JP4284381B2 - 二酸化炭素回収利用、移送用混合物 - Google Patents

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Description

本発明は、アルキルスズアルコキシドを含む組成物を用いた二酸化炭素の回収利用及び/又は移送用の混合物に関する。より詳細には、本発明は、炭酸エステル製造工程から排出される二酸化炭素含有ガスを有効にリサイクルし、炭酸エステルを効率よく連続して製造する方法に関する。
二酸化炭素ガスを吸収する方法は、いくつかの報告例がある。具体的には、モノエタノールアミン水溶液を使用する方法(例えば、特許文献1参照)、第三級アミンを用いる方法(例えば、特許文献2参照)、水酸化カルシウムを主成分とする多孔質の粉を用いる方法(例えば、特許文献3参照)などの化学吸着法や、ゼオライトなどを用いる固体吸着法(例えば、特許文献4参照)などが報告されている。
モノエタノールアミン水溶液や三級アミン類で二酸化炭素を回収する方法では、回収後に、吸収させた二酸化炭素を脱炭酸する工程でアミン化合物が二酸化炭素に同伴することが知られており、このアミン化合物を除去するために、脱炭酸で得られた二酸化炭素を洗浄水で洗浄してアミン化合物を除去する方法が報告されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、これらアミン化合物を二酸化炭素吸収剤として用いた場合には、殆どの場合、吸収剤を水溶液として使用するために、脱炭酸工程で得られる二酸化炭素は水を含むことも知られており(例えば、特許文献5参照)、更に、不純物として混入するアミン化合物を除去する水洗工程を付加した場合は、一層含水率の高い二酸化炭素となる。
一方で、吸収剤として水酸化カルシウムやゼオライトのような固体吸収剤を用いた場合には、接触面積を大きくするために吸収剤粉末を微細化しなければならず、微細化すると、取扱いが困難になるという課題があった。この課題を解決する方法も報告されており、例えば、リチウム化酸化物を用いる方法が知られている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、該方法では、二酸化炭素ガスの吸収、脱離を、それぞれ数百度の温度条件で行なわなければならず、二酸化炭素を回収するために多大なエネルギーを投入しなければならないといった課題がある。即ち、これまでに多くの方法が知られているが、二酸化炭素ガスの吸収回収及び脱離させて二酸化炭素ガスを得る方法には、多くの課題が残されている。
ジメチルスズジメトキシドのスズ−メトキシド結合に二酸化炭素を挿入した報告例がある(例えば、非特許文献1参照)。本例では、前記ジメチルスズジメトキシドの二酸化炭素挿入体は超臨界二酸化炭素中で存在し、前記ジメチルスズジメトキシドに含まれるスズ原子に対して二酸化炭素が過剰量(本例中では、4当量)で生成すると記載されている。さらに、4℃飽和二酸化炭素溶液でも生成すると記載されているが、同時に、該生成物は室温では不安定で、二酸化炭素を放出すると記載されており、二酸化炭素の回収や再利用を実現するには至っていない。
さらに、1、3−ジメトキシテトラブチルスタンオキサンのスズ−メトキシド結合に二酸化炭素を挿入した報告例がある(例えば、非特許文献2参照)。本例では、該1、3−ジメトキシテトラブチルスタンオキサンを室温で大気圧の二酸化炭素と反応させて1−メトキシ−3−メチルカルボナートテトラブチルスタンオキサンの固形物を得ている。しかし、該固形物は構造同定にのみ生成させ、該固形物を利用する方法は実現されていない。該1、3−ジメトキシテトラブチルスタンオキサンと二酸化炭素との反応物を使用している例としては、本出願人らが先に開示した方法であり(例えば、特許文献9参照)、該1,3−ジメトキシテトラブチルスタンオキサンを高圧容器に入れて、二酸化炭素と反応させて、該高圧容器内で炭酸エステルを生成させる方法のみである。本発明は、特定のスズ化合物を特定の比率で二酸化炭素を含有させることによる回収利用及び/又は移送用の組成物を実現することを目的として更に鋭意検討したものであり、上述した技術とは全く異なるものである。
上述した内容にも関係するが、近年、二酸化炭素を原料とする炭酸エステル製造方法が開示されている(例えば、特許文献8、特許文献9参照)。二酸化炭素を原料とした炭酸エステル製造方法では、反応の平衡が原系に偏っているために、一般的に高圧の二酸化炭素を使用し、多くの場合は超臨界状態の二酸化炭素を使用する(例えば、特許文献8の実施例参照)が、反応に利用される二酸化炭素は僅かであり、未利用の二酸化炭素は放出されている。また、本発明者らは、二酸化炭素を超臨界とせず、比較的圧力の低い二酸化炭素を利用した方法を開示したが(例えば、特許文献9参照)、高圧で二酸化炭素を反応させると常圧に戻す際に二酸化炭素が無駄になると記載したのみで、未反応の二酸化炭素を回収して再利用することを記載した例はない。
上記した二酸化炭素を原料とする炭酸エステル製造方法から排出される二酸化炭素は、常圧であって、放出された該常圧の二酸化炭素を再利用するためには、超臨界二酸化炭素抽出システムで実用化されているコンプレッサー等で再加圧し利用する方法が挙げられる。この方法では、常圧程度の二酸化炭素を数MPa以上とする必要がある。反応で利用される二酸化炭素に比較し、該放出され再加圧する必要のある未反応の二酸化炭素は非常に多く(多くの場合数十倍以上)、巨大なコンプレッサーと、該コンプレッサーの駆動のためと二酸化炭素圧縮の際に発生する熱を冷却器で除去するために必要な電力エネルギーを投入する必要がある。かかる設備や電力エネルギーの投入は、炭酸エステル製造のコスト競争力を悪化させ、産業上の実施価値がないため、炭酸エステルの製造法としては実施されていない。また、反応系内に低沸のアルコール(例えば、メタノール)や低沸の炭酸エステル(例えば、炭酸ジメチル)を含んでいる場合、高圧条件から放出される二酸化炭素中には、該低沸メタノールや低沸炭酸エステルを多く含むため、該放出された二酸化炭素を再加圧時に該低沸物(低沸アルコールや低沸炭酸エステル)が部分的に液化する場合もあり、コンプレッサー性能を維持するためには該液化した低沸物を抜き出すコントロールする必要もあり、装置化は極めて困難である。
日本国特許第2809368号 特開2003−261315号公報 特開平5−184864号公報 特開2004−344703号公報 特開2002−126439号公報 特開2002−85966号公報 特開2003−192643号公報 日本国特許第3385359号 WO03−055840号公報 J.Am.Chem.Soc.,121(1999),3793−3794 Applied Catalysis A:General,255(2003),93−99
本発明の目的は、ガス状の二酸化炭素を固定化した、二酸化炭素の回収利用可能な混合物を提供し、さらに液状成分として移送できる混合物を提供することである。本発明のさらなる目的は、該混合物を利用することで炭酸エステル製造工程から排出される二酸化炭素含有ガスを有効にリサイクルし、炭酸エステルを効率よく連続して製造する方法を提供することである。本発明によって、従来、多くの場合、大気中に放出されていた二酸化炭素含有ガスを回収再利用することができ、二酸化炭素利用効率を向上させることをも目的としている。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のスズ化合物と二酸化炭素を特定の割合からなる混合物が極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、
〔1〕 アルキルスズアルコキシド及びアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含むアルキルスズアルコキシド組成物と、
二酸化炭素と、を含む、二酸化炭素の移送用混合物であって、
前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び前記混合物中に含まれている二酸化炭素は、移送すべきガス状の二酸化炭素を吸収させ、化学反応させることにより、液状又は液状とできる混合物として固定化されたものであり、
前記混合物中に含有される、前記アルキルスズアルコキシド及び前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を構成するスズ原子モル数をZとし、
前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び前記混合物中に含まれている二酸化炭素を(CO2)とし、
前記混合物中に含有されるOR基を(OR)とし、ここで、前記OR基のOは、酸素原子を表し、Rは、脂肪族基又はアラルキル基であって、
i)スズ−OR結合を形成するOR基のR、及び/又は
ii)アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体中の−O−(CO)−OR結合を形成するOR基のR、を表わし、
前記スズ原子と前記(CO 2 )と前記(OR)とのモル比をZ:x:yとすると、Zに対するxの比が0.1〜2であり、Zに対するyの比が0.5〜2の範囲である、二酸化炭素の移送用混合物。
合物、
〕 前記R基が、脂肪族基である、前項〔1〕記載の混合物、
〕 前記R基が、炭素数1〜6のアルキル基である、前項〔1〕又は〔2〕に記載の混合物、
〕 前記R基が、炭素数4〜6のアルキル基である、前項〔1〕〜〔3〕のうち何れか一項に記載の混合物、
〕 前記化学反応させる圧力が、常圧から1MPaの範囲である、前項〔1〕に記載の混合物、
〕 前記化学反応させる温度が、−40℃から80℃の範囲である、前項〔1〕に記載の混合物、
〕 液体状態にある前記アルキルスズアルコキシド組成物に、ガス状の二酸化炭素を吸収させる、前項〔1〕に記載の混合物、
〕 前記混合物を移送する温度が、−40℃から80℃の範囲である、前項〔1〕〜〔7〕のうち何れか一項に記載の混合物、
〕 前記アルキルスズアルコキシド組成物が、テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサン及び/又はジアルキルスズジアルコキシドを含有する、前項〔1〕〜〔8〕のうち何れか一項に記載の混合物、
10〕 該アルキルスズアルコキシド組成物中に含有されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンとジアルキルスズジアルコキシドのモル比率が、0:100〜80:20の範囲である、前項〔9〕に記載の混合物、
11〕 前記混合物が、炭酸エステルをさらに含み、前記炭酸エステルの含有量が、前記アルキルスズアルコキシド組成物中のテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンのモル数に対して、20モル%未満である、前項〔9〕又は〔10〕に記載の混合物、
12〕 前記テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンが、下記一般式(1)で表されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンである、前項〔9〕〜〔11〕のうち何れか一項に記載の混合物、
Figure 0004284381
(式中、R1、R2、R4、R5は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、R3、R6は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、a及びbは0から2の整数であり、a+bは2であり、c及びdは0から2の整数であり、c+dは2である。)
13〕 前記ジアルキルスズジアルコキシドが、下記一般式(2)で表されるジアルキルスズジアルコキシドである、前項〔9〕〜〔11〕のうち何れか一項に記載の混合物、
Figure 0004284381
(式中、R7、R8は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、R9、R10は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、e及びfは0から2の整数であり、e+fは2であり、g及びhは0から2の整数であり、g+hは2である。)
14〕 前記アルキルスズアルコキシド組成物が、少なくとも1種類のジアルキルスズアルコキシドの単量体、会合体、ポリマー状成分を含むアルキルスズアルコキシド組成物である、前項〔1〕〜〔13〕のうち何れか一項に記載の混合物、
15〕 下記工程を含む炭酸エステルの製造方法、
工程1:アルキルスズアルコキシドと、ガス状の二酸化炭素とアルキルスズアルコキシドとを反応させて得られるアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含むアルキルスズアルコキシド組成物と、二酸化炭素とを含む混合物であって、前記混合物中に含有される、前記アルキルスズアルコキシド及び前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を構成するスズ原子モル数をZとし、前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び前記混合物中に含まれている二酸化炭素を(CO2)とし、
前記混合物中に含有されるOR基を(OR)とし、ここで、前記OR基のOは、酸素原子を表し、Rは、脂肪族基又はアラルキル基であって、
i)スズ−OR結合を形成するOR基のR、及び/又は
ii)アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体中の−O−(CO)−OR結合を形成するOR基のR、を表わし、
前記スズ原子と前記(CO 2 )と前記(OR)とのモル比をZ:x:yとすると、Zに対するxの比が0.1〜2であり、Zに対するyの比が0.5〜2の範囲である混合物を得る工程と、
工程2:液体状態にある前記混合物を炭酸エステル合成工程へ移送する工程と、
工程3:二酸化炭素存在下、前記混合物から炭酸エステルを含む反応液を得る工程と、
工程4:前記反応液から、二酸化炭素をガス状成分として分離する工程、
16〕 工程4の後に、
工程5:前記分離したガス状の二酸化炭素を工程1にリサイクルする工程を、
さらに含む、前項〔15〕に記載の炭酸エステルの製造方法、
17〕 工程5の後に、
工程6:工程4で二酸化炭素を分離した反応液から炭酸エステルを分離し、残留液を得る工程と、
工程7:前記残留液とアルコールとを反応させて、アルキルスズアルコキシド組成物を得る工程と、
工程8:前記アルキルスズアルコキシド組成物を工程1へリサイクルする工程と、
をさらに含む、前項〔16〕に記載の炭酸エステルの製造方法、
18〕 前記アルコールが、下記式(3)で表されるアルコールである、
Figure 0004284381
(式中、R11は、工程1の混合物中のOR基(OR)のRと同定義である。)
前項〔17〕に記載の炭酸エステルの製造方法、
19〕 請求項1記載の混合物を加熱及び/又は減圧して、二酸化炭素を脱離させて、前記脱離させた二酸化炭素を利用する工程を含む、二酸化炭素の回収利用方法
20〕 前項〔1〕に記載の混合物が、反応器中で、ガス状の二酸化炭素を連続的に供給して、化学反応して得られる混合物であって、前記混合物を液相成分として得、同時に前記反応器の気相部を連続的に抜き出して、前記連続的に供給したガス状の二酸化炭素よりも含水量の低い乾燥したガス状の二酸化炭素を得る、乾燥したガス状の二酸化炭素の製造方法、
21〕 液体状態である前項〔1〕に記載の前記混合物を移送することを含む、二酸化炭素の移送方法、
22〕 前記混合物を移送する温度が、−40℃から80℃の範囲である、前項〔21〕に記載の移送方法、
を提供する。
本発明の混合物を使用することによって、二酸化炭素を液状混合物として移送でき、さらに該混合物から得られる二酸化炭素は本質的に水を含有しない。また、本発明の混合物は、二酸化炭素ガスと、アルキルスズアルコキシド組成物とを反応させることによって、容易に得ることができるため、二酸化炭素の効率のよい回収利用混合物として使用でき、産業上に大いに有用である。
本発明の実施の形態について、図面等を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
本発明の混合物は、特定のスズ化合物と二酸化炭素を特定の割合からなる、二酸化炭素の回収利用及び/又は移送用の混合物である。本発明の混合物は、ガス状の二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物から容易に得ることができる。即ち、本発明の混合物は、アルキルスズアルコキシド及びアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含むアルキルスズアルコキシド組成物と、
二酸化炭素と、を含む、二酸化炭素の移送用混合物であって、
前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び前記混合物中に含まれている二酸化炭素は、移送すべきガス状の二酸化炭素を吸収させ、化学反応させることにより、液状又は液状とできる混合物として固定化されたものであり、
前記混合物中に含有される、前記アルキルスズアルコキシド及び前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を構成するスズ原子モル数をZとし、
前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び前記混合物中に含まれている二酸化炭素を(CO2)とし、
前記混合物中に含有されるOR基を(OR)とし、ここで、前記OR基のOは、酸素原子を表し、Rは、脂肪族基又はアラルキル基であって、
i)スズ−OR結合を形成するOR基のR、及び/又は
ii)アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体中の−O−(CO)−OR結合を形成するOR基のR、を表わし、
前記スズ原子と前記(CO 2 )と前記(OR)とのモル比をZ:x:yとすると、Zに対するxの比が0.1〜2であり、Zに対するyの比が0.5〜2の範囲である、二酸化炭素の移送用混合物である。
より具体的に、本発明の混合物について説明する。
本発明の混合物は、アルキルスズアルコキシド組成物の二酸化炭素結合体を含む混合物である。好ましくは、後記する式(1)及び/又は下記式(2)で表されるようなアルキルスズアルコキシド類を含むアルキルスズアルコキシド組成物の二酸化炭素結合体を含む混合物である。
本発明でいうアルキルスズアルコキシドとは、特定のアルキルスズアルコキシドである。具体的には、特定のアルキルスズアルコキシドは、分子内に少なくとも1つの4価のスズ原子を含有し、該スズ原子への結合は、スズ−アルキル結合、スズ−酸素結合(スズ−アルコキシ結合を含む)によって価数が占められており、分子内に該結合を少なくとも1つずつ有する。ただし、分子外から該スズ原子への他分子の配位は、本発明の目的に影響を与えなければ差し支えない。このような分子外からの配位としては、アルコール類、アルキルスズアルコキシド同士の供与配位による会合、二酸化炭素の配位等が挙げられるが、上記したように、これらに限定されない。
上記したスズ−アルキル結合を形成するアルキル基は、脂肪族、アラルキル基を指す。その例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、ウンデシル(各異性体)、ドデシル(各異性体)、2−ブテニル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基であるアルキル基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基であるシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基が挙げられる、またエーテル結合を含んでいてもいいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。スズ原子に結合するアルキル基が複数ある場合、それらは同一であってもよいし、場合によっては異なっていても構わない。上記したアルキル基のうち、n−ブチル基、n−オクチル基から選ばれるものがより好ましい。
上記したスズ−酸素結合のうち、スズ−アルコキシ結合を形成するアルコキシ基(酸素−アルキル結合からなる基)を形成するアルキル基は、脂肪族、アラルキル基を指す。その例としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、あるいは無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルと、からなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数が短い場合には安定性、移送のための流動性が悪化する場合があり、該アルコキシ基の酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としてはアルコキシ基を形成するアルキル基が、炭素数4〜6のアルキル基で、かつ、酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基である。スズ原子に結合するアルコキシ基が複数ある場合、それらは同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
スズ−アルコキシ結合以外のスズ−酸素結合は、本発明の目的に影響を与えない結合であれば、どのような結合であっても構わない。好ましい結合としては、スズ−酸素−スズ結合を形成するスズ−酸素結合である。
本発明でいうアルキルスズアルコキシド組成物には、上記したアルキルスズアルコキシドを含有してよい組成物である。好ましいアルキルスズアルコキシド組成物としては、式(1)で表されるテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン類及び/又は式(2)で表されるジアルキルスズジアルコキシド類を含有してよいアルキルスズアルコキシド組成物である。
さらに、本発明に使用するアルキルスズアルコキシドについて以下に例を挙げて説明する。
本発明でいうテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン類は下式(1)に示すテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンであって、下式(1)に代表される構造式を示すが、単量体であっても会合体であっても多量体、重合体であってもかまわない。
Figure 0004284381
(式中、R1、R2、R4、R5は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、R3、R6は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、a及びbは0から2の整数であって、a+bは2であり、c及びdは0から2の整数であって、c+dは2である。)
式(1)のテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンのR、R、R、R の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、ウンデシル(各異性体)、ドデシル(各異性体)、2−ブテニル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基であるアルキル基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基であるシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基が挙げられる。また、エーテル結合を含んでいてもいいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。より好ましくは炭素数1から8の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。式(1)のR、R、R、Rは同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
、Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルと、からなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。式(1)のRとRは同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
式(1)で示されるテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンの例としては、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジプロポキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジプロポキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジベンジルオキシ−ジスタンオキサンなどのテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンやテトラアルキル−ジアラルキルオキシ−ジスタンオキサン等が挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
式(1)で示されるテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンのうち、R基、R基、R基、R基が、n−ブチル基、n−オクチル基から選ばれるものが好ましく、より好ましい例としては、R基、R基が炭素数1〜6のアルキル基であり、R基、R基の炭素数が短い場合には安定性、移送のための流動性が悪化する場合があり、さらにR基、R基から構成されるOR基、OR基の酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としては該R基、R基が炭素数4〜6のアルキル基で、かつ酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基である。そのような最も好ましい例としては、1,1,3,3−テトラ−(n−ブチル)−1,3−ジ−(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ−(n−ブチル)−1,3−ジ−(n−ペンチルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ−(n−ブチル)−1,3−ビス−(3−メチルブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ−(n−ブチル)−1,3−ジ−(n−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ−(n−ブチル)−1,3−ビス−(2−エチルブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ−(n−オクチル)−1,3−ジ−(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ−(n−オクチル)−1,3−ジ−(n−ペンチルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ−(n−オクチル)−1,3−ビス−(3−メチルブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ−(n−オクチル)−1,3−ジ−(n−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ−(n−オクチル)−1,3−ビス−(2−エチルブトキシ)−ジスタンオキサンである。
本発明でいうジアルキルスズジアルコキシド類は、下式(2)に示すジアルキルスズジアルコキシドであって、下式(2)に代表される構造式を示すが、単量体であっても会合体であっても多量体、重合体であってもかまわない。
Figure 0004284381
(式中、R7、R8は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、R9、R10は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、e及びfは0から2の整数であって、e+fは2であり、g及びhは0から2の整数であって、g+hは2である。)
式(2)のジアルキルスズジアルコキシドのR、Rの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、ウンデシル(各異性体)、ドデシル(各異性体)、2−ブテニル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基であるアルキル基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基であるシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基が挙げられる。また、エーテル結合を含んでいてもいいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。より好ましくは炭素数1から8の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。式(2)のR、Rは同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
、R10は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、あるいは無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルと、からなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。式(2)のRとR10は同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
このようなジアルキルスズジアルコキシドの例としては、ジブチル−ジメトキシ−スズ、ジブチル−ジエトキシ−スズ、ジブチル−ジプロポキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジヘプチルオキシ−スズ、ジブチル−ジベンジルオキシ−スズ、ジオクチル−ジメトキシ−スズ、ジオクチル−ジエトキシ−スズ、ジオクチル−ジプロポキシ−スズ(各異性体)、ジオクチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジオクチル−ジペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジオクチル−ジヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジオクチル−ジヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、ジオクチル−ジベンジルオキシ−スズなどのジアルキル−ジアルコキシ−スズやジアルキル−ジアラルキルオキシ−スズ等が挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
式(2)で示されるジアルキルスズジアルコキシドのうち、R基、R基が、n−ブチル基、n−オクチル基から選ばれるものが好ましく、より好ましい例としては、R基、R10基が炭素数1〜6のアルキル基であり、R基、R10基の炭素数が短い場合には安定性、移送のための流動性が悪化する場合があり、更にR基、R10基から構成されるOR基、OR10基において酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としては、該R基、R10基が炭素数4〜6のアルキル基で、かつ酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基である。そのような最も好ましい例としては、ジ−(n−ブチル)−ジ−(n−ブトキシ)−スズ、ジ−(n−ブチル)−ジ−(n−ペンチルオキシ)−スズ、ジ−(n−ブチル)−ビス−(3−メチルブトキシ)−スズ、ジ−(n−ブチル)−ジ−(n−ヘキシルオキシ)−スズ、ジ−(n−ブチル)−ビス−(2−エチルブトキシ)−スズ、ジ−(n−オクチル)−ジ−(n−ブトキシ)−スズ、ジ−(n−オクチル)−ジ−(n−ペンチルオキシ)−スズ、ジ−(n−オクチル)−ジ−(n−ヘキシルオキシ)−スズ、ジ−(n−オクチル)−ビス−(3−メチルブトキシ)−スズ、ジ−(n−オクチル)−ビス−(2−エチルブトキシ)−スズである。
アルキルスズアルコキシド類には下記式(4)に示すトリアルキルスズアルコキシド類も本発明において使用できる。
Figure 0004284381
(式中、R11、R12、R13は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、R14は、脂肪族基又はアラルキル基であり、i、j、kは0から3の整数であって、i+j+kは3である。)
式(4)のトリアルキルスズアルコキシドのR11、R12、R13の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、ウンデシル(各異性体)、ドデシル(各異性体)、2−ブテニル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基であるアルキル基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基であるシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基が挙げられる。また、エーテル結合を含んでいてもいいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基であり。より好ましくは炭素数1から8の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。式(4)のR11、R12、R13は同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
14は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、あるいは無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルと、からなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。
このようなトリアルキルスズアルコキシドの例としては、トリブチル−メトキシ−スズ、トリブチル−エトキシ−スズ、トリブチル−プロポキシ−スズ(各異性体)、トリブチル−ブトキシ−スズ(各異性体)、トリブチル−ペンチルオキシ−スズ(各異性体)、トリブチル−ヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、トリブチル−ヘプチルオキシ−スズ、トリブチル−ベンジルオキシ−スズ、トリオクチル−メトキシ−スズ、トリオクチル−エトキシ−スズ、トリオクチル−プロポキシ−スズ(各異性体)、トリオクチル−ブトキシ−スズ(各異性体)、トリオクチル−ペンチルオキシ−スズ(各異性体)、トリオクチル−ヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、トリオクチル−ヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、トリオクチル−ベンジルオキシ−スズなどのトリアルキル−アルコキシ−スズやトリアルキル−アラルキルオキシ−スズ等が挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
式(4)で示されるトリアルキルスズアルコキシドのうち、R11基、R12基、R 基がn−ブチル基、n−オクチル基から選ばれるものが好ましく、より好ましい例としては、R14基が炭素数1〜6のアルキル基であり、R14基の炭素数が短い場合には安定性、移送のための流動性が悪化する場合があり、更にR14基から構成されるOR14基において酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としては該R14基が炭素数4〜6のアルキル基で、かつ酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基である。そのような最も好ましい例としては、トトリ−(n−ブチル)−(n−ブトキシ)−スズ、トリ−(n−ブチル)−(n−ペンチルオキシ)−スズ、トリ−(n−ブチル)−(3−メチルブトキシ)−スズ、トリ−(n−ブチル)−(n−ヘキシルオキシ)−スズ、トリ−(n−ブチル)−(2−エチルブトキシ)−スズ、トリ−(n−オクチル)−(n−ブトキシ)−スズ、トリ−(n−オクチル)−(n−ペンチルオキシ)−スズ、トリ−(n−オクチル)−(n−ヘキシルオキシ)−スズ、トリ−(n−オクチル)−(3−メチルブトキシ)−スズ、トリ−(n−オクチル)−(2−エチルブトキシ)−スズである。
アルキルスズアルコキシド類にはモノアルキルスズアルコキシド類も本発明において使用できる。モノアルキルスズアルコキシド類の構造の特定は困難であるが、下記式(5)及び/又は(6)で示されるモノアルキルスズアルコキシドである。
Figure 0004284381
(式中、R15、R19は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、R16、R17、R18、R20は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、m、n、pは0から3の整数であって、m+n+pは3である。)
式(5)で表されるモノアルキルスズアルコキシドのR15の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、ウンデシル(各異性体)、ドデシル(各異性体)、2−ブテニル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基であるアルキル基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基であるシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基が挙げられる。また、エーテル結合を含んでいてもいいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは炭素数1から8の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。
