JP4284733B2 - エージェント装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載され、ナビゲーション用の地図データに基づいてエージェント行為を行うエージェント装置に係り、詳細には、更新された現況に合わせた処理動作を行うことのできるエージェント装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両内においては、運転者による走行環境を向上させるようにしたものとして、ラジオやカセットテーププレーヤが搭載されている。しかし従来の車両におけるラジオ等では運転者に対して一方向の情報提示するにすぎず、双方向の会話等をすることができなかった。
一方、携帯電話等による場合には会話をすることができるが、コール待ち、ダイヤル等によって通話相手を捜さなければならなかった。またたとえ、通話相手が見つかったとしても、車両の状況といった運転者の一方的な都合にあわせた、適切な会話をしてくれるわけではなかった。
更に、上述のように、従来の車両には、車両の状態・運転者の状態等に応じて行為を行う、擬人化されたエージェントが存在しないため、車両が愛着のわかないただの乗り物としての道具でしか役割を持たない場合もあった。
【0003】
なお、運転者に対する情報の伝達を、人間の表情や動作などにより行うようにした技術が特開平9−102098号公報において提示されている。
しかし、この公報に記載された技術は、過去の運転者の応答等の履歴や性別、年齢等のユーザ情報などに基づいて表示が変わるわけではなく、同一の状況が生じた場合には常に同一の表示がされるものである。すなわち、限られたセンサ出力に対して常に同一の表示を行うものであり、視認性が向上された従来の計器類の範疇に入るべきものである。
【0004】
この様な問題点に対しては、車両や運転者の状況等に基づいた行為を行うエージェントを出現させ、エージェントの行為によって種々の情報を伝達し、且つ運転者とのコミュニケーションをはかるエージェント装置が考えられる。エージェントの行為は、車両の状況のみでなく運転者の状況、過去のこれらの状況等にも基づいたものとすることによって、より運転者に適切な対応が可能となる。また、運転者に適合した対応に加えてエージェントを擬人化することにより、車両を、運転者にとって一層愛着の湧くものとすることが可能である。
このエージェント装置は、地図データに基づいて経路案内を行うナビゲーションシステムとともに搭載することにより、ナビゲーションシステムの操作時の目的地や経由地、経路の選択等の入力操作を省略したり少なくすることが可能である。例えば、よく行く店等の運転者の嗜好や傾向をエージェント装置に学習させ、目的地入力時における表示装置への参照表示を運転者がよく行く店の順番とする等である。また、経路案内を、運転者が選択したエージェントの音声により行うこと等も可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ナビゲーションシステムにおいては、地図データはCD等の記憶媒体に格納されており、経路探索時に必要なデータを読み出して使用するようになっている。この地図データは、新しい高速道路やランドマークとなる建築物の建設等、道路やその周囲の状況の変化に合わせて、更新されたものが作成されており、CD等を新しいものに交換することにより、現況に即した経路探索や経路案内を可能としている。
【0006】
しかし、上述のようにエージェント装置がナビゲーションシステムと関わる処理や動作を行う場合には、地図データが改訂等により更新された場合、エージェント装置とナビゲーションシステムとの間における処理や動作に整合性がとれなくなる場合がある。
例えば、エージェント装置がレストランとその利用回数との対応を地域毎に学習しており、経路案内の目的地設定においてレストランを選択し地域を指定するとエージェント装置によりその地域内にあるレストランが利用回数の多い順にリスト表示されるようになっているとする。この場合、頻繁に行っていたレストランが無くなって新しい地図データに含まれていない場合、エージェント装置によってそのレストランが表示装置に表示されても、ナビゲーションシステムにおいてこのレストランを目的地とした経路が探索されることはない。
【0007】
また、エージェント装置のエージェント処理に関するソフトウェア(プログラム)がバージョンアップ等によって改訂された場合、その改訂にあわせて学習内容を更新しないと、エージェント装置とナビゲーションシステムとの間における処理や動作が、改訂に合わせたものとならず、改訂が有効に生かされない場合がある。
例えば、上述のように運転者が指定した地域内のレストランを利用回数の多い順に表示させる場合に、ソフトウエアの改訂により今までよりも詳細な地域毎にレストランを選択するようになれば、既にある、地域毎のレストランと利用回数との対応の学習データを、新しい詳細な地域毎のデータとして格納し直す必要がある。
【0008】
更に、エージェント装置の学習データがエージェント装置や車両と一体となっていると、エージェントの学習機能を生かせない場合がある。即ち、エージェント装置による学習結果は運転者毎に異なるものとなっており、車両を買い替えた場合や、レンタカー等通常と異なる車両を使用する場合には、今まで蓄積されたデータを備えていない(学習していない)エージェントによるエージェント行為が行われ、今までの学習結果が生かされないことになる。また、通常と異なる車両を一時的に使用している際に取得される学習データは、通常の車両には蓄積されないことになる。
このように、車両にエージェント装置を備えた場合、エージェント装置のエージェントシステムの改訂やナビゲーション装置の地図データの交換、車両の変更等、現況の変化によって、学習データとそのデータを用いたシステムや他のデータとの整合性がとれず、十分な機能が果たせなくなる恐れがある。
【0009】
本発明は、上述のような課題を解決するために提案されたもので、更新された現況に合わせた処理動作を行うことのできるエージェント装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1に記載した発明では、経路案内を行うナビゲーションシステムの地図データと、擬人化されたエージェントを車両内に出現させるエージェント出現手段と、車両の状況を判断する状況判断手段と、前記エージェントに対するユーザの応答に基づく応答データを記憶する応答データ記憶手段と、前記状況判断手段により判断された車両の状況と、前記記憶した応答データ、及び前記地図データとに基づいて、前記出現させるエージェントの行為を決定するエージェント行為決定手段と、前記記憶された応答データが交換された場合、又は前記地図データが更新された場合に、前記応答データと前記地図データの両方に整合したエージェントの行為が決定されるように、前記記憶された応答データを調整する調整手段とを具備することを特徴とするエージェント装置を提供する。
(2)請求項2記載の発明では、前記調整手段は、前記エージェント行為決定手段を含むプログラムが更新された場合にも、前記記憶された応答データの調整を実施することを特徴とする請求項1に記載のエージェント装置を提供する。
(3)請求項3記載の発明では、前記調整手段は、地図データを更新前と更新後で比較する比較部を備え、該比較部による比較結果に基づいて、前記記憶された応答データを調整することを特徴とする請求項1に記載のエージェント装置を提供する。
(4)請求項4記載の発明では、前記調整手段は、前記エージェント行為決定手段の更新前と更新後を比較する比較部を備え、該比較部による比較結果に基づいて、前記記憶された応答データを調整することを特徴とする請求項2に記載のエージェント装置を提供する。
(5)請求項5記載の発明では、前記応答データ記憶手段が、独立して持ち運び可能な記録媒体と、該記録媒体について、データを入出力する記録媒体駆動装置とを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1の請求項に記載のエージェント装置を提供する。
(6)請求項6記載の発明では、前記状況判断手段は、車両の状況として、車両自体の状況、車両内部の状況、車両外部の状況、を判断することを特徴とする請求項1に記載のエージェント装置を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエージェント装置における好適な実施の形態について、図1から図16を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態のエージェント装置では、擬人化されたエージェントを画像(平面的画像、ホログラフィ等の立体的画像等)により車両内に出現させる。そして、車両自体、運転者、同乗者、対向車等を含む車両の状況の判断と学習(状況の学習だけでなく運転者の応答や反応等も含む)をし、各時点での車両状況とそれまでの学習結果に基づいて、エージェントが運転者や車両に対して様々なバリエーションをもった対応(行為=行動と音声)をする。
ここで、本実施形態において擬人化されたエージェントとは、特定の人間、生物、漫画のキャラクター等との同一性があり、その同一性のある生物が、同一性・連続性を保つようなある傾向の出力(動作、音声による応答)を行うものである。また、同一性・連続性は特有の個性を持つ人格としても表現可能で、電子機器内の一種の疑似生命体としても捉えることができる。車両内に出現させる本実施形態のエージェントは、人間と同様に判断し、心理状態を有する疑似人格化(仮想人格化)された主体である。従って、エージェントの対応は、同一の車両状況であっても、運転者の対応等の積み重ねによって変化していく。
本実施形態中において、車両内に出現するエージェントは、車両自体や運転者を含む車両の状況を判断して経路案内の目的地入力や機器の作動等種々の動作を運転者に代わり行ったりその手助けを行う。更に車両の状況や運転者の応答等を学習し、この学習結果を含めた判断により各種行為を行うものとなっている。従って、同一の車両状況であっても過去の学習内容等に応じてエージェントのコミュニケーションの内容は異なる。ときには、車両の走行には関係ない範囲での判断ミスも有り、この判断ミスによる不要な(ドジな)応答をすることもある。そして運転者の応答により、判断ミスか否かを判定し、学習する。
従って、エージェントの運転者に対する対応は、今まで蓄積された運転者とのやりとり等で変化し決定された人間的なものとなり、運転者は、自分とのやりとり等から決定された行為を行う自分固有のエージェントと車両内で人間的につき合う(コミュニケーションする)ことが可能となり、車両内での環境が快適なものとなる。
【0023】
本実施形態中においてエージェントは、経路案内において、目的地設定、経路の選択、及び経路案内時の音声案内等の各種ナビゲーション処理のアシストを行う。
エージェントの機能を実現するためのプログラムと、エージェントの学習データ(学習項目データ及び応答データ、目的地設定データ、経路選択嗜好データ等)と、ナビゲーションシステムの地図データとは、それぞれ別個の領域に格納されており、かつ、それぞれが独立して交換可能な状態で格納保存されている。従って、ナビゲーションシステムにおける目的地の設定や経路の選択、経路の音声案内以外の各種行為は、ナビゲーションシステムを具備しない車両においても同様に機能するようになっている。また、ナビゲーションシステムによる経路案内はエージェント装置を備えない車両においても可能であり、この場合目的地設定、経路の選択は、運転者とナビゲーションシステムとの直接の入出力によって行われ、また、経路の音声案内はエージェントの音声ではなく、ナビゲーションシステムにより設定された音声により行われる。
【0024】
エージェントの学習データは、ICカード等の持ち運び可能な記憶媒体に出力可能になっており、該記憶媒体の駆動装置によって読み込んで更新可能になっており、ICカードを変えることによって、学習データを交換してその運転者独自のデータを利用できるようになっている。
