JP6436302B2 - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線を発光する高圧水銀ランプに関し、特に、アーク長が比較的短いショートアーク型放電ランプに関する。本発明は、特に、ショートアーク型放電ランプの電極に関する。
高圧水銀ランプのうち、アーク長が比較的短い構造のランプはショートアーク型放電ランプと称される。ショートアーク型放電ランプは、高輝度の光を放射することができるため広い分野で用いられる。特に、中心発光波長が365nmのi線ランプや436nmのg線ランプは、半導体、液晶、プリント基板等の製造工程における露光用光源として用いられる。
ショートアーク型放電ランプの電極は通常タングステン製である。しかしながら、従来、製造工程で用いられる露光用ランプでは、エミッション性能を向上させるために、トリエーテッドタングステン製の電極が用いられる。トリエーテッドタングステン(以下、トリタン)はタングステンにトリウムを添加したものである。トリタン製の電極では、トリウムがエミッタとなる。
トリウムは、エミッタとして優れた物質であるが、放射性物質であるため、環境負荷物質と見做され、近年、その使用について法規上の規制が設けられている。そこでトリウムの代替物質が探究されている。例えば、ランタン、イリジウム等が候補として挙げられている。しかしながら、トリウムに代わり得るエミッタ物質を見つけるのは困難である。そこで、現時点ではトリウムの使用量を軽減する要請がある。
特許文献1には、リード棒の凸部を陰極先端部の挿入穴に挿入することにより形成された放電管用陰極の例が記載されている。リード棒と陰極先端部の間隙にモリブデン−ルテニウムろうが充填されている。リード棒はモリブデンからなり、陰極先端部はバリウムを含浸した多孔質タングステンからなる。特許文献2には、先端部の凸部を胴体部の凹部に嵌合することにより形成された放電ランプ用電極の例が記載されている。先端部と胴体部の接合部にはSPS接合処理が施されている。先端部はトリエーテッドタングステンからなり、胴体部は純タングステンからなる。
特開2002−329477号公報(特許第4283492号) 特開2014−71941号公報
本発明の目的は、簡単な構成で先端部の動作温度の上昇を防止し、エミッタの早期枯渇を回避し、所望のエミッション性能を保持しつつ、トリウムの使用量を低減することが可能であり、更に、アーク不安定性及び先端部の飛散による黒化現象を抑制することができる陰極を備えたショートアーク型放電ランプを提供することにある。
環境負荷の低減の要請からトリウムの使用量を低減する必要があるが、陰極のトリウムの使用量を低減しすぎると、トリウムによるエミッション性能の利点が損なわれる。トリウムの使用による利点を享受すると同時に環境負荷を低減する必要がある。そこで、本願の発明者は、簡単な構成で先端部の動作温度の上昇を防止し、エミッタの早期枯渇を回避し、所望のエミッション性能を保持しつつ、トリウムの使用量を低減できる陰極を検討した。本願の発明者は、陰極を、トリエーテッドタングステン(トリタン)製の頭部とタングステン製の基体の2つの部材を含むように構成した。更に、本願の発明者は、アーク不安定性及び先端部の飛散による黒化現象を抑制することができる陰極の構成を検討した。
本発明によると、放電管と、前記放電管の内部にて互いに対向して配置した陰極及び陽極と、を有し、前記放電管の中心軸線が略垂直に設置されるように構成されたショートアーク型放電ランプにおいて、
前記陰極は、トリエーテッドタングステン(トリタン)製の頭部とタングステン製の基体の2つの部材を含み、前記基体は軸線方向に延びる凸部を有し、前記頭部は軸線方向に延びる凹部を有し、前記凸部を前記凹部に係合させることによって、前記頭部と前記基体が一体的に組み立てられて前記陰極が構成され、前記頭部と前記基体の間に環状のスペーサが配置されている。
本発明の実施の形態によると、前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記スペーサは、金属製シートを環状にくり抜いて形成された、としてよい。
本発明の実施の形態によると、前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記スペーサは、線状金属を平面に沿って巻いて形成された、としてよい。
本発明の実施の形態によると、前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記スペーサの厚さは、0.5〜2.0mmである、としてよい。
