JP4290472B2 - 光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学情報基板用途に好適に使用できるポリカーボネート樹脂組成物に関し、特に強度に優れ、クラウドや金型汚染の発生が低減されたCD、DVD等の光ディスク等の光学情報基板用に好適に使用できる光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いられている。中でも近年の情報化の進展により、音楽や映像用記録媒体及びパソコン等のデジタル情報記録媒体として需要が拡大しており、ポリカーボネートはCD、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−R等の光ディスクや光カードなどの光学情報基板用途では、なくてはならない樹脂となった。
これら光ディスク等の光学情報基板には微細なグルーブやピットを正確に成形することが必要とされ、該用途に使用されるポリカーボネートには高い転写性と低複屈折等の高い光学特性が要求される。その為、光学情報基板用ポリカーボネートには高い流動性が要求され、重量平均分子量が15,500前後のホスゲン法で製造された低分子量ポリカーボネートが使用されてきた。
【0003】
しかしながら、ホスゲン法ポリカーボネートは、その製造時に毒性のホスゲンを使用することや、溶媒として塩化メチレンを使用することから、ポリカーボネート中に不純物として塩素イオンや塩化メチレンが残存し、そのため成形時の熱安定性の低下や金型腐食、及び湿熱環境下での光学情報基板の品質低下が発生して問題となっていた。その為、特開昭63−316313号公報、特開平4−146922号公報、特開昭63−97627号公報をはじめとする種々の文献に、これら不純物を低減した組成物や低減するための方法が数多く提案されている。しかしながら、これら方法においても、塩素イオンや塩化メチレンを完全に除去することはできず、また多大な労力が必要となった。そのため、近年ではホスゲンや塩化メチレンを使用しないエステル交換法ポリカーボネートが見直されてきている。
【0004】
ところが、エステル交換法で製造されたポリカーボネートは、ホスゲン法で得られたポリカーボネートに比べて、ディスクの強度が弱く且つディスク成形時にクラウドの発生が多発して良好な光学情報基板が得られないという問題や、長期間同じスタンパーを継続して使用した場合にスタンパーや金型に異物が蓄積して汚染されるという問題があった。特に、クラウドに関してはスタンパーを交換した後の成形時に多く発生しやすいという問題を有していた。その為、その改良が求められていた。
一般に、ディスク強度はポリカーボネートの分子量を増大させることで向上することは知られているが、グループやピットの転写性が低下したりディスクの複屈折が増大するため行われていない。また、クラウドは成形時に金型からディスクが離型する際の離型不良によって発生すると言われており、多くの離型剤が提案されている。
【0005】
例えば特許文献1には転写性の改良を目的に、ポリカーボネート100重量部当たり炭素数16〜22の飽和一価脂肪酸のモノグリセリドを0.01〜0.2重量部含有する組成物からなる光学成形品が提案されている。特許文献2には離型性を確保すると共にポリカーボネートの加水分解の抑制を目的として、炭素数が10〜30の脂肪酸エステル(例えばステアリン酸モノグリセリド)を含有しpHが7以下を示す離型剤を0.5%以下の量で含有するポリカーボネート樹脂組成物からなる基板が提案されている。また、特許文献3には離型性、耐熱性及び転写性の改善を目的として、末端ヒドロキシル濃度が2〜40モル%であり、かつゲル浸透クロマトグラフィーで測定した分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜2.8である芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部と脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステル0.01〜0.1重量部とからなる組成物が提案されている。しかしながら、これらの方法においても、上記問題を改善することができず更なる改善が求められていた。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−113201号公報
【特許文献2】
特開平7−169092号公報
【特許文献3】
特開平8−73724号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エステル交換法で製造されたポリカーボネートが有する上記問題点、すなわちディスクの強度に優れクラウドや金型汚染の発生が低減され、特にスタンパーを交換した直後に発生するクラウドのが低減されたCD、DVD等の光ディスク等の光学情報基板用に好適に使用できる光学情報基板用ポリカーボネートを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、広く使用されている飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルをエステル交換法で製造されたポリカーボネートに添加するだけでは上記問題を解決することができないことを確認すると共に、上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねてきた。その結果、10〜30の飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルとフルエステルを併用し、且つ両者の合計酸価が2〜20mgKOHの範囲にあるときに、ディスクの強度やクラウドの発生が大きく改善でき、更に金型汚染も低減できるという驚くべき事実を見出し本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記1)から5)に係わる。
1)重量平均分子量が13,000〜18,000であるエステル交換法で製造されたポリカーボネート100重量部と、炭素数が10〜30の飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステル及び炭素数10〜30の飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールとのフルエステルの合計量0.01〜0.1重量部とからなり、該部分エステルとフルエステルの比率が20/80〜80/20であり、両者の合計酸価が2〜20mgKOHであることを特徴とする光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物。
