JP4289933B2 - 水拭き用モップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水拭き用のモップに関するものであり、更に詳しくは、水洗い時におけるモップ糸の絡み防止機能と、濡れたモップ糸の絞り機能とを備えた水拭き用のモップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
床面等の清掃対象を水拭きするモップは、一般に、柄の先端に矩形断面を有する横長棒状のモップ基台取り付け、このモップ基台の下面に多数のモップ糸を取り付けた構成を有している。
【0003】
このようなモップで清掃対象を拭き清掃するときは、容器内の水にモップ糸を浸して水を含ませたあと、該モップ糸を絞ることによって含水量を調節するようにしているが、容器内の水にモップ糸をモップ基台ごと浸漬すると、該モップ糸の一部が水中を浮遊してモップ基台を乗り越え、その状態でモップ糸同士が相互に絡み合い易い。一旦絡み合ったモップ糸は自然には解けないため、一々手作業で解かなければならず、多くの手間を要するだけでなく、非衛生でもあった。
【0004】
また、濡れたモップ糸を絞る場合、容器に絞り器が付いている場合はそれを使用すれば良いが、絞り器が付いていない場合には、手で直接モップ糸を掴んで絞るか、靴底で踏んで絞るようにしなければならず、非常に非衛生的であるとか、靴が濡れ易いと行った問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上述した従来の問題点に鑑み、水洗い時におけるモップ糸の絡み防止機能と、濡れたモップ糸の絞り機能とを備えた、衛生的で取り扱い易い水拭き用モップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明によれば、握持用の柄、上記柄の先端に取り付けられて下面に糸取付部を有する横長のモップ基台、上記モップ基台の糸取付部に取り付けられたモップ糸、上記モップ基台における糸取付部の長さに近似する横方向長さと、上記モップ糸の長さに近似する縦方向長さとを有し、基端部を上記モップ基台に該モップ基台の軸線と平行な軸線の回りに回動自在なるように連結されることにより、上記モップ糸に沿う方向に延びて該モップ糸の側面に接する絞り位置と、上記柄に沿う方向に延びて該柄に係止する反転位置とに変移可能なるように構成された硬質プレート状の回転板を備え、上記モップ基台が、角形断面を有する横長の棒状をしていて、上記糸取付部を形成する下面と、上記回転板側の第1側面と、反対側の第2側面と、上記柄が取り付けられた上面とを有し、該上面が、上記第1側面側から第2側面側に向けて次第に低くなるように傾斜していることを特徴とする水拭き用モップが提供される。
【0007】
上記構成を有するモップで清掃対象を拭き清掃するに当たり、モップ糸を容器内の水に浸して水を含ませる場合には、回転板を反転位置に回動させて柄に係止させた状態にしておく。すると、この回転板がモップ糸と実質的に同じ長さを有しているため、この回転板が障壁となってモップ糸がモップ基台を乗り越えることができなくなり、モップ糸の絡み合いが確実に防止される。
【0008】
また、濡れたモップ糸を絞る場合には、該モップ糸を容器に設けた絞り台の上に載置し、上記回転板をこのモップ糸の上に当接する絞り位置に回動させ、この回転板を靴で踏むなどして押圧する。この場合、上記回転板が、モップ基台における糸取付部の長さに近似する横方向長さとモップ糸の長さに近似する縦方向長さとを有しているため、モップ糸全体を簡単かつ効率良く絞ることができる。
また、モップ基台の上面をこのような向きに傾斜させることにより、モップ糸に水を含ませる場合に、該モップ糸が、回転板とは反対側の第2側面側からモップ基台の上面に乗り上げたとしても、該上面の傾斜に沿って滑り落ち、乗り上げ状態のまま相互に絡み合うようなことがない。
【0009】
本発明において好ましくは、上記回転板が、上記絞り位置に回動したとき外側を向く面に、モップ糸を絞る際に足で踏むための踏板を有していることである。より好ましくはこの踏板が、上記回転板に沿って縦方向にスライド自在であることである。また、上記回転板と踏板とは、複数の孔を有する穿孔板であることが望ましい。
