JP4291023B2 - 天井クレーン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は天井クレーンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、1つの単位にまとめられていない穀類、鉱石、塵芥などの粒状や塊状の種々のバルク(ばら物)を搬送する装置として、図2及び図3に示すような天井クレーンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この天井クレーンは、塵芥貯蔵槽1の一側及び他側の上部に互いに平行に且つ水平に設けたレール2と、両レール2に沿って走行するガーダ3と、該ガーダ3に沿って横行するトロリ4と、該トロリ4から巻上索5により昇降可能に吊り下げられ且つ塵芥6をつかんで放すアタッチメントとしてのバケット7と、ガーダ3の走行車輪駆動用モータ8の回転情報を得るロータリエンコーダ9と、トロリ4の横行車輪駆動用モータ10の回転情報を得るロータリエンコーダ11と、前記の巻上索5のドラム駆動用モータ12の回転情報を得るロータリエンコーダ13とを備えている。
【0004】
塵芥貯蔵槽1の一側には、搬送車により運ばれてきた塵芥6を塵芥貯蔵槽1へ投入するための複数の塵芥搬入口14が、ガーダ3の走行方向に並設されている。
【0005】
また、塵芥貯蔵槽1の他側には、バケット7が放した塵芥6を焼却炉へ連なるフィーダへ送り込むための複数の塵芥投入ホッパ15が、ガーダ3の走行方向に並設されている。
【0006】
更に、塵芥貯蔵槽1の一側及び他側の上方には、それぞれ複数の距離計測手段16が、ガーダ3の走行方向に並設されている。
【0007】
この距離計測手段16には、光源部が出射した光パルスが、測定対象物としての塵芥6で反射して受光部へ入射するまでの時間を計測し、距離計測手段16と塵芥6の表層部分との間の距離を求める方式のものが適用されている。
【0008】
複数の距離計測手段16を塵芥貯蔵槽1の両側に並べて配置している理由は、塵芥貯蔵槽1内の測定地点を多くして、塵芥6の堆積高さ分布を把握するためである。
【0009】
従来、天井クレーンの自動運転の例としては、塵芥6などのバルクをつかんだバケット7をガーダ3に最も近接した上限位置まで上昇させた後に、トロリ4の横行やガーダ3の走行によって、バルクを放散すべき地点の直上へバケット7を位置させたうえ、バルクを放すようにし、また、バケット7が上限位置まで上昇した状態で、トロリ4の横行やガーダ3の走行によって、新たにバルクをつかむべき地点の直上へバケット7を位置させた後に、バケット7を着床させる方式が一般的である。
【0010】
上記の運転方式では、トロリ4の横行時やガーダ3の走行時に、塵芥貯蔵槽1などのバルク貯蔵槽内に堆積しているバルクにバケット7がぶつかることは回避できるが、当該バケット7の昇降動作を、トロリ4の横行動作やガーダ3の走行動作と同時に行なうようにして、単位時間あたりのバルクの搬送量を増やしたいという要望がある。
【0011】
そこで、先述した距離計測手段16を用いて、塵芥6などのバルクの堆積高さ分布を把握し、バケット7がバルクにぶつからないように、トロリ4の横行動作やガーダ3の走行動作と同時にバケット7の昇降動作を行なうことが検討されている。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−143151号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしなから、広大な塵芥貯蔵槽1では、多数の距離計測手段16を設置することが必要となり、更に、距離計測手段16の光源部や受光部に付着する塵埃などの汚れ、あるいは水滴を取り除く作業を日常的に行なわないと、塵芥6の堆積高さ分布を把握することができなくなるため、距離計測手段16を用いることは実情にそぐわない。
【0014】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、トロリ横行時やガーダ走行時にバルクの堆積高さ分布に応じてアタッチメントが昇降可能な天井クレーンを提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の天井クレーンは、バルク貯蔵槽上を走行するガーダと、該ガーダに沿って横行するトロリと、該トロリから昇降可能に吊り下げられ且つバルクをつかんで放すアタッチメントと、バルク貯蔵槽に対するガーダの位置を検出する走行位置検出手段と、ガーダに対するトロリの位置を検出する横行位置検出手段と、トロリに対するアタッチメントの位置を検出する昇降位置検出手段と、アタッチメントがつかんだバルクの重量を計測する計重器と、コントローラとを有し、計重器から0値の信号を得たときに、