JP4281432B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、視認性に優れた薄型表示デバイスとしてテレビジョン受像機などに使用されるAC型で面放電型のプラズマディスプレイパネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネルは、駆動形式としてAC型とDC型があり、放電形式として面放電型と対向放電型の2種類がある。高精細度、大画面化および製造の簡便性などから、現状ではAC型で面放電型のプラズマディスプレイパネルが主流を占めるようになってきている。
【0003】
プラズマディスプレイパネルは、ガラス基板上に電極や隔壁などとなる各種の凸部を形成して前面パネルと背面パネルを製造し、前面パネルと背面パネルとを対向させた後、周囲をシールしてその内部に放電ガスとなる不活性ガスを封入している。
【0004】
以下、一般的なAC型で面放電型のプラズマディスプレイパネルの構成について図1を用いて説明する。図6はAC型面放電プラズマディスプレイパネルの構成斜視図、図7は図6のA−A線における断面図、図8は図6のB−B線における断面図である。ガラス基板などの透明な表面側の基板1上には、走査電極2と維持電極3とで対をなすストライプ状の表示電極4が複数対形成され、そして表面側の基板1上の隣り合う表示電極4間には遮光層5が配置形成されている。この走査電極2および維持電極3は、それぞれ透明電極2a、3aとこの透明電極2a、3aに電気的に接続された銀(Ag)などの母線2b、3bとから構成されている。また、表面側の基板1には、複数対の表示電極4を覆うように誘電体層6が形成され、さらに誘電体層6上には保護膜および2次電子放出膜として働く酸化マグネシウム(MgO)膜7が形成されている。これらにより前面パネル20が形成されている。
【0005】
また、表面側の基板1に対向配置される背面側の基板8上には、走査電極2および維持電極3よりなる表示電極4と直交する方向に、誘電体層9で覆われた複数のストライプ状のデータ電極10が形成されている。このデータ電極10間の誘電体層9上には、データ電極10と平行にストライプ状の複数の隔壁11が配置され、隣接する隔壁11間において、隔壁11の側面および誘電体層9の表面に蛍光体層12が設けられている。これらにより背面パネル30が形成されている。
【0006】
前面パネル20と背面パネル30とは、走査電極2および維持電極3とデータ電極10とが直交するように、微小な放電空間を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止される。放電空間には、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)のうちの1種または混合ガスが放電ガスとして封入されている。放電空間は、隔壁11によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極4とデータ電極10との交点が放電セル13を形成している。
【0007】
複数の放電セル13のうち、データ電極10によって選択された放電セル13において、最初、表示電極4とデータ電極10との間に書込放電を発生させる。その後、走査電極2と維持電極3との間で主放電を発生させることによって真空紫外光が発生し、その真空紫外光が蛍光体層12に当たって蛍光体層12からの可視光に変換され、プラズマディスプレイパネルとしてのディスプレイ表示が行われる。
【0008】
また、隣接する各放電セル13には、赤色、緑色および青色となるようにR、G、Bの各色の蛍光体層12が1色ずつ順次配置され、各放電セル13間は遮光層5によって覆われており、隣接する放電セル13から漏洩する光を遮断している。
【0009】
プラズマディスプレイパネルは、高画質化の要求に対し、高精細度化が進んでいる。高精細のプラズマディスプレイパネルはディスプレイ表示面の単位面積当たりの画素数、すなわち、放電セル13の数が増える。したがって、画面サイズが同じであると、1画素当たりの放電セル13の面積が小さくなるため真空紫外光にさらされる蛍光体層12の表面積が減少し、パネル輝度が低下する。
【0010】
一方、パネル輝度を向上させる例として放電セル内に隔壁よりも高さの小さい突起を設け、その突起上にも蛍光体を塗布することで蛍光体表面積を増加させる例や、蛍光体が塗布される隔壁や誘電体層に凹凸を設けて蛍光体層の表面積を増加させる例が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−77002号公報
【特許文献2】
特開2001−273854号公報
【特許文献3】