2)該エステル交換法で製造されたポリカーボネートが、その主鎖中に下記(1)式に示される異種構造単位を該ポリカーボネートの繰り返し構造単位に対して0.03〜0.20モル%の量で含有することを特徴とする上記1項記載の光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物。
【0010】
【化2】
Figure 0004290472
【0011】
3)該部分エステルがステアリン酸モノグリセリド及び又はパルミチン酸モノグリセリドであることを特徴とする上記1項又は2項に記載の光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物、
4)該フルエステルがペンタエリスリトールテトラステアレートであることを特徴とする上記1項〜3項のいずれかに記載の光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物。
5)上記1項〜4項のいずれかに記載の光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物を用いて射出成形して得られた光学情報基板を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、HO−Ar−OHで示される化合物である(式中、Arは2価の芳香族基を表す)。
芳香族基Arは、好ましくは例えば、−Ar−Y−Ar−で示される2価の芳香族基である(式中、Ar及びArは、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)。
【0013】
2価の芳香族基Ar、Arにおいて、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。
複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。
2価の芳香族基Ar、Arは、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおりである。
2価のアルカン基Yは、例えば、下記化3で示される有機基である。
【0014】
【化3】
Figure 0004290472
【0015】
(式中、R、R、R、Rは、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、RおよびRは、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R、R、R、R、R、Rにおいて、一つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化4で示されるものが挙げられる。
【0016】
【化4】
Figure 0004290472
【0017】
(式中、R、Rは、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各Rはそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合には各Rはそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar−Z−Ar−で示されるものであっても良い。
(式中、Ar、Arは前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO−、−COO−、−CON(R)−などの2価の基を表す。ただし、Rは前述のとおりである。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化5で示されるものが挙げられる。
【0018】
【化5】
Figure 0004290472
【0019】
(式中、R、R、mおよびnは、前述のとおりである。)
さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換または非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げられる。
本発明で用いられるジアリールカーボネートは、下記化6で表される。
【0020】
【化6】
Figure 0004290472
【0021】
(式中、Ar、Arはそれぞれ1価の芳香族基を表す。)
Ar及びArは、1価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表すが、このAr、Arにおいて、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。ArとArは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
1価の芳香族基Ar及びArの代表例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたものでも良い。
好ましいAr及びArとしては、それぞれ例えば、下記化7などが挙げられる。
【0022】
【化7】
Figure 0004290472
【0023】
ジアリールカーボネートの代表的な例としては、下記化8で示される置換または非置換のジフェニルカーボネート類を挙げる事ができる。
【0024】
【化8】
Figure 0004290472
【0025】
(式中、R及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各Rはそれぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。)
【0026】
このジフェニルカーボネート類の中でも、非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジアリールカーボネートである非置換のジフェニルカーボネートが好適である。これらのジアリールカーボネート類は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。
【0027】
また、本発明においては、末端変換や分子量調節のために芳香族モノヒドロキシ化合物を併用してもよい。
本発明において、エステル交換法とは、上記化合物を触媒の存在もしくは非存在下で、減圧下もしくは/及び不活性ガスフロー下で加熱しながら溶融状態でエステル交換反応にて重縮合する方法をいい、その重合方法、装置等には制限はない。
【0028】
例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等を用い、これらを単独もしくは組み合わせることで容易に製造できる。また、溶融状態でエステル交換反応を行いプレポリマーを製造した後、固相状態で減圧下もしくは/及び不活性ガスフロー下で重合度を高める固相重合法でも製造できる。
