JP6263770B2 - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線を発光する高圧水銀ランプに関し、特に、アーク長が比較的短いショートアーク型放電ランプに関する。
高圧水銀ランプのうち、アーク長が比較的短い構造のランプはショートアーク型放電ランプと称される。ショートアーク型放電ランプは、高輝度の光を放射することができるため広い分野で用いられる。特に、中心発光波長が365nmのi線ランプや436nmのg線ランプは、半導体、液晶、プリント基板等の製造工程における露光用光源として用いられる。製造工程で用いられる露光用ランプでは、処理能力の向上の要請から、高輝度の出力ばかりでなくランプの立ち上がり時間(点灯始動から定常点灯への移行時間)の短縮化が求められる。
高輝度の出力を得るためには、電極間距離を短くし、点灯時のアークに集中するエネルギを増加させることが考えられる。電極間距離を短くすると、ランプ電圧が下がり、ランプ電力を一定とすれば、ランプ電流が増加する。それによって電極の温度が高くなり、熱膨張により電極間距離が更に短くなる。これは発光部に対して熱源の寸法が小さくなることである。そのため、ランプの温度が適正な温度になるまで十分な時間がかかるか、又は、ランプの温度が適正な温度にならないことになる。ランプの温度が適正な温度になるまで十分な時間がかかる場合には、ランプの立ち上がり時間の短縮化の要請に反する。即ち、高輝度の出力を得ることとランプの立ち上がり時間の短縮化を両立させることは容易ではない。
ランプの温度が適正な温度にならない場合には、ランプの最冷部における温度も低下し、水銀を完全に蒸発させることができない。そのため、所望の分光特性が得られない。更に大電流を流し続けると、電極の損傷が加速され、ランプ寿命が短くなり、放電管の早期破損を引き起こすおそれがある。
特開2006−269191号公報 特開2006−269192号公報 特開2005−340136号公報 特開2010−118166号公報
特許文献1には、ランプの立ち上がり時間を短縮するために、保持用筒体とガラス体の間に介装された集電板に突起、孔等を設けることが記載されている。特許文献2には、ランプの立ち上がり時間を短縮するために、芯棒に突起等を形成することが記載されている。
しかしながら、集電板の追加をすると放電管のシール管部において十分なシールの形成が困難となる。また、芯棒の加工を要する。従って、従来の放電管のシール管部におけるシール構造、芯棒を変更することなく、高輝度の出力が得られ、且つ、ランプの立ち上がり時間を短縮化することが好ましい。
本発明の目的は、高輝度の出力が得られ、且つ、ランプの立ち上がり時間を短縮化することができるショートアーク型放電ランプを提供することにある。
高輝度の出力が得られ、且つ、ランプの立ち上がり時間を短縮化するには、水銀の蒸発を円滑に且つ迅速に行う必要がある。水銀の蒸発を妨げる要因として、放電管の発光部の最冷部における温度が適正な値にならないことが挙げられる。本願の発明者は、従来の放電管のシール管部におけるシール構造を変更することなく、水銀の蒸発を円滑に且つ迅速に行う方法を鋭意考察した。そこで、本願の発明者は、陽極の電極支持棒に金属部材を装着することを着想した。
特許文献3には、黒化物の堆積を防止するために電極棒に環状部材を設ける例が記載されている。特許文献4には、放電ランプの箔シール部へのアルカリ金属イオンの侵入を抑制するために、ガラス筒状体の端面に円板状のアルカリ金属誘引部材を設ける例が記載されている。しかしながら、特許文献3、4に記載された環状部材又は円板状の部材は、水銀の蒸発を円滑に且つ迅速に行う機能を有さないことが判明した。即ち、ランプの立ち上がり時間を短縮化することはできないことが判った。
本願の発明者は、陽極の電極支持棒に装着する金属部材の形状、寸法、材料及び位置を適宜選択することによって、所望の機能を達成することができることを見出した。
本発明の実施形態によると、ショートアーク型放電ランプは、発光部と該発光部の両側に設けられた管状のシール管部とを備える放電管と、前記発光部の内部にて互いに対向して配置した陰極及び陽極と、該陰極及び陽極をそれぞれ支持する電極支持棒と、前記シール管部から外方に突出するリード線と、前記シール管部に装填され前記電極支持棒及び前記リード線を支持すると同時に前記放電管の内部を密閉する電極マウントと、を有し、前記陰極が上側に且つ前記陽極が下側に配置されるように前記放電管の中心軸線が略垂直に設置されるように構成され、
