JP2007012494A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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Yayoi Kitamura
やよい 北村
Mayumi Inoue
真弓 井上
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Abstract

【課題】放電領域と蛍光体表面との位置関係により、従来の放電セルの構造では、紫外線の利用効率がまだ低い。
【解決手段】本発明によるPDPの背面パネルは、ガラス基板上に形成されたデータ電極に平行なストライプ状の第1の隔壁と、一対の表示電極に平行で表示電極空間の中間下に設けられた第2の隔壁とを有し、第2の隔壁は第1の隔壁よりも低く形成され、その上面および側面にも蛍光体が塗布されている。本発明の第2の隔壁は表示電極対に平行で、表示電極空間の中間下に存在することで、第2の隔壁の上面に塗布された蛍光体は、維持放電により表示電極対を軸として円弧状に発生する放電空間に近接するために発光効率が大きくなる。
【選択図】図1

Description

本発明はプラズマディスプレイパネルにおいて、隔壁構造の改善により発光効率の改善を可能にする技術に関する。
図4は現在、実用化されているAC面放電型PDP表示装置の斜視図であって、ガラス基板11の片面にストライプ状に形成された走査電極と維持電極からなる表示電極対12、これらの表示電極対12を覆う低融点ガラスから成る誘電体層15およびMgOから成る保護膜16を備えた前面パネル10と、もう一方のガラス基板21の片面にストライプ状に形成されたデータ電極22、これらのデータ電極22を覆う誘電体層15、放電空間を区画するストライプ状の高さ100μm程度の隔壁23、隔壁23間の溝に塗布された蛍光体層24を備えた背面パネル20とが電極面を対向させて積層し、隔壁23で決まる空隙に、放電電圧があまり上昇せず駆動時に放電ミスが起こりにくくするため、Xeの量が5%前後のNe−Xe系やHe−Xe系の放電ガスが充填された構造である。表示電極対12とデータ電極22は直交していて、その交差部が放電セル17になる。つまり、放電セル17はマトリクス状に配列され、表示電極対12の方向に並ぶ赤色、緑色、青色の蛍光体層を有する放電セルがカラー表示のための画素になる。
この構造のPDP表示装置は、維持放電期間において面放電を構成する表示電極対12間に印加されるパルス電圧によって、書き込み期間に選択された放電セル17の表示電極12間で放電が起こり、この放電によって発生した紫外線が蛍光体を励起して可視光が発射され、この可視光が保護膜16、誘電体層15等を透過することにより画像または映像を表示することができる。
一般に、AC面放電型のプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)は以上のような構造を有するが、塗布されている蛍光体を発光させた場合の輝度を高めることが重要な課題の一つとされ、種々のアプローチで開発が進められている。図5は特許文献1および2に記載されているPDPの隔壁形状を示す斜視図である。アドレス電極と並行方向に背面板に形成される隔壁1と、前面板に設けられたバス電極と並行方向に背面板に形成される補助隔壁2とを有し、隔壁1および補助隔壁2の壁面とセル底面を覆って蛍光面が形成されている。この構造では、補助隔壁2を持たないセル構造と比べ、蛍光面の発光面積を広げることが可能であり、蛍光面に紫外線を効率よく作用させることができ、発光効率を改善、輝度を高められる。また、補助隔壁2によってアドレス電極とバス電極によって特定される放電空間を他の放電空間から分離でき、隣接する表示セル部に対する放電や紫外線の漏洩を防止できる。
また、特許文献3には、放電空間を区画するストライプ状の隔壁間に高さのより低い突起を設け、前記突起部の表面を含めて、基板側の単位発光領域内の壁面に、蛍光体を形成することにより、放電セル内の蛍光体の有効面積を大きくすることができ、高輝度、高発光効率化が可能となるPDPの構造が記載されている。この構造では、突起頂部にデータ電極を設けることにより放電セルへの書き込み動作を確実にできる。