特開2002−8544号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような放電セル内に隔壁よりも高さの小さい突起を設ける例や、隔壁あるいは誘電体層表面に凹凸を設ける方法は、特に高精細の放電セルとなるとこれらの突起、凹凸を形成する形成プロセスが煩雑になる。また、突起や凹凸が放電空間の体積を小さくすることによって放電に悪影響を及ぼすといった課題を有していた。
【0013】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、高精細のプラズマディスプレイパネルにおいても、放電空間の体積を減少させることなく蛍光体層の表面積を増加させ、輝度を向上させることができるプラズマディスプレイパネルの製造方法を実現するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、基板上に、少なくとも電極と、電極を覆って設けられた誘電体層と、誘電体層上に電極に平行して設けられた隔壁とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、少なくとも、有機溶媒と有機溶媒に対して溶解する樹脂成分と有機溶媒に対してゲル化する樹脂成分とを加熱溶解して有機バインダを作製する有機バインダ作製工程と、有機バインダに蛍光体粒子を混錬して蛍光体ペーストを作製する蛍光体ペースト作製工程と、蛍光体ペーストを隣接する隔壁間に塗布し蛍光体塗布膜を形成する蛍光体塗布工程と、隔壁間に塗布された蛍光体塗布膜を乾燥する乾燥工程と、蛍光体塗布膜を加熱焼成して有機バインダを焼失させる焼成工程とを有している。
【0019】
この製造方法によれば、ペースト作製工程において、有機溶媒に対して溶解する樹脂成分はこれらの溶媒とよく溶解し、有機溶媒に対してゲル化する樹脂成分は溶解せずにゲル化するため、そのゲル化した部分が焼成工程において焼失する際に蛍光体層に凹凸部を形成することができため、簡便に蛍光体層の有効表面積を拡大することができる。
【0020】
さらに、有機溶媒がα−ターピネオール(α−TPO)とブチルカービトール(BCA)の混合溶媒であり、有機溶媒に対して溶解する樹脂成分と有機溶媒に対してゲル化する樹脂成分がエトキシル基含有率の異なるエチルセルロースである。また樹脂成分が、エトキシル基含有率が48.0%〜49.5%のエチルセルロースと、エトキシル基含有率が45.0%〜47.0%のエチルセルロースとである。
【0021】
そのため、エトキシル基含有率の高いエチルセルロースはこれらの溶媒とよく溶解し、エトキシル基含有率の低いエチルセルロースが溶解せずにゲル化するため、蛍光体層に凹凸部を形成することが可能となる。
【0022】
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、基板上に、少なくとも電極と、電極を覆って設けられた誘電体層と、誘電体層上に電極に平行して設けられた隔壁とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、エトキシル基含有率が48.0%〜49.5%のエチルセルロースとエトキシル基含有率が48.0%〜49.5%のエチルセルロースが溶解する有機溶媒とを加熱溶解して第1有機バインダを作製する工程と、第1有機バインダに蛍光体粒子を混錬して第1蛍光体ペーストを作製する第1蛍光体ペースト作製工程と、第1蛍光体ペーストを隣接する隔壁間に塗布し第1蛍光体塗布膜を形成する第1蛍光体塗布工程と、エトキシル基含有率が45.0%〜47.0%のエチルセルロースとエトキシル基含有率が45.0%〜47.0%のエチルセルロースがゲル化する有機溶媒とを加熱溶解して第2有機バインダを作製する工程と、第2有機バインダに蛍光体粒子を混錬して第2蛍光体ペーストを作製する第2蛍光体ペースト作製工程と、第2蛍光体ペーストを第1蛍光体塗布膜上に塗布して第2蛍光体塗布膜を形成する第2蛍光体塗布工程と、隔壁間に塗布された第1蛍光体塗布膜と第2蛍光体塗布膜とを乾燥する乾燥工程と、第1蛍光体塗布膜および第2蛍光体塗布膜を加熱焼成して第1有機バインダおよび第2有機バインダを焼失させる焼成工程とを有している。
【0023】
この製造方法によれば、蛍光体層を2層構造とし、放電空間に面した蛍光体層の表層部に形成される蛍光体層にのみ凹凸部を形成することができ、下層部での紫外光反射効果と表層部での有効表面積の拡大効果の両方を実現することが可能となる。
【0024】
