JP4283492B2 - 放電管用電極及びその製造方法並びにこれを用いた放電管 - Google Patents

放電管用電極及びその製造方法並びにこれを用いた放電管 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電管用電極及びこれを用いた放電管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
照明用、計測機器用の光源として、放電管が広く用いられている。放電管は、陰極と陽極とを対向させて放電ガス雰囲気中に封入し、陰極と陽極との間でアーク放電を行わせることによって光を発する光源である。かかる放電管には、例えば実公平4−3388号公報に開示されているような電極が設けられている。すなわち、高融点金属棒の先端に、多孔質高融点金属に易電子放射物質を含浸させたキャップ形状の含浸型電極をかぶせた電極である。上記電極の如く、多孔質高融点金属に易電子放射物質を含浸させた電極を用いることで、容易に電子放射が得られるとともに、電極先端の損傷も少なくなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記放電管、特に上記放電管に用いられる上記電極には、以下に示すような問題点があった。すなわち上記電極は、電極の基体部として棒状部材、すなわち高融点金属棒を用いているため、電極の本体部である含浸型電極と高融点金属棒との接触面積が小さく、含浸型電極と高融点金属との間の熱伝達効率が著しく低い。従って、含浸型電極で発生した熱を効率良く放散することができない。
【0004】
かかる問題点を解決すべく、電極の基体部に凸部が形成された端面を設けて当該凸部を電極の本体部の挿入穴に挿入し、電極の基体部と本体部との接触面積を大きくすることにより放熱効率を高める電極が考えられる。
【0005】
しかし上記電極においても、電極の基体部と本体部との間にはわずかな間隙が生じ、放熱効率が十分ではない。また、かかる間隙が生じている場合は、この間隙に残留した易電子放射物質が放電管使用時の温度上昇に伴って蒸発し、放電管の壁面に付着する。その結果、放電管の出力光量が低下し、放電管の寿命が短くなる。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決し、放熱効率が高く、寿命の長い放電管及びこれに用いる放電管用電極を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の放電管用電極は、陰極と陽極とを対向させて放電ガス雰囲気中に封入し、前記陰極と前記陽極との間でアーク放電を行わせる放電管に用いられる放電管用電極において、高融点金属によって形成され、凸部が形成された端面を有する基体部と、高融点金属に易電子放射物質を含有させて形成され、一端に尖頭を有するとともに、他端に前記基体部の前記凸部を挿入する挿入穴が形成された端面を有する本体部とを備え、前記基体部に形成された前記凸部が、前記本体部に形成された挿入孔に挿入され、前記基体部の前記端面と前記本体部の前記端面とが対向しており、対向している前記基体部の前記端面と前記本体部の前記端面との間隙をろう材で塞ぎ、前記間隙と外部とを隔絶したことを特徴としている。
【0008】
基体部の凸部を本体部の挿入穴に挿入することで、凸部が形成された基体部の端面と、挿入穴が形成された本体部の端面とが対向する。ここで、基体部の上記端面と本体部の上記端面との間隙をろう材で塞ぐことで、本体部と基体部との間の熱伝達効率が向上する。また、基体部の上記端面と本体部の上記端面との間隙をろう材で塞ぐことで、易電子放射物質が外部から当該間隙に進入することが防止されるとともに、本体部から当該間隙に易電子放射物質がしみ出たとしても、かかる易電子放射物質が当該間隙から外部に出ることが防止される。
【0009】
本発明の放電管用電極においては、ろう材は、上記間隙に充填されていることを特徴としてもよい。
【0010】
ろう材が間隙に充填されていることで、当該ろう材を介して本体部と基体部との間の熱伝達効率がさらに向上する。
【0011】
また、本発明の放電管用電極においては、本体部は、多孔質の高融点金属に易電子放射物質を含浸させた含浸型金属からなることを特徴としてもよい。
【0012】
本体部を、多孔質の高融点金属に易電子放射物質を含浸させた含浸型金属とすることで、易電子放射物質が本体部に均一に含有されることになり、出力光の均一性が増す。また、含浸によって易電子放射物質を本体部に含有させる場合は、通常、基体部の凸部を本体部の挿入穴に挿入したあとで易電子放射物質を含浸させることになるが、基体部の上記端面と本体部の上記端面との間隙をろう材で塞いでいるため、易電子放射物質の含浸時においても、当該易電子放射物質が上記間隙に進入することが防止される。
