JP4284568B2 - 受信装置および方法、並びに記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は受信装置および方法、並びに記録媒体に関し、特に、既存のアナログテレビジョン放送からのイメージ妨害を除去し、デジタル音声放送の所望の番組を復調する受信装置および方法、並びに記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気通信技術審議会が発表した地上デジタルテレビジョン放送および地上デジタル音声放送についての暫定方式は、それぞれの放送間で整合を持った方式であり、日本ではテレビジョンチャンネルに割り当てられている6MHzの帯域幅を14個に分割した約429kHzをセグメントと称されるOFDM変調された基本伝送単位とし、このセグメントを用いて伝送が行なわれる方式である。OFDM変調されているセグメントには、OFDM搬送波数が108本、216本、432本の3モードが定義されている。
【0003】
地上デジタルテレビジョン放送は、セグメントを13個用いて伝送信号を構成し、地上デジタル音声放送は、セグメントを1個あるいは3個用いて伝送信号を構成することが提案されている。
【0004】
ところで、郵政省の諮問機関である地上デジタル放送懇談会は、将来の日本の地上デジタル放送として、地上デジタルテレビジョン放送は現在のテレビジョン放送に用いられているUHF(Ultrahigh Frequency)帯域を用いて、地上デジタル音声放送(ラジオ放送)は、現在のテレビジョン放送に用いられているVHF(Very High Frequency)帯域を用いて、それぞれ放送することが提案されている。
【0005】
現在の地上アナログテレビジョン放送のテレビジョン受像機における中間周波数として用いられている帯域は、54MHz乃至60MHzである。地上デジタルテレビジョン放送および地上デジタル音声放送も、現行の地上アナログテレビジョン放送の中間周波数を用いることが、イメージ妨害をさける観点から有利であると考えられている。すなわち、57MHzを中心周波数として必要な帯域幅および減衰特性などの選択度を有する中間周波特性をもち、これを復調することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、地上デジタル音声放送は、VHF帯域で放送されるように提案されており、既存のアナログテレビジョン放送との相互妨害をなくすことが求められている。また、アナログテレビジョン放送に用いられている1チャンネル分の帯域幅で、13セグメントを伝送できるので、地上デジタル音声放送番組が1セグメントで伝送信号を構成する場合、最大13チャンネル分の番組を収容できることになる。従って、受信装置側では、受信したいチャンネル番号の設定の他に、チャンネル内の、どのセグメントを受信するのかも設定する必要がある。
【0007】
そのため、受信装置がチャンネル内の、どのセグメントを受信するのかに依存し、隣接するアナログテレビジョン放送の信号との相対的な周波数の位置が異なってくる。一般的に、受信信号が隣接信号と近接しているほど妨害を受けやすいと考えられることから、チャンネルの両端に位置するセグメントが受信される時が、最も正しい復調が難しい、換言すれば、近接する信号からの影響が大きいと考えられる。
【0008】
ところで、上述したように、現在のテレビジョン受像機の中心周波数の帯域を考慮し、57MHzの中心周波数を用いた場合の復調方式としては、直接的に規定帯域に復調する第1の手法と、受信された信号を別の周波数に変換してから復調する第2の手法とが考えられる。
【0009】
第1の手法を用い、その処理をアナログ的に行った場合、直交搬送波の発生に関する直交性に安定度を得にくいこと、アナログ復調用乗算回路の不完全さに起因する直流オフセットが発生すること、規定帯域信号のデジタル化にA/D(Analog/Digital)変換回路が2系統必要になることなど、不利益な点がある。また、第1の手法を用い、その処理をデジタル的に行った場合、直交搬送波とクロック周波数との関係が、必ずしも整合がある関係にはならないことから、回路規模が大きくなるといった課題があった。
【0010】
第2の手法を用いた場合、57MHz帯の中間周波数を、さらにデジタル復調しやすい周波数に変換するため、デジタル復調回路を安定して動作させることが可能であるとともに、A/D変換回路も1系統用意すればよい。しかしながら、57MHz帯の中間周波数を、さらに別の周波数に変換するため、この2回目の周波数変換に起因するイメージ抑圧に関する問題が新たに生じる。特に、隣接のする映像搬送波や音声搬送波がイメージとなって希望信号に漏れ込む場合が考えられ、このことを防ぐ必要がある。