さらに、焼成工程は、エトキシル基含有率の異なる樹脂成分による有機バインダを焼失させる複数の温度保持領域を有している。そのため、ゲル化したエトキシル基含有率の小さな樹脂成分で作製した有機バインダをも完全に焼失させることができ、残留ガスなどによるパネル劣化などのない信頼性の高いプラズマディスプレイパネルを実現することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネルの背面パネルへ蛍光体層を形成する工程図、図2は背面パネルの焼成工程における温度プロファイルを示す図、図3は蛍光体ペーストの構造を模式的に示す図である。
【0027】
なお、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの全体構成は、図6に示した一般的なAC型で面放電型のプラズマディスプレイパネルと同様であり、背面パネルの蛍光体層の形状が異なるのみである。したがって、同一構成要素については同一符号を付している。
【0028】
図1を用いて本発明の実施の形態1における背面パネルへの蛍光体層を形成する工程について説明する。ステップ1は有機バインダ作製工程であり、樹脂成分としてのエチルセルロースと溶媒としてのα−ターピネオール(α−TPO)やブチルカービトール(BCA)を加熱溶解させて有機バインダを作製する。ここで、エチルセルロースを用いて有機バインダを作製する目的は、後の工程で蛍光体ペーストを作製する際に、蛍光体粒子の溶媒への分散性を向上させることである。なお、本発明の実施の形態では、エチルセルロースの樹脂成分として、エトキシル基含有率の異なる複数の樹脂成分を用いている。エトキシル基含有率の小さい樹脂は水溶性を示すため、α−ターピネオール(α−TPO)、ブチルカービトール(BCA)などの極性の有機溶媒には溶解せずゲル化する。したがって、ステップ1にて作製された有機バインダは一部にゲル化した数十μm〜数百μmの粒状の樹脂を含んでいる。本実施の形態では、エトキシル基含有率が48.0%〜49.5%のエチルセルロース18%と、エトキシル基含有率が45.0%〜47.0%のエチルセルロース2%と、α−ターピネオール(α−TPO)60%と、ブチルカービトール(BCA)20%とを加熱しながら溶解させて有機バインダを作製した。なお、エトキシル基含有率が48.0%〜49.5%のエチルセルロースは極性の有機溶媒にほとんど溶解し、エトキシル基含有率が45.0%〜47.0%のエチルセルロースは溶解せずゲルを形成しやすくなることが実験的に確認されている。
【0029】
なお、有機バインダとして、PMAの高分子を、溶媒として、ジエチレングリコール、メチルエーテルなどの有機溶媒を用いることもできる。
【0030】
次に、ステップ2は上述の有機バインダと赤色、青色、緑色各色の蛍光体粒子とを混錬して蛍光体ペーストを作製する工程である。ここで用いられる蛍光体としては、赤色蛍光体としては、(Y、Gd)1-XBO3:EuX、またはY2-X3:EuXで表される化合物、緑色蛍光体としては、Ba1-XAl1219:MnX、またはZn2-XSiO4:MnXで表される化合物、青色蛍光体としては、Ba1-XMgAl1017:EuX、またはBa1-x-ySryMgAl1017:EuXで表される化合物が用いられる。各蛍光体の粒子径はそれぞれの蛍光体によって異なるが、平均粒径で2μm〜3μmであり、最小粒径で0.1μm、最大粒径で5μm程度である。蛍光体ペーストは、各色の蛍光体粒子と有機バインダとが混合され、1500センチポアズ(CP)〜30000センチポアズ(CP)となるように調合され、必要に応じて、界面活性剤、シリカ、分散剤(0.1wt%〜5wt%)などを添加してもよい。ここでは、ステップ1で作製した有機バインダ40%〜80%と各色蛍光体粒子20%〜60%とを3本ロールなどで混錬して蛍光体ペーストを作製する。
【0031】
次に、ステップ3は、ステップ2で作製した蛍光体ペーストをプラズマディスプレイパネルの背面パネル30の背面側の基板8上に形成された隔壁11間に塗布し、蛍光体層12となる蛍光体塗布膜を形成する工程である。蛍光体塗布膜を形成する方法としては、ノズルから蛍光体ペーストを吐出させながら塗布するインクジェット法や、フォトリソ法、スクリーン印刷法など種々の方法を利用することができる。
【0032】
次に、ステップ4は、ステップ3で塗布された蛍光体塗布膜を乾燥し、有機溶媒を取り除く工程である。100℃〜150℃に制御された加熱炉によって所定時間キープし、有機溶媒を取り除いている。この時、エトキシル基含有率の小さな樹脂によって形成されゲル化した数十μm〜数百μmの粒状の樹脂が、乾燥、凝縮してその大きさを減少させる。また、ゲル化した樹脂は有機溶媒が蒸発する過程で蛍光体塗布膜の表層部に集まりやすくなる。
【0033】
次に、ステップ5は、蛍光体塗布膜を加熱焼成して有機バインダを焼失させる焼成工程であり、蛍光体層12を形成する最終工程である。この工程によって蛍光体層12が完成する。焼成工程は連続焼成炉にて焼成温度プロファイルを変化させながら処理を行っている。図2に本実施の形態における焼成工程の温度プロファイルを示す。図2に示すように、温度プロファイルはS1からS7までのプロファイルを有している。
