左,右の裾野となる凹状曲面としての凹円弧面14Bとを有し、横断面からみたとき略三角形状に形成されている。
ここで、旋回スクロール10のラップ部12の内周面12Aに設けられた内径側突起13の詳しい形状、配置関係等について説明する。
まず、内径側突起13は、図5に示す如く、その頂部13Aがラップ部12の内周面12Aから径方向の高さhをもって突出し、この高さhは、例えば下記数1の式に示す範囲内に納まる一定の大きさに設定されている。
Figure 0004291098
この場合、ラップ部12は、各圧縮室15で発生する圧縮熱等によって熱変形し易く、その変形量は、例えば径方向に対して0.03mm程度となることが判っている。このため、内径側突起13の高さhを0.03mm以上に形成しておくことにより、ラップ部12のうち各突起13の間に位置する部位が熱変形したときに相手方のラップ部3に直接接触するのを防止でき、ラップ部3,12を接触による損傷から保護することができる。また、内径側突起13の高さhを0.12mm以下に抑えることにより、圧縮室15の密閉性を確保しつつ、突起13を小型化することができる。
また、ラップ部12の内径側突起13を構成する凹円弧面13Bは、頂部13Aと内周面12Aとをつなぐ裾野のうち少なくとも内周面12Aと接する部分(本実施の形態では、裾野のほぼ全体)に形成されている。そして、凹円弧面13Bの曲率半径寸法Rは、下記数2の式のように、ラップ部12の半径方向の間隔寸法Tの1/4倍以上、1倍以下に設定されている。
Figure 0004291098
また、上記数2の式に設定されるRの範囲のうち、下記数3の式に設定される範囲がより一層望ましい値である。
Figure 0004291098
これにより、内径側突起13は、ラップ部12の内周面12Aを切削加工するときに、例えばラップ部12を加工するのに用いているエンドミル等の切削工具を交換することなく、同じ切削工具で連続して加工することができる。また、凹円弧面13Bは、応力集中を防止して頂部13Aにおける強度を高めることができる。
なお、凹円弧面13Bは、半径方向間隔寸法Tの1/4倍以上、1倍以下の範囲となる曲率半径寸法Rをもった単一の円弧によって形成してもよい。また、凹円弧面13Bは、複数の円弧をつなげることによって形成し、全体として半径方向間隔寸法Tの1/4倍以上の曲率半径寸法Rをもった凹状曲面としてもよい。
また、内径側突起13は、頂部13Aの幅寸法をW1とし、左,右の凹円弧面13Bを含めた突起全体の幅寸法をW2としたときに、突起13全体の幅寸法W2は、下記数4の式のように設定されている。
Figure 0004291098
これにより、内径側突起13は、凹円弧面13Bが広幅に形成されることにより、固定スクロール1のラップ部3と接触した場合でも損傷を生じない十分な強度を有している。
さらに、内径側突起13は、頂部13Aの幅寸法W1が下記数5の式に示すように設定されている。
Figure 0004291098
また、上記数5の式に設定されるW1の範囲のうち、下記数6の式の範囲に設定した場合には一層良好な圧縮性能を得ることができる。
Figure 0004291098
これにより、狭幅に形成された頂部13Aは、対面する固定スクロール1のラップ部3の外周面3Bに接触したときに、容易につぶれたり、摩耗することができる。このように、頂部13Aはつぶれたりすることで、何回もラップ部3の外周面3Bに接触することなく、該外周面3Bに対して馴染むことができる。
一方、内径側突起13は、ラップ部12の長さ方向となる渦巻方向の間隔寸法Pが内径側で狭く、外径側で広くなるように形成している。ここで、各内径側突起13の配置に関して詳しく述べると、旋回スクロール10には、図3に示す如く、ラップ部12のインボリュート(伸開線)を描くために、その中心点O2(軸線O2−O2の位置)を中心とした縮閉線半径aの縮閉線Cが求められる。なお、縮閉線半径aは、旋回半径εと旋回スクロール10のラップ部12の板厚寸法とによって定まる当該旋回スクロール10に固有の値で、インボリュート曲線では知られた事項である。
そして、前記縮閉線Cに接して延びる無数の接線のうち、任意の接線をL1とし、この接線L1から角度αずつずらした位置に設けた他の接線をL2,L3,…とすると、前記内径側突起13は、前記各接線L1,L2,…上に配置されている。
ここで、隣合う内径側突起13(各接線L1,L2,…)のなす角度αは、後述する数14の式に示す下限値αminと、数28の式に示す上限値αmaxとに対して、下記数7の式を満たすように定められ、例えば4〜26°程度の大きさに設定されている。
Figure 0004291098
また、隣合う内径側突起13の渦巻方向の間隔寸法Pは、ラップ部12の内径側となる1巻目で狭く、外径側となるn巻目で広くなっている。このように、隣合う内径側突起13の間隔寸法Pを、内径側で狭く(小さく)することにより、対面するラップ部3の曲率半径が小さく曲がりが急な部位に対しても、内径側突起13の頂部13Aをラップ部3の外周面3Bに所定の隙間をもって配置させることができる。
また、内径側突起13は、ラップ部12の渦巻方向の全長のうち、最も内径側となる巻始め端から半巻き程度の部位を除いた内周面12Aに形成されている。このラップ部12の内周面12Aで巻始め端から半巻き程度の部位は、曲率半径が最も小さく、また熱による寸法変化も小さいことから、各内径側突起13を設けなくても十分に圧縮室15を密閉できるためであり、この部位は平滑面として形成されている。
さらに、内径側突起13の頂部13Aとラップ部3の外周面3Bとの間の隙間寸法Sは、図5に示す如く、頂部13Aが対面する固定スクロール1側のラップ部3の外周面3Bに接近したときに、隙間寸法S1となる。そして、この隙間寸法S1は、下記数8の式に示すように、後述する外径側突起14が対面する固定スクロール1側のラップ部3の内周面3Aに接近したときの頂部14Aとの間の隙間寸法S2よりも小さな値に設定されている。
Figure 0004291098
このように、内径側突起13とラップ部3との間の隙間寸法S1は、外径側突起14とラップ部3との間の隙間寸法S2よりも小さくしているから、各ラップ部3,12間で接触が生じた場合には、旋回スクロール10のラップ部12に設けられた内径側突起13(内周面12A)と固定スクロール1のラップ部3の外周面3Bとを先に接触させることができる。