本発明の実施の形態によると、前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記スペーサは、塑性変形可能な軟性金属製である、としてよい。
本発明の実施の形態によると、前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記スペーサは、ニオブ又はタンタル製である、としてよい。
本発明によると、簡単な構成で先端部の動作温度の上昇を防止し、エミッタの早期枯渇を回避し、所望のエミッション性能を保持しつつ、トリウムの使用量を低減することが可能であり、更に、アーク不安定性及び先端部の飛散による黒化現象を抑制することができる陰極を備えたショートアーク型放電ランプを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプの概略構成を示すための簡略化した断面図である。 図2Aは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプのシール管部の拡大断面図である。 図2Bは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプのシール管部の電極マウントにおける電気的接続方法を説明する図である。 図3Aは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプの陰極の外観を説明する図である。 図3Bは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプの陰極の構造を説明する図である。 図4Aは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプの陰極に用いるスペーサの外観を説明する図である。 図4Bは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプの陰極に用いるスペーサの外観を説明する図である。 図5は、本願の発明者が行った実験の結果を示す図である。 図6は、本願の発明者が行った実験の結果を示す図である。 図7は、本願の発明者が行った実験の結果を示す図である。
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプを説明する。なお、全図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔、隙間等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等をしている。図の説明の際の上下・左右の表現は、その図を鉛直面内に置いた状態でのその図面の面に沿った方向を表すものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプ10の概略構造を示すための簡略化した断面図である。ショートアーク型放電ランプ10は、球状の発光部1Aとその両側の管状のシール管部1B、1Cからなる放電管1を有する。放電管1は石英ガラスによって形成される。放電管1の発光部1Aにはチップオフ1dが形成されている。ランプの製造時に、チップオフ1dの位置に取り付けられた排気管から放電管1内に、水銀、不活性ガスを単独またはそれらの混合ガスの形で封入する。
ショートアーク型放電ランプ10は、陽極2と陰極3を有する。陽極2は電極先端部2Aと電極芯棒2Bを含む。陰極3は電極先端部3Aと電極芯棒3Bを含む。発光部1Aの内部の空間1aには、電極先端部2A、3Aが対向して配置されている。本実施形態のショートアーク型放電ランプ10は、垂直点灯型であり、陽極2が下側に陰極3が上側となるように、ランプの中心軸線が略垂直となるように設置される。
シール管部1B、1Cには、それぞれ電極マウント9が装着されている。電極マウント9の外端からそれぞれリード線6が突出している。電極マウント9は、電極芯棒2B、3B及びリード線6を支持すると同時に放電管1の内部を密閉する機能を有する。電極マウント9は、このような機能を備えればどのような構造であってもよく、特に限定されるものではない。電極マウント9の例は、図2A及び図2Bを参照して説明する。電極芯棒2B、3Bには、放電管1の封入後もその中に残った不純物や点灯時に発生する不純物を除去するためにゲッター材11が装着されている。
シール管部1B、1Cの電極側端部には、電極マウント9の内端面9aを底面とする円形の凹部1b、1cがそれぞれ形成されている。このような凹部1b、1cを設けるのは、電極マウント9をシール管部1B、1Cに溶着するためにシール管部1B、1Cをバーナ等で加熱するときに、その熱が発光部1Aに伝わってその発光部1Aが変形することを防ぐためである。