特許第3440352号公報 特許第3475333号公報 特許第3440833号公報
しかしながら、AC面放電型のPDP表示装置はCRT表示装置に比べ依然として発光効率が低いと言う課題がある。特に、近年期待されている高精細のフルスペックのハイビジョテレビを作成しようとすると、フルスペックのハイビジョンの画素は1920(水平)×1080(垂直)であり、従来のNTSCの画素数である852(水平)×480(垂直)と比較して、約5〜6倍に増加する。従って、同じ42インチのパネルで比較すると、1セルピッチ(1隔壁ピッチ)がNTSCの0.36mm(水平)から0.16mm(水平)と小さくなってしまい、その結果放電空間が減少して、輝度効率の低下が顕在化すると言う課題がある。また、一般には、1セルのピッチが0.2mmより小さくなると、輝度効率が急に低下すると言われている。
この課題を改善するために放電セルの構造や駆動方法等の面から種々の工夫がなされている。
隔壁構造の面からは、特許文献1および2、特許文献3に記載されているように、補助隔壁や放電セル中に突起を設けることにより、補助隔壁の壁面や突起部上に蛍光体を塗布、放電セルへの蛍光体の付着量、蛍光体の表面積を増やして発光輝度を高める方法が開発されている。しかしながら、AC面放電型のPDPでは、維持電極に電圧が印加されて発生する紫外線の強度は、電界強度の強い保護層(MgO層)の近傍で強いため、従来の放電セルの構造では、紫外線の強度の強い放電領域と、蛍光体表面との距離が離れており、紫外線が蛍光体層に届くまでに減衰し、結果として、その利用効率が低くなると考えられる。特に従来のXeの含有量が5%程度の放電カ゛スでは、放電領域で生ずる紫外線がXeの共鳴線であるため、自己吸収を起こし、蛍光体層と放電領域の距離が離れると紫外線の減衰率が大きくなっていた。
従って紫外線をより強く受けて効率よく発光するためには、放電領域と蛍光体膜を近づける必要があった。しかし、従来例の放電セルでは、放電領域と側壁上部に塗布された蛍光体層との距離は、比較的短いが、放電領域と隔壁底部に塗布された蛍光体膜との距離は大きくなる。従って、側壁上部に塗布された蛍光体からの発光は強いが、隔壁底部に塗布された蛍光体からの発光は弱くなる。
一方、特許文献3に記載されている放電セル内の突起は表示電極に直交する方向に設けられており、突起部は放電領域に近づくが、放電領域に近接している突起部はごく一部であり、放電により発生する紫外線の利用効率はまだ高くはないと考えられる。
又一方、放電領域と蛍光体層を近づけるために、隔壁の高さを全体に低くすれば良いが、隔壁の高さを全体的に低くすると、放電空間が少なくなり、放電のエネルギーが壁面に吸収され、返って輝度効率が低下するので好ましくない。従って、従来のPDPの放電空間としては少なくとも50μm〜120μm必要とされてきた。
本発明は隔壁構造の改善および放電セルの構造の改善によって、発光効率の高い隔壁構造を有するPDPを提供する。
本発明によるPDPの背面パネルは、ガラス基板上に形成されたデータ電極に平行なストライプ状の第1の隔壁と、維持電極と走査電極からなる表示電極に平行で、表示電極の下面に設けられた第2の隔壁とを有し、第2の隔壁は第1の隔壁よりも低く形成され、その上面および側面にも蛍光体が塗布されている構成である。
この構成により、第2の隔壁上面に塗布された蛍光体は放電領域に近接するので、紫外線の利用効率が大で、発光輝度が大きくなる。つまり、本発明の第2の隔壁が表示電極対に平行で、表示電極の下方に存在していることで、第2の隔壁の上面に塗布された蛍光体は、維持放電により表示電極対を軸として円弧状に発生する放電空間に近接するため、発光効率が大きくなる。更に好ましくは、前記第2の隔壁が対をなす表示電極の中間線の直下に配設されている構造である。これにより、前記第2の隔壁上面に設けられた蛍光体膜を放電領域に更に接近させ、効率良く励起発光させることができる。
さらに、放電ガス中のXe量を従来の5%より増加させ、自己吸収のあるXeの共鳴線による紫外線でなく、自己吸収が少なく放電領域が減縮され易いXeの分子線による紫外線を主に用いることで、1セルピッチが0.2mm以下になっても、輝度効率を向上させることができる。