回転板に上述したような踏板を設けることにより、モップ糸の絞り作業が非常に簡単になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る水拭き用モップの好ましい実施形態について説明する。図1〜図5に示す第1実施例のモップM1は、握持用の柄1と、該柄1の先端に取り付けられたモップ基台2と、該モップ基台2に取り付けられた多数のモップ糸3と、上記モップ基台2に回動自在に取り付けられた回転板4とを備えている。
【0013】
上記モップ基台2は、合成樹脂によって角形断面を有する横長の棒状に形成されたもので、上記モップ糸3を取り付けるための糸取付部となる下面10と、相対する第1側面11a及び第2側面11bと、上記柄1が取り付けられた上面12とを有している。この上面12は傾斜面となっていて、上記第1側面11a側から第2側面11b側に向けて次第に低くなる方向に傾斜しており、該上面12の中央部に上記柄1を接続するための筒状の接続部14が設けられ、この接続部14に上記柄1を差し込んで固定することにより、該柄1がモップ基台2の軸線に対して直角に取り付けられている。また、上記第1側面11aと第2側面11bとは、互いに平行であっても、あるいは上面12側に向かって互いの間隔が次第に狭まる方向に傾斜していても良い。この場合、第2側面11bは下面10と直角で、第1側面11aだけが次第に第2側面11b側に向けて傾斜していても良い。
【0014】
また、上記モップ糸3は、吸水性を有する細い繊維を複数本撚り合わせて数mmの太さ、具体的には3〜5mm程度の太さに形成されており、このような多数のモップ糸3が、上記モップ基台2の下面10の糸取付部に、該モップ基台2から下向きに延出するように束状に取り付けられている。
【0015】
さらに、上記回転板4は、足で踏んでも簡単には塑性変形しない程度の強度を備えた硬質の合成樹脂板又は金属板によって、角に丸みがついた略矩形形状に形成されたもので、上記モップ基台2における糸取付部の長さW2に近似する横方向長さW4と、上記モップ糸3の長さL3に近似する縦方向長さL4とを有し、その基端部が、上記モップ基台2における第1側面11a側の下端部寄りの位置に、2つのヒンジ機構15,15で該モップ基台2の軸線と平行な軸線の回りに回動自在なるように連結されている。これによって該回転板4は、図4又は図5に示すように上記モップ糸3に沿う方向に延びてモップ糸束3Aの側面に接する絞り位置イと、図1〜図3に示すように上記柄1に沿う方向に延びて該柄1に係止する反転位置ロとに変移可能である。
【0016】
上記回転板4を反転位置ロで柄1に係止させるため、該回転板4の中央先端部寄りの位置には、相対する一対の弾性挟持片17,17が設けられ、上記反転位置ロでこれらの弾性挟持片17,17間に柄1を弾力的に嵌合、挟持させるようにしている。また、この回転板4の上記絞り位置イに回動したとき外側を向く第1面4aは、モップ糸3を絞る際に足で踏むための踏面となっている。なお、この回転板4は、図示したように、複数の孔18を有する穿孔板であることが望ましいが、無孔板であっても構わない。。
【0017】
上記構成を有するモップM1は、通常のモップと同様に、モップ糸3に水を含ませて床面等の清掃対象を拭き清掃するが、その際、図6に示すように、モップ糸3に水を含ませるために該モップ糸3を容器19内の水20に浸すときは、上記回転板4を反転位置ロに回動させて柄1に係止させた状態にしておく。こうすることにより、この回転板4が、モップ基台2の長さW2と実質的に同じ横方向長さW4と、モップ糸3の長さL3と実質的に同じ縦方向長さL4とを有しているため、水中で上記モップ糸3が浮遊状態となっても、この回転板4が障壁となってモップ糸3がモップ基台2を乗り越えて反対側に延出することができず、この結果、モップ糸3の絡み合いが確実に防止される。
【0018】
この場合、上記モップ糸3は、回転板4の設置側である第1側面11a側からはモップ基台2上に全く乗り上げることはできない。一方、反対側の第2側面11b側からはモップ基台2の上面12に乗り上げることはできるが、該上面12は第2側面11b側が低い傾斜面となっているため、乗り上げたモップ糸3は、モップ基台2を水中から引き上げる際に該上面12から傾斜に沿って滑り落ち、乗り上げ状態のまま相互に絡み合うようなことがない。