前記電極マウントの内端面は、前記発光部と前記シール管部の境界位置から所定の距離だけ軸線方向外方に離れた位置にあり、前記シール管部の電極側端部には、前記電極マウントの内端面を底面とする凹部が形成されており、前記凹部には、金属部材が配置されている。
本実施形態によると前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記金属部材は、貫通孔を有するモリブデン製の円板状に形成され、該貫通孔に前記電極支持棒が挿通されてよい。
本実施形態によると前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記冷間時電極間の距離は1.2〜2.5mmであり、ランプ電力は2kW以上であってよい。
本実施形態によると前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記金属部材の外径は13〜16mmであってよい。
本実施形態によると前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記金属部材の厚さは1〜3mmであってよい。
本実施形態によると前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記金属部材と前記陽極の間の距離は2.5〜6.5mmであってよい。
本発明によると、高輝度の出力が得られ、且つ、ランプの立ち上がり時間を短縮化することができるショートアーク型放電ランプを提供することにある。
図1は、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプの概略構成を示すための簡略化した断面図である。 図2Aは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプのシール管部の拡大断面図である。 図2Bは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプのシール管部の電極マウントの拡大断面図である。 図3Aは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプのシール管部に設けられた金属部材の装着位置を説明する図である。 図3Bは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプのシール管部に設けられる金属部材の構造の例を示す図である。 図3Cは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプのシール管部に設けられた金属部材の機能を説明する図である。 図4Aは、本願の発明者が行った実験の結果を示す図である。 図4Bは、本願の発明者が行った実験の結果を示す図である。
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプを説明する。なお、全図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔、隙間等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等をしている。図の説明の際の上下・左右の表現は、その図を鉛直面内に置いた状態でのその図面の面に沿った方向を表すものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプ10の概略構造を示すための簡略化した一部断面図である。ショートアーク型放電ランプ10は、球状の発光部1Aとその両側の管状のシール管部1B、1Cからなる放電管1を有する。発光部1Aの内部の空間1aには、陽極2及び陰極3が対向して配置されている。陽極2及び陰極3は電極支持棒5の内端にそれぞれ支持されている。シール管部1B、1Cの外端からそれぞれリード線6が突出している。本実施形態のショートアーク型放電ランプ10は、垂直点灯型であり、陰極3が上側に陽極2が下側となるように、ランプの中心軸線が略垂直となるように設置される。
