JP4288097B2 - 椅子用クッション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は椅子に着座する利用者が利用するのに好適する椅子用クッション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、車椅子などの介護用の椅子は、自力で歩行したり、身体を支えることができない老人や病人などに利用されることがある。そのような体力が低下した利用者が椅子を利用する場合、着座姿勢を確実に維持することが難しいということがある。
【0003】
とくに、介護用の椅子は、介護者が座部に着座した利用者を介護し易くしたり、利用者が着座し易いようにするなどのため、通常の椅子に比べて座部の幅寸法が大きく作られていることが多い。
【0004】
座部の幅寸法が大きいと、座部に着座した利用者の腰部の両側と、座部の幅方向両側に設けられた肘掛け体との間に大きな隙間が生じ易い。そのため、座部に着座した利用者の腰部がふらつき易くなるため、着座姿勢が維持できず、上半身が側方に倒れてしまうという虞がある。
【0005】
従来、椅子に着座した利用者が着座姿勢を確実に維持することができない虞がある場合、利用者の上半身をベルトによって椅子に保持するということが行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
体力の低下が著しい利用者の場合には、着座した利用者の上半身をベルトで椅子に保持することが要求されることがある。しかしながら、利用者の体力の低下が上半身をベルトで椅子に保持する程度に低下していない場合、上半身をベルトによって椅子に保持しなくとも、腰部を確実に保持することで、着座姿勢を維持することが可能であり、そのような状態の利用者にとっては上半身をベルトで保持することが苦痛であった。
【0007】
この発明は、椅子の座部に着座した利用者の身体の腰部を確実に保持することができるようにした椅子用クッション装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、椅子の座部に載置して用いられるクッション装置であって、
気密に形成され内部に空気を出し入れするための開閉可能な空気栓を有する袋状の外装体と、
この外装体内に設けられ上記空気栓を開放した状態で荷重を受けると圧縮変形する発泡弾性体と、
多数の粒状物及びこの粒状物が収容保持された通気性の保持袋からなり、上記発泡弾性体を圧縮変形させてから上記空気栓を閉じることで所定形状に維持される保形体を具備し、
上記外装体は気密性と可撓性を備えた2枚のシートによって気密な矩形袋状に形成され、上記発泡弾性体は上記外装体内の幅方向中央部分に設けられ、上記保形体は上記外装体内の上記発泡弾性体の両側に設けられていて、
上記外装体の上記発泡弾性体が設けられた部分と、上記保形体が設けられた部分は連通していることを特徴とする椅子用クッション装置にある。
【0010】
上記椅子の座部の両側には肘かけ体が設けられ、上記外装体の幅寸法は上記座部の幅寸法よりも大きく形成されていて、
上記一対の保形体は、上記一対の肘かけ体の内面に沿う形状に維持されることが好ましい。
【0011】
上記外装体には、上記発泡弾性体の両側に設けられた一対の保形体と対応する個所に上記空気栓がそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0012】
この発明によれば、発泡弾性体を圧縮するとともに保形体を所定の形状に変形させてから空気栓を閉じると、圧縮された発泡弾性体が復元しようとすることで、この発泡弾性体内に袋体内の空気が吸引されて保形体の粒状物が密着するから、上記保形体を変形させた形状に維持することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の一実施の形態を説明する。
【0014】
図1はこの発明の一実施の形態に係る椅子用クッション装置Aの斜視図である。この椅子用クッション装置Aはビニールなどの気密性と可撓性を備えた2枚のシート1aによって気密な矩形袋状に形成された外装体1を備えている。
【0015】