【0019】
また、濡れたモップ糸3を絞る際には、図4又は図5に示すように、該モップ糸3を容器19の一部に設けた絞り台21かあるいは適宜の場所に横に引き延ばした状態に置き、上記回転板4を絞り位置イに回動させてモップ糸束3Aの上に当接させ、その状態でこの回転板4の踏面である第1面4aを靴で踏むなどして押圧することにより、上記モップ糸3を圧搾する。この場合、上記回転板4が、モップ糸3の長さL3と実質的に同じ縦方向長さL4と、モップ基台2の長さW2に近似する横方向長さW4とを有しているため、モップ糸3全体を簡単かつ効率良く絞ることができる。また、モップ糸3を直接靴で踏む場合には、該靴がモップ糸束内に食い込んで靴全体が水に濡れ易いが、この実施例では、硬質の回転板4を介してモップ糸3を踏むようにしているため、該回転板4が穿孔板であっても、孔18を通して第1面4a側に滲出する水で靴底が若干濡れる程度で、靴全体が濡れるようなことはない。
なお、濡れたモップ糸3を絞る場合、柄1を図4と図5の間の任意の角度に保って絞ることもできる。
【0020】
図7及び図8は本発明の第2実施例を示すもので、この第2実施例のモップM2は、回転板4Aに足で踏むための踏板5が設けられている点で上記第1実施例のモップM1と相違している。即ち、このモップM2の回転板4Aには、それが図7のように絞り位置イに回動したとき外側を向く第1面4aに、上記踏板5が該回転板4Aの縦方向にスライド自在なるように取り付けられている。この踏板5は矩形形状をしていて、その縦方向長さL5は、回転板4Aの縦方向長さL4(図3参照)の約1/2か、あるいは1/2前後に形成されており、また、その横方向長さW5は、回転板4Aの横方向長さW4(図3参照)より若干短く形成されている。
【0021】
上記踏板5をスライド自在に取り付けるため、上記回転板4Aには、その第1面4aの左右両側端部寄りの位置に、縦方向に延びる一対のレール30,30が平行に設けられると共に、これらのレール30,30よりもさらに側端部寄りの位置に、第1面4aから立ち上がる脚部31aと該脚部31aの上端から第1面4aと平行に延びる係止部31bとからなる逆L字形をした複数のフック31が形成されており、これに対して踏板5には、回転板4Aと接する第1面(下面)の左右両側端部寄りの位置に、上記レール30,30が摺動自在に嵌合する一対の摺動溝33,33が縦方向に形成されると共に、左右両側端部に、上記フック31の係止部31bの下面に摺動自在に係合する張出縁34がそれぞれ形成されている。この張出縁34は、踏板5の全長にわたり延びていて、その厚さは踏板5の厚さより薄く形成されており、これに合わせて上記各フック31が、踏板5より上方に突出しない高さに形成されている。
【0022】
かくして踏板5を回転板4Aに取り付けることにより、図7に示すように、該回転板4Aを絞り位置イに回動させてモップ糸3を絞る際に、該踏板5を足で踏みながら回転板4Aに沿ってスライドさせることにより、モップ糸3全体を満遍なく均等に絞ることができる。この場合、上記各フック31が踏板5の上面である第2面5aより低い位置に形成されていて、該上面より上方に突出していないため、踏板5を足で踏みながらスライドさせる際にこれらのフック31が邪魔になることがない。
【0023】
また、上記踏板5の上面である第2面5aには、その中央位置に縦向きに延びる円弧状の凹溝35が形成されていて、この凹溝35を挟んで相対する左右の領域に、複数の孔36がそれぞれ形成されると共に、複数の突条37が該踏板5の横幅方向に向けて平行に形成されている。上記凹溝35は、踏板5を図8に示す反転位置ロに回動させたとき、柄1が嵌合して該柄1と踏板5とがぶつからないようにするためのものであるが、踏板5を図7に示す絞り位置イに回動させてモップ糸3を絞る際に、該モップ糸3から滲出した水が孔36を通じて該踏板5上に溢れ出たとき、この水を速やかに回転板4A上に流下させる機能をも有している。これにより、靴を殆ど濡らすことなくモップ糸を絞ることができる。また、上記突条37は、足で踏板5をスライドさせるとき靴底に係止し、滑りにくくする機能を有している。
【0024】