本実施形態のショートアーク型放電ランプ10は、1〜10kW、好ましくは、1.5〜5.0kWのランプ電力を有し、中心発光波長が436nmの紫外線を出力するg線ランプ、又は、中心発光波長が365nmのi線ランプである。放電管1の発光部1Aの最大外径は、発光出力の大きさに応じて異なり、50〜150mmであり、例えば50〜70mmであってよい。発光部1Aの軸線方向の長さは70〜180mmであり、例えば70〜90mmであってよい。陽極2と陰極3の冷間時先端部間の距離は、1.0〜15.0mmであり、例えば3.0〜6.5mmであってよい。
本実施形態では、放電管1内には、3〜75mg/cm3の水銀、例えば、4〜40mg/cm3の水銀が封入されてよい。更に、放電管1内には、キセノン(Xe)、アルゴン(Ar)及びクリプトン(Kr)の中の少なくとも1つの希ガスが封入される。ただし、1つの希ガスに代えて、混合ガス、例えばKr及びArの混合ガスを用いてもよい。希ガスの封入圧は、封入されたガスの種類によっても異なるが、概略0.05〜0.6MPaであり、例えば0.08〜0.3MPaであってよい、ランプ点灯時には、放電管1内の圧力は1.0〜4.0MPa程度になる。
図2Aを参照してショートアーク型放電ランプ10の陰極側のシール管部1Bの構造の例を説明する。尚、陽極側のシール管部1Cの構造は、陰極側のシール管部1Bの構造と同様である。陰極3は、電極先端部3Aと電極芯棒3Bを含む。電極先端部3Aは、環状のスペーサ330を含むが、これについては後に詳細に説明する。シール管部1Bの内部には、電極マウント9が溶着されており、それによって放電管1の気密性が保たれている。シール管部1Bの外端には口金28が装着される。図示のように、電極マウント9の軸線方向の寸法はシール管部1Bの軸線方向の寸法より短い。
電極マウント9の構造として様々な構造が知られている。ここでは、その1例を説明する。本実施形態の電極マウント9は、第1のシール部材21、第2のシール部材22及び第3のシール部材23を有する。電極マウント9は、更に、第1のシール部材21と第2のシール部材22の間に介装された第1の集電円盤31と第2のシール部材22と第3のシール部材23の間に介装された第2の集電円盤32を有する。これらのシール部材21、22及び23は、石英ガラス製の円柱部材によって形成されている。集電円盤31、32は、電導性材料からなる円板状部材によって形成される。
第1のシール部材21及び第1の集電円盤31には貫通孔が形成されている。これらの貫通孔に、電極芯棒3Bが挿入されている。こうして、電極芯棒3Bは、第1の集電円盤31に電気的に接続され、且つ、第1のシール部材21に固定される。なお、第1の集電円盤31には貫通孔を形成しないで、電極芯棒3Bの端部を第1の集電円盤31に当接させることによって、電極芯棒3Bを、第1の集電円盤31に電気的に接続してもよい。
また、第3のシール部材23及び第2の集電円盤32には貫通孔が形成されている。これらの貫通孔に、リード線6が挿入されている。こうして、リード線6は、第2の集電円盤32に電気的に接続され、且つ、第2及び第3のシール部材22、23に固定される。なお、第2のシール部材22に孔を形成し、この孔にリード線6を挿入してもよい。
図2Bを参照して第1の集電円盤31と第2の集電円盤32とを電気的に接続する方法を説明する。図示のように、第1の集電円盤31の両端面に、円形のモリブデン製の緩衝箔26a、26bがそれぞれ配置されている。第2の集電円盤32の両端面に、円形のモリブデン製の緩衝箔26a、26bがそれぞれ配置されている。第1の集電円盤31と第2のシール部材22を全周覆うように、第1の緩衝箔24aが装着されている。第1の緩衝箔24aは、第1の集電円盤31と、それに隣接する緩衝箔26bと、それに隣接する第2のシール部材22の一部を全周覆うように配置されている。
第2の集電円盤32と第2のシール部材22、及び、第2の集電円盤32と第3のシール部材23を全周覆うように、第2の緩衝箔24bが装着されている。第2の緩衝箔24bは、第2の集電円盤32と、その両側の緩衝箔26a、26bと、それに隣接する第2のシール部材22及び第3のシール部材23の一部をそれぞれ全周覆うように配置されている。
また、第2のシール部材22の外周面には、軸線方向に沿って、複数の短冊状のモリブデン製のシール箔25(実線と破線のハッチングで示す)が、間隔を置いて配置されている。シール箔25によって、第1の集電円盤31と第2の集電円盤32とが電気的に接続される。その結果、電極芯棒3Bとリード線6とが電気的に接続される。一方、リード線6は口金28に接続される。従って、口金28及びリード線6を経由して外部の電源から陽極2に電力が供給される。