16、R17、R18は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、あるいは無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルと、からなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。
このようなモノアルキルスズアルコキシドの例としては、ブチル−トリメトキシ−スズ、ブチル−トリ−エトキシ−スズ、ブチル−トリプロポキシ−スズ(各異性体)、ブチル−トリ−ブトキシ−スズ(各異性体)、ブチル−トリ−ペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−トリ−ヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−トリ−ヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−トリ−ベンジルオキシ−スズ、オクチル−トリ−メトキシ−スズ、オクチル−トリ−エトキシ−スズ、オクチル−トリ−プロポキシ−スズ(各異性体)、オクチル−トリ−ブトキシ−スズ(各異性体)、オクチル−トリ−ペンチルオキシ−スズ(各異性体)、オクチル−トリ−ヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、オクチル−トリ−ヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、オクチル−トリ−ベンジルオキシ−スズなどのアルキル−トリ−アルコキシ−スズ、やアルキル−トリ−アラルキルオキシ−スズ等が挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
式(5)で示されるモノアルキルスズアルコキシドのうち、R15基がn−ブチル基、n−オクチル基から選ばれるものが好ましく、より好ましい例としては、R16基、R 基、R18基が炭素数1〜6のアルキル基であり、R16基、R17基、R18基の炭素数が短い場合には安定性、移送のための流動性が悪化する場合があり、更にR16基、R17基、R18基から構成されるOR16基、OR17基、OR18基において酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としては該R16基、R17基、R18基が炭素数4〜6のアルキル基で、かつ酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基である。そのような最も好ましい例としては、(n−ブチル)−トリ−(n−ブトキシ)−スズ、(n−ブチル)−トリ−(n−ペンチルオキシ)−スズ、(n−ブチル)−トリス−(3−メチルブトキシ)−スズ、(n−ブチル)−トリ−(n−ヘキシルオキシ)−スズ、(n−ブチル)−トリス−(2−エチルブトキシ)−スズ、(n−オクチル)−トリ−(n−ブトキシ)−スズ、(n−オクチル)−トリ−(n−ペンチルオキシ)−スズ、(n−オクチル)−トリ−(n−ヘキシルオキシ)−スズ、(n−オクチル)−トリス−(3−メチルブトキシ)−スズ、(n−オクチル)−トリス−(2−エチルブトキシ)−スズである。
式(6)で表されるモノアルキルスズアルコキシドのR19の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、ウンデシル(各異性体)、ドデシル(各異性体)、2−ブテニル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基であるアルキル基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基であるシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基が挙げられる。また、エーテル結合を含んでいてもいいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基であり。より好ましくは炭素数1から8の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。
20は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、あるいは無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルと、からなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。
このようなモノアルキルスズアルコキシドの例としては、ブチル−メトキシ−スズオキシド、ブチル−エトキシ−スズオキシド、ブチル−プロポキシ−スズオキシド(各異性体)、ブチル−ブトキシ−スズオキシド(各異性体)、ブチル−ペンチルオキシ−スズオキシド(各異性体)、ブチル−ヘキシルオキシ−スズオキシド(各異性体)、ブチル−ヘプチルオキシ−スズオキシド(各異性体)、ブチル−ベンジルオキシ−スズオキシド、オクチル−メトキシ−スズオキシド、オクチル−エトキシ−スズオキシド、オクチル−プロポキシ−スズオキシド(各異性体)、オクチル−ブトキシ−スズオキシド(各異性体)、オクチル−ペンチルオキシ−スズオキシド(各異性体)、オクチル−ヘキシルオキシ−スズオキシド(各異性体)、オクチル−ヘプチルオキシ−スズオキシド(各異性体)、オクチル−ベンジルオキシ−スズオキシドなどのアルキル−アルコキシ−スズオキシドやアルキル−アラルキルオキシ−スズオキシド等が挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
式(6)で示されるモノアルキルスズアルコキシドのうち、R19基がn−ブチル基、n−オクチル基から選ばれるものが好ましく、さらに好ましい例としては、R20基が炭素数1〜6のアルキル基であり、R20基の炭素数が短い場合には安定性、移送のための流動性が悪化する場合があり、さらにR20基から構成されるOR20基において酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としては該R20基が炭素数4〜6のアルキル基で、かつ酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基である。そのような最も好ましい例としては、(n−ブチル)−(n−ブトキシ)−スズオキシド、(n−ブチル)(n−ペンチルオキシ)−スズオキシド、(n−ブチル)−(3−メチルブトキシ)−スズオキシド、(n−ブチル)−スズ−(n−ヘキシルオキシ)−スズオキシド、(n−ブチル)−(2−エチルブトキシ)−スズオキシド、(n−オクチル)−(n−ブトキシ)−スズオキシド、(n−オクチル)−(n−ペンチルオキシ)−スズオキシド、(n−オクチル)−(n−ヘキシルオキシ)−スズオキシド、(n−オクチル)−(3−メチルブトキシ)−スズオキシド、(n−オクチル)−(2−エチルブトキシ)−スズオキシドである。
アルキルスズアルコキシド類には、下記式(7)に示すトリアルキル−トリアルコキシ−ジスタンオキサン類も、本発明において使用できる。本発明でいうトリアルキル−トリアルコキシ−ジスタンオキサン類は、下式(7)に示すテトリアルキル−トリアルコキシ−ジスタンオキサンであって、下式(7)に代表される構造式を示すが、単量体であっても会合体であっても多量体、重合体であってもかまわない。
Figure 0004284381
(式中、R21、R22、R23は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、R24、R25、R26は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、r及びsは0から2の整数であって、r+sは2であり、t及びuは0から2の整数であって、t+uは2である。)
式(7)のトリアルキル−トリアルコキシ−ジスタンオキサンのR21、R22、R 、の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、ウンデシル(各異性体)、ドデシル(各異性体)、2−ブテニル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基であるアルキル基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基であるシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基が挙げられる。また、エーテル結合を含んでいてもいいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。より好ましくは炭素数1から8の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。式(7)のR21、R22、R23は同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
24、R25、R26は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、あるいは無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルと、からなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基であり。式(7)のR24、R25、R26は同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
式(7)で示されるトリアルキル−トリアルコキシ−ジスタンオキサンの例としては、1,1,3−トリブチル−1,3,3−トリメトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3−トリブチル−1,3,3−トリエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3−トリブチル−1,3,3−トリプロポキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリブチル−1,3,3−トリブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリブチル−1,3,3−トリペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリブチル−1,3,3−トリヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリブチル−1,3,3−トリヘプチルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3−トリブチル−1,3,3−トリベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3−トリオクチル−1,3,3−トリメトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3−トリオクチル−1,1,3−トリエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3−トリオクチル−1,3,3−トリプロポキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリオクチル−1,3,3−トリブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリオクチル−1,3,3−トリペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリオクチル−1,3,3−トリヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリオクチル−1,3,3−トリヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリブチル−1,3,3−トリベンジルオキシ−ジスタンオキサンなどのトリアルキル−トリアルコキシ−ジスタンオキサンやトリアルキル−トリアラルキルオキシ−ジスタンオキサン等が挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
式(7)で示されるトリアルキル−トリアルコキシ−ジスタンオキサンのうち、R21基、R22基、R23基が、n−ブチル基、n−オクチル基から選ばれるものが好ましく、さらに好ましい例としては、R24基、R25基、R26基が炭素数1〜6のアルキル基であり、R24基、R25基、R26基の炭素数が短い場合には安定性、移送のための流動性が悪化する場合があり、さらにR24基、R25基、R26基から構成されるOR 24基、OR25基、OR26基の酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としては該R24基、R25基、R26基が炭素数4〜6のアルキル基で、かつ、酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基である。そのような最も好ましい例としては、1,1,3−トリ−(n−ブチル)−1,3,3−トリ−(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−ブチル)−1,3,3−トリ−(n−ペンチルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−ブチル)−1,3,3−トリス−(3−メチルブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−ブチル)−1,3,3−トリ−(n−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−ブチル)−1,3,3−トリス−(2−エチルブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−オクチル)−1,3,3−トリ−(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−オクチル)−1,3,3−トリ−(n−ペンチルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−オクチル)−1,3,3−トリス−(3−メチルブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−オクチル)−1,3,3−トリ−(n−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−オクチル)−1,3,3−トリス−(2−エチルブトキシ)−ジスタンオキサンである。
上記したアルキルスズアルコキシド類は、それぞれ混合物であっても、単独であっても構わないし、相互に配位、会合していても構わない。アルキルスズアルコキシドは配位子が交換しやすく、構造の特定が困難であったり、上記した以外にも配位、会合したアルキルスズアルコキシドも存在する可能性はある。ただし、現在の解析技術で特定できないにすぎず、上記したようなアルキル基、アルコキシ基の規定に基づいたアルキルスズアルコキシドは、本発明において使用することができる。
次に、本発明でいうアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体について説明する。
本発明でいうアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体とは、特定のアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体である。該特定のアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体の特徴は、分子内に少なくとも1つの4価のスズ原子を含有し、該スズ原子への結合は、スズ−アルキル結合、スズ−カルボナート結合、スズ−酸素結合(スズ−アルコキシ結合を含む)によって価数が占められており、分子内に少なくとも1つのスズ−アルキル結合と少なくとも1つのスズ−カルボナート結合を有する。ただし、分子外から該スズ原子への他分子の配位は、本発明の目的に影響を与えなければ差し支えない。このような分子外からの配位としては、アルコール類、アルキルスズアルコキシド、アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体相互の供与配位による会合、二酸化炭素の配位等が挙げられるが、上記したように、これらに限定されない。
上記したスズ−アルキル結合を形成するアルキル基は、脂肪族、アラルキル基を指す。その例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、ウンデシル(各異性体)、ドデシル(各異性体)、2−ブテニル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基であるアルキル基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基であるシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基が挙げられる。また、エーテル結合を含んでいてもいいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。スズ原子に結合するアルキル基が複数ある場合、それらは同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。上記したアルキル基のうち、n−ブチル基、n−オクチル基から選ばれるものが最も好ましい。
上記したスズ−酸素結合のうち、スズ−アルコキシ結合を形成するアルコキシ基(酸素−アルキル結合からなる基)を形成する、アルキル基は、脂肪族、アラルキル基を指す。その例としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、あるいは無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルと、からなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数が短い場合には安定性、移送のための流動性が悪化する場合があり、該アルコキシ基の酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としてはアルコキシ基を形成するアルキル基が、炭素数4〜6のアルキル基で、かつ酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基である。スズ原子に結合するアルコキシ基が複数ある場合、それらは同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
スズ−アルコキシ結合以外のスズ−酸素結合は、本発明の目的に影響を与えない結合であれば、どのような結合であっても構わない。好ましい結合としては、スズ−酸素−スズ結合を形成するスズ−酸素結合である。
上記したスズ−カルボナート結合とは、本発明のいうアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を特徴づける結合である。該スズ−カルボナート結合は、上述したスズ−アルコキシ結合(即ち、Sn−OR結合)のスズ原子とアルコキシ基の間に二酸化炭素分子(CO)が挿入された結合である。即ち、スズ−カルボナート結合は、Sn−O−CO−ORで特徴づけられる結合である。このような結合の存在は、119Sn−NMRや C−NMR、H−NMR、X線構造解析などを組み合わせて公知の方法で確認することができる。
本発明の混合物は、上記したアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含有することを特徴とする混合物である。好ましいアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体とは、前述した本発明で使用できるアルキルスズアルコキシドのアルコキシ基部分が、上記したカルボナート結合に一部または全部置き換わった(あるいは変化した)構造である。
さらに、本発明に使用するアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体について以下に例を挙げて説明する。上記したように、好ましいアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体とは、前述した本発明で使用できるアルキルスズアルコキシドのアルコキシ基部分が、上記したカルボナート結合に一部または全部置き換わった(あるいは変化した)構造である。従って、前記したアルキルスズアルコキシドと対応させて、アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を示す。ただし、二酸化炭素結合体の結合の存在については前記した分析方法によって確認することが可能であるが、二酸化炭素結合体の構造については、複雑な構造となり、現在の分析技術では特定できない場合もあり、本発明の二酸化炭素結合体は下記構造例に限定されない。
前記した式(1)に示すテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンに対応する二酸化炭素結合体の例としては、下記式(8)、(9)、(10)に代表される構造式を示すが、単量体であっても会合体であっても多量体、重合体であってもかまわない。
Figure 0004284381
(式中、R、R、R、R、R、Rは、各々独立して、前記した式(1)で定義したR、R、R、R、R、Rを表し、a、b、c、dも式(1)で定義したa、b、c、dを表す。)
前記した式(2)に示すジアルキルスズジアルコキシドに対応する二酸化炭素結合体の例としては、下記式(11)、(12)、(13)に代表される構造式を示すが、単量体であっても会合体であっても多量体、重合体であってもかまわない。
Figure 0004284381
(式中、R、R、R、R10は、各々独立して、前記した式(2)で定義したR、R、R、R10を表し、e、fも式(1)で定義したe、fを表す。)
上記した式(8)から(13)で示した結合体のR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10の例は前述した通りであり、そのような二酸化炭素結合体の例として、メトキシ−メチルカルボナート−ジブチル−スズ、エトキシ−エチルカルボナート−ジブチル−スズ、プロポキシ−プロピルカルボナート−ジブチル−スズ(各異性体)、ブトキシ−ブチルカルボナート−ジブチル−スズ(各異性体)、ペンチルオキシ−ペンチルカルボナート−ジブチル−スズ(各異性体)、ヘキシルオキシ−ヘキシルカルボナート−ジブチル−スズ(各異性体)、ヘプチルオキシ−ヘプチルカルボナート−ジブチル−スズ(各異性体)、ベンジルオキシ−ベンジルカルボナート−ジブチル−スズ、メトキシ−メチルカルボナートジオクチル−スズ、エトキシ−エチルカルボナート−ジオクチル−スズ、プロポキシ−プロピルカルボナート−ジオクチル−スズ(各異性体)、ブトキシ−ブチルカルボナート−ジオクチル−スズ(各異性体)、ペンチルオキシ−ペンチルカルボナート−ジオクチル−スズ(各異性体)、ヘキシルオキシ−ヘキシルカルボナート−ジオクチル−スズ(各異性体)、ヘプチルオキシ−ヘプチルカルボナート−ジオクチル−スズ(各異性体)、ベンジルオキシ−ベンジルカルボナート−ジオクチル−スズなどアルコキシ−アルキルカルボナート−ジアルキル−スズ、アラルキルオキシ−アラルキルカルボナート−ジアルキル−スズや、1−メトキシ−3−メチルカルボナート−1,1,3,3−テトラブチル−ジスタンオキサン、1−エトキシ−3−エチルカルボナート−1,1,3,3−テトラブチル−ジスタンオキサン、1−プロポキシ−3−プロピルカルボナート−1,1,3,3−テトラブチル−ジスタンオキサン(各異性体)、1−ブトキシ−3−ブチルカルボナート−1,1,3,3−テトラブチル−ジスタンオキサン(各異性体)、1−ペンチルオキシ−3−ペンチルカルボナート−1,1,3,3−テトラブチル−ジスタンオキサン(各異性体)、1−ヘキシルオキシ−3−ヘキシルカルボナート−1,1,3,3−テトラブチル−ジスタンオキサン(各異性体)、1−ヘプチルオキシ−3−ヘプチルカルボナート−1,1,3,3−テトラブチル−ジスタンオキサン(各異性体)、1−ベンジルオキシ−3−ベンジルカルボナート−1,1,3,3−テトラブチル−ジスタンオキサン、1−メトキシ−3−メチルカルボナート−1,1,3,3−テトラオクチル−ジスタンオキサン、1−エトキシ−3−エチルカルボナート−1,1,3,3−テトラオクチル−ジスタンオキサン、1−プロポキシ−3−プロピルカルボナート−1,1,3,3−テトラオクチル−ジスタンオキサン(各異性体)、1−ブトキシ−3−ブチルカルボナート−1,1,3,3−テトラオクチル−ジスタンオキサン(各異性体)、1−ペンチルオキシ−3−ペンチルカルボナート−1,1,3,3−テトラオクチル−ジスタンオキサン(各異性体)、1−ヘキシルオキシ−3−ヘキシルカルボナート−1,1,3,3−テトラオクチル−ジスタンオキサン(各異性体)、1−ヘプチルオキシ−3−ヘプチルカルボナート−1,1,3,3−テトラオクチル−ジスタンオキサン、(各異性体)、1−ベンジルオキシ−3−ベンジルカルボナート−1,1,3,3−テトラオクチル−ジスタンオキサンなどの1−アルコキシ−3−アルキルカルボナート−1,1,3,3−テトラアルキル−ジスタンオキサン、1−アラルキルオキシ−3−アラルキルカルボナート−1,1,3,3−テトラアルキル−ジスタンオキサンなどが挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
式(8)から(13)で示される二酸化炭素結合体のうち、R基、R基、R基、R基、R基、R基が、n−ブチル基、n−オクチル基から選ばれるものが好ましく、更に好ましい例としては、R基、R基、R基、R10基が炭素数1〜6のアルキル基であり、R基、R基、R基、R10基の炭素数が短い場合には安定性、移送のための流動性が悪化する場合があり、さらにR基、R基、R基、R10基から構成されるOR基、OR基、OR基、OR10基の酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としては該R基、R 基、R基、R10基が炭素数4〜6のアルキル基で、かつ酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基である。そのような最も好ましい例としては、(n−ブトキシ)−(n−ブチルカルボナート)−ジ−n−ブチル−スズ、(3−メチルブトキシ)−(3−メチルブチルカルボナート)−ジ−n−ブチル−スズ、(n−ペンチルオキシ)−(n−ペンチルカルボナート)−ジ−n−ブチル−スズ、(n−ヘキシルオキシ)−(n−ヘキシルカルボナート)−ジ−n−ブチル−スズ、(2−エチルブトキシ)−(2−エチルブチルカルボナート)−ジ−n−ブチル−スズ、(n−ヘプチルオキシ)−(n−ヘプチルカルボナート)−ジ−n−ブチル−スズ、(n−ブトキシ)−(n−ブチルカルボナート)−ジ−n−オクチル−スズ、(3−メトキシブトキシ)−(3−メチルブチルカルボナート)−ジ−n−オクチル−スズ、(n−ペンチルオキシ)−(n−ペンチルカルボナート)−ジ−n−オクチル−スズ、(n−ヘキシルオキシ)−(n−ヘキシルカルボナート)−ジ−n−オクチル−スズ、(2−エチルブトキシ)−(2−エチルブチルカルボナート)−ジ−n−オクチル−スズ、(n−ヘプチルオキシ)−(n−ヘプチルカルボナート)−ジ−n−オクチル−スズ、1−(n−ブトキシ)−3−(n−ブチルカルボナート)−1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−ジスタンオキサン、1−(3−メチルブトキシ)−3−(3−メチルブチルカルボナート)−1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−ジスタンオキサン、1−(n−ペンチルオキシ)−3−(n−ペンチルカルボナート)−1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−ジスタンオキサン、1−(n−ヘキシルオキシ)−3−(n−ヘキシルカルボナート)−1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−ジスタンオキサン、1−(2−エチルブトキシ)−3−(2−エチルブチルカルボナート)−1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−ジスタンオキサン、1−(n−ブトキシ)−3−(n−ブチルカルボナート)−1,1,3,3−テトラ−n−オクチル−ジスタンオキサン、1−(3−メチルブトキシ)−3−(3−メチルブチルカルボナート)−1,1,3,3−テトラ−n−オクチル−ジスタンオキサン、1−(n−ペンチルオキシ)−3−(n−ペンチルカルボナート)−1,1,3,3−テトラ−n−オクチル−ジスタンオキサン、1−(n−ヘキシルオキシ)−3−(n−ヘキシルカルボナート)−1,1,3,3−テトラ−n−オクチル−ジスタンオキサン、1−(2−エチルブトキシ)−3−(2−エチルブチルカルボナート)−1,1,3,3−テトラ−n−オクチル−ジスタンオキサンである。これらは単量体であっても、会合体であっても構わない。
本発明で好ましいアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体の好ましい例は上記したジアルキルスズジアルコキシドの二酸化炭素結合体、テトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンの二酸化炭素結合体であるが、前記した式(4)から(7)で示したアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含んで構わない。
式(4)で示したトリアルキルスズアルコキシド類の二酸化炭素結合体の例を下記式(14)に示す。
Figure 0004284381
(式中、R11、R12、R13、R14は、前記した式(4)で定義したR11、R 、R13、R14を表し、i、j、kも式(4)で定義したi、j、kを表す。)
上記した式(14)で示した結合体のR11、R12、R13、R14の例は前述した通りであり、そのような二酸化炭素結合体の例として、トリブチル−メチルカルボナート−スズ、トリブチル−エチルカルボナート−スズ、トリブチル−プロピルカルボナート−スズ(各異性体)、トリブチル−ブチルカルボナート−スズ(各異性体)、トリブチル−ペンチルカルボナート−スズ(各異性体)、トリブチル−ヘキシルカルボナート−スズ(各異性体)、トリブチル−ヘプチルカルボナート−スズ、トリブチル−ベンジルカルボナート−スズ、トリオクチル−メチルカルボナート−スズ、トリオクチル−エチルカルボナート−スズ、トリオクチル−プロピルカルボナート−スズ(各異性体)、トリオクチル−ブチルカルボナート−スズ(各異性体)、トリオクチル−ペンチルカルボナート−スズ(各異性体)、トリオクチル−ヘキシルカルボナート−スズ(各異性体)、トリオクチル−ヘプチルカルボナート−スズ(各異性体)、トリオクチル−ベンジルカルボナート−スズなどのトリアルキル−アルキルカルボナート−スズやトリアルキル−アラルキルカルボナート−スズ等が挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
式(14)で示されるトリアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体のうち、R 基、R12基、R13基がn−ブチル基、n−オクチル基から選ばれるものが好ましく、更に好ましい例としては、R14基が炭素数1〜6のアルキル基であり、R14基の炭素数が短い場合には安定性、移送のための流動性が悪化する場合があり、更にR14基から構成されるOR14基において酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としては該R14基が炭素数4〜6のアルキル基で、かつ酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基である。そのような最も好ましい例としては、トリ−(n−ブチル)−(n−ブチルカルボナート)−スズ、トリ−(n−ブチル)−(n−ペンチルカルボナート)−スズ、トリ−(n−ブチル)−(3−メチルブチルカルボナート)−スズ、トリ−(n−ブチル)−(n−ヘキシルカルボナート)−スズ、トリ−(n−ブチル)−(2−エチルブチルカルボナート)−スズ、トリ−(n−オクチル)−(n−ブチルカルボナート)−スズ、トリ−(n−オクチル)−(n−ペンチルカルボナート)−スズ、トリ−(n−オクチル)−(n−ヘキシルカルボナート)−スズ、トリ−(n−オクチル)−(3−メチルブチルカルボナート)−スズ、トリ−(n−オクチル)−(2−エチルブチルカルボナート)−スズである。
式(5)及び/又は(6)で示したモノアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体や、式(7)で示したトリアルキル−トリアルコキシ−ジスタンオキサンの二酸化炭素結合体も本発明の混合物に含まれてよく、そのような構造例は下記式(15)、(16)、(17)に示した。式(5)、(6)、(7)で示した化合物の二酸化炭素結合体は多様な構造をとりやすく、下記式(15)、(16)、(17)に限定されない。
Figure 0004284381
前記各式におけるR及びR’は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基を示す。
このようなモノアルキルスズアルコキシドの例としては、ブチル−メトキシ−ジ−メチルカルボナート−スズ、ブチル−エトキシ−ジ−エチルカルボナート−スズ、ブチル−プロピロキシ−ジ−プロピルカルボナート−スズ(各異性体)、ブチル−ブトキシ−ジ−ブチルカルボナート−スズ(各異性体)、ブチル−ペンチロキシ−ジ−ペンチルカルボナート−スズ(各異性体)、ブチル−ヘキシルオキシ−ジ−ヘキシルカルボナート−スズ(各異性体)、ブチル−ヘプチルオキシ−ジ−ヘプチルカルボナート−スズ(各異性体)、ブチル−ベンジルオキシ−ジ−ベンジルカルボナート−スズ、オクチル−メトキシ−ジ−メチルカルボナート−スズ、オクチル−エトキシ−ジ−エチルカルボナート−スズ、オクチル−プロポキシ−ジ−プロピルカルボナート−スズ(各異性体)、オクチル−ブトキシ−ジ−ブチルカルボナート−スズ(各異性体)、オクチル−ペンチルオキシ−ジ−ペンチルカルボナート−スズ(各異性体)、オクチル−ヘキシルオキシ−ジ−ヘキシルカルボナート−スズ(各異性体)、オクチル−ヘプチルオキシ−ジ−ヘプチルカルボナート−スズ(各異性体)、オクチル−ベンジルオキシ−ジ−ベンジルカルボナート−スズなどのアルキル−アルコキシ−ジ−アルキルカルボナート−スズやアルキル−アラルキルオキシ−ジ−アラルキルカルボナート−スズ;ブチル−メチルカルボナート−スズオキシド、ブチル−エチルカルボナート−スズオキシド、ブチル−プロピルカルボナート−スズオキシド(各異性体)、ブチル−ブチルカルボナート−スズオキシド(各異性体)、ブチル−ペンチルカルボナート−スズオキシド(各異性体)、ブチル−ヘキシルカルボナート−スズオキシド(各異性体)、ブチル−ヘプチルカルボナート−スズオキシド(各異性体)、ブチル−ベンジルカルボナート−スズオキシド、オクチル−メチルカルボナート−スズオキシ、オクチル−エチルカルボナート−スズオキシ、オクチル−プロピルカルボナート−スズオキシ(各異性体)、オクチル−ブチルカルボナート−スズオキシ(各異性体)、オクチル−ペンチルカルボナート−スズオキシ(各異性体)、オクチル−ヘキシルカルボナート−スズオキシ(各異性体)、オクチル−ヘプチルカルボナート−スズオキシ(各異性体)、オクチル−ベンジルカルボナート−スズオキシなどのアルキル−アルキルカルボナート−スズオキシドやアルキル−アラルキルカルボナート−スズオキシド;1,1,3−トリブチル−1,3−ジ−メチルカルボナート−3−メトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3−トリブチル−1,3−ジ−エチルカルボナート−3−エトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3−トリブチル−1,3−ジ−プロピルカルボナート−3−プロポキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリブチル−1,3−ジ−ブチルカルボナート−3−ブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリブチル−1,3−ジ−ペンチルカルボナート−3−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリブチル−1,3−ジ−ヘキシルカルボナート−3−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリブチル−1,3−ジ−ヘプチルカルボナート−3−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリブチル−1,3−ジ−ベンジルカルボナート−3−ベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3−トリオクチル−1,3−ジ−メチルカルボナート−3−メトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3−トリオクチル−1,3−ジ−エチルカルボナート−3−エトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3−トリオクチル−1,3−ジ−プロピルカルボナート−3−プロポキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリオクチル−1,3−ジ−ブチルカルボナート−3−ブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリオクチル−1,3−ジ−ペンチルカルボナート−3−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリオクチル−1,3−ジ−ヘキシルカルボナート−3−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリオクチル−1,3−ジ−ヘプチルカルボナート−3−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3−トリオクチル−1,3−ジ−ベンジルカルボナート−3−ベンジルオキシ−ジスタンオキサンなどのトリアルキル−ジ−アルキルカルボナート−アルコキシ−ジスタンオキサンやトリアルキル−ジアラルキルカルボナート−アラルキルオキシ−ジスタンオキサン等が挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
