JP2005353338A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

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Ryoji Hiuga
亮二 日向
Takeshi Nishio
剛 西尾
Seiji Kumazawa
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Abstract

【課題】輝度特性に優れ、高精細化に適したプラズマディスプレイパネルの実現を目的とする。
【解決手段】隔壁10により形成された複数の放電空間13内にそれぞれ蛍光体層11を形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、蛍光体層11を形成するための材料となる蛍光体ペーストに熱エネルギーを付加することにより蛍光体ペーストを部分的に固化し、その後、蛍光体ペースト全体を乾燥させ、蛍光体層11に蛍光体粒子が凝集した凸部14を形成し、その凸部14によって蛍光体層11の表面積を増大させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示デバイスなどに用いるAC型プラズマディスプレイパネルの製造方法に関し、特に放電セル内に蛍光体層を形成する方法に関するものである。
液晶パネルに比べて高速表示が可能であり、かつ大型化が容易であることから高品位テレビジョン画像を大画面で表示することができるディスプレイ装置として、希ガス放電による紫外線で蛍光体を励起発光させて画像を表示させるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)を使用したプラズマディスプレイ装置への期待が高まっている。さらに、PDPはハイビジョン用の大画面表示デバイスとして注目され、そのため高精細化および高輝度化などの表示品質の向上および高い信頼性を目指したPDPの製造技術の開発がますます重要になってきている。
一般的に、AC駆動面放電型PDPは3電極構造を採用し、前面板と背面板とを所定の間隔で対向配置した構造である。前面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極およびバス電極よりなる表示電極と、この表示電極を被覆して電荷を蓄積するコンデンサとしての働きをする誘電体層と、この誘電体層上に形成されたMgO保護膜とで構成されている。誘電体層は、通常無機成分としてのPb−B(鉛ホウ珪酸)系の低融点ガラスなどの粉体とバインダー成分としてのエチルセルロースなどの樹脂と溶剤とを混練して得られた所定粘度を有する誘電体ペーストを、印刷法、一括塗布法または転写法などにより表示電極が形成されている前面板の一主面上に所定の膜厚で塗布した後、乾燥させ、焼成することによって形成される。
一方、背面板はガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のデータ電極と、このデータ電極を覆う誘電体層と、その上に形成された隔壁と、各隔壁によって形成された表示セル内に塗布された赤色、緑色および青色にそれぞれ発光する蛍光体層とで構成されている。
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって形成された放電空間にはNe−Xeなどの放電ガスが400Torr(53.2kPa)〜600Torr(79.8kPa)の圧力で封入されている。
表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電ガスを放電させ、それによって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の各色を発光させることによりカラー画像を表示している。
近年、PDPの高精細化、高輝度化に伴い微細な放電セルにおいて効率的に蛍光体の発光を行うことが重要となっている。その対策の一つとして、従来、蛍光体層の表面積を増やす方法が開示されている。例えば、誘電体層上に第2の隔壁を設けて凸部を形成し、その上に蛍光体層を形成することにより、蛍光体層の表面積を増加させる方法が提案されている(例えば、特許文献1など)。
特開2002−190256号公報
しかしながら、誘電体層に凸部を形成する従来の方法では、誘電体層上に隔壁を形成する場合と同様に、塗布、乾燥、露光、現像などを繰り返す必要があった。この結果、製造工程が繁雑になり、生産性および製造コストの点で十分な効果を得ることができなかった。
