JP4281257B2 - 機関バルブの駆動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の機関バルブを電磁石の電磁力に基づいて駆動制御する機関バルブの駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関の吸気弁や排気弁といった機関バルブを電磁石の電磁力に基づいて駆動制御するようにした装置が知られている。この種の駆動装置にあっては、機関バルブの駆動に際して、良好な作動安定性を確保することに加え、その駆動に伴う電力消費を極力抑えること、機関バルブがその変位端に達するとき、即ち全閉或いは全開状態になるときの駆動速度を小さくして同バルブの開閉に伴う騒音の発生を抑えること等が望まれる。
【0003】
そこで、特開平9−217859号公報に記載される装置にあっては、機関バルブの実作動状態を検出するとともに、その実作動状態が目標作動状態と一致するように電磁石の電磁力を制御するようにしている。こうした制御により、電磁石の電磁力は上述したような各種の要求に見合った大きさに制御されるようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報に記載の装置によるように、電磁石の電磁力を制御する際には、例えば機関バルブの実位置と目標位置(全開位置或いは全閉位置)との間の位置偏差が求められ、この位置偏差に基づいて、電磁力が機関バルブを目標位置まで変位させる上で適切な大きさになるように電磁石が通電制御される。例えば、この位置偏差が大きい場合には、より大きな電磁力によって機関バルブが開閉駆動されるように、電磁石の励磁電流が増大される。
【0005】
但し、機関バルブには、燃焼室内の内圧(筒内圧)や吸気圧、或いは排気圧に応じた力等の機関負荷に応じて変化する外力が作用している。このため、単に位置偏差等、機関バルブの位置情報のみに基づいて電磁石の電磁力を制御するようにすると、例えば、機関バルブを駆動するのに必要な駆動力がこの外力の影響によって増大しているときに電磁力が不足するようになり、機関バルブの作動安定性を確保できなくなるおそれがある。一方、こうした電磁力の不足を回避するために、予めこれを十分に大きく設定しておくと、機関負荷の状態によっては過剰な電磁力で機関バルブが駆動されてしまうことがあり、電力消費量の増大やその開閉に伴う騒音や振動の発生を招くこととなる。このため、機関バルブを駆動する際の電磁力を適切に制御する上では、こうした外力の影響を考慮すべく機関負荷に応じて電磁石の通電制御を行う必要がある。
【0006】
ところが、このように機関負荷に応じて電磁石の通電制御するためには、機関バルブの位置情報に加え、機関負荷とその機関負荷に適した電磁力との間の関係を実験等を通じて求め、これを制御用マップとして予め設定しておく等、制御定数の適合作業に多くの時間を要することとなる。
【0007】
この発明はこうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、機関負荷に応じた適切な電磁力をもって機関バルブを駆動制御することができ、しかもその制御に用いられる制御定数の適合作業を大幅に簡略化することのできる機関バルブの駆動制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、内燃機関の機関バルブを電磁石の電磁力に基づいて駆動制御する機関バルブの駆動制御装置において、機関無負荷時に対応する前記機関バルブの目標駆動速度を同機関バルブの変位に応じて設定する設定手段と、前記機関バルブの実駆動速度を前記設定される目標駆動速度に一致させるべく、これら実駆動速度及び目標駆動速度の間の乖離度に応じて前記電磁石を通電制御し前記電磁力の大きさを制御する制御手段とを備えるようにしている。
【0009】
機関バルブを安定して駆動するのに必要な駆動力が機関負荷に基づく外力に応じて変化した場合、その外力の影響により実駆動速度は、機関無負荷時に対応する機関バルブの目標駆動速度から乖離するようになる。
【0010】
請求項1に記載の発明の上記構成によれば、こうした機関負荷の影響によって実駆動速度が機関無負荷時に対応する目標駆動速度から乖離すると、その乖離度に応じて電磁石が通電制御され、実駆動速度が機関無負荷時の目標駆動速度と一致するように電磁石の電磁力が制御される。従って、機関負荷に応じて作用する外力が変化した場合であっても、機関無負荷時と同等の開閉特性が確保されるように、機関バルブはその機関負荷に応じた適切な電磁力をもって駆動されるようになる。しかも、上記のように機関負荷に応じて電磁石の電磁力を制御するに際しては、機関負荷とその機関負荷に適した電磁力との間の関係を実験等を通じて求めるなどの適合作業は不要であり、単に機関無負荷時の目標駆動速度を機関バルブの変位に応じて設定しておけばよい。このため、制御定数の適合作業を大幅に簡略化することができるようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の機関バルブの駆動制御装置において、前記制御手段は、機関無負荷時において前記実駆動速度を前記目標駆動速度に一致させて前記機関バルブを駆動するためのフィードフォワード電流を算出するフィードフォワード電流算出手段と、前記実駆動速度及び前記目標駆動速度の間の乖離度に応じてフィードバック電流を算出するフィードバック電流算出手段とを備え、これら算出されるフィードフォワード電流及びフィードバック電流に基づいて前記電磁石を通電制御するものであるとしている。
【0012】
上記構成によれば、フィードフォワード電流に基づくフィードフォワード制御により、機関無負荷時であれば実駆動速度が目標駆動速度と一致するように電磁石の電磁力が制御される。また、機関負荷の影響によって実駆動速度と目標駆動速度との間に乖離が生じた場合でも、フィードバック電流に基づくフィードバック制御を通じて実駆動速度が目標駆動速度と一致するように電磁石の電磁力が制御される。従って、機関負荷に応じて作用する外力が変化した場合であっても、機関無負荷時と同等の開閉特性が確保されるように、機関バルブはその機関負荷に応じた適切な電磁力をもって駆動されるようになる。
【0013】
また、フィードバック制御を通じて機関負荷の影響が補償されるため、フィードフォワード制御におけるフィードフォワード電流は、機関負荷の状態によらず、機関無負荷時において実駆動速度を目標駆動速度に一致させ得る値として設定すればよいことになる。従って、上記構成にあっては、フィードフォワード電流の設定が必要になるとはいえ、その設定に際して機関負荷の影響を敢えて考慮する必要はない。このため、制御定数の適合作業を大幅に簡略化することができるようになる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の機関バルブの駆動制御装置において、前記フィードバック電流算出手段は、前記機関バルブと前記電磁石との間のエアギャップが大きいときほど前記フィードバック電流を算出する際のフィードバックゲインを大きく設定するものであるとしている。
【0015】
機関バルブに作用する電磁力は同機関バルブと電磁石との間のエアギャップの大きさに応じて変化する。即ち、電磁石の励磁電流が同じ大きさであっても、エアギャップが大きくなるほど機関バルブに作用する電磁力は小さくなる。
【0016】
請求項3に記載の発明の上記構成によれば、エアギャップが大きいときほどフィードバックゲインを大きく設定するようにしているため、同エアギャップに応じた適切な大きさの電磁力を電磁石に発生させることができ、より高い追従性並びに収束性をもって実駆動速度を目標駆動速度に一致させることができるようになる。
【0017】
ここで、機関バルブに作用する電磁力の大きさとエアギャップとの関係において非線形性が強いような場合には、エアギャップを複数の領域に区分するとともに、これら各領域毎に電磁力とエアギャップとの関係を線形化し、この線形化された関係に基づいて各領域における最適なフィードバックゲインを予め設定しておくことが望ましい。
【0018】
但し、このようにエアギャップの各領域毎に最適なフィードバックゲインを予め設定しておくようにすると、追従性並びに収束性を高める上で最適な電磁力を算出することができるようになる反面、それに伴う適合作業の増大が避けきれないものとなる。
【0019】
そこで、請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の機関バルブの駆動制御装置において、前記制御手段は、前記機関バルブの駆動速度をモデル変数として含む同機関バルブの物理モデル並びに前記実駆動速度及び前記目標駆動速度に基づいて、前記実駆動速度を前記目標駆動速度に一致させるために必要となる前記電磁力の要求値を算出する電磁力要求値算出手段を備え、該電磁力要求値算出手段により算出される電磁力要求値に基づいて前記電磁石を通電制御するものであるとしている。
【0020】
上記構成によれば、機関バルブが開閉する際の挙動を上記物理モデルを通じてシミュレートすることにより、上記電磁力の要求値を、実駆動速度を目標駆動速度に一致させる上で最適なものとして算出することができるようになる。従って、上述したようなフィードバックゲインの設定が不要となり、制御定数の適合作業を簡略化することができるようになる。
【0021】