【0029】
また本発明において、溶融重縮合反応は触媒を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分野で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、
【0030】
アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアリーロキシド類;
【0031】
酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R)NB(R)で表されるアンモニウムボレート類、(R)PB(R)で表されるホスホニウムボレート類(R、R、R、Rは前記化1の説明通りである。)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;
【0032】
酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウム化合物類などの触媒を挙げる事ができる。
【0033】
触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だけで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物100重量部に対して、通常10−8〜1重量部、好ましくは10−7〜10−1重量部の範囲で選ばれる。
本発明に用いられるポリカーボネートの重量平均分子量は13,000〜18,000の範囲にあり、好ましくは、13,500〜17,000の範囲にあり、より好ましくは14,000〜16,000の範囲にある。上記範囲より重量平均分子量が大きい場合には、流動性が悪くDVD等の高密度情報基板が成形できない。上記範囲より小さい場合には、情報基板の機械的強度が低くなり好ましくない。
【0034】
本発明の重量平均分子量の測定は、東ソー株式会社製のカラム番号TOSOHTSK−GEL G5000HXL/G4000HXL/G4000HXLを備えたGPCを用いて行い、測定条件は、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求めた。
PC=0.3591MPS 1.0388
(MPCはポリカーボネートの分子量であり、MPSはポリスチレンの分子量である。)
また、本発明のポリカーボネートは化9で示される異種構造単位を該ポリカーボネートの繰り返し構造単位に対して0.03〜0.20モル%の量で含有することが好ましい。
【0035】
【化9】
Figure 0004290472
【0036】
異種構造単位化1の具体例としては、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用いた場合には、次の化10に示す構造が挙げられる。
【0037】
【化10】
Figure 0004290472
【0038】
本発明においては、該異種構造の量が、好ましくは0.04〜0.18モル%の範囲にあり、特に0.05〜0.15モル%の範囲が好ましい。上記範囲より少ない場合には転写性が低下する傾向にあり、上記範囲より多い場合にはクラウドが発生しやすくなり、基板強度も低下し易い傾向にある。
本発明において、ポリカーボネート中の異種構造は、該ポリカーボネートを完全加水分解して逆相液体クロマトグラフィーを用いて定量する。ポリカーボネートの加水分解はPolymer Degradation and Stability 45(1994),127〜137に記載されているような常温での加水分解法が、操作が容易で分解過程での副反応もなく、完全にポリカーボネートを加水分解できるので好ましく、本発明においては室温(25℃)で行った。
【0039】
このような異種構造をポリカーボネートに付与する方法としては、ポリカーボネートをエステル交換法で製造する際に、通常実施されているように該異種構造を形成するカルボキシル基を有する特定のジヒドロキシ化合物を添加して分岐構造を導入する方法や、これらを添加することなく、重合温度、触媒、滞留時間等の製造条件を選択することで、重合過程で異種構造を発生させてポリカーボネート中に導入する方法、及び両者を併用する方法が挙げられる。本発明においては、製造条件を制御することで重合過程で発生させて該異種結合を導入させる方法が、湿熱テストにおいて光学的欠陥の発生が少なく、ディスク強度と成形性のバランスに優れた組成物が容易に得られる為に好ましく用いられる。
【0040】
一般的にエステル交換法では、ビスフェノールAポリカーボネートが触媒として用いられるアルカリの作用をうけてKolbe-Schmitt反応に類似した反応によって化11の構造が生成することが知られているが、反応条件を制御することで、化11をほとんど生成することなく化8に示す分岐構造をコントロールして導入することが出来る。
【0041】
【化11】
Figure 0004290472
【0042】
そのようなポリカーボネートを製造する方法としては、特に限定されないが、国際公開出願特許WO97−32916公報パンフレットに記載の製法条件が好ましい。また、必要に応じて上記以外の多官能性化合物を用いて分岐構造をポリカーボネート中に導入してもよい。
また、エステル交換法で製造されるポリカーボネートは、一般に全末端基に占める水酸基末端比率が高い傾向にあるが、本発明のポリカーボネートは5〜50モル%の範囲であることが好ましく、好ましくは10〜40モル%の範囲であり、特に15〜30モル%の範囲のポリカーボネートが好ましく使用される。水酸基末端基比率の測定方法は、一般にNMRを用いて直接測定する方法や、チタン法や、UVもしくはIR法で求めた水酸基末端量と全末端量とから算出して求めることができる。
【0043】
本発明の組成物は、該ポリカーボネート100重量部に対して、炭素数が10〜30の飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルと炭素数が10〜30の飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールとのフルエステルを80/20〜20/80の比率で0.01〜0.1重量部を添加することで得ることができる。その際、該部分エステルとフルエステルの合計酸価が2〜20mgKOHにあることが必要であり、例えば、酸価の高い部分エステルと酸価の低いフルエステルとを組み合わせても良いし、その逆でもよい。両者の合計添加量は、好ましくは0.015〜0.08重量部、特に好ましくは0.02〜0.06重量部の範囲にある。
【0044】