上記外装体1内には、図2(a)〜(c)に示すように幅方向中央部分にウレタンフォームなどからなる板状の発泡弾性体2が幅方向と交差する方向ほぼ全長にわたって設けられている。この発泡弾性体2の幅方向両側には保形体3が同じく幅方向と交差する方向ほぼ全長にわたって収容されている。
【0016】
上記保形体3は、メッシュなどの通気性を備えて材料によって形成された扁平状の保持袋4内に、ポリスチレン発泡ビーズなどの合成樹脂によって形成された多数の粒状物5が収容保持されてなる。
【0017】
上記外装体1を形成する2枚のシート1aは、周縁部を溶着するとともに、発泡弾性体2の両側と、この両側に設けられた保形体3との間の部分が部分的に溶着されている。
この実施の形態では図2(a)に示すように、発泡弾性体2の両側にはそれぞれ2つの溶着部6が設けられている。上記外装体1の上記溶着部6以外の個所では、上記発泡弾性体2と保形体3とが連通している。
【0018】
上記外装体1の一方のシート1aには、上記保持体3の長手方向一端部と対応する個所にそれぞれ開閉可能な一対の空気栓7が設けられている。この空気栓7を通じて外装体1内に空気を供給したり、外装体1内の空気を抜くことができるようになっている。
【0019】
図3(a),(b)は上記椅子用クッション装置Aを車椅子Bに利用する場合の図である。車椅子Bは本体11を有する。この本体11は一対の前輪12と、この前輪12よりも大径な一対の後輪13とによって走行可能な構成となっている。上記本体11には座部15が設けられている。この座部15の後端には背部16が立設され、両側には肘掛け体17が設けられている。
【0020】
図3(b)に示すように、上記座部15に上記椅子用クッション体Aが載置される。上記椅子用クッション装置Aは、幅寸法が上記座部15の幅寸法よりも大きく形成されている。この実施の形態では、クッション装置Aの発泡弾性体2の幅寸法が上記座部15の幅寸法とほぼ同じ或いはわずかに小さく設定されている。
【0021】
それによって、座部15に載置された椅子用クッション装置Aは発泡弾性体2の両側に設けられた一対の保形体3が肘掛け体17の内面に沿って屈曲することになる。
座部15に載置された椅子用クッション体Aは一対の空気栓7を開放しておく。この状態で、図3(a)に示すように利用者Uが座部15に利用者Uが座部15に載置されたクッション体Aの発泡弾性体2上に着座する。
【0022】
利用者Uが座部15に着座したならば、利用者Uの腰部の両側と肘掛け体17の内面との間に介在する一対の保持体3を変形させ、保持体3を利用者Uの腰部にフィットする形状、つまり腰部を確実に保持する形状に変形させる。それによって、体力が多少衰えた利用者Uであっても、座部15での着座姿勢を良好に維持することが可能となる。
【0023】
利用Uがクッション装置Aの発泡弾性体2上に着座することで、この発泡弾性体2が圧縮変形すると、発泡弾性体2に含まれた空気が一対の空気栓6から外装体1の外部に排出される。その状態で、利用者U或いは介護者が空気栓6を閉じる。
【0024】
空気栓6を閉じた状態で利用者Uが座部15から立ち上がると、発泡弾性体2に加わった荷重が除去されるから、この発泡弾性体2が復元しようとする。しかしながら、発泡弾性体2が収容された外装体1は空気栓6が閉じられ、気密状態にあるから、発泡弾性体2は外装体1の両側に収容された保形体3から空気を奪いながら復元する。
【0025】
発泡弾性体2が保形体3から空気を奪いながら復元するにともない、保形体3の保持袋4に収容された粒状物5の密着度合いが高まる。それによって、利用者が座部15から立ち上がっても、一対の保形体3は利用者Uの腰部にフィットした形状が維持されることになる。
【0026】
図2(b)は外装体1内に空気が充満した状態を示し、図2(c)は外装体1から空気が抜かれることで、保形体3から空気が奪われた状態を示す。つまり、椅子用クッション装置Aは、空気栓6を開けた状態で、利用者Uが座部15に着座した後、上記空気栓6を閉じることで、利用者Uの腰部にフィットした形状を維持し続けることになる。
【0027】
そのため、利用者Uが座部15から立ち上がった後、再び着座するということを繰り返しても、その都度、クッション装置Aの形状を利用者Uの腰部の形状に合うよう整えるということをせずに、上記椅子用クッション装置Aの一対の保形体3によって利用者Uの腰部を確実に保持することができる。つまり、保形体3の形状を利用者Uの腰部を確実に保持する形状に保つことができるから、利用者Uが着座する度にクッション装置Aの形状を整えるということをせずにすむ。