【0013】
また、本発明の放電管用電極においては、ろう材は、本体部及び基体部のいずれの融点よりも低く、かつ、本体部に易電子放射物質を含浸させる含浸温度よりも高い融点を有する材料からなることを特徴としてもよい。
【0014】
本体部及び基体部のいずれの融点よりも低い融点を有するろう材を用いることで、ろう材を加熱して融解させ、上記間隙を塞ぐ際においても、本体部及び基体部の形状は確保される。また、含浸温度よりも高い融点を有するろう材を用いることで、含浸時にろう材が蒸散したり、変形したりすることが無くなる。
【0015】
本発明の放電管用電極においては、ろう材は、モリブデン−ルテニウムろう材であることを特徴としてもよい。
【0016】
また、本発明の放電管用電極においては、易電子放射物質は、アルカリ土類金属の単体若しくは酸化物を含んで形成されることを特徴としてもよい。
【0017】
易電子放射物質として、アルカリ土類金属の単体若しくは酸化物を用いることで、本体部の仕事関数を効果的に小さくすることが可能となる。
【0018】
また、本発明の放電管用電極においては、本体部の尖頭の先端を露出させるとともに、本体部の表面を被覆する高融点金属からなる被膜をさらに備えたことを特徴としてもよい。
【0019】
かかる被膜を備えることで、本体部の側面からしみ出した易電子放射性物質の外部への蒸散をより効果的に防止できる。
【0020】
また、上記いずれかの放電管用電極を製造するにあたり、基体部の凸部を本体部の挿入穴に挿入し、基体部の端面と本体部の端面との双方に接するようにろう材を配置し、ろう材を加熱して基体部の端面と本体部の端面との間隙にろう材を充填した後、本体部に易電子放射物質を含浸させることができる。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の放電管は、陰極と陽極とを対向させて放電ガス雰囲気中に封入し、陰極と陽極との間でアーク放電を行わせる放電管であって、陰極と陽極との少なくとも一方は、上記いずれかの放電管用電極であることを特徴としている。
【0022】
上記いずれかの電極を用いることで、基体部の上記端面と本体部の上記端面との間隙に、外部から易電子放射物質が進入することが防止されるとともに、本体部から当該間隙に易電子放射物質がしみ出たとしても、かかる易電子放射物質が当該間隙から外部に出ることが防止される。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る放電管について、図面を参照して説明する。なお、本発明の実施形態にかかる放電管用電極は、本実施形態にかかる放電管に含まれる。
【0024】
まず、本実施形態に係る放電管の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る放電管の断面図である。本実施形態にかかる放電管10は、ガラスバルブ12、陰極14及び陽極16を備えて構成される。
【0025】
ガラスバルブ12は石英から形成され、略棒状の形状を有している。ガラスバルブ12の中間部には、中空のガス封入部12aが形成され、この内部にキセノンなどの放電ガスが封入されている。ガス封入部12aの内部には、陰極14と陽極16とが互いに対向して配置されている。陰極14と陽極16はそれぞれ、ガラスバルブ12の両端部に設けられた外部端子18,20に電気的に接続されている。かかる外部端子18,20を介して陰極14と陽極16との間に電圧を印加することで、陰極14と陽極16との間にアーク放電が発生し、光が発せられる。
【0026】
図2は、一方の電極である陰極14の断面図である。陰極14は、陰極先端部22(本体部)とリード棒24(基体部)とを備えて構成される。リード棒24は、モリブデン(高融点金属)によって形成されており、円柱状に延びる形状を有している。ここで、リード棒24の一方の端面24aには、円柱状の凸部24bが形成されている。
【0027】
陰極先端部22は、多孔質のタングステン(高融点金属)にバリウム(易電子放射物質)を含浸させて形成される。アルカリ土類金属であるバリウムを含浸させることで、陰極先端部22の仕事関数を小さくすることができ、電子の放出が容易となる。また、陰極先端部22は、陽極16に対向する一方の端部側に設けられた円錐状の尖頭22aと、他方の端部側に設けられた円柱状の基部22bとからなる砲弾形状を有している。ここで特に、基部22bの端面22cには、リード棒24の凸部24bを挿入する円柱状の挿入穴22dが形成されている。
【0028】