上記範囲よりも少ない場合は情報基板の強度が低下しやすく、クラウドが発生しやすくなり好ましくなく、多い場合には、上記に加え金型汚染が発生しやすく好ましくない。また、酸価は好ましくは4〜18mgKOHの範囲にあり、特に好ましくは5〜15mgKOHの範囲にある。上記範囲外では情報基板の強度低下やクラウドが発生しやすくなり好ましくない。部分エステルとフルエステルの比率が上記範囲外の場合には、クラウドや金型汚染を同時に改善できなくなり好ましくない。好ましくは80/20〜50/50の範囲にある。
【0045】
多価アルコールとしては2価〜6価等のアルコールが用いられるが、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が好ましく用いられ、特にグリセリンが好ましい。炭素数が10〜30の飽和脂肪族カルボン酸としてはパルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸が好ましく用いられ、特にパルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。これらは単独で用いても良いし、混合物で用いても良い。これらの中で特に好ましい部分エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリドであり、特に好ましいフルエステルとしてはペンタエリスリトールテトラステアレートである。
【0046】
本発明の組成物は、単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の押出機や混練機を用いて溶融混練混練することで製造できる。その際、本発明の組成物に、必要に応じて耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、pKa5以下の酸性化合物等を添加して用いても良い。更に、これら添加剤等は、重合終了後のポリカーボネート系樹脂が溶融状態の間に添加してもよいし、ポリカーボネートを一旦ペレタイズした後、添加剤を添加再溶融混練してもよい。
好ましい耐熱安定剤としては、例えば、リン系安定剤、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、エポキシ系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、酸性化合物等が使用できる。
【0047】
リン系安定剤としては、リン酸類、亜リン酸エステル類、ホスフィン酸エステル類、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類が挙げられる。具体的には、例えばリン酸類としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ホスフィン酸類等が挙げられる。亜リン酸エステル類としては、亜リン酸トリエステル、亜リン酸ジエステル、亜リン酸モノエステルが挙げられ、亜リン酸トリエステルの好ましい具体例としては、
【0048】
例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールホスファイト、テトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリル、ペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイトが挙げられる。
【0049】
亜リン酸ジエステルの好ましい具体例としては、例えばジフェニルハイドロゲンホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ハイドロゲンホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスファイト、ジクレジルハイドロゲンホスファイト、(ビス(p−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスファイト、ビス(p−ヘキシルフェニル)ハイドロゲンホスファイト等が挙げられる。
亜リン酸モノエステルの好ましい具体例としては、例えばフェニルジハイドロゲンホスファイト、ノニルフェニルジハイドロゲンホスファイト、2,4−ジ−t−ブチルフェニルジハイドロゲンホスファイト等が挙げられる。
【0050】
フェノール系安定剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−p−アニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチル−p−フェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキイシフェニル)プロピオネート]メタン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒヂロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングルコールービス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0051】
イオウ系安定剤としては、例えばベンゼンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、及びこれら酸のメチル、エチル、ブチル、オクチル、フェニルエステルが挙げられる。また、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール(β−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
【0052】
エポキシ安定剤としては、例えばエポシシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等の油脂類、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロムビスフェノールAジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジル化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)ブチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
【0053】
3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビスエポキシシクロヘキシルアジペート、オクタデシル−2,2’−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、N−ブチル−2,2’−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、N−ブチル−2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