図3A及び図3Bを参照して、陰極3の構造を説明する。図3Aは陰極3の外観図であり、図3Bは陰極3の組立図である。図3Aに示すように、陰極3は、電極先端部3Aと電極芯棒3Bを含む。陰極3は、頭部310とスペーサ330と基体320の3つの部材を組み立てることによって形成される。頭部310はトリエーテッドタングステン(トリタン)によって形成される。トリタンは酸化トリウムを含有するタングスタンである。酸化トリウムの含有率は通常2wt%程度である。本実施形態では、エミッタとしてトリウムを用いる。頭部310は、酸化トリウム粉末とタングステン粉末の混合物を金型にてプレス成形し、それを焼結させることによって1次成形体を形成し、更に、この1次成形体を熱間加工することによって形成される。基体320は、純度99.9wt%以上のタングステンによって構成される。スペーサ330は、熱伝導率が高く、高融点且つ高温下でガス放出が少ない軟性金属によって形成される。このような金属として、例えば、ニオブNb、タンタルTa、金、銀、白金、ニッケル、ハフニウム、等が挙げられるが、ニオブNb、又は、タンタルTaが好ましい。スペーサ330は環状であるが、その形状の詳細は、後に、図4A及び図4Bを参照して説明する。
図3Bに示すように、頭部310は、円柱部311と円錐頂部312からなり、一体物として形成される。円錐頂部312の先端は完全に尖っている必要はなく、小さな円形の端面が形成されてよい。円柱部311の端面311Aに軸線方向に延びる円筒状の凹部313が形成されている。一方、基体320は、円柱状の棒状部321と円柱状の凸部323からなり、一体物として形成される。凸部323は棒状部321の円形端面321Aより軸線方向に突出しており、凸部323の外径は棒状部321の外径より小さい。従って、両者の間に段差が形成されている。棒状部321には括れ部325が形成されてよい。頭部310の円柱部311と基体320の外径は等しい。基体320の凸部323の端面の周縁にはテーパ323aが形成されてよい。一方、頭部310の凹部313の底面には円錐状のテーパ面313aが形成されてよい。
陰極3の組立方法を説明する。先ず、環状のスペーサ330に、基体320の凸部323を挿入する。次に、基体320の凸部323を頭部310の凹部313に挿入する。基体320の凸部323を更に頭部310の凹部313に押し込むと、スペーサ330は、頭部310の端面311Aと基体320の端面321Aの間に挟まれ押圧される。スペーサ330は、塑性変形し、厚さが僅かであるが小さくなる。それによって、スペーサ330の両端面は、頭部310の環状の端面311Aと基体320の環状の端面321Aに密着する。頭部310と基体320が一体化し、陰極3が形成される。
スペーサ330の機能及び作用を説明する。頭部310の凹部313は円筒状に形成され、基体320の凸部323は円柱状に形成されるが、実際には、両者の少なくとも一方は僅かなテーパを有する。例えば、頭部310の凹部313の内径は、底面から開口に向かって増大するように形成されてよい。基体320の凸部323の外径は、根元から先端に向かって縮小するように形成されてよい。基体320の凸部323の先端部の外径は、頭部310の凹部313の開口の内径より僅かに小さいが、頭部310の凹部313の底面の内径より僅かに大きいか又は略等しい。従って、陰極3を組み立てるとき、基体320の凸部323を頭部310の凹部313に圧入しなければならない。
スペーサ330を用いない場合には、基体320の凸部323を頭部310の凹部313に押し込んだ時、頭部310の環状の端面311Aと基体320の環状の端面321Aの間に隙間が不可避的に生じる。そのため、頭部310から基体320への熱伝導が阻害され頭部310が高温となる。尚、基体320の凸部323の先端と頭部310の凹部313の底面の間に間隙が生じ、両者は接触しない。
本実施形態によると、頭部310の環状の端面311Aと基体320の環状の端面321Aの間にスペーサ330が挿入されている。頭部310の環状の端面311Aと基体320の環状の端面321Aの間に隙間が形成されない。スペーサ330の両端面は、頭部310の環状の端面311Aと基体320の環状の端面321Aの両者に密着している。従って、頭部310から基体320への熱伝導が阻害されることはなく、頭部310が高温になることが回避される。