そして、旋回スクロール10のラップ部12の内径側突起13が固定スクロール1のラップ部3に先に接触すると、この接触部位を支点として旋回スクロール10に自転力の方向と同じ方向に回転させようとする力が作用する。これにより、旋回スクロール10は自転力の方向に押動されることになるから、例えば旋回スクロール10とケーシングとの間に設けられる自転防止機構(図示せず)等のがたつきを無くすことができる。
一方、旋回スクロール10のラップ部12の外周面12Bに設けられた各外径側突起14は、前述した内径側突起13の形状、配置関係等に関する条件と同様の条件となっているため、外径側突起14の横断面形状等に関連した説明は省略するものとする。この場合、外径側突起14のなす角度αは、内径側突起13とほぼ同様に、前記数7の式に示す範囲内で設定されている。
次に、図6ないし図13を参照しつつ、隣合う内径側突起13(または外径側突起14)のなす角度αの下限値αminと上限値αmaxについて説明する。
まず、外径側突起14の角度αを例に挙げ、その下限値αminの設定方法について述べる。ここで、外径側突起14は、図6に示すように、例えばエンドミル等の切削工具16を用いて旋回スクロール10の材料(母材)を切削加工することにより形成されている。
そして、図6において、切削工具16の径方向寸法(外径寸法)をDとし、隣合う突起14の凹円弧面14Bの延長線がなす角度をβとすると、これらの径方向寸法D、角度βと、突起14の高さhとの間には、下記数9の式に示す関係がある。
Figure 0004291098
また、径方向寸法Dの切削工具16を用いるときに、突起14間に形成可能な最小の間隔Pminは、下記数10の式により表すことができ、この式に前記数9の式を代入すると、数10の右辺の式を得ることができる。この場合、角度βは小さいことを前提としている。
Figure 0004291098
また、図7に示すように、突起14の形成部位におけるラップ部12の曲率半径をρとすると、突起14間の角度(伸開角の間隔)αは、突起14間の間隔Pminと、曲率半径ρとを用いて下記数11の式のように表すことができ、この式に前記数10の式を代入すると、数11の右辺の式を得ることができる。
Figure 0004291098
ここで、旋回スクロール10の母材を切削加工してラップ部12を形成するときには、図8に示す如く、その内周面12Aに対応する軌跡aに沿って切削工具16を渦巻状に移動することにより、内周面12Aを切削加工すると共に、ラップ部12の外周面12Bに対応する軌跡bに沿って切削工具16を渦巻状に移動することにより、外周面12Bを切削加工する。これにより、母材のうちラップ部12の内周面12Aと外周面12Bとの間に位置する底面部を削取り、渦巻状のラップ部12を形成することができる。
この場合、切削工具16の径方向寸法Dがラップ部12の間隔寸法Tの1/2よりも小さいと、内周面12Aを切削加工するときの軌跡aと、外周面12Bを切削加工するときの軌跡bとの間に径方向の間隔が生じ、この間隔位置では母材が切削されずに残るようになる。この結果、ラップ部12の切削加工時には、2つの周面12A,12Bに沿った切削動作の他に、これらの間に残された母材を削取るための余分な切削動作が必要となり、切削加工時の効率が低下する。
従って、ラップ部12を2つの周面12A,12Bに沿った切削動作だけで効率よく形成するためには、2つの軌跡a,bが接するか、または部分的に重なり合う状態となればよいから、ラップ部12の半径方向の間隔寸法Tと、切削工具16の径方向寸法Dとは、下記数12の式を満たす必要がある。
Figure 0004291098
この結果、前記数11,数12の式を用いることにより、下記数13の式を得ることができるので、隣合う外径側突起14のなす角度αの下限値αminは、下記数14式のようになる。
Figure 0004291098
Figure 0004291098
従って、例えば外径側突起14の高さhとして、ラップ部12の熱変形量を考慮した最低限の高さh=0.03mm(前記数1参照)を用いる場合には、これを前記数14の式に代入すれば、下限値αminのより具体的な式として下記数15の式を得ることができる。
Figure 0004291098
このように、本実施の形態では、隣合う外径側突起14のなす角度αを、前記数12の式(具体的には数14の式)を用いて定められる下限値αmin以上の角度として設定する構成としている。これにより、旋回スクロール10の形成時には、最低限の切削動作によってラップ部12を効率よく加工することができる。
次に、図9ないし図13を参照しつつ、外径側突起14のなす角度αの上限値αmaxについて述べる。
まず、旋回スクロール10が旋回運動するときには、ラップ部12の各部位に設けられた外径側突起14が固定スクロール1のラップ部3に順次最接近し、これらがラップ部3から順次離れる動作が繰返される。
ここで、相手方のラップ部3に最接近した外径側突起14に着目すると、図9に示すように、その左,右両側に位置する圧縮室15が突起14によって互いに仕切られた状態となるため、各圧縮室15の密閉性を高めることができる。
また、例えば旋回スクロール10のラップ部12が各突起14間の中間部位Aで相手方のラップ部3に最接近したときには、図10に示す如く、これらの周面3A,12Bの間に突起14の高さhに対応する最小の隙間寸法S′が形成される。この場合、ラップ部3,12の周面3A,12Bの最接近部位(中間部位A)を挟んで隣合う2個の外径側突起14は、相手方のラップ部3から最も離間した状態となり、これらの間の隙間は最大寸法となる。しかし、各外径側突起14のなす角度αを適度に小さな値(例えば、角度αOK)として予め設定しておくことにより、中間部位Aを挟んで隣合う2個の突起14とラップ部3との間に形成される隙間寸法のうち何れか小さい方の隙間寸法Sを、中間部位Aの隙間寸法S′よりも小さな隙間寸法SOKとして形成することができる(S′>SOK)。
これにより、外径側突起14間の中間部位Aで隙間寸法S′が大きくなったとしても、突起14の位置に形成される小さな隙間寸法SOKによって各圧縮室15の密閉性を確保でき、外径側突起14のラビリンス効果を発揮することができる。なお、外径側突起14の頂部14Aと相手方のラップ部3との間には、微小な隙間寸法S2(図5参照)が形成されているが、この隙間寸法S2は前述した隙間寸法S′,SOKの両方に含まれる寸法成分であり、両者の大小関係には影響しないので説明を省略している。
一方、各外径側突起14のなす角度αを大きな値(例えば、角度αNG)に設定した場合には、図11に示す如く、突起14と相手方のラップ部3との間の隙間寸法Sが中間部位Aの隙間寸法S′以上の大きな隙間寸法SNGとなり(SNG≧S′)、外径側突起14は圧縮室15の密閉性にほとんど寄与しなくなる。