また、経路探索に用いられる地図データは、CD等の記憶媒体に記憶され、該記憶媒体の駆動装置によって出力されるようになっており、CDを取り替えることによって、同一地域についての地図データも、より詳細なものや、新しいものに交換することができるようになっている。経路案内に使用した地図データのバージョンが記憶されるようになっており、経路案内の目的地設定の際には過去の地図データのバージョンと今回使用される地図データのバージョンとが比較され、地図データが更新されているかが検出されるようになっている。そして、新しい状況データや地図データが読み込まれて更新されると、地図データにあわせて状況データが変更され、目的地設定及び経路選択において学習データに基づいて地図データと対応した目的地や経路を選択できるようになっている。
【0025】
(2)実施形態の詳細
図1は、本実施形態におけるエージェント装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態では、コミュニケーション機能全体を制御する全体処理部1を備えている。この全体処理部1は、設定した目的地までの経路を探索して音声や画像表示により案内するナビゲーション処理部10、エージェント処理部11、ナビゲーション処理部10とエージェント処理部11に対するI/F部12、エージェント画像や地図画像等の画像出力や入力画像を処理する画像処理部13、エージェント音声や経路案内音声等の音声出力や入力される音声を制御する音声制御部14、及び車両や運転者に関する各種状況の検出データを処理する状況情報処理部15を有している。
エージェント処理部11は、車両自体の状況や運転者による応対等の車両の状況を学習し、現在の車両の状況と合わせて車両内にエージェントを出現させ、このエージェントの行為を制御するようになっている。
【0026】
ナビゲーション処理部10とエージェント処理部11は、データ処理及び各部の動作の制御を行うCPU(中央処理装置)と、このCPUにデータバスや制御バス等のバスラインで接続されたROM、RAM、タイマ等を備えている。両処理部10、11はネットワーク接続されており、互いの処理データを取得することができるようになっている。
ROMはCPUで制御を行うための各種データやプログラムが予め格納されたリードオンリーメモリであり、RAMはCPUがワーキングメモリとして使用するランダムアクセスメモリである。
【0027】
本実施形態のナビゲーション処理部10とエージェント処理部11は、CPUが、ROMに格納された各種プログラムを読み込んで各種処理を実行するようになっている。
本実施形態のエージェント処理部10は、状況判断手段として、状況センサ部40や入力装置22からの情報を状況情報処理部15を介して取得し、これらに基づいて車両の状況を判断する。
また、エージェント処理部10は、エージェント行為決定手段として、状況についてのデータ及び地図データとに基づいてエージェントの行為を決定する。この場合エージェント行為決定手段としてのエージェント処理部10は、状況センサ部40や入力装置22からのデータ、エージェントデータ記憶手段29に記憶される状況についてのデータ(学習項目データ292、応答データ293、目的地設定データ、経路選択嗜好データ296)、及び、ナビゲーションデータ記憶装置30に記憶される地図データとに基づいてエージェントの行為を決定する。更に、エージェント処理部10は、エージェント制御手段として、画像処理部13や音声制御部14を制御することにより、エージェント行為決定手段として決定したエージェントの行為をエージェント出現手段により出現されるエージェントに行わせる。
また、エージェント処理部10は、調整手段として、状況についてのデータと地図データのうちの一方が交換された場合に、状況についてのデータを調整してエージェントの行為が状況についてのデータと地図データの両方に整合させる。この整合は、交換される状況についてのデータまたは地図データを、交換前と交換後について比較し(比較部としての機能)、比較結果に基づいて、状況についてのデータを書き換える(状況データ書き換え部としての機能)ことによって行われる。
エージェント処理部11は、CD−ROMに記憶されその駆動装置から読み出される地図データをナビゲーション処理部10を介して取得する。地図データはCD−ROMに記憶されている。そして、エージェント処理部11は、地図データが必要のない処理については地図データが取得されなくても機能するようになっており、地図データに対して独立して動作及び交換可能となっている。
【0028】
ナビゲーション処理部10には、現在位置検出装置21とナビゲーションデータ記憶装置30が接続され、エージェント処理部11にはエージェントデータ記憶装置29が接続されている。また、I/F部12には入力装置22、記憶媒体駆動装置23、及び通信制御装置24が接続され、画像処理部13には表示装置27及び撮像装置28が接続され、音声制御部14には音声処理装置25及びマイク26が接続され、状況情報処理部15には状況センサ部40が接続されている。
【0029】
現在位置検出装置21は、車両の絶対位置(緯度、経度による)を検出するためのものであり、人工衛星を利用して車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System)受信装置211と、方位センサ212と、舵角センサ213と、距離センサ214と、路上に配置されたビーコンからの位置情報を受信するビーコン受信装置215等が使用される。
GPS受信装置211とビーコン受信装置215は単独で位置測定が可能であるが、GPS受信装置211やビーコン受信装置215による受信が不可能な場所では、方位センサ212と距離センサ214の双方を用いた推測航法によって現在位置を検出するようになっている。
方位センサ212は、例えば、地磁気を検出して車両の方位を求める地磁気センサ、車両の回転角速度を検出しその角速度を積分して車両の方位を求めるガスレートジャイロや光ファイバジャイロ等のジャイロ、左右の車輪センサを配置しその出力パルス差(移動距離の差)により車両の旋回を検出することで方位の変位量を算出するようにした車輪センサ、等が使用される。
舵角センサ213は、ステアリングの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転抵抗ボリューム等を用いてステアリングの角度αを検出する。
距離センサ214は、例えば、車輪の回転数を検出して計数し、または加速度を検出して2回積分するもの等の各種の方法が使用される。
【0030】
入力装置22は、車両の状況としてのユーザに関する情報(年齢、性別、趣味など)を入力するためのものである。なお、これらユーザに関する情報は、入力装置22からユーザが入力する場合に限らず、例えば、プロ野球が好きか否か、好きな球団名等に関する各種問い合わせをエージェントがユーザに行い、ユーザの回答内容から取得するようにしてもよい。
入力装置22は、本実施形態によるエージェントのその他全ての問い合わせ等に対して運転者が応答するための1つの手段でもある。
入力装置22は、ナビゲーション処理における走行開始時の現在地(出発地点)や目的地(到達地点)、情報提供局へ渋滞情報等の情報の請求を発信したい車両の所定の走行環境(発信条件)、車内で使用される携帯電話のタイプ(型式)などを入力するためのものでもある。
入力装置22には、タッチパネル(スイッチとして機能)、キーボード、マウス、ライトペン、ジョイスティック、赤外線等によるリモコン、音声認識装置などの各種の装置が使用可能である。また、赤外線等を利用したリモコンと、リモコンから送信される各種信号を受信する受信部を備えてもよい。リモコンには、画面上に表示されたカーソルの移動操作等を行うジョイスティックの他、メニュー指定キー(ボタン)、テンキー等の各種キーが配置される。
【0031】
記録媒体駆動装置23は、ナビゲーション処理部10やエージェント処理部11が各種処理を行うためのコンピュータプログラムやデータを外部の記録媒体から読み込むのに使用される駆動装置である。
ここで、記録媒体とは、コンピュータプログラムが記録される記録媒体をいい、具体的には、フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、メモリチップやICカード等の半導体記録媒体、CD−ROMやMO、PD(相変化書き換え型光ディスク)等の光学的に情報が読み取られる記録媒体、紙カードや紙テープ、文字認識装置を使用してプログラムを読み込むための印刷物等の用紙(および、紙に相当する機能を持った媒体)を用いた記録媒体、その他各種方法でコンピュータプログラムやデータが記録される記録媒体が含まれる。
【0032】
記録媒体駆動装置23は、これらの各種記録媒体からコンピュータプログラムやデータを読み込む他に、記録媒体がフロッピーディスクやICカード等のように書き込み可能な記録媒体である場合には、ナビゲーション処理部10やエージェント処理部11のRAMや記憶装置29、30のデータ等をその記録媒体に書き込むことが可能である。
例えば、ICカードにエージェント機能に関する学習内容(学習項目データ、応答データ)やユーザ情報等のデータを記憶させ、他の車両を運転する場合でもこれらを記憶させたICカードからデータを読み出させて使用することで、自分の過去の応対の状況に応じて学習された同一心理状態のエージェントとコミュニケーションすることが可能になる。これにより、車両毎のエージェントではなく、運転者毎に固有な学習内容のエージェントを車両内に出現させることが可能になる。
【0033】
通信制御装置24は、各種無線通信機器からなる携帯電話が接続されるようになっている。通信制御装置24は、電話回線による通話の他、道路の混雑状況や交通規制等の交通情報に関するデータなどを提供する情報提供局との通信や、車内での通信カラオケのために使用するカラオケデータを提供する情報提供局との通信を行うことができるようになっている。
また、通信制御装置24を介して、エージェント機能に関する学習データや、エージェントの心理状態を決定する際に使用するエージェントメンタルモデルの各パラメータの指数等を送受信することも可能である。
【0034】
音声出力装置25は、車内に配置された複数のスピーカで構成され、エージェント処理部10やナビゲーション処理部11の制御の下で音声制御部14で制御された音声、例えば、エージェントの行動に合わせた音声や音、ナビゲーション装置を利用する場合の目的地等の設定等の各種操作時の操作説明やコメント、音声入力された場合のアンサーバック、経路案内を行う場合の案内音声が出力されるようになっている。
この音声出力装置25からの音声による案内情報等の出力には、予めテープに録音された音声や、音声合成装置による合成音、または、これら両者が使用される。ナビゲーション装置を利用する場合の操作説明、コメント、アンサーバック、および経路案内は、エージェント装置を利用している場合には運転者の選択しているエージェントの音声で行われ、エージェント装置を利用していない場合には、ナビゲーション装置独自の音声で行われるようになっている。
この音声出力装置25は、オーディオ用のスピーカと兼用するようにしてもよい。なお、音声制御部14は、運転者のチューニング指示の入力に応じて、音声出力装置25から出力する音声の音色やアクセント等を制御することが可能である。
【0035】
マイク26は、音声制御部14における音声認識の対象となる音声を入出力する音声入出力手段として機能する。
、例えば、ナビゲーション処理における目的地等の入力音声や、エージェントとの運転者の会話(応答等)等を入出力する音声入力手段として機能する。このマイク26は、通信カラオケ等のカラオケを行う際のマイクと兼用するようにしてもよく、また、運転者の音声を的確に収集するために指向性のある専用のマイクを使用するようにしてもよい。
尚、音声出力装置25とマイク26とでハンズフリーユニットを形成させること等によって、携帯電話を介さずに、電話通信における通話を行えるようにしてもよい。