こうして本実施形態によると、陰極3の先端部の動作温度の上昇を防止することが可能となる。従って、エミッタの早期枯渇によるアーク不安定性及び陰極3の先端部の飛散による黒化現象を抑制することができる。エミッタの早期枯渇を回避し、所望のエミッション性能を保持しつつ、トリウムの使用量を低減することが可能であり、更に、アーク不安定性及び先端部の飛散による黒化現象を抑制することができる。
尚、ここでは図示しないが、実際には、基体320の凸部323と頭部310の凹部313の間に頭部310の抜けを防止するためにモリブデン箔が挿入される。モリブデン箔は、基体320の凸部323の円筒状側面と、頭部310の凹部313の円筒状の内面の間に挿入されてよい。
次に、頭部310と基体320の寸法について説明する。頭部310の軸線方向の寸法をL、円柱部311の軸線方向の寸法をL1、円錐頂部312の軸線方向の寸法をL2、とする。基体320の凸部323の軸線方向の寸法をL3、とする。頭部310の円柱部311、及び、基体320の外径を共にD1、基体320の凸部323の外径をD2、とする。
陰極全体の体積に対する頭部310の体積の比を考察する。頭部310の体積をVA、基体320の体積をVBとする。陰極全体の体積に対する頭部310の体積VAの比をkとする。頭部の体積比kは次の式によって表される。
k=VA/(VB+VA) 式1
A=V1−V2 式2
B=V3+V4 式3
ここに、V1は凹部313が無いと仮定した頭部310の体積、V2は凹部313の体積、V3は基体320の凸部323の体積、V4は棒状部321の体積、である。
図4A及び図4Bを参照してスペーサ330について説明する。図4Aに示すスペーサ330は、中心に円形孔330Aを有する円板状に形成される。本例のスペーサ330は、薄い板状部材又はシート状部材をリング状にくり抜いて形成されてよい。スペーサ330の外径をD、孔330Aの内径をd、厚さをtとする。スペーサ330の外径Dは、基体320の外径D1に対応している。スペーサ330の外径Dは、基体320の外径D1より、大きくてもよいが、小さくてもよい。しかしながら、スペーサ330の外径Dは、好ましくは、基体320の外径D1に等しい。スペーサ330の孔330Aの内径dは、基体320の凸部323の外径D2に対応している。スペーサ330の孔330Aに基体320の凸部323を挿入させることができるように、スペーサ330の孔330Aの内径dは少なくとも、基体320の凸部323の外径に等しいか又はそれより大きい。
図4Bに示すスペーサ330は一本の長い線状部材を平面に沿って巻いて形成される。線状部材の断面は円又は楕円であってもよく、正方形又は長方形であってもよい。図4Aの例と同様に、中心に孔330Aが形成される。
以下に、本発明の実施形態について説明する。本願の発明者は、先ず、式1の頭部の体積比kについて検討した。上述のように環境負荷を低減するには、トリウムの使用量を低減する必要がある。トリウムの使用量を低減するには、頭部310を小さくすればよい、即ち、式1に示す頭部の体積比kを小さくすればよい。しかしながら、トリウムの使用量を低減しすぎると、トリウムによるエミッション性能の利点が損なわれる。従って、トリウムによるエミッション性能の利点を享受することができ且つトリウムの使用量を低減させる必要がある。本願の発明者が行った予備的な実験によると、頭部の体積比kの好ましい範囲は0.10〜0.18であることが判った。従って本実施形態では、頭部の体積比kの範囲を0.10〜0.18とする。こうして本実施形態では、所望のエミッション性能を保持しつつ、トリウムの使用量を低減し、更に、所定のランプ特性を確保することができる。
次に、本願の発明者は、基体320の外径に対する基体320の凸部323の外径の比D2/D1について検討した。本願の発明者は外径比D2/D1が異なる複数の陰極を試作した。その結果、この外径比D2/D1が0.3より小さいと、即ち、基体320の凸部323が細すぎると、折れやすくなることが判った。逆に、この外径比D2/D1が0.7より大きいと、即ち、基体320の凸部323が太すぎると、頭部310の凹部313の壁が薄くなり、その縁が破損し易くなることが判った。そこで、本実施形態では、外径比をD2/D1=0.3〜0.7とする。基体320の凸部323の軸線方向の寸法L3は、4〜10mmである。こうして本実施形態では、簡単な構成で陰極の機械的強度を確保することができる。