従って、外径側突起14により圧縮室15の密閉性を高めるためには、隣合う突起14間の中間部位A(ラップ部12の外周面12A)が相手方のラップ部3の内周面3Aに最接近したときに、中間部位Aを挟んで隣合う2個の突起14の頂部14Aラップ部3の内周面3Aとの間に形成される隙間寸法のうち何れか小さい方の隙間寸法Sが中間部位Aの隙間寸法S′(≒突起14の高さh)よりも小さい寸法となればよい。即ち、下記数16の式が成立するように、外径側突起14のなす角度αを設定する必要がある。
Figure 0004291098
そこで、図12を参照しつつ、突起14とラップ部3との間の隙間寸法Sと、突起14のなす角度αとの関係について説明する。
まず、図12は旋回スクロール10のラップ部12の中間部位Aが固定スクロール1のラップ部3に最接近した状態(図10参照)を模式的に示したものである。図中、17は旋回スクロール10のラップ部12の外周面12Bを部分的に近似した円弧曲線で、この円弧曲線17上の各点Bは突起14に相当し、中間部位Aを挟んで左,右両側の対称位置に配置されている。
また、18は固定スクロール1のラップ部3の内周面3Aを近似した円弧曲線で、この円弧曲線18上の点B′はラップ部3のうち突起14と対面する部位に相当している。このため、線分BB′の長さは、ラップ部12の中間部位Aが最接近状態となって突起14が相手方のラップ部3から最も離れたときに、突起14の頂部14Aとラップ部3との間に形成される隙間寸法S(以下、この状態における隙間寸法Sを隙間寸法Smaxという)を示している。
そして、図12において、円弧ABは、その曲率半径ρと中心角φとを用いて下記数17の式のように表すことができ、円弧AB′は、その曲率半径ρ′と中心角φ′とを用いて下記数18の式のように表すことができる。
Figure 0004291098
Figure 0004291098
この場合、円弧ABの中心角φが小さいときには、円弧AB=円弧AB′とみなすことができるので、前記数17,数18の式から下記数19の式を導出することができる。
Figure 0004291098
また、旋回スクロール10の旋回半径εと曲率半径ρ,ρ′との間には、図12から判るように、下記数20の式に示す関係があるので、数19,数20の式から下記数21の式を得ることができる。
Figure 0004291098
Figure 0004291098
また、線分OB′の長さをLとすると、円弧ABの曲率半径ρ、線分OB′の長さL及び線分BB′の長さ(隙間寸法Smax)の間には、下記数22の式が成立する。
Figure 0004291098
一方、円弧ABの中心O、円弧AB′の中心O′及び点B′からなる三角形OO′B′においては、線分OO′=ε、線分O′B′=ρ′、角OO′B′=φ′となっている。このため、三角形OO′B′に第2余弦定理を適用すると、下記数23の式を得ることができる。
Figure 0004291098
そして、この数23の式に前記数20,数21及び数22の式を代入することによって下記数24の式を導出することができ、これを変形することによって下記数25の式を得ることができる。
Figure 0004291098
Figure 0004291098
また、円弧ABの中心角φは、角BOB(即ち、各外径側突起14のなす角度α)の半分となるから、下記数26の式が成立する。
Figure 0004291098
従って、前記数25,24の式を用いることにより、各外径側突起14のなす角度αと、突起14が相手方のラップ部3から最も離れたときの隙間寸法Smaxとの関係について、下記数27の式を導くことができる。
Figure 0004291098
そして、この数27の式による隙間寸法Smaxと角度αとの関係は、図13に示すようになり、角度αは隙間寸法Smaxが増大するほど大きくなる。このため、隙間寸法Smaxを前記数16の式による上限値としたときに、角度αの上限値αmaxを得ることができる。従って、前記数16の式を満たす角度αの上限値αmaxは、前記数27の式中の隙間寸法Smaxを隙間寸法S′に置換えることにより、下記数28の式として導出される。
Figure 0004291098
ここで、上限値αmaxの具体値について述べると、図13から判るように、例えば相手方のラップ部3の曲率半径ρ′が20mmとなる部位において、突起14の高さhを0.03mmとした場合に、この高さhよりも隙間寸法Smaxを小さくするためには、例えば角度αを約13°よりも小さく設定すればよい。即ち、この場合には、角度αの上限値αmax=約13°となる。また、突起14の高さhを0.12mmとした場合には、例えば角度αを約26°よりも小さく設定すればよいから、上限値αmax=26°となることが判る。
このように、本実施の形態では、隣合う外径側突起14のなす角度αを、前記数16の式(具体的には数28の式)を用いて定められる上限値αmaxよりも小さな角度として設定する構成としている。これにより、ラップ部12が突起14以外のいずれの部位で相手方のラップ部3に最接近する場合でも、この最接近部位に形成される隙間(図10中の隙間寸法S′等)と比較して、突起14の位置に形成される隙間寸法S(隙間寸法SOK等)を常に小さく保持でき、突起14の位置でラビリンス効果を発揮して密閉性を高めることができる。
一方、ラップ部12の内周面12Aに設けられた各内径側突起13についても、隣合う突起13のなす角度αの上限値αmaxと下限値αminとは、前述した外径側突起14とほぼ同様に設定されているものである。
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は、上述したような構成を有するもので、次に、このスクロール式空気圧縮機の動作について説明する。
まず、電動モータ等の駆動源(図示せず)により駆動軸8を回転駆動すると、旋回スクロール10は、自転防止機構によって自転が防止された状態で、駆動軸8の軸線O1−O1を中心として旋回半径εの旋回運動を行ない、固定スクロール1のラップ部3と旋回スクロール10のラップ部12間に画成される圧縮室15は連続的に縮小する。これにより、固定スクロール1の吸込口6から吸込んだ空気は各圧縮室15で順次圧縮しつつ、固定スクロール1の吐出口7から圧縮空気として外部のタンク(図示せず)に向け吐出することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、旋回スクロール10のラップ部12には、その内周面12Aに複数の内径側突起13を設け、外周面12Bにも複数の外径側突起14を設けている。そして、内径側突起13,外径側突起14は、頂部13A,14Aが狭幅となり、凹円弧面13B,14Bが広幅となる横断面略三角形状とし、凹形状をした凹円弧面13B,14Bは、頂部13A,14Aとラップ部12の内周面12A,外周面12Bとを円滑に接続する構成としている。