マイク26から音声認識の対象となる音声が入力されると、音声制御部14は、マイク26から入力される音声信号をディジタル信号に変換し、このディジタル信号から特徴パラメータを抽出し、この特徴パラメータを音声認識辞書の標準パターンと比較して、入力された音声を認識し、認識した音声の内容に従って、ナビゲーション処理部11に対する入力信号を生成する。音声制御部14では、入力部16で入力可能なキーに対応する音声の特徴パラメータを音声認識用の辞書として最低限有している。従って、本実施形態における代表目的地設定を含む目的地設定において、表示装置27に表示されてタッチパネルから入力可能な各種キーにも対応しており、目的地設定時の地名やジャンル等も認識対象となっている。
【0036】
表示装置27には、ナビゲーション処理部10の処理による経路案内用の道路地図や各種画像情報が表示されたり、エージェント処理部11によるエージェントの各種行動(動画)が表示されたりするようになっている。また、撮像装置28で撮像された車両内外の画像も画像処理部13で処理された後に表示されるようになっている。
表示装置27は、液晶表示装置、CRT等の各種表示装置が使用される。
なお、この表示装置27は、例えばタッチパネル等の、前記入力装置22としての機能を兼ね備えたものとすることができる。
【0037】
撮像装置28は、画像を撮像するためのCCD(電荷結合素子)を備えたカメラで構成されており、運転者を撮像する車内カメラの他、車両前方、後方、右側方、左側方を撮像する各車外カメラが配置されている。撮像装置28の各カメラにより撮像された画像は、画像処理部13に供給され、画像認識等の処理が行われ、各認識結果をエージェント処理部11によるプログラム番号の決定やエージェントメンタルモデルの各パラメータ指数の取得にも使用するようになっている。
【0038】
エージェントデータ記憶装置29は、本実施形態によるエージェント機能を実現するために必要な各種データ(プログラムを含む)が格納される記憶装置であり、状況についてのデータを、地図データに対して独立して交換可能な状態で記憶する状況データ記憶手段としての機能を有する。
本実施形態においては、エージェントデータ記憶装置29として、ハードディスクやEPROM等の書き換え可能で不揮発性の記憶媒体とその駆動装置が使用されている。そして、記憶媒体駆動装置23から新たなデータやプログラムを読み込むことにより、各種データやプログラムを交換する(書き換える)ことができるようになっている。
なお、エージェント記憶装置29として、フロッピーディスクや、ICカード等、持ち運びおよび交換可能な各種記録媒体とその駆動装置を使用し、この記憶媒体を交換することにより、データやプログラムを交換するようにしてもよい。
また、例えば、学習項目データ292、応答データ293、エージェントメンタルモデル295を持ち運びが容易なICカードやフロッピーディスクで構成し、その他のデータをハードディスクで構成するというように、複数種類の異なる記録媒体と駆動装置で構成し、駆動装置としてそれらの駆動装置を用いるようにしてもよい。
【0039】
エージェントデータ記憶装置29には、エージェントプログラム290、プログラム選択テーブル291、学習項目データ292、応答データ293、図4に例示したエージェントの容姿や行動を画像表示するための画像データ294、目的地設定データ295、経路選択嗜好データ296、バージョンデータ297、その他のエージェントによる処理に必要な各種のデータが格納されている。
【0040】
学習項目データ292及び応答データ293は、運転者の運転操作や応答によってエージェントが学習した結果を格納するデータである。従って、学習項目データ292と応答データ293は、各運転者毎にそのデータが格納・更新(学習)されるようになっている。
画像データ294に格納される容姿としては、人間(男性、女性)的な容姿である必要はなく、例えば、ひよこや犬、猫、カエル、ネズミ等の動物自体の容姿や人間的に図案化(イラスト化)した動物の容姿であってもよく、更にロボット的な容姿や、特定のキャラクタの容姿等であってもよい。またエージェントの年齢としても一定である必要がなく、エージェントの学習機能として、最初は子供の容姿とし、時間の経過と共に成長していき容姿が変化していく(大人の容姿に変化し、更に老人の容姿に変化していく)ようにしてもよい。画像データ294には、これらの各種エージェントの容姿の画像が格納されており、運転者の好みによって入力装置22等から選択することができるようになっている。
【0041】
エージェントプログラム290には、エージェント機能を実現するためのエージェント処理プログラムや、エージェントと運転者とがコミュニケーションする場合の細かな行動を表示装置27に画像表示すると共にその行動に対応した会話を音声出力装置25から出力するためのコミュニケーションプログラムがプログラム番号順に格納されている。
このエージェントプログラム290には、各プログラム番号の音声に対して複数種類の音声データが格納されており、運転者は前記エージェントの容姿の選択と併せて音声を入力装置22等から選択することができるようになっている。エージェントの音声としては、男性の音声、女性の音声、子供の音声、機械的な音声、動物的な音声、特定の声優や俳優の音声、特定のキャラクタの音声等があり、これらの中から適宜運転者が選択する。なお、この音声と前記容姿の選択は、適時変更することが可能である。
【0042】
プログラム選択テーブル291は、エージェントプログラム290に格納されているコミュニケーションプログラムを選択するためのテーブルである。
図2はプログラム選択テーブル291を表したものであり、図3はプログラム選択テーブル291で選択される各プログラム番号に対応した、エージェントの行為(行動と発声)内容を表したものである。
この図2、図3で示されているプログラム番号は、エージェントプログラム290に格納されている各コミュニケーションプログラムの番号と一致している。
【0043】
図4は、図2、図3のプログラム番号00001により表示装置27に表示されるエージェントの「かしこまってお辞儀」行動についての数画面を表したものである。
この図4に示されるように、エージェントEは、口元を引き締めると共に手を膝に当てながら、お辞儀をすることでかしこまったお辞儀であることが表現されている。
【0044】
このプログラム番号00001の「かしこまってお辞儀」は、図2のプログラム選択テーブル291に示されるように、通算駆動回数が10回以下であり、エンジンの冷却水温が適温である等の条件が満たされている場合に起動される。他の条件が同じであって、エンジンの冷却水温度が低い場合には、プログラム番号00003の「眠そうにかしこまってお辞儀」が選択される。眠そうな表現としては、瞼が下がった表情にしたり、あくびや伸びをした後に所定の行動(お辞儀等)をしたり、最初に目をこすったり、動きや発声を通常よりもゆっくりさせたりすることで表すことができる。これらの眠そうな表現は、常に同一にするのではなく、行動回数等を学習することで適宜表現を変更する。例えば、3回に1回は目をこすり(行動A)、10回に1回はあくびをするようにし(行動B)、それ以外では瞼が下がった表情(行動C)にする。これらの変化は、行動Aや行動Bの付加プログラムを行動Cの基本プログラムに組み合わせることで実現される。そして、どの行動を組み合わせるかについては、基本となる行動Cのプログラム実行回数を学習項目として計数しておき、回数に応じて付加プログラムを組み合わせるようにする。
【0045】
図2に表示された各項目は、各プログラム番号を選択するための選択条件を表したもので、状態センサ40により検出される車両や運転者の各種状況から決定される項目(時間、起動場所、冷却水温、シフトポジション位置、アクセル開度等)、学習項目データ292や応答データ293に格納されている学習内容から決定される項目(今日のIG ON回数、前回終了時からの経過時間、通算起動回数等)ある。
プログラム選択テーブル291中で、これら全項目を満足するプログラムは必ず一義的に決定されるようになっている。なお、テーブル中で「○」印は、そのプログラム番号が選択されるために満たす必要がある項目を示し、無印はそのプログラム番号が選択されるために満たしてはいけない項目を示し、「−」印はそのプログラムの選択には考慮されない項目を示している。
【0046】
図1における、学習項目データ292と応答データ293とは共にエージェントの学習により格納、更新されるデータである。
図5は学習項目データ292の内容を概念的に示す説明図であり、図6は、応答データ293の内容を概念的に示す説明図である。
学習項目データ292には、図5に示されるように、プログラム選択テーブル291(図2)の選択条件を決定する通算起動回数、前回終了日時、今日のイグニッションON回数、前5回の給油時残量等が格納され、選択条件により選択されたプログラムを起動するか否か(お休みするか否か)を決定するためのお休み回数/日時、デフォルト値、その他のデータが格納される。
【0047】
通算起動回数には、イグニッションを起動した通算回数が格納され、イグニッションがONされる毎にカウントアップされる。
前回終了日時には、イグニッションをOFFにする毎にその日時が格納される。
今日のイグニッションON回数には、その日におけるイグニッションONの回数と、1日の終了時間が格納される。イグニッションがONされる毎にカウントアップされるが、1日が終了するとデータが”0”に初期化される。1日の終了時間はデフォルト値として24:00が格納されている。この時間はユーザ(運転者)の生活パターンによって変更することが可能である。時間が変更された場合には、変更後の時間が格納される。
【0048】
前5回の給油残量には、燃料(ガソリン)を給油する直前に検出された燃料の残量が格納され、新たに給油される毎に各データが左側にシフトされ(最も古い最左のデータが削除される)今回給油直前の残量が一番右側に格納される。
このデータは、後述する燃料検出センサ415の検出値G1が、全5回分の給油残量の平均値G2以下(G1≦G2)になった場合に、エージェントEが表示装置27に現れて給油を促す行動が表示装置27に表示され、「おなかが減ったなあ!ガソリンがほしいな!」等の音声が音声出力装置25から出力される。
【0049】
お休み回数/日時には、該当するコミュニケーションプログラムが選択されたとしても実行せずにお休みした回数等が各プログラム番号毎に格納される。このお休み回数/日時は、例えば後述するエアコンの停止を提案するエージェントの行為(プログラム番号00123)のように、学習項目としてお休み項目が設定されているエージェント行為について格納される。
エージェントの提案や会話に対する運転者の応答が、拒否(拒絶)であった場合や無視(又は無応答)であった場合、コミュニケーションプログラムに応じて選択的に「お休み」が設定される。
【0050】
デフォルト値には、時間、回数、温度、車速、日時等の各項目に対する初期設定値が格納されており、前記した1日の終了時間のように学習項目の中で変更された値を初期値に戻す場合に使用される。
学習項目データ292に格納されるその他のデータとしては、例えば、運転者やその関係者の誕生日(これはユーザ入力項目である)、祭日とその言われ、クリスマス、バレンタインデー、ホワイトデー等のイベント日などが格納される。各イベント日に応じた特別メニューのコミュニケーションプログラムも用意されており、例えば、クリスマスイブにはサンタクロースに変装したエージェントが現れる。
【0051】
図6の応答データ293には、エージェントの行為に対するユーザの応答の履歴が、ユーザ応答を学習項目とする各コミュニケーションプログラム番号毎に格納される。ユーザ応答データは、図6(A)のコミュニケーションプログラム番号00123、00125のように最新の応答日時と応答内容が所定回分(プログラム番号00123は2回分)格納されるものと、プログラム番号00124のように最新の応答内容のみが1回分格納される(従って応答がある毎に更新される。)ものと、最新の応答内容のみが所定回分格納されるものと、最新の日時と応答内容が一回分格納されるものと、最新の日時だけが1回分または所定回分格納されるもの等がある。