本発明は、誘電体層上に隔壁と同様の凸部を設けて蛍光体層に間接的に凸部を形成するのではなく、蛍光体層を形成する工程で蛍光体層上に直接凸部を形成する製造方法を提供することにより、前記の課題を解決することを目的としている。これにより、蛍光体層の表面積を増やして、輝度特性に優れ高精細化に適したPDPを実現することができる。
本発明のPDPの製造方法は、複数の放電セル内にそれぞれ蛍光体層を形成するPDPの製造方法であって、放電セル内に蛍光体ペーストを塗布し、蛍光体ペーストに熱エネルギーを付加することにより蛍光体ペーストを部分的に固化し、その後、蛍光体ペースト全体を乾燥させる。
このような製造方法により、熱エネルギーによって放電セルの蛍光体層に部分的に凸部を形成し、その凸部によって蛍光体層の表面積を増大させ、蛍光体の発光効率を高めることができる。
また、本発明のPDPの製造方法は、複数の放電セル内にそれぞれ蛍光体層を形成するPDPの製造方法であって、放電セル内に蛍光体ペーストを塗布し、蛍光体ペーストにエネルギー分布を有する熱エネルギーを付加し、高い熱エネルギーが付加された蛍光体ペーストの蛍光体粒子を部分的に凝集させるとともに、蛍光体ペースト全体を乾燥させる。
このような製造方法により、蛍光体層への凸部の形成と蛍光体ペーストの乾燥を同時に行うことが可能となる。
さらに、熱エネルギーの付加をレーザーで行うことが望ましく、熱エネルギーを制御性良く付加することが可能となる。
さらに、蛍光体ペーストが青色蛍光体ペーストであることが望ましく、青色の輝度を向上させて、赤、緑、青の3色の輝度バランスを高めることができる。
以上のように、本発明の製造方法によれば、簡便な方法で放電セル内の蛍光体層の表面積を大きくすることができ、輝度の高いPDPを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態におけるPDPの製造方法によるPDPの構成を示す斜視図である。
図1に示すように、PDPは前面ガラス基板1などよりなる前面板101と背面ガラス基板2などよりなる背面板102とを対向して配置し、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着している。封着されたPDPの放電空間13には、放電ガスとして、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)などが、400Torr(53.2kPa)〜600Torr(79.8kPa)の圧力で封入されている。
前面板101の前面ガラス基板1上には、走査電極3および維持電極4よりなる一対の帯状の表示電極が互いに平行となるように複数配置されている。走査電極3および維持電極4は、それぞれ透明電極と、透明電極上に形成され導電性を高めるための銀などからなるバス電極とから構成されている。例えば、隣接する走査電極3と維持電極4とは、走査電極3−走査電極3−維持電極4−維持電極4・・・となるように2本ずつ交互に配列される場合、走査電極3と維持電極4の間には、黒色材料からなる光吸収層5が設けられている。これらの走査電極3と維持電極4を覆うように前面ガラス基板1上にはPb−B系ガラスなどからなりコンデンサとしての働きをする誘電体層6が形成され、さらにその上にMgO(酸化マグネシウム)などからなる保護膜7が形成されている。
また、背面板102の背面ガラス基板2上には、走査電極3および維持電極4と直交する方向に、複数の帯状のデータ電極9が互いに平行となるように配置され、これを誘電体層8が被覆している。さらに、走査電極3および維持電極4とデータ電極9とで形成される複数の放電セルを区画するための隔壁10が、データ電極9と平行に、ストライプ状に形成されている。この隔壁10により区画され放電セルを構成する放電空間13にはそれぞれ蛍光体層11が形成されている。蛍光体層11は複数のデータ電極9に対応して、紫外線によって赤色、緑色および青色にそれぞれ発光する蛍光体層11(R)、11(G)、11(B)が交互に形成されている。
蛍光体の材料としては、赤色蛍光体として(Y,Gd)BO:EuまたはY:Euを、緑色蛍光体としてZnSiO:Mnを、青色蛍光体としてBaMgAl1017:Euなどを用いている。本発明の第1の実施の形態では、図1に示すように、蛍光体層11はストライプ状に配設された各放電空間13の底面および隔壁10の両側面に形成され、底面部にはデータ電極9と平行な細長い凸部14を形成している。
凸部14は、放電空間13に塗布した蛍光体ペースト12に対して蛍光体ペースト12に含まれる溶剤が蒸発する前に、部分的に熱エネルギーを付加することにより形成される。