従って、内径側突起13,外径側突起14は、頂部13A,14Aから凹円弧面13B,14Bを介してラップ部12の内周面12A,外周面12Bに円滑に接続することができる。これにより、応力集中を防止して頂部13A,14Aでの強度を高めることができ、また、例えばエンドミル等の工具を用いて容易に加工することができる。さらに、内径側突起13,外径側突起14は、横断面略三角形状に形成したから高い強度を得ることができる。
この結果、内径側突起13,外径側突起14は、接触、振動による損傷、経年劣化等に対して剛性を高めることができるから、耐久性、信頼性を向上することができる。
しかも、内径側突起13,外径側突起14は、頂部13A,14Aを狭幅に形成しているから、対面するラップ部3に接触したときには、この頂部13A,14Aを容易につぶし、また摩耗させることができる。これにより、内径側突起13,外径側突起14の頂部13A,14Aは、ラップ部3に何回も接触することなく馴染むことができるから、動力損失、騒音、かじり等を防止することができる。
また、突起13,14のなす角度αをαmax>α≧αminとなる範囲内で設定し、その下限値αminは、前記数14の式として示すαmin=2×{√(T/2×h)}/ρを満たすように設定している。これにより、旋回スクロール10の母材を切削加工してラップ部12を形成するときには、例えばエンドミル等の切削工具16を用いてラップ部12の内周面12Aと外周面12Bとに沿った切削動作を行うことができる。そして、この場合には、母材のうち内周面12Aと外周面12Bとの間に位置する底面部を、2つの周面12A,12Bに沿った切削動作だけで速やかに削取ることができる。
この結果、圧縮機の製造時には、最低限の切削動作によって渦巻状のラップ部12を効率よく形成でき、また切削動作の途中で各突起13,14も一緒に加工成形できるので、旋回スクロール10を短時間で容易に形成することができ、生産性を高めることができる。
一方、角度αの上限値αmaxは、各スクロール1,10のラップ部3,12の周面3B,12A(または周面3A,12B)が最接近したときに、この最接近部位の隙間寸法S′と、この最接近部位を挟んで隣合う突起13(または突起14)と相手方のラップ部3との間に形成される隙間寸法のうち何れか小さい方の隙間寸法Sとが、前記数16の式として示すS′>Sを満たすような範囲内で設定している。これにより、例えばラップ部12が各突起13(または突起14)の中間部位Aで相手方のラップ部3に最接近した場合でも、この最接近部位に形成される隙間寸法S′と比較して、突起13,14の位置に形成される隙間寸法Sを小さくすることができ、突起13,14の位置でラビリンス効果を確実に発揮することができる。
従って、ラップ部12が突起13,14を含めていずれの部位で相手方のラップ部3に最接近する場合でも、ラップ部3,12間の隙間を常に小さく保持することができ、これによって各圧縮室15の密閉性を高め、圧縮機の性能を向上させることができる。
また、内径側突起13,外径側突起14の凹円弧面13B,14Bの曲率半径寸法Rは、ラップ部12の半径方向の間隔寸法Tに対して数2の式に示すように1/4倍以上、1倍以下の関係、好ましくは数3の式に示すように2/5倍以上、3/5倍以下の関係に設定している。従って、内径側突起13,外径側突起14は、ラップ部12の内周面12A,外周面12Bを切削加工するエンドミル等の切削工具を使用して形成することができ、加工作業を容易にし、生産性の向上、コストの低減を図ることができる。
また、内径側突起13,外径側突起14の突起全体の幅寸法W2は、頂部13A,14Aの幅寸法W1に対して数4の式に示すように、2倍以上の大きさに設定されている。従って、内径側突起13,外径側突起14は、根元側を十分な広幅に形成することができ、より一層強度を高めることができる。
また、内径側突起13,外径側突起14の頂部13A,14Aの幅寸法W1は、数5の式に示すように0mm以上、2mm以下の関係、好ましくは数6の式に示すように0.1mm以上、0.3mm以下の関係に設定している。従って、頂部13A,14Aは、対面するラップ部3に接触したときに、容易につぶれたり、摩耗することができるから、何回もラップ部3に接触することなく馴染むことができ、動力損失、騒音、かじり等を確実に防止することができる。
一方、隣合う内径側突起13,外径側突起14は、例えば4〜26°程度の角度αをもって配設することにより、ラップ部12の渦巻方向の間隔寸法Pが内径側で狭く、外径側で広くなるように形成している。これにより、曲率半径が小さく曲がりが急なラップ部3の内径側の部位に対しても、渦巻方向間隔寸法Pが狭くなった内径側突起13,外径側突起14をラップ部3の外周面3B,内周面3Aに沿うように接近して配置することができ、圧縮室15の密閉性を高めて、圧縮性能を向上することができる。
また、内径側突起13,外径側突起14は、ラップ部12の渦巻方向の全長のうち、巻始め端から半巻き程度の部位を除いて形成しているから、該内径側突起13,外径側突起14を必要な部分だけに設けることができ、加工作業を簡略化することができる。
さらに、内径側突起13の頂部13Aとラップ部3の外周面3Bとの間の隙間寸法S1と、外径側突起14の頂部14Aとラップ部3の内周面3Aとの間の隙間寸法S2とは、数8の式に示すようにS1<S2の関係をもって設定している。これにより、各ラップ部3,12間で接触が生じた場合には、旋回スクロール10のラップ部12に設けられた内径側突起13と固定スクロール1のラップ部3の外周面3Bとを先に接触させることができるから、接触部位を支点として旋回スクロール10を自転力の方向と同じ方向に回転させることができ、自転防止機構(図示せず)等のがたつきを防止して、圧縮性能を向上することができる。
次に、図14ないし図20は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ラップ部の各突起を、鏡板から離れた軸方向の一部にのみ形成する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