図6(A)中に表示された記号A、B、Cは応答内容を表すもので、同図(B)に示すように、記号Aが無視された場合、記号Bが拒絶された場合、記号Cが受容された場合を表す。運転者の応答内容については、マイク26から入力される運転者の音声に対する音声認識の結果や、入力装置22による入力結果から判断される。
【0052】
図7に示す目的地設定データ295には、状況検出センサから検出される状況とその状況下におけるナビゲーションシステムの目的地との対応に関する学習データが格納されている。
本実施形態のエージェント装置が搭載される車両におけるナビゲーションシステムでは、経路検索の目的地の設定は、設定方法(地名から入力、電話番号から入力、ジャンル別に選択して入力)や地域(都道府県、市や区)等の条件を選択しながら下の階層に絞り込んで設定する階層式の設定方法となっている。そして、各階層において、その下の階層を表示装置に表示させ、タッチパネル式に選択したりマイクから音声入力することによって、下の階層を選択するようになっている。
【0053】
目的地設定データ295は、表示装置に表示させる下の階層を運転者が選択する可能性の高い順に表示させるための学習データである。
この学習データにおいて、レストラン利用種別(5:00〜11:00、11:00〜14:00、・・・)には、それぞれの時間帯(5:00〜11:00、11:00〜14:00、・・・)において過去に目的地として設定されたレストランの種別(和食、中華料理、イタリア料理、フランス料理、寿司、・・・等)とその設定回数との対応が格納される。この設定回数は、設定されると一旦RAMの所定領域の時間別の種別のフラグがONされ、イグニッションOFF時に、ONとなっているフラグの種別の回数が増加されるようになっている。
地域種別レストランには、レストランとその利用回数が対応して格納されている。レストランは、地域別かつ上記利用種別の種別に格納されている。したがって、目的地設定時に、現在時刻からレストラン利用種別のデータに基づいて運転者のレストランの利用種別を取得し、この利用種別と、さらに現在位置検出装置21によって検出された車両の現在位置とから、現在位置周辺で利用回数が多いレストラン(目的地として設定される可能性の大きいレストラン)を取得することができる。
ゴルフ場(関東、関西、九州・・・)には、各地域毎のゴルフ場とそのゴルフ場が目的地として設定された回数とが格納されている。
そのほかに目的地設定データに格納されるデータとしては、遊園地や動植物園とその設定回数、スキー場とその設定回数等が格納されている。
【0054】
図8に示す経路選択嗜好データ296には、複数の経路が探索された場合に、案内経路を選択する場合の優先項目と、その優先順位とが格納されている。この経路選択嗜好データは、運転者が入力装置から入力する入力項目である。なお、同様の内容をエージェントが質問してその応答から取得したり、学習項目データ292の学習項目からの学習結果に基づいてエージェントが入力設定するようにしてもよい。
この経路選択嗜好データ296の優先項目としては、コンビニエンスストアが多い道路、走行距離、有料道路、情報提供局から無線回線を介して提供される情報での混雑状況(渋滞60km以上の場合は避ける)等があげられる。
そして、エージェント処理部11は、ナビゲーション処理部10が走行経路の候補として複数の経路を探索した場合に、この経路選択嗜好データ296に基づいて1つの経路を選択する。たとえば、コンビニエンスストアのある道路が優先順位の1位の場合には、経路沿いのコンビニエンスストアの数を地図データから取得し、コンビニエンスストアの数のもっとも多い経路を選択する。コンビニエンスストアの数が等しい経路が複数ある場合には、それらの経路のうち優先順位が2位の項目に基づいて1つを選択する。
【0055】
バージョンデータ297には、最近のナビゲーションシステム利用時の地図データと、現在搭載されているエージェントシステムのエージェントプログラムとのバージョン情報、が格納されている。
【0056】
ナビゲーションデータ記憶装置30は、本実施形態においては、地図データを記憶するCD−ROMとCD−ROMの駆動装置とで構成されている。そして、CD−ROMを取り替えることによって、地図データを交換する(更新する)ようになっている。
図9は、ナビゲーションデータ記憶装置30(図1)に格納されるデータファイルの内容を表したものである。
図9に示されるように、ナビゲーションデータ記憶装置30の記憶媒体(CD−ROM)には経路探索や、経路案内等で使用される各種データ(地図データ)として、通信地域データファイル301、描画地図データファイル302、交差点データファイル303、ノードデータファイル304、道路データファイル305、探索データファイル306、写真データファイル307、ナビゲーションプログラム308が格納されている。
なお、このナビゲーションデータ記憶装置30は、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、ICカード、光カード等の各種記録媒体と、その駆動装置とすることもでき、また、複数種類の異なる記録媒体と駆動装置で構成するようにしてもよい。例えば、検索データファイル306を読み書き可能な記録媒体(例えば、フラッシュメモリ等)で、その他のファイルをCD−ROMで構成し、駆動装置としてそれらの駆動装置を用いてもよい。
また、記憶媒体として読み書き可能な記録媒体を用いた場合には、記憶媒体駆動装置23を介して地図データを更新するようにしてもよい。
【0057】
通信地域データファイル301には、通信制御装置24に接続され又は無接続で車内において使用される携帯電話が、車内から通信できる地域を表示装置5に表示したり、その通信できる地域を経路探索の際に使用するための通信地域データが、携帯電話のタイプ別に格納されている。この携帯電話のタイプ別の各通信地域データには、検索しやすいように番号が付されて管理され、その通信可能な地域は、閉曲線で囲まれる内側により表現できるので、その閉曲線を短い線分に分割してその屈曲点の位置データによって特定する。なお、通信地域データは、通信可能地を大小各種の四角形エリアに分割し、対角関係にある2点の座標データによりデータ化するようにしてもよい。
通信地域データファイル301に格納される内容は、携帯電話の使用可能な地域の拡大や縮小に伴って、更新できるのが望ましく、このために、携帯電話と通信制御装置24を使用することにより、情報提供局との間で通信を行って、通信地域データファイル301の内容を最新のデータと更新できるように構成されている。なお、通信地域データファイル301をフロッピーディスク、ICカード等で構成し、最新のデータと書き換えを行うようにしても良い。
描画地図データファイル302には、表示装置27に描画される描画地図データが格納されている。この描画地図データは、階層化された地図、例えば最上位層から日本、関東地方、東京、神田といった階層ごとの地図データが格納されている。各階層の地図データは、それぞれ地図コードが付されている。
【0058】
交差点データファイル303には、各交差点を特定する交差点番号、交差点名、交差点の座標(緯度と経度)、その交差点が始点や終点になっている道路の番号、および信号の有無などが交差点データとして格納されている。
ノードデータファイル304には、各道路における各地点の座標を指定する緯度、経度などの情報からなるノードデータが格納されている。すなわち、このノードデータは、道路上の一地点に関するデータであり、ノード間を接続するものをアークと呼ぶと、複数のノード列のそれぞれの間をアークで接続することによって道路が表現される。
道路データファイル305には、各道路を特定する道路番号、始点や終点となる交差点番号、同じ始点や終点を持つ道路の番号、道路の太さ、進入禁止等の禁止情報、後述の写真データの写真番号などが格納されている。
交差点データファイル303、ノードデータファイル304、道路データファイル305にそれぞれ格納された交差点データ、ノードデータ、道路データからなる道路網データは、経路探索に使用される。
【0059】
探索データファイル306には、経路探索により生成された経路を構成する交差点列データ、ノード列データなどが格納されている。交差点列データは、交差点名、交差点番号、その交差点の特徴的風景を写した写真番号、曲がり角、距離等の情報からなる。また、ノード列データは、そのノードの位置を表す東経、北緯などの情報からなる。
写真データファイル307には、各交差点や直進中に見える特徴的な風景等を撮影した写真が、その写真番号と対応してディジタル、アナログ、またはネガフィルムの形式で格納されている。
ナビゲーションプログラム308には、ナビゲーション処理部10において実行される、目的地設定処理、経路探索処理、経路案内処理等の各種ナビゲーション処理のためのプログラムが格納されている。このナビゲーションプログラムに従って処理された各処理結果のデータや処理途中のデータについては、エージェント処理部11で取得可能になっており、エージェントがナビゲーションの一部をアシストする場合、エージェント処理部11は取得した処理結果等のデータに基づいてユーザとのコミュニケーションプログラムを実行するようになっている。
【0060】
図10は、状況センサ部40を構成する各種センサを表したものである。
図10に示すように状況センサ部40は、イグニッションセンサ401、車速センサ402、アクセルセンサ403、ブレーキセンサ404、サイドブレーキ検出センサ405、シフト位置検出センサ406、ウィンカー検出センサ407、ワイパー検出センサ408、ライト検出センサ409、シートベルト検出センサ410、ドア開閉検出センサ411、同乗者検出センサ412、室内温度検出センサ413、室外温度検出センサ414、燃料検出センサ415、水温検出センサ416、ABS検出センサ417、エアコンセンサ418、体重センサ419、前車間距離センサ420、後車間距離センサ421、体温センサ422、心拍数センサ423、発汗センサ424、脳波センサ425、アイトレーサー426、赤外線センサ427、その他のセンサ(タイヤの空気圧低下検出センサ、ベルト類のゆるみ検出センサ、窓の開閉状態センサ、クラクションセンサ、室内湿度センサ、室外湿度センサ、油温検出センサ、油圧検出センサ、操舵角センサ等)428等の車両状況や運転者状況、車内状況等を検出する各種センサを備えている。
これら各種センサは、それぞれのセンシング目的に応じた所定の位置に配置されている。
なお、これらの各センサは独立したセンサとして存在しない場合には、他のセンサ検出信号から間接的にセンシングする場合を含む。例えば、タイヤの空気圧低下検出センサは、車輪速センサの信号の変動により間接的に空気圧の低下を検出する。
【0061】
イグニッションセンサ401は、イグニッションのONとOFFを検出する。
車速センサ402は、例えば、スピードメータケーブルの回転角速度又は回転数を検出して車速を算出するもの等、従来より公知の車速センサを特に制限なく用いることができる。
アクセルセンサ403は、アクセルペダルの踏み込み量を検出する。
ブレーキセンサ404は、ブレーキの踏み込み量を検出したり、踏み込み力や踏む込む速度等から急ブレーキがかけられたか否かを検出する。
サイドブレーキ検出センサ405は、サイドブレーキがかけられているか否かを検出する。
シフト位置検出センサ406は、シフトレバー位置を検出する。
ウィンカー検出センサ407は、ウィンカの点滅させている方向を検出する。
ワイパー検出センサ408は、ワイパーの駆動状態(速度等)を検出する。
ライト検出センサ409は、ヘッドランプ、テールランプ、フォグランプ、ルームランプ等の各ランプの点灯状態を検出する。
