JP4281254B2 - 車両用ワイパ制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、降雨状態を検出する雨滴検出部の検出信号に応じてワイパ払拭動作を制御し、ウィンドウガラス表面の良好な視界を自動で確保する車両用ワイパ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば自動車に搭載された車両用ワイパ制御装置として、雨滴検出装置が検出した雨滴検出信号に基づいてワイパ装置を自動作動させるものが知られている。また、夜間時に雨滴が自動車のフロントウィンドシールドに付着した場合においては、昼間時に比べてこの付着した雨滴に周囲からの光等が取り込まれて乱反射が起こり、視界を悪化させている。この視界を悪化させる現象の主要因は、夜間時における対向車等の前方照射ライト光が雨滴に乱反射することで起こり、ドライバの視界を妨げるのである。そこで、昼間時に比べて夜間時でのワイパ払拭回数を増やすように制御して、雨滴の除去能力を向上させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術では、夜間時においてワイパ払拭回数を増やす制御は、例えば自車両のライトスイッチのON信号を検知することで夜間を判別し、このライトスイッチのON信号を検知するのみで一律に昼間と夜間との2段階のワイパ払拭モードを切替えていた。しかし、ライトスイッチのON信号、かつハイビームの使用時にあっては、対向車がいない場合であると想定できる。この対向車がいない場合においては、対向車等の前方照射ライト光が無く、この前方照射ライト光が雨滴に乱反射することは起こらない。つまり、夜間におけるライトスイッチのON信号、かつハイビームの使用時にあっては、対向車の前方照射ライト光がある場合と同様のワイパ払拭回数は不要である。このように、不要なワイパ払拭動作を行わせることは、ワイパ装置の性能劣化を早めるとともに、ワイパ払拭動作はドライバーの視界を遮るように動作することから乗員への不快感を増長するので問題である。
【0004】
本発明の目的は上記の点に鑑み、夜間の周囲状況に合わせた最適なワイパ作動を可能として、ワイパ装置の耐久性並びに乗員の快適性を向上させる車両用ワイパ制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1記載の車両用ワイパ制御装置によると、ワイパスイッチが自動モードを選択された時に、車両のフロントウィンドシールド上の雨滴の有無を検出する雨滴検出部からの検出信号に基づいてワイパ払拭動作モードの選択制御を行う制御部を備えた車両用ワイパ制御装置であって、制御部は、前方照射ライトの照射モードを示すライトスイッチの切換え信号を受け、切換え信号がハイビームモード時には、切換え信号がロービームモード時に比べてワイパ払拭回数を減らすように制御することを特徴とする。
【0006】
ライトスイッチをハイビームに切換える場合においては、対向車がいない場合であると想定できる。このことは、夜間時における対向車の前方照射ライト光が自車両のフロントウィンドシールド上に付着した雨滴に乱反射することが無くなり、ドライバーの視界を悪化させる現象の主要因が取り除かれる。よって、ハイビームの使用時にあっては切換え信号をロービーム使用時と同様、つまり対向車の前方照射ライト光がある場合と同様のワイパ払拭回数は不要であるとともに、不要なワイパ払拭動作はドライバーの視界を遮るように動作することから乗員への不快感を増長している。
【0007】
このように、ライトスイッチの切換え信号がハイビームモード時には、ライトスイッチの切換え信号がロービームモード時に比べてワイパ払拭回数を減らすことにより、ワイパ装置の耐久性並びに乗員の快適性を向上させることができる。
【0008】
本発明の請求項2記載によると、制御部は、切換え信号がライトオフモード時、ハイビームモード時、およびロービームモード時の各モードに合せたワイパ払拭回数を選択するように制御することを特徴とする。
【0009】
ライトオフモード時、ハイビームモード時、およびロービームモード時の各モードに合せたワイパ払拭回数を選択するので、各モード使用時の状況に合ったワイパ払拭動作がおこなわれて不要なワイパ払拭動作が低減される効果がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である車両用ワイパ制御装置を図面を参照して詳細に説明する。本発明の車両用ワイパ制御装置は、降雨状態を検出する雨滴検出装置を利用して、ウィンドウガラス表面の良好な視界を自動で確保するオートワイパ制御装置である。それによって、夜間の周囲状況に合わせた最適なワイパ作動を可能として、ワイパ装置の耐久性並びに乗員の快適性を向上させている。図1および図2を用いて構成を説明する。図1は、ワイパ制御システム全体の概略構成図である。図2は、フロントウィンドシールド上に装着された雨滴検出部2を示す概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、本発明の車両用ワイパ制御装置1を備えたワイパ制御システムは、ワイパ制御装置1、雨滴検出部2、前方照射ライトとしてのヘッドライトの照射モードを示すライトスイッチ8、ワイパスイッチ9、およびワイパ装置12等から構成される。ワイパ制御装置1は、雨滴検出部2および制御部7等からなり、制御部7から雨滴検出部2へ駆動信号7aを送信し、制御部7は雨滴検出部2から検出信号2aを受信し、降雨状態を検出する雨滴検出機能と、降雨状態および各スイッチ8、9の状態からワイパ払拭動作モードを決定し、ワイパ装置12を制御するワイパ払拭制御機能とを有する。なお、詳細は雨滴検出部2の構成とともに後述する。