最も好ましい例としては、(n−ブチル)−ジ−(n−ブチルカルボナート)−(n−ブトキシ)−スズ、(n−ブチル)−ジ−(n−ペンチルカルボナート)−(n−ペンチルオキシ)−スズ、(n−ブチル)−ビス−(3−メチルブチルカルボナート)−(3−メチルブトキシ)−スズ、(n−ブチル)−ジ−(n−ヘキシルカルボナート)−(n−ヘキシルオキシ)−スズ、(n−ブチル)−ビス−(2−エチルブチルカルボナート)−(2−エチルブトキシ)−スズ、(n−オクチル)−ジ−(n−ブチルカルボナート)−(n−ブトキシ)−スズ、(n−オクチル)−ジ−(n−ペンチルカルボナート)−(n−ペンチルオキシ)−スズ、(n−オクチル)−ジ−(n−ヘキシルカルボナート)−(n−ヘキシルオキシ)−スズ、(n−オクチル)−ビス−(3−メチルブチルカルボナート)−(3−メチルブトキシ)−スズ、(n−オクチル)−ビス−(2−エチルブチルカルボナート)−(2−エチルブトキシ)−スズ、(n−ブチル)−(n−ブチルカルボナート)−スズオキシド、(n−ブチル)−(n−ペンチルカルボナート)−スズオキシド、(n−ブチル)−(3−メチルブチルカルボナート)−スズオキシド、(n−ブチル)−(n−ヘキシルカルボナート)−スズオキシド、(n−ブチル)−(2−エチルブチルカルボナート)−スズオキシド、(n−オクチル)−(n−ブチルカルボナート)−スズオキシド、(n−オクチル)−(n−ペンチルカルボナート)−スズオキシド、(n−オクチル)−(n−ヘキシルカルボナート)−スズオキシド、(n−オクチル)−(3−メチルブチルカルボナート)−スズオキシド、(n−オクチル)−(2−エチルブチルカルボナート)−スズオキシド、1,1,3−トリ−(n−ブチル)−1,3−ジ−(n−ブチルカルボナート)−3−(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−ブチル)−1,3−ジ−(n−ペンチルカルボナート)−3−(n−ペンチルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−ブチル)−1,3−ビス−(3−メチルブチルカルボナート)−3−(3−メチルブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−ブチル)−1,3−ジ−(n−ヘキシルカルボナート)−3−(n−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−ブチル)−1,3,3−ビス−(2−エチルブチルカルボナート)−3−(2−エチルブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−オクチル)−1,3−ジ−(n−ブチルカルボナート)−3−(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−オクチル)−1,3−ジ−(n−ペンチルカルボナート)−3−(n−ペンチルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−オクチル)−1,3−ビス−(3−メチルブチルカルボナート)−3−(3−メチルブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−オクチル)−1,3−ジ−(n−ヘキシルカルボナート)−3−(n−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3−トリ−(n−オクチル)−1,3−ビス−(2−エチルブチルカルボナート)−3−(2−エチルブトキシ)−ジスタンオキサンである。
上記したアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体類は、それぞれ混合物であっても、単独であっても構わないし、相互に配位、会合していても構わない。アルキルスズアルコキシドは配位子が交換しやすく、構造の特定が困難であったり、上記した以外にも配位、会合したアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体も存在する可能性はある。ただし、現在の解析技術で特定できないにすぎず、上記したようなアルキル基、アルコキシ基、カルボナート基の規定に基づいたアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体は、本発明において使用することができる。本発明の混合物中に含まれるアルキルスズアルコキシド及びアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体は上記に示した化合物が使用できるが、該混合物に含有されるアルキルスズアルコキシドの少なくとも20モル%は化学式(1)及び/又は化学式(2)で表されるアルキルスズアルコキシドであることが好ましく、アルキルスズアルコキシドの50モル%以上含有されることがより好ましい。また、該混合物中のアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体のうち、化学式(8)〜(13)の中から選ばれる二酸化炭素結合体が、少なくとも20モル%含有されることが好ましく、さらに好ましくは50モル%以上である。
本発明の混合物は、アルキルスズアルコキシド及びアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含むアルキルスズアルコキシド組成物と、二酸化炭素と、を含む、二酸化炭素の移送用混合物であって、
前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び前記混合物中に含まれている二酸化炭素は、移送すべきガス状の二酸化炭素を吸収させ、化学反応させることにより、液状又は液状とできる混合物として固定化されたものであり、
該混合物中に含有される、該アルキルスズアルコキシド及び該アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を構成するスズ原子モル数をZとし、
該アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び該混合物中に含まれている二酸化炭素を(CO2)とし、
該混合物中に含有されるOR基を(OR)とし、ここで、該OR基のOは、酸素原子を表し、Rは、脂肪族基又はアラルキル基であって、
i)スズ−OR結合を形成するOR基のR、及び/又は
ii)アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体中の−O−(CO)−OR結合を形成するOR基のR、を表わし、
前記スズ原子と前記(CO 2 )と前記(OR)とのモル比をZ:x:yとすると、Zに対するxの比が0.1〜2であり、Zに対するyの比が0.5〜2の範囲である、二酸化炭素の移送用混合物である。
従来からアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体の存在は知られていたが、室温状態で不安定なため(例えば、J.Am.Chem.Soc.,121(1999),3793−3794)、該二酸化炭素結合体を、二酸化炭素を利用する目的で移送することは考えてこられなかった。移送ラインでジブチル酸化スズ、炭酸ジメチル、二酸化炭素とを含む反応液を移送した例もあるが(例えば、日本国特許第3385359号)、不安定なアルキルスズアルコキシド(明記はされていないが、該記載条件では、該ジブチル酸化スズの二酸化炭素結合体となっていると推定される)の加水分解等を避ける目的で、大過剰の二酸化炭素共存状態(即ち、上記xが2よりも非常に大きい)で反応液を移送しており、できるだけ高圧で行うことが好ましいとも記載されている。さらに、本例の場合は、移送しているというよりは、むしろ反応器の中で循環しているととらえるべきである。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定のアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含むアルキルスズアルコキシド組成物と二酸化炭素からなる混合物であって、該混合物中に含有される、該アルキルスズアルコキシド及び該アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を構成するスズ原子モル数をZとし、
該アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び該混合物中に含まれている二酸化炭素を(CO2)とし、
該混合物中に含有されるOR基を(OR)とし、ここで、該OR基のOは、酸素原子を表し、Rは、脂肪族基又はアラルキル基であって、
i)スズ−OR結合を形成するOR基のR、及び/又は
ii)アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体中の−O−(CO)−OR結合を形成するOR基のR、を表わし、
前記スズ原子と前記(CO 2 )と前記(OR)とのモル比をZ:x:yとすると、Zに対するx及びyが特定の範囲である場合、驚くべきことに、極めて安定で、実質的な移送に適した混合物であることを発見し、本発明を完成させた。Zに対するxの値は、yの値によっても異なるが、0.1より小さい場合、該混合物は安定に存在するが、該混合物に含有されるカルボナート結合から二酸化炭素ガスを脱離させて利用しようとした場合(該カルボナート結合から二酸化炭素ガスを脱離させる方法は後述する)、大きなエネルギーを必要とする場合があり、また、xの値が2より大きい場合、該混合物は不安定となって、発泡したりする恐れがあったりするため、移送用の混合物として使用することは困難である。Zに対するxの好ましい範囲は、0.1〜2であり、移送のための安定性をさらに考慮すれば、0.1〜1.5の範囲であり、二酸化炭素ガスを脱離させて再利用する目的をも考慮すれば、Zに対するxのより好ましい範囲は0.5〜1.5である。Zに対するyの値も、xの値によって異なるが、Zに対するyの値が0.5より小さい場合、該混合物で移送できる二酸化炭素量(即ちカルボナート基の数)が必然的に小さくなり、移送するエネルギーに対して利用できる二酸化炭素量が小さいため、移送用の混合物として適さない。また、yの値が2より大きい場合は、混合物の流動性が極めて悪いために移送できない場合がある。Zに対するyの好ましい範囲は、0.5〜2であり、移送のための流動性をさらに考慮すれば、0.5〜1.5である。
本発明の混合物のZ、x、yの決定の方法について以下に述べる。該Z、x、yの決定は、本発明の完成時に実施可能な分析方法に基づくもので、他の公知の方法で求めても構わないし、より精度の高い方法に従っても構わない。
アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含むアルキルスズアルコキシド組成物と二酸化炭素からなる混合物であって、該混合物中に含有される、アルキルスズアルコキシド及びアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を構成するスズ原子モル数Zは、119Sn−NMRなどの方法によって求めることができる。アルキルスズアルコキシドの分析方法はアルキルスズアルコキシドを分析する公知の方法(例えば、米国特許第5,545,600号)である。ただし、式(2)で代表して示されるジアルキルスズジアルコキシド構造などの119Sn−NMRのシフト値は、サンプル中での式(2)のジアルキルスズジアルコキシドの濃度やアルコールの存在などによって大きく変化するので1H−NMR、13C−NMRを併用して決定することが好ましい。例として、反応物質が2−エチル−1−ヘキサノールと出発物質としてジブチル酸化スズを使用して合成した式(2)のアルキルスズアルコキシドの構造に相当する119Sn−NMRのシフト値を表1に示した。
Figure 0004284381
同様に、他のアルキルスズアルコキシドや、アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体も上記方法で分析することができる。上記方法で求めた値とアルキルスズアルコキシドや、アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体の分子量とからZを求めることができる。この時、同時にyの値も求めることは当業者には容易に理解できる。
xの値は、種々の方法で求めることができる。後述する本発明の混合物の製造方法にもよるが、例えば、本発明の混合物を、ジアルキルスズアルコキシド組成物にガス状の二酸化炭素を吸収させ、化学反応させて得た場合は、該ガス状の二酸化炭素を吸収させる前の重量と、混合物を得た後の重量の差分から、該混合物中にカルボナート基として結合されて取り込まれた二酸化炭素及び該混合物中に溶存して存在している二酸化炭素の合計重量を求め、二酸化炭素の分子量とからxを求めることができる。また、他の方法でも求めることができる。例えば、本発明の混合液を一部取り出し(例えば、100mL)、サンプリング液とする(該サンプリング液に含まれるZ値は、上記Zを求める方法によって決定できる)。サンプリング液をサンプリング液の容積に対して少なくとも10倍の容積(例えば、1L)を有する耐圧密閉容器(例えば、オートクレーブなど)に入れ、サンプリング液に含まれるZに対して少なくとも4倍モルのブレンステッド酸(例えば、酢酸、硫酸など)を含んだ、サンプリング液を等容積の水を該密閉容器に注入し、該サンプリング液中に含まれるアルキルスズアルコキシドやアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を完全に加水分解させる。該サンプリング液に含まれていたアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体及び該サンプリング液に溶存していた二酸化炭素はガス状の二酸化炭素として気相部へ取り込まれる。該耐圧密閉容器の気相部の圧力と容積を測定し、該気相部を、例えば熱伝導度型検出器(TCD)によるガスクロマトグラフィーや、ガス分析計などの公知の方法で二酸化炭素を定量し、該測定した圧力と容積とから、該サンプリング液に含まれていたカルボナート結合として取り込まれていた二酸化炭素及び溶存していた二酸化炭素のモル数xを求めることができる。該測定においては、公知のガス分析方法の手順や方法を用いることができ、例えば、脱水カラム等を通すことによって分析精度を上げたりすることなど、当業者には容易に理解できる。あるいは、該耐圧密閉容器を、例えば200℃程度まで加熱した後、真空ポンプなどで該耐圧密閉容器を減圧して発生するガスを除去し、さらに該耐圧密閉容器に不活性ガス(例えば窒素ガス)を吹き込んで、十分発生するガスを該耐圧密閉容器から取り出し、該真空ポンプなどで除去、取り出されたガスを捕集し、該ガス容量と、該ガスを上記したガス分析計などの公知の二酸化炭素分析方法で、該サンプリング液中に含まれていたxを求めることができる。さらに公知の他の方法を併用しても構わない。
本発明の混合物は、移送することを目的とした混合物である。従来、二酸化炭素を利用するために移送するには、ガス状の二酸化炭素をボンベ等から配管によって移送したり、高圧の二酸化炭素ボンベを移動させたり、あるいはドライアイスとして固形の二酸化炭素を持ち運ぶ方法などがある。水分の極めて少ない二酸化炭素を移送したり、移動させる場合には、高純度二酸化炭素のボンベを移動させたり、配管で移送させるしか方法はなかった。高圧のボンベを設置したりするには危険を伴ったり、法令で厳しく規制される場合もある。しかし、本発明によれば、本発明の混合物を容器あるいは配管によって移送することで、上記したように種々の制約から取扱い難いボンベ等によるガス状の二酸化炭素ではなく、液状若しくは液状とできる混合物として固定化された二酸化炭素を移送または移動すること可能となる。本発明の混合物は、カルボナート基として、又は溶存させて含有する二酸化炭素を有効に利用することを目的とした移送用の混合物である。該混合物は、液状又は液状として移送できるので、例えば、送液ポンプなどで定量的に移送することが極めて容易である。
以下では、本発明の混合物を移送する方法について述べる。本発明の混合物は液状若しくは液状として移送することを目的とした混合物であるが、場合によっては固体状態で移送しても構わない。液状の、若しくは液状とした混合物を移送することが好ましい。該液状の、若しくは液状とした混合物を移送する際には、混合物を安定に移送するために、移送する温度が−40℃から80℃の範囲であることが好ましい。また、移送の際の流動性を考慮すれば、0℃から80℃がさらに好ましく、最も好ましい範囲は常温(例えば、20℃)から80℃の範囲である。該混合物の移送や二酸化炭素回収利用に影響を与えないような他の成分を加えても構わない。影響を与えない成分の例としては、1価のアルキルアルコールや他のスズ成分(例えば、テトラアルキルスズ、テトラアルコキシスズ、モノアルキルスズヒドロキシド、移送に影響を与えなければ、ジアルキルスズオキシドや酸化スズを含んでいても構わない)、溶媒(移送に悪影響を与えない、エーテル系溶媒や芳香族系溶媒、脂肪族溶媒など)、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、メタンガス、二酸化炭素ガスなど)が挙げられる。溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、ブタノール(各異性体)、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)、ヘプタノール(各異性体)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)が挙げられ、アルコールを使用する際には、該アルキルスズアルコキシド組成物に含まれるアルキルスズアルコキシドのアルコキシ基を構成するアルキル基と同じアルキル基を有するアルコールを使用することが混合物の安定性上好ましい。移送する際の圧力としては、常圧から1MPaの範囲が好ましく、得られる本発明の混合物が安定に存在するためには、常圧から0.6MPaの範囲がさらに好ましく、最も好ましい範囲は常圧から0.6MPaの範囲である。
本発明の混合物は安定な混合物であるが、通常の金属アルコキシドと同様に加水分解の影響を受けるため、移送の際には、当業者の知りうる範囲で水分には留意することが好ましい。該混合物中に、炭酸エステルを含む場合は、該炭酸エステルの含有量が、該混合物中のアルキルスズアルコキシド組成物中のテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンのモル数に対して20モル%以下であることが好ましく、ジアルキル酸化スズが該組成物中に含有される場合にも、該ジアルキル酸化スズに対しても20モル%以下であることが好ましい。これは、炭酸エステルが共存する場合、過剰の二酸化炭素が発生する場合があって、該混合物の安定性が損なわれる場合があるからである。さらに、本混合物を移送して炭酸エステルの製造のために使用する場合、平衡の制約から、本混合物中に炭酸エステルが含まれていると、新たに炭酸エステルが生成する量が減少してしまう場合があるので好ましくない。
本発明の混合物の移送に関しては、公知の構造材を用いた容器、配管等が使用できる。必要に応じて、流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、温度を一定に保つ目的で、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。材質も特に制限無く公知の材質が使用できる。例えば、プラスチック、紙、ステンレス等などが挙げられる。
本発明の混合物を得る方法を以下に例示するが、これらに限定されない。好ましい方法としては、前記した少なくとも1種類のアルキルスズアルコキシドを含むアルキルスズアルコキシド組成物から得る方法である。更に好ましい該組成物は、前記した式(1)で示したテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン及び/又は式(2)で示したジアルキルスズジアルコキシドを含有するアルキルスズアルコキシド組成物である。該組成物中のアルキルスズアルコキシドに含有されるスズ原子の全モル数に対して、式(1)及び(2)で表されるアルキルスズアルコキシドに含有されるスズ原子の割合が30%以上含有していることが好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上である。
本発明者らが鋭意検討した結果、テトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンの二酸化炭素結合体は、二酸化炭素との結合力が強いことを発見し、二酸化炭素の回収利用を目的とした場合、該組成物中のジアルキルスズジアルコキシドが多い方が好ましいことが明らかになった。従って、最も好ましい組成物は、該アルキルスズアルコキシド組成物中に含有されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンとジアルキルスズジアルコキシドのモル比率が、0:100〜80:20の範囲である組成物である。生産性を上げたり、より二酸化炭素結合体によって二酸化炭素を固定化したい場合には、10:90〜70:30の範囲が更に好ましい。
以下では、本発明の混合物を得る方法を例示する。
1)アルキルスズアルコキシド組成物にガス状の二酸化炭素を吸収させる方法。
前記したアルキルスズアルコキシド組成物にガス状の二酸化炭素を吸収させて化学反応させることによって、本発明の混合物を得ることができる。
類似した方法に、二酸化炭素とアルキルスズアルコキシドから炭酸エステルを得る方法が知られている。例えば、本発明者らが先に開示した方法(例えば、WO2003/055840、WO2004/014840など)がある。二酸化炭素とアルキルスズアルコキシドとから炭酸エステルを製造する反応は、式(18)に示す反応を利用し、外部から熱を供給しながらおこなう吸熱的な反応であるが、本発明では、例えば、式(19)〜(21)に示す発熱的な反応を利用する点で大きく異なる。
Figure 0004284381
前記各式におけるR及びR’は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基を示す。
ガス状の二酸化炭素は、どのような二酸化炭素ガスでもよいが、本発明の混合物を移送して、本方法に使用する二酸化炭素ガスの水分量より少ない二酸化炭素ガスを取り出す目的で使用する場合は、例えば、水分量10000ppm以下の二酸化炭素ガスが使用できる。これは、本発明の混合物が一部加水分解することによって水分を消費し、該混合物からガス状の二酸化炭素を取り出す際には、加水分解で消費された水分は含まれないためであると推定しているが、微量の水分さえも除去された二酸化炭素ガスを取り出せるという、これまでに報告もなく、予想しえなかった驚くべき効果が確認された。本発明の混合物を移送して、炭酸エステルの製造等に使用する場合は、上記した加水分解反応に起因する炭酸エステルの収率低下が起こる場合もあり、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下の二酸化炭素ガスが使用できる。そして、最も好ましい二酸化炭素の例としては、該二酸化炭素ガスが、二酸化炭素を原料としてアルキルスズアルコキシドと反応させて炭酸エステルを製造する工程から排出される二酸化炭素含有ガスであって、炭酸エステルとして消費されなかった過剰の二酸化炭素ガスである。
該反応させる圧力は、反応させる温度にもよるが、常圧から1MPaの範囲が好ましく、得られる本発明の混合物が安定に存在するためには、常圧から0.6MPaの範囲がさらに好ましく、最も好ましい範囲は常圧から0.6MPaの範囲である。該反応させる温度は、反応させる圧力にもよるが、高温で、高圧の場合には炭酸エステルが生成しやすく本発明の混合物が安定に存在しにくくなるため、本発明の混合物を得るためには−40℃から80℃の範囲が好ましく、更に本発明の混合物は、二酸化炭素を移送して利用することを目的としており、移送の際の流動性を考慮すると、0℃から80℃が更に好ましく、最も好ましい範囲は常温(例えば20℃)から80℃である。反応時間は数秒から100時間の範囲で実施してよく、生産性等を考慮すれば、数分から10時間が好ましい。更に、該反応を実施する際には、該ジアルキルスズアルコキシド組成物が液状であることが好ましく、液状の、もしくは液状としたアルキルスズアルコキシド組成物を使用する。固体の場合は、加熱したり、溶媒を加えて構わない。溶媒の例としては、前記した溶媒である。
更に、上記製造方法を用いることによって、該混合物及び、供給する二酸化炭素よりも含水量の低い二酸化炭素を同時に得ることもできる。反応器中で、ガス状の二酸化炭素を連続的に供給して、化学反応して得られる混合物を液相成分として得、同時に該反応器の気相部を連続的に抜き出すことによって、該連続的に供給したガス状の二酸化炭素よりも含水量の低い乾燥したガス状の二酸化炭素を得ることができる。
2)下記式(22)で示す炭酸エステルを下記式(23)で示すジアルキル酸化スズ及び/又は化学式(1)で示したテトラアルキル−ジアルコキシ−スタンオキサンを含むアルキルスズ組成物と反応させる方法。
Figure 0004284381
(式中、R27、R28は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基である。)
27、R28は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、あるいは無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルと、からなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。式(22)のR27とR28は同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
このような炭酸エステルの例としては、ジメチルカーボナート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート(各異性体)、ジブチルカーボネート(各異性体)、ジフェニルカーボネート(各異性体)、ジヘキシルカーボネート(各異性体)、ジヘプチルカーボネート、ジベンジルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
式(22)で示される炭酸エステルのうち、R27基、R28基の炭素数が短い場合には得られる混合物の安定性、移送のための流動性が悪化する場合があり、さらにR27基、R28基から構成されるOR27基、OR28基において酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、得られる混合物が液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としては該R27基、R28基が炭素数4〜6のアルキル基で、かつ酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基である。そのような最も好ましい例としては、ジ−(n−ブチル)−カーボネート、ジ−(n−ペンチル)−カーボネート、ビスー(3−メチルブチル)−カーボネート、ジ−(n−ヘキシル)−カーボネート、ビス−(2−エチルブチル)−カーボネートである。
Figure 0004284381
(式中、R29、R30は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基である。)
式(23)のジアルキルスズ酸化スズのR29、R30の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、ウンデシル(各異性体)、ドデシル(各異性体)、2−ブテニル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基であるアルキル基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基であるシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基が挙げられる。また、エーテル結合を含んでいてもいいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基である。より好ましくは炭素数1から8の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。式(23)のR29、R30は同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
このようなジアルキル酸化スズの例としては、ジブチル−スズオキシド、ジオクチル−スズオキシドなどのジアルキル−スズオキシドが挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
式(23)で示されるジアルキル酸化スズのうち、R29基、R30基が、n−ブチル基、n−オクチル基から選ばれるものが好ましい。上記した式(23)ではモノマー構造で記しているが、当業者には公知のように、ジアルキル酸化スズは、通常、スズ−酸素結合は二重結合を形成せず、ポリマー状で存在していることが知られており、上記式(23)の構造には制限されない。
テトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンと炭酸エステルとから、ジアルキルスズジアルコキシドが得られることは公知である(例えば、米国特許5,545,600号参照)。これは下記式(24)によって生成すると推定される。
Figure 0004284381
前記式におけるR及びR’は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基を示す。
同様に、ジアルキル酸化スズと炭酸エステルとから、下記式(25)、(26)に推定される反応に従って、テトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン、又はジアルキルスズジアルコキシドが生成する。
Figure 0004284381
前記各式におけるR及びR’は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基を示す。
本発明者らが鋭意検討した結果、上記した反応をコントロールすることによって、下記式(27)から下記式(29)に示すような反応を併発させて、本発明の混合物を得ることを見いだした。
Figure 0004284381
前記各式におけるR及びR’は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基を示す。
テトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンを用いる場合には、炭酸エステルの使用量は、該テトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンに対して、例えば0.1〜1モル当量の炭酸エステルを使用し、ジアルキル酸化スズを使用する場合には、例えば0.1〜1モル当量の炭酸エステルを使用する。この時の反応温度は50〜200℃であるが、温度が高い場合には上記した式(24)〜(26)の脱二酸化炭素反応が起こりやすいので、好ましくは50℃〜150℃である。反応圧力は、減圧では、同様に上記した式(24)〜(26)に示した反応が起こりやすいので、通常、常圧から1MPaの範囲でおこなう。二酸化炭素結合体となるか、脱二酸化炭素反応が進行して二酸化炭素結合体からガス状の二酸化炭素を放出するかは、平衡反応に支配される。また、二酸化炭素結合体から炭酸エステル生成反応も平衡反応に支配されるため、反応温度にも依存するが、0.1MPaから0.8MPaがさらに好ましい範囲である。場合によっては、二酸化炭素の加圧下でおこなってもよい。反応時間は数分から100時間の範囲で実施してよく、生産性等を考慮すれば、数分から10時間が好ましい。溶媒としては、前述の移送に悪影響を与えない同様な溶媒を用いることができ、エーテル系溶媒や芳香族系溶媒、脂肪族溶媒などが挙げられる。溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、ブタノール(各異性体)、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)、ヘプタノール(各異性体)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)が挙げられる。また、不活性ガス(例えば、窒素ガスやアルゴンガスなど)を溶媒に共存させてもよい。前記したように、本発明の混合物に含有される炭酸エステル量は好ましい範囲があり、上記した方法で本発明の混合物を製造する際には、残存する炭酸エステル量が、好ましい範囲となるように炭酸エステルの使用量や、反応条件を選択する。場合によっては、炭酸エステルを除去してもよい。上記した炭酸エステルで該混合物を得る方法では、直接二酸化炭素を固定化しているわけではないが、二酸化炭素ガスを使用した場合と同じカルボナート基が得られるので、上記方法で得られた混合物も本発明の混合物である。
上記した1)、2)に示した製造方法や他の方法によって製造する場合も、公知の反応器が使用できる。槽型反応器でも、塔型反応器でもチューブ型反応器であっても構わない。例えば、バッチ型反応器、セミバッチ型反応器、完全混合槽型反応器及び流通型反応器、またはこれらの反応器を連結させた複合型反応器を用いてもよい。反応器の材質も特に制限はなく、公知の材質を使用することができる。反応条件に応じて、当業者の常識の範囲で選択してよい。例えば、ステンレス鋼(SUS)、鉄などの材質が用いられ、例えばマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS410など)、フェライト系ステンレス鋼(SUS430など)、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304、SUS316など)が挙げられる。金属材質の中ではステンレス鋼製が好ましい。必要に応じて、流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
次に、本発明の混合物の利用について説明する。既に移送用混合物としての使用については記載した。
a)本発明の混合物から二酸化炭素を取り出して使用する。
既に、本発明の混合物からは、水分量の少ない二酸化炭素を取り出すことができることは説明した。この二酸化炭素の使用については特に制限なく、公知の二酸化炭素の使用例の範囲で使用することができる。例えば、飲料用、二酸化炭素を用いたクリーニング用途、野菜等の栽培や保存、バナナなどの果物の熟成などに使用することができる。化学製品の保存安定にも使用することができる。例えば、1級アミン化合物と反応させてカルバミン酸塩として固体化して保存することができ、本発明の二酸化炭素の水分量は極めてすくないために、結晶水等の生成もなく、品質よく保存することができる。
本発明の混合物から二酸化炭素ガスを取り出す方法を示す。以下に示した例以外の方法であっても構わない。例えば、本発明の混合物を、加熱したり、減圧条件にさらすことで、カルボナート基としてアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として固定化されている二酸化炭素や、溶存している二酸化炭素をガス状の二酸化炭素として取り出すことができる。本発明の混合物は、そのまま炭酸エステル合成原料として使用できるし、あるいは保存して必要な時に二酸化炭素を放出させてガス状の二酸化炭素を取り出してよい。該保存条件は、上記で回収のために反応させた温度か、該温度よりも低い温度で保存する。これは、該液状組成物は、アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体及び溶存した二酸化炭素を含有しており、温度に応じて、二酸化炭素の吸脱着平衡が異なるためであって、高温では脱離側に平衡が移動するため、保存時は回収(挿入、吸着又は付加)させた温度よりも低温にしておくことが好ましい。従って、該液状組成物からの二酸化炭素ガスの放出は、加熱することによって容易におこなうことができる。このような温度は、前記したように、回収(挿入、吸着又は付加)させた温度より高温にする。または、減圧にすることによっても取り出すことができる。回収(挿入、吸着又は付加)反応は平衡反応であるから、気相部の二酸化炭素濃度(分圧)に依存する。従って、回収(挿入、吸着又は付加)反応温度で放出させようとすれば、該回収反応時の圧力よりも減圧にしてやればよい。好ましくは、加熱し、減圧することで効率よく二酸化炭素ガスを取り出すことができる。加熱温度は、混合物のZ、x、yの値や、圧力にも依存するが、常温から200℃の範囲で取り出すことができる。温度が低い場合には減圧したり、後述する添加剤を加える必要がある場合もあるので、好ましくは60℃から200℃であり、高温では該混合物中のアルキルスズアルコキシドが変性する場合もあるので、60℃から150℃の範囲がさらに好ましい。最も好ましい範囲は80℃から150℃の範囲である。取り出す際の圧力は、混合物のZ、x、yの値や、温度にも依存するが、減圧から加圧条件で取り出すことができる。例えば10Paから1MPaの範囲で、効率よく取り出すためには、圧力は低いほうが好ましく、例えば、10Paから0.1MPaの範囲であり、さらに好ましくは10Paから常圧の範囲である。添加剤を該混合物に加えることによっても取り出すことができる。好ましい添加剤としては、炭酸よりも酸性度の高いブレンステッド酸や、ジオール化合物、アミン化合物などが挙げられる。そのような例としては、酢酸、硫酸、塩酸、フェノール、カテコールなどの有機酸、無機酸や、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの1,2−グリコールや1,3−グリコールなど、ブチルアミンやエチレンジアミンなどのアミン類が使用できる。添加剤を使用する温度や圧力は上記した範囲で使用できる。添加量はZモルに対して0.1から100モル当量の範囲で使用できる。ただし、該混合物から二酸化炭素を取り出した後に、該混合物を再生して使用する場合には、添加剤を加えない方法で取り出すことが好ましい。取り出す時間は必要に応じて任意であるが、上記した温度や圧力、添加剤を使用する場合には使用量によって数秒から100時間の間で制御してよい。