シートベルト検出センサ410は、運転者、及び同乗者(補助席、後部座席)がシートベルトを着用しているか否かを検出する。着用していない場合には適宜(嫌われない程度に)エージェントが現れ、警告、注意、コメント等(学習により程度を変更する)を行う。
【0062】
ドア開閉検出センサ411は、ドアの開閉状態を検出し、いわゆる半ドアの状態が検出された場合にはエージェントがその旨を知らせるようになっている。ドア開閉検出センサ411は、運転席ドア、助手席ドア、後部運転席側ドア、後部助手席側ドア、ハッチバック車のハッチ、ワゴン車の後部ドア等、車種に応じた各ドア毎の開閉を検出できるようになっている。また、車両後部のトランク、車両前部のボンネット、サンルーフ等の開閉部にも開閉状態を検出するドア開閉検出センサ411を配置するようにしてもよい。
同乗者検出センサ412は、助手席や後部座席に同乗者が乗っているか否かを検出するセンサで、撮像装置28で撮像された車内の画像から検出し、または、補助席等に配置された圧力センサや、体重計により検出する。
室内温度検出センサ413は室内の気温を検出し、室外温度検出センサ414は車両外の気温を検出する。
燃料検出センサ415は、ガソリン、軽油等の燃料の残量を検出する。給油時直前における過去5回分の検出値が学習項目データ292に格納され、その平均値になった場合にエージェントが給油時期であることを知らせる。
【0063】
水温検出センサ416は、冷却水の温度を検出する。イグニッションON直後において、この検出温度が低い場合には、エージェントが眠そうな行為をする場合が多い。逆に水温が高すぎる場合にはオーバーヒートする前に、エージェントが「だるそう」な行動と共にその旨を知らせる。
ABS検出センサ417は、急ブレーキによるタイヤのロックを防止し操縦性と車両安定性を確保するABSが作動したか否かを検出する。
エアコンセンサ418は、エアコンの操作状態を検出する。例えば、エアコンのON・OFF、設定温度、風量等が検出される。
体重センサ419は、運転者の体重を検出するセンサである。この体重から、または、体重と撮像装置28の画像から運転者を特定し、その運転者との関係で学習したエージェントを出現させるようにする。すなわち、特定した運転者に対してエージェントが学習した、学習項目データ292と応答データ293を使用することで、その運転者専用のエージェントを出現させるようにする。
前車間距離センサ420は車両前方の他車両や障害物との距離を検出し、後車間距離センサ421は後方の他車両や障害物との距離を検出する。
【0064】
体温センサ422、心拍数センサ423、発汗センサ424は、それぞれ運転者の体温、心拍数、発汗状態を検出するセンサで、例えば、ハンドル表面に各センサを配置し運転者の手の状態から検出する。または、体温センサ422として、赤外線検出素子を使用したサーモグラフィーにより運転者の各部の温度分布を検出するようにしても良い。
脳波センサ425は、運転者の脳波を検出するセンサで、例えばα波やβ波等を検出して運転者の覚醒状態等を調べる。
アイトレーサー426は、ユーザの視線の動きを検出し、通常運転中、車外の目的物を捜している、車内目的物をさがしている、覚醒状態等を判断する。
赤外線センサ427は、ユーザの手の動きや顔の動きを検出する。
【0065】
次に、以上のように構成された本実施形態の動作について説明する。
図11は本実施形態のエージェントによる処理のメイン動作を表したフローチャートである。
エージェント処理部11は、イグニッションがONされたことがイグニッションセンサ401で検出されると、まず最初に初期設定を行う(ステップ11)。初期設定としては、RAMのクリア、各処理用のワークエリアをRAMに設定、プログラム選択テーブル291(図2)のRAMへのロード等の処理が行われる。なお、本実施形態のエージェント処理では、その処理の開始をイグニッションONとしたが、例えばドア開閉検出センサ411によりいずれかのドアの開閉が検出された場合に処理を開始するようにしてもよい。
【0066】
次に、エージェント処理部11は、運転者の特定を行う(ステップ12)。すなわち、エージェント処理部11は、運転者から先に挨拶がかけられたときにはその声を分析して運転者を特定したり、撮像した画像を分析することで運転者を特定したり、体重センサ419で検出した体重から運転者を特定したり、設定されたシート位置やルームミラーの角度から運転者を特定したりする。なお、特定した運転者については、後述のエージェントの処理とは別個に、「○○さんですか?」等の問い合わせをする特別のコミュニケーションプログラムが起動され、運転者の確認が行われる。
【0067】
運転者が特定されると、次にエージェント処理部11は、現在の状況を把握する(ステップ13)。
すなわち、エージェント処理部11は、状況情報処理部15に状況センサ部40の各センサから供給される検出値や、撮像装置28で撮像した画像の処理結果や、現在位置検出装置21で検出した車両の現在位置等のデータを取得して、RAMの所定エリアに格納し、格納したデータから現在状況の把握を行う。
例えば、水温検出センサ416で検出された冷却水の温度がt1である場合、エージェント処理部11は、この温度t1をRAMに格納すると共に、t1が所定の閾値t2以下であれば、車両の現在の状態として冷却水温(図2参照)は低い状態であると把握する。
現在の状況としては、他にマイク26からの入力に基づいて音声認識した運転者の要求、例えば、「○○○番に電話をしてくれ。」や「この辺のレストランを表示してくれ。」や「CDをかけてくれ。」等の要求も現在の状況として把握される。この場合、認識した音声に含まれるワード「CD」「かけて」等がプログラム選択テーブル291(図2)の選択条件(横軸項目)になる。
さらにエージェント処理部11は、現在状況として、エージェントデータ記憶装置29の学習項目データ292と応答データ293をチェックすることで、エージェントがこれまでに学習してきた状態(学習データ)を把握する。
【0068】
エージェント処理部11は、現在の状況を把握すると、図12により後で詳述するように、把握した状況に応じたエージェントの処理を行う(ステップ14)。
ここでのエージェントの処理としては、エージェントによる判断、行為(行動+発声)、制御、学習、検査等の各種処理が含まれるが、把握した現在の状況によっては何も動作しない場合も含まれる。
【0069】
次に、エージェント処理部11は、メイン動作の処理を終了するか否かを判断し(ステップ15)、終了でない場合には(ステップ15;N)、ステップ13に戻って処理を繰り返す。
一方を終了する場合、すなわち、イグニッションがOFFされたことがイグニッションセンサ401で検出され(ステップ13)、室内灯の消灯等の終了処理(ステップ14)が完了した後(ステップ15;Y)、メイン処理の動作を終了する。
【0070】
図12は、把握した状況に応じたエージェントの処理動作を表したフローチャートである。
エージェント処理部11は、把握済みの現在の状況(起動回数、現在の天気、時間、メンタルモデルの各パラメータの指数等)から、図2に示したプログラム選択テーブル291に基づいて、現在の状態で起動可能なコミュニケーションプログラム(の番号)があるか否かを判断する(ステップ21)。そして、該当プログラムが無ければ(ステップ21;N)、メインルーチンにリターンする。
一方、起動可能なコミュニケーションプログラムがある場合(ステップ21;Y)、そのプログラム番号を決定する。そして、決定したプログラム番号に対する運転者の応答履歴を応答データ293から確認し、当該プログラム番号のコミュニケーションプログラムの起動を、お休みすべき状態か否かを確認する(ステップ22)。
【0071】
お休み状態ではない場合(ステップ22;N)、エージェント処理部11は、決定したプログラム番号に対応するコミュニケーションプログラムを起動することで、図4に示された各エージェントの行為(行動と音声)に従った画像を表示装置27に表示すると共に、音声出力装置25から音声出力する(ステップ23)。
これによって、現在の車両や運転者等の状況からだけでなく、過去の状況や応答に対する学習結果を反映させたコミュニケーションをエージェントとの間で行うことが可能になる。
【0072】
そしてエージェント処理部11は、コミュニケーションプログラムの起動によるエージェント行為に対する運転者の応答を、マイク26からの入力に基づく音声認識結果や、入力装置22からの入力結果から取得する(ステップ24)。
次にエージェント処理部11は、ステップ16で起動したコミュニケーションプログラムが制御対象プログラムか否かを判断する(ステップ25)。ここで制御対象プログラムか否かは各プログラム毎に規定されており、例として、「ラジオの電源を入れましょうか?」や、お昼時にお腹が鳴る音を検出した場合に「食堂の案内をしましょうか?」といったように、エージェントが処理可能な行為(電源ON、飲食店案内等)の提案をする場合のコミュニケーションプログラム等が制御対象プログラムとして規定されている。
【0073】
制御対象プログラムでない場合(ステップ25;N)にはステップ27に移行し、制御対象プログラムである場合(ステップ25;Y)、ステップ24で取得した運転者の応答に応じた制御を行う(ステップ26)。例えば、上記ラジオの電源を入れる提案コミュニケーションに対して、「入れて」「OK」「はい」等の提案を受容する応答が認識された場合であれば、エージェント処理部11は応答に応じた制御として、エージェントに返事をする行為(行動と音声)をさせると共にラジオの電源をONにする。
【0074】
そして、エージェント処理部11は、今回のコミュニケーションプログラムに関するデータを蓄積することで、エージェントに学習をさせ(ステップ27)、メインルーチンにリターンする。
データの蓄積としては、例えば、コミュニケーションプログラムの起動がお休みである場合には(ステップ22;Y)、学習項目データ292の該当プログラム番号の回数欄をカウントアップさせる。ただし、学習項目データ292のお休み回数/日時欄に格納されている回数をKa回とし、当該プログラム番号に対する前回までの応答データ293の履歴から決まるお休み回数をKb回とした場合、Ka=Kb−1であれば、今回のお休みで規定回数休んだことになる。そこで、学習項目データ292及び応答データ293の当該プログラム番号欄の(該当する位置に格納されている)データをクリアする。
その他の場合(ステップ25;Nの場合、ステップ26の後)には、把握済みの現在状況(ステップ13)の中に学習項目があれば学習項目データ292の値を更新し、応答内容を履歴として格納すべきプログラム番号であればステップ17で取得した応答内容を応答データ293(図6)に格納する。この応答の履歴も各プログラム番号毎に規定された所定回数分のデータが既に格納されている場合には、最も古いデータを廃棄して新しいデータを格納する。
【0075】
次に、以上説明したエージェント処理によるエージェントの具体的な行為について説明する。
図13は、イグニッションON後における具体的なエージェント処理の内容を表したものである。
この図13(a)に示すように、エージェント処理部11は、現在の状況として、イグニッションセンサ401で検出された状態が「ON」、時刻が午前8時21分、等の状況がステップ13において把握済みであるものとする。また、学習項目データ292と応答データ293についてチェックした学習データとしては、今日のイグニッションON回数が「1回目」、通算起動回数が「30回」であるとチェック済みであるものとする。
【0076】
以上の把握状態においてエージェント処理部11は、プログラム選択テーブル291から対応するコミュニケーションプログラムを選択する。すなわち、プログラム番号00100のコミュニケーションプログラムが選択される(ステップ21;Y)。
お休み対象で無いことを確認(ステップ22;N)したうえで、当該番号のコミュニケーションプログラムを起動し(ステップ23)、図3に対応するエージェント行為(行動と発声)が、図13(b)に示すように、行われる。