リード棒24の凸部24aは、陰極先端部22の挿入穴22dに挿入されており、リード棒24の端面24aと陰極先端部22の端面22cとは対向している。ここで特に、リード棒24の端面24aは、陰極先端部22の端面22cよりも大きくなっている。また、リード棒24の凸部24bの外径と陰極先端部22の挿入穴22dの内径とは略同一となっており、リード棒24の凸部24bを陰極先端部22の挿入穴22dに圧入することによって、リード棒24と陰極先端部22とが結合される。
【0029】
リード棒24の端面24aと陰極先端部22の端面22cとの間隙は、モリブデン−ルテニウムろう材26によって塞がれており、当該間隙と外部とを隔絶する。より詳細には、当該間隙にモリブデン−ルテニウムろう材26が充填されており、さらにモリブデン−ルテニウムろう材26は、リード棒24の端面24aのうち陰極先端部22の端面22cに対面しない部分、及び、陰極先端部22の側面にまで延びるように設けられている。ここで特に、モリブデン−ルテニウムろう材26の融点は1950℃であり、陰極先端部22の材料であるタングステンの融点(3410℃)、及び、リード棒24の材料であるモリブデンの融点(2620℃)のいずれよりも低く、また、陰極先端部22にバリウムを含浸させる含浸温度(約1500℃)よりも高くなっている。
【0030】
陽極16は、タングステンによって形成されており、図1に示すように、陰極14に対向する一方の端部側に設けられた円錐台状の先端部を円柱状の基部に接続させた形状を有している。
【0031】
続いて、本実施形態にかかる放電管の1つの特徴部分である陰極14の製造方法について説明する。図3は、陰極14の製造工程図である。陰極14を製造するにはまず、図3(a)に示すように、リード棒24の端面24aに形成された凸部24bを、陰極先端部22の端面22cに形成された挿入穴22dに圧入・固定する。
【0032】
その後、図3(b)に示すように、筒状に成形されたモリブデン−ルテニウムろう材26を、陰極先端部22の基部22bの外周とリード棒24の端面24aとの双方に接するように配置する。
【0033】
さらにその後、モリブデン−ルテニウムろう材26を加熱すると、図3(c)に示すように、リード棒24の端面24aと陰極先端部22の端面22cとの間隙にモリブデン−ルテニウムろう材26が充填される。ここで、モリブデン−ルテニウムろう材26の量を適宜調節することで、モリブデン−ルテニウムろう材26を、リード棒24の端面24aのうち陰極先端部22の端面22cに対面しない部分、及び、陰極先端部22の側面にまで延びるように設けることができる。また、陰極先端部22及びリード棒24を構成する材料の融点がモリブデン−ルテニウムろう材26の融点よりも高いことから、モリブデン−ルテニウムろう材26を加熱して融解させる際の陰極先端部22及びリード棒24の熱変形が防止される。
【0034】
その後、図3(d)に示すように、約1500℃の雰囲気下で、陰極先端部22にバリウム28を含浸させる。ここで、モリブデン−ルテニウムろう材26の融点が含浸温度よりも高いことから、バリウム28の含浸時にモリブデン−ルテニウムろう材26が蒸散したり、変形したりすることが防止される。また、易電子放射物質であるバリウム28を含浸によって陰極先端部22に含有させることで、バリウム28が陰極先端部22に均一に含有されることになり、出力光の均一性が増す。
【0035】
続いて、本実施形態にかかる放電管の作用及び効果について説明する。本実施形態にかかる放電管10は、陰極14において、リード棒24の端面24aと陰極先端部22の端面22cとの間隙をモリブデン−ルテニウムろう材26によって塞いでおり、特に当該間隙にモリブデン−ルテニウムろう材26を充填することによって当該間隙を塞いでいる。従って、バリウム等の易電子放射物質が外部から当該間隙に進入することが防止される。よって、放電管10の使用時に、周囲温度が上昇しても、易電子放射物質が蒸発して放電管10の壁面に付着することはない。その結果、放電管10の出力光量を長期間良好に維持することが可能となり、放電管10の寿命を長くすることが可能となる。
【0036】
本実施形態にかかる放電管10はさらに、モリブデン−ルテニウムろう材26を、リード棒24の端面24aのうち陰極先端部22の端面22cに対面しない部分、及び、陰極先端部22の側面にまで延びるように設けている。従って、陰極先端部22の基部22bの側面から易電子放射物質がしみ出たとしても、かかる易電子放射物質が外部に出ることが防止される。その結果、放電管の寿命をさらに長くすることが可能となる。
【0037】