21はスクロール式空気圧縮機の固定スクロールで、該固定スクロール21は、図14、図15に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、略円板状の鏡板22と、該鏡板22の表面に軸方向に立設された渦巻状のラップ部23と、筒部24、フランジ部(図示せず)等とにより構成されている。
また、ラップ部23の内周面23Aは凹凸のない平滑な湾曲面として形成され、ラップ部23の外周面23Bには後述の固定側外径突起31が設けられている。さらに、ラップ部23の歯先には、図17、図18に示す如く、断面コ字状の凹溝23Cが設けられ、該凹溝23Cには、渦巻状のチップシール25が取付けられている。そして、チップシール25は、後述する旋回スクロール26の鏡板27の表面に弾性的に摺接し、圧縮空気の漏洩を防止している。
26は固定スクロール21と対向して設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール26は、図15、図18に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、円板状の鏡板27と、該鏡板27の表面から軸方向に立設された渦巻状のラップ部28とによって大略構成されている。
ここで、ラップ部28の内周面28Aは凹凸のない平滑な湾曲面として形成され、ラップ部28の外周面28Bには後述の旋回側外径突起34が設けられている。さらに、ラップ部28の歯先には断面コ字状の凹溝28Cが設けられ、該凹溝28Cにはチップシール29が取付けられている。そして、チップシール29は、固定スクロール21の鏡板22の表面に弾性的に摺接している。また、固定スクロール21と旋回スクロール26のラップ部23,28間には複数の圧縮室30が画成され、これらの圧縮室30は、ラップ部23,28の外径突起31,34によって高い密閉状態に保持されるものである。
31は固定スクロール21のラップ部23の外周面23Bに設けられた複数本の突起としての固定側外径突起で、該各固定側外径突起31は、図15ないし図19に示す如く、例えば略三角形の横断面形状を有する突部として形成され、ラップ部23の外周面23Bから径方向外向きに突出すると共に、その軸方向に延びている。なお、軸方向に延びるとは、軸方向に対して平行に延びる構成(傾斜角0°)に限らず、例えば軸方向に対して±10〜20°斜めに傾斜して延びる構成も含むものである。
また、固定側外径突起31は、ラップ部23の歯先から歯元に向けて軸方向の途中位置まで延び、ラップ部23のうち鏡板22から離れた軸方向の歯先側にのみ形成されている。一方、ラップ部23の歯先側のうち各固定側外径突起31の間には外周面23Bよりも凹陥した溝部32が形成されている。そして、ラップ部23の外周面23Bのうち歯元側に位置する部分(固定側外径突起31と溝部32とを除いた部分)は、凹凸のない平滑な湾曲面として形成されている。
さらに、固定側外径突起31は、図16に示す横断面からみると、狭幅な頂部31Aと、該頂部31Aとラップ部23の外周面23Bとを滑らかにつなぐ左,右の裾野となる凹円弧面31B,31Bとによって形成されている。この場合、頂部31Aの幅寸法W1、各凹円弧面31Bの幅寸法W2及び曲率半径寸法R、ラップ部23の半径方向の間隔寸法T(図3参照)等は、第1の実施の形態とほぼ同様に、前記数2ないし数6の式を満たすように設定されている。
また、各固定側外径突起31を形成するときには、例えばラップ部23の外周面23Bのうち各突起31の間となる部位を、ラップ部23の歯先から軸方向の途中位置まで溝状に切削加工し、この切削部位を溝部32とすることにより、各溝部32間の部位を突起31として形成する。このため、各固定側外径突起31と溝部32とを除いたラップ部23の外周面23B(各突起31と鏡板22との間に位置する外周面23B)は、これらの突起31の先端面(頂部31A)と連続して延びる同一曲面となっている。
また、固定側外径突起31の頂部31Aは、図20(c)に示す如く、圧縮室30の閉込み位置で間隔寸法δ1の隙間をもって後述するラップ部28の段差部36と対向するように形成されると共に、固定側外径突起31間の溝部32は、圧縮室30の閉込み位置で間隔寸法δ2の隙間をもってラップ部28の段差部36と対向するように形成されている。さらに、ラップ部23の歯元側に位置する外周面23Bは、圧縮室30の閉込み位置で間隔寸法δ3の隙間をもってラップ部28の内周面28Aと対向するように形成されている。そして、外周面23Bと内周面28Aとの間隔寸法δ3は、間隔寸法δ2よりも小さく、間隔寸法δ1よりも大きい値に設定されている(δ1<δ3<δ2)。
33は固定スクロール21のラップ部23の歯元側に設けられた段差部で、該段差部33は、ラップ部23の歯先側よりも太幅に形成され、内周面23Aが相手方となる旋回スクロール26のラップ部28の外周面28Bに向けて突出寸法tだけ突出している。そして、段差部33は、後述するラップ部28の旋回側外径突起34と同程度の長さ寸法をもって軸方向に延び、旋回側外径突起34と対向している。
34は旋回スクロール26のラップ部28の外周面28Bに設けられた複数本の突起としての旋回側外径突起で、該各旋回側外径突起34は、各圧縮室30の閉込み位置で固定スクロール21のラップ部23の内周面23A(段差部33)に最接近することにより、ラップ部23の内周面23Aとラップ部28の外周面28Bとの間の隙間を減少させるものである。
また、旋回側外径突起34は、固定側外径突起31とほぼ同様に、ラップ部28の歯先から歯元に向けて軸方向の途中位置まで延び、ラップ部28のうち鏡板27から離れた軸方向の歯先側にのみ形成されると共に、各固定側外径突起31の間には溝部35が形成されている。そして、ラップ部28の外周面28Bのうち歯元側に位置する部分(旋回側外径突起34と溝部35とを除いた部分)は、凹凸のない平滑な湾曲面として形成されている。
また、旋回側外径突起34は、固定側外径突起31とほぼ同様に、例えば略三角形の横断面形状を有すると共に、固定側外径突起31とほぼ等しい形状、寸法(幅寸法W1,W2、曲率半径寸法R等)をもって形成されている。これにより、圧縮室30の閉込み位置では、例えば旋回側外径突起34の頂部とラップ部23の段差部33との間に間隔寸法δ1の隙間が形成され、溝部35と段差部33との間に間隔寸法δ2の隙間が形成されると共に、ラップ部28の外周面28Bとラップ部23の内周面23Aとの間には間隔寸法δ3の隙間が形成されるものである。
36は旋回スクロール26のラップ部28の歯元側に設けられた段差部で、該段差部36は、ラップ部23の段差部33とほぼ同様にラップ部28の歯先側よりも太幅に形成され、内周面28Aが相手方となる固定スクロール21のラップ部23の外周面23Bに向けて突出寸法tだけ突出している。そして、段差部36は、ラップ部23の固定側外径突起31と同程度の長さ寸法をもって軸方向に延び、固定側外径突起31と対向している。