本発明により、放電によって発生する紫外線を効率よく蛍光体に照射することができ、高輝度、高発光効率化が可能である。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照しながら説明する。
図1は本第1実施の形態におけるPDPの背面パネルの要部構造を示す斜視図である。背面パネルに対する前面パネルの位置関係を分かりやすくするために、同図では前面パネル面の表示電極12のみを重ねて描いている。背景技術の項で説明した図4における構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付け、その説明を省略する。
隔壁1はデータ電極を設けたガラス基板上に低融点ガラスと感光性有機物の混合物からなる感光性ペーストを塗布し、データ電極方向にストライプ状の露光パターンを有するフォトマスクを用いて露光工程、現像工程を経て作製される。その結果、隔壁1は誘電体層15の表面のデータ電極22間に、データ電極22と平行に直線状に作製される。放電セルは前面パネルに設けられた表示電極12と前記データ電極22との交差部において、左右の第1の隔壁1にかこまれた領域に形成される。同図の場合、データ電極22方向の第1の隔壁1は高さが約110μmであって、幅が底面で約80μm、頂部で約40μmである。また、蛍光体一色のセル幅は、42インチのフルスペックのハイビジョンテレビを想定し、0.16mmとした。更に、各放電セル内で表示電極12に平行で、対をなす表示電極12の中間線の直下に第1の隔壁1より低い第2の隔壁2が設けられており、第2の隔壁が左右の第1の隔壁1を表示電極12のピッチで横串をさすように接続している。本実施の形態では、第2の隔壁の高さを50μmに設定した。なお、第2の隔壁の高さを第1の隔壁の高さよりも低くしたのは、放電が隔壁によって妨げられないようにするため、および排気工程、放電ガス導入工程において、流体抵抗を低くするためである。
隣接する一連の放電セルを構成する第1の隔壁1の側面および底面にはデータ電極22毎に赤色、緑色、青色の蛍光体が順次、塗布されている。第2の隔壁の側面および上面にも同様に蛍光体が塗布されている。Rは(Y,Gd)BO3:Euを用いた赤色蛍光体、Gは(Y,Gd)BO3:TbとZn2SiO4:Mnの混合したものを用いた緑色蛍光体、BはBaMgAl10O17:Euを用いた青色蛍光体を示す。PDPにおいては、前面パネルの表面に形成された表示電極12が前記データ電極22に垂直になるように前面パネル10と背面パネル20とが重ねられ、少なくともXeの量が5%以上の放電ガス(残部をNeを主体とし、Ar,He,H2を少量添加)を全圧力が2.5×104Pa〜8×104Paとなるように導入した後、封止用ガラスにより封止され、ガラス基板間の空隙に放電ガスが充填される。同一の走査電極12に属し、隣接する3色の蛍光体R,G,Bを有する放電セルが1画素を構成する。
以上のような隔壁1、2は次のような工程によって作製される。まず、データ電極22のパターンを備えたガラス基板21上に感光性ペーストを、例えばダイコータ法により60μmの厚さに塗布し、下層の塗布膜を形成する。感光性ペーストは、ほぼ同量の酸化ケイ素と酸化ホウ素を主成分とするガラス粉末と、γ−ブチロラクトンを溶剤とする感光性ポリマーからなる。塗布した下層の塗布膜を必要に応じて乾燥などを行った後、表示電極12方向に平行なストライプ状の露光パターンを有するフォトマスクを用いて露光する。この結果、下層の感光性ペーストからなる塗布膜は、露光された第2の隔壁用の露光部と未露光部に区分される。
次に、同様の感光性ペーストを用いて、下層の塗布膜上に上層の塗布膜を、同様の塗布方法により約50μmの厚さに形成する。必要に応じて乾燥などを行った後、データ電極22方向にストライプ状の第1の隔壁用の露光パターンを有するフォトマスクを用いて露光する。データ電極22に平行な第1の隔壁部は第1塗布膜、第2塗布膜の両方が露光された状態であり、表示電極12に平行な第2の隔壁部は第1塗布膜のみが露光された状態である。下層、上層の塗布膜において、その他の領域は両方の露光工程において未露光領域となり、露光されていない。
その後、下層の塗布膜および上層の塗布膜を有機アルカリ水溶液で現像すると、未露光の感光性ペーストが除去される。図1に示すような、隔壁の高さがより高い第1の隔壁1と、隔壁の高さが低い第2の隔壁2が形成される。パターン形成された低融点ガラス粉末を含む隔壁1、2をガラス基板21と共に、焼成などの加熱手段により固化する。得られた第1の隔壁1および第2の隔壁2の高さは、それぞれ110μm、50μmであった。