取り出す際の容器や配管等の制限はなく、公知の反応器や配管が使用できる。槽型反応器でも、塔型反応器でもチューブ型反応器であっても構わない。例えば、バッチ型反応器、セミバッチ型反応器、完全混合槽型反応器および流通型反応器、またはこれらの反応器を連結させた複合型反応器を用いてもよい。反応器の材質も特に制限はなく、公知の材質を使用することができる。取り出す条件に応じて、当業者の常識の範囲で選択してよい。例えば、ステンレス鋼(SUS)、鉄などの材質が用いられ、例えばマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS410など)、フェライト系ステンレス鋼(SUS430など)、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304、SUS316など)が挙げられる。金属材質の中ではステンレス鋼製が好ましい。必要に応じて、流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
本発明の混合物は、マイルドな条件で製造することができるので、他の化学品の製造工程から排出される圧力の低い二酸化炭素を用いて容易に製造することができる。即ち、本発明の混合物を製造することは、二酸化炭素の回収利用方法である。従来利用されず、大気に放出されていた低圧の二酸化炭素を回収して本発明の混合物を製造し、該混合物に含有された二酸化炭素(アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体及び溶存二酸化炭素)を液状の、若しくは液状とした混合物として移送し、該二酸化炭素を有効に利用することができる。
本発明が回収目的とする二酸化炭素は、主に、二酸化炭素を原料として使用する炭酸エステル製造工程から排出される二酸化炭素含有ガスである。更に詳しくは、二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物を反応させて炭酸エステルを製造する方法において、炭酸エステル化反応器から抜き出された反応液に含まれる、炭酸エステルとして消費されなかった二酸化炭素ガスを回収、再利用することを目的としている。該消費されなかった二酸化炭素は、脱二酸化炭素工程で、該反応液中から系外へ二酸化炭素ガスとして抜き出され、通常は大気へ排出されるが、該系外へ抜き出された二酸化炭素ガスを、アルキルスズアルコキシド組成物を用いてアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含む混合物として回収し、液状の、若しくは液状とした該混合物を炭酸エステル化反応器へ導入することで、大気へ排出される二酸化炭素ガスを低減させ、二酸化炭素の利用効率を向上することができる。該混合物を利用して炭酸エステルを製造する方法は、本発明者らが先に発明した方法が好ましく用いられる(例えば、WO2003/055840、WO2004/014840)。本発明は、該発明を更に鋭意検討し発展させたものであり、該発明でアルキルスズアルコキシドと二酸化炭素との反応を、本発明の混合物と二酸化炭素との反応に置き換えるのみで、炭酸エステル製造に使用する二酸化炭素使用量が極めて少なくできる。即ち、従来、大気に放出して失われる二酸化炭素を該混合物の製造の際に用いることで再利用できるからである。
本発明らが先に発明した炭酸エステルの製造方法では、下記式(30)に示すように、有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させて有機金属化合物の二酸化炭素付加物を形成させ、熱分解によって炭酸エステルを得る方法である。本発明は、該有機金属化合物を特定のアルキルスズアルコキシドを用いることによって、予め、ガス状の二酸化炭素と反応させることによって、特定のアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含む混合物を生成させ、かつ、該混合物を移送後、熱分解反応で炭酸エステルを製造することができる。上記したガス状の二酸化炭素は、該熱分解後の反応液から回収される二酸化炭素ガスを極めて好適に使用することができる。
Figure 0004284381
図1は、本発明の混合物を用いた炭酸エステルの製造フローの例を示す。以下、図1に基づいて工程を説明する。
工程1:(二酸化炭素結合体製造工程)
本発明の混合物を製造する工程であり、アルキルスズアルコキシド及びアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含むアルキルスズアルコキシド組成物と、
二酸化炭素と、を含む、二酸化炭素の移送用混合物であって、
前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び前記混合物中に含まれている二酸化炭素は、移送すべきガス状の二酸化炭素を吸収させ、化学反応させることにより、液状又は液状とできる混合物として固定化されたものであり、
該混合物中に含有される、該アルキルスズアルコキシド及び該アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を構成するスズ原子モル数をZとし、
該アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び該混合物中に含まれている二酸化炭素を(CO2)とし、
該混合物中に含有されるOR基を(OR)とし、ここで、前記OR基のOは、酸素原子を表し、Rは、脂肪族基又はアラルキル基であって、
i)スズ−OR結合を形成するOR基のR、及び/又は
ii)アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体中の−O−(CO)−OR結合を形成するOR基のR、を表わし、
前記スズ原子と前記(CO 2 )と前記(OR)とのモル比をZ:x:yとすると、Zに対するxの比が0.1〜2であり、Zに対するyの比が0.5〜2の範囲である、二酸化炭素の移送用混合物を得る工程である。
工程2:(移送工程)
液状の、若しくは液状とした該混合物を炭酸エステル合成工程へ移送する工程である。
工程3:(炭酸エステル化工程)
二酸化炭素存在下、該混合物から炭酸エステルを含む反応液を得る工程である。
工程4:(脱二酸化炭素工程)
該反応液から、二酸化炭素をガス状成分として分離する工程である。ここで、分離された炭酸エステル含有反応液は、炭酸エステル分離工程等を設けて処理することが好ましい。
前記したように、二酸化炭素を原料として使用する炭酸エステル製造工程から排出される二酸化炭素含有ガスを利用して本願発明の混合物を製造する方法は好ましい方法であり、図1と上記工程で示した工程4から分離されたガス状の二酸化炭素を使用して該混合物を得ることは好ましい方法である。
図2に、工程4から分離されたガス状の二酸化炭素を使用して、本願発明の混合物を得て、炭酸エステルを製造するフロー図を示す。以下、図2に基づいて工程を説明する。
即ち、図1の説明で示した工程に、下記工程5を付加して炭酸エステルを製造する方法である。
工程5:(未利用の二酸化炭素ガスのリサイクル工程)
工程4で分離したガス状の二酸化炭素を工程1にリサイクルする工程である。
さらに、図3にアルキルスズアルコキシドの再生をも含めた工程を付加した炭酸エステルの連続製造方法のフロー図を示した。以下、図3に基づいて工程を説明する。
即ち、上記図(2)の説明で示した工程5の後に、下記工程6から工程8を付加して炭酸エステルを連続的に製造する方法である。
工程6:(炭酸エステル分離工程)
工程4で二酸化炭素を分離した反応液から炭酸エステルを分離し、残留液を得る工程である。
工程7:(アルキルスズアルコキシド再生工程)
該残留液とアルコールとを反応させて、アルキルスズアルコキシド組成物を得る工程である。
工程8:(アルキルスズアルコキシドのリサイクル工程)
該アルキルスズアルコキシド組成物を工程1へリサイクルする工程である。
連続反応の最初には、工程5で使用する残留液や工程1で使用する未利用の二酸化炭素ガスは存在しないため、別途、アルキルスズアルコキシド合成工程を設けて、該合成工程で製造したアルキルスズアルコキシドを工程1及び/又は工程3に移送してスタートアップする。工程1に移送する場合は、フレッシュな二酸化炭素を供給する。該二酸化炭素のスペックは、本発明の混合物の製造方法の1)で示した二酸化炭素ガスが好ましく使用できる。該アルキルスズアルコキシド合成工程、該アルキルスズアルコキシド再生工程では、本発明の混合物が工程1で得られるようなアルキルスズアルコキシドを製造して工程1へ移送する。
以下、各工程について詳細に説明する。
i)アルキルスズアルコキシド合成工程(連続運転のスタートアップ時の工程)
本工程は、本発明者らが先に開示したアルキルスズアルコキシドの製造方法(WO 2005/111049など)が好ましく利用できる。本工程は、ジアルキル酸化スズとアルコールとから、アルキルスズアルコキシドを製造する工程であり、アルコールは下記式(30)のアルコールを使用する。
Figure 0004284381
(式中;R31は、脂肪族基又はアラルキル基である。)
31は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、あるいは無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルと、からなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基であり、炭素数4から6で常圧での沸点が水よりも高いアルコールである。
このようなアルコールの例としては、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)が挙げられる。式(30)で示されるアルコールのうち、得られるアルキルスズアルコキシドのアルコキシ基は、R31基から構成されるOR31基であり、酸素(O)に隣接する炭素原子に置換基を持つ場合は、該アルキルスズアルコキシドから得られる本発明の混合物が液状とならない場合もあるため、該隣接する炭素原子はメチレン(CH)構造である場合が最も好ましく、そのような最も好ましい例としては該R31基が炭素数4〜6のアルキル基で、かつ酸素に隣接する炭素原子がメチレン構造であるアルキル基からなるアルコールで、かつ、常圧での沸点が水より高い1価アルコールである。そのような最も好ましい例としては、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、n−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチル−1−ブタノールが挙げられる。
本発明の炭酸エステルの製造方法で使用するアルキルスズアルコキシド合成工程で使用するジアルキル酸化スズは、前記式(23)で示したジアルキル酸化スズを用いる。該アルコールと該ジアルキル酸化スズとを脱水反応させ、生成する水を系外に除去しながらテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン、ジアルキルスズジアルコキシドを得る。使用する量は、ジアルキル酸化スズに対してアルコールが2〜100モル当量の範囲であり、生成するアルキルスズアルコキシド組成物中のジアルキルスズジアルコキシドの割合を多くする、又は生成速度を速めるには、アルコール量が多い方が好ましい。一方で、反応器の大きさ等を考慮すれば、アルコール量は少ない方が好ましい。このような好ましい範囲は、4〜80モル当量の範囲であり、より好ましくは4〜50モル当量の範囲である。該反応の温度は、例えば、温度80〜180℃で、生成する水を系外に蒸留除去するために、反応圧力にもよるが、100℃から180℃が好ましく、生成したアルキルスズアルコキシドが高温では変性する場合もあるので、更に好ましくは100℃から160℃の範囲である。反応の圧力は、生成する水が系外に除去できる圧力であり、反応温度にもよるが、20〜1×10Paで行われる。脱水反応の反応時間(連続法の場合は滞留時間)に、特に制限はなく通常0.001〜50時間、好ましくは0.01〜10時間、より好ましくは0.1〜2時間である。所望のアルキルスズアルコキシド組成物が得られれば反応を終了してよい。反応の進行は、系外へ抜き出される水の量を測定することによっても求められるし、反応液をサンプリングして、119Sn−NMRによる方法でも求めることができる。本発明の混合物を工程1で製造するためには、上記反応で得られるアルキルスズアルコキシド組成物中に含有されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンとジアルキルスズジアルコキシドのモル比率が、0:100〜80:20の範囲である組成物、より好ましくは、10:90〜70:30の範囲となった組成物を得たことを確認して反応を終了する。使用したアルコールはそのまま共存した状態で使用してもよいし、場合によってはアルコールを蒸留除去して使用してもよい。他の工程の反応器を小さくできる利点があるので、できるだけアルコールを除去しておくことが好ましい。除去する方法は、公知の蒸留による除去が好ましく、また蒸留に使用する蒸留器は公知の蒸留設備が使用できる。好ましい蒸留装置としては、短時間で除去できることから薄膜蒸留装置が好ましく使用できる。脱水反応の反応器の形式に特に制限はなく、公知の槽状、塔状の反応器が使用できる。水を含む低沸点反応混合物はガス状で蒸留によって反応器から抜き出し、製造されるアルキルスズアルコキシド又はアルキルスズアルコキシド混合物を含む高沸点反応混合物を反応器下部から液状で抜き出せればよい。このような反応器として、たとえば攪拌槽、多段攪拌槽、蒸留塔、多段蒸留塔、多管式反応器、連続多段蒸留塔、充填塔、薄膜蒸発器、内部に支持体を備えた反応器、強制循環反応器、落膜蒸発器、落滴蒸発器、細流相反応器、気泡塔のいずれかを含む反応器を用いる方式、及びこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。平衡を生成系側に効率的にずらすという点では、塔状の反応器を用いる方法が好ましく、また形成される水を気相にすみやかに移動させられる気−液接触面積の大きな構造が好ましい。多管式反応器、多段蒸留塔、充填剤を充填した充填塔を用いた連続法も使用できるが、本工程で使用するジアルキル酸化スズが、通常固体状であるため、まず、槽状反応器で実施し、次いで塔型反応器でジアルキルスズジアルコキシドの含有量をあげる方法が最も好ましい。反応器及びラインの材質は、悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316,SUS316Lなどが安価でもあり、好ましく使用できる。必要に応じて、流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
ii)ジアルキルスズアルコキシド再生工程(工程7)
本工程は、工程6で残留液を得た後に実施する工程であるが、上記のジアルキルスズアルコキシド合成工程と近似しているため、先に説明する。本工程は、工程6で得られた残留液と下記式(3)のアルコールとを脱水反応させて、ジアルキルスズアルコキシドを再生する工程である。
Figure 0004284381
(式中;R11は、工程1の混合物中のOR基(OR)のRに対応する。)
31は、工程1の混合物中のOR基(OR)のRに対応するアルコールであるが、該混合物のOR基は、上記したアルキルスズアルコキシド合成工程で得られるアルコキシ基(OR基)であり、即ち、上記式(3)のアルコールはスタートアップで使用する化学式(30)のアルコールと同じアルコールを使用する。該アルコールの例としては、化学式(30)で例示したアルコールである。脱水反応の条件も上記したアルキルスズアルコキシド合成工程と同様の条件で実施することが好ましい。使用する量は、該残留液に含まれるスズ原子のモル数に対して、アルコールが2〜10モル当量の範囲であり、生成するアルキルスズアルコキシド組成物中のジアルキルスズジアルコキシドの割合を多くする、又は生成速度を速めるために、アルコール量が多い方が好ましい。一方で、反応器の大きさ等を考慮すれば、アルコール量は少ない方が好ましい。このような好ましい範囲は、4〜80モル当量の範囲であり、より好ましくは4〜50モル当量の範囲である。所望のアルキルスズアルコキシド組成物が得られれば反応を終了してよい。反応の進行は、系外へ抜き出される水の量を測定することによっても求められるし、反応液をサンプリングして、 119Sn−NMRによる方法でも求めることができる。本発明の混合物を工程1で製造するためには、上記反応で得られるアルキルスズアルコキシド組成物中に含有されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンとジアルキルスズジアルコキシドのモル比率が、0:100〜80:20の範囲である組成物、より好ましくは、10:90〜70:30の範囲となった組成物を得たことを確認して反応を終了する。使用したアルコールはそのまま共存した状態で使用してもよいし、場合によってはアルコールを蒸留除去して使用してもよい。他の工程の反応器を小さくできる利点があるので、できるだけアルコールを除去しておくことが好ましい。除去する方法は、公知の蒸留による除去が好ましく、また蒸留に使用する蒸留器は公知の蒸留設備が使用できる。好ましい蒸留装置としては、短時間で除去できることから薄膜蒸留装置が好ましく使用できる。本工程では、アルキルスズアルコキシドの合成工程とは異なって、通常固体であるジアルキル酸化スズを使用しないので、反応器の制約は少ない。即ち、脱水反応の反応器の形式に特に制限はなく、公知の槽状、塔状の反応器が使用できる。水を含む低沸点反応混合物はガス状で蒸留によって反応器から抜き出し、製造されるアルキルスズアルコキシドまたはアルキルスズアルコキシド混合物を含む高沸点反応混合物を反応器下部から液状で抜き出せればよい。このような反応器として、例えば、攪拌槽、多段攪拌槽、蒸留塔、多段蒸留塔、多管式反応器、連続多段蒸留塔、充填塔、薄膜蒸発器、内部に支持体を備えた反応器、強制循環反応器、落膜蒸発器、落滴蒸発器、細流相反応器、気泡塔のいずれかを含む反応器を用いる方式、及びこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。平衡を生成系側に効率的にずらすという点で、塔状の反応器を用いる方法が好ましく、また形成される水を気相にすみやかに移動させられる気−液接触面積の大きな構造が好ましい。多管式反応器、多段蒸留塔、充填剤を充填した充填塔を用いた連続法が特に好ましい。反応器及びラインの材質は悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316,SUS316Lなどが安価でもあり、好ましく使用できる。必要に応じて、流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
iii)炭酸エステル化工程(工程3)
上記したように、連続反応のスタートアップ時は、アルキルスズアルコキシド合成工程からアルキルスズアルコキシドを直接炭酸エステル化工程に移送して製造しても構わないし、該アルキルスズアルコキシドを、フレッシュな二酸化炭素を使用して本発明の混合物を得た後、移送して製造しても構わない。
アルキルスズアルコキシド合成工程から移送されたアルキルスズアルコキシド組成物及び/又は工程1で製造された混合物から炭酸エステルを製造する方法は、本発明者らが先に開示した炭酸エステルの製造方法(WO03/055840、WO04/014840など)が好ましく使用できる。反応条件は、110℃から200℃の範囲、好ましくは120℃から180℃の範囲であり、0.1時間から10時間の範囲、反応圧力は、1.5MPaから20MPa、好ましくは2.0MPaから10MPaの範囲で反応させることによって炭酸エステルを含む反応液を得ることができる。反応は、所望の炭酸エステルが反応器中に生成してから終了すればよい。反応の進行は、反応器内の反応液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーなどの方法で生成した炭酸エステルを分析する方法などで確認できる。例えば、反応器に移送されたアルキルスズアルコキシド及び/又はアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体中に含まれていたジアルキルスズアルコキシド及び/又はジアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体のモル数に対して10%以上生成したら反応を終了してもよく、炭酸エステルの収量を多くしたい場合、該値を90%以上になるまで反応を続けてから終了する。反応器は公知の反応器が使用でき、塔型反応器、槽型反応器共に好ましく使用できる。反応器及びラインの材質は悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316,SUS316Lなどが安価でもあり、好ましく使用できる。必要に応じて、流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
iv)脱二酸化炭素工程(工程4)
工程3で得られた反応液を連続的に抜き出し、該反応液に含まれている未利用の二酸化炭素をガス状成分として該反応液から除去する。本工程の温度は、圧力にも依存するが、80℃から200℃の範囲であり、生産性を考慮すれば、100℃から200℃の範囲が好ましく、高温では、該反応液に含まれるスズ化合物が変性する場合があるため100℃から150℃の範囲が最も好ましい。圧力は、温度にも依存するが、通常常圧から減圧条件でおこない、生産性を考慮すれば、100Paから80KPaの範囲が更に好ましく、100Paから50KPaが最も好ましい範囲である。時間は、0.01時間から10時間の範囲で実施でき、高温で、長時間で実施すると、該反応液に含まれるスズ化合物が変性する場合があるため、0.01時間から0.5時間の範囲が好ましく、0.01時間から0.3時間の範囲が最も好ましい。該未利用の二酸化炭素を20%以上抜き出して本工程を終了してもよいし、未利用の二酸化炭素の利用率を上げたい場合には、90%以上抜き出して終了する。二酸化炭素利用の効率化を考慮すれば、なるべく多くの未利用の二酸化炭素をガス状成分として抜き出すことが好ましい。反応器は公知の反応器が使用でき、塔型反応器、槽型反応器も好ましく使用することができる。最も好ましい反応器は、薄膜蒸発器、薄膜蒸留器である。反応器及びラインの材質は悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316,SUS316Lなどが安価でもあり、好ましく使用できる。必要に応じて、流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
v)未利用の二酸化炭素ガスのリサイクル工程(工程5)
工程4で分離したガス状の二酸化炭素を工程1へリサイクルする工程である。工程4で抜き出した二酸化炭素を工程1の反応器に移送すると共に、工程1で使用する圧力にあわせる。即ち、工程1の反応条件は常圧から1MPaであり、工程1で得られる混合物が安定に存在するためには、常圧から0.6MPaの範囲が更に好ましい範囲であり、工程4で抜き出されたガス状の二酸化炭素を該圧力に調整する。圧力を調整する方法は、公知の方法が使用できる。例えば、ジェットタービンによる方法や、コンプレッサーによる方法である。同時に該ガス状の二酸化炭素に不純物がはいっている場合には、本工程において精製してもよい。反応器及びラインの材質は悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316,SUS316Lなどが安価でもあり、好ましく使用できる。必要に応じて、流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
vi)二酸化炭素結合体製造工程(工程1)
本工程に供給されるアルキルスズアルコキシド組成物は、スタートアップ時にアルキルスズアルコキシド合成工程から供給される場合と連続製造時に工程7のアルキルスズアルコキシド製造工程から供給される場合がある。使用するガス状の二酸化炭素は、スタートアップ時には、フレッシュな二酸化炭素を供給して実施し、連続製造時には、工程5から供給されるリサイクルされた二酸化炭素を供給して実施する。連続製造時にもフレッシュな二酸化炭素をリサイクルされた二酸化炭素と同時に供給しても構わない。二酸化炭素の供給は連続的に供給しても断続的に供給しても構わない。アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含む混合物を得るためには、上記したアルキルスズアルコキシドと上記したガス状の二酸化炭素を吸収させ、化学反応させて得る。該化学反応させる際には、該アルキルスズアルコキシドを液状、もしくは液状として反応させる。液状とするには、加熱によって液状とする方法が好ましく使用できる。また、本発明の混合物の製造の項でも記載したが、溶媒等によって液状としてもよい。反応させる圧力は、反応させる温度にもよるが、常圧から1MPaの範囲が好ましく、得られる本発明の混合物が安定に存在するためには、常圧から0.6MPaの範囲が更に好ましい。該反応させる温度は、反応させる圧力にもよるが、高温で、高圧の場合には炭酸エステルが生成しやすく本発明の混合物が安定に存在しにくくなるため、本発明の混合物を得るためには−40℃から80℃の範囲が好ましく、更に該混合物は、工程2に移送することを目的とした混合物であって、移送の際の流動性を考慮すると、0℃から80℃が更に好ましく、最も好ましい範囲は常温(例えば20℃)から80℃である。反応時間は数秒から100時間の範囲で実施してよく、生産性等を考慮すれば、数分から10時間が好ましい。反応器は公知の槽型反応器、塔型反応器が使用できる。また複数の反応器を組み合わせて使用してもよい。アルキルスズアルコキシド組成物の式(1)で表した化合物は、式(2)で表した化合物よりも高温でも二酸化炭素吸収効率が高いので、組成物中の式(1)、式(2)の化合物比に応じて複数の反応器を個別の温度管理を行なって反応させてもよい。反応は二酸化炭素ガス(気体)とアルキルスズアルコキシド組成物(液体)の反応であるため、効率よく反応させるためには、気液界面を大きくしてガスと液の接触面積を大きくすることが好ましい。このような気液界面を大きくして反応させる方法は公知の知見が利用できる。例えば、槽型反応器では、攪拌速度を上げたり、液中に気泡を発生させるような方法や、塔型反応器では、充填塔を利用したり、棚段塔を利用する方法が好ましい。このような塔型反応器の例としては、例えば泡鍾トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ等のトレイを使用した棚段塔方式のものや、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック、スルザーパッキング、メラパック等の各種充填物を充填した充填塔方式のものなどが利用できる。反応器及びラインの材質は悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316,SUS316Lなどが安価でもあり、好ましく使用できる。必要に応じて、流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。反応は通常発熱反応であるから、冷却してもよいし、または反応器の放熱によって冷却してもよい。あるいは炭酸エステル化反応を併発させる目的であれば加熱してもよい。反応器の冷却、加熱はジャケットによる方法、内部コイルによる方法など公知の方法が使用できる。反応器に供給する二酸化炭素ガスとアルキルスズアルコキシド組成物はそれぞれ別々に反応器に供給してもよいし、反応器に供給する前に混合しておいてもよい。反応器の複数箇所から供給してもかまわない。反応終了は、前記したNMR分析によって決定してよい。該反応液中の混合物を分析して、該混合物に含有される、該アルキルスズアルコキシド及び該アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を構成するスズ原子モル数をZとし、
該アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び該混合物中に含まれている二酸化炭素を(CO2)とし、
該混合物中に含有されるOR基を(OR)とし、ここで、OR基のOは、酸素原子を表し、Rは、脂肪族基又はアラルキル基であって、
i)スズ−OR結合を形成するOR基のR、及び/又は
ii)アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体中の−O−(CO)−OR結合を形成するOR基のR、を表わし、
前記スズ原子と前記(CO 2 )と前記(OR)とのモル比をZ:x:yとすると、Zに対するxの比が0.1〜2であり、Zに対するyの比が0.5〜2の範囲である混合物が得られれば反応を終了する。好ましくはZに対するxが0.1〜1.5、より好ましくは0.5〜1.5の範囲であり、Zに対するyが0.5〜1.5の範囲である。xやyの値が好ましい範囲から外れるような場合には、アルキルスズアルコキシド合成工程やアルキルスズアルコキシド再生工程からアルキルスズアルコキシドを供給して調整してもよい。
vii)二酸化炭素結合体の移送工程(工程2)
工程1で得られた該混合物は、液状又は液状として移送できるので、例えば、送液ポンプなどで定量的に移送することが極めて容易である。該混合物は液状若しくは液状として移送することを目的とした混合物であるが、場合によっては固体状態で移送しても構わない。液状の、若しくは液状とした混合物を移送することが好ましい。該液状、若しくは液状とした混合物を移送する際には、混合物を安定に移送するために、移送する温度が−40℃から80℃の範囲であることが好ましい。また、移送の際の流動性を考慮すれば、0℃から80℃が更に好ましく、最も好ましい範囲は常温(例えば、20℃)から80℃の範囲である。該混合物の移送や二酸化炭素回収利用に影響を与えないような他の成分を加えても構わない。影響を与えない成分の例としては、1価のアルキルアルコールや他のスズ成分(例えば、テトラアルキルスズ、テトラアルコキシスズ、モノアルキルスズヒドロキシド、移送に影響を与えなければ、ジアルキルスズオキシドや酸化スズを含んでいても構わない)、溶媒(移送に悪影響を与えない、エーテル系溶媒や芳香族系溶媒、脂肪族溶媒など)、不活性ガス(例えば窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、メタンガス、二酸化炭素ガスなど)が挙げられる。溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、ブタノール(各異性体)、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)、ヘプタノール(各異性体)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)が挙げられ、アルコールを使用する際には、該アルキルスズアルコキシド組成物に含まれるアルキルスズアルコキシドのアルコキシ基を構成するアルキル基と同じアルキル基を有するアルコールを使用することが混合物の安定性上好ましい。移送する際の圧力としては、常圧から1MPaの範囲が好ましく、得られる該混合物が安定に存在するためには、常圧から0.6MPaの範囲が更に好ましく、最も好ましい範囲は常圧から0.6MPaの範囲である。本工程は、工程3へ移送する工程であり、工程3で、反応器に該混合物を供給する段階では、上記した圧力と異なっていても構わない。該混合物は安定な混合物であるが、通常の金属アルコキシドと同様に加水分解の影響を受けるため、移送の際には、当業者の知りうる範囲で水分には留意することが好ましい。該混合物中に、炭酸エステルを含む場合は、該炭酸エステルの含有量が、該混合物中のアルキルスズアルコキシド組成物中のテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンのモル数に対して20モル%以下であることが好ましく、ジアルキル酸化スズが該組成物中に含有される場合にも、該ジアルキル酸化スズに対しても20モル%以下であることが好ましい。これは、炭酸エステルが共存する場合、過剰の二酸化炭素が発生する場合があって、該混合物の安定性が損なわれる場合があるからである。更に、本混合物中に炭酸エステルが含まれていると、新たに炭酸エステルが生成する量が減少してしまう場合があるので好ましくない。本発明の混合物の移送に関しては、移送ライン等の材質は悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316,SUS316Lなどが安価でもあり、好ましく使用できる。必要に応じて、流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
viii)炭酸エステル分離工程(工程6)
本工程は、工程4で未利用の二酸化炭素ガスを回収した残りの反応液から炭酸エステルを分離し、残留液を得る工程である。分離方法は公知の方法や装置が好適に利用できる。好ましい方法は蒸留による方法である。工程4から移送された反応液をバッチあるいはセミバッチ、あるいは連続的に蒸留して炭酸エステルと残留液を得る。好ましい蒸留方法は、該反応液を蒸留器に供給し、炭酸エステルを気相成分として蒸留器上部から系外へ分離し、残留液を液状成分として蒸留器の底部から抜き出す方法である。本工程の温度は該炭酸エステルの沸点や圧力にもよるが、常温(例えば、20℃)から200℃の範囲でよく、高温では残留液中のスズ化合物の変性が起こる場合や、炭酸エステルが逆反応によって減少してしまう場合もあるので常温(例えば、20℃)から150℃の範囲が好ましい。圧力は、炭酸エステルの種類や、実施する温度にもよるが、通常常圧から減圧条件でおこない、生産性を考慮すれば、100Paから80KPaの範囲が好ましく、100Paから50KPaがより好ましい範囲である。時間は、0.01時間から10時間の範囲で実施でき、高温で、長時間で実施すると、該反応液に含まれるスズ化合物が変性する場合や、炭酸エステルが逆反応によって減少する場合もあるため、0.01時間から0.5時間の範囲が好ましく、0.01時間から0.3時間の範囲がより好ましい。蒸留器は公知の蒸留器が使用でき、塔型蒸留器、槽型蒸留器も好ましく使用することができるし、複数組み合わせて使用しても構わない。更に好ましい蒸留器は薄膜蒸発器、薄膜蒸留器であり、蒸留塔を備えた薄膜蒸発器、薄膜蒸留器が最も好ましい。蒸留器及びラインの材質は悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316,SUS316Lなどが安価でもあり、好ましく使用できる。必要に応じて、流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
以上、各工程について詳細に記載したが、必要に応じて、後述する工程を付加しても構わない。例えば、アルキルスズアルコキシドの変性体を分離する工程や、副生成物を系外へ除去する工程、アルコールを精製する工程、炭酸エステルを精製する工程、副生成物等を焼却したり廃棄する工程など、当業者が想定できる範囲の工程や装置を付加して構わない。
上記工程で得られる炭酸エステルは、ポリカーボネート原料やイソシアネート原料、その他の化成品原料、リチウムイオン電池などの電池電解質として好適に使用することができる。上記工程によって、これまで未利用のまま大気に放出されていた二酸化炭素を有効に回収、再利用することができるため、産業上極めて重要である。
また、本発明の方法によれば、二酸化炭素ガス回収がすべて非水系でおこなうことができ、また、回収反応温度が100℃以下の穏和な条件で実施することができる。また、二酸化炭素ガスが水分を含んでいたとしても、アルキルスズアルコキシドの加水分解によって水分は消費され、回収後の混合物(水分が過剰量の場合は該加水分解反応によって固形分を生ずる場合もある)から放出される二酸化炭素ガスは、水分含有量が極めて低く取り出すことができる。従って、本発明は、工業的に極めて重要である。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。当業者は、以下に示す実施例のみならず本願明細書にかかる特許請求の範囲に様々な変更を加えて実施することが可能であり、かかる変更も本願特許請求の範囲に包含される。
<分析方法>
1)NMR分析方法
装置:日本国、日本電子(株)社製JNM−A400 FT−NMRシステム
(1)H−NMR、13C−NMR、119Sn−NMR分析サンプルの調製
スズ化合物を0.3g秤量し、重クロロホルム(アルドリッチ社製、99.8%)を約0.7gと119Sn−NMRの内部標準としてテトラメチルスズ(和光社製、和光一級)を0.08g加えて均一に混ぜた溶液をNMR分析サンプルとする。
(2)定量分析法
各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施する。
(3)アルキルスズアルコキシドの収率計算方法
アルキルスズアルコキシドの収率は、出発物質ジアルキルスズオキシドのスズ原子のモル数に対して、得られた各アルキルスズアルコキシドのスズ原子モル数の生成モル%で求める。
2)水の分析方法
装置:日本国、三菱化学(株)社製CA−05微量水分計
(1)液状のサンプルの定量分析法
分析サンプルを、シリンジを用いて採取し重量を測った後、そのまま水分計に注入し、水の定量を行う。その後再びシリンジの重量を測り、サンプル注入量を計算し、サンプル中の水含有量を求める。
(2)ガス状サンプルの定量分析法
分析サンプルを、ガスタイトシリンジを用いて採取し、そのまま水分計に注入し、水の定量を行う。注入したサンプルの体積に対する水の含有量を求める。
3)炭酸エステルのガスクロマトグラフィー分析法
装置:日本国、(株)島津製作所製GC−2010システム
(1)分析サンプル溶液の作成
反応溶液を0.2g計り取り、脱水アセトンを約1.5g加える。さらに内部標準としてトルエン又はジフェニルエーテル約0.04gを加えて、ガスクロマトグラフィー分析サンプル溶液とする。
(2)ガスクロマトグラフィー分析条件
カラム:DB−1(米国、J&W Scientific社製)
液相:100%ジメチルポリシロキサン
長さ:30m
内径:0.25mm
フィルム厚さ:1μm
カラム温度:50℃(10℃/minで昇温)300℃
インジェクション温度:300℃
検出器温度:300℃
検出法:FID
(3)定量分析法
各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施する。
4)二酸化炭素ガスのガスクロマトグラフィー分析法
装置:日本国、(株)島津製作所製GC−14Bシステム
(1)分析サンプルの前処理
二酸化炭素結合体を含む混合物に硫酸水溶液を加え、発生する二酸化炭素ガスを、ガスタイトを用いて採取し分析を実施する。
(2)ガスクロマトグラフィー分析条件
カラム:Silica gel 60〜80(SUSカラム)
長さ:3m
内径:3mm