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、2度の周波数変換を行った場合においても、隣接信号からの妨害を除去し、希望信号を抽出する事を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に記載の受信装置は、受信信号を第1の周波数の信号を用いて、第1の中間周波信号に変換する第1の変換手段と、第1の中間周波信号から所定の帯域幅の信号を抽出する抽出手段と、第1の周波数より、FFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ低い周波数の信号を用いて、抽出手段から出力された信号を第2の中間周波信号に変換する第2の変換手段と、第2の中間周波信号をFFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調手段とを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に記載の受信方法は、受信信号を第1の周波数の信号を用いて、第1の中間周波信号に変換する第1の変換ステップと、第1の中間周波信号から所定の帯域幅の信号を抽出する抽出ステップと、第1の周波数より、FFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ低い周波数の信号を用いて、抽出ステップから出力された信号を第2の中間周波信号に変換する第2の変換ステップと、第2の中間周波信号をFFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調ステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に記載の記録媒体は、受信信号を第1の周波数の信号を用いて、第1の中間周波信号に変換する第1の変換ステップと、第1の中間周波信号から所定の帯域幅の信号を抽出する抽出ステップと、第1の周波数より、FFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ低い周波数の信号を用いて、抽出ステップから出力された信号を第2の中間周波信号に変換する第2の変換ステップと、第2の中間周波信号をFFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調ステップとを含む処理を受信装置に実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラムを記録している。
【0015】
本発明に記載の受信装置は、受信信号の周波数よりFFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ高い周波数の信号を用いて、中間周波信号に変換する変換手段と、中間周波信号をFFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調手段とを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明に記載の受信方法は、受信信号の周波数よりFFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ高い周波数の信号を用いて、中間周波信号に変換する変換ステップと、中間周波信号をFFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調ステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に記載の記録媒体は、受信信号の周波数よりFFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ高い周波数の信号を用いて、中間周波信号に変換する変換ステップと、中間周波信号をFFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調ステップとを含む処理を受信装置に実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラムを記録している。
【0018】
本発明に記載の受信装置、受信方法、および記録媒体においては、受信信号が第1の周波数の信号を用いて、第1の中間周波信号に変換され、その中間周波信号から所定の帯域幅の信号が抽出され、第1の周波数より、FFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ低い周波数の信号を用いて、抽出された信号が第2の中間周波信号に変換され、第2の中間周波信号がFFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調される。
【0019】
本発明に記載の受信装置、受信方法、および記録媒体は、受信信号の周波数よりFFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ高い周波数の信号を用いて、中間周波信号に変換した信号がFFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調される。
【0020】
【発明の実施の形態】
現在のテレビジョン放送のVHF帯域を用いて地上デジタル音声放送を行う場合、1チャンネル分の帯域幅(6MHz)に、13セグメントが収容される。地上デジタル音声放送は、1番組が1セグメントまたは3セグメントで伝送信号が構成される。ここでは、1番組は1セグメントで構成されるとして以下の説明をする。
【0021】
まず、中間周波数の中心周波数を57MHz(第1の中間周波数)とし、この第1の中間周波数に変換された信号を、さらにデジタル復調しやすい周波数(第2の中間周波数)に変換することにより、受信した信号を復調する場合を考える。