なお、この第2実施例のように回転板4Aに踏板5を設け、この踏板5を介して回転板4Aを押圧する場合には、該踏板全体を通じて押圧力が均等に作用するため、該回転板4Aは局部的な変形を生じにくく、従って、その肉厚及び強度は第1実施例の回転板4よりも小さくすることができる。
【0025】
上記第2実施例の上記以外の構成及び作用は第1実施例と実質的に同じであるから、それらの同一構成部分に第1実施例と同じ符号を付してその説明は省略する。
【0026】
なお、上記各実施例では、モップ基台2の上面12が傾斜面となっているが、該上面12は必ずしも傾斜している必要はなく、下面10とほぼ平行する平らな面であっても良い。このようにモップ基台2の上面12が傾斜していない場合でも、第2側面11b側から一部のモップ糸3がこの上面12に乗り上げた場合、乗り上げたモップ糸3は、回転板4,4Aによって反対側の第1側面11a側に乗り越えるのが阻止され、上面12上に止まっているだけであるため、モップ基台2を水中から引き上げる際に該上面12から滑り落ち、乗り上げ状態のまま相互に絡み合うようなことはない。
【0027】
また、上記モップ基台2は、必ずしも各実施例に示すような角形断面の棒状をしている必要はなく、糸取付部となる下面10を備えていて、上記回転板4,4Aが取り付けられていれば、その他の断面形状を有していても良い。
【0028】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、水洗い時におけるモップ糸の絡み防止機能と、濡れたモップ糸の絞り機能とを備えた、衛生的で取り扱い易い水拭き用モップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水拭き用モップの第1実施例を示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の要部の背面図である。
【図4】水に浸したモップ糸の絞りかたの一例を示す側面図である。
【図5】水に浸したモップ糸の絞りかたの他例を示す側面図である。
【図6】モップ糸を水に浸した状態を示す断面図である。
【図7】本発明に係る水拭き用モップの第2実施例を示す要部斜視図で、回転板を絞り位置に回動させた状態を示すものである。
【図8】図7の第2実施例において、回転板を反転位置に回動させた状態を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
M1,M2 モップ
1 柄
2 モップ基台
3 モップ糸
4,4A 回転板
4a 第1面
5 踏板
10 下面(糸取付部)
11a 第1側面
11b 第2側面
12 上面
W2 糸取付部の長さ
W4 回転板の横方向長さ
L3 モップ糸の長さ
L4 回転板の縦方向長さ
Claims (4)
- 握持用の柄、
上記柄の先端に取り付けられて下面に糸取付部を有する横長のモップ基台、
上記モップ基台の糸取付部に取り付けられたモップ糸、
上記モップ基台における糸取付部の長さに近似する横方向長さと、上記モップ糸の長さに近似する縦方向長さとを有し、基端部を上記モップ基台に該モップ基台の軸線と平行な軸線の回りに回動自在なるように連結されることにより、上記モップ糸に沿う方向に延びて該モップ糸の側面に接する絞り位置と、上記柄に沿う方向に延びて該柄に係止する反転位置とに変移可能なるように構成された硬質プレート状の回転板を備え、上記モップ基台が、角形断面を有する横長の棒状をしていて、上記糸取付部を形成する下面と、上記回転板側の第1側面と、反対側の第2側面と、上記柄が取り付けられた上面とを有し、該上面が、上記第1側面側から第2側面側に向けて次第に低くなるように傾斜していることを特徴とする水拭き用モップ。 - 上記回転板が、上記絞り位置に回動したとき外側を向く面に、モップ糸を絞る際に足で踏むための踏板を有することを特徴とする請求項1に記載のモップ。
- 上記踏板が、上記回転板に沿って縦方向にスライド自在であることを特徴とする請求項2に記載のモップ。
- 上記回転板と踏板とが、複数の孔を有する穿孔板であることを特徴とする請求項2又は3に記載のモップ。
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