シール管部1B、1Cには、それぞれ電極マウント9が装着されている。電極マウント9は、電極支持棒5及びリード線6を支持すると同時に放電管1の内部を密閉する機能を有する。電極マウント9は、このような機能を備えればどのような構造であってもよく、特に限定されるものではない。電極マウント9の例は、図2A及び図2Bを参照して説明する。電極支持棒5には、放電管1の封入後もその中に残った不純物や点灯時に発生する不純物を除去するためにゲッター材11が装着されている。
電極マウント9の内端面9aは、発光部1Aとシール管部1B、1Cの境界位置pから所定の距離だけ軸線方向外方に離れた位置にある。即ち、シール管部1B、1Cの電極側端部には、電極マウント9の内端面9aを底面とする円形の凹部1b、1cがそれぞれ形成されている。凹部1b、1cの深さは、境界位置pと電極マウント9の内端面9aの間に距離に等しい。
下側のシール管部1Bの電極側端部の凹部1bには、金属部材15が配置されている。金属部材15は、陽極2を支持する電極支持棒5に装着されている。金属部材15は電極支持棒5にレーザ溶接等によって接続してよい。金属部材15はランプの立ち上がり時間の短縮を目的として本願の発明者が装着したものである。これについては後に説明する。
放電管1の発光部1Aにはチップオフ4が形成されている。ランプの製造時に、チップオフ4の位置に取り付けられた排気管から放電管1内に、水銀を封入するとともに、少なくともアルゴン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスを単独またはそれらの混合ガスの形で封入する。
本実施形態では、放電管1は石英ガラス、陽極2及び陰極3はタングステン、電極支持棒5及びリード線6はタングステンによって形成してよい。電極マウント9の主要部は石英ガラスによって形成される。金属部材15はモリブデン又はタングステンによって形成されてよいが、以下の説明では、金属部材15はモリブデン製であるとして説明する。
本実施形態のショートアーク型放電ランプ10は、2〜10kWのランプ電力を有し、中心発光波長が436nmの紫外線を出力する、いわゆるg線ランプである。陽極2と陰極3の冷間時先端部間の距離は、1.0〜15.0mmであり、例えば1.2〜2.5mmであってよい。放電管1の発光部1Aの最大外径は、発光出力の大きさに応じて異なり、50〜150mmであり、例えば60〜70mmであってよい。発光部1Aの軸線方向の長さは70〜180mmであり、例えば70〜90mmであってよい。
放電管1内には、3〜75mg/cm3の水銀、例えば、20〜60 mg/cm3の水銀が封入されてよい。更に、放電管1内には、キセノン(Xe)、アルゴン(Ar)及びクリプトン(Kr)の中の少なくとも1つの希ガスが封入される。ただし、1つの希ガスに代えて、混合ガス、例えばKr及びArの混合ガスを用いてもよい。希ガスの封入圧は、封入されたガスの種類によっても異なるが、概略0.05〜0.4MPaであり、例えば0.1〜0.2MPaであってよい、ランプ点灯時には、放電管1内の圧力は1.5〜4.0 MPa程度になる。
図2Aを参照してショートアーク型放電ランプ10のシール管部1Bの構造の例を説明する。尚、陰極側のシール管部1Cの構造は、陽極側のシール管部1Bの構造と同様である。シール管部1Bの内部には、電極マウント9が溶着されており、それによって放電管1の気密性が保たれている。シール管部1Bの外端には口金28が装着される。電極マウント9の外端面9bは、シール管部1Bのリード線側端面に略整合している。図示のように、電極マウント9の軸線方向の寸法、即ち、電極マウント9の内端面9aと外端面9bの間の距離は、シール管部1Bの軸線方向の寸法より短い。
電極マウント9の内端面9aは、発光部1Aとシール管部1Bの境界位置pから所定の距離だけ軸線方向外方に離れた位置にある。従って、シール管部1Bの電極側端部には、電極マウント9の内端面9aを底面とする円形の凹部1bが形成される。
このような凹部1bを設けるのは、電極マウント9をシール管部1Bに溶着するためにシール管部1Bをバーナ等で加熱するときに、その熱が発光部1Aに伝わってその発光部1Aが変形することを防ぐためである。