【0022】
上述したように、地上デジタル音声放送の中間周波数の中心周波数として57MHzを設定した場合、第1の中間周波数に変換する過程でのイメージ周波数は114MHzであるので、十分なイメージ抑圧が行える。また、この第1の中間周波数に変換する過程では、隣接するアナログテレビジョン放送の信号は、イメージ妨害には関係がない。隣接する信号からの妨害は、イメージ妨害よりも、エネルギーの集中したアナログ信号の搬送波が、希望信号(ユーザが選択したチャンネルの信号)の近くにあることに起因する相互変調や混変調による非線形歪であり、中間周波フィルタで、いかにその隣接アナログ信号の搬送波エネルギーを抑圧できるかが問題となる。
【0023】
しかしながら、地上デジタル音声放送では、チャンネル(13セグメント)内の、どのセグメントを復調するかにより、中間周波フィルタの帯域内での希望信号と隣接アナログテレビジョン放送の搬送波との相対的な周波数の位置が異なる。周波数の近い信号が隣接して存在する場合、隣接する信号からの妨害を受けやすいとされることから、図1に示したように、最上位セグメントや最下位セグメントを受信するとき、その希望信号に近い位置に隣接アナログテレビジョン放送の信号の搬送波が存在することになる。
【0024】
すなわち、図1(A)に示したように、デジタル音声放送の最上位セグメントには、アナログテレビジョン放送の映像搬送波fPが隣接し、図1(B)に示したように、デジタル音声放送の最下位セグメントには、アナログテレビジョン放送の音声搬送波fAが隣接する。なお、図中の数値のうち、57MHzは、上述した第1の中間周波数を示し、428.571(=6MHz/14セグメント)kHzは、1セグメントの帯域幅を示し、5.571MHzは、実際に用いられる13セグメント分の帯域幅を示している。
【0025】
次に、中間周波数からのデジタル直交復調について考える。基本的には、直交する2つの搬送波を発生し乗算することにより直交復調を行う。搬送波の4倍のクロックで標本化すると回路構成を簡単化できることから、復調用の搬送波周波数の4倍の周波数をクロックとして用いることが望ましい。そこで、クロックといしては、復調用の搬送波の4倍の周波数に設定するとし、そのクロックの周波数の基準となる、デジタル復調するためのOFDM信号の周波数を、どのように設定するかが問題となる。
【0026】
上述した57MHzの4倍の周波数、すなわち、228MHzをクロックとして用いる場合、228MHzは、非常に高速であるため、回路実装上の問題が新たに生じる可能性がある。そこで、57MHzよりも低い第2の中間周波数を設定し、その第2の中間周波数に変換した後に、その中間周波数に基づくクロックでデジタル復調することが考えられる。ここで、具体的に第2の中間周波数を、どのような値に設定するかを考察する。
【0027】
第2の中間周波数として、最終的にFFT(First Fourier Transform)の標本化周波数fSの1/2周波数の位置にOFDM信号を形成すれば、図2に示すように、OFDM信号のDC(直流成分)に対する折り返しは発生せず、また、低い周波数のクロックを用いて、第2の中間周波数のOFDM信号をデジタル復調する事が可能となる。このような周波数の位置に、受信されたOFDM信号を周波数変換し、デジタル直交復調すれば、直交復調動作として、最も低速で行うことが可能となる。このようなデジタル直交復調が行われた後のスペクトル配置を図3に示す。図3に示すようなデジタル直交復調されたOFDM信号をFFT処理することにより、各OFDMの搬送波の復調がされる。
【0028】
ところで、図2に示したデジタル復調するための周波数位置にOFDM信号を変換するには、変換前の信号よりfS/2の周波数だけ、異なる周波数を乗算することで得ることが可能である。この周波数として上側の周波数を用いるか、あるいは下側の周波数を用いるか、いずれかを選択するわけだが、すなわち、57MHz帯の第1の中間周波数を形成するのに、通常、上側局発を用いているが、さらに第2の中間周波数として、図2に示した周波数帯域に信号を変換するときの、局発を上側にするか下側にするかが問題である。
【0029】
第2の中間周波数flocとして上側局発を用いた場合、図4に示すように、隣接する音声搬送波fAが帯域端から0.25MHzしか離れていないことから、イメージとして、希望信号のセグメントに隣接するテレビジョン放送の音声搬送波fAが漏れ込んでしまう。テレビジョン放送の信号エネルギーは、映像搬送波fPの近傍と音声搬送波fAの近傍に集中することから、上述した上側局発を選択した場合、どこかのセグメントには必ず音声搬送波fAが漏れ込むことになり、希望信号に対する妨害が発生するものと想定される。従って、上側局発を用いるのは、不適切であると考えられる。
【0030】
第2の中間周波数flocとして下側局発を用いた場合、図5に示すように、隣接する映像搬送波fPの帯域端から1.25MHz離れた位置にデジタル音声放送の下端が位置するため、上側局発を用いた場合と比べて、1MHzの余裕が存在する。従って、イメージ帯域が、このテレビジョン放送の隣接チャンネルの映像搬送波fPにかからないように設定すれば、上側映像信号のサイドバンド成分の影響はあるものの、搬送波エネルギーからの妨害を防ぐことができる。