【0028】
上記発泡弾性体2は外装体1の幅方向中央部分に設けられているから、椅子Bの座部15に載置した場合、上記発泡弾性体2を座部15に確実に位置させることができる。そのため、利用者Uの臀部を弾性的に支持することができるばかりでなく、利用者Uが着座することで、確実に圧縮変形されるから、着座後に空気栓6を閉じることで、利用者Uが座部15から立ち上がった後、その復元力によって保形体3から確実に脱気することができる。
【0029】
外装体1の幅寸法は、座部15の幅寸法よりも大きく形成されている。そのため、外装体1を座部15に載置すると、その両側部に設けられた一対の保形体3が座部15の両側に設けられた肘掛け体17の内面と、利用者Uの腰部の両側との間に確実に介在するから、上記一対の保形体3を確実に両者Uの腰部の形状にフィットさせることができる。
【0030】
一対の空気栓6は保形体3に対応する部分に設けられている。そのため、外装体1を座部15に載置し、利用者Uが座部15に着座しても、上記空気栓6は利用者Uの背部から外れた位置になるから、利用者Uが座部15に着座しても、空気栓6の開閉操作が可能となる。
【0031】
この発明は上記一実施の形態に限定されるものでなく、たとえば外装体、発泡弾性体、粒状物などの材料は上記一実施の形態に挙げたものに限定されず、同等の作用を呈する材料であれば置換可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、外装体の両側に粒状物からなる保形体が設けられているから、この保形体によって利用者の腰部を確実に保持することが可能となる。
【0033】
しかも、外装体に設けられた発泡弾性体を圧縮するとともに保形体を所定の形状に変形させてから空気栓を閉じると、圧縮された発泡弾性体が復元しようとすることで、この発泡弾性体内に袋体内の空気が吸引されるから、上記保形体を変形させた形状に維持することができる。そのため、上記保形体を利用者にフィットした形状に維持できるため、繰り返して使用する場合に便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る椅子用クッション装置の斜視図。
【図2】(a)は椅子用クッション装置の平面図、(b)は内部に空気が充満した状態の断面図、(c)内部の空気を抜いた状態の断面図。
【図3】(a)は利用者が椅子にクッション装置を利用して着座した状態の斜視図、(b)は椅子にクッション装置を設けた状態の斜視図。
【符号の説明】
1…外装体、2…発泡弾性体、3…保形体、4…保持袋、5…粒状物、7…空気栓、15…座部、17…肘掛け体、A…椅子用クッション装置、B…椅子。
Claims (3)
- 椅子の座部に載置して用いられるクッション装置であって、
気密に形成され内部に空気を出し入れするための開閉可能な空気栓を有する袋状の外装体と、
この外装体内に設けられ上記空気栓を開放した状態で荷重を受けると圧縮変形する発泡弾性体と、
多数の粒状物及びこの粒状物が収容保持された通気性の保持袋からなり、上記発泡弾性体を圧縮変形させてから上記空気栓を閉じることで所定形状に維持される保形体を具備し、
上記外装体は気密性と可撓性を備えた2枚のシートによって気密な矩形袋状に形成され、上記発泡弾性体は上記外装体内の幅方向中央部分に設けられ、上記保形体は上記外装体内の上記発泡弾性体の両側に設けられていて、
上記外装体の上記発泡弾性体が設けられた部分と、上記保形体が設けられた部分は連通していることを特徴とする椅子用クッション装置。 - 上記椅子の座部の両側には肘かけ体が設けられ、上記外装体の幅寸法は上記座部の幅寸法よりも大きく形成されていて、
上記一対の保形体は、上記一対の肘かけ体の内面に沿う形状に維持されることを特徴とする請求項1記載の椅子用クッション装置。 - 上記外装体には、上記発泡弾性体の両側に設けられた一対の保形体と対応する個所に上記空気栓がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1記載の椅子用クッション装置。
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