本実施形態では、この凹部1bに金属部材15が配置されている。金属部材15は、陽極2を支持する電極支持棒5に装着されている。金属部材15によって、凹部1bは2つの部分に分割される。金属部材15の上側(電極側)に凹部14が形成され、金属部材15の下側(リード線側)に空間16が形成される。
電極マウント9の構造として様々な構造が知られている。ここでは、その1例を説明する。本実施形態の電極マウント9は、第1のシール部材21、第2のシール部材22及び第3のシール部材23を有する。電極マウント9は、更に、第1のシール部材21と第2のシール部材22の間に介装された第1の集電円盤31と第2のシール部材22と第3のシール部材23の間に介装された第2の集電円盤32を有する。これらのシール部材21、22及び23は、石英ガラス製の円柱部材によって形成されている。集電円盤31、32は、電導性材料からなる円板状部材によって形成される。
第1のシール部材21及び第1の集電円盤31には貫通孔が形成されている。これらの貫通孔に、電極支持棒5が挿入されている。こうして、電極支持棒5は、第1の集電円盤31に電気的に接続され、且つ、第1のシール部材21に固定される。なお、第1の集電円盤31には貫通孔を形成しないで、電極支持棒5の端部を第1の集電円盤31に当接させることによって、電極支持棒5を、第1の集電円盤31に電気的に接続してもよい。
また、第3のシール部材23及び第2の集電円盤32には貫通孔が形成されており、更に、第2のシール部材22に孔が形成されている。これらの貫通孔及び孔に、リード線6が挿入されている。こうして、リード線6は、第2の集電円盤32に電気的に接続され、且つ、第2及び第3のシール部材22、23に固定される。第1の集電円盤31と第2の集電円盤32とを電気的に接続する方法は次に図2Bを参照して説明する。
図2Bを参照して説明する。図示のように、第1の集電円盤31の両端面に、円形のモリブデン製の緩衝箔26a、26bがそれぞれ配置されている。第2の集電円盤32の両端面に、円形のモリブデン製の緩衝箔26a、26bがそれぞれ配置されている。第1の集電円盤31と第2のシール部材22を全周覆うように、第1の緩衝箔24aが装着されている。第1の緩衝箔24aは、第1の集電円盤31と、それに隣接する緩衝箔26bと、それに隣接する第2のシール部材22の一部を全周覆うように配置されている。
第2の集電円盤32と第2のシール部材22、及び、第2の集電円盤32と第3のシール部材23を全周覆うように、第2の緩衝箔24bが装着されている。第2の緩衝箔24bは、第2の集電円盤32と、その両側の緩衝箔26a、26bと、それに隣接する第2のシール部材22及び第3のシール部材23の一部をそれぞれ全周覆うように配置されている。
また、第2のシール部材22の外周面には、軸線方向に沿って、複数の短冊状のモリブデン製のシール箔25(実線と破線のハッチングで示す)が、間隔を置いて配置されている。シール箔25によって、第1の集電円盤31と第2の集電円盤32とが電気的に接続される。その結果、電極支持棒5とリード線6とが電気的に接続される。一方、リード線6は口金28に接続される。従って、口金28及びリード線6を経由して外部の電源から陽極2に電力が供給される。
ここで、シール管部1Bに電極マウント9を固定する概略の方法を説明する。まず、電極マウント9を用意し、それをシール管部1Bに挿入する。電極マウント9の内端面9aは、発光部1Aとシール管部1Bの境界位置pから所定の距離だけ離れた位置にある。次に、放電管1の発光部1Aのチップオフ4(図1)に接続した排気管により、放電管1の内部を減圧する。シール管部1Bを火炎バーナで加熱する。こうした減圧状態にて、シール管部1Bを溶融させ、収縮させる。それによって、シール管部1Bは電極マウント9の外周面に密着する。
図3Aを参照してシール管部1Bの構造及び各部の寸法を説明する。図3Aでは、発光部1A及びシール管部1Bの一部の図示を省略している。陽極2の下端は、発光部1Aとシール管部1Bの境界位置pから所定の距離aだけ離れた位置にある。境界位置pと電極マウント9の内端面9aの間の距離をKとする。金属部材15の上側(電極側)に形成された凹部14の深さをbとし、金属部材15の下側(リード線側)に形成された空間16の深さをcとする。金属部材15の厚さをtとする。K=b+t+cである。陽極2の下端と電極マウント9の内端面9aの間の距離をMとし、陽極2の下端と金属部材15と間の寸法をLとする。M=L+t+c=a+Kである。