データ電極22に平行な第1の隔壁1間の溝に、複数本の吐き出し口を有するノズルから蛍光体用塗料を流し込むことによって、第1の隔壁1間に厚さ約15μmの蛍光体層が形成される。
図2は、放電セルにおいて、維持放電時の放電領域と蛍光体層との位置関係を示す断面図である。同図(A)は対をなす表示電極12の中間線に沿って切断した場合の断面図であり、同図(B)は表示電極12に垂直方向に切断した場合の断面図である。維持放電時、対をなす表示電極12を軸とする円弧状に沿面放電が発生する。またこの時、表示電極対間に印加された電界は、保護層16の表面近傍が放電空間中では最も高くなっており、従って発生する紫外線の強度もこの近傍が高い。図2(B)より、表示電極12の中間線の直下に設けられている第2の隔壁2上面に塗布された蛍光体層は、背面板の底部から凸状になっており、この放電領域に最も近接しているため、放電によって発生した紫外線を効率よく受け、より強い可視光を発光させることができる。
また、ハイビジョンテレビのような高精細のパネルにおいて、輝度を向上させためには、第一隔壁の隔壁幅を細くして開口率を向上させなければならない。しかし、第一隔壁の幅を細くすると、第一隔壁形成時に隔壁が、変形したり、倒壊したりしやすくなる。
ところが、本願の第2の隔壁は、第一隔壁に垂直な構成となっているために、構造上隔壁の倒壊や、変形を防止できる効果がある。
図3は比較のために、従来の放電セルにおいて、維持放電時の放電領域と蛍光体層との位置関係を示す断面図である。同図(A)は対をなす表示電極12の中間線に沿って切断した場合の断面図であり、同図(B)は表示電極12に垂直方向に切断した場合の断面図である。第2の隔壁がないために、対をなす表示電極を軸とする円弧状の放電領域から蛍光体表面までの間隔の平均値は図2の場合より大きい。この構造の場合、放電セルから発射される可視光の分布を顕微鏡で観察すると、隔壁1の側面に塗布した楕円で囲んだ部分の蛍光体膜の発光輝度が最も大きく、底面に塗布した蛍光体層からの発光輝度は小さい。なお、特許文献1および2に記載されている従来の井桁構造では、表示電極12方向の第2の隔壁を備えているが、その位置は表示電極の下部ではなく、ブラックストライプの下部の非表示領域であり、放電領域からの距離は大きい。よって、発光輝度は増大しない。
上記、第1実施の形態で作成したパネルに於いて、Xeガス濃度を変え、維持周波数200KHzでパネルを駆動させて全面白色画像を表示し、その時の輝度を測定した。その結果を表1〜表6に示す。
Figure 2007012494
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Figure 2007012494
Figure 2007012494
Figure 2007012494
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表1〜表6は、第1の隔壁の高さを一定値110μmにして、第2の隔壁の高さを0μm〜90μmの間で変化させ、又放電ガス中のXeの量を5%、10%、15%、25%、50%、99%まで変化させたサンプルを作製し、これらのパネル輝度比と第2の隔壁の高さの関係を測定し、そのデータをまとめたものである。
すなわち表1がXe濃度5%の場合、表2がXe濃度10%の場合、表3がXe濃度15%の場合、表4がXe濃度25%の場合、表5がXe濃度50%の場合、表6がXe濃度99%の場合の輝度、第二隔壁の高さ、第一隔壁に対する高さ比、第二隔壁の高さが0μmの時の輝度を1として、第二隔壁の高さを増やした時の各パネルの輝度比の結果である。
1)Xeの量が5%の場合(表1)の結果
従来例におけるPDPの場合、つまりXeの量が5%で、第1の隔壁の高さが110μmで、第2の隔壁が無い場合、パネルの発光輝度は約350cd/cm2であり、この輝度を1.0として、第2の隔壁の高さを徐々に30μmから90μmまで高くするに従ってパネル輝度は第2の隔壁が無い場合に比べて増大し、その高さが約50μmでパネル輝度比が最大で1.51倍になっている。また更に第2の隔壁を高くすると徐々にパネル輝度比は低下し、90μmでは、0.98となり、第二隔壁の高さが90μmを越えると、第二隔壁の効果はなくなることが判る。従って、第二隔壁の有効な高さは30μm〜70μmである。