すなわち、表示装置27にはエージェントが登場し、音声出力装置25からは「おはよう。」といった音声が出力される。
【0077】
そして運転者から「おはよう」等の応答があった場合にはこれを取得し認識する(ステップ24)。
プログラム番号00100は制御対象プログラムではないので(ステップ25;N)、ステップ26をとばし、エージェントの学習として図13(c)に示すように、学習項目データ292の今日のイグニッションON回数を1回から2回に変更すると共に、通算起動回数を30回から31回に変更する。
その後メインルーチンにリターンする。
【0078】
次に、本実施形態の車両走行中における具体的なエージェント処理の一例について説明する。
図14は、実施形態による車両走行中における具体的なエージェント処理の内容を表した説明図である。
この図14(a)に示すように、エージェント処理部11は、現在状況として、エアコンセンサ418で検出された状態が「ON」、室内温度検出センサ413と室外温度検出センサ414で検出された室温T1と室外温T2を取得する。また、各プログラム番号の応答データ293をチェックすることで、プログラム番号00xxxに対する前2回の運転者応答がC(受容)なので、閾値T3、T4の値としてデフォルト値(T3=2度、T4=24度)が学習項目データ292から読み出される。
この閾値T3とT4とから、室温と室外温の関係、(T1−T2)≦T3が「Yes」、室外温T2と閾値T4との関係T2≦T4が「Yes」、等の状況が最終的に把握される。
(図14(a))。
【0079】
以上の処理から、エージェント処理部11は、プログラム選択テーブル291からプログラム番号00xxxのコミュニケーションプログラムを選択し(ステップ21)、お休み対象で無いことを確認(ステップ22;N)したうえで、当該番号のコミュニケーションプログラムを起動する(ステップ23)。
【0080】
そして、プログラム番号00xxxのコミュニケーションプログラムの起動により、図14(b)に示すように、表示装置27にはエージェントEの画像が複数表示(または動画が表示)されると共に、音声出力装置25からはエージェントEの「外は涼しくなりましたよ。外気を入れてみませんか?」といった音声が出力される。
【0081】
続いて、エージェント処理部11は、運転者の応答を取得する(ステップ24)。
そして、プログラム番号00xxxは制御対象プログラムなので(ステップ25;Y)、受容であれば応答に応じた制御としてエアコンの電源をOFFにすると共に、運転席側と助手席側の窓を1/2だけ開ける制御を行う(ステップ26)。
【0082】
応答に応じた制御の後、エージェント処理部11は、図14(c)に示すように、運転者の応答が無視であればA、拒絶であればB、受容であればCを、応答日時と共にプログラム番号00xxxに対応する応答データ293に格納する。この場合、前々回の応答データが削除され、前回の応答と今回の応答が応答データ293の格納内容になる。
格納した応答内容が無視Aであれば、次回の閾値T3、T4は1度ずつ下げた値(T3−1=1度、T4−1=23度)が使用され、1回休むことになる。格納した応答内容が拒絶Bであれば、次回の閾値T3、T4は1度ずつ下げた値(T3−1=1度、T4−1=23度)が使用され、5回休むことになる。なお、1回休む場合の閾値としては下げた後の温度T3=T3−1、T4=T4−1が使用される。
格納した応答内容が受容Cであれば、前回使用した閾値T3、T4と同一の値が使用される。
その後メインルーチンにリターンする。
【0083】
続いて、把握した現在の状況に応じたエージェントの処理の1つとしての目的地設定処理について、説明する。
図15は、把握した現在の状況に応じたエージェントの処理の1つとしての目的地設定処理の動作の流れを示すフローチャートである。
エージェント処理部11は、現在状況として操作者からのキーボードやタッチパネル、マイクその他の入力装置からの入力により、経路探索開始の命令があったと判断すると、目的地設定処理を行う。
この目的地設定処理において、エージェント処理部11は、まず、現在位置検出装置からのデータに基づいてナビゲーション処理部12から車両の現在位置(出発地)を取得する(ステップ31)。続いて、ナビゲーションデータ記憶装置30の地図データのバージョン情報を、バージョンデータ296に格納されている前回利用した地図データのバージョンと比較し、異同を確かめる(ステップ32)。
そして、地図データのバージョンが異なる場合(ステップ32;N)には、目的地設定データ295に含まれる目的地(地名や店名等)を地図データと比較し、その目的地が地図データに含まれているかどうかを検出する(ステップ33)。
【0084】
目的地設定データ295に含まれる目的地に、地図データに含まれていないものがあった場合(ステップ33;N)、エージェント処理部11は、その目的地についてのデータは削除する(ステップ34)。例えば、目的地設定データの地域別レストラン利用回数のうち、中華の欄にレストラン一華があったものが、地図データでは一華がなくなっている場合には、目的地設定データの地域別レストランから、一華の欄を削除する。その後、運転者からの入力により目的地の設定方法を取得する(ステップ35)。目的地設定データ295に含まれている目的地がすべて地図データに含まれている場合には(ステップ33;Y)、そのまま運転者からの入力により目的地の設定方法を取得する(ステップ35)。
そして、取得した目的地の設定方法に応じて、目的地の地域やジャンルを表示装置27に表示させ、表示される地域やジャンルを運転者からの選択入力によって絞っていき、最終的な目的地を取得する(ステップ36)。このときエージェント処理部11は、学習データ(目的地設定データ295)に基づいて、選択の可能性の高い地域やジャンルから順に表示装置に表示するようになっている。
目的地が取得されると、この目的地がナビゲーション処理部12に出力され(ステップ37)、エージェント処理部11は目的地設定処理を終了してメインのルーチンにリターンする。そして、ナビゲーション処理部12によって、この目的地への経路探索が行われる。
【0085】
図16は、目的地の設定方法を取得して目的地をナビゲーション装置に出力するまでの具体的な操作の流れを示す説明図である。
いま、時刻が午前11時45分であって、車両の現在位置が世田谷区内である状況下、車両の運転者が表示装置に表示される初期画面から経路探索開始のキーを選択し、続いて目的地設定キーを選択し、更に、目的地設定方法としてジャンル別に目的地を設定するジャンルキーを選択したものとする。
エージェント処理部11は、現在状況としてこれらを把握するとともに、現在時刻が午前11時45分であることを把握する。そして、これらの状況からコミュニケーションプログラム番号010x0番のコミュニケーションプログラムを起動し、表示装置27の画面にエージェントを表示するとともに「もうそろそろお昼ですが、レストランを探しましょうか?」との音声を出力させる(図16(a))。
【0086】
そして、運転者から「そうして。」、「うん。」、「OK」等の問いかけに対する肯定の応答を取得すると、エージェント処理部11は、目的地設定データ295のレストラン利用種別(11:00〜14:00)を参照し、レストラン種別の選択表示を、過去に目的地として設定された回数の多い順に表示させる(図16(b))。
続いて、運転者からの入力によって、中華料理、和食、イタリア料理等の種別が選択されると、エージェント処理部11は、今度は、選択された種別のレストランについて、車両の現在位置と目的地設定データ295の地域種別レストランのデータとに基づいて、運転者が選択した種別であって車両の現在位置の含まれる地域にあるレストランと、その利用回数を取得し、これらのレストランを利用回数の多い順に表示する(図16(c))。この表示では、地図データから、各レストランの住所と現在位置から行く場合にかかる予想時間を取得し、これらを各レストランとともに表示する。このとき、上述したステップ34において目的地設定データ295に含まれる目的地であって地図データに含まれていないものは削除されているので、目的地設定データ295に含まれるレストランは地図データに全て含まれており、表示するレストラン全てについて、地図データをもとに住所や予想時間を表示することができる。
そして、運転者から1つのレストランを取得し、このレストランを目的地としてナビゲーション処理部12に出力して、目的地設定処理を終了する。
【0087】
このように、本実施形態においては、前回利用した地図データのバージョンが、バージョンデータ297に記憶されており、新たに目的地の設定および経路探索をする際に使用される地図データとのバージョンが比較される。そして、地図データのバージョンが異なる場合には、新たな目的地の設定および経路探索に用いられる地図データにない目的地についてのデータは目的地設定データから削除されるので、エージェント処理部11が目的地設定データ295に基づいて目的地設定のエージェント行為を行う場合に、新たな地図データにない目的地が設定されることがなく、エージェント処理部11とナビゲーション処理部12との整合性が図られ、目的地設定後の経路検索がスムーズに行われる。
【0088】
また、本実施形態によると、エージェントデータ記憶装置29に記憶される学習データ(学習項目データ292、応答データ293、目的地設定データ、経路選択嗜好データ296)が地図データとは独立して動作可能に構成され、また記憶媒体駆動装置23を介して読み書き可能となっているので、これらの学習データを記憶媒体駆動装置23の記憶媒体に記憶させてもち運び、車両を買い替えた場合や、レンタカー等通常と異なる車両を使用する場合にも、他の車両において使用して、今まで蓄積されたデータに基づいたエージェントを出現させエージェント行為を行わせることができる。また、一時的に異なる車両を使用した場合にこのときのデータを今までのデータに加えて蓄積させることもできる。
【0089】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更可能である。
例えば、上述の実施形態においては、地図データのバージョンが変わったことが検出されると、地図データと目的地設定データ295との比較によって、地図データと目的地設定データ295との整合を図っているが、前回使用した地図データを保存しておく地図データ格納部を設け、地図データのバージョンが変わっていると検出されたときには、地図データ格納部に格納される地図データと新しい地図データとを比較して、なくなった目的地を目的地設定データから削除してもよい。また、このように地図データどうしを比較することにより、新しい高速道路やランドマークとなる建築物の建設等、道路やその周囲の状況等、目的地以外の地図データについても変更箇所を検出し、目的地設定データを変更してもよい。この場合には、単に地図データになくなった目的地を削除する以外に、新たに目的地として設定される可能性のある目的地をあらかじめ目的地設定データの領域として確保したり、地図データの詳しさにあわせて目的地設定データの地域の区分を詳細に区分したりまとめたりすることもできる。
【0090】
また、上述の実施形態においては、地図データのバージョンが変わった場合について説明したが、エージェント装置のエージェント処理に関するソフトウェア(プログラム)が改訂された場合についても、地図データと目的地設定データとの整合を図るようにしてもよい。
例えば、上述のように運転者が指定した地域内のレストランを利用回数の多い順に表示させる場合に、ソフトウェアの改訂により今までよりも詳細な地域毎にレストランを選択するようになれば、既にある、地域毎のレストランと利用回数との対応の学習データを、新しい詳細な地域毎のデータとして格納し直しす等である。また、学習項目データや目的地設定データの学習項目が増えた場合に、すでに取得されている学習項目データや目的地設定データ、地図データから新しい項目についてのデータを取得する等である。