また、このように機関バルブの物理モデルを通じて電磁力の要求値を算出する電磁力要求値算出手段は、例えば、請求項5に記載の発明によるように、前記実駆動速度を前記目標速度に一致させるために必要な前記機関バルブの加速度にかかる要求値を算出する加速度要求値算出手段と、機関運転状態に応じて前記機関バルブに作用する外力を推定する外力推定手段とを備え、前記加速度要求値算出手段により算出される加速度要求値及び前記外力推定手段により推定される外力並びに前記物理モデルを記述する前記機関バルブの運動方程式に基づいて前記電磁力要求値を算出するもの、或いは請求項6に記載の発明によるように、前記実駆動速度に基づく前記機関バルブの実エネルギ量と前記目標駆動速度に基づく前記機関バルブの目標エネルギ量との偏差を算出するエネルギ量偏差算出手段を備え、該エネルギ量偏差並びに前記物理モデルを記述する前記機関バルブのエネルギ保存式に基づいて前記電磁力要求値を算出するものとしてこれを構成をすることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明では、請求項1乃至6のいずれかに記載の機関バルブの駆動制御装置において、前記目標駆動速度の大きさは前記機関バルブがその変位端に位置するときに最小値となるように設定される。
【0023】
機関バルブがその変位端に達し、その駆動方向が開弁方向から閉弁方向に、或いは閉弁方向から開弁方向に切り替わるとき、電磁石に当接することにより機関バルブの駆動速度が瞬間的に「0」になる。従って、このように機関バルブが電磁石に当接して駆動速度が「0」になる直前の駆動速度(絶対値)が大きいと、機関バルブと電磁石との衝突によって騒音が発生したり、同機関バルブの急停止に伴う振動が発生したりするようになる。
【0024】
上記構成によれば、機関バルブがその変位端に達して同バルブが全閉或いは全開状態に移行するときの駆動速度の大きさが最も小さくなるように目標駆動速度が設定されているため、こうした機関バルブの開閉に伴う騒音や振動を低減させることができ、ひいてはその駆動に要する電力消費量の低減を図ることができるようになる。
【0025】
請求項8に記載の発明では、請求項1乃至7のいずれかに記載の機関バルブの駆動制御装置において、前記機関バルブは前記電磁石の電磁力に加えてスプリングの弾性力によって駆動されるものであり、前記目標駆動速度は前記機関バルブを前記スプリングの弾性力によってその両変位端の間で自由振動させたときの変位速度と一致するように設定される。
【0026】
上記構成によれば、最もエネルギ損失の少ない態様で機関バルブを駆動することができ、電力消費量の低減を図ることができるようになる。
【0027】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明を内燃機関の吸気バルブ及び排気バルブの駆動制御装置に適用するようにした第1の実施形態について説明する。
【0028】
本実施形態において、吸気バルブ及び排気バルブはいずれも電磁石の電磁力によって開閉駆動される電磁駆動バルブとして構成されている。これら吸気バルブ及び排気バルブは構成並びにその駆動制御態様が同じであるため、以下では排気バルブを例にその構成等について説明する。
【0029】
図1に示されるように、排気バルブ10は、シリンダヘッド18において往復動可能に支持された弁軸20、この弁軸20の一端に設けられた弁体16、並びに弁軸20を往復駆動する電磁駆動部21を備えている。シリンダヘッド18には、燃焼室12に通じる排気ポート14が形成されており、また同排気ポート14の開口近傍には弁座15が形成されている。弁軸20の往復動に伴って弁体16が弁座15に離着座することにより排気ポート14が開閉される。
【0030】
弁軸20において、弁体16が設けられた端部と反対側の端部には、ロアリテーナ22が設けられている。このロアリテーナ22とシリンダヘッド18との間には、ロアスプリング24が圧縮状態で配設されている。弁体16及び弁軸20は、このロアスプリング24の弾性力によって閉弁方向(図1の上方向)に付勢されている。
【0031】
電磁駆動部21は、弁軸20と同軸上に配設されたアーマチャシャフト26を備えている。このアーマチャシャフト26の略中央部分には高透磁率材料からなる円板状のアーマチャ28が固定され、またその一端にはアッパリテーナ30が固定されている。アーマチャシャフト26においてこのアッパリテーナ30が固定された端部と反対側の端部は、弁軸20のロアリテーナ22側の端部に当接されている。
【0032】
電磁駆動部21のケーシング(図示略)内には、アッパコア32がアッパリテーナ30とアーマチャ28との間に位置して固定されている。同じくこのケーシング内には、ロアコア34がアーマチャ28とロアリテーナ22との間に位置して固定されている。これらアッパコア32及びロアコア34はいずれも高透磁率材料によって環状に形成されており、それらの各中央部にはアーマチャシャフト26が往復動可能に貫通されている。
【0033】
上記ケーシングに設けられたアッパキャップ36とアッパリテーナ30との間には、アッパスプリング38が圧縮状態で配設されている。アーマチャシャフト26は、このアッパスプリング38の弾性力により弁軸20側に付勢されている。更に、弁軸20及び弁体16は、このアーマチャシャフト26により開弁方向(図1の下方向)に付勢されている。
【0034】
また、アッパキャップ36には変位センサ52が取り付けられている。この変位センサ52は、同センサ52とアッパリテーナ30との間の距離に応じて変化する電圧信号を出力する。従って、この電圧信号に基づいてアーマチャシャフト26や弁軸20の変位、換言すれば、排気バルブ10の変位を検出することができる。
【0035】
アッパコア32においてアーマチャ28と対向する面には、アーマチャシャフト26の軸心を中心とする環状の溝40が形成され、同溝40内にはアッパコイル42が配置されている。このアッパコイル42とアッパコア32とによって排気バルブ10を閉弁方向に駆動するための電磁石61が構成されている。
【0036】
一方、ロアコア34においてアーマチャ28と対向する面には、アーマチャシャフト26の軸心を中心とする環状の溝44が形成され、同溝44内にはロアコイル46が配置されている。このロアコイル46とロアコア34とによって排気バルブ10を開弁方向に駆動するための電磁石62が構成されている。
【0037】
これら各電磁石61,62のコイル42,46は、内燃機関の各種制御を統括して行う電子制御装置50によって通電制御される。この電子制御装置50は、CPUやメモリ、電磁石61,62の各コイル42,46に励磁電流を供給する駆動回路の他、変位センサ52の検出信号が取り込まれる入力回路、この検出信号をA/D変換するA/D変換器(いずれも図示略)等を備えて構成されている。
【0038】
図1は、アッパコイル42及びロアコイル46のいずれにも励磁電流が供給されず、各電磁石61,62に電磁力が発生していないときの排気バルブ10の状態を示している。この状態では、アーマチャ28は、各電磁石61,62の電磁力によって吸引されることはなく、各スプリング24,38の付勢力が釣り合う、各コア32,34の間の中間位置で静止する。また、この状態では、弁体16は弁座15から離間しており、排気ポート14は半開状態となっている。以下、この状態にあるときの排気バルブ10の位置を中立位置という。
【0039】
次に、各コイル42,46の通電制御を通じて駆動される排気バルブ10の動作態様について説明する。
排気バルブ10を開閉駆動する際には、その開閉駆動に先立ち、中立位置にある排気バルブ10をその変位端である全閉位置にまで変位させ、同位置で静止させるための処理(以下、「初期駆動処理」という)が実行される。この初期駆動処理においては、各コイル42,46に、電子制御装置50の駆動回路から励磁電流が所定周期をもって交互に供給される。こうした通電制御を通じてアーマチャ28、アーマチャシャフト26、及び弁軸20等は、各スプリング24,38の付勢力と各電磁石61,62において交互に発生する電磁力との協働によって強制振動するようになる。そして、このアーマチャ28の振動振幅が徐々に増大し、同アーマチャ28がアッパコア32に当接するようになると、その当接のタイミングに合わせてロアコイル46の通電が停止されるとともに、アッパコイル42には一定の励磁電流が連続的に供給されるようになる。その結果、アーマチャ28は、電磁石61に発生する電磁力によって吸引され、アッパコア32に吸着された状態で静止するようになる。従って、排気バルブ10は全閉位置に保持され、その後に開閉駆動が可能な初期状態となる。
【0040】
そして、こうした全閉位置にある排気バルブ10を内燃機関の運転に同期させて開閉駆動する際には、フィードフォワード電流成分(以下、「FF電流If」という)とフィードバック電流成分(以下、「FB電流Ib」という)との和として設定される励磁電流が電子制御装置50の駆動回路から各電磁石61,62のコイル42,46に選択的に供給される。
【0041】
ここで、排気バルブ10を開閉駆動する際の駆動力は、基本的には、各スプリング24,38の付勢力や、弁体16、弁軸20、アーマチャ28、アーマチャシャフト26等々の質量によって決定されるが、その他に、アーマチャシャフト26と各コア32,34との間や弁軸20とシリンダヘッド18との間等、各摺動部における摩擦抵抗の大きさによっても変化する。また、弁体16には、燃焼室12や排気ポート14の排気圧(吸気バルブにあっては吸気圧)に基づく外力が作用するため、排気バルブ10の駆動力はこの外力の影響を受けて変化する。
【0042】
従って、排気バルブ10の作動安定性を確保するためには、こうした各摺動部の摩擦抵抗の大きさや、筒内圧等に基づく外力の大きさが反映されたかたちで各電磁石61,62の電磁力、換言すれば各コイル42,46に供給される励磁電流の大きさを設定する必要がある。
【0043】