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、旋回スクロール26が固定スクロール21に対して旋回運動するときに、各圧縮室30の閉込み位置では、固定スクロール21側の外径突起31が旋回スクロール26のラップ部28の内周面28A(段差部36)に最接近し、また旋回スクロール26側の外径突起34が固定スクロール21のラップ部23の内周面23A(段差部33)に最接近するので、これら外径突起31,34のラビリンス効果によって各圧縮室30内に空気を閉込めることができ、その密閉性を高めて圧縮性能を向上させることができる。
ここで、図20(a)の第1の比較例に示すように、固定スクロール101のラップ部102と旋回スクロール103のラップ部104にいずれも外径突起を設けない場合には、閉込み位置でラップ部102,104間に両者の接触を防止する最小の間隔寸法δ3の隙間を形成することができる。
また、図20(b)の第2の比較例に示すように、各ラップ部102,104の外周面102B,104Bに軸方向の全長に亘って外径突起105,106を設けた場合には、外径突起105,106の頂部と相手方のラップ部104,102の内周面104A,102Aとの間の隙間は、第1の比較例による間隔寸法δ3よりも小さい間隔寸法δ1に設定することができる。しかし、この場合、外径突起105,106の形成に伴って、外径突起105,106を除いた外周面102B,104Bと相手方のラップ部104,102の内周面104A,102Aとの間の隙間は、間隔寸法δ3よりも大きい間隔寸法δ2となるから、全体として平均ラジアルギャップが大きくなってしまうという問題があった。
これに対し、図20(c)に示す本実施の形態では、ラップ部23,28の外周面23B,28Bには歯先側にのみ外径突起31,34を形成すると共に、相手方となるラップ部28,23の内周面28A,23Aの歯元側には突出寸法tだけ突出した段差部36,33を形成している。このため、歯先側では外径突起31,34と段差部36,33との間の隙間を第2の比較例と同等の間隔寸法δ1に設定できると共に、歯元側では外周面23B,28Bと内周面28A,23Aとの間の隙間を第1の比較例と同等の間隔寸法δ3に設定することができる。この結果、第2の比較例に比べて平均ラジアルギャップを小さくすることができ、圧縮効率を高めることができる。
かくして、本実施の形態では、ラップ部23,28のうち鏡板22,27から離れた軸方向の一部にのみ外径突起31,34を形成したから、外径突起31,34の軸方向長さ寸法を短くすることができ、突起31,34によって生じる異音を小さくすることができる。
また、第2の比較例に比べて、隣合う突起31,34間の溝部32,35をラップ部23,28の軸方向に対して小さくすることができるから、固定スクロール21のラップ部23と旋回スクロール26のラップ部28との間の平均ラジアルギャップを小さくすることができ、圧縮効率を高めることができる。さらに、圧縮効率が高まると、ラップ部23,28内の温度を低減することができるから、チップシール25,29等の寿命を延長することができる。
また、歯元側ではラップ部23,28の外周面23B,28Bと相手方のラップ部28,23の内周面28A,23Aとの間の隙間は、第1の比較例のように突起を設けないときの間隔寸法δ3と同程度に設定することができるから、この位置でのラップ部23,28の接触を防ぐことができ、信頼性を向上することができる。
特に、本実施の形態では、外径突起31,34をラップ部23,28の歯先部分にのみ形成したから、ラップ部23,28の熱倒れが顕著に生じる歯先部分にのみ外径突起31,34を配置することができる。この結果、熱倒れによるかじりを防ぎつつ、外径突起31,34を相手方のラップ部28,23に最接近または接触させることができ、圧縮効率をさらに高めることができる。
また、ラップ部23,28の歯元側には外径突起31,34を設けず、各固定側外径突起31と溝部32とを除いたラップ部23の外周面23Bを、突起31の先端面(頂部31A)と同一曲面として形成したので、第2の比較例のようにラップ部の軸方向の全長に亘って突起を設けた場合に比べて、ラップ部23,28を削る箇所を減少させることができ、加工コストを低減できると共に、歯元側での寸法管理を容易に行うことができる。
また、固定スクロール21のラップ部23に固定側外径突起31を設け、旋回スクロール26のラップ部28に旋回側外径突起34を設けたので、これらの外径突起31,34を相手方のラップ部28,23の平滑な内周面28A,23A(段差部33,36)に最接近させることができ、突起同士の接触、かじり等を防止することができる。
一方、外径突起31,34の幅寸法W1,W2、曲率半径寸法R等を、第1の実施の形態の突起13,14とほぼ同様に形成する構成としたので、これとほぼ同様の作用効果を得ることができる。
次に、図21は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ラップ部の外径側に非突起形成部位を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
41はスクロール式空気圧縮機の固定スクロールで、該固定スクロール41は、第1の実施の形態とほぼ同様に、鏡板42、ラップ部43、筒部44、フランジ部(図示せず)等により構成されている。そして、ラップ部43は、内周面43Aと外周面43Bとを有する渦巻状に形成されている。
しかし、ラップ部43の外周面43Bには、軸方向の全長に亘って延びる複数本の固定側外径突起45が設けられると共に、ラップ部43の外径側(巻終り端側)には、固定側外径突起45を形成しない非突起形成部位43Cが設けられている。そして、非突起形成部位43Cは、例えばラップ部43の外径側端部から内径側に向けて略1巻分にわたる長さをもって延びると共に、ラップ部43のうち外径側の圧縮室15′,15″の周壁となる部位に配置されている。
46は固定スクロール41と対向して配置された旋回スクロールで、該旋回スクロール46は、第1の実施の形態とほぼ同様に、鏡板(図示せず)に立設された渦巻状のラップ部47を有し、該ラップ部47は、内周面47Aと外周面47Bとを有している。