このように、ソフトウェアの改訂にあわせて学習内容を更新することにより、エージェント装置とナビゲーションシステムとの間における処理や動作が、改訂に合わせたものとって改訂が有効に生かされる。
【0091】
上述の実施形態においては、ナビゲーション処理やエージェント処理において用いられる各データやプログラムはナビゲーションデータ記憶装置30やエージェントデータ記憶装置29から読み込まれて使用されるが、記録媒体駆動装置23にセットされた外部の記録媒体からコンピュータプログラムを読み込んで、エージェント記憶装置29やナビゲーションデータ記憶装置、図示しないハードディスク等のその他の記憶装置に格納(インストール)し、この記憶装置から必要なプログラムやデータ等をRAMに読み込んで(ロードして)実行するようにしてもよい。また、必要なプログラム等を記録媒体駆動装置23からRAMに直接読み込んで実行するようにしてもよい。
【0092】
上述の実施形態では、学習項目データ29や応答データ293、目的地設定データ295、経路選択嗜好データ297は記憶媒体駆動装置23を介して記憶媒体から読み込んでエージェントデータ記憶装置29の記憶媒体のデータを書き換えるようになっているが、エージェントデータ記憶装置29を直接記憶媒体とその駆動装置とで構成し、記憶媒体を交換するだけで上述のデータが交換されるようにしてもよい。
記憶媒体を介さずに、有線又は無線の通信によって交換されるようにしてもよい。
【0093】
上述の実施形態においては、地図データの変更に伴って、目的地設定データが変更されるようになっているが、地図データの変更によって調整されるのは目的地に限られるものではなく、また、目的地設定に用いられるデータに限れるものでもない。例えば、今まで案内を行った経路を再び使用するときのために、探索済みの走行経路を探索経路データとして目的地と対応させて記憶しておくシステムにおいて、地図データの変更によってランドマークが新たに加わった場合に上述の記憶済みの探索経路データにこのランドマークを加えておく等としてもよい。
また、経路選択の指標として、以前探索した複数の経路それぞれについての道路沿いにあるコンビニエンスストアの数等が記憶されている場合に、地図データにおいてコンビニエンスストアが増減した場合に、この数を増減しておく等してもよい。
【0094】
上述の実施形態においては、地図データの変更に伴って目的地設定データが変更されるようになっているが、エージェントデータ記憶装置に記憶される学習データが記憶媒体駆動装置23や通信制御装置24を介して別な運転者のもの等に更新された場合に、更新された学習データを変更することにより学習データとこの車両にインストールされている地図データとの整合を図るようにしてもよい。例えば、学習データとして、今まで案内を行った経路を再び使用するときのためにあらかじめ経路データとして記憶しておく場合に、更新されたデータ中に格納された経路データには高速道路が入っているが、地図データからはその高速道路は工事により現在使用できないとなっている場合には、この経路データは削除してしまう等である。
【0095】
上述の実施形態においては、エージェント装置はナビゲーション装置の目的地設定において、各階層から次の階層へ移行する場合の選択枝の表示を過去に目的地として設定された回数の多い順に表示させる表示順変換機能を備えているが、この他に、目的地設定データに基づいて各階層から自動的に下の階層を選択するショートカット機能を備えていてもよい。この場合、ショートカット後の層(下層)に、再び上の層に戻れるキーを表示することが好ましい。
上述の実施形態においては、学習データのうち地図データとの整合性のとれない部分について削除することにより、地図データとの整合性を図って、目的地設定においては学習データの変更の有無にかかわらず同様の動作により目的地を設定しているが、データの変更があった場合には、データの変更に関する説明(データが変更されている旨や、例えば「この地域ではイタリア料理のお店はなくなりました。」等のデータの変更の理由を表示したり音声によって説明するようにしてもよい。
また、学習データのうち地図データとの整合性のとれない部分について削除したが、整合性のとれない部分について別途保存、または使用を禁止するフラグをオンにするようにしてもよい。この場合、別途保存等する部分は、整合性がとれているバージョンのバージョン情報も合わせて保存する。このように、整合性がとれない部分であっても、元のバージョンに戻された場合には、元のデータを整合性がとれたデータとして使用することができる。但し、別途保存する場合には、その有効期限を設定できるようにしておき、あまりにも古くなったデータを余分に保存しないようにすることもできる。
【0096】
以上説明した実施形態に基づき次の各構成による技術思想を実現することも可能である。
(1)構成1に記載した発明では、擬人化されたエージェントを車両内に出現させるエージェント出現手段と、車両の状況を判断する状況判断手段と、前記状況判断手段により判断された前記状況についてのデータを、前記車両に搭載され地図データに基づいて経路探索を行うナビゲーションシステムの前記地図データに対して、独立して交換可能な状態で、記憶する状況データ記憶手段と、前記状況判断手段により判断された前記状況についてのデータ、前記状況データ記憶手段に記憶される前記状況についてのデータ、及び前記地図データとに基づいて、前記エージェントの行為を決定するエージェント行為決定手段と、前記エージェント行為決定手段で決定された行為を前記エージェント出現手段により出現されるエージェントに行わせるエージェント制御手段と、前記状況データ記憶手段に記憶される前記状況についてのデータ及び前記地図データのうちの一方が交換された場合に、前記エージェント行為決定手段により決定される前記エージェントの行為が前記状況についてのデータと前記地図データの両方に整合して決定されるように、前記状況についてのデータを調整する調整手段とをエージェント装置に具備させて前記目的を達成する。
(2)エージェント出現手段は、エージェントを運転者や同乗者に知覚可能に車両内に出現させるための手段である。エージェント出現手段は、画像表示装置と、該画像表示装置にエージェントの画像データを出力することによりエージェントを画像表示させるエージェント表示手段とを含むようにしてもよい。この場合、エージェント表示手段は、複数のエージェントの中から選択されたエージェントを表示する画像データを出力するようにしてもよい。また、エージェント出現手段は、音声出力装置と、該音声出力装置にエージェントの音声データを出力することによりエージェントの音声を出力させるエージェント音声出力手段を含むようにしてもよい。この場合、エージェント音声出力手段は、複数のエージェントの中から選択されたエージェントに対応する音声データを出力するようにしてもよい。
前記状況判断手段は、車両に具備される、音声認識装置やタッチパネル等の入力装置、各種センサ、通信装置からデータを取得し、このデータから、車両の状況について判断する手段である。
前記状況判断手段が判断する車両の状況は、エージェントが行う運転者及び同乗者に対してのコミュニケーション行為や車両制御行為を決定するもととなるものである。
例えば、車両状況には車両自体の状況と、車両内部の状況と、車両外部の状況と含まれる。車両自体の状況としては、イグニッションのON/OFF、走行速度、シフトレバー位置、入力装置から入力された制御のための条件項目、燃料の残量等が該当する。車両内部の状況としては、運転者等のユーザ、ユーザの応答や反応、同乗者の有無、室内温度等が該当する。車両外部の状況としては、前方車間距離、対向車との距離、明るさ、気温、天候(雪、雨、晴れ、曇り)、風力等が該当する。
また、車両状況としては、道路の状況(道路幅、車両前方のカーブ、渋滞の程度等)、走行状態に関する状況(車両の現在位置、やアクセル開度等)、非走行状態における状況(燃料残量等)、車両走行とは直接関係ない状況(現在時刻及び曜日、運転者の趣味や好み等)も含まれる。
従って、前記状況判断手段は、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段を含め、車両各部の状況を検出する車載センサを含め、又は、車両外部の環境を検出するセンサを含めるようにしてもよい。運転者に操作されるスイッチの入力時間及び場所を検出する操作検出手段を含めるようにしてもよい。
(3)前記状況データ記憶手段は、状況判断手段により判断された状況についてのデータを、ナビゲーションシステムの地図データに対して独立して交換可能な状態で、記憶する。ここで、状況についてのデータが、「地図データに対して独立して交換可能な状態」とは、当該状況についてのデータの変更、削除、または増加が地図データに影響を及ぼさず、且つ、当該状況についてのデータは、地図データの変更、削除、または増加によって影響を及ぼされないことをいう。状況についてのデータと地図データとは、別の記憶媒体に記憶されていても、1つの記憶媒体の別の箇所に区分されて格納されていても、また区分されずに格納されていてもよい。
状況についてのデータが地図データに対して独立して交換可能な状態で記憶されている場合、エージェント装置と同一車両に搭載される従来公知のナビゲーションシステムは、エージェント装置の状況についてのデータが変更、削除または増加されても、ナビゲーションシステムのみによってナビゲーション機能を得ることができる。
また、ナビゲーションシステムの地図データが変更、削除または増加されても、エージェント装置のエージェント機能は、目的地設定や経路選択等のナビゲーションシステムに対するエージェント機能以外の機能についてはそのまま維持される。
(4)本発明のエージェント装置においては、状況データ記憶手段に、状況についてのデータが、ナビゲーションシステムの地図データに対して独立して交換可能な状態で記憶されるので、運転者が車両を買い替えたり他人の車両を借りた場合でも、新たな車両のエージェント装置に記憶される状況データを容易に更新して運転者のものに交換することができる。また、地図データを、改訂された地図データや、一部についてより詳細な地図データに容易に、エージェント装置のエージェント機能に影響を与えることなく交換することができる。更に状況についてのデータと地図データとを互いに別体の記憶媒体に記憶すれば、これらの記憶媒体を取り替えることにより一層容易にデータを交換することができる。
状況についてのデータや地図データを更新して交換する手法としては、専用の接続ケーブルを用いる手法、インターネット等のように電話回線を介在させる手法、赤外線通信や携帯電話の無線回線を用いる方法等が挙げられる。
(5)前記状況データ記憶手段に記憶される状況についてのデータには、前記状況判断手段が同一の状況を検出した回数を含むことができる。また、運転者の指示内容及び応答内容の少なくとも一方を含むことができる。さらに運転者の操作を入力するスイッチを備える場合には、該スイッチ入力の時間及び場所を含んでもよい。更に、前記エージェント制御手段により実行された行為に対応した運転者の操作があったか否かを判別する対応判別手段を備え、当該操作の有無を含むこともできる。
前記状況データ記憶手段に記憶される状況についてのデータは、所定の時間間隔毎に出力したり、車両の走行開始時に出力するようにしてもよい。また、所定の状況を検出した回数が予め定められた値となったときに所定の出力を行うために利用するものとしてもよい。
(6)前記エージェント行為決定手段は、前記状況判断手段により判断された状況についてのデータと、前記状況データ記憶手段に記憶される前記状況についてのデータと、前記地図データとに基づいて、エージェントの行為を決定する。このエージェントの行為は、経路案内の目的地入力や機器の作動等種々の動作を運転者に代わり行ったりその手助けを行う行為、及び運転者に対して挨拶や様々な提案等の働きかけをするとともに運転者からの応答を取得するコミュニケーション行為である。尚、エージェント行為決定手段により決定されるエージェント行為には、状況判断手段により判断された状況のデータのみに基づいて決定される行為や、状況判断手段により判断された状況のデータと状況データ記憶手段に記憶されるデータのみに基づいて決定される行為、状況データ記憶手段に記憶されるデータ及び地図データに基づいて決定される行為が含まれていてもよい。