特に、各摺動部の摩擦抵抗の大きさは、機関負荷によらず略一定とみなすことができるのに対し、筒内圧等に基づく外力の大きさは、同機関負荷に応じて大きく変化する。例えば、機関負荷が大きくなると、燃焼圧が高圧になるため、排気バルブ10が開弁するときの筒内圧や排気圧もそれに応じて高くなり、それら圧力に基づく外力の大きさも大きくなる傾向がある。従って、この外力の大きさを考慮することなく上記励磁電流を設定するようにすると、排気バルブ10を駆動するための電磁力が不足してその作動安定性を確保できなくなったり、過剰な電磁力で排気バルブ10が駆動されることで、電力消費量の増大や、その開閉に伴う騒音(アーマチャ28と各コア32,34との当接音や、弁体16と弁座15との衝突音等)及び振動の発生を招くこととなる。
【0044】
そこで、本実施形態では、こうした摩擦抵抗や筒内圧等に基づく外力の大きさを反映させたかたちで上記FF電流If及びFB電流Ibを適切に設定することにより、排気バルブ10の作動安定性を確保しつつ、電力消費量の増大やその開閉に伴う騒音及び振動の発生を抑えるようにしている。
【0045】
次に、これらFF電流If及びFB電流Ibの設定手順について詳細に説明する。まず、FF電流If及びFB電流Ibの設定に際して参照される排気バルブ10の目標駆動速度Vtについて説明する。
【0046】
上記初期駆動処理を通じて排気バルブ10を全閉位置に静止させている状態でアッパコイル42に対する励磁電流の供給を停止させると、アーマチャ28はアッパコア32から離間し、同アーマチャ28、アーマチャシャフト26、各リテーナ22,30、弁軸20、並びに弁体16(以下、これらを総称して「可動部」という)が各スプリング24,38の付勢力によって振動するようになる。
【0047】
ここで仮に、内燃機関の運転が停止されており筒内圧等に基づく外力が弁体16に作用せず、また各摺動部の摩擦抵抗等も存在していないものとすると、上記可動部は各スプリング24,38の弾性力によって自由振動するようになる。
【0048】
本実施形態では、このように排気バルブ10の可動部を自由振動させたときの変位速度を排気バルブ10を駆動する際の目標駆動速度Vtとし、これを排気バルブ10の変位(以下、「バルブ変位」という)Xに応じて設定するようにしている。このように目標駆動速度Vtを設定することにより、各スプリング24,38に蓄えられる弾性エネルギを上記可動部の運動エネルギへと効率的に変換することができ、排気バルブ10を駆動する際のエネルギ損失を極力少なくすることができるようになる。
【0049】
図3は、この目標駆動速度Vtとバルブ変位Xとの関係を示すマップであり、このマップに示される関係は関数データとして電子制御装置50のメモリに予め記憶されている。
【0050】
このマップに示されるように、排気バルブ10が全閉位置から全開位置まで変位する場合(同図に示す実線に沿って点A→点C→点Bと推移する場合)において、目標駆動速度Vtの大きさ(=|Vt|)は、排気バルブ10が全閉位置(点A)或いは全開位置(点B)にあるときに最小値「0」をとり、同排気バルブ10が中立位置(点C)にあるときに最大値(|−Vtmax|)をとる。一方、排気バルブ10が全開位置から全閉位置まで変位する場合(同図に示す実線に沿って点B→点D→点Aと推移する場合)においても同様に、目標駆動速度Vtの大きさは、排気バルブ10が全開位置(点B)或いは全閉位置(点A)にあるときに最小値「0」をとり、同排気バルブ10が中立位置(点D)にあるときに最大値(|Vtmax|)をとる。
【0051】
次に、図2、図4、及び図5を併せ参照して、上記FF電流Ifの設定手順について説明する。図2は、バルブ変位X(同図(a))、各電磁石61,62の各コイル42,46に供給されるFF電流If(同図(b),(c))、並びに排気バルブ10の実駆動速度Va(同図(d))の各々について、それらの機関無負荷時における時間的推移の例を示すタイミングチャートである。尚、同図2において、(b)はアッパコイル42に供給されるFF電流Ifの時間的推移を、(c)はロアコイル46に供給されるFF電流Ifの時間的推移をそれぞれ示している。
【0052】
同図に示されるタイミングt0〜t1の期間において、アッパコイル42に対して供給されるFF電流Ifの大きさは、アーマチャ28をアッパコア32に吸着したまま静止させ得る値(保持電流値)If2に設定されている。従って、排気バルブ10は全閉位置に保持された状態となる。
【0053】
こうした状態から排気バルブ10を開弁させる際には、まずアッパコイル42に対するFF電流Ifの供給が停止される(タイミングt1)。その結果、排気バルブ10の可動部は、アッパスプリング38の付勢力によって開弁方向に移動し始める。その後、実駆動速度Vaの大きさ(絶対値)は徐々に増大し、排気バルブ10が中立位置に達する時点(タイミングt2)で最大となる。そして、排気バルブ10が中立位置を越えて更に変位すると、ロアコイル46に対してFF電流Ifが供給されるようになる。
【0054】
図4は、このロアコイル46に供給されるFF電流Ifの大きさとバルブ変位Xとの関係を示すマップであり、このマップに示されるFF電流Ifとバルブ変位Xとの関係は関数データとして電子制御装置50のメモリに予め記憶されている。
【0055】
このマップに示されるように、排気バルブ10が中立位置よりも所定量だけ全開側にある位置X1から更に全開側の位置X2に達するまでの間(図2においてタイミングt3〜t4)は、FF電流Ifが一定の値If1に設定される。そして、このFF電流Ifがロアコイル46に供給されることにより、アーマチャ28は電磁石62の電磁力によってロアコア34側に吸引されるようになる。
【0056】
そして、排気バルブ10が上記位置X2から全開位置に達するまでの間(タイミングt4〜t5)は、同バルブ10が全開位置に近づくのに伴ってFF電流Ifは徐々に小さい値に設定される。従って、電磁石62に発生する電磁力は徐々に減少するようになる。また、排気バルブ10の可動部は、同バルブ10が全開位置に近づくほど、より大きな付勢力をもってロアスプリング24により閉弁方向に付勢されるようになる。このように電磁石62の電磁力が減少する一方でロアスプリング24の付勢力が増大する結果、実駆動速度Vaの大きさは徐々に減少するようになる。
【0057】
そして、排気バルブ10が全開位置に達すると、その後、FF電流Ifの大きさは、アーマチャ28をロアコア34に吸着したまま静止させ得る値(保持電流値)If2に設定される。その結果、排気バルブ10は全開位置に保持されるようになる。
【0058】
一方、こうした状態から排気バルブ10を再び閉弁させる際には、まずロアコイル46に対するFF電流Ifの供給が停止される(タイミングt6)。その結果、排気バルブ10の可動部は、ロアスプリング24の付勢力によって閉弁方向に移動し始める。その後、実駆動速度Vaの大きさは徐々に増大し、排気バルブ10が中立位置に達する時点(タイミングt7)で最大となる。そして、排気バルブ10が中立位置を越えて更に変位すると、アッパコイル42に対してFF電流Ifが供給されるようになる。
【0059】
図5は、このアッパコイル42に供給されるFF電流Ifの大きさとバルブ変位Xとの関係を示すマップであり、このマップに示されるFF電流Ifとバルブ変位Xとの関係は関数データとして電子制御装置50のメモリに予め記憶されている。
【0060】
このマップに示されるように、排気バルブ10が中立位置よりも所定量だけ全閉側にある位置X3から更に全閉側の位置X4に達するまでの間(図2においてタイミングt8〜t9)は、FF電流Ifが一定の値If1に設定される。そして、このFF電流Ifがアッパコイル42に供給されることにより、アーマチャ28は電磁石61の電磁力によってアッパコア32側に吸引されるようになる。
【0061】
そして、排気バルブ10が上記位置X4から全閉位置に達するまでの間(タイミングt9〜t10)は、同バルブ10が全閉位置に近づくのに伴ってFF電流Ifは徐々に小さい値に設定される。従って、電磁石61に発生する電磁力は徐々に減少するようになる。また、排気バルブ10の可動部は、同バルブ10が全閉位置に近づくほど、より大きな付勢力をもってアッパスプリング38により開弁方向に付勢されるようになる。このように電磁石61の電磁力が減少する一方でアッパスプリング38の付勢力が増大する結果、実駆動速度Vaの大きさは徐々に減少するようになる。
【0062】
そして、排気バルブ10が全閉位置に達すると、その後、FF電流Ifの大きさは、上記保持電流値If2に設定される。その結果、排気バルブ10は全閉位置に保持されるようになる。
【0063】
ここで、各コイル42,46に供給される上記FF電流Ifの大きさは、排気バルブ10の各摺動部における摩擦抵抗等を考慮した上で、機関無負荷時において実駆動速度Vaを上記目標駆動速度Vtに一致させるのに必要最小限の大きさに設定されている。
【0064】
例えば、排気バルブ10を開弁させる際に、ロアコイル46に供給されるFF電流Ifの大きさが十分でないと、排気バルブ10を安定駆動させる上で必要な電磁力が電磁石62に発生せず、アーマチャ28をロアコア34に当接させることができなくなる。その結果、図2(a)に一点鎖線で示されるように、排気バルブ10が全開位置に達することなく中立位置に収束する、いわゆる脱調が発生するようになる。こうした脱調が発生すると、上記初期駆動処理を再び行う必要が生じ、排気バルブ10の作動安定性はもはや確保できなくなる。
【0065】