また、ラップ部47の外周面47Bには、軸方向の全長に亘って延びる旋回側外径突起48が設けられると共に、ラップ部47の外径側(巻終り端側)には、固定スクロール41のラップ部43とほぼ同様に、その外径側に位置して旋回側外径突起48を形成しない非突起形成部位47Cが設けられている。そして、非突起形成部位47Cは、例えばラップ部47の外径側端部から内径側に向けて略1巻半にわたる長さをもって延びると共に、ラップ部47のうち外径側の圧縮室15′,15″の周壁となる部位に配置されている。
ここで、旋回スクロール46のラップ部47の巻終り端側が固定スクロール41のラップ部43に最接近する位置を圧縮開始位置Kとすると、この圧縮開始位置Kでは、ラップ部43,47の外径側によって2つの圧縮室15(外径側の圧縮室15′,15″)が画成され、これら外径側の圧縮室15′,15″には、吸込口6から吸込まれて間もない吸込空気が閉込められた状態となる。
そして、本実施の形態では、ラップ部43,47のうち外径側の圧縮室15′,15″に面した部位に非突起形成部位43C,47Cを配設している。このため、圧縮機の運転時には、外径側の圧縮室15′,15″の位置で固定スクロール41のラップ部43と旋回スクロール46のラップ部47とを滑らかに連続的に摺接させることができる。
このように、本実施の形態では、固定スクロール41のラップ部43のうち、外径側に位置する略1巻分の部位に非突起形成部位43Cを設け、旋回スクロール46のラップ部47には、外径側の略1巻半の部位に非突起形成部位47Cを設ける構成としたので、圧縮開始位置Kの位置における圧縮室15′のシール性や、これと隣接する圧縮室15″のシール性を良好に保持することができる。
従って、圧縮時の体積効率に対して影響が大きい外径側の圧縮室15′,15″で空気を安定的に圧縮でき、圧縮性能を高めることができると共に、突起45,48等によって発生した異音が吸込口6を通じて外部に漏れるのを防ぐことができ、騒音を低減することができる。
なお、前記第1の実施の形態では、旋回スクロール10を構成するラップ部12の内周面12Aに内径側突起13を設け、ラップ部12の外周面12Bに外径側突起14を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図22に示す第1の変形例のように構成してもよい。この場合、固定スクロール1のラップ部3の内周面3Aには固定側内径突起51が設けられ、外周面3Bには固定側外径突起52が設けられている。
また、本発明では、例えば図23に示す第2の変形例のように構成してもよい。この場合、固定スクロール1のラップ部3の内周面3Aには固定側内径突起51が設けられ、旋回スクロール10のラップ部12の内周面12Aには旋回側内径突起53が設けられている。
また、第1の実施の形態では、突起13,14の凹円弧面13B,14Bを裾野のほぼ全体にわたる凹状曲面として構成した。しかし、本発明はこれに限らず、突起の裾野のうちラップ部の周面に接する部分を凹状曲面とすればよく、例えば図24に示す第3の変形例のように構成してもよい。この場合、外径側突起14′は、頂部14A′とラップ部12の外周面12Bとをつなぐ裾野のうち、外周面12Bに接する部分が凹状曲面(凹円弧面)14B′として形成されているものの、頂部14A′に近い部分は凸状曲面14C′として形成されている。
また、第1の実施の形態では、旋回スクロール10のラップ部12の内周面12Aに設けた内径側突起13と、外周面12Bに設けた外径側突起14とは、角度αの間隔をもって旋回方向に配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば内径側突起13と外径側突起14とをそれぞれ約20度の角度をもって配置し、この内径側突起13と外径側突起14とを交互に10度だけ旋回方向にずらすことにより、内径側突起13と外径側突起14とを千鳥に配置する構成としてもよい。
また、実施の形態では、ケーシングに固定された固定スクロール1に対して旋回スクロール10を旋回動作させるスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば特開平9−133087号公報に示すように、互いに対向して配置された2つのスクロールをそれぞれ回転駆動する全系回転式スクロール流体機械等に適用してもよい。
さらに、実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、冷媒を圧縮する冷媒圧縮機等の他のスクロール式流体機械に適用してもよい。
本発明の第1の実施の形態に適用されるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 スクロール式空気圧縮機を図1中の矢示II−II方向からみた横断面図である。 図2中の固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部とを拡大して示す要部拡大の横断面図である。 旋回スクロールの鏡板、ラップ部、内径側突起、外径側突起の一部を拡大して示す一部破断の外観斜視図である。 旋回スクロールのラップ部、内径側突起、外径側突起を拡大して示す要部拡大の横断面図である。 旋回スクロールのラップ部を切削加工するときに用いる切削工具の径方向寸法と外径側突起の高さ、間隔等との関係を示す説明図である。 ラップ部の曲率半径と外径側突起の間隔、角度等との関係を示す説明図である。 ラップ部の半径方向の間隔寸法と切削工具の径方向寸法との関係を示す説明図である。 外径側突起が相手方のラップ部に最接近した状態を示す説明図である。 各外径側突起の中間部位でラップ部同士が最接近したときに、突起の先端側に小さな隙間が形成される状態を示す説明図である。 各外径側突起の中間部位でラップ部同士が最接近したときに、突起の先端側に大きな隙間が形成される状態を示す説明図である。 各外径側突起の中間部位でラップ部同士が最接近した状態を模式的に示す説明図である。 各外径側突起の中間部位でラップ部同士が最接近したときに突起の先端側に形成される隙間と、各突起間の角度との関係を示す特性線図である。 本発明の第2の実施の形態に適用されるスクロール式空気圧縮機を示す横断面図である。 固定スクロールと旋回スクロールのラップ部を図3と同様位置からみた要部拡大の横断面図である。 固定側外径突起を拡大して示す要部拡大の横断面図である。 固定スクロールの鏡板、ラップ部および固定側外径突起の一部を拡大して示す一部破断の外観斜視図である。 固定スクロールと旋回スクロールのラップ部を図15中の矢示XVIII−XVIII方向から拡大してみた要部拡大の縦断面図である。 図18中の矢示XIX−XIX方向からみた固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部とを示す要部拡大の横断面図である。 第2の実施の形態によるラップ部と2つの比較例によるラップ部とを図18と同様位置からみた要部拡大の縦断面図である。 本発明の第3の実施の形態に適用されるスクロール式空気圧縮機を図2と同様位置からみた横断面図である。 本発明の第1の変形例によるスクロール式空気圧縮機を示す横断面図である。 本発明の第2の変形例によるスクロール式空気圧縮機を示す横断面図である。 本発明の第3の変形例によるスクロール式空気圧縮機の外径側突起を拡大して示す横断面図である。