図2は、蛍光体ペースト12を誘電体層8上に塗布した後、乾燥するまでの蛍光体層11の形状変化の様子を示す断面図である。図2(a)は放電空間13に蛍光体ペースト12を塗布した直後の放電空間13における蛍光体層11の形状を示している。つぎに、図2(b)に示すように、蛍光体ペースト12に含まれる溶剤が蒸発する前に、放電空間13の内部を走査できる程度の小さな照射径を有するレーザー15を蛍光体ペースト12の塗膜に照射する。これにより、蛍光体ペースト12の表面の一部が固化し凝固物Aを作る。その後、図2(c)に示すように、凝固物Aが沈降して底部に沈殿する。この状態で、さらに蛍光体ペースト12の乾燥が進行し、凝固物A以外の領域の蛍光体ペースト12も収縮し、中央部に凝固物Aが形成された図2(d)に示す形状となる。その後、蛍光体ペースト12を焼成することにより、図1に示すように各放電空間13において、底部に凸部14を有する蛍光体層11を形成することができる。
図3および図4を用いて蛍光体層11に凸部14を形成するための製造方法についてさらに説明する。図3は、熱エネルギー付加の状況を示す背面板102の斜視図である。また、図4は蛍光体塗布装置と熱エネルギー付加装置との装置構成を示す図である。蛍光体ペースト12の塗膜に熱エネルギーを付加する熱エネルギー付加装置としては、レーザー照射装置を使用する。図3に示すように、工程にセットされた背面ガラス基板2上の放電空間13に対向して、レーザー照射ヘッド16を配設する。レーザー照射ヘッド16は、図4に示すように、蛍光体塗布装置としての塗布ノズル17とともに一定の間隔で一体化されている。また、塗布ノズル17はレーザー照射ヘッド16に対して走査方向の前方に配置する。したがって、背面ガラス基板2に対向してレーザー照射ヘッド16を図3の矢印の方向に走査してレーザー15を照射することにより、塗布した直後の蛍光体ペースト12の塗膜にレーザー15の照射を行い、蛍光体ペースト12の塗布とレーザー15の照射を併行して行うことができる。これにより、蛍光体ペースト12中に含まれる溶剤が蒸発する前に、蛍光体ペースト12の塗膜に対して、部分的に確実に熱エネルギーの付加を行うことができる。なお、レーザー装置としてはYAGレーザーが好ましい。
(第2の実施の形態)
また、図5は、本発明の第2の実施の形態におけるPDPの製造方法による蛍光体塗布の状況を示す背面板102の斜視図であり、図6は各放電セルの平面図である。本実施の形態では隔壁10を井桁構造としている。本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の効果を発揮することができる。本実施の形態により得られる蛍光体層11の形成例を図6に示す。図6(a)は、レーザー照射ヘッド16を走査してレーザー15を照射する際に、照射するレーザー15の強度を制御し、井桁構造の隔壁10によって仕切られる放電空間13において、蛍光体層11にスポット状の凸部18を形成した例である。また、図6(b)では、細長い長方形の凸部19を形成した例である。図7は、レーザー照射ヘッドの走査とレーザー照射強度の制御とを模式的に示した正面図である。図7に示すように、井桁構造の隔壁10上をレーザー15が通過する際にはその強度を弱くして隔壁10へのレーザー15によるダメージを除き、放電空間13上を通過する際には強度の強いレーザー15をスポット状あるいはライン状に照射することによって、図6に示すような凸部18、19を形成することができる。このように、レーザー照射ヘッド16を走査する際に、その照射強度を自由に制御して任意の形状の凸部18、19を有する蛍光体層11を形成することが可能である。
なお、レーザー15の代わりにマイクロプラズマを照射することによっても、同様の効果を発揮することができる。
図1や図6に示される凸部14、18、19の高さを、隔壁10の高さの1/5以上の高さとすると、蛍光体層11の表面積増大効果と、放電空間13での放電との距離が近くなることによる効果によって輝度が増加することがわかった。また、この時、蛍光体層11を形成する蛍光体粒子の粒子を10個以上凝集させることによって可能であることもわかっている。すなわち、粒子径が2μmの蛍光体粒子を10個凝集させると、約20μmの高さの凝固物を得ることができ、凝固物にはさらにその上に通常の蛍光体層11が形成されるため、凸部14、18、19におけるその高さは約30μm程度となる。したがって隔壁高さが120μmの場合には、凸部14の高さは隔壁高さの1/4となる。ただし、凸部14、18、19が隔壁10の高さを越えることはない。
また、凸部14、18、19の幅や高さなどの形状は、各色蛍光体層11などによって任意に変えることができ、各色蛍光体ペースト12の材料物性と付加する熱エネルギーの制御によって調整が可能である。