図4は、本実施形態にかかる放電管10(図4中のA)と比較対象にかかる放電管(図4中のB)とについて、その出力の経時的変化を示すグラフである。ここで、比較対象にかかる放電管とは、リード棒の端面と陰極先端部の端面との間隙にモリブデン−ルテニウムろう材が充填されていない陰極を有する放電管を言う。図4から明らかなように、比較対象にかかる放電管は、1000時間動作させると光出力が初期の70%程度まで低下するのに対し、本実施形態にかかる放電管10は、1000時間動作させても初期の80%以上の光出力を維持することができる。
【0038】
さらに、本実施形態にかかる放電管10は、リード棒24の端面24aと陰極先端部22の端面22cとの間隙をモリブデン−ルテニウムろう材26によって塞いでおり、特に当該間隙にモリブデン−ルテニウムろう材26を充填していることで、モリブデン−ルテニウムろう材26を介して陰極先端部22とリード棒24との熱伝達効率が向上する。その結果、陰極先端部22で発生した熱を効果的にリード棒24に逃がすことが可能となり、放電管10の温度上昇を効果的に防止することが可能となる。また、本実施形態にかかる放電管10は特に、リード棒24の端面24aを陰極先端部22の端面22cよりも大きくすることで、陰極先端部22の放熱効率を向上させている。
【0039】
また、本実施形態にかかる放電管10においては、陰極先端部22に易電子放射物質を含浸させる前にリード棒24の端面24aと陰極先端部22の端面22cとの間隙をモリブデン−ルテニウムろう材26によって塞ぐことで、かかる間隙に易電子放射物質が侵入することが防止される。その結果、易電子放射物質の使用量を減らすことが可能となる。
【0040】
また、本実施形態にかかる放電管10は、リード棒24の端面24aと陰極先端部22の端面22cとの間隙にモリブデン−ルテニウムろう材26を充填することで、ロッド間での放熱効率のばらつきの発生を防止し、均一な性能の放電管を製造することが可能となる。
【0041】
上記実施形態にかかる放電管10の陰極は、図5に示すような陰極30であっても良い。すなわち、上記実施形態にかかる陰極14のリード棒24が円柱形状を有していたのに対し、当該陰極30に用いるリード棒32は、陰極先端部22の端面22cに対向して、これより大きい端面32aを有するとともに、後端部は径が小さい棒状になっている。リード棒32をこのような形状としても、陰極先端部22とリード棒32との熱伝達効率を向上させることができ、放電管10の温度上昇を効果的に防止することが可能となる。
【0042】
上記実施形態にかかる放電管10の陰極は、図6に示すような陰極34であっても良い。すなわち陰極34は、上記陰極14と比較して、陰極先端部22の尖頭22aの先端を露出させるとともに、陰極先端部22の表面を被覆するイリジウム(高融点金属)からなる金属被膜36をさらに備えている。金属被膜36は、CVD法、スパッタ法などで陰極先端部22の表面にイリジウムを2000Å程度堆積させた後、陰極先端部22の尖頭22aの先端に位置する金属被膜36をサンドペーパによる研磨処理、レーザ光によるアブレーション処理等によって除去することで容易に得られる。金属被膜36を備えることで、陰極先端部22の側面からしみ出した易電子放射物質の蒸散をさらに効果的に防止することが可能となる。また、リード棒24に接する程度の広範囲を被覆するように金属被膜36を設けることで、陰極先端部22からリード棒24への熱伝達効率が向上し、放電管10の温度上昇を効果的に防止することができる。
【0043】
上記実施形態にかかる放電管10においては、陰極先端部22はタングステン、リード棒24はモリブデンによって形成されていたが、その他にレニウム、タンタル等を用いても良い。また、陰極先端部22を形成する材料とリード棒24を形成する材料とは同じものであっても異なるものであっても良い。
【0044】
また、上記実施形態にかかる放電管10においては、易電子放射物質としてバリウムを用いていたが、その他にもカルシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属の単体若しくはこれらの酸化物を用いても良い。また、2種以上の上記単体あるいは酸化物を混合させたものを易電子放射物質として用いてもよい。
【0045】
また、上記実施形態にかかる放電管10においては、易電子放射物質を含浸によって含有させた含浸型の陰極先端部22を用いていたが、これは、タングステン等の高融点金属の粉末とバリウム等の易電子放射物質の粉末とを同時に焼結させた焼結型の陰極先端部を用いてもよい。
【0046】
また、上記実施形態にかかる放電管10においては、リード棒24の端面24aと陰極先端部22の端面22cとの間隙にモリブデン−ルテニウムろう材26を充填していたが、これは、リード棒24の端面24aと陰極先端部22の端面22cとの間隙を塞いで外部と隔絶すれば良く、必ずしも隙間無く充填されていなくてもよい。
【0047】
【発明の効果】