【0012】
ライトスイッチ8は、制御部7に対しヘッドライトの照射モードとして、ライトオフ(停止)、ロービーム、およびハイビームの3つの作動位置の切換え信号8aを出力する。また、ワイパスイッチ9は、制御部7に対しワイパ装置12の停止(OFF)、オートモード(AUTO)、低速作動(Lo)、および、高速作動(Hi)の4つの作動モードを示す切換え信号9aを出力する。そして、制御部7は、上述した雨滴検出部2からの検出信号2a、ライトスイッチ8からの切換え信号8a、およびワイパスイッチ9からの切換え信号9aに基づいてワイパ払拭動作モード(単位時間当たりのワイパ作動回数)の指示信号7bをワイパモータドライバ10に送信する。このように、ワイパモータドライバ10が指示信号7bを受信するとワイパモータドライバ10は、この指示信号7bに従いワイパモータ11へ駆動電流10aを送信する。これにより、ワイパモータ11が作動し、ワイパ払拭動作が行われる。
【0013】
図2に示すように、雨滴検出部2は、車両のフロントウィンドシールド3上の雨滴Xの状態(有無および雨滴量)を検出でき、フロントウィンドシールド3上の車室内側の運転者の視界を妨げない部位、例えば上方に、光を透過する透明接着剤等を用いて取付ける。そして、この雨滴検出部2は、光学的に雨滴Xの状態(有無および雨滴量)を検出でき、駆動信号7aに応じた入射光4aを発光させるLED(発光素子)4、雨滴Xの付着した量に応じて減光される反射光10を受光し、この受光量に応じた検出信号2aを発信するフォトダイオード(受光素子)6、入射光4aおよび反射光10を案内するプリズム5等から構成される。
【0014】
次に、ワイパ制御装置1の作動を図3から図5を用いて説明する。図3は、図1中の制御部7による制御動作を説明するフローチャートである。図4は、ワイパ払拭動作モードの選択を説明するフローチャートである。図5は、ワイパ払拭動作モードを説明する説明図である。先ず、図3のS110(Sはステップを表す)にて、乗員がワイパスイッチ9のオートモード(AUTO)を選択するとS120へ進む。S120では、制御部7から雨滴検出部2へ駆動信号7aが送信されるとともに、制御部7は検出信号2aを受信し、この検出信号2aに基づいて制御部7がフロントウィンドシールド3上の雨滴Xの状態(有無および雨滴量)を判定する。
【0015】
次いで、S130では、予めメモリ(ROM等)内に記憶したワイパ払拭動作モードを呼び出す。この時に呼び出すワイパ払拭動作モードは、昼間時のワイパ払拭動作モードであり、このワイパ払拭動作モードを図5中Aの一点鎖線に示す。なお、ワイパ払拭動作モードは、図5に示すように予め雨滴Xの状態(有無および雨滴量)を示す指標値(図5のX軸)に対応する単位時間当たりのワイパ作動回数(図5のY軸)の2元マップデータとして、制御部7内のメモリ(ROM等)に記憶している。
【0016】
そして、S140では、S130にて呼び出した図5中Aの一点鎖線に示すマップデータとS120にて判定したフロントウィンドシールド3上の雨滴Xの状態(有無および雨滴量)を示す指標値に基づき、ワイパ払拭回数が仮決定される。
【0017】
S140に引き続きS150では、制御部7はライトスイッチ8よりの切換え信号8a(ライトスイッチの情報)を受信する。そして、S160では、このライトスイッチの情報に基づいて、ワイパ払拭回数が本決定される。そして、S170にて、制御部がワイパモータドライバ10に指示信号7bを送信することでワイパモータ11が作動し、ワイパ払拭動作が行われる。
【0018】
このS150、およびS160におけるワイパ払拭動作モードの選択の詳細について、図4を用いて説明する。先ず、S210では、制御部7が図3中S140にて受信したライトスイッチ8よりの切換え信号8aが、ON信号(ロービームモード、またはハイビームモードのいずれか)であるかの確認を行う。そして、この切換え信号8aが、ON信号でない場合、つまり停止(OFF)信号の場合は、昼間時のワイパ払拭動作モードAを選択する(S220)。また、S210にて切換え信号8aが、ON信号の場合、つまりロービームモード、またはハイビームモードのいずれかの信号である場合は、S230へ進む。
【0019】
S230では、ハイビームモードでない場合、つまりロービームモードの場合は、昼間時のワイパ払拭動作モードBを選択し(S240)、ハイビームモードの場合は、ワイパ払拭動作モードCを選択する(S250)。なお、上述したS220、S240、およびS250のいずれかのワイパ払拭動作モードが選択されると当該処理は一旦終了する。そして、S160では、この本決定されたワイパ払拭動作モードに基づき、制御部7がワイパモータドライバ10へ指示信号7bを送信し、ワイパモータ11を作動させてワイパ払拭動作が行われる。
【0020】
次に、図5を用いて上述したワイパ払拭動作モードAからCを説明する。つまり、制御部7がライトスイッチ8よりの切換え信号8aであるライトオフモード時、ハイビームモード時、およびロービームモード時の各モードに合せてワイパ払拭回数を選択するように制御する様子を説明する。