本願の発明者は、スペーサ330の機能を実証するための実験を行った。この実験に使用したショートアーク型放電ランプ10は、中心発光波長が365nmのi線ランプである。放電管1の発光部1Aの最大外径は54mm、軸線方向の寸法は74mmである。シール管部1Bの軸線方向の長さは60mm、シール管部1Bの電極側端部における外径は25mm、内径は18〜19mmである。電極マウント9の外径は18mmである。また、陽極2の外径は約18mm、冷間時電極間距離は約4.6mmである。
更に、この実験に使用したショートアーク型放電ランプ10では、定格入力電力は1.75kW、ランプ入力電圧は26±3V、ランプ入力電流は60〜76Aである。封入ガスはキセノン0.152MPa(1.5atm)、発光物質は水銀6mg/ccである。
Figure 0006436302
表1は本願の発明者が行った実験に使用したショートアーク型放電ランプの陰極の仕様を示す。ここでは、代表的な4つのサンプルを挙げる。表1の第1行は、ランプ番号、第2行はスペーサの有無及びスペーサの材質、第3行は、基体320の凸部323の外径D2、第4行は、基体320の外径D1、第5行は、外径比D2/D1、である。ランプ番号1及び2は、スペーサ無し、ランプ番号3は、ニオブ製のスペーサを使用し、ランプ番号4は、タンタル製のスペーサを使用した。ランプ番号3及び4にて用いたスペーサは、図4Aに示す構造であり、厚さtは0.5mmである。ランプ番号1の外径D2は2.55mm、ランプ番号2〜4の外径D2は3.75mm、である。ランプ番号1〜4の外径D1は6.00mm、である。ランプ番号1の外径比D2/D1は0.425、ランプ番号2〜4の外径比D2/D1は0.625、である。ランプ番号1〜4の基体320の凸部323の軸線方向の寸法L3は、7.0mmである。
この実験では陰極の頭部310の先端、即ち、円錐頂部312の温度を測定した。図3Aに示すように、円錐頂部312に複数の測定点Pを設定し、各測定点Pにおける温度をパイロメータにより測定した。各測定点において2回測定し、その平均値を求めた。頭部310の先端から測定点Pまでの距離をxmmとする。x=2〜6mmである。
図5を参照して本願の発明者が行った第1の実験及びその結果を説明する。この実験の目的は、スペーサが陰極動作温度に与える影響を調べることである。図5の縦軸は、陰極の動作温度(℃)、即ち、陰極上の各測定点における温度である。図5の横軸は、各測定点の位置、即ち、陰極先端から各測定点までの軸線方向の距離(mm)である。この実験は、ランプ番号1〜4について行った。破線及び一点鎖線のグラフは、ランプ番号1及び2の測定結果、四角点を結ぶ実線のグラフはランプ番号3の測定結果を示す。三角点を結ぶ実線のグラフは、ランプ番号4の測定結果を示す。
図5の結果から次のことが判る。ランプ番号1〜4の陰極の動作温度の傾向は略同様である。即ち、測定点の位置が先端から遠くなるにつれて、温度は下がる。実線のグラフで示すランプ番号3及び4の陰極動作温度は、破線及び一点鎖線のグラフで示すランプ番号1及び2の陰極動作温度より低い。これは、スペーサを使用することにより、頭部310から基体320への熱伝導が促進され、頭部310が高温になることが回避されたものと考えられる。破線のグラフで示すランプ番号1の陰極動作温度は、一点鎖線のグラフで示すランプ番号2の陰極動作温度より高い。これは、スペーサを使用しない場合、基体320の凸部323の外径D2が小さいほうが、陰極動作温度は高くなることを示す。
図6を参照して本願の発明者が行った第2の実験及びその結果を説明する。この実験の目的は、スペーサの厚さと陰極動作温度の関係を調べることである。図6の縦軸は、陰極の頭部310の先端から軸線方向に3mm離れた測定点、即ち、x=3mmの測定点における陰極の温度である。図6の横軸は、スペーサの厚さ(mm)である。この実験で用いたスペーサは、ニオブ製のスペーサである。スペーサの形状及び陰極の構造は、ランプ番号3の場合と同様である。尚、ランプ番号2の場合、即ち、スペーサを用いない場合の陰極温度は1940℃であった。そこで、図6には参考として、温度が1940℃における横軸に平行な破線を描いた。
図6の結果から次のことが判る。スペーサの厚さが小さすぎると、スペーサを用いることの利点を確実に得ることは困難である。これは、スペーサの厚さが小さすぎるため、スペーサと頭部310の環状の端面311A及び基体320の環状の端面321Aの間に十分な密着性が得られないためであると思われる。一方、スペーサの厚さが大きすぎる場合にも、スペーサを用いることの利点は得られない。これは、スペーサの厚さが大きすぎると、スペーサを十分に塑性変形させることが困難であるため、スペーサと頭部310の環状の端面311A及び基体320の環状の端面321Aの間に十分な密着性が得られないためであると思われる。本願の発明者は、本実施形態のスペーサの厚さを0.5〜2.0mmとする。こうして、スペーサの厚さを0.5〜2.0mmとすることによって、密着性を確保することにより、陰極の頭部310の冷却効果を確実に得ることができる。