【0054】
2−エチルヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、4,6−ジメチル−2、3−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジエチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキサンカルボキシレート、ジ−n−ブチル−3−t−ブチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキサンカルボキシレート、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル−1,2ーエポキシシクロヘキサン等のエポキシシクロヘキサン化合物、ビスエポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエイレネポキシド、エポキシ化ポリブタジエン、4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチルー4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0055】
酸性化合物としては、ホウ酸等の無機酸類、アジピン酸、クエン酸、酢酸等の有機酸類、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、ベンゼンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル等のスルホン酸エステル類等が挙げられる。
これらの耐熱安定剤は、単独で用いてもよいし組み合わせて用いてもよい。添加量は特に限定されないが、一般にポリカーボネート100重量部に対して0.0005〜0.015重量部の範囲で用いられる。
【0056】
本発明の光情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物は、ディスク厚さが1.2mm以下のCD、CD−R、CD−RW、MD、MO、DVD、DVD−RAM等の光学情報基板に好適に使用できる。また、光情報基板に成形する方法は特に限定されず、一般に使用されている光ディスク用射出成形機が使用できる。
以下実施例にて、本発明を更に詳細に説明する。
なお、本発明は実施例により限定されるものではない。各項目の評価は、以下の方法で測定した。
【0057】
▲1▼重量平均分子量の測定:
GPCを用いて行い、測定条件は下記の方法によった。
テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求めた。
PC=0.3591MPS 1.0388
(MPCはポリカーボネートの分子量であり、MPSはポリスチレンの分子量である。)
【0058】
▲2▼化8の異種構造量の定量:
ポリカーボネート55mgをテトラヒドロフラン2mlに溶解した後、5規定の水酸化カリウムメタノール溶液を0.5ml添加し、室温で2時間攪拌して完全に加水分解した。その後、濃塩酸0.3mlを加え、逆相液体クロマトグラフィーで測定した。
逆相液体クロマトグラフィーは、Inertsil ODS−3カラム(登録商標:GLサイエンス社)、溶離液としてメタノールと0.1%リン酸水溶液からなる混合溶離液を用い、メタノール/0.1%リン酸水溶液比率を20/80からスタートし100/0までグラジエントする条件下で測定し、検出は波長300nmのUV検出器を用いて行い、標準物質の吸光係数から定量した。
【0059】
▲3▼脂肪酸エステル類の酸価の測定:
エステル2.5gにイソプロパノール100mlを加え溶解し、フェノールフタレインを指示薬として加えて、0.1mol/L水酸化カリウム標準液で滴定して酸価mgKOHを求めた。但し、この酸価が1以下の場合にはエステル量を20gに、1〜4の場合には10g、15以上は0.5gに増減して測定した。
【0060】
▲4▼光情報基板の成形性評価:
名機製作所製光ディスク用射出成形機(MDM1)を用いて、成形温度330℃、金型温度98℃、成形サイクル6秒のCD−R基板の成形を行った。転写性の評価は、Dr.Schenk社製PROmeteusMT136を用いて、ディスク中心から55mm位置の測定値を用いて金型のグループ深さ基準で計算した。
クラウドの評価は、スタンパー交換した後100枚成形後の100枚と24時間経過後の100枚を用いて、ディスクのグルーブ面にAlをスパッタして100枚中のクラウド発生枚数を目視で評価した。評価は◎=発生なし、○=1〜3枚発生、△=4〜10枚発生、×11枚以上発生。
また、金型汚染は2000枚成形後のスタンパーを目視で観察した。評価は◎=若干発生、×=多く発生
【0061】
▲5▼基板強度:
上記で成形したDVDディスク基板を用いて、支点間距離40mm、速度300mm/分で曲げ試験を行い、割れた枚数を測定した。
【0062】
【実施例1】
原料溶解混合槽2基、撹拌槽型重合器2基、L/D=6で回転直径140mmの二軸の攪拌羽根を有する横型二軸攪拌型重合器及び1mm径のSUS316L製ワイヤ50本を有するワイヤ付多孔板型重合器を用いて、芳香族ポリカーボネートを連続的に製造した。但し、原料溶解混合槽2基はバッチ的に交互に運転した。
原料溶解混合槽は、反応温度180℃、反応圧力常圧、シール窒素(酸素濃度0.5ppm)ガス流量1リットル/hrの条件である。原料溶解混合槽に、40mmHgで真空窒素置換を5回したビスフェノールA粉体とジフェニルカーボネート粉体(対ビスフェノールAモル比1.10)を80Kgと、水酸化ナトリウム7mgを仕込み5時間溶融混合して次工程に移送した。攪拌槽型第1重合器は、反応温度234℃、反応圧力98mmHgの条件であり、液容量20リットルを一定に保つように運転した。
【0063】
攪拌槽型第2重合器は、反応温度250℃、反応圧力6mmHgの条件であり、液容量20リットルを一定に保つよう運転した。横型二軸攪拌型重合器では、反応温度260℃、反応圧力2.0mmHgの条件で液容量10リットルを一定に保つように運転した。ワイヤ付多孔板型重合器では、反応温度260℃、反応圧力1.0mmHgの条件であり、重合器下部の液容量20リットルを保つように運転しポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの重量平均分子量は15,600、全末端基中にしめるフェノール性水酸基末端比率が21モル%、化8の異種結合量は0.13モル%であった。