カラム温度:70℃
インジェクション温度:200℃
検出器温度:100℃
検出法:TCD
(3)定量分析法
各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施する。
[実施例1]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
容積3000mLのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)672g(2.7mol)及び3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)1900g(21.5mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を約145℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約40分間回転攪拌と加熱した後、混合液が沸騰し、水を含む3−メチル−1−ブタノールの蒸留が始まった。この状態を7時間保った後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が74〜35kPaの状態で過剰の3−メチル−1−ブタノールを蒸留した。留分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスから上げてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液880gを得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジブチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図4に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン1200g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を23000g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーターおよびリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約20000g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)約322g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8から回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約99wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約15℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1490g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約90g/hrで移送ライン9を経て常圧で供給した。塔型反応器240において反応温度が約20℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度20℃,常圧で移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=1.03及びy=1.99となっていた。
図12に、NMR分析結果を(119Sn−NMR),図13(13C−NMR)および図14(H−NMR)に示した。(119Sn−NMR(テトラメチルスズ基準):−212.2ppm)(H−NMR(テトラメチルスズ基準):3.97ppm(2H、t)、3.73ppm(2H,broad)、1.71−1.59ppm(6H、m)、1.49−1.28ppm(12H、m)、0.80−0.90ppm(18H、m)、(13C−NMR:158.4ppm、65.0ppm、63.9ppm、42.4ppm、37.6ppm、26.7ppm、26.4ppm、25.0ppm、24.6ppm、22.4ppm、22.1ppm、13.1ppm)
[実施例2]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
容積3000mLのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)672g(2.7mol)および2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)1102g(10.8mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を157℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約40分間回転攪拌と加熱した後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が84〜65kPaの状態で水を含む2−エチル−1−ブタノールを蒸留した。この状態を約2時間保った後、さらに系内を減圧し過剰の2−エチル−1−ブタノールを蒸留した。留分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスから上げてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液883gを得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジブチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図4に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを1500g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)を24000g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約31kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む2−エチル−1−ブタノール約16000g/hr及び供給ライン1を経て2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)約448g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された2−エチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(2−エチルブチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において2−エチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8および移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(2−エチルブチルオキシ)スズ約90wt%及び2−エチル−1−ブタノール約10wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約0℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約2100g/hrで、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約650g/hrで移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が1MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が0℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10において温度0℃,圧力1MPa−Gで移送し、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、二酸化炭素結合体を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.99及びy=1.99となっていた。
[実施例3]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
容積3000mLのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)692g(2.78mol)及び1−ブタノール(日本国、和光社製)2000g(27mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を126℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約30分間回転攪拌と加熱した後、混合液が沸騰し、低沸成分の蒸留が始まった。この状態を8時間保った後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が76〜54kPaの状態で残存低沸成分を蒸留した。低沸成分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスから上げてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液952gを得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジブチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図4に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。充填物Melapak 750Y(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを1200g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した1−ブタノール(日本国、和光純薬社製)を25000g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が150℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約160kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む1−ブタノール約18000g/hr及び供給ライン1を経て1−ブタノール(日本国、和光純薬社製)約283g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチルスズジブトキシド及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8から回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチルスズジブトキシド約90mol%及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサン約10mol%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約15℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1545g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約100g/hrで移送ライン9を経て0.4MPa−Gで供給した。塔型反応器240において反応温度が約20℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度20℃,0.4MPa−Gで移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR) )は、x=1.16及びy=1.90となっていた。
[実施例4]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
容積3000mLのなす型フラスコに、ジオクチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)700g(1.94mol)及び3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)1700g(19.3mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を143℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約40分間回転攪拌と加熱した後、混合液が沸騰し、低沸成分の蒸留が始まった。この状態を7時間保った後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が76〜32kPaの状態で残存低沸成分を蒸留した。低沸成分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスから上げてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液864gを得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジオクチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図4に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを1200g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を24000g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーターおよびリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約20000g/hrおよび供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)約240g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8から回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約99wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1420g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約125g/hrで移送ライン9を経て圧力0.4MPa−Gで供給した。塔型反応器240において反応温度が約60℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度60℃,圧力0.4MPa−Gで移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=1.01及びy=1.99となっていた。
[実施例5]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
容積3000mLのなす型フラスコに、ジオクチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)700g(1.94mol)及び2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)1102g(10.8mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を157℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約40分間回転攪拌と加熱した後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が84〜65kPaの状態で水を含む2−エチル−1−ブタノールを蒸留した。この状態を約2時間保った後、さらに系内を減圧し過剰の2−エチル−1−ブタノールを蒸留した。留分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスから上げてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液883gを得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジオクチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図4に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを3500g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)を6000g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が150℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約−2kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む2−エチル−1−ブタノール約4000g/hr及び供給ライン1を経て2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)約390g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111およびコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された2−エチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(2−エチルブチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において2−エチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8および移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(2−エチルブチルオキシ)スズ約60mol%及び1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約40mol%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約70℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約3890g/hrで、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約100g/hrで移送ライン9を経て常圧で供給した。塔型反応器240において反応温度が80℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10において温度80℃,常圧で移送し、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、二酸化炭素結合体を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=0.26及びy=1.60となっていた。
[実施例6]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例3と同じ方法によって1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図4に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。充填物Melapak 750Y(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを1200g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した1−ブタノール(日本国、和光純薬社製)を25000g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が150℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約160kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む1−ブタノール約18000g/hr及び供給ライン1を経て1−ブタノール(日本国、和光純薬社製)約283g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチルスズジブトキシドを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8から回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチルスズジブトキシド約85wt%及び1−ブタノール約15wt%が含まれた(1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンの含有量は1wt%以下であった)。該組成物を冷却器131によって約−42℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1666g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約280g/hrで移送ライン9を経て常圧で供給した。塔型反応器240において反応温度が約−40℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度−40℃,常圧で移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=1.58及びy=1.99となっていた。
[実施例7]
図5に示す装置を用いて二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。攪拌装置を備えた槽型反応器220に実施例6と同じ方法で製造したジブチルスズジブトキシド約1000gおよびベンジルアルコール(米国、Aldrich社製、脱水グレード)約7200gを、移送ライン4を経て仕込み、該混合液を約140℃に加熱し、ジブチル−ビス(ベンジルオキシ)スズを製造した。反応から生成する1−ブタノールを含むベンジルアルコールを移送ライン6から回収し、ジブチル−ビス(ベンジルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を、移送ライン5を経て薄膜蒸発器130に移送し、ベンジルアルコールを留去し、コンデンサー132及び移送ライン8を経て回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(ベンジルオキシ)スズが約99wt%含まれた。該組成物を冷却器131によって約15℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1180g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約100g/hrで移送ライン9を経て常圧で供給した。塔型反応器240において反応温度が約20℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度20℃,常圧で移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.75およびy=1.99となっていた。
[実施例8]
図5に示す装置を用いて二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。攪拌装置を備えた槽型反応器220に実施例6と同じ方法で製造したジブチルスズジブトキシド約1000gおよび1−ヘプタノール(米国、Aldrich社製、予め蒸留精製をおこなった)約7500gを、移送ライン4を経て仕込み、該混合液を約140℃に加熱し、ジブチル−ビス(ヘプチルオキシ)スズを製造した。反応から生成する1−ブタノールを含む1−ヘプタノールを移送ライン6から回収し、ジブチル−ビス(ヘプチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を、移送ライン5を経て薄膜蒸発器130に移送し、1−ヘプタノールを留去し、コンデンサー132及び移送ライン8を経て回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(ヘプチルオキシ)スズが約99wt%含まれた。該組成物を冷却器131によって約100℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1230g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約100g/hrで移送ライン9を経て常圧で供給した。塔型反応器240において反応温度が約100℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度100℃,常圧で移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.10及びy=1.99となっていた。
[実施例9]
図5に示す装置を用いて二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。攪拌装置を備えた槽型反応器220にジブチルスズジメトキシド(米国、Aldrich社製)約1000gおよび1−プロパノール(和光純薬社製、脱水グレード)約7500gを、移送ライン4を経て仕込み、該混合液を約100℃に加熱し、ジブチルスズジプロポキシドを製造した。反応から生成するメタノールを含む1−プロパノールを移送ライン6から回収し、ジブチルスズジプロポキシドを含むアルキルスズアルコキシド組成物を、移送ライン5を経て薄膜蒸発器130に移送し、1−プロパノールを留去し、コンデンサー132及び移送ライン8を経て回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチルスズジプロポキシドが約92wt%、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(プロピルオキシ)−ジスタンオキサンが約7wt%含まれた。該組成物を冷却器131によって約95℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1175g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約200g/hrで移送ライン9を経て常圧で供給した。塔型反応器240において反応温度が約100℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度100℃,常圧で移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.25およびy=1.88となっていた。
[実施例10]
図5に示す装置を用いて二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。攪拌装置を備えた槽型反応器220に実施例6と同じ方法で製造したジブチルスズジブトキシド約1000g及び2−エチル−1−ヘキサノール(米国、Aldrich社製)約7500gを、移送ライン4を経て仕込み、該混合液を約150℃に加熱し、ジブチル−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)スズを製造した。系内を徐々に減圧し、反応から生成する1−ブタノールを含む2−エチル−1−ヘキサノールを移送ライン6から回収した。約4hr反応させた後、ジブチル−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を、移送ライン5を経て薄膜蒸発器130に移送し、2−エチル−1−ヘキサノールを留去し、コンデンサー132及び移送ライン8を経て回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)スズが約95wt%含まれた。該組成物を冷却器131によって約10℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1297g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約150g/hrで移送ライン9を経て圧力0.4MPa−Gで供給した。塔型反応器240において反応温度が約20℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度20℃,圧力0.4MPa−Gで移送したが、高粘度のため圧力上昇が高く移送が困難であった。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=1.18及びy=1.99となっていた。
[実施例11]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例4と同じ操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図4に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを1200g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を約240g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約24kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約180g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)約14g/hrを、充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8から回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズが約20mol%、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンが約80mol%含まれた。該組成物を冷却器131によって約15℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1225g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約100g/hrで移送ライン9を経て圧力0.4MPa−Gで供給した。塔型反応器240において反応温度が約20℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度20℃,圧力0.4MPa−Gで移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.77及びy=1.11となっていた。NMR分析結果を図15(119Sn−NMR)に示した。
[実施例12]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例4と同じ操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図7に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。工程Aで製造した1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン(温度約15℃)、移送ライン7を経て流量が約1200g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置240の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置240は充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器である。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約100g/hrで移送ライン9を経て圧力0.4MPa−Gで供給した。塔型反応器240において反応温度が約20℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度20℃,圧力0.4MPa−Gで移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.56及びy=0.98となっていた。
[実施例13]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
容積3000mLのなす型フラスコに、ジオクチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)700g(1.94mol)および2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)1600g(15.7mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を157℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約40分間回転攪拌と加熱した後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が84〜65kPaの状態で水を含む2−エチル−1−ブタノールを蒸留した。この状態を7時間保った後、さらに系内を減圧し過剰の2−エチル−1−ブタノールを蒸留した。留分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスからあげてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液883gを得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジオクチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作をおこない、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図9に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。工程Aで製造した1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約1200g、移送ライン7を経て、熱交換用ジャケットおよび攪拌装置を備えたオートクレーブ540の上部に移送した。該オートクレーブを約0℃に冷却したところ、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンが固体になった。オートクレーブ540にガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を、移送ライン9を経て供給し、圧力が0.4MPa−Gになるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体と固体の混合であり、ラインの閉塞により移送が困難であった。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.23及びy=0.98となっていた。
[実施例14]
工程A:アルキルスズアルコキシド組成物の製造
実施例18と同じ操作を行い、次の工程Bで使用するジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)−スズ及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図9に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。工程Aで製造したアルキルスズアルコキシド組成物(ジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)−スズ約74wt%および1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約25wt%)約1200g及び実施例18で製造した炭酸ビス(3−メチルブチル)約18.5gを含む混合液を、移送ライン7を経て、熱交換用ジャケット及び攪拌装置を備えたオートクレーブ540の上部に移送した。該オートクレーブを約80℃にし、さらに該オートクレーブにガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を、移送ライン9を経て供給し内圧を0.01MPa−Gに調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、温度80℃;圧力0.01MPa−Gにおいて移送ライン10を経て移送をおこなったが、移送ラインにおいてガスが発生しポンプのキャビテーションが起こることにより移送が困難であった。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR) )は、x=1.07及びy=1.98となっていた。
[実施例15]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例4と同じ操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図4に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを1200g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を24000g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約20000g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)約240g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8から回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約99wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約100℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1430g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約130g/hrで移送ライン9を経て圧力0.1MPa−Gで供給した。塔型反応器240において反応温度が約100℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度100℃,圧力0.1MPa−Gで移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.23及びy=1.99となっていた。