符号の説明
1,21,41 固定スクロール
2,11,22,27,42 鏡板
3,12,23,28,43,47 ラップ部
3A,12A,23A,28A,43A,47A 内周面(周面)
3B,12B,23B,28B,43B,47B 外周面(周面)
8 駆動軸
10,26,46 旋回スクロール
13 内径側突起
13A,14A,14A′,31A 頂部
13B,14B,14B′,31B 凹円弧面(凹状曲面)
14,14′ 外径側突起(突起)
15,15′,15″,30 圧縮室
16 切削工具
31,45,52 固定側外径突起(突起)
34,48 旋回側外径突起(突起)
43C,47C 非突起形成部位
51 固定側内径突起(突起)
53 旋回側内径突起(突起)
T ラップ部の半径方向間隔寸法
R 凹円弧面の半径寸法
W1 突起の頂部の幅寸法
W2 突起全体の幅寸法
P ラップ部の渦巻方向間隔寸法
α 隣合う突起のなす角度
αmin 角度αの下限値
αmax 角度αの上限値
h 突起の高さ
S,SOK,SNG,Smax,S1,S2 突起と相手方のラップ部との間の隙間
D 切削工具の径方向寸法

Claims (12)

  1. 鏡板に内径側から外径側に向け渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された一方のスクロールと、該一方のスクロールに対向して設けられ鏡板に該一方のスクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するために内径側から外径側に向け渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された他方のスクロールとを備えてなるスクロール式流体機械において、
    少なくとも前記一方のスクロールのラップ部の周面には、渦巻方向に間隔をもって軸方向に延びる複数本の突起を設け、
    該各突起の横断面形状はその頂部と前記周面とをつなぐ裾野を凹状曲面として形成し、
    かつ隣合う突起のなす角度αの範囲は、
    前記突起の高さをhとし、前記突起が形成された部位における前記周面の曲率半径をρとし、向い合う前記ラップ部の内周面と外周面との間の半径方向の間隔寸法をTとしたとき、前記角度αの下限値αminを、
    Figure 0004291098
    として設定し、
    前記一方のスクロールの隣合う突起の間にあるラップ部周面と前記他方のスクロールのラップ部周面とが最接近したときの隙間寸法をS′とし、前記一方のスクロールの前記最接近したラップ部周面を挟んで隣合う前記突起の頂部と前記他方のスクロールのラップ部周面との間の隙間のうち何れか小さい方の隙間寸法をSとしたとき、前記角度αの上限値αmaxを、
    Figure 0004291098
    を満たす範囲内で設定する構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 前記突起の凹状曲面は凹円弧面として形成してなる請求項1に記載のスクロール式流体機械。
  3. 前記突起の凹状曲面の曲率半径寸法Rは、ラップ部の半径方向の間隔寸法Tに対し、1/4×T≦Rとなる大きさをもって形成してなる請求項2に記載のスクロール式流体機械。
  4. 前記突起は、前記頂部の幅寸法W1と前記突起全体の幅寸法W2とを、W1×2≦W2となる関係をもって形成してなる請求項1,2または3に記載のスクロール式流体機械。
  5. 前記各突起は、渦巻方向の間隔寸法を内径側で狭く外径側で広くなるように形成する構成としてなる請求項1,2,3または4に記載のスクロール式流体機械。
  6. 前記突起は、前記一方のスクロールのラップ部と他方のスクロールのラップ部との互いに対面する内周面と外周面のうちいずれか一方の周面にだけ設ける構成としてなる請求項1,2,3,4または5に記載のスクロール式流体機械。
  7. 前記各突起は、前記一方のスクロールのラップ部の内周面と外周面とに設ける場合と、前記他方のスクロールのラップ部の内周面と外周面とに設ける場合と、前記一方のスクロールのラップ部の内周面と他方のスクロールのラップ部の内周面とに設ける場合と、前記一方のスクロールのラップ部の外周面と他方のスクロールのラップ部の外周面とに設ける場合とのうち、いずれか一つである請求項1,2,3,4,5または6に記載のスクロール式流体機械。
  8. 前記突起は、頂部の幅寸法W1を0mm≦W1≦2mmをもって形成してなる請求項1,2,3,4,5,6または7に記載のスクロール式流体機械。
  9. 前記突起の頂部が対面するラップ部の周面に接近したときの内周側の隙間寸法S1と外周側の隙間寸法S2とは、S1<S2となる関係をもって形成してなる請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載のスクロール式流体機械。
  10. 前記突起の高さhは0.12mm≧h≧0.03mmとなる範囲内で形成してなる請求項1に記載のスクロール式流体機械。
  11. 前記各突起は、前記鏡板に立設されたラップ部のうち当該鏡板から離れた軸方向の一部にのみ形成してなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10に記載のスクロール式流体機械。
  12. 前記各突起は前記ラップ部のうち渦巻方向の内径側のみに形成し、前記ラップ部の外径側には非突起形成部位を設け
    前記ラップ部の非突起形成部位は、前記一方のスクロールのラップ部と他方のスクロールのラップ部とが最も外径側で最接近する圧縮開始位置から内径側に向けて略1巻分にわたる部位である請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10または11に記載のスクロール式流体機械。
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