金属部材15の位置を表す寸法Lは、L=2.0〜7.0mmであってよく、好ましくは、L=2.5〜6.5mmである。シール管部1Bの電極側端部の凹部1bの深さを表す寸法Kは、K=5.0〜10.0mmである。
図3Bを参照して金属部材15の構造の例を説明する。金属部材15は貫通孔15Aを有する円板状に形成される。金属部材15の外径をD、貫通孔15Aの内径をd1、厚さをtとする。金属部材15は、シール管部1Bに配置される。従って、金属部材15の外径Dの最大値は、シール管部1Bの内径によって決まる。金属部材15の貫通孔15Aに電極支持棒5を挿通する。従って、金属部材15の貫通孔15Aの内径d1は、電極支持棒5の外径に略等しいか又はそれより僅かに大きい。金属部材15の厚さtは所定の値に設定される。金属部材15の厚さtが小さすぎると製造及び取り扱いが困難である。金属部材15の厚さtが大きすぎても、ランプの立ち上がり時間の短縮化に寄与することはできない。
図3Cを参照して金属部材15の機能を説明する。図1を参照して説明したように、本実施形態のショートアーク型放電ランプ10は垂直点灯型であり、陰極3が上側に陽極2が下側になるように、ランプの中心軸線が略垂直になるように、設置される。図3Cは、発光部1Aと下側のシール管部1Bの境界位置p付近の断面構造を模式的に描いた図である。シール管部1Bの電極側端部には、電極マウント9の内端面9aを底面とする凹部1bが形成される。電極間のアークによって発生する熱は、四方に放射されるが、陽極2の背後には、陽極2の陰になるため、十分に放射されない。そのため、凹部1bは、放電管1の内部空間のうち最も温度が低く、最冷部と称される。
点灯中、蒸発した水銀の一部は、発光部1Aの内部の空間1aを循環する間に、発光部1Aの内壁に接触し、液化する。液状の水銀は、発光部1Aの内壁に沿って下降する。凹部1bに金属部材15を設けない場合には、液状の水銀は、凹部1bの底に蓄積される。ここに蓄積した水銀は、再度蒸発する。こうして、水銀は、蒸発と液化を繰り返し、発光部1Aの内部を循環する。
高輝度の出力が得られ、且つ、ランプの立ち上がり時間を短縮化するには、水銀の蒸発を円滑に且つ迅速に行う必要がある。水銀の蒸発を妨げる要因として、放電管1の最冷部における温度が適正な値にならないことが挙げられる。
本願の発明者は、最冷部を形成する凹部1bに金属部材15を配置することを着想した。金属部材15を陽極2を支持する電極支持棒5に装着した。金属部材15によって、水銀の蒸発が促進され、ランプの立ち上がり時間を短縮化することができることが判明した。但し、ランプの立ち上がり時間を短縮化するには、金属部材15の寸法、形状、材料及び装着位置を適切に選択することが必要であることも判った。
図3Cに示す例では、金属部材15は、凹部14が形成されるように、境界位置pより下側に配置される。本願の発明者が行った実験の結果によると、金属部材15を、凹部1bの奥深い位置、例えば、電極マウント9の内端面9aに近い位置に配置した場合には、ランプの立ち上がり時間を短縮化することはできないことが判った。一方、金属部材15を、凹部1bの外側に、且つ、陽極2に近接した位置に配置した場合には、ランプの立ち上がり時間を短縮化することはできないことが判った。即ち、金属部材15の上側に、所定の深さの凹部14が形成されることが好ましい。
図3Cに示す例では、金属部材15の外径はシール管部1Bの内径より小さい。従って、金属部材15とシール管部1Bの内壁の間に隙間が形成されている。この隙間の寸法をΔRとする。本願の発明者が行った実験の結果によると、寸法ΔRが大き過ぎると、ランプの立ち上がり時間を短縮化することはできないことが判った。