(7)前記エージェント制御手段は、前記行為決定手段で決定された行為を、前記エージェント出現手段を介してエージェントに行わせる。従って、前記エージェント出現手段が画像表示装置とエージェント表示手段とを含む場合、エージェント表示手段を制御して、画像表示手段に行為決定手段で決定された行動を行うエージェントを表示させるものとすることができる。また、前記エージェント出現手段が音声出力装置とエージェント音声出力手段とを含む場合、エージェント音声出力手段を制御して、音声出力装置にエージェントの行為決定手段で決定された音声を出力させるものとすることができる。
(8)前記調整手段は、前記状況データ記憶手段に記憶される状況についてのデータが交換された場合に、この新たな状況についてのデータを調整することにより、エージェント行為決定手段により決定されるエージェントの行為が、状況についてのデータとの関係からも地図データとの関係からも矛盾なく決定されるようにする手段である。状況についてのデータの調整は、状況についてのデータを一部変更したり削除したり、地図データに基づいて新たに取得することにより行われる。
例えば、交換後取得された状況についてのデータとして、運転者は昼食にもっともイタリア料理を好んでいたという状況を示すデータが格納されており、目的地としてレストランを設定する場合のイタリアレストランのリストが予め格納されていたが、運転者が昼食の嗜好を入力により和食と変更した場合には、イタリアレストランのリストに変えて和食レストランのリストを地図データから取得し格納する。
また、前記調整手段は、前記地図データが交換された場合に、前記状況データ記憶手段に記憶される状況についてのデータを調整することにより、エージェント行為決定手段により決定されるエージェントの行為が、状況についてのデータとの関係からも地図データとの関係からも矛盾なく決定されるようにする手段である。状況についてのデータの調整は、状況についてのデータを一部変更したり削除したり、地図データに基づいて新たに取得することにより行われる。
例えば、交換後取得された状況についてのデータとして、運転者は昼食にもっともイタリア料理を好んでいたというデータが格納されており以前は昼食レストランを目的地として設定する場合にイタリアレストランを選択しやすく表示していた場合でも、地図データからイタリアレストランがなくなった場合には、イタリアレストランを表示せず、次に好んでいた和食を選択しやすく表示する。
(9)構成2に記載した発明では、構成1に記載したエージェント装置において、前記エージェント行為決定手段、及び前記エージェント制御手段を含むエージェントシステム部が、前記地図データに対して独立して動作及び交換可能となっており、前記調整手段は、前記エージェントシステム部が交換された場合に、前記状況データ記憶手段に記憶される前記状況についてのデータを、交換された前記エージェントシステム部に整合するように調整するものとする。
エージェントシステム部は、状況判断手段により判断された車両の状況についてのデータ、前記状況データ記憶手段に記憶される状況についてのデータ、前記地図データ、のうちのいずれか1つ、いずれか2つ、またはそれら全部のデータに基づいてエージェントの行為を決定し、決定された行為を前記エージェント出現手段により出現されるエージェントに行わせる。このエージェントシステム部は、状況についてのデータや地図データに基づいてエージェントの行為を決定するプログラムと、このプログラムに基づいた処理(エージェント行為決定処理)を行う処理部と、エージェント行為決定処理により決定された行為を、車両内に出現するエージェントに行わせるためのプログラムと、このプログラムに基づいてエージェント出現手段を制御するための処理(エージェント行為制御処理)を行う処理部とを含む。
この場合、前記エージェントシステム部は、前記状況データ記憶手段を含んでいても、含まなくてもよい。すなわち、状況データ記憶手段はエージェントシステム部とともに地図データに対して独立して動作及び交換可能になっていても、エージェントシステム部とは別個に地図データに対して独立して動作及び交換可能になっていてもよい。従って、エージェントシステム部は、状況データ記憶手段に記憶されるデータがなくても当該データが必要ない部分では処理可能となっていても、当該データがなければ動作しないようになっていてもよい。また、エージェントシステム部のプログラムが、状況データ記憶手段に状況についてのデータとともに記憶されていても、別の記憶手段に記憶されていてもよい。
(10)前記エージェントシステム部が、地図データに対して独立して動作及び交換可能になっている、というのは、エージェントシステム部のプログラムが地図データに対して独立して動作可能な状態になっており、且つエージェントシステム部にデータがある場合にはそのデータが地図データに対して独立して交換可能な状態であることをいう。プログラムが地図データに対して動作及び交換可能な状態とは、当該プログラムを変更、削除または増加した場合に、その変更や削除、増加が地図データに影響を及ぼさず、且つ、当該プログラムが、地図データの変更、削除、または増加によって影響を及ぼされず、当該プログラムによる動作は変更された地図データを用いる部分以外についてはかわらずに行われることをいう。
前記エージェントシステム部が、前記地図データと独立して動作及び交換可能となっていることにより、エージェントシステム部のプログラムやデータは、地図データとは別個に交換することができる。
エージェントシステム部のプログラムやデータは、地図データと別の記憶媒体に記憶されていても、1つの記憶媒体の別の箇所に区分されて格納されていても、また区分されずに格納されていてもよい。エージェントシステム部のプログラムやデータを記憶する記憶媒体の駆動装置が、地図データを記憶する記憶媒体の駆動装置やナビゲーションシステムと個別になっており、記憶媒体と駆動装置とをともに取り付けたり交換するようになっていてもよい。
そして、前記調整手段は、エージェントシステム部が交換された場合(プログラムやデータが変更、増加または一部削除された場合)、状況データ記憶手段に記憶される状況についてのデータを一部削除したり変更したり、更には地図データから新たに取得することにより、前記状況についてのデータが交換後のエージェントシステム部に整合させる。
(11)構成3に記載した発明では、構成1にまたは構成2に記載したエージェント装置において、前記調整手段は、交換される前記状況についてのデータ、地図データまたは前記エージェントシステム部を、交換前と交換後について比較する比較部と、前記比較部による比較結果に基づいて、前記状況データ記憶手段に記憶される前記状況についてのデータを書き換える状況データ書き換え部とを含む、ようにする。
(12)構成4に記載した発明では、構成1から構成3のうちのいずれか1の構成に記載したエージェント装置において、前記状況データ記憶手段が、前記状況についてのデータを記憶する独立して持ち運び可能な記録媒体と、該記憶媒体に対して前記状況についてのデータを入出力する記録媒体駆動装置とを含む、ようにする。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエージェント装置によれば、更新された現況に合わせた処理動作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるコミュニケーション機能を実現するための構成を示すブロック図である。
【図2】同上、実施形態におるプログラム選択テーブルの内容を概念的に表した説明図である。
【図3】同上、実施形態において、各プログラム番号に対応するエージェントの行為(行動と音声)を表した説明図である。
【図4】同上、実施形態におけるプログラム番号00001の起動により表示装置に表示されるエージェントの「かしこまってお辞儀」行動についての数画面を表した説明図である。
【図5】同上、実施形態における学習項目データの内容を概念的に表した説明図である。
【図6】同上、実施形態における応答データの内容を概念的に表した説明図である。
【図7】同上、実施形態における目的地設定データの内容を概念的に表した説明図である。
【図8】同上、実施形態における経路検索嗜好データの内容を概念的に表した説明図である。
【図9】同上、実施形態におけるナビゲーションデータ記憶装置に格納されるデータファイルの内容を概念的に表した説明図である。
【図10】同上、実施形態における状況センサ部を構成する各種センサを表した説明図である。
【図11】同上、実施形態においてエージェントによるメイン動作を表したフローチャートである。
【図12】同上、実施形態によるエージェント処理の動作を表したフローチャートである。
【図13】同上、実施形態によるイグニッションON後における具体的なエージェント処理の内容を表した説明図である。
【図14】同上、実施形態による車両走行中における具体的なエージェント処理の内容を表した説明図である。
【図15】同上、実施形態によるエージェント処理の1つとしての目的地設定処理の動作の流れを示すフローチャートである。
【図16】同上、目的地の設定方法を取得して目的地をナビゲーション装置に出力するまでの具体的な操作の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
1 全体処理部
10 ナビゲーション処理部
11 エージェント処理部
12 I/F部
13 画像処理部
14 音声制御部
15 状況情報処理部
21 現在位置検出装置
22 入力装置
23 記憶媒体駆動装置
24 通信制御装置
25 音声出力装置
26 マイク
27 表示装置
28 撮像装置
29 エージェントデータ記憶装置
30 ナビゲーションデータ記憶装置
40 状況センサ部
Claims (6)
- 経路案内を行うナビゲーションシステムの地図データと、
擬人化されたエージェントを車両内に出現させるエージェント出現手段と、
車両の状況を判断する状況判断手段と、
前記エージェントに対するユーザの応答に基づく応答データを記憶する応答データ記憶手段と、
前記状況判断手段により判断された車両の状況と、前記記憶した応答データ、及び前記地図データとに基づいて、前記出現させるエージェントの行為を決定するエージェント行為決定手段と、
前記記憶された応答データが交換された場合、又は前記地図データが更新された場合に、前記応答データと前記地図データの両方に整合したエージェントの行為が決定されるように、前記記憶された応答データを調整する調整手段と、
を具備することを特徴とするエージェント装置。 - 前記調整手段は、前記エージェント行為決定手段を含むプログラムが更新された場合にも、前記記憶された応答データの調整を実施することを特徴とする請求項1に記載のエージェント装置。
- 前記調整手段は、地図データを更新前と更新後で比較する比較部を備え、該比較部による比較結果に基づいて、前記記憶された応答データを調整することを特徴とする請求項1に記載のエージェント装置。
- 前記調整手段は、前記エージェント行為決定手段の更新前と更新後を比較する比較部を備え、該比較部による比較結果に基づいて、前記記憶された応答データを調整することを特徴とする請求項2に記載のエージェント装置。
- 前記応答データ記憶手段が、独立して持ち運び可能な記録媒体と、該記録媒体について、データを入出力する記録媒体駆動装置とを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1の請求項に記載のエージェント装置。
- 前記状況判断手段は、車両の状況として、車両自体の状況、車両内部の状況、車両外部の状況、を判断することを特徴とする請求項1に記載のエージェント装置。
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