2)Xeの量が10%の場合(表2)の結果
Xeの量が10%で、第1の隔壁の高さが110μmで、第2の隔壁が無い場合、発光輝度は約395cd/cm2であり、この輝度を1.0として、第2の隔壁の高さを徐々に30μmから90μmまで高くするに従ってパネル輝度は第2の隔壁が無い場合に比べて増大し、その高さが約50μmでパネル輝度比が最大で1.6倍になっており、輝度が最大となる第2の隔壁の高さは、Xe5%の時と変わらないが、輝度の上昇率は大きくなっている。また更に第2の隔壁を高くすると徐々にパネル輝度比は低下し、90μmでは、0.97となり、第二隔壁の効果はなくなることが分かる。しかし、Xe5%の時と比べて第2の隔壁の高さが60μm、と70μmの時のパネルの輝度比の低下は、少なくなっていることが判る。
3)Xeの量が15%の場合(表3)の結果
Xeの量が15%で、第1の隔壁の高さが110μmで、第2の隔壁が無い場合、発光輝度は約417cd/cm2であり、この輝度を1.0として、第2の隔壁の高さを徐々に30μmから90μmまで高くするに従ってパネル輝度は第2の隔壁が無い場合に比べて増大し、その高さが約50μmでパネル輝度比が最大で1.59倍になっており、輝度が最大となる第2の隔壁の高さは、Xe5%の時と変わらないが、輝度の上昇率は大きくなっている。
また更に第2の隔壁を高くすると徐々にパネル輝度比は低下し、90μmでは、0.99となり、第2の隔壁の効果はなくなることが分かる。しかし、Xe5%の時と比べて第2の隔壁の高さが60μm、と70μmの時のパネルの輝度比はそれぞれ1.52倍、1.32倍であり、Xe5%の同じ隔壁高さの時の1.29倍、1.20倍と比べると上昇率が大きいことが判る。これは、Xe濃度が15%と増加したためである。
4)Xeの量が25%の場合(表4)の結果
Xeの量が25%で、第1の隔壁の高さが110μmで、第2の隔壁が無い場合、発光輝度は約437cd/cm2であり、この輝度を1.0として、第2の隔壁の高さを徐々に30μmから90μmまで高くするに従ってパネル輝度は第2の隔壁が無い場合に比べて増大し、その高さが約50μmでパネル輝度比が最大で1.61倍になっておりXe5%の時より向上している。
また更に第2の隔壁を高くすると徐々にパネル輝度比は低下し、90μmでは、0.95となり、第二隔壁の効果はなくなることが判る。しかし、Xe5%の時と比べて第2の隔壁の高さが60μm、と70μmの時のパネルの輝度比はそれぞれ1.52倍、1.43倍であり、Xe5%の同じ隔壁高さの時の1.29倍、1.20倍と比べると上昇率が大きいことが判る。これは、Xe濃度が25%と増加したためである。
5)Xeの量が50%の場合(表5)の結果
Xeの量が50%で、第1の隔壁の高さが110μmで、第2の隔壁が無い場合、発光輝度は約457cd/cm2であり、この輝度を1.0として、第2の隔壁の高さを徐々に30μmから90μmまで高くするに従ってパネル輝度は第2の隔壁が無い場合に比べて増大し、その高さが約60μmでパネル輝度比が最大で1.6倍になっており、Xe5%の時よりパネル輝度が最大となる第2の隔壁の高さが高い側にシフトしている。
また、更に第2の隔壁を高くすると徐々にパネル輝度比は低下するが、第2の隔壁の高さが80μmでも、1.03倍の値を保っており、第2の隔壁の効果は存在している。また、Xe5%の時と比べて第2の隔壁の高さが70μm、80μmの時でもパネルの輝度比は、それぞれ1.42倍、1.03倍であり、Xe5%の同じ隔壁高さの時の1.2倍、1.0と比べると上昇率が大きいことが判る。これは、Xe濃度が50%と増加したためである。
6)Xeの量が99%の場合(表6)の結果
Xeの量が99%で、第1の隔壁の高さが110μmで、第2の隔壁が無い場合、発光輝度は約478cd/cm2であり、この輝度を1.0として、第2の隔壁の高さを徐々に30μmから90μmまで高くするに従ってパネル輝度は第2の隔壁が無い場合に比べて増大し、その高さが約60μmでパネル輝度比が最大で1.6倍になっており、Xe5%の時よりパネル輝度が最大となる第2の隔壁の高さが高い側にシフトしている。