【0031】
以上のことを考慮し、具体的な周波数の検討を行う。地上デジタル音声放送では、1セグメントの帯域幅として6/14MHz(約0.429MHz)とされており、1セグメント帯域あたりのOFDM搬送波数も、モード1として108本、モード2として216本、モード3として432本が定義されている。モード1は、108本の搬送波数であるから、OFDM復調する際のFFTポイント数としては、128ポイント以上必要であるので、256ポイントFFTが用いられるのが適当であると考えられる。
【0032】
ここで、例えば、モード1が用いられた信号を受信するにあたりFFTポイント数を128とすると、FFT標本化周波数は、0.5076MHzである。同様に、モード2の場合のFFTポイント数を256、モード3の場合のFFTポイント数を512とした場合も、FFT標本化周波数は、0.5076MHzとなる。すなわち、モードによらず標本化周波数を0.5076MHzと設定する事ができる。
【0033】
上述したように、FFT標本化周波数の1/2に第2の中間周波数を設定すると、第2の中間周波数におけるOFDM信号の中心周波数は、0.2538MHzとなり、イメージ周波数は0.5076MHzとなる。このOFDM信号帯域幅は、約0.429MHzであるから、図5に示したように、イメージ帯域内に隣接するテレビジョン放送のの映像搬送波fPを避けて配置する事が可能となる。
【0034】
次に、モード1を受信するにあたり、FFTのポイント数を256と設定すると、FFTの標本化周波数は、1.0158MHzである。同様に、モード2の場合、FFTのポイント数を512、モード3のFFTのポイント数を1024とした場合も、標本化周波数は1.0158MHzとなる。すなわち、モードに無関係にFFTの標本化周波数は1.0158MHzと設定する事が可能である。
【0035】
このような場合も、FFTの標本化周波数の1/2に第2の中間周波数を設定すると、第2の中間周波数におけるOFDM信号の中心周波数は0.5079MHzとなり、イメージ周波数は、1.0158MHzとなることから、図5に示したように、イメージ帯域内に隣接する映像搬送波fPを避けて配置する事が可能となる。
【0036】
しかしながら、FFTポイント数を、上述したポイント数よりもさらに増やした場合、イメージ周波数は1.0158MHz以上となり、必ず帯域内のどこかのセグメントには、隣接するテレビジョン放送の映像搬送波fPまたは音声搬送波fAがイメージとなって漏れ込んでしまう。
【0037】
従って、OFDM信号を復調するにあたり、FFTの標本化周波数の1/2の周波数で、かつ、折り返し歪みを発生しない周波数で、隣接するテレビジョン放送の搬送波がイメージ周波数とならない中間周波数に周波数変換し、この周波数変換された信号をA/D変換回路を用いてFFTの標本化周波数の2倍のクロックで標本化し、デジタル復調し、さらにデジタル復調された基底帯域のOFDM信号をFFT回路にてOFDM復調することにより実現する。
【0038】
このようなことを考慮した受信装置の一実施の形態の構成を図6に示す。受信装置1のアンテナ2により受信されたRF帯域の信号は、RF増幅回路3に入力され、増幅され、周波数変換回路4に出力される。周波数変換回路4は、入力された信号を、発振回路5から供給される信号に基づいて、希望信号を第1の中間周波数の信号に変換する。希望信号とは、ユーザが図示されていないリモートコントローラなどを操作して選択した番組(チャンネル)の信号である。選択回路6は、希望信号の周波数よりも57MHz高い周波数の信号を発振するように、発振回路5を制御する。
【0039】
このように、周波数変換回路4に、RF増幅回路3から出力された増幅されたRF帯域の信号と、発振回路5から出力されたアッパーローカルとしての信号が供給され、混合されることにより、希望信号が57MHz帯の第1の中間周波数の中間周波信号に変換されて中間周波回路7に出力される。なお、ユーザが選択したチャンネルから、発振周波数とイメージになる周波数が算出できるので、RF増幅回路3は、予め、イメージ周波数となる帯域を抑圧するように帯域制御する。
【0040】
中間周波回路7は、入力された中間周波信号のレベルを所定のレベルにまで増幅するとともに、中間周波フィルタによる信号スペクトラムの整形を行う。中間周波フィルタの特性としては、隣接するアナログテレビジョン放送の搬送波成分を充分抑圧するものである。特に、上側隣接チャンネルの映像搬送波は、後段の周波数変換回路8で変換される周波数のイメージ周波数に近くなることから、十分な抑圧できるように設計される。また、中間周波フィルタの帯域幅は、1セグメント分、すなわち、0.429MHzである。
【0041】
増幅と整形が行われた中間周波信号は、周波数変換回路8に出力される。周波数変換回路8は、発振回路9が発振する信号を用いて、入力された中間周波信号を第2の中間周波数の中間周波信号に変換する。発振回路9が発振する発振周波数は、第1の中間周波数より、FFT標本化クロックの1/2だけ低い周波数である。例えば、FFT標本化クロックを1.0158MHzと設定した場合、第1の中間周波数である57MHzよりも0.5079(=1.0158/2)MHzだけ低い周波数、すなわち、56.4921MHzである。また、FFT標本化クロックを0.5079MHzと設定した場合、第1の中間周波数である57MHzよりも0.2539(0.5079/2)MHzだけ低い周波数、すなわち、56.7461MHzである。ここでは、FFT標本化クロックを1.0158MHzとして、以下の説明をする。