一方、図2(a),(c),(d)に二点鎖線で示されるように、ロアコイル46に供給されるFF電流Ifの大きさを過度に大きく設定しておくと、排気バルブ10が全閉位置に達する直前(タイミングt4’)の実駆動速度Vaが大きくなる。その結果、アーマチャ28がロアコア34に当接する際のエネルギ損失が大きくなり、電力消費量の増大を招くとともに、その当接に伴う騒音及び振動も増大するようになる。また、アーマチャ28がロアコア34に衝突して跳ね返ることもあり、その跳ね返り量が大きくなると脱調の発生を招くおそれもある。
【0066】
本実施形態では、機関無負荷時において実駆動速度Vaを目標駆動速度Vtに一致させる上で必要最小限の大きさのFF電流Ifを各コイル42,46に供給するようにしているため、排気バルブ10の作動安定性が確保されるとともに、その開閉駆動に伴う電力消費量の増大や騒音及び振動の発生が抑えられるようになる。
【0067】
次に、図6〜8を参照してFB電流Ibの設定手順について説明する。
機関無負荷時においては、排気バルブ10を開閉駆動する際に各コイル42,46に対して上記のように設定されるFF電流Ifを供給することにより、実駆動速度Vaを目標駆動速度Vtに一致させることができるようになる。一方、実際の機関運転時、即ち機関有負荷時においては、筒内圧や排気圧に基づく外力が排気バルブ10の弁体16に作用するため、この外力の影響によって実駆動速度Vaが目標駆動速度Vtから乖離する傾向がある。
【0068】
図6は、こうした傾向にある実駆動速度Va及び目標駆動速度Vtをバルブ変位Xに対応させて示している。同図に示されるように、排気バルブ10を開弁させる際、目標駆動速度Vtは同図に示す実線に沿って点Aから点Bにまで変化するが、実駆動速度Vaは、上記外力の影響を受けるために、この目標駆動速度Vtの変化に追従しきれず、同目標駆動速度Vtよりもその大きさが小さくなる(|Va|≦|Vt|)。本実施形態においては、この実駆動速度Vaと目標駆動速度Vtとの間の乖離度としてこれら両速度の速度偏差ΔVを検出し、この検出される速度偏差ΔVに基づいてFB電流Ibを設定するようにしている。
【0069】
以下、排気バルブ10を開閉駆動する場合を例に、このFB電流IbとFF電流Ifとに基づいて機関バルブを駆動制御する際の手順について図7に示すフローチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、排気バルブ10の開閉駆動に際して各コイル42,46に対する上記保持電流値If2の供給が停止された後に行われる処理であり、電子制御装置50により所定の時間周期Δtをもって繰り返し実行される。
【0070】
この一連の処理では、まず、変位センサ52の検出信号に基づいてバルブ変位Xが読み込まれる(ステップ100)。そして、次式(1)に従って排気バルブ10の実駆動速度Vaが算出される(ステップ110)。尚、このステップの処理を実行する電子制御装置50及び変位センサ52により排気バルブ10の実駆動速度Vaを検出する実駆動速度検出手段が構成される。
【0071】
【数1】
Figure 0004281257
尚、添え字「(i) 」は今回の制御周期における値、「(i-1) 」は前回の制御周期における値、「(i+1) 」は次回の制御周期における推定値をそれぞれ示す。
【0072】
このようにして実駆動速度Vaが算出された後、先の図4或いは図5に示すマップが参照され、FF電流Ifがバルブ変位Xに基づいて算出される(ステップ120)。
【0073】
次に、アーマチャ28と各電磁石61,62との間のエアギャップGが所定値G1以下であるか否かが判断される(ステップ130)。
このエアギャップGは、アッパコア32及びロアコア34のうちアーマチャ28の移動方向側にあるコアと同アーマチャ28との間の距離である。即ち、このエアギャップGは、排気バルブ10を開弁させる際にあっては、アーマチャ28とロアコア34との間の距離に相当し、同排気バルブ10を閉弁させる際にあっては、アーマチャ28とアッパコア32との間の距離に相当する。
【0074】
また、このステップ130においては、エアギャップGの大きさに応じて上記FB電流Ibに基づくフィードバック制御を開始するか否かが判断される。ここで、このようにフィードバック制御の開始をエアギャップGの大きさに基づいて判断するようにしているのは次の理由による。
【0075】
即ち、各電磁石61,62に供給される励磁電流が同じ場合でも、エアギャップGが大きくなるほど、アーマチャ28に作用する電磁力の大きさは小さくなる。換言すれば、エアギャップGが大きくなるほど、各電磁石61,62に供給される電気的エネルギのうち、アーマチャ28の吸引駆動に寄与せず無駄に消費されるものの割合が多くなる傾向がある。そこで、この一連の処理においては、エアギャップGが所定値G1以下であると判断される場合にのみ、上記速度偏差ΔVに基づくフィードバック制御を実行する一方、エアギャップGが所定値G1よりも大きく、各電磁石61,62によりアーマチャ28を吸引駆動する際の電気的効率が低いと判断される場合には、FB電流Ibを「0」に設定することでフィードバック制御を実質的に停止し、電力消費量の増大を極力抑えるようにしている。
【0076】
このステップ130において、エアギャップGが所定値G1以下であると判断された場合には(ステップ130:YES)、先の図3に示すマップが参照され、目標駆動速度Vtがバルブ変位Xに基づいて算出される(ステップ140)。そして、以下の式(2)に従って上記速度偏差ΔVが算出される(ステップ150)。
【0077】
【数2】
Figure 0004281257
上式(2)において、「|Vt|」、「|Va|」は、それぞれ目標駆動速度Vt、実駆動速度Vaの大きさ(絶対値)である。
【0078】
そして、この速度偏差ΔVに基づき以下の式(3)からFB電流Ibが算出される(ステップ160)。
【0079】
【数3】
Figure 0004281257
上記式(3)において、「K」はフィードバックゲインであり、本実施形態では一定の値に設定されている。
【0080】
ここで、速度偏差ΔVは、機関負荷に応じて排気バルブ10の弁体16に作用する外力の大きさが変化し、実駆動速度Vaが目標駆動速度Vtから乖離した場合には、その乖離度が大きくなるほど大きな値として算出される。従って、この速度偏差ΔVとフィードバックゲインKとの積として算出されるFB電流Ibは、こうした機関負荷の影響を補償し得る大きさに設定されるようになる。
【0081】
一方、先のステップ130において、エアギャップGが所定値G1より大きいと判断された場合には(ステップ130:NO)、FB電流Ibが「0」に設定される(ステップ165)。
【0082】
このようにしてステップ160、或いはステップ165においてFB電流Ibが求められた後、次式(4)に基づいて各電磁石61,62を通電制御するための最終的な指令電流Iが算出される(ステップ170)。
【0083】
【数4】
Figure 0004281257
尚、実駆動速度Vaの大きさ|Va|が目標駆動速度Vtの大きさ|Vt|を上回っており、FB電流Ibが負の値として算出される結果、上式(4)に基づき算出される上記指令電流Iが負の値になる場合には、同指令電流Iは「0」に設定される。
【0084】
そして、この指令電流Iに基づいて各電磁石61,62が選択的に通電制御される(ステップ180)。即ち、排気バルブ10を開弁駆動する際には、ロアコイル46に対して指令電流Iが供給され、同バルブ10を閉弁駆動する際には、アッパコイル42に対して指令電流Iが供給される。こうした各電磁石61,62の通電制御を通じて、これら各電磁石61,62の電磁力の大きさが制御された後、この一連の処理は一旦終了される。
【0085】
図8は、この一連の処理に基づいて排気バルブ10が開弁駆動される場合を例に、バルブ変位X(同図(a))、FB電流Ib(同図(b))、FF電流If(同図(c))、並びにこれらFB電流Ib及びFF電流Ifの加算値(指令電流I)(同図(d))について、それらの時間的推移をそれぞれ示している。また、同図(a)において、実線は実際のバルブ変位Xを示し、一点鎖線は実駆動速度Vaが目標駆動速度Vtに一致した状態で排気バルブ10が変位した場合でのバルブ変位Xを示している。
【0086】
同図に示されるように、アッパコイル42へのFF電流Ifの供給が停止されて排気バルブ10の開弁駆動が開始された後、上記エアギャップGが所定値G1に達するまでの期間(タイミングt1〜t2)においては、FF電流If、FB電流Ib、並びに指令電流Iがいずれも「0」であるため、排気バルブ10の可動部は、アッパスプリング38の付勢力に基づいて全開側に変位するようになる。
【0087】
そして、エアギャップGが減少して所定値G1に達すると(タイミングt2)、それ以降はFB電流Ibが上記速度偏差ΔVに応じた値として算出されるようになる。従って、指令電流IはこのFB電流Ibと等しく算出され、フィードバック制御のみが実行されるようになる(タイミングt2〜t3)。
【0088】
更に、バルブ変位Xが上記所定値X1に達すると(タイミングt3)、FF電流Ifがバルブ変位Xに応じた値として算出されるようになる。従って、指令電流IはこのFF電流IfとFB電流Ibとの和として算出され、フィードフォワード制御及びフィードバック制御の双方が併せて実行されるようになる(タイミングt3〜t4)。
【0089】
その後、排気バルブ10の実駆動速度Vaが目標駆動速度Vtに収束し、これら各速度Va,Vtが一致するようになると、上記速度偏差ΔVが「0」になるため、FB電流Ibも「0」として算出されるようになる。従って、この条件(Va=Vt)が満たされている間は、指令電流IがFF電流Ifと等しく設定されるため、実質的にフィードフォワード制御のみが実行されるようになる(タイミングt4〜t5)。そして、バルブ変位Xが全開位置に達すると(タイミングt5)、それ以降はFF電流Ifが上記保持電流値If2と等しく設定され、排気バルブ10が全開位置に保持されるようになる。