【0021】
切換え信号8aがライトオフモード(昼間時)である場合、つまりS220が選択された時は、図5中Aの一点鎖線で示すマップデータと、S120にて判定したフロントウィンドシールド3上の雨滴Xの状態(有無および雨滴量)を示す指標値に基づき、ワイパ払拭回数が本決定される。
【0022】
切換え信号8aがロービームモードである場合、つまりS240が選択された時は、図5中Aの一点鎖線で示すマップデータに対してワイパ払拭回数を増やす方向(矢印(ロ)方向)にシフトした図5中Bの破線で示すマップデータと、S120にて判定したフロントウィンドシールド3上の雨滴Xの状態(有無および雨滴量)を示す指標値に基づき、ワイパ払拭回数が本決定される。
【0023】
また、切換え信号8aがハイビームモードである場合、つまりS250が選択された時は、図5中Bの破線で示すマップデータに対してワイパ払拭回数を減らす方向(矢印(ハ)方向)にシフトした図5中Cの実線で示すマップデータと、S120にて判定したフロントウィンドシールド3上の雨滴Xの状態(有無および雨滴量)を示す指標値に基づき、ワイパ払拭回数が本決定される。
【0024】
このように、ライトスイッチ8をロービームにする場合は、夜間時における対向車のある場合と想定されるので、この対向車のライト光が雨滴Xに乱反射してドライバの視界を妨げる。これを防ぐために、上記した手順でワイパ払拭回数を増やすように制御部7が制御する。
【0025】
また、ライトスイッチ8をハイビームにする場合は、夜間時における対向車のない場合と想定されるので、対向車のライト光が雨滴Xに乱反射することが無くなり、ドライバーの視界を悪化させる現象の主要因が取り除かれる。この結果、上記した手順でワイパ払拭回数を減らすように制御部7が制御する。
【0026】
上述したように、ライトスイッチ8の切換え信号の状況、つまり昼間と夜間、および夜間の周囲状況に合わせた最適なワイパ作動(単位時間当たりのワイパ払拭回数)、つまり不要なワイパ払拭動作が低減されるようにワイパ作動を制御可能として、ワイパ装置12の耐久性並びに乗員の快適性を向上させるワイパ制御装置1が提供できる。
【0027】
なお、本発明の実施にあたり、ワイパスイッチ9が自動モードを選択され、かつライトスイッチの切換え信号がハイビーム信号時には、ライトスイッチの切換え信号がロービームモード時に比べてワイパ払拭回数を減らすようにワイパ払拭動作モードの選択を行えばよいのである。つまり制御部7が雨滴検出部2からの検出信号2a、およびライトスイッチ8よりの切換え信号8a(ライトスイッチの情報)に基づいてワイパ払拭動作モードを選択すればよいのであって、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、雨滴検出部2からの検出信号2aを得て、雨判定する判定値をライトスイッチ8よりの切換え信号8aにより変化させるようにしてもよい。
【0028】
また、本発明の実施にあたり、雨滴Xの状態(有無および雨滴量)を示す指標値(図5のX軸)に対応する単位時間当たりのワイパ作動回数(図5のY軸)の2元マップデータを、図5のワイパ払拭動作モードAからCに示すように、階段状のマップとしたが、これに限定される事無く、例えば雨滴Xの状態(有無および雨滴量)を示す指標値に対応して、単位時間当たりのワイパ作動回数を連続的に比例対比させた両者の2元マップデータとしてもよい。
【0029】
また更に、本発明の実施にあたり、制御部7を車両用ワイパ制御装置1内に備える構成としたが、例えばワイパモータドライバ10等の他の制御装置等内に装備される構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両用ワイパ制御装置を備えたワイパ制御システム全体の概略構成図である。
【図2】図1中の雨滴検出部を示す概略構成図である。
【図3】図1中の制御部による制御動作を説明するフローチャートである。
【図4】ワイパ払拭動作モードの選択を説明するフローチャートである。
【図5】ワイパ払拭動作モードを説明する説明図である。
【符号の説明】
1 ワイパ制御装置
2 雨滴検出部
3 フロントウィンドシールド
7 制御部
8 ライトスイッチ
9 ワイパスイッチ

Claims (2)

  1. ワイパスイッチが自動モードを選択された時に、車両のフロントウィンドシールド上の雨滴の有無を検出する雨滴検出部からの検出信号に基づいてワイパ払拭動作モードの選択制御を行う制御部を備えた車両用ワイパ制御装置であって、
    前記制御部は、前方照射ライトの照射モードを示すライトスイッチの切換え信号を受け、前記切換え信号がハイビームモード時には、前記切換え信号がロービームモード時に比べてワイパ払拭回数を減らすように制御することを特徴とする車両用ワイパ制御装置。
  2. 前記制御部は、前記切換え信号がライトオフモード時、ハイビームモード時、およびロービームモード時の各モードに合せたワイパ払拭回数を選択するように制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用ワイパ制御装置。
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