【0042】
発振回路9により発振された上述したような周波数の信号が供給された周波数変換回路8は、入力された第1の中間周波数の中間周波信号を第2の中間周波数の中間周波信号に変換する。第2の中間周波数に変換された中間周波信号は、A/D変換回路10に入力され、クロック発生回路11が発生するクロックに基づいてデジタル化(標本化)される。クロック発生回路11は、FFT標本化クロックの2倍、すなわち、第2の中間周波数の4倍の周波数の信号を発振する。上述したように、FFT標本化クロックとして搬送波周波数の4倍が用いられると、直交復調信号が交互に符号が逆転されて出力されるので、デジタル直交復調が容易に行うことができる。
【0043】
復調回路12は、A/D変換回路10から出力された信号を、上述したような特徴を利用して直交復調する。復調回路12で復調された信号は、FFT演算回路13に出力され、FFT演算処理されることによりOFDM信号の搬送波の復調がされる。このようにして復調された信号は、図示されていないスピーカなどに出力され再生される。
【0044】
図7は、図6に示した受信装置1の各部からの出力信号のスペクトルを説明する図である。図7(A)に示すように受信装置1のアンテナ2により受信されたRF帯域の信号は、周波数変換回路4により、受信された信号よりも57MHz高い周波数の第1の中間周波数(floc1)により、図7(B)に示すように、57MHz帯域の第1の中間周波信号に変換される。第1の中間周波信号は、さらに周波数変換回路8により、57MHzよりも0.5079MHz低い第2の中間周波数(floc2)に基づいて、図7(C)に示すように、第2の中間周波信号に変換される。このようにして生成された第2の中間周波信号をFFT演算回路13によりFFT演算処理を施すことにより、図3に示したような復調スペクトラムが生成される。
【0045】
図8は、受信装置1の他の実施の形態の構成を示すブロック図である。図8に示した構成では、図6に示した受信装置1から、中間周波回路7、周波数変換回路8、および発振回路9を削除した構成である。すなわち、周波数変換回路4から出力された信号は、直接、A/D変換回路10に入力される構成とされている。このような構成の受信装置1では、RF増幅回路3から出力された信号は、周波数変換回路4により、発振回路5が発振する中間周波数の信号に基づいて、周波数変換される。選局回路6は、選局されたチャンネルの周波数よりも0.5079MHzだけ高い周波数を発信するように、発振回路5を制御する。なお、中間周波数の帯域幅は、1セグメント分の帯域幅とされている。
【0046】
このようにRF帯域の信号から直接的に0.5049MHzの中間周波信号を得、その得られた中間周波信号に対し、A/D変換回路10以降の処理が行われる。A/D変換回路10以降の処理は、図6に示した受信装置1と同様なので、その説明は省略する。
【0047】
第1の中間周波数、第2の中間周波数、FFT演算クロックなどの数値は、一例にすぎず、上述した数値に限定されるものではない。
【0048】
このように本発明を適用することにより、地上デジタル音声放送の、どのセグメントを復調する場合においても、隣接するアナログテレビジョン放送の搬送波がイメージにならないように設定することができ、もって、隣接するアナログテレビジョン放送の搬送波からの妨害信号の混入を防ぐことができる。また、デジタル復調することが可能になるので、受信装置の安定した動作が可能であるとともに、アナログ信号からデジタル信号に変換する回路を1系統とすることが可能であるので、もって、回路規模を縮小することが可能となる。
【0049】
本明細書中において、上記処理を実行するコンピュータプログラムをユーザに提供する提供媒体には、磁気ディスク、CD-ROMなどの情報記録媒体の他、インターネット、デジタル衛星などのネットワークによる伝送媒体も含まれる。
【0050】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に記載の受信装置、受信方法、および記録媒体によれば、受信信号を第1の周波数の信号を用いて、第1の中間周波信号に変換し、その中間周波信号から所定の帯域幅の信号を抽出し、第1の周波数より、FFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ低い周波数の信号を用いて、抽出された信号を第2の中間周波信号に変換し、第2の中間周波信号をFFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調するようにしたので、隣接する信号からの妨害信号の混入を防ぎ、希望信号を復調することが可能となる。
【0051】