【0090】
以上説明した態様をもって機関バルブ(吸気バルブ及び排気バルブ10)を駆動制御するようにした本実施形態によれば、以下に記載するような作用効果を奏することができる。
【0091】
(1)機関負荷に応じて機関バルブに作用する外力が変化する場合であっても、機関無負荷時と同等の開閉特性が確保されるように、機関バルブはその機関負荷に応じた適切な電磁力をもって駆動されるようになる。
【0092】
また、フィードバック制御を通じて機関負荷の影響が補償されるため、フィードフォワード制御におけるFF電流は、機関無負荷時において実駆動速度を目標駆動速度に一致させ得る値として機関負荷の状態によらず設定することができる。従って、FF電流の設定に際して機関負荷の影響を考慮する必要はなく、機関負荷とその機関負荷に適した電磁力との関係を実験等を通じて求めるなどの適合作業は不要になる。このため、制御定数の適合作業を大幅に簡略化することができるようになる。
【0093】
(2)また、機関バルブがその変位端に達して同バルブが全閉或いは全開位置に達する直前の駆動速度の大きさが最も小さくなるように、目標駆動速度を設定するようにしたため、機関バルブの開閉に伴う騒音や振動を低減させることができ、ひいてはその駆動に要する電力消費量の低減を図ることができるようになる。
【0094】
(3)機関バルブを各スプリングの弾性力によってその両変位端の間で自由振動させたときの変位速度と一致するように、目標駆動速度を設定するようにしているため、最もエネルギ損失の少ない態様で機関バルブを駆動することができ、電力消費量の低減を図ることができるようになる。
【0095】
(4)エアギャップGが所定値G1よりも大きく、各電磁石61,62によりアーマチャ28を吸引駆動する際の電気的効率が低いと判断される場合には、FB電流を「0」に設定してフィードバック制御を実質的に停止するようにしているため、電力消費量の増大を極力抑えることができるようになる。
【0096】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0097】
第1の実施形態では、上記速度偏差ΔVに基づきFB電流Ibを算出する際のフィードバックゲインKを一定値に設定するようにしたが、本実施形態では、このフィードバックゲインKを上記エアギャップG及び速度偏差ΔVのそれぞれの大きさに応じて可変設定するようにしている。
【0098】
以下、このフィードバックゲインKの設定手順について図9を参照して説明する。
図9は、これらエアギャップG及び速度偏差ΔVとフィードバックゲインKとの関係を示すマップであり、このマップに示される関係は関数データとして電子制御装置50のメモリに予め記憶されている。
【0099】
このマップに示されるように、フィードバックゲインKは、エアギャップG及び速度偏差ΔVに応じて定まる各領域A,B,C,D,Eに対応して各所定値K1,K2,K3,K4,K5のいずれかに設定される。尚、これら各所定値K1〜K5については、以下の式(5)に基づく大小関係が予め設定されている。
【0100】
【数5】
Figure 0004281257
(領域A)
速度偏差ΔVが所定値ΔV1(>0)以上である場合、フィードバックゲインKは、エアギャップGの大きさによらず、所定値K1に設定される。この領域Aでは、実駆動速度Vaの大きさ|Va|が目標駆動速度Vtの大きさ|Vt|を大きく下回っており、脱調の発生が懸念される。
【0101】
この領域Aでは、フィードバックゲインKを最も大きく設定して各電磁石61,62の電磁力を大きくすることにより、実駆動速度Vaを目標駆動速度Vtに対して速やかに収束させるようにしている。
【0102】
(領域B)
速度偏差ΔVが「0」より小さい場合、フィードバックゲインKは、エアギャップGの大きさによらず、所定値K5に設定される。この領域Bでは、実駆動速度Vaの大きさ|Va|が目標駆動速度Vtの大きさ|Vt|を上回っており、排気バルブ10が全開位置或いは全閉位置に達する際の可動部の速度が大きくなる可能性がある。また、この領域Bでは、FB電流Ibが負の値として算出されるため、フィードバックゲインKが大きいと、このFB電流IbによりFF電流Ifが実質的に減少する結果、指令電流Iが過剰に小さくなり脱調の発生を招くおそれがある。
【0103】
この領域Bでは、フィードバックゲインKを例えば「0」に設定する等、各領域A〜Eのなかで最も小さく設定することにより、指令電流Iのフィードバック制御項(FB電流Ib)を小さくして実駆動速度Vaの増大を抑えるとともに、同指令電流Iのフィードフォワード制御項(FF電流If)を確保して指令電流Iが過剰に小さくなることによる脱調の発生を極力回避するようにしている。
【0104】
(領域C,D,E)
速度偏差ΔVが「0」以上で且つ所定値ΔV1未満である場合、フィードバックゲインKは、エアギャップGの大きさに応じた各領域C〜Eに対応してそれぞれ各所定値K2,K3,K4に設定される。即ち、これら各領域C〜Eでは、エアギャップGが大きくなるほどフィードバックゲインKが大きく設定される。各電磁石61,62に供給される励磁電流が同じ場合であっても、エアギャップGが大きくなるほど、アーマチャ28に作用する電磁力の大きさは小さくなり、一般には、この電磁力の大きさはエアギャップGの大きさに反比例する特性がある。
【0105】
これら各領域C〜Eでは、エアギャップGが大きくなるほどフィードバックゲインKを大きく設定することにより、同エアギャップGに応じた適切な大きさの電磁力を電磁石61,62に発生させ、実駆動速度Vaを目標駆動速度Vtに一致させる際の追従性並びに収束性を向上させるようにしている。
【0106】
先の図7のフローチャートに示すステップ160では、上述したように、エアギャップG及び速度偏差ΔVに基づいてフィードバックゲインKが上記各所定値K1〜K5のいずれかに設定された後、上記式(3)に基づいてFB電流Ibが算出される。
【0107】
以上説明した本実施形態によれば、第1の実施形態において記載した(1)〜(4)の作用効果に加えて更に以下の作用効果を奏することができる。
(5)エアギャップが大きいときほどフィードバックゲインを大きく設定するようにしているため、同エアギャップに応じた適切な大きさの電磁力を各電磁石61,62に発生させることができ、より高い追従性並びに収束性をもって実駆動速度を目標駆動速度に一致させることができるようになる。
【0108】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0109】
上記第2の実施形態では、フィードバックゲインKをエアギャップG及び速度偏差ΔVに応じて区分された各領域A〜Eに対応させて設定するようにしている。このため、機関バルブに作用する電磁力の大きさとエアギャップGとの関係において非線形性が強いような場合であっても、電磁力とエアギャップGとの関係を各領域A〜E毎に近似的に線形化することができ、フィードバックゲインKをそれら各領域A〜Eにおいて最適な値に設定することができるようになる。
【0110】
但し、こうしたゲインスケジューリングは、目標駆動速度Vtに対する実駆動速度Vaの追従性並びに収束性を高める上では有効ではある反面、フィードバックゲインKを各領域に最適なものとして予め設定するための適合作業が必要となる。
【0111】
そこで、この第3の実施形態では、機関バルブの駆動速度をモデル変数として含む物理モデルを構築し、この物理モデルを通じて実駆動速度Vaを目標駆動速度Vtに一致させる上で必要となる電磁力の要求値を算出するようにしている。具体的には、機関バルブが開閉する際の挙動をシミュレートするための運動方程式を求め、この運動方程式に基づいて機関バルブの応答解析を行うことにより、上記電磁力要求値を算出するようにしている。
【0112】
尚、図10に示されるように、本実施形態にかかる機関バルブ(吸気バルブ11及び排気バルブ10)の駆動制御装置が適用される内燃機関は、筒内圧を検出する筒内圧センサ54、吸気通路13の内圧(吸気圧)を検出する吸気圧センサ56、並びに排気通路17の内圧(排気圧)を検出する排気圧センサ58をそれぞれ備えている。上記吸気圧センサ56は、空燃比制御等において吸気圧及び機関回転速度に基づき吸入空気量を検出するためのセンサとしても利用される。また、筒内圧センサ54は、機関バルブに作用する外力を推定するためのセンサであるが、燃焼行程中の最大筒内圧、即ち燃焼圧を検出する燃焼圧センサを既に備える内燃機関にあっては、同センサと兼用することができる。
【0113】
以下、排気バルブ10を開閉駆動する場合を例に、上記電磁力要求値を算出する際の手順について図11に示すフローチャート並びに図12のグラフを参照して説明する。
【0114】
尚、このフローチャートに示される一連の処理は、排気バルブ10の開閉駆動に際して各コイル42,46に対する保持電流の供給が停止された後(例えば図2のタイミングt1以降或いはタイミングt6以降)に行われる処理であり、電子制御装置50により所定の時間周期Δtをもって繰り返し実行される。また、図12は、図6と同様に、実駆動速度Va及び目標駆動速度Vtをバルブ変位Xに対応させて示すものであり、以下では、排気バルブ10の開弁に伴って目標駆動速度Vtが同図に示す実線に沿って点Aから点Dを経て点Bにまで変化する場合について説明する。
【0115】