走行位置検出手段及び横行位置検出手段の信号に基づきバルク貯蔵槽におけるアタッチメントの着床地点を特定するとともに、昇降位置検出手段の信号に基づき当該地点のバルクの堆積高さをアタッチメントの上下位置情報から計測する機能、計重器からアタッチメント自重に相当する値の信号を得たときに、走行位置検出手段及び横行位置検出手段の信号に基づきバルクの放散地点を特定するとともに、当該地点に前回アタッチメントが着床したときに計測したバルクの堆積高さ、並びに当該地点へのバルクの放散回数に基づきバルクの堆積高さを推定する機能、アタッチメントの着床地点でそれぞれ計測した堆積高さ、及びバルクの放散地点のそれぞれで推定した堆積高さに基づきバルク貯蔵槽内のバルクの堆積高さ分布を求める機能、バルクの堆積高さ分布に応じてアタッチメントを昇降させる機能をコントローラに具備させている。
【0017】
本発明の天井クレーンにおいては、着床検出手段から信号を得たときにコントローラは、走行位置検出手段及び横行位置検出手段の各信号により、アタッチメント着床地点を特定するとともに、昇降位置検出信号により、当該地点のバルク堆積高さを計測する。
【0018】
また、放散検出手段から信号を得たときに、コントローラは走行位置検出手段及び横行位置検出手段の各信号により、バルクの放散地点を特定するとともに、当該地点に先にアタッチメントが着床した際に計測したバルク堆積高さ、並びに当該地点へのバルクの放散回数に基づき、バルク堆積高さを推定する。
【0019】
更に、コントローラは、各アタッチメント着床地点で計測したバルク堆積高さと各バルク放散地点で推定したバルク堆積高さに基づいて、バルク堆積高さ分布を求め、ガーダまたはトロリの少なくとも一方が作動するときに、前記のバルク堆積高さ分布に応じてアタッチメントを昇降させ、当該アタッチメントとバルクの干渉を回避する。
【0020】
上述した天井クレーンにおいては、計重器からの信号が0値になったか否に基づき、コントローラがアタッチメントの着床を判定し、計重器からの信号がアタッチメント自重に相当する値になったか否かに基づき、コントローラがバルクの放散を判定する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。
【0022】
図1は本発明の天井クレーンの実施の形態の一例であり、図中、図2及び図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0023】
この天井クレーンは、ガーダ3の走行位置検出手段であるロータリエンコーダ9と、トロリ4の横行位置検出手段であるロータリエンコーダ11と、バケット7の昇降位置検出手段であるロータリエンコーダ13と、バケット7がつかんだ塵芥6の重量を計測するロードセルなどの計重器17と、コントローラ18とを備えている。
【0024】
計重器17はトロリ4に装備され、塵芥貯蔵槽1内の塵芥6に対するバケット7の着床検出手段、塵芥6の放散検出手段として用いられる。
【0025】
コントローラ18は、計重器17からの信号19が0値になった時点で、塵芥6にバケット7が着床したと判定し、計重器17からの信号19がバケット7の自重に相当する値になった時点で塵芥6が放散されたと判定し、更に、ロータリエンコーダ9,11,13からの信号20,21,22に基づき、塵芥貯蔵槽1内の塵芥6の堆積高さ分布を求め、ガーダ3またはトロリ4の少なくとも一方が作動するときに、塵芥6の堆積高さ分布に応じてバケット7を昇降させるようになっている。
【0026】
すなわち、計重器17から0値の信号19を得たときに、ロータリエンコーダ9,11からの信号20,21によって、塵芥貯蔵槽1内におけるバケット7の着床地点を特定するとともに、ロータリエンコーダ13からの信号22により、当該地点の塵芥6の堆積高さを、バケット7の上下位置情報から計測する。
【0027】
また、計重器17からバケット7自重に相当する値の信号19を得たときに、ロータリエンコーダ9,11からの信号20,21により、塵芥6の放散地点を特定するとともに、当該地点に前回バケット7が着床したときに計測した塵芥6の堆積高さ、並びに当該地点への塵芥6の放散回数に基づき、塵芥6の堆積高さを推定する。
【0028】
つまり、バケット7の着床時に得た堆積高さに、その後の放散回数により想定される塵芥6と体積、及び塵芥6の一般的な安息角を考慮すれば、塵芥6を放散した地点の堆積高さを推定できる。
【0029】
ただし、ロータリエンコーダ9,11の信号20,21により、塵芥6の放散地点が塵芥投入ホッパ15に対応している場合には、当然のことながら、塵芥6の堆積高さ推定は行なわれない。
【0030】
更に、バケット7の着床地点でそれぞれ計測した堆積高さ、及び塵芥6の放散地点のそれぞれで推定した堆積高さに基づいて、塵芥貯蔵槽1内の塵芥6の堆積高さ分布を求める。