図7を参照して本願の発明者が行った第3の実験及びその結果を説明する。この実験の目的は、スペーサがランプ寿命に与える影響を調べることである。図7の縦軸は、照度維持率(%)である。照度維持率は、点灯直後の照度を100%として、各点灯時間における照度の大きさを百分率で表したものである。図7の横軸は、点灯時間(h)である。この実験は、ランプ番号1〜4について行った。
図7の結果から次のことが判る。ランプ番号1及び2の場合、点灯時間が600時間を超えると、照度維持率が95%以下となる。一方、ランプ番号3及び4の場合、点灯時間が2000時間を超えても照度維持率は95%以上である。照度維持率の低下は、黒化現象の早期発生によるものと考えられる。従って、スペーサを使用することにより、スペーサを使用しない場合よりも、黒化現象が抑制されることが判る。即ち、スペーサを使用することにより、頭部310から基体320への熱伝導が促進され、頭部310の高温になることが回避される。そのため、エミッタの早期枯渇が回避され、アーク不安定性及び先端部の飛散による黒化現象が抑制される。
以上、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプについて説明したが、本発明は上記の実施形態に拘束されるものではなく、当業者が容易になしえる追加、削除、改変等は、本発明に含まれるものであり、また、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められることを承知されたい。
1…放電管、1A…発光部、1B、1C…シール管部、1b、1c…凹部、1d…チップオフ、2…陽極、2A…電極先端部、2B…電極芯棒、3…陰極、3A…電極先端部、3B…電極芯棒、6…リード線、9…電極マウント、10…ショートアーク型放電ランプ、11…ゲッター材、21…第1のシール部材、22…第2のシール部材、23…第3のシール部材、24a、24b…緩衝箔、25…シール箔、26a、26b…緩衝箔、28…口金、31…第1の集電円盤、32…第2の集電円盤、310…頭部、311…円柱部、311A…端面、312…円錐頂部、313…凹部、313a…テーパ面、320…基体、321…棒状部、321A…端面、323…凸部、323a…テーパ面、325…括れ部、330…スペーサ

Claims (6)

  1. 放電管と、前記放電管の内部にて互いに対向して配置した陰極及び陽極と、を有し、前記放電管の中心軸線が略垂直に設置されるように構成されたショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記陰極は、トリエーテッドタングステン(トリタン)製の頭部とタングステン製の基体の2つの部材を含み、前記基体は軸線方向に延びる凸部を有し、前記頭部は軸線方向に延びる凹部を有し、前記凸部を前記凹部に係合させることによって、前記頭部と前記基体が一体的に組み立てられて前記陰極が構成され、
    前記頭部と前記基体の間に環状のスペーサが配置されていることを特徴とするショートアーク型放電ランプ。
  2. 請求項1のショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記スペーサは、金属製シートを環状にくり抜いて形成された、ショートアーク型放電ランプ。
  3. 請求項1のショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記スペーサは、線状金属を平面に沿って巻いて形成された、ショートアーク型放電ランプ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記スペーサの厚さは、0.5〜2.0mmである、ショートアーク型放電ランプ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記スペーサは、塑性変形可能な軟性金属製である、ショートアーク型放電ランプ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載のショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記スペーサは、ニオブ又はタンタル製である、ショートアーク型放電ランプ。
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