この一連の処理では、まず、変位センサ52の検出信号に基づいて現制御周期のバルブ変位X(i) (図12の点C参照)が読み込まれる(ステップ200)。そして、先の式(1)に従って現制御周期の実駆動速度Va(i) (図12の点C参照)が算出される(ステップ210)。ここで、変位センサ52の検出信号に混入するノイズの影響を抑えるためには、このようにして算出される実駆動速度Vaに対して一次遅れ処理等、ノイズにより強調される高周波成分を除去するためのフィルタ処理を施すようにするのが望ましい。
【0116】
次に、以下の式(6)に基づいて次制御周期におけるバルブ変位X(i+1) (図12の点D参照)が推定されるとともに、図12に示されるバルブ変位Xと目標駆動速度Vtとの関係に基づいて、このバルブ変位X(i+1) に対応する目標駆動速度Vt(i+1) (図12の点D参照)が読み込まれる(ステップ220)。
【0117】
【数6】
Figure 0004281257
次に、以下の式(7)に基づいて排気バルブ10の実駆動速度Va(=Va(i) )を目標駆動速度Vt(=Vt(i+1) )に一致させるのに必要となる排気バルブ10の加速度にかかる要求値(加速度要求値a)が算出される(ステップ230)。
【0118】
【数7】
Figure 0004281257
このようにして加速度要求値aが算出されると、次に、以下の式(8)に基づいて排気バルブ10に作用する外力Fが推定される(ステップ240)。
【0119】
【数8】
Figure 0004281257
上式(8)において、「fa」は、筒内圧及び排気圧の差圧に応じて排気バルブ10、特にその弁体16に作用する力であり、例えばこれは以下の式(9)に基づいて算出される。尚、機関バルブとして吸気バルブ11に作用する力を推定する場合には、吸気圧センサ56により検出される吸気圧が以下の排気圧に換えて用いられる。
【0120】
【数9】
Figure 0004281257
また、上式(8)において、「fb」は、排気バルブ10の各摺動部における摩擦抵抗であり、予め実験等に基づき求められる一定値である。尚、この摩擦抵抗の大きさは、各摺動部の潤滑状態、特に潤滑油の温度に応じて変化するため、例えば、機関温度(機関冷却水温度等により推定)が低いときほどこの摩擦抵抗fbを大きく設定するなど、同摩擦抵抗fbを機関温度の関数とし、これに基づいて推定するようにしてもよい。
【0121】
ここで、排気バルブ10をばね・質量振動系としてモデル化することにより以下の運動方程式(10)が得られる。尚、同式(10)では、上記中立位置をバルブ変位X(i) の基準位置(X(i) =0となる位置)としている。
【0122】
【数10】
Figure 0004281257
上式(10)において、「m」は上記振動モデルの質量であり、排気バルブ10における可動部の質量等に基づいて設定される。「c」は振動モデルの減衰係数であり、排気バルブ10の各摺動部においてその摺動速度に応じて発生する抵抗力等に基づいて設定される。更に、「k」は振動モデルのばね係数であり、アッパスプリング38及びロアスプリング24等の弾性特性に基づいて設定される。また、「Fem」は排気バルブ10の実駆動速度Vaを目標駆動速度Vtに一致させるのに必要とされる電磁石61,62の電磁力にかかる要求値である。
【0123】
この運動方程式(10)から以下の式(11)が導かれる。そして、この式(11)に基づいて、上記電磁力要求値Femが算出される(ステップ250)。
【0124】
【数11】
Figure 0004281257
次に、この電磁力要求値Femに基づいて各電磁石61,62のコイル42,46に供給される指令電流Iが算出される(ステップ260)。図13は、この算出に際して参照される電磁力要求値Fem及びエアギャップGと指令電流Iとの関係を示すマップであり、このマップに示される関係は関数データとして電子制御装置50のメモリに予め記憶されている。
【0125】
同図13に示されるように、電磁力要求値Femが大きいときほど、またエアギャップGが大きいときほど、指令電流Iは大きな値に設定される。因みに、このように指令電流Iを設定するようにしているのは、これら電磁力要求値Fem、エアギャップG、並びに指令電流Iについて、以下の式(12)に示される関係が成立することに基づいている。
【0126】
【数12】
Figure 0004281257
このようにして指令電流Iが算出された後、この指令電流Iに基づいて各電磁石61,62が選択的に通電制御される(ステップ270)。即ち、排気バルブ10を開弁駆動する際には、ロアコイル46に対して指令電流Iが供給され、同バルブ10を閉弁駆動する際には、アッパコイル42に対して指令電流Iが供給される。こうした各電磁石61,62の通電制御を通じて、これら各電磁石61,62の電磁力の大きさが制御された後、この一連の処理は一旦終了される。
【0127】
以上説明した態様をもって機関バルブを駆動制御するようにした本実施形態によれば、第1の実施形態において記載した(2)〜(4)の作用効果に加えて更に以下の作用効果を奏することができる。
【0128】
(6)機関負荷に応じて機関バルブに作用する外力が変化する場合であっても、機関無負荷時と同等の開閉特性が確保されるように、機関バルブはその機関負荷に応じた適切な電磁力をもって駆動されるようになる。
【0129】
また、機関バルブをばね・質量振動系としてモデル化したモデルを通じてその開閉挙動をシミュレートし、電磁力の要求値を算出するようにしたため、機関負荷とその機関負荷に適した電磁力との関係を予め実験等を通じて求めるなどの適合作業は不要になる。従って、制御定数の適合作業を大幅に簡略化することができるようになる。また併せて、こうしたモデル化を行うことにより、上述したようなエアギャップに応じた最適なフィードバックゲインを設定する作業等も不要になるため、こうした点で更なる適合作業の簡略化を図ることができるようになる。
【0130】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について、上記第3の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0131】
第3の実施形態では、先の式(1)に基づき機関バルブの実駆動速度Vaを算出するとともに(図11のステップ210の処理)、機関負荷に応じて機関バルブに作用する力、即ち排気バルブ10にあっては筒内圧及び排気圧の差圧に応じて作用する力、吸気バルブ11にあっては筒内圧及び吸気圧の差圧に応じて作用する力を各圧力センサ54,56,58によりそれぞれ検出される筒内圧、排気圧、吸気圧に基づいて推定するようにした(図11のステップ240の処理)。
【0132】
これに対して、本実施形態では、機関バルブの開閉挙動をシミュレートするばね・質量系振動モデルに基づいてその内部状態を観測するオブザーバを設定し、このオブザーバを利用することにより、機関バルブの実駆動速度を推定するとともに、筒内圧と排気圧或いは吸気圧との差圧に応じて機関バルブに作用する力及び機関バルブの摺動部における摩擦抵抗の合力を推定するようにしている。従って、本実施形態にかかる機関バルブの駆動制御装置の構成においては、各圧力センサ54,56,58のうち、筒内圧センサ54及び排気圧センサ58は省略されている。
【0133】
以下、排気バルブ10に作用する外力を推定する場合を例に、このオブザーバによる外力の推定手順について説明する。
排気バルブ10をばね・質量振動系としてモデル化することにより以下の運動方程式(13)が得られる。尚、この運動方程式(13)において、「m」、「c」、「k」の各パラメータは先の式(10)において定義されるものと同じである。また、「x」は排気バルブ10のバルブ変位である。「u」は上記振動モデルにおける制御入力、即ち各電磁石61,62の電磁力であり、また、「w」は排気バルブ10に作用する外力であり、これは筒内圧と排気圧との差圧に応じて排気バルブ10に作用する力faと同排気バルブ10の摺動部における摩擦抵抗fbとの合力である。
【0134】
【数13】
Figure 0004281257
ここで、状態変数Xを以下の式(14)に示されるように定義する。
【0135】
【数14】
Figure 0004281257
これら各式(13),(14)から排気バルブ10の振動モデルについて以下の状態方程式(15)が得られる。
【0136】
【数15】
Figure 0004281257
一方、排気バルブ10の振動モデルについてその出力方程式は以下の式(16)のようになる。
【0137】
【数16】
Figure 0004281257
次に、状態変数Xの推定値を「Z」とすると、この推定値Zを求めるためのオブザーバは以下の式(17)のように記述される。尚、同式(17)において「L」はオブザーバゲインである。
【0138】
【数17】
Figure 0004281257
そして、状態変数Xとその推定値Zとの間の推定誤差(=X−Z)を「e」とすると、この推定誤差eは先の各式(15)〜(17)から得られる以下の式(18)によって求められる。
【0139】
【数18】
Figure 0004281257
従って、この式(18)によって求められる推定誤差eが「0」に収束するように上記オブザーバゲインLを適宜設計することにより、先の式(17)から推定値Zを算出することができる。換言すれば、排気バルブ10の駆動速度(実駆動速度Va)を推定することができるようになる。そして、例えば、式(15),(17)において制御入力uを「0」とすれば外力wが推定され、この推定される外力wは、筒内圧及び排気圧の差圧に応じて作用する力fa並びに摩擦抵抗fbの他、更に各電磁石61,62の電磁力を加えたものになる。従って、この推定外力wから現在各電磁石61,62において発生している電磁力を減算することにより、筒内圧及び排気圧の差圧に応じて作用する力fa及び摩擦抵抗fbの合力Fを推定することができる。