【0031】
この塵芥6の堆積高さ分布の情報は、計重器17からの信号19で、バケット7の着床、または、塵芥6の放散のいずれかが確認されるごとに更新される。
【0032】
これにより、コントローラ18は、走行車輪駆動用モータ8に対する作動指令の信号23を出力してガーダ3を走行させるとき、または横行車輪駆動用モータ10に対する作動指令の信号24を出力してトロリ4を横行させるときに、作動指令の信号25ドラム駆動用モータ12に出力し、塵芥6の堆積高さ分布の情報に対応するようにバケット7を昇降させる。
【0033】
従って、トロリ4の横行時やガーダ3の走行時に、塵芥6に対する干渉を回避しつつバケット7を昇降させることができ、塵芥6の搬送効率が向上する。
【0034】
このように図1に示す天井クレーンでは、ロータリエンコーダ9,11,13の信号20,21,22と計重器17の信号19とによって、バケット7の着床地点の塵芥6の堆積高さを計測し、放散地点での塵芥6の堆積高さを推定するので非常に現実的な手段だけで塵芥6の堆積高さ分布を求めることが達成できる。
【0035】
また、例えば、塵芥搬入口14近傍の塵芥6を塵芥投入ホッパ15側へ寄せる作業を、堆積高さ分布の情報に基づき、夜間などに天井クレーンを自動運転して行なうこともできる。
【0036】
なお、本発明の天井クレーンは上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明を穀類、鉱石のような有価物であるバルクの搬送に適用すること、バケット以外のアタッチメントを装備すること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の天井クレーンによれば、下記のような種々の優れた効果を奏し得る。
【0038】
(1)本発明の天井クレーンでは、走行位置検出手段、横行位置検出手段、昇降位置検出手段、着床検出手段、並びに放散検出手段の信号によって、アタッチメント着床地点のバルク堆積高さを計測し、放散地点のバルク堆積高さを推定するので、非常に現実的な手段だけでバルク堆積高さ分布を求めることが達成できる。
【0039】
(2)また、トロリの横行時やガーダの走行時に、バルクと干渉を回避しつつアタッチメントが昇降するので、効率よく天井クレーンを自動運転させることが可能になり、バルクの搬送効率が向上する。
【0040】
(3)上述した天井クレーンでは、アタッチメントがつかんだバルクの重量を計測する計重器を用いるので、装置構成の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の天井クレーンの実施の形態の一例を示す概略正面図である。
【図2】従来の天井クレーンの一例を示す概略正面図である。
【図3】図2に関連する天井クレーンの概略平面図である。
【符号の説明】
1 塵芥貯蔵槽(バルク貯蔵槽)
3 ガーダ
4 トロリ
6 塵芥(バルク)
7 バケット(アタッチメント)
9 ロータリエンコーダ(走行位置検出手段)
11 ロータリエンコーダ(横行位置検出手段)
13 ロータリエンコーダ(昇降位置検出手段)
17 計重器(着床検出手段/放散検出手段)
18 コントローラ
19 信号
20 信号
21 信号
22 信号
Claims (1)
- バルク貯蔵槽上を走行するガーダと、該ガーダに沿って横行するトロリと、該トロリから昇降可能に吊り下げられ且つバルクをつかんで放すアタッチメントと、バルク貯蔵槽に対するガーダの位置を検出する走行位置検出手段と、ガーダに対するトロリの位置を検出する横行位置検出手段と、トロリに対するアタッチメントの位置を検出する昇降位置検出手段と、アタッチメントがつかんだバルクの重量を計測する計重器と、コントローラとを有し、計重器から0値の信号を得たときに、走行位置検出手段及び横行位置検出手段の信号に基づきバルク貯蔵槽におけるアタッチメントの着床地点を特定するとともに、昇降位置検出手段の信号に基づき当該地点のバルクの堆積高さをアタッチメントの上下位置情報から計測する機能、計重器からアタッチメント自重に相当する値の信号を得たときに、走行位置検出手段及び横行位置検出手段の信号に基づきバルクの放散地点を特定するとともに、当該地点に前回アタッチメントが着床したときに計測したバルクの堆積高さ、並びに当該地点へのバルクの放散回数に基づきバルクの堆積高さを推定する機能、アタッチメントの着床地点でそれぞれ計測した堆積高さ、及びバルクの放散地点のそれぞれで推定した堆積高さに基づきバルク貯蔵槽内のバルクの堆積高さ分布を求める機能、バルクの堆積高さ分布に応じてアタッチメントを昇降させる機能をコントローラに具備させたことを特徴とする天井クレーン。
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