本発明の放電管用電極は、基体部の上記端面と本体部の上記端面とを対向させ、この間隙をろう材で塞ぐことで、本体部と基体部との間の熱伝達効率が向上する。その結果、放電管の放熱効率が高くなる。
【0048】
また、上記間隙をろう材で塞ぐことで、易電子放射物質が外部から当該間隙に進入することが防止されるとともに、本体部から当該間隙に易電子放射物質がしみ出したとしても、かかる易電子放射物質が当該間隙から外部に出ることが防止される。よって、放電管の使用時に、周囲温度が上昇しても、易電子放射物質が蒸発して放電管の壁面に付着することはない。その結果、放電管の出力光量を長期間良好に維持することが可能となり、放電管の寿命を長くすることが可能となる。
【0049】
また、本発明の放電管用電極においては、ろう材を上記間隙に充填することで、本体部と基体部との間の熱伝達効率をさらに向上させることができる。その結果、本体部で発生した熱を効果的に基体部に逃がすことが可能となり、放電管の温度上昇を効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放電管の断面図である。
【図2】電極の断面図である。
【図3】電極の製造工程図である。
【図4】放電管の出力の経時的変化を示すグラフである。
【図5】電極の断面図である。
【図6】電極の断面図である。
【符号の説明】
10…放電管、12…ガラスバルブ、14,30,34…陰極、16…陽極、18,20…外部端子、22…陰極先端部、24,32…リード棒、26…モリブデン−ルテニウムろう材、28…バリウム、36…金属被膜

Claims (9)

  1. 陰極と陽極とを対向させて放電ガス雰囲気中に封入し、前記陰極と前記陽極との間でアーク放電を行わせる放電管に用いられる放電管用電極において、
    高融点金属によって形成され、凸部が形成された端面を有する基体部と、
    高融点金属に易電子放射物質を含有させて形成され、一端に尖頭を有するとともに、他端に前記基体部の前記凸部を挿入する挿入穴が形成された端面を有する本体部と
    を備え、
    前記基体部に形成された前記凸部が、前記本体部に形成された挿入孔に挿入され、前記基体部の前記端面と前記本体部の前記端面とが対向しており、
    対向している前記基体部の前記端面と前記本体部の前記端面との間隙をろう材で塞ぎ、前記間隙と外部とを隔絶した
    ことを特徴とする放電管用電極。
  2. 前記ろう材は、前記間隙に充填されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の放電管用電極。
  3. 前記本体部は、多孔質の高融点金属に易電子放射物質を含浸させた含浸型金属からなる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放電管用電極。
  4. 前記ろう材は、前記本体部及び前記基体部のいずれの融点よりも低く、かつ、前記本体部に前記易電子放射物質を含浸させる含浸温度よりも高い融点を有する材料からなる
    ことを特徴とする請求項3に記載の放電管用電極。
  5. 前記ろう材は、モリブデン−ルテニウムろう材である
    ことを特徴とする請求項4に記載の放電管用電極。
  6. 前記易電子放射物質は、アルカリ土類金属の単体若しくは酸化物を含んで形成される
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の放電管用電極。
  7. 前記本体部の前記尖頭の先端を露出させるとともに、前記本体部の表面を被覆する高融点金属からなる被膜をさらに備えた
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の放電管用電極。
  8. 請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の放電管用電極を製造するにあたり、
    前記基体部の前記凸部を前記本体部の前記挿入穴に挿入し、
    前記基体部の前記端面と前記本体部の前記端面との双方に接するように前記ろう材を配置し、
    前記ろう材を加熱して前記基体部の前記端面と前記本体部の前記端面との間隙に前記ろう材を充填した後、
    前記本体部に易電子放射物質を含浸させる
    ことを特徴とする放電管用電極の製造方法。
  9. 陰極と陽極とを対向させて放電ガス雰囲気中に封入し、前記陰極と前記陽極との間でアーク放電を行わせる放電管において、
    前記陰極と前記陽極との少なくとも一方は、請求項1〜7のいずれか1項に記載された放電管用電極である
    ことを特徴とする放電管。
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