【0140】
本実施形態では、このようにオブザーバを通じて推定される排気バルブ10の実駆動速度Vaと図3に示されるマップに基づき設定される目標駆動速度Vtとに基づいて加速度要求値aが算出されるとともに(図11のステップ230)、この加速度要求値aと、同じくオブザーバを通じて推定される上記外力Fとに基づいて電磁力要求値Femが算出される(ステップ250)。そして、この電磁力要求値Femから指令電流Iが算出され(ステップ260)、更にこの指令電流Iに基づいて各電磁石61,62が選択的に通電制御される(ステップ270)。
【0141】
以上説明した態様をもって機関バルブを駆動制御するようにした本実施形態によれば、上記第3の実施形態と同様の作用効果に加え、更に以下の作用効果を奏することができるようになる。
【0142】
(7)機関バルブの開閉挙動をシミュレートするばね・質量系振動モデルに基づいてその内部状態を観測するオブザーバを設定し、このオブザーバを利用することにより、機関バルブに作用する外力を推定するようにしたため、筒内圧センサや排気圧センサ等、この外力を推定するためのセンサを新たに設ける必要がなく、機関バルブの駆動制御装置にかかる構成の簡略化を図ることができるようになる。
【0143】
(8)機関負荷に応じて変化する力はもとより、機関バルブの摺動部における摩擦抵抗が例えば機関温度等に応じて変化する場合であれ、こうした摩擦抵抗の変動にも応じて外力を正確に推定することができる。従って、外力を推定する際の推定精度を高めることができ、ひいては目標駆動速度に対する実駆動速度の追従性及び収束性を一層向上させることができるようになる。
【0144】
(9)先の式(1)に示されるように、変位センサ52の検出信号を微分処理することにより機関バルブの実駆動速度を算出するようにした場合、同変位センサ52の検出信号にノイズが混入すると、そのノイズの影響が強調されるために実駆動速度の算出精度が低下する傾向がある。この点、本実施形態によれば、上記オブザーバを利用することにより、上記外力の他、機関バルブの実駆動速度も併せて推定するようにしているため、こうしたノイズによる悪影響を抑制することができ、ひいては目標駆動速度に対する実駆動速度の追従性及び収束性を一層向上させることができるようになる。
【0145】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について、上記第3の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0146】
本実施形態では、機関バルブの物理モデルを運動方程式ではなく、エネルギ保存式に基づいて記述するようにしている点が上記第3の実施形態と相違している。具体的には、機関バルブの実駆動速度に基づいて同機関バルブの実力学的エネルギ量を算出するとともに、目標駆動速度に基づいて同機関バルブの目標力学的エネルギ量を算出し、これら偏差を算出するようにしている。そして更に、このエネルギ量偏差と、機関バルブについてのエネルギ保存式に基づいて電磁力要求値を算出するようにしている。尚、本実施形態にかかる機関バルブの駆動制御装置の構成においては、各圧力センサ54,56,58のうち、筒内圧センサ54及び排気圧センサ58は省略されている。
【0147】
以下、排気バルブ10を開閉駆動する場合を例に、上記電磁力要求値を算出する際の手順について図14に示すフローチャートを参照して説明する。
尚、このフローチャートに示される一連の処理は、排気バルブ10の開閉駆動に際して各コイル42,46に対する保持電流の供給が停止された後(例えば図2のタイミングt1以降或いはタイミングt6以降)に行われる処理であり、電子制御装置50により所定の時間周期Δtをもって繰り返し実行される。
【0148】
この一連の処理では、まず、ステップ300〜320の各処理を通じて現制御周期における排気バルブ10の実駆動速度Va(i) が算出されるとともに、次制御周期の目標駆動速度Vt(i+1) が読み込まれる。尚、これら各ステップ300〜320の処理内容は、図11のステップ200〜220と同様であるため、その説明は割愛する。
【0149】
次に、以下の式(19)に基づいて排気バルブ10の現制御周期における実力学的エネルギ量Eaが算出される(ステップ330)。
【0150】
【数19】
Figure 0004281257
ここで、上式(19)の右辺第1項は、モデル化された排気バルブ10の運動エネルギ量であり、同項において「m」は排気バルブ10における可動部の質量等に基づいて設定される係数である。また、上式(19)の右辺第2項は、モデル化された排気バルブ10の弾性エネルギ量であり、同項において「k」はアッパスプリング38及びロアスプリング24等の弾性特性に基づいて設定される係数である。
【0151】
次に、以下の式(20)に基づいて排気バルブ10の次制御周期における目標力学的エネルギ量Etが算出される(ステップ340)。
【0152】
【数20】
Figure 0004281257
このようにして実力学的エネルギ量Ea及び目標力学的エネルギ量Etがそれぞれ算出されると、次にこれら各エネルギ量Ea,Etの偏差ΔEが以下の式(21)に基づいて算出される(ステップ350)。
【0153】
【数21】
Figure 0004281257
このエネルギ量偏差ΔEは、機関負荷に応じて作用する力や摺動部の摩擦抵抗等、排気バルブ10に作用する外力に応じて変化するようになる。即ち、仮に排気バルブ10にこうした外力が全く作用しないのであれば、排気バルブ10の有する力学的エネルギ量は常に一定であり変化することはない。しかしながら実際には、外力の影響により排気バルブ10の有する力学的エネルギ量は変化し、上記実力学的エネルギ量Eaと目標力学的エネルギ量Etとの間に偏差が生じるようになる。従って、これら各力学的エネルギ量Ea,Etの偏差ΔEを求め、このエネルギ量偏差ΔEに基づいて電磁力要求値を設定することにより、外力を直接求めることなく、同外力による影響を反映させたかたちで電磁力を制御することができるようになる。
【0154】
この際の具体的な制御態様は以下のようになる。即ち、次制御周期において実力学的エネルギ量Eaが目標力学的エネルギ量Etに一致するようになるためには、現制御周期から次制御周期までの期間に各電磁石61,62の電磁力を通じてなされる仕事量Fem(X(i+1) −X(i) )、換言すれば排気バルブ10に与えられるエネルギ量が、排気バルブ10に外力が作用することによって生じる上記エネルギ量偏差ΔEと一致している必要がある。即ち、このエネルギ量偏差ΔEと上記仕事量Fem(X(i+1) −X(i) )との間において、以下の式(22)に示される関係が成立する必要がある。
【0155】
【数22】
Figure 0004281257
従って、最終的に電磁力要求値Femは、この式(22)から得られる以下の式(23)に基づいて算出される(ステップ360)。
【0156】
【数23】
Figure 0004281257
このようにして電磁力要求値Femが算出された後、次のステップ370,380の各処理を通じて各電磁石61,62のコイル42,46に供給される指令電流Iが算出されるとともに、この指令電流Iに基づいて各電磁石61,62が選択的に通電制御される。尚、これら各ステップ370,380の処理内容は、図11のステップ260,270と同様であるため、その説明は割愛する。
【0157】
以上説明した態様をもって機関バルブを駆動制御するようにした本実施形態によれば、第3の実施形態と同等の作用効果を奏することができるのに加え、上記第4の実施形態において(7)に示した作用効果と実質的に同様の作用効果を奏することができるようになる。
【0158】
(10)即ち、本実施形態では、機関バルブについてのエネルギ保存式を用いて電磁力要求値を算出するようにしており、この算出においては、機関負荷に応じて作用する力や摺動部の摩擦抵抗等、機関バルブに作用する外力の影響が上記エネルギ量偏差の大きさとして反映されるようになる。このため、外力そのものを直接算出する必要がない。従って、筒内圧センサや排気圧センサ等、この外力を推定するためのセンサを新たに設ける必要がなく、機関バルブの駆動制御装置にかかる構成の簡略化を図ることができるようになる。
【0159】
上記各実施形態は以下のようにその構成を変更して実施することもできる。
・上記第2の実施形態では、フィードバックゲインKをエアギャップG及び速度偏差ΔVに応じた各領域A〜Eに対応して各所定値K1〜K5のいずれかに可変設定するようにしたが、このフィードバックゲインKの設定態様は任意に選択することができる。例えば、エアギャップGのみに基づいて、このフィードバックゲインKを同エアギャップGが大きくなるほど段階的に大きく設定するようにしてもよい。また、マップ演算によらず、例えば次のような関係式(24)を用いて、フィードバックゲインKをエアギャップGに応じて連続的に変化するように設定することもできる。
【0160】
【数24】
Figure 0004281257
・上記第2の実施形態では、フィードバックゲインKの設定に際し、上記領域Aでは、同フィードバックゲインKを所定値K1に設定するようにしたが、この領域Aにおいて、エアギャップGが小さいとき、即ち排気バルブ10が全開位置或いは全閉位置に近づいたときに、フィードバックゲインKをこの所定値K1よりも更に大きく設定するようにしてもよい。即ち、排気バルブ10が全開位置或いは全閉位置に近づいたときに、速度偏差ΔVが所定値ΔV1より大きい場合には、同排気バルブ10が全開位置或いは全閉位置に達する前に実駆動速度Vaが「0」になって脱調に至るおそれがある。上記のように構成すれば、こうした脱調の発生を極力回避することができるようになる。