図4A及び図4Bを参照して本願の発明者が行った実験及びその結果を説明する。本願の発明者は、図1に示したように、ショートアーク型放電ランプ10の放電管1のシール管部1Bの凹部1bに金属部材15を設けた。金属部材15を設けることによって、ランプの立ち上がり時間を短縮化できるか否かを確認した。即ち、様々な構造及び寸法の金属部材15を試作し、どのような構造及び寸法の金属部材15がランプの立ち上がり時間の短縮化に効果的であるかを確認した。
実験に使用したショートアーク型放電ランプ10の陽極2の外径は20mm、冷間時電極間距離は2.5mmである。また、放電管1の発光部1Aの最大外径は62mm、軸線方向の寸法は78mmである。シール管部1Bの軸線方向の長さは76mm、シール管部1Bの電極側端部における外径は27mm、内径は約16mmである。電極マウント9の外径は16mmである。電極支持棒5の外径は6mmである。
凹部1bの深さは約6mmである。金属部材15の貫通孔15Aの内径は、少なくとも6mmは必要である。本実施形態では、金属部材15の外径Dの最大値を16mmとした。
実験に使用した金属部材15の外径DはD=10〜16mmであり、貫通孔15Aの内径はd1=6mmであり、厚さtはt=2.0mmである。金属部材15の材料はモリブデンである。また、陽極2と金属部材15の距離Lは、L=5mmである。尚、金属部材15を装着しない従来例のショートアーク型放電ランプを比較例として用いた。実験では、ランプ電力は2kWとし、電極間に初期電流として80Aを流した場合にランプ電圧とランプ電流の時間変化を測定した。
図4Aは、点灯後のランプ電圧の変化を表すグラフを示す。縦軸は、ランプ定常時のランプ電圧を100%とした電圧の百分率(%)、横軸は時間(分)である。図示のように、点灯直後の時間0では、ランプ電圧は0であるが、時間の経過とともにランプ電圧は増加し、点灯から15分程度経過すると全てのランプの電圧が定常時のランプ電圧となる。
図4Bは、点灯後のランプ電流の変化を表すグラフを示す。縦軸は、ランプ定常時のランプ電流を100%とした電流の百分率(%)、横軸は時間(分)である。図示のように、点灯直後の時間0では、ランプ電流は約148%(初期電流である80A)であるが、時間の経過とともにランプ電流は減少し、点灯から15分程度経過すると全てのランプの電流が定常時のランプ電流値となる。
ランプ立ち上がり時間は、図4Aのグラフの破線にて示すように、ランプ電圧が定常時(100%)のランプ電圧の86%に達した時間とする。ランプ立ち上がり時間が7分未満を合格とし、7分以上を不合格とした。
図示のように、金属部材15を装着しない従来例及び外径D=10mmの金属部材15を用いた場合は、不合格となった。外径D=13〜16mmの金属部材15を用いた場合は、合格となった。
上述のように、本願の発明者は、ランプ立ち上がり時間に影響を与える要因として放電管の最冷部における水銀の円滑な且つ迅速な蒸発の可否に着目した。水銀の円滑な且つ迅速な蒸発に影響を与える要因として、先ず、金属部材15の外径Dに着目した。即ち、金属部材15の外径Dが小さい場合には、金属部材15の外周とシール管部1Bの内面の間に大きな隙間が形成され、それが、ランプ立ち上がり時間の短縮化を阻害すると考えられる。しかしながら、上述のように、金属部材15の外径がD=10mmの場合には、不合格であるが、金属部材15の外径がD=13mm以上の場合には、合格である。どちらの場合も、金属部材15の外周とシール管部1Bの内面の間に相当な隙間が形成される。従って、金属部材15の外径Dは大きい方がよいが、隙間を完全になくす必要はない。
そこで、本願の発明者は、ランプ立ち上がり時間に影響を与える要因として、金属部材15の表面積に着目した。
表1は、本願の発明者が試作した金属部材15の外径と表面積と実験結果を示す。実験の条件は、図4A及び図4Bを参照して説明した実験と同様である。即ち、金属部材15の厚さはt=2.0mm、陽極2と金属部材15の距離Lは、L=5mmである。上述の例と同様に、ランプ立ち上がり時間が7分未満を合格とし、7分以上を不合格とした。
Figure 0006263770
表1から、金属部材15の表面積が少なくとも105mm2であることが好ましいことが判る。尚、金属部材15の表面積の最大値は、金属部材15の外径の最大値によって規定される。即ち、金属部材15の表面積は、172mm2より大きくすることができない。
次に、本願の発明者は、ランプ立ち上がり時間に影響を与える要因として、金属部材15の厚さtに着目した。