[実施例16]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例4と同じ操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図4に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを1200g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を24000g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約20000g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)約240g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8から回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約90wt%及び3−メチル−1−ブタノール約10wt%が含まれた(1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンの含有量は1wt%以下であった)。該組成物を冷却器131によって約−60℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1410g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約130g/hrで移送ライン9を経て圧力0.1MPa−Gで供給した。塔型反応器240において反応温度が約−60℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は移送ライン10において温度−60℃,圧力0.1MPa−Gで移送したが、高粘度による圧力上昇が高いため移送が困難であった。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR) )は、x=1.8及びy=1.99となっていた。
[実施例17]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例4と同じ操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図9に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。工程Aで製造した1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約1200g及び実施例18で製造した炭酸ビス(3−メチルブチル)約270gを含む混合液を、移送ライン7を経て、熱交換用ジャケット及び攪拌装置を備えたオートクレーブ540の上部に移送した。該オートクレーブを約140℃にし、反応時間を約5hrとし、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。反応後、オートクレーブを冷却し、該混合物の温度を約20℃にした。該混合物は液体であり、移送ライン10において20℃,常圧で移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.49及びy=1.98となっていた。
[比較例1]
図5に示す装置を用いて二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。攪拌装置を備えた槽型反応器220に実施例6と同じ方法で製造したジブチルスズジブトキシド約1000g及びフェノール(日本国、和光純薬社製、予め蒸留精製をおこなった)約7500gを、移送ライン4を経て仕込み、該混合液を約140℃に加熱し、ジブチルスズジフェノキシドを製造した。反応から生成する1−ブタノールを含むフェノールを蒸留し、移送ライン6から回収し、ジブチルスズジフェノキシドを含むアルキルスズアルコキシド組成物を、移送ライン5を経て薄膜蒸発器130に移送し、フェノールを留去し、コンデンサー132及び移送ライン8を経て回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチルスズジフェノキシドが約99wt%含まれた。該組成物を冷却器131によって約60℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1107g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約100g/hrで移送ライン9を経て常圧で供給した。塔型反応器240において反応温度が約60℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度60℃,常圧で移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.02及びy=1.99となっていた。
[比較例2]
図5に示す装置を用いて二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。攪拌装置を備えた槽型反応器220に実施例6と同じ方法で製造したジブチルスズジブトキシド約1000g及び1−エトキシ−2−プロパノール(日本国、和光純薬社製、蒸留精製によって1級アルコールの不純物を除去した)約7500gを、移送ライン4を経て仕込み、該混合液を約140℃に加熱し、ジブチル−ビス(1−エトキシ−プロピル−2−オキシ)スズを製造した。反応から生成する1−ブタノールを含む1−エトキシ−2−プロパノールを蒸留し、移送ライン6から回収し、ジブチル−ビス(1−エトキシ−プロピル−2−オキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を、移送ライン5を経て薄膜蒸発器130に移送し、1−エトキシ−2−プロパノールを留去し、コンデンサー132及び移送ライン8を経て回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(1−エトキシ−プロピル−2−オキシ)スズが約99wt%含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1160g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約100g/hrで移送ライン9を経て常圧で供給した。塔型反応器240において反応温度が約50℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度50℃,常圧で移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.04及びy=1.99となっていた。
[比較例3]
図5に示す装置を用いて二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。攪拌装置を備えた槽型反応器220に実施例3と同じ方法で製造したアルキルスズアルコキシド組成物(ジブチルスズジブトキシドが約90mol%、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンが約10mol%)約1000gおよび1−エトキシ−2−プロパノール(日本国、和光純薬社製、蒸留精製によって1級アルコールの不純物を除去した)約7000gを、移送ライン4を経て仕込み、該混合液を約140℃に加熱し、ジブチル−ビス(1−エトキシ−プロピル−2−オキシ)スズを製造した。反応から生成する水及び1−ブタノールを含む1−エトキシ−2−プロパノールを蒸留し、移送ライン6から回収し、ジブチル−ビス(1−エトキシ−プロピル−2−オキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を、移送ライン5を経て薄膜蒸発器130に移送し、1−エトキシ−2−プロパノールを留去し、コンデンサー132および移送ライン8を経て回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(1−エトキシ−プロピル−2−オキシ)スズが約98mol%、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(1−エトキシ−プロピル−2−オキシ)−ジスタンオキサンが約2mol%含まれた。該組成物を冷却器131によって約60℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1160g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約100g/hrで移送ライン9を経て常圧で供給した。塔型反応器240において反応温度が約70℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度50℃,常圧で移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO :(OR))は、x=0.06及びy=1.94となっていた。
[比較例4]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例1と同じ操作をおこない、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:二酸化炭素結合体を含む混合物の製造
図4に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを1200g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を23000g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約20000g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)約322g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8から回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約99wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約80℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1490g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約90g/hrで移送ライン9を経て圧力約13kPaで供給した。塔型反応器240において反応温度が約80℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度80℃,圧力約13kPaで移送したが、キャビテーションが生じて連続的な移送ができなかった。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.08及びy=1.99となっていた。
[実施例18]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
容積3000mLのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)672g(2.7mol)及び3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)1900g(21.5mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を約145℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約40分間回転攪拌と加熱した後、混合液が沸騰し、水を含む3−メチル−1−ブタノールの蒸留が始まった。この状態を7時間保った後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が74〜35kPaの状態で過剰の3−メチル−1−ブタノールを蒸留した。留分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスから上げてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液880gを得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジブチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を行い、次の工程2で使用する1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:連続製造装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンと3−メチル−1−ブタノールの混合液(該ジスタンオキサン濃度が約33wt%)を約13384g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14953g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約23kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約14950g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8および移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約74wt%および1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約25wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約5130g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13および移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.45MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が60℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を製造した。得られた二酸化炭素結合体は液体であり、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシドが二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=1.31及びy=1.72となっていた。該混合物は移送ライン10において温度50℃,圧力0.5MPa−Gで移送し、さらに昇圧ポンプ141を用いて移送ライン11を経て流量が約5894g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブに供給ライン14を介し二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約5時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素を分離し、移送ライン17から二酸化炭素を回収した。その後、分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5332g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/Hrで得た。
[実施例19]
実施例18の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンと3−メチル−1−ブタノールの混合液(該ジスタンオキサン濃度が約33wt%)を約13384g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14953g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約22kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約14950g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8および移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約74wt%および1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約25wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約5130g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13及び移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.45MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が60℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を製造した。得られた二酸化炭素結合体は液体であり、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシドが二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該混合物は移送ライン10を経て流量が約5894g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブに供給ライン14を介し二酸化炭素を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約5時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て該二酸化炭素を二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルした。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素供給を止め、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度50℃,圧力0.5MPa−Gで、移送ラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、リサイクルした未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体を含む混合物として回収した。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.32及びy=1.72となっていた。
[実施例20]
実施例18の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンと3−メチル−1−ブタノールの混合液(該ジスタンオキサン濃度が約33wt%)を約13384g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14953g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約23kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約14950g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約74wt%及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約25wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約5130g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13及び移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.45MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が60℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該混合物は移送ライン10を経て流量が約5894g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブに供給ライン14を介し二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約212g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約5時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て、二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルした。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素供給を止め、二酸化炭素供給は供給ライン14からのみとし、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度60℃,圧力0.45MPa−Gで移送し、移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、リサイクルした未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体を含む混合物として回収した。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.33及びy=1.71となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5332g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/hrで得た。供給した二酸化炭素212g/hrに対して炭酸エステル製造に消費された二酸化炭素は210g/hrで二酸化炭素の利用率は99%となり、薄膜蒸発装置160で分離した二酸化炭素をリサイクルすることによって高い二酸化炭素の利用率を得ることができる。
[実施例21]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
容積3000mLのなす型フラスコに、ジオクチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)700g(1.94mol)及び3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)1700g(19.3mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を143℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約40分間回転攪拌と加熱した後、混合液が沸騰し、低沸成分の蒸留が始まった。この状態を7時間保った後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が76〜32kPaの状態で残存低沸成分を蒸留した。低沸成分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスから上げてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液864gを得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジオクチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンと3−メチル−1−ブタノールの混合液(該ジスタンオキサン濃度が約40wt%)を約14883g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14953g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約23kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約14950g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約73wt%及び1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約26wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約6630g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13および移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.45MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が60℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該二酸化炭素結合体は移送ライン10において温度60℃,圧力0.45MPa−Gで移送し、さらに昇圧ポンプ141を用いて移送ライン11を経て流量が約7394g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブ150に供給ライン14を介し二酸化炭素を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約6時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルし、移送ライン7を経て移送したアルキルスズアルコキシド組成物と反応させ、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素の供給を止め、二酸化炭素の供給は供給ライン14からのみとし、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体として回収した。該二酸化炭素結合体をサンプリングし、元素分析したところ、二酸化炭素結合体を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.33及びy=1.71となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約6840g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181およびコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/Hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/hrで得た。
[実施例22]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例21の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンと3−メチル−1−ブタノールの混合液(該ジスタンオキサン濃度が約40wt%)を約14883g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14953g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約23kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約14950g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約73wt%及び1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約26wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約70℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約6630g/hrで、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13及び移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が1.0MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が80℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該二酸化炭素結合体は移送ライン10において温度80℃,圧力1.0MPa−Gで移送し、さらに昇圧ポンプ141を用いて移送ライン11を経て流量が約7394g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブ150に供給ライン14を介し二酸化炭素を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約6時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163および移送ライン9を経て二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルし、移送ライン7を経て移送したアルキルスズアルコキシド組成物と反応させ、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素の供給を止め、二酸化炭素の供給は供給ライン14からのみとし、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体として回収した。該二酸化炭素結合体をサンプリングし、元素分析したところ、二酸化炭素結合体を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.3及びy=1.71となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5332g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/hrで得た。
[実施例23]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
容積3000mLのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)692g(2.78mol)及び1−ブタノール(日本国、和光社製)2000g(27mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を126℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約30分間回転攪拌と加熱した後、混合液が沸騰し、低沸成分の蒸留が始まった。この状態を8時間保った後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が76〜54kPaの状態で残存低沸成分を蒸留した。低沸成分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスから上げてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液952gを得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジブチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Mellapak 750Y(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンと1−ブタノールの混合液(該ジスタンオキサン濃度が約22wt%)を約19350g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した1−ブタノール(日本国、和光純薬社製)を24716g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約96kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む1−ブタノール約24700g/hr及び供給ライン1を経て1−ブタノール(日本国、和光純薬社製)824g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチルスズジブトキシド約74wt%及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサン約24wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約4812g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13および移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.45MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が60℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該二酸化炭素結合体は移送ライン10において温度60℃,圧力0.45MPa−Gで移送し、さらに昇圧ポンプ141を用いて移送ライン11を経て流量が約5576g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブ150に供給ライン14を介し二酸化炭素を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約5時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ジブチル含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルし、移送ライン7を経て移送したアルキルスズアルコキシド組成物と反応させ、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素の供給を止め、二酸化炭素の供給は供給ライン14からのみとし、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体として回収した。該二酸化炭素結合体をサンプリングし、元素分析したところ、二酸化炭素結合体を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.34及びy=1.72となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ジブチル含有反応液は移送ライン16を経て約140℃、約1.4kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5020g/hrになるように調節し移送して、炭酸ジブチルを含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約830g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ジブチルを813g/hrで得た。
[実施例24]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
容積3000mLのなす型フラスコに、ジオクチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)700g(1.94mol)及び2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)1600g(15.7mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を157℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約40分間回転攪拌と加熱した後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が84〜65kPaの状態で水を含む2−エチル−1−ブタノールを蒸留した。この状態を7時間保った後、さらに系内を減圧し過剰の2−エチル−1−ブタノールを蒸留した。留分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスからあげてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液883gを得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジオクチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンと2−エチル−1−ブタノールの混合液(該ジスタンオキサン濃度が約43wt%)を約14233g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)を12260g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が150℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約−2.0kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む2−エチル−1−ブタノール約12250g/hrおよび供給ライン1を経て2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)958g/hrを、充填物Metal Gauze
CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111およびコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された2−エチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(2−エチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において2−エチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(2−エチルブチルオキシ)スズ約74wt%及び1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約25wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約40℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約6945g/hrで、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13及び移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.3MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が50℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該二酸化炭素結合体は移送ライン10において温度50℃,圧力0.3MPa−Gで移送し、さらに昇圧ポンプ141を用いて移送ライン11を経て流量が約7710g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブ150に供給ライン14を介し二酸化炭素を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約4時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(2−エチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルし、移送ライン7を経て移送したアルキルスズアルコキシド組成物と反応させ、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素の供給を止め、二酸化炭素の供給は供給ライン14からのみとし、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体として回収した。該二酸化炭素結合体をサンプリングし、元素分析したところ、二酸化炭素結合体を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.38及びy=1.72となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(2−エチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て温度約150℃、圧力約0.3kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約6074g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(2−エチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約964g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(2−エチルブチル)を956g/hrで得た。
[実施例25]
実施例18の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンと3−メチル−1−ブタノールの混合液(該ジスタンオキサン濃度が約33wt%)を約13385g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14953g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約23kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約14900g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約74wt%及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約25wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約5130g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13及び移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.45MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が60℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該混合物は移送ライン10を経て流量が約5894g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブに供給ライン14を介し二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約5時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て、二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルした。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素供給を止め、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度60℃,圧力0.45MPa−Gで移送し、移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、リサイクルした未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体を含む混合物として回収した。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.32及びy=1.72となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5332g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/Hrで得た。一方、薄膜蒸発装置170からアルキルスズアルコキシド組成物を含む残留液を得、移送ライン18及び移送ライン4を経て塔型反応器120にリサイクルした。該残留液を約4388g/hrで塔型反応器120に供給し、蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノールと反応させた。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約74wt%及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約25wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約5130g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。該組成物を薄膜蒸発器160から分離した未利用の二酸化炭素(約764g/hr)と反応させた。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度60℃,圧力0.45MPa−Gで移送し、移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、リサイクルしたアルキルスズアルコキシド組成物とリサイクルした未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.34及びy=1.73となっていた。
[参考例1]
実施例18の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンと3−メチル−1−ブタノールの混合液(該ジスタンオキサン濃度が約33wt%)を約13385g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14953g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約22kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約14950g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約74wt%及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約25wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約5130g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13及び移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.5MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が50℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度60℃,圧力0.45MPa−Gで移送し、移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.33及びy=1.72となっていた。該混合物は移送ライン10,昇圧ポンプ及び移送ライン11を経て流量が約5894g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブに供給ライン14を介し二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約212g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約5時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、ベントライン21から排出した。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5332g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/hrで得た。供給した二酸化炭素973g/hrに対して炭酸エステル製造に消費された二酸化炭素は210g/hrで二酸化炭素の利用率は22%となり、実施例20と比較し大きく低下した。
[比較例5]
図9に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。ジブチルスズジメトキシド(米国、Aldrich社製)約800gを、移送ライン7を経て、熱交換用ジャケット及び攪拌装置を備えたオートクレーブ540の上部に移送した。該オートクレーブを約180℃に加熱し、オートクレーブ540にガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を、移送ライン9を経て供給し、圧力が20MPa−Gになるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物を常温まで冷却し、移送ライン10を経て移送したが、白色の固形物が発生しラインの閉塞により移送が不可能であった。
[実施例26]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
容積3000mLのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)500g(2.01mol)および2−エチル−1−ヘキサノール(日本国、和光純薬社製)1047g(8.04mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を157℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約40分間回転攪拌と加熱した後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が40〜20kPaの状態で水を含む2−エチル−1−ヘキサノールを蒸留した。この状態を2時間保った後、さらに系内を減圧し過剰の2−エチル−1−ヘキサノールを蒸留した。留分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスから上げてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液750gを得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンがジオクチルスズオキシド基準で収率98%を得た。同様な操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンを4943g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した2−エチル−1−ヘキサノール(日本国、和光純薬社製)を15653g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約−58kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む2−エチル−1−ヘキサノール15000g/hr及び供給ライン1を経て2−エチル−1−ヘキサノール(日本国、クラレ社製)1223g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された2−エチル−1−ヘキサノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において2−エチル−1−ヘキサノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)スズ約70wt%及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ジスタンオキサン約28wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約100℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約6083g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13および移送ライン9を経て常圧で供給した。塔型反応器240において反応温度が100℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。ベントライン12における未反応の二酸化炭素が約380g/hrであった。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度100℃,常圧で移送し、移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=0.65及びy=1.71となっていた。該混合物は移送ライン10,昇圧ポンプ及び移送ライン11を経て流量が約6465g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブに供給ライン14を介し二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約592g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約4時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(2−エチルヘキシル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て、二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルした。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素供給を止め、二酸化炭素供給は供給ライン14からのみとし、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度100℃,常圧で移送し、移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。ベントライン12における二酸化炭素ガスの流れは約380g/hrであった。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=0.65及びy=1.71となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約160℃、約0.1kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約6282g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約1350g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を1338g/hrで得た。供給した二酸化炭素973g/hrに対して炭酸エステル製造に消費された二酸化炭素は210g/hrで二酸化炭素の利用率は約35%であった。
[実施例27]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例21と同じ操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを5885g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を約1000g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約23kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約700g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)約70g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8から回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズが約18mol%、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンが約82mol%含まれた。該組成物を冷却器131によって約15℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約6010g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約500g/hrで移送ライン9を経て圧力0.4MPa−Gで供給した。塔型反応器240において反応温度が約20℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度20℃,圧力0.4MPa−Gで移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.75及びy=1.09となっていた。該二酸化炭素結合体は移送ライン10を経て移送し、さらに昇圧ポンプ141を用いて移送ライン11を経て流量が約6500g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブ150に供給ライン14を介し二酸化炭素を約210g/Hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約6時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163および移送ライン9を経て二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルし、移送ライン7を経て移送したアルキルスズアルコキシド組成物と反応させ、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素の供給を止め、二酸化炭素の供給は供給ライン14からのみとし、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体として回収した。該二酸化炭素結合体をサンプリングし、元素分析したところ、二酸化炭素結合体を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=0.75及びy=1.09となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5332g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約200g/Hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を185g/hrで得た。
[実施例28]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例21と同じ操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを5880g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を約100g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が140℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約21kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約70g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)約5g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8から回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物には1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンが約97mol%含まれた。該組成物を冷却器131によって約15℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約5890g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約500g/hrで移送ライン9を経て圧力0.4MPa−Gで供給した。塔型反応器240において反応温度が約20℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度20℃,圧力0.4MPa−Gで移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=0.56及びy=0.98となっていた。該二酸化炭素結合体は移送ライン10を経て移送し、さらに昇圧ポンプ141を用いて移送ライン11を経て流量が約6300g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブ150に供給ライン14を介し二酸化炭素を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約6時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルし、移送ライン7を経て移送したアルキルスズアルコキシド組成物と反応させ、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素の供給を止め、二酸化炭素の供給は供給ライン14からのみとし、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体として回収した。該二酸化炭素結合体をサンプリングし、元素分析したところ、二酸化炭素結合体を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=0.55及びy=0.98となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5990g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約90g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を約80g/hrで得た。
[実施例29]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例21の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンの流量約5887g/hrになるように移送し、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14953g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約14000g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約72wt%及び1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約27wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約40℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約6627g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13及び移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.25MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が50℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該混合物は移送ライン10を経て流量が約7391g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブに供給ライン14を介し二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約210g/Hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約7時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て、二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルした。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素供給を止め、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度50℃,圧力0.25MPa−Gで移送し、移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、リサイクルした未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体を含む混合物として回収した。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.33及びy=1.72となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/hrで得た。一方、薄膜蒸発装置170からアルキルスズアルコキシド組成物を含む残留液を得、移送ライン18及び移送ライン4を経て塔型反応器120にリサイクルした。該残留液を分析し、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンの流量が約5887g/hrになるように移送ライン22から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを供給し、塔型反応器120に移送ライン18と移送ライン4を経て移送し、蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノールと反応させた。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約72wt%及び1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約27wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て該組成物の流量が約6627g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。該組成物を薄膜蒸発器160から分離した未利用の二酸化炭素(約764g/hr)と反応させた。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度50℃,圧力0.25MPa−Gで移送し、移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、リサイクルしたアルキルスズアルコキシド組成物とリサイクルした未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR) )は、x=1.31及びy=1.71となっていた。上記の条件で連続運転を約600hr継続した。その後、移送ライン18から回収したアルキルスズアルコキシド組成物には1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンが約60wt%含まれている以外にトリオクチル−ビス(3−メチルブチル)−スズが約20wt%含まれ、さらに119Sn−NMRスペクトルでは−220〜−605ppmにおいて複数のスズ化合物に由来するシフトが見られた。移送ライン10から得た二酸化炭素結合体を含む混合物をサンプリングし分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.31及びy=1.72となっていた。また炭酸ビス(3−メチルブチル)の収量は連続的に約944g/hrであった。
[実施例30]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例21の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを約5887g/hrで移送し、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14953g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約14000g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約72wt%及び1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約27wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約40℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約6627g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13及び移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.25MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が50℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該混合物は移送ライン10を経て流量が約7391g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブに供給ライン14を介し二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約7時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て、二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルした。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素供給を止め、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度50℃,圧力0.25MPa−Gで移送し、移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、リサイクルした未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体を含む混合物として回収した。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.30及びy=1.71となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/hrで得た。一方、薄膜蒸発装置170からアルキルスズアルコキシド組成物を含む残留液を得、移送ライン18及び移送ライン4を経て塔型反応器120にリサイクルし、蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノールと反応させた。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約72wt%および1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約27wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約50℃まで冷却させ、移送ライン7を経て該組成物の流量が約6627g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。該組成物を薄膜蒸発器160から分離した未利用の二酸化炭素(約764g/hr)と反応させた。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度50℃,圧力0.25MPa−Gで移送し、移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、リサイクルしたアルキルスズアルコキシド組成物とリサイクルした未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.3及びy=1.7となっていた。上記の条件で連続運転を約1800hr継続した。その後、移送ライン18から回収したアルキルスズアルコキシド組成物には1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンが約10wt%含まれている以外にトリオクチル−ビス(3−メチルブチル)−スズが約45wt%含まれ、さらに119Sn−NMRスペクトルでは−220〜−605ppmにおいて複数のスズ化合物に由来するシフトが見られた。移送ライン10から得た二酸化炭素結合体を含む混合物をサンプリングし分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.02及びy=0.96となっていた。また炭酸ビス(3−メチルブチル)の収量は連続的に減少し、約1200hr運転後には約56g/hrであった。
[実施例31]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例21と同じ操作を行い、次の工程Bで使用する1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造した。
工程B:乾燥したガス状の二酸化炭素の製造
図4に示すような装置において、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から工程Aで製造した1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを1200g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を20000g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール約18000g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)約100g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8から回収した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約90mol%及び1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約10mol%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約30℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約1375g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.9%、水分約120ppm)を約200g/hrで移送ライン9を経て圧力0.1MPa−Gで供給した。塔型反応器240において反応温度が約40℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。該混合物は液体であり、移送ライン10において温度40℃,圧力0.1MPa−Gで移送し、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく連続的に移送することができた。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO:(OR))は、x=1.34及びy=1.80となっていた。該混合物を約120℃加熱し、二酸化炭素を脱離させた。該二酸化炭素を分析したところ、水分は約10ppmであった。ベントライン12から二酸化炭素をガス状として連続的に抜き出し、該二酸化炭素の水分を分析したところ、水分は約10ppmであった。