【0064】
得られたポリカーボネート100重量部に、ステアリン酸モノグリセリド0.035重量部、ペンタエリスリトールテトラステアレート0.015重量部を、二軸押出機(池貝鉄工社製PCM30)を用いて溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物を得た。添加したエステルの合計酸価は8.5mgKOHであった。得られた組成物の評価結果を表1に示す。転写性が100%、複屈折が0〜10nmで、クラウドや金型汚染の発生もなく、強度にも優れたディスクが得られた。
【0065】
【実施例2】
実施例1で得られたポリカーボネート100重量、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.02重量部及びステアリン酸モノグリセリド0.018重量部及びペンタエリスリトールテトラステアレート0.012重量部を、二軸押出機(池貝鉄工社製PCM30)を用いて溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物を得た。添加したエステルの合計酸価は10.9mgKOHであった。
得られた組成物の評価結果を表1に示す。転写性が100%、複屈折が0〜10nmで、クラウドや金型汚染の発生もなく、強度にも優れたディスクが得られた。
【0066】
【比較例1〜6】
種類、量、酸価が異なる表1に示す脂肪酸エステル類を用いる以外は、実施例1と同様にして実施した。得られたポリカーボネート樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0067】
【比較例7、8】
ワイヤ付多孔板型重合器の圧力を1.4mmHg(比較例6)、0.8mmHg(比較例7)にする以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリカーボネート樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0068】
【実施例3】
横型二軸攪拌型重合器の反応条件を反応温度270℃、反応圧力4.0mmHg、ワイヤ付多孔板型重合器では、反応温度270℃、反応圧力2.0mmHgにする以外は実施例1と同様にしてポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネート100重量部に、ステアリン酸モノグリセリド0.009重量部、ペンタエリスリトールテトラステアレート0.021重量部を、二軸押出機(池貝鉄工社製PCM30)を用いて溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物を得た。添加したエステルの合計酸価は17.1mgKOHであった。得られたポリカーボネート樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0069】
【実施例4】
100リットルの攪拌槽型反応器に、ビスフェノールA粉体とジフェニルカーボネート粉体(対ビスフェノールAモル比1.10)を40Kgと、水酸化ナトリウム4mgを仕込み、40mmHgで真空窒素置換を5回した後、10リットル/hrで窒素を流しながら昇温を開始した。180℃に到達したら撹拌を開始した。
30分後、230℃に昇温して、段階的に2mmhgまで減圧して副生するフェノールを除去し、重量平均分子量6、800のポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートを1.5kg/hrで、アセトンを0.8kg/hrの量比で同方向二軸混練機に投入して結晶化ポリカーボネートを得た。乾燥後、70リットルタンブラー型固相重合器に該結晶化ポリカーボネート15kgを投入し、220℃、2mmHgで4時間反応して重要平均分子量14,800のポリカーボネートを得た。
【0070】
得られたポリカーボネート100重量部に、ペンタエリスリトールモノステアレート0.015重量部、ペンタエリスリトールテトラステアレート0.015重量部を、二軸押出機(池貝鉄工社製PCM30)を用いて溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物を得た。添加したエステルの合計酸価は5.3mgKOHであった。得られたポリカーボネート樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
Figure 0004290472
【0072】
【発明の効果】
本発明の光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物は、ディスクの強度に優れクラウドや金型汚染の発生が低減され、特にスタンパーを交換した直後に発生するクラウドを低減することができる。その為、CD、DVD等の光ディスク等の光学情報基板用に好適に使用できる。

Claims (5)

  1. 重量平均分子量が13,000〜18,000であるエステル交換法で製造されたポリカーボネート100重量部と、炭素数が10〜30の飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステル及び炭素数10〜30の飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールとのフルエステルの合計量0.01〜0.1重量部とからなり、該部分エステルとフルエステルの比率が20/80〜80/20であり、両者の合計酸価が2〜20mgKOHであることを特徴とする光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 該エステル交換法で製造されたポリカーボネートが、その主鎖中に下記(1)式に示される異種構造単位を該ポリカーボネートの繰り返し構造単位に対して0.03〜0.20モル%の量で含有することを特徴とする請求項1記載の光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0004290472
  3. 該部分エステルがステアリン酸モノグリセリド及び又はパルミチン酸モノグリセリドであることを特徴とする請求項1又は2記載の光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 該フルエステルがペンタエリスリトールテトラステアレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物を用いて射出成形して得られた光学情報基板。
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