表2は、本願の発明者が試作した金属部材15の厚さtと実験結果を示す。実験の条件は、図4A及び図4Bを参照して説明した実験と同様である。即ち、金属部材15の厚さはt=0.5〜5.0mmである。尚、陽極2と金属部材15の距離Lは、L=5mmである。上述の例と同様に、ランプ立ち上がり時間が7分未満を合格とし、7分以上を不合格とした。
Figure 0006263770
表2から、金属部材15の厚さtがt=1〜3mmであることが好ましいことが判る。金属部材15の厚さtが小さい場合には、製造が困難であると同時に変形や破損し易い。従って、金属部材15の厚さtは少なくとも1mm以上必要である。金属部材15の厚さtが大きく、例えば、4mm以上では、立ち上がり時間を短縮させる効果が無いことが判った。
以上の結果から、金属部材15の外径DはD=13〜16mm、金属部材15の厚さtはt=1.0〜3.0mmとすることが好ましいことが判った。
以上、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプについて説明したが、本発明は上記の実施形態に拘束されるものではなく、当業者が容易になしえる追加、削除、改変等は、本発明に含まれるものであり、また、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められることを承知されたい。
1…放電管、1A…発光部、1B、1C…シール管部、1b、1c…凹部、2…陽極、3…陰極、4…チップオフ、5…電極支持棒、6…リード線、9…電極マウント、10…ショートアーク型放電ランプ、11…ゲッター材、14…凹部、15…金属部材、16…空間、21…第1のシール部材、22…第2のシール部材、23…第3のシール部材、24a、24b…緩衝箔、25…シール箔、26a、26b…緩衝箔、28…口金、31…第1の集電円盤、32…第2の集電円盤

Claims (4)

  1. 発光部と該発光部の両側に設けられた管状のシール管部とを備える放電管と、前記発光部の内部にて互いに対向して配置した陰極及び陽極と、該陰極及び陽極をそれぞれ支持する電極支持棒と、前記シール管部から外方に突出するリード線と、前記シール管部に装填され前記電極支持棒及び前記リード線を支持すると同時に前記放電管の内部を密閉する電極マウントと、を有し、前記陰極が上側に且つ前記陽極が下側に配置されるように前記放電管の中心軸線が略垂直に設置されるように構成された垂直点灯型であり、有水銀型のショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記電極マウントの内端面は、前記発光部と前記シール管部の境界位置から所定の距離だけ軸線方向外方に離れた位置にあり、前記シール管部の電極側端部には、前記電極マウントの内端面を底面とする凹部が形成されており、
    前記陽極側の前記シール管部の前記凹部には、金属部材が配置されており、前記金属部材は、貫通孔を有するモリブデン製の円板状に形成され、該貫通孔に前記電極支持棒が挿通されており、
    前記金属部材と前記凹部の底面の間に空間が形成されていることを特徴とするショートアーク型放電ランプ。
  2. 請求項1記載のショートアーク型放電ランプにおいて、
    冷間時電極間の距離は1.2〜2.5mmであり、ランプ電力は2kW以上であり、前記シール管部の電極側端部における外径は27mm、内径は16mmであり、前記金属部材の外径は13〜16mmである、ショートアーク型放電ランプ。
  3. 請求項1又は2記載のショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記金属部材の厚さは1〜3mmである、ショートアーク型放電ランプ。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載のショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記金属部材と前記陽極の間の距離は2.5〜6.5mmである、ショートアーク型放電ランプ。
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