本発明に記載の受信装置、受信方法、および記録媒体は、受信信号の周波数よりFFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ高い周波数の信号を用いて、中間周波信号に変換した信号をFFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調するようにしたので、隣接する信号からの妨害信号の混入を防ぎ、希望信号を復調することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】上端と下端に位置するセグメントを受信時の信号配置について説明する図である。
【図2】第2中間周波数におけるスペクトラムを説明する図である。
【図3】 FFT標本化後のスペクトラムを説明する図である。
【図4】第2中間周波数を上側としたときのイメージ妨害について説明する図である。
【図5】第2中間周波数を下側としたときのイメージ妨害について説明する図である。
【図6】本発明を適用した受信装置1の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図7】受信装置1の各部における信号スペクトラムを説明する図である。
【図8】受信装置1の他の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 受信装置, 2 アンテナ, 3 RF増幅回路, 4 周波数変換回路, 5 発振回路, 6 選局回路, 7 中間周波回路, 8 周波数変換回路, 9 発振回路, 10 A/D変換回路, 11 クロック発生回路, 12 復調回路, 13 FFT演算回路
Claims (7)
- 受信信号を第1の周波数の信号を用いて、第1の中間周波信号に変換する第1の変換手段と、
前記第1の中間周波信号から所定の帯域幅の信号を抽出する抽出手段と、
前記第1の周波数より、FFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ低い周波数の信号を用いて、前記抽出手段から出力された信号を第2の中間周波信号に変換する第2の変換手段と、
前記第2の中間周波信号を前記FFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調手段と
を含むことを特徴とする受信装置。 - 前記抽出手段が抽出する帯域幅は、前記第1の周波数を中心周波数とし、受信信号の1セグメントの帯域幅と等しい
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。 - 受信信号を第1の周波数の信号を用いて、第1の中間周波信号に変換する第1の変換ステップと、
前記第1の中間周波信号から所定の帯域幅の信号を抽出する抽出ステップと、
前記第1の周波数より、FFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ低い周波数の信号を用いて、前記抽出ステップから出力された信号を第2の中間周波信号に変換する第2の変換ステップと、
前記第2の中間周波信号を前記FFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調ステップと
を含むことを特徴とする受信方法。 - 受信信号を第1の周波数の信号を用いて、第1の中間周波信号に変換する第1の変換ステップと、
前記第1の中間周波信号から所定の帯域幅の信号を抽出する抽出ステップと、
前記第1の周波数より、FFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ低い周波数の信号を用いて、前記抽出ステップから出力された信号を第2の中間周波信号に変換する第2の変換ステップと、
前記第2の中間周波信号を前記FFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調ステップと
を含む処理を受信装置に実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラムを記録している記録媒体。 - 受信信号を、その周波数よりFFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ高い周波数の信号を用いて、中間周波信号に変換する変換手段と、
前記中間周波信号を前記FFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調手段と
を含むことを特徴とする受信装置。 - 受信信号を、その周波数よりFFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ高い周波数の信号を用いて、中間周波信号に変換する変換ステップと、
前記中間周波信号を前記FFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調ステップと
を含むことを特徴とする受信方法。 - 受信信号を、その周波数よりFFT標本化周波数の1/2倍の周波数分だけ高い周波数の信号を用いて、中間周波信号に変換する変換ステップと、
前記中間周波信号を前記FFT標本化周波数の2倍の周波数のクロックに基づいて、デジタル復調する復調ステップと
を含む処理を受信装置に実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラムを記録している記録媒体。
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