【0161】
・上記第1及び第2の実施形態では、各電磁石61,62を通電制御する際の指令電流IをFB電流Ib及びFF電流Ifに基づき設定することで、フィードバック制御及びフィードフォワード制御の双方を実行するようにしたが、例えばFB電流Ibのみに基づいて各電磁石61,62を通電制御する等、フィードバック制御のみを実行するようにしてもよい。
【0162】
・上記第1及び第2の実施形態では、速度偏差ΔVに基づいてFB電流Ibを算出する際、PID制御のP項(比例項)のみを算出するようにしたが、これに併せてI項(積分項)やD項(微分項)を算出するようにしてもよい。
【0163】
・上記各実施形態では、エアギャップGが減少して所定値G1以下になったときにフィードバック制御を開始するようにしたが、同エアギャップGの大きさによらず常にフィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0164】
・上記第1及び第2の実施形態では、実駆動速度Vaと目標駆動速度Vtとの間の乖離度を示すパラメータとしてこれら速度偏差ΔVを算出するようにしたが、例えばこの乖離度を各速度Va,Vtの比(Va/Vt)によって評価するようにしてもよい。
【0165】
・上記第3の実施形態では、現制御周期における実駆動速度Va(i) と次制御周期のバルブ変位X(i+1) (推定値)に対応する目標駆動速度Vt(i+1) (同じく推定値)とに基づいて加速度要求値aを算出するようにしたが現制御周期における実駆動速度Va(i) と、同じく現制御周期のバルブ変位X(i) (実測値)に対応する目標駆動速度Vt(i) とに基づいてこの加速度要求値aを算出するようにしてもよい。
【0166】
・上記第3の実施形態では、排気バルブ10に対して機関負荷に応じて作用する力を筒内圧及び排気圧の差圧に基づいて推定するようにした。ここで、筒内圧が機関運転状態に応じて大きく変化するのに対し、排気圧は筒内圧よりもその変化量が比較的小さいことに着目し、排気圧を一定とみなし、筒内圧のみによって排気バルブ10に作用する力を推定するようにしてもよい。或いは、筒内圧と排気圧とが相関を有することから、筒内圧に基づいて排気圧を推定するようにしていもよい。このようにすれば、排気圧センサ58を省略することができ、構成の簡略化を図ることができるようになる。
【0167】
・上記第3の実施形態では、外力の推定に際して用いられる吸気圧を吸気圧センサ56により直接検出するようにしたが、例えばエアフローメータにより検出される吸入空気量及び機関回転速度に基づいて、この吸気圧を推定するようにしてもよい。
【0168】
・上記第5の実施形態では、先の式(23)に基づいて電磁力要求値Femを算出するようにしたが、例えば現制御周期において機関バルブに作用する外力を推定し、この推定外力を打ち消す力、即ち推定外力と逆向きの力を上式(23)から得られる値に加算し、これを電磁力要求値Femとして設定するようにしてもよい。こうした構成によれば、上記打ち消し力によって外力により生じるエネルギ量偏差がいわばフィードフォワード的に打ち消されるようになるため、実駆動速度Vaの目標駆動速度Vtに対する追従性及び収束性を更に高めることができるようになる。尚、外力についてはこれを、第3の実施形態にて示したように、各圧力センサ54,56,58の検出信号に基づいて推定したり、或いは第4の実施形態にて示したように、オブザーバを利用して推定することができる。
【0169】
・上記第3〜5の実施形態では、先の図13に基づいて指令電流Iを算出するようにしたが、電磁力要求値Femが大きいときほど、またエアギャップGが大きいときほど、大きな値に設定されるのであれば、この指令電流Iは任意の方法でこれを算出することができる。例えば、以下の式(25)に示されるような関数式に基づいて指令電流Iを算出することもできる。
【0170】
【数25】
Figure 0004281257

【図面の簡単な説明】
【図1】排気バルブ及びその駆動制御装置を示す概略構成図。
【図2】バルブ変位等の機関無負荷時における時間的推移を示すタイミングチャート。
【図3】目標駆動速度とバルブ変位との関係を示す演算用マップ。
【図4】ロアコイルに供給されるフィードフォワード電流の大きさとバルブ変位との関係を示す演算用マップ。
【図5】アッパコイルに供給されるフィードフォワード電流の大きさとバルブ変位との関係を示す演算用マップ。
【図6】実駆動速度及び目標駆動速度の各推移態様をバルブ変位と対応させて示すグラフ。
【図7】第1の実施形態におけるバルブ駆動制御の手順を示すフローチャート。
【図8】バルブ変位、フィードバック電流、フィードフォワード電流等の時間的推移を示すタイミングチャート。
【図9】フィードバックゲインを設定する際に参照される演算用マップ。
【図10】第3の実施形態においてバルブ駆動制御装置が適用される内燃機関の概略構成図。
【図11】第3の実施形態におけるバルブ駆動制御の手順を示すフローチャート。
【図12】実駆動速度及び目標駆動速度の各推移態様をバルブ変位と対応させて示すグラフ。
【図13】電磁力要求値及びエアギャップと指令電流Iとの関係を示す演算用マップ。
【図14】第5の実施形態におけるバルブ駆動制御の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…排気バルブ、11…吸気バルブ、12…燃焼室、13…吸気通路、14…排気ポート、15…弁座、16…弁体、17…排気通路、18…シリンダヘッド、20…弁軸、21…電磁駆動部、22…ロアリテーナ、24…ロアスプリング、26…アーマチャシャフト、28…アーマチャ、30…アッパリテーナ、32…アッパコア、34…ロアコア、36…アッパキャップ、38…アッパスプリング、40,44…溝、42…アッパコイル、46…ロアコイル、50…電子制御装置、52…変位センサ、54…筒内圧センサ、56…吸気圧センサ、58…排気圧センサ、61,62…電磁石、X…バルブ変位、ΔV…速度偏差、Va…実駆動速度、Vt…目標駆動速度、K…フィードバックゲイン、G…エアギャップ。

Claims (8)

  1. 内燃機関の機関バルブを電磁石の電磁力に基づいて駆動制御する機関バルブの駆動制御装置において、
    機関無負荷時に対応する前記機関バルブの目標駆動速度を同機関バルブの変位に応じて設定する設定手段と、
    前記機関バルブの実駆動速度を前記設定される目標駆動速度に一致させるべく、これら実駆動速度及び目標駆動速度の間の乖離度に応じて前記電磁石を通電制御し前記電磁力の大きさを制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする機関バルブの駆動制御装置。
  2. 前記制御手段は、機関無負荷時において前記実駆動速度を前記目標駆動速度に一致させて前記機関バルブを駆動するためのフィードフォワード電流を算出するフィードフォワード電流算出手段と、前記実駆動速度及び前記目標駆動速度の間の乖離度に応じてフィードバック電流を算出するフィードバック電流算出手段とを備え、これら算出されるフィードフォワード電流及びフィードバック電流に基づいて前記電磁石を通電制御する
    請求項1に記載の機関バルブの駆動制御装置。
  3. 前記フィードバック電流算出手段は、前記機関バルブと前記電磁石との間のエアギャップが大きいときほど前記フィードバック電流を算出する際のフィードバックゲインを大きく設定する
    請求項2に記載の機関バルブの駆動制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記機関バルブの駆動速度をモデル変数として含む同機関バルブの物理モデル並びに前記実駆動速度及び前記目標駆動速度に基づいて、前記実駆動速度を前記目標駆動速度に一致させるために必要となる前記電磁力の要求値を算出する電磁力要求値算出手段を備え、該電磁力要求値算出手段により算出される電磁力要求値に基づいて前記電磁石を通電制御する
    請求項1に記載の機関バルブの駆動制御装置。
  5. 前記電磁力要求値算出手段は、前記実駆動速度を前記目標速度に一致させるために必要な前記機関バルブの加速度にかかる要求値を算出する加速度要求値算出手段と、機関運転状態に応じて前記機関バルブに作用する外力を推定する外力推定手段とを備え、前記加速度要求値算出手段により算出される加速度要求値及び前記外力推定手段により推定される外力並びに前記物理モデルを記述する前記機関バルブの運動方程式に基づいて前記電磁力要求値を算出する
    請求項4に記載の機関バルブの駆動制御装置。
  6. 前記電磁力要求値算出手段は、前記実駆動速度に基づく前記機関バルブの実エネルギ量と前記目標駆動速度に基づく前記機関バルブの目標エネルギ量との偏差を算出するエネルギ量偏差算出手段を備え、該エネルギ量偏差並びに前記物理モデルを記述する前記機関バルブのエネルギ保存式に基づいて前記電磁力要求値を算出する
    請求項4に記載の機関バルブの駆動制御装置。
  7. 前記目標駆動速度の大きさは前記機関バルブがその変位端に位置するときに最小値となるように設定される
    請求項1乃至6のいずれかに記載の機関バルブの駆動制御装置。
  8. 前記機関バルブは前記電磁石の電磁力に加えてスプリングの弾性力によって駆動されるものであり、前記目標駆動速度は前記機関バルブを前記スプリングの弾性力によってその両変位端の間で自由振動させたときの変位速度と一致するように設定される
    請求項1乃至7のいずれかに記載の機関バルブの駆動制御装置。
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