【0034】
昇温過程S1では、ステップ4の乾燥工程で取り除かれた有機溶媒の残存分がさらに追い出される。キープステージS2では、有機バインダのうちエトキシル基含有率の大きな樹脂を焼失させる脱バイが行われる。さらにゲル化した樹脂の大きさが減少し数μm〜数十μmとなる。
【0035】
次に、キープステージS4で、有機バインダのうちエトキシル基含有率の小さな樹脂を焼失させる脱バイを行い、ゲル化してそれまでの熱処理過程で数μm〜数十μmとなった樹脂を焼失させている。次にキープステージS6で残存不純物などを焼失させることによって蛍光体層12を完成させることができる。なお、本実施の形態では脱バイのためにS2、S4のふたつのキープステージを設けているが、キープ時間を調整することによってひとつにすることも可能である。また、S3、S5は次ステージへの昇温過程であり、S7は降温過程である。
【0036】
図3に、これらの工程によって隔壁11間に塗布された蛍光体ペーストの構造が変化する様子を模式的に示している。図3(a)に示すように、蛍光体ペーストが隔壁11間に塗布され蛍光体塗布膜50を形成した直後には、粒径分布が0.1μm〜5μmで平均粒径が2μm程度の蛍光体粒子51の周囲に、樹脂と有機溶媒により形成された有機バインダ52が絡み合い、さらにエトキシル基含有率の小さな樹脂によって形成されたゲル状物質53が分布している。ゲル状物質53のサイズはこの時数十μm〜数百μmと大きなサイズである。
【0037】
乾燥工程と焼成工程における昇温過程S1を経た蛍光体塗布膜50は、有機溶媒が蒸発するとともにゲル状物質53が凝縮してサイズが減少する。
【0038】
次に、焼成工程のキープステージS2においてエトキシル基含有率の大きな樹脂を脱バイした後の蛍光体塗布膜50は、蛍光体粒子51間の有機バインダが焼失して蛍光体粒子51が緻密に充填され、表層部54にはさらにサイズが縮小して数μm〜数十μmのサイズとなったゲル状物質53が分散している。しかしながら、この場合にゲル状物質53が全て表層部54にあるとは限らず、蛍光体塗布膜50の内部にも存在している。
【0039】
次に、焼成工程のキープステージS4およびキープステージS6を経た蛍光体塗布膜50は、ゲル状物質53が焼失しその領域に空洞部55を形成する。そのため、蛍光体塗布膜50の表層部54は、蛍光体粒子51の最大粒径よりも幅あるいは深さの大きな凹凸部が形成され、蛍光体の有効表面積を増加させることができる。
【0040】
なお、従来の蛍光体層を形成する方法でも、蛍光体塗布膜の表面はある粗さを有しているが、その粗さは蛍光体の粒子径に依存し、実効的に表面積を増加させることは困難である。特に、最近は蛍光体の特性を向上させるために蛍光体粒子径が小さくなっているため、表層部の粗さが小さくなり実効的な表面積は減少する傾向にあった。しかしながら、本発明の実施の形態によれば、蛍光体の粒子径によらず、粗さを制御することが可能であり、有機バインダを作製する際に、エトキシル基含有率と樹脂の分子量あるいはその配合を制御することで表面積を変えることが可能である。
【0041】
ラズマディスプレイパネルは、隣接する各放電セル13に1色ずつ順次配置した赤色、緑色および青色の各色蛍光体層12の表面積を制御し、赤色、緑色および青色のバランスを取るように設計されている場合が多い。例えば、隔壁11間隔を変えて青色の放電セルの面積、すなわち青色蛍光体の表面積を大きくしたり、図6に示す表示電極4に印加するパルス数によって視感度の高い緑色の発光を抑えたりしている。本発明によれば、各色の蛍光体ペーストに混入する有機物の粒径、形状、混合比率を赤色、緑色、青色の各色毎に独立に制御して各色蛍光体層12の表面積を制御することで高輝度かつ高精細で色温度の高い白色を表現できる。
【0042】
図4は、各色の蛍光体層の表面積を変えた背面パネルの断面図である。図4(a)は図3に示す焼成工程でのキープステージS2の後の状態を示し、図4(b)は焼成工程終了後の状態を示す。図4(a)に示すように、赤色蛍光体層12a、青色蛍光体層12b、緑色蛍光体層12cのそれぞれで、表層部のゲル状物質53a、53b、53cの数を制御している。すなわち、赤色蛍光体層12aのゲル状物質53aと緑色蛍光体層12cのゲル状物質53cに比べて、青色蛍光体層12bのゲル状物質53bの数が多くなるように有機バインダを調整している。この状態で焼成工程を経ると、図4(b)に示すように、青色蛍光体層12bの表面積を赤色蛍光体層12aや緑色蛍光体層12cに比べて大きくすることができる。そのため、等間隔で隔壁を形成することができ背面パネル30の製造の歩留まりが向上するだけでなく、極めて視感度が高く、輝度の高いプラズマディスプレイパネルを実現することが可能となる。なお、ゲル状物質の数でなく、その大きさをそれぞれの色の蛍光体層で変えて、その表面積を制御できることも当然である。