また、上述の赤色、緑色、青色の蛍光体のうち、青色蛍光体はその輝度が比較的小さく、色温度を調整するために、青色蛍光体層の放電セルを他の蛍光体層の放電セルに比べて大きくする場合がある。本発明によれば、青色蛍光体層のみに凸部を設けて、蛍光体層の表面積を増大させて、各色の放電セル形状を同じにして赤色、緑色および青色の3色の輝度バランスを高めることができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態におけるPDPの製造方法について図8を用いて説明する。第3の実施の形態は第1、第2の実施の形態と基本構成は同一であり、レーザー15の照射方法に関する応用例を示している。
本実施の形態では、レーザー15の照射スポット内において、走査方向と直交する方向に強弱のエネルギー分布を設けている。図8(a)に示すように、レーザー15は、照射面を形成する直径Dの照射スポット内において、エネルギー強度は中心部で強く、周辺部で弱くなるようにし、さらに照射スポットの直径は蛍光体が塗布された放電セルの幅とほぼ同じにしている。したがって、蛍光体ペースト12に付加される熱エネルギーは中心部で高く周辺部で弱くなっている。蛍光体ペースト12の塗布とレーザー15の照射は、第1、第2の実施の形態と同様である。このような方法によると、蛍光体ペースト12の高い熱エネルギーが付加された領域の蛍光体粒子を部分的に凝集させて凸部14を形成するとともに、同時に蛍光体層全体の乾燥を行うことが可能となる。
なお、レーザー15の代わりにマイクロプラズマを使用可能であることも、第1、第2の実施の形態と同様である。
本発明のPDPの製造方法によれば、背面板の隔壁構造などを複雑にすることなく簡便な方法で発光効率の高い蛍光体層を形成することができ、高輝度、高精細度の壁掛けテレビや大型モニターなどのディスプレイ装置の製造方法として有用である。
本発明の第1の実施の形態におけるPDPの製造方法によるPDPの構成を示す斜視図 同PDPの製造方法による蛍光体層の形状変化の様子を示す断面図 同PDPの製造方法による熱エネルギー付加の状況を示す背面板の斜視図 同PDPの製造方法による蛍光体塗布装置と熱エネルギー付加装置との装置構成を示す図 本発明の第2の実施の形態におけるPDPの製造方法による蛍光体塗布の状況を示す背面板の斜視図 同PDPの製造方法による各放電セルの平面図 同PDPの製造方法によるレーザー照射ヘッドの走査とレーザー照射強度の制御状況とを模式的に示した正面図 本発明の第3の実施の形態におけるPDPの製造方法によるレーザー強度分布と蛍光体層の形状変化の様子を示す断面図
符号の説明
1 前面ガラス基板
2 背面ガラス基板
3 走査電極
4 維持電極
5 光吸収層
6,8 誘電体層
7 保護膜
9 データ電極
10 隔壁
11,11(R),11(G),11(B) 蛍光体層
12 蛍光体ペースト
13 放電空間
14,18,19 凸部
15 レーザー
16 レーザー照射ヘッド
17 塗布ノズル
101 前面板
102 背面板

Claims (4)

  1. 複数の放電セル内にそれぞれ蛍光体層を形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記放電セル内に蛍光体ペーストを塗布し、前記蛍光体ペーストに熱エネルギーを付加することにより前記蛍光体ペーストを部分的に固化し、その後、前記蛍光体ペースト全体を乾燥させることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 複数の放電セル内にそれぞれ蛍光体層を形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記放電セル内に蛍光体ペーストを塗布し、前記蛍光体ペーストにエネルギー分布を有する熱エネルギーを付加し、高い熱エネルギーが付加された前記蛍光体ペーストの蛍光体粒子を部分的に凝集させるとともに、前記蛍光体ペースト全体を乾燥させることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 熱エネルギーの付加をレーザーで行うことを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  4. 蛍光体ペーストが青色蛍光体ペーストであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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