また、更に第2の隔壁を高くすると徐々にパネル輝度比は低下するが、80μmでも、1.05の値を保っており、第2の隔壁の効果は存在している。また、Xe5%の時と比べて第2の隔壁の高さが70μm、80μmの時でもパネルの輝度比は、それぞれ1.5倍、1.05倍であり、Xe5%の同じ隔壁高さの時の1.2倍、1.0倍と比べると上昇率が大きいことが判る。これは、Xe濃度が99%と増加したためである。
従って、この上記表1〜表6の実験結果により、Xe濃度が5%〜10%までは、第2の隔壁の高さを第1の隔壁の高さの27%〜64%までにすると効果がある。
Xe濃度が10%〜25%までは、第2の隔壁の高さが第1の隔壁の高さの27%〜73%までは効果があるが、より好ましくは、第2の隔壁の高さを第1の隔壁の高さの27〜64%程度に設定することである。
Xe濃度が25%〜99%までは、第2の隔壁の高さが第1の隔壁の高さの27%〜73%までは効果があるが、より好ましくは、第2の隔壁の高さを第1の隔壁の高さの30〜64%程度に設定することである。
また、表1〜表6のように、Xeの量を従来の5%以上、特に、Xeの量を10%〜99%に増加すると絶対輝度がさらに高くなり、パネル輝度比が最大になる第2の隔壁の高さが高い方にシフトする理由は、Xe濃度が増加するに従い、Xeから発せられる紫外線量が増加するのに加え、紫外線の種類が自己吸収のある共鳴線から自己吸収のない分子線に移行するためと、分子線により放電が凝縮しやすくなるため(放電領域が小さくなるため)と考えられる。従って、表示電極対に平行で蛍光体が塗布された第2の隔壁が、表示電極の下方に存在していることと、Xe濃度が10%以上と多いパネル構成によりフルスペックのハイビジョンのような高精細パネルでも輝度と効率の高いパネルの作成が可能となる。
本発明によりPDPの発光輝度、発光効率の向上が可能になり、放電容積に対する発光効率を高めることができるため、その産業上の効果は大である。
本発明の実施の形態1におけるPDP背面パネルの斜視図 本発明における維持放電時の放電領域と蛍光体膜との位置関係を示す断面図 従来例における維持放電時の放電領域と蛍光体膜との位置関係を示す断面図 従来の3電極面放電型プラズマディスプレイパネル(PDP)の斜視図 特許文献1および2におけるPDP背面パネルの斜視図
符号の説明
1 第1の隔壁
2 第2の隔壁
10 前面パネル
11 ガラス基板
12 表示電極
15 誘電体層
16 保護膜
17 放電セル
20 背面パネル
21 ガラス基板
22 データ電極
23 隔壁
24 蛍光体層

Claims (3)

  1. 電極対を構成する表示電極群及び誘電体ガラス層が配設された前面パネルと、データ電極群、蛍光体層及び隔壁群が配設された背面パネルとが、間隔を置いて対向された2枚のパネル間に放電ガスが充填されてなる放電空間を有するプラズマディスプレイパネルであって、前記背面パネル上に設けられたデータ電極に平行なストライプ状の複数の第1の隔壁と、前記前面パネル上に設けられた一対の表示電極と平行な背面パネル上に設けられた第2の隔壁とを有し、前記第2の隔壁が前記一対の表示電極空間の中間下に配置され、且つ側面と上面に蛍光体が塗布されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 第2の隔壁の高さが第1の隔壁の高さの27%〜64%であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 放電ガス中のXe濃度が5%以上であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010082269A1 (ja) * 2009-01-14 2010-07-22 パナソニック株式会社 プラズマディスプレイパネルの製造方法

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WO2010082269A1 (ja) * 2009-01-14 2010-07-22 パナソニック株式会社 プラズマディスプレイパネルの製造方法

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