【0043】
なお、本発明の実施の形態では、ゲル状物質の焼失によって形成される凹凸部の幅あるいは深さを5μm〜10μmとしている。そのため、使用蛍光体粒子径の最大粒子径よりも大きな凹凸部を形成することができ、実効的な表面積の増大を図ることができる。例えば、各色の放電セル面積を同じにして、赤色蛍光体で1.1倍、緑色蛍光体で1.05倍、青色蛍光体で1.2倍の表面積の増加を実現し、輝度として1.1倍の向上を実現することができた。
【0044】
(実施の形態
なお、実施の形態1では、各色の蛍光体層を形成する際に、エトキシル基含有率の異なる複数の樹脂を混ぜたひとつの蛍光体ペーストを用いていた。しかしながら、蛍光体層の表層部の表面積の確実な増大効果と、蛍光体層内部に空洞部を発生させないためには、蛍光体層を多層構成とすることが有効である。
【0045】
すなわち、蛍光体層の下層部にはゲル状物質が形成されにくい蛍光体ペーストを用い、表層部にゲル状物質が形成されやすい蛍光体ペーストを用いることができる。図5は本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの背面パネルへ蛍光体層を形成する工程図である。
【0046】
図5に示すように、実施の形態では、蛍光体塗布工程までをふたつに分けている。すなわち、ステップ1〜ステップ3の第1有機バインダ作製工程、第1蛍光体ペースト作製工程、第1蛍光体塗布工程と、同じく第2有機バインダ作製工程、第2蛍光体ペースト作製工程、第2蛍光体塗布工程である。第1有機バインダを用いた蛍光体ペーストは蛍光体層の下層部を形成し、第2有機バインダを用いた蛍光体ペーストは蛍光体層の上層部、すなわち表層部を形成するように、2層に分けて塗布している。第1有機バインダはエトキシル基含有率の大きいエチルセルロースを用い、ゲル状物質が発生しない蛍光体ペーストを作製し、蛍光体粒子の充填密度を高めた蛍光体層を形成することができる。また、第2有機バインダには、エトキシル基含有率の小さなエチルセルロースを用いてゲル状物質が発生しやすくしている。そのため、蛍光体層の表層部に凹凸部を発生させて、表面積を増加させることができる。
【0047】
なお、実施の形態では、第1有機バインダとしては、エトキシル基含有率が48.0%〜49.5%のエチルセルロース20%と、α−ターピネオール(α−TPO)60%と、ブチルカービトール(BCA)20%とを加熱しながら溶解させて作製した。また、第2有機バインダとしては、エトキシル基含有率が48.0%〜49.5%のエチルセルロース12%と、エトキシル基含有率が45.0%〜47.0%のエチルセルロース8%との混合樹脂と、α−ターピネオール(α−TPO)60%と、ブチルカービトール(BCA)20%とを加熱しながら溶解させて作製した。また、蛍光体は実施の形態1で述べたのと同様であり、ステップ3、ステップ4、ステップ5は同様の工程としている。
【0048】
実施の形態によれば、蛍光体層の下層部の蛍光体充填密度を高め、下層部での紫外光反射効果を増大させることができるとともに、表層部での表面積の増大効果によってさらにパネル輝度を向上させることができる。なお、蛍光体層をさらに複数層に分けて形成することや、各色に応じて表層部の表面性を変えることも可能である。
【0049】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、放電セル内に隔壁よりも高さの小さい突起を設けることや、蛍光体が塗布される隔壁や誘電体層に凹凸を設ける必要がないため、簡便に蛍光体層の表面積を増加させて、輝度特性に優れたプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法によれば、放電セルの放電空間を減少させることなく、蛍光体層の表面積を拡大させて、高輝度化を達成することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネルの背面パネルへ蛍光体層を形成する工程図
【図2】 本発明の実施の形態1における背面パネルの焼成工程における温度プロファイルを示す図
【図3】 本発明の実施の形態1における蛍光体ペーストの構造を模式的に示す図
【図4】 本発明の実施の形態における各色の蛍光体層の表面積を変えた背面パネルの断面図
【図5】 本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの背面パネルへ蛍光体層を形成する工程図