[比較例6]
水酸化ナトリウム水溶液を用いて二酸化炭素の吸収を行なった。装置として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の上部に水酸化ナトリウム水溶液(日本国、和光純薬社製、濃度5mol/L)を約1.5L/hrを、移送ライン7を経て供給し、塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.9%、水分約120ppm)を約200g/hrで移送ライン9を経て圧力0.1MPa−Gで供給した。塔型反応器240において反応温度が約40℃になるように調節し、二酸化炭素の吸収を行なった。ベントライン12から二酸化炭素をガス状として連続的に抜き出し、該二酸化炭素の水分を分析したところ、水分は約5000ppmであった。移送ライン10から二酸化炭素と反応した水酸化ナトリウム水溶液を約1L回収し、該水溶液に硫酸水溶液(日本国、和光純薬社製、47%)約1.2Lを加え、二酸化炭素を脱離させた。該二酸化炭素を分析したところ、水分は約6000ppmであった。
[実施例32]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例24の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを6074g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)を13500g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約31kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む2−エチル−1−ブタノール12350g/hr及び供給ライン1を経て2−エチル−1−ブタノール(日本国、チッソ社製)958g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された2−エチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(2−エチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において2−エチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(2−エチルブチルオキシ)スズ約74wt%及び1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約25wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約40℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約6945g/hrで、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約973g/hrで供給ライン13及び移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が1MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が約45℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該二酸化炭素結合体は移送ライン10において温度約45℃,圧力1MPa−Gで移送し、さらに昇圧ポンプ141を用いて移送ライン11を経て流量が約7710g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブ150に二酸化炭素を供給せず、オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約4時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(2−エチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルし、移送ライン7を経て移送したアルキルスズアルコキシド組成物と反応させ、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素の供給を止め、二酸化炭素の供給は供給ライン14からのみとし、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体として回収した。該二酸化炭素結合体をサンプリングし、元素分析したところ、二酸化炭素結合体を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.65及びy=1.70となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(2−エチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て温度約150℃、圧力約0.3kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約6074g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(2−エチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約964g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(2−エチルブチル)を956g/hrで得た。
[実施例33]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例21の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを5887g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14953g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール14953g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8および移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約73wt%及び1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約26wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約40℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約6630g/hrで、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図8に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填した内径53.5mm,有効長さ1380mm(充填長さ約1000mm)の塔型反応器340及び塔型反応器440を用いた(両塔型反応器は同じもので、移送ライン23および移送ライン24によってつながっている)。塔型反応器440の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13および移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.02MPa−Gになるように調節した。塔型反応器440において未反応の二酸化炭素は移送ライン24及び冷却器442を経て塔型反応器340の下部に移送し、さらに塔型反応器340においてアルキルスズアルコキシド組成物との反応を行なった。塔型反応器340の下部から、二酸化炭素結合体を含む混合物を得、該混合物の温度は約68℃で冷却器341によって約20℃まで冷やし、移送ライン23を経て塔型反応器440の上部に移送し、さらに二酸化炭素と反応させた。塔型反応器440の下部から得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該二酸化炭素結合体は移送ライン10において温度約24℃,圧力0.02MPa−Gで移送し、さらに昇圧ポンプ141を用いて移送ライン11を経て流量が約7394g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブ150に供給ライン14を介し二酸化炭素を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約6時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルし、移送ライン7を経て移送したアルキルスズアルコキシド組成物と反応させ、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素の供給を止め、二酸化炭素の供給は供給ライン14からのみとし、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体として回収した。該二酸化炭素結合体をサンプリングし、元素分析したところ、二酸化炭素結合体を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.34及びy=1.72となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5332g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/hrで得た。
[実施例34]
工程A:テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの製造
実施例21の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
工程B:連続装置による炭酸エステルの製造
図6に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal
Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを5887g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14953g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール14953g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジオクチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約73wt%及び1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約26wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約40℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約6630g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図9に示す、熱交換用ジャケット及び攪拌装置を備えたオートクレーブ540を用いた。オートクレーブ540の下部にガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで移送ライン9を経て供給し、圧力が0.25MPa−Gになるように調節した。オートクレーブ540において反応温度が50℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド組成物が二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該二酸化炭素結合体は移送ライン10において温度50℃,圧力0.25MPa−Gで移送し、さらに昇圧ポンプ141を用いて移送ライン11を経て流量が約7394g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブ150に供給ライン14を介し二酸化炭素を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約6時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、該二酸化炭素を冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー163及び移送ライン9を経て二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルし、移送ライン7を経て移送したアルキルスズアルコキシド組成物と反応させ、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造した。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素の供給を止め、二酸化炭素の供給は供給ライン14からのみとし、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は液体であり、移送ライン10を経て移送ラインの閉塞などといった問題なく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体として回収した。該二酸化炭素結合体をサンプリングし、元素分析したところ、二酸化炭素結合体を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.35及びy=1.72となっていた。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5332g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181及びコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/hrで得た。
[実施例35]
実施例18の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
図10に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを4388g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14952g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール14000g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約74wt%および1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約25wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約30℃まで冷却させ、移送ライン7を経て流量が約5130g/hrで、二酸化炭素結合体製造装置140の上部に移送した。二酸化炭素結合体製造装置140として、図7に示す、充填物ディクソン(日本国、東京特殊金網社製、サイズ6mm)を充填し冷却用ジャケットを備えた内径53.5mm,有効長さ2680mm(充填長さ約2000mm)の塔型反応器240を用いた。塔型反応器240の下部にはガス状の二酸化炭素(日本国、昭和炭酸社製、純度99.99%、水分40ppm以下)を約764g/hrで供給ライン13および移送ライン9を経て供給し、塔内圧力が0.05MPa−Gになるように調節した。塔型反応器240において反応温度が40℃になるように調節し、二酸化炭素結合体を製造した。得られた二酸化炭素結合体は液体であり、移送ライン10を経てラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、供給した二酸化炭素とアルキルスズアルコキシドが二酸化炭素結合体を含む混合物に転化した。該混合物は移送ライン10を経て流量が約5894g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブに供給ライン14を介し二酸化炭素を約210g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約5時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー166及び移送ライン25を経て該二酸化炭素を槽型反応器164に移送した。槽型反応器164に移送ライン26から水酸化ナトリウム水溶液(日本国、和光純薬社製、濃度8mol/L)を約3L/hrで供給し、該水溶液に二酸化炭素を常圧でバブリングし、二酸化炭素を吸収させた。二酸化炭素を吸収した水溶液を、移送ライン27を経て槽型反応器165に移送され、移送ライン28から約3.5L/hrで供給した硫酸水溶液(日本国、和光純薬社製、濃度47%)と反応させ、反応した水溶液を回収ライン29から回収し、脱離した二酸化炭素を移送ライン30とコンプレッサー163と移送ライン9を経て、二酸化炭素結合体製造装置140にリサイクルした。同時に供給ライン13から供給した二酸化炭素を徐々減らし、定常状態では供給ライン13からの二酸化炭素供給を止め、移送ライン17から未利用の二酸化炭素を約764g/hrで移送した。得られた二酸化炭素結合体を含む混合物は実施例18と同じく液体であり、該混合物は移送ライン10において温度40℃,圧力0.05MPa−Gで、移送ラインの閉塞などといった問題が生じることなく移送することができた。さらに、ベントライン12にはガスの流れが見られず、リサイクルした未利用の二酸化炭素が二酸化炭素結合体を含む混合物として回収した。該混合物をサンプリングし、元素分析したところ、該混合物を形成するスズ原子と二酸化炭素とOR基のモル数の比率(Z:(CO2):(OR))は、x=1.32及びy=1.71となっていた。薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5330g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172および移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze
CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181およびコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/hrで得た。二酸化炭素のリサイクルが開始してから、炭酸ビス(3−メチルブチル)の収量が徐々に減少したが、約850g/hrで定常状態になった。
[比較例7]
実施例18の工程Aと同じ方法によって1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、次の工程において炭酸エステルを製造した。
図11に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。該装置では二酸化炭素結合体製造装置を設けず、未利用の二酸化炭素はアルカリ水溶液との反応によって回収した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に移送ライン4から1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを4388g/hrで、移送ライン2から蒸留塔110で精製した3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)を14952g/hrで、塔型反応器120に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーター及びリボイラー121によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール14000g/hr及び供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)825g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111及びコンデンサー112を備えた蒸留塔110に移送し、蒸留精製を行った。蒸留塔110の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー112によって凝縮され回収ライン3から回収された。蒸留塔110の下部にある移送ライン2を経て精製された3−メチル−1−ブタノールを移送した。塔型反応器120の下部からジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置130(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置130において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー132,移送ライン8及び移送ライン4を経て塔型反応器120に戻した。薄膜蒸発装置130の下部からアルキルスズアルコキシド組成物を得て、該組成物にはジブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズ約74wt%及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサン約25wt%が含まれた。該組成物を冷却器131によって約80℃まで冷却させ、移送ライン7および昇圧ポンプ141を経て流量が約5130g/hrで攪拌装置を備えたオートクレーブ150に供給した。オートクレーブに供給ライン13,移送ライン9及び移送ライン14を介し二酸化炭素を約974g/Hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約5時間に調製し、未利用の二酸化炭素を含む炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液を得た。該反応液を移送ライン15と調節バルブを介して、温度約120℃、圧力約13kPaとした薄膜蒸発装置160(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、未利用の二酸化炭素をガス状として分離し、冷却器162,移送ライン17,コンプレッサー166及び移送ライン25を経て該二酸化炭素を槽型反応器164に移送した。槽型反応器164に移送ライン26から水酸化ナトリウム水溶液(日本国、和光純薬社製、濃度8mol/L)を約3L/hrで供給し、該水溶液に二酸化炭素を常圧でバブリングし、二酸化炭素を吸収させた。二酸化炭素を吸収した水溶液を、移送ライン27を経て槽型反応器165に移送され、移送ライン28から約3.5L/hrで供給した硫酸水溶液(日本国、和光純薬社製、濃度47%)と反応させ、反応した水溶液を回収ライン29から回収し、脱離した二酸化炭素を移送ライン30とコンプレッサー163と移送ライン9と移送ライン14を経て、オートクレーブ150にリサイクルした。同時に供給ライン13の二酸化炭素供給量を徐々に減らし、定常状態では移送ライン17において未利用の二酸化炭素が約763g/hr、供給ライン13において二酸化炭素供給量が約210g/hrとなった。
薄膜蒸発装置160で分離された炭酸ビス(3−メチルブチル)含有反応液は移送ライン16を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置170(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に流量が約5330g/hrになるように調節し移送して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得た。該留分はコンデンサー172及び移送ライン19を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー181およびコンデンサー182を備えた蒸留塔180に約950g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン20から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/hrで得た。二酸化炭素のリサイクルが開始してから、炭酸ビス(3−メチルブチル)の収量が徐々に減少したが、約560g/hrで定常状態になった。実施例35と比較して炭酸エステルの減少が見られた。
[比較例8]
ヘキサメチレンジアミン(日本国、東京化成社製、純度99%)約60gを空気中において透明な瓶に移し常温(約23℃)で静置した。静置した直後には該ヘキサメチレンジアミンは無色透明であったが、約1年後には黄色に変化した。
[実施例36]
実施例2と同様に得た二酸化炭素結合体を約120℃に加熱し、二酸化炭素(水分約10ppm)を脱離させた。該二酸化炭素約800gを、ヘキサメチレンジアミン(日本国、東京化成社製、純度99%)約60gを常温において反応させた。生成したカルバミン酸ヘキサメチレンジアミンは白色固体であり、該固体を比較例9と同様に常温で空気中において透明な瓶に移し常温(約23℃)で約1年間静置した。その後、該固体の色の変化はなく、該固体を300mLのなすフラスコに入れ、窒素置換をおこない、常圧において150℃に加熱し、二酸化炭素を脱離させた。ガスが生成しなくなるまで加熱を続けた後、無色透明な液体が得られた。該液体を常温まで冷却し、分析したところ、該液体はヘキサメチレンジアミンであり、純度は99%であった。
[比較例9]
比較例7から得た二酸化炭素(水分約6000ppm)をヘキサメチレンジアミン(日本国、東京化成社製、純度99%)約60gと常温において反応させた。生成したカルバミン酸ヘキサメチレンジアミンは白色固体であり、該固体を比較例9と同様に常温で空気中において透明な瓶に移し常温(約23℃)で約1年間静置した。その後、該固体の色の変化はなく、該固体を300mLのなすフラスコに入れ、窒素置換をおこない、常圧において150℃に加熱し、二酸化炭素を脱離させた。ガスが生成しなくなるまで加熱を続けた後、茶色の液体が得られた。該液体を常温まで冷却し、分析したところ、該液体はヘキサメチレンジアミンであり、純度は約97%であった。
本発明の混合物を使用することによって、二酸化炭素を液状混合物として移送でき、さらに該混合物から得られる二酸化炭素は本質的に水を含有しない。また、本発明の混合物は、二酸化炭素ガスと、アルキルスズアルコキシド組成物とを反応させることによって、容易に得ることができるため、二酸化炭素の効率のよい回収利用混合物として使用でき、産業上に大いに有用である。
本発明の混合物を用いた炭酸エステルの製造フロー図を示す。 未利用の二酸化炭素ガスを回収して本発明の混合物を得て、炭酸エステルを製造するフロー図を示す。 未利用の二酸化炭素ガスを回収して本発明の混合物を得て、炭酸エステルを製造するフロー図を示す。 図4は、アルキルスズアルコキシド組成物及び二酸化炭素結合体を含む混合物を製造する装置の概略図を示す。 図5は、アルキルスズアルコキシド組成物及び二酸化炭素結合体を含む混合物を製造する装置の概略図を示す。 図6は、二酸化炭素結合体を含む混合物の製造工程を含む炭酸エステルの製造装置の概略図を示す。 図7は、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造する装置の概略図を示す。 図8は、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造する装置の概略図を示す。 図9は、二酸化炭素結合体を含む混合物を製造する装置の概略図を示す。 図10は、二酸化炭素結合体を含む混合物の製造工程を含む炭酸エステルの製造装置の概略図を示す。 図11は、二酸化炭素結の回収工程を含む炭酸エステルの製造装置の概略図を示す。 二酸化炭素結合体を含む混合物の119Sn−NMRスペクトルを示す。 二酸化炭素結合体を含む混合物の13C−NMRスペクトルを示す。 二酸化炭素結合体を含む混合物のH−NMRスペクトルを示す。 二酸化炭素結合体を含む混合物の119Sn−NMRスペクトルを示す。 なお、各図で使用した参照番号の説明は、以下のとおりである:110,180: 蒸留塔、120,240,340,440: 塔型反応器、130,160,170: 薄膜蒸発装置、140: 二酸化炭素結合体製造装置、150,540: オートクレーブ、111,121,181: リボイラー、112,132,172,182: コンデンサー、131,162,341,442: 冷却器、141: 昇圧ポンプ、163,166: コンプレッサー、220,164,165: 槽型反応器、1,13,14,22,26,28: 供給ライン、2,4,5,6,7,8,9,10,11,15,16,17,18,19,23,24,25,27,30: 移送ライン、3,20,29: 回収ライン、12,21: ベントライン

Claims (22)

  1. アルキルスズアルコキシド及びアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含むアルキルスズアルコキシド組成物と、
    二酸化炭素と、を含む、二酸化炭素の移送用混合物であって、
    前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び前記混合物中に含まれている二酸化炭素は、移送すべきガス状の二酸化炭素を吸収させ、化学反応させることにより、液状又は液状とできる混合物として固定化されたものであり、
    前記混合物中に含有される、前記アルキルスズアルコキシド及び前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を構成するスズ原子モル数をZとし、
    前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び前記混合物中に含まれている二酸化炭素を(CO2)とし、
    前記混合物中に含有されるOR基を(OR)とし、ここで、前記OR基のOは、酸素原子を表し、Rは、脂肪族基又はアラルキル基であって、
    i)スズ−OR結合を形成するOR基のR、及び/又は
    ii)アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体中の−O−(CO)−OR結合を形成するOR基のR、を表わし、
    前記スズ原子と前記(CO 2 )と前記(OR)とのモル比をZ:x:yとすると、Zに対するxの比が0.1〜2であり、Zに対するyの比が0.5〜2の範囲である、二酸化炭素の移送用混合物。
  2. 前記R基が、脂肪族基である、請求項1記載の混合物。
  3. 前記R基が、炭素数1〜6のアルキル基である、請求項1又は2に記載の混合物。
  4. 前記R基が、炭素数4〜6のアルキル基である、請求項1〜のうち何れか一項に記載の混合物。
  5. 前記化学反応させる圧力が、常圧から1MPaの範囲である、請求項に記載の混合物。
  6. 前記化学反応させる温度が、−40℃から80℃の範囲である、請求項に記載の混合物。
  7. 液体状態にある前記アルキルスズアルコキシド組成物に、ガス状の二酸化炭素を吸収させる、請求項に記載の混合物。
  8. 前記混合物を移送する温度が、−40℃から80℃の範囲である、請求項1〜のうち何れか一項に記載の混合物。
  9. 前記アルキルスズアルコキシド組成物が、テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサン及び/又はジアルキルスズジアルコキシドを含有する、請求項1〜のうち何れか一項に記載の混合物。
  10. 該アルキルスズアルコキシド組成物中に含有されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンとジアルキルスズジアルコキシドのモル比率が、0:100〜80:20の範囲である、請求項に記載の混合物。
  11. 前記混合物が、炭酸エステルをさらに含み、前記炭酸エステルの含有量が、前記アルキルスズアルコキシド組成物中のテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンのモル数に対して、20モル%未満である、請求項9又は10に記載の混合物。
  12. 前記テトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンが、下記一般式(1)で表されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンである、請求項9〜11のうち何れか一項に記載の混合物。
    Figure 0004284381
    (式中、R1、R2、R4、R5は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、R3、R6は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、a及びbは0から2の整数であり、a+bは2であり、c及びdは0から2の整数であり、c+dは2である。)
  13. 前記ジアルキルスズジアルコキシドが、下記一般式(2)で表されるジアルキルスズジアルコキシドである、請求項9〜11のうち何れか一項に記載の混合物。
    Figure 0004284381
    (式中、R7、R8は、各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、R9、R10は、
    各々独立して、脂肪族基又はアラルキル基であり、e及びfは0から2の整数であり、e+fは2であり、g及びhは0から2の整数であり、g+hは2である。)
  14. 前記アルキルスズアルコキシド組成物が、少なくとも1種類のジアルキルスズアルコキシドの単量体、会合体、ポリマー状成分を含むアルキルスズアルコキシド組成物である、請求項1〜13のうち何れか一項に記載の混合物。
  15. 下記工程を含む炭酸エステルの製造方法。
    工程1:アルキルスズアルコキシドと、ガス状の二酸化炭素とアルキルスズアルコキシドとを反応させて得られるアルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を含むアルキルスズアルコキシド組成物と、二酸化炭素とを含む混合物であって、前記混合物中に含有される、前記アルキルスズアルコキシド及び前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体を構成するスズ原子モル数をZとし、前記アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体として取り込まれている二酸化炭素、及び前記混合物中に含まれている二酸化炭素を(CO2)とし、
    前記混合物中に含有されるOR基を(OR)とし、ここで、前記OR基のOは、酸素原子を表し、Rは、脂肪族基又はアラルキル基であって、
    i)スズ−OR結合を形成するOR基のR、及び/又は
    ii)アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素結合体中の−O−(CO)−OR結合を形成するOR基のR、を表わし、
    前記スズ原子と前記(CO 2 )と前記(OR)とのモル比をZ:x:yとすると、Zに対するxの比が0.1〜2であり、Zに対するyの比が0.5〜2の範囲である混合物を得る工程と、
    工程2:液体状態にある前記混合物を炭酸エステル合成工程へ移送する工程と、
    工程3:二酸化炭素存在下、前記混合物から炭酸エステルを含む反応液を得る工程と、
    工程4:前記反応液から、二酸化炭素をガス状成分として分離する工程。
  16. 工程4の後に、
    工程5:前記分離したガス状の二酸化炭素を工程1にリサイクルする工程を、
    さらに含む、請求項15に記載の炭酸エステルの製造方法。
  17. 工程5の後に、
    工程6:工程4で二酸化炭素を分離した反応液から炭酸エステルを分離し、残留液を得る工程と、
    工程7:前記残留液とアルコールとを反応させて、アルキルスズアルコキシド組成物を得る工程と、
    工程8:前記アルキルスズアルコキシド組成物を工程1へリサイクルする工程と、
    をさらに含む、請求項16に記載の炭酸エステルの製造方法。
  18. 前記アルコールが、下記式(3)で表されるアルコールである、
    Figure 0004284381
    (式中、R11は、工程1の混合物中のOR基(OR)のRと同定義である。)
    請求項17に記載の炭酸エステルの製造方法。
  19. 請求項1に記載の混合物を加熱及び/又は減圧して、二酸化炭素を脱離させて、前記脱離させた二酸化炭素を利用する工程を含む、二酸化炭素の回収利用方法。
  20. 請求項1に記載の混合物が、反応器中で、ガス状の二酸化炭素を連続的に供給して、化学反応して得られる混合物であって、前記混合物を液相成分として得、同時に前記反応器の気相部を連続的に抜き出して、前記連続的に供給したガス状の二酸化炭素よりも含水量の低い乾燥したガス状の二酸化炭素を得る、乾燥したガス状の二酸化炭素の製造方法。
  21. 液体状態である請求項1に記載の前記混合物を移送することを含む、二酸化炭素の移送方法。
  22. 前記混合物を移送する温度が、−40℃から80℃の範囲である、請求項21に記載の移送方法。
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