【図6】 AC型面放電プラズマディスプレイパネルの構成斜視図
【図7】 図6のA−A線における断面図
【図8】 図6のB−B線における断面図
【符号の説明】
1 表面側の基板
2 走査電極
2a,3a 透明電極
2b,3b 母線
3 維持電極
4 表示電極
5 遮光層
6,9 誘電体層
7 酸化マグネシウム(MgO)膜
8 背面側の基板
10 データ電極
11 隔壁
12 蛍光体層
12a 赤色蛍光体層
12b 青色蛍光体層
12c 緑色蛍光体層
13 放電セル
20 前面パネル
30 背面パネル
50 蛍光体塗布膜
51 蛍光体粒子
52 有機バインダ
53,53a,53b,53c ゲル状物質
54 表層部
55 空洞部

Claims (6)

  1. 基板上に、少なくとも電極と、前記電極を覆って設けられた誘電体層と、前記誘電体層上に前記電極に平行して設けられた隔壁とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    少なくとも、有機溶媒と前記有機溶媒に対して溶解する樹脂成分と前記有機溶媒に対してゲル化する樹脂成分とを加熱溶解して有機バインダを作製する有機バインダ作製工程と、
    前記有機バインダに蛍光体粒子を混錬して蛍光体ペーストを作製する蛍光体ペースト作製工程と、
    前記蛍光体ペーストを隣接する前記隔壁間に塗布し蛍光体塗布膜を形成する蛍光体塗布工程と、
    前記隔壁間に塗布された前記蛍光体塗布膜を乾燥する乾燥工程と、
    前記蛍光体塗布膜を加熱焼成して前記有機バインダを焼失させる焼成工程とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 有機溶媒がα−ターピネオール(α−TPO)とブチルカービトール(BCA)の混合溶媒であり、前記有機溶媒に対して溶解する樹脂成分と前記有機溶媒に対してゲル化する樹脂成分がエトキシル基含有率の異なるエチルセルロースであることを特徴とする請求項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 樹脂成分が、エトキシル基含有率が48.0%〜49.5%のエチルセルロースと、エトキシル基含有率が45.0%〜47.0%のエチルセルロースとであることを特徴とする請求項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  4. 基板上に、少なくとも電極と、前記電極を覆って設けられた誘電体層と、前記誘電体層上に前記電極に平行して設けられた隔壁とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    エトキシル基含有率が48.0%〜49.5%のエチルセルロースと前記エトキシル基含有率が48.0%〜49.5%のエチルセルロースが溶解する有機溶媒とを加熱溶解して第1有機バインダを作製する第1有機バインダ作製工程と、
    前記第1有機バインダに蛍光体粒子を混錬して第1蛍光体ペーストを作製する第1蛍光体ペースト作製工程と、
    前記第1蛍光体ペーストを隣接する前記隔壁間に塗布し第1蛍光体塗布膜を形成する第1蛍光体塗布工程と、
    エトキシル基含有率が45.0%〜47.0%のエチルセルロースと前記エトキシル基含有率が45.0%〜47.0%のエチルセルロースがゲル化する有機溶媒とを加熱溶解して第2有機バインダを作製する第2有機バインダ作製工程と、
    前記第2有機バインダに蛍光体粒子を混錬して第2蛍光体ペーストを作製する第2蛍光体ペースト作製工程と、
    前記第2蛍光体ペーストを前記第1蛍光体塗布膜上に塗布して第2蛍光体塗布膜を形成する第2蛍光体塗布工程と、
    前記隔壁間に塗布された前記第1蛍光体塗布膜と前記第2蛍光体塗布膜とを乾燥する乾燥工程と、
    前記第1蛍光体塗布膜および第2蛍光体塗布膜を加熱焼成して前記第1有機バインダおよび第2有機バインダを焼失させる焼成工程とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  5. 有機溶媒がα−ターピネオール(α−TPO)とブチルカービトール(BCA)の混合溶媒であることを特徴とする請求項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 焼成工程が、エトキシル基含有率の異なる樹脂成分による有機バインダを焼失させる複数の温度保持領域を有していることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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