JP4280530B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、レーザビームプリンタやデジタル複写機などの電子写真方式を用いた画像形成装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザビームプリンタ(LBP)やデジタル複写機などに用いられる偏走査光学装置においては、画像信号に応じて、光源から光変調されて出射した光束が偏向され、fθ特性を有する走査光学素子(結像素子)によって、感光性を有する感光体ドラム面上にスポット状に集束されて、この記録媒体面上で光走査されることにより画像記録が行われる。この種の走査光学装置の主要部の概略図を図26に示す。
【0003】
図26に示すように、従来の走査光学装置においては、光源手段101から出射した発散光束がコリメータレンズ102によりほぼ平行光束とされる。また、絞り103により、この平行光束の光量が制限され、副走査方向のみに所定の屈折力を有するシリンダレンズ(シリンドリカルレンズ)104に入射される。
【0004】
シリンダレンズ104に入射された略平行光束は、主走査断面内において、そのまま略平行光束の状態で出射され、副走査断面内において集束されて、回転多面鏡(ポリゴンミラー)からなる光偏向器105の偏向面(反射面)105aにほぼ線像として結像される。
【0005】
しかしながら、光偏向器105の偏向面105aによって偏向反射された光束は、fθ特性を有する走査光学素子(fθレンズ)106を介して、被走査面としての感光体ドラム面108上に導光される。そして、光偏向器105が矢印A方向に回転されて、感光体ドラム面108上で矢印B方向に光走査される。これにより像担持体としての感光体ドラム面108上に画像記録が行われる。
【0006】
また、最近、特許文献1や特許文献2などにおいて開示されるように、4個の走査光学装置を有するカラー画像形成装置が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−183056号公報
【特許文献2】
特開平10−186254号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の画像形成装置においては、次のような問題があった。すなわち、上述した従来のカラー画像形成装置における走査光学装置は、筐体の内部に配置された光偏向器が駆動されると、それぞれのコイルなどの回転部と駆動ICなどの駆動回路とが発熱し、筐体や光学素子に熱が伝達してしまう。
【0009】
さらに、半導体レーザの駆動によっても同様に、発熱や駆動回路に発熱が生じ、その熱が筐体やレーザホルダー、光学素子などに伝達してしまう。その結果、筐体や光学素子の熱膨張が発生し、レーザ光束における照射位置ズレが発生し、先端レジストレーションの変動が生じてしまう。
【0010】
したがって、この発明の目的は、先端レジストレーションの変動、或いは副走査方向の色ズレを防止して、画像品質を向上させることができる画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、
像担持体と、
レーザビームを出射する半導体、出射されたレーザビームを偏向走査する回転多面鏡、及び偏向走査されたレーザビームを前記像担持体に照射する走査レンズを筺体に備えた走査光学手段と、
前記像担持体に対するレーザビームの副走査方向の照射位置が変動することで生じる、記録媒体に転写される画像の印字ズレを補正する補正手段と、
記録媒体に印字を行う際の装置本体の駆動時間を計時する駆動時間計時手段と、
前記印字を待機している間の装置本体の待機時間を計時する待機時間計時手段と、
を備え、
前記補正手段が、
前記駆動時間及び前記待機時間に対する前記照射位置の変動量に関するプロファイルを近似的に表した、前記駆動時間及び前記待機時間を変数に含む補正関数Rと、
前記駆動時間計時手段及び前記待機時間計時手段によって計時された時間と、
に基づいて前記印字ズレの補正値を算出する画像形成装置であって、
前記補正関数Rは、計時される前記駆動時間をT o 、計時される前記待機時間をT s とした場合に、
【数1】
Figure 0004280530
によって定義されるとともに、
計測されたT o がT o ≧γの場合には、前記補正関数RにおいてT o =γとして前記補正値を算出し、
【数2】
Figure 0004280530
の場合には、R=0とすることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
【0020】
まず、この発明の第1の実施形態による画像形成装置について説明する。図1に、この第1の実施形態による画像形成装置を示し、図2に、この画像形成装置に設けられた走査光学装置を示す。
【0021】
(第1の実施形態)
図1に示すように、この第1の実施形態による画像形成装置10においては、センターフレーム13上に、走査光学装置12が固定されている。
【0022】
また、画像形成装置10に設けられた走査光学装置12においては、図2に示すように、筐体21内に、レーザ光Lを発する半導体レーザと、このレーザ光Lをほぼ平行光にするコリメータレンズ(図示せず)とからなるレーザユニット14、シリンドリカルレンズ15、モータ16により一定方向に回転駆動可能に構成されたポリゴンミラー17、2枚の結像レンズ18,19および、レーザ光Lを所定方向(図中紙面に垂直な方向)に偏向するミラー20が配列されている。
【0023】
また、図1に示すように、レーザ出射口24の下方には、回転ドラムからなる像担持体としての感光体27が配設され、その搬送方向下流側に後方に定着用ユニット28、その下方に電源部(図示せず)と、全体を制御する制御回路29、搬送手段としての搬送ローラ30が配設されている。
【0024】
作動時に、レーザユニット14の半導体レーザから出射されたレーザ光Lは、コリメータレンズによって平行光とされ、シリンドリカルレンズ15によって副走査方向に絞られて、ポリゴンミラー17の反射面上に集光する。
【0025】
このレーザ光Lは、モータ16によって回転駆動するポリゴンミラー17に反射されて偏向走査され、2枚の結像レンズ18,19を経て、ミラー20により下方に反射され、レーザ出射口24およびレーザ光通過口25を順次通過して、回転ドラムの感光体27に結像される。
【0026】
このようにして感光体27に結像されたレーザ光Lおよび、ポリゴンミラー17の回転による主走査と回転ドラムの回転による副走査とに伴って、静電潜像が形成される。これとともに、搬送ローラ30により記録媒体としての転写材Pが搬送されて、感光体27上の静電潜像に伴うトナーが転写され、定着用ユニット28によって転写された静電潜像が画像として転写材Pに定着される。
【0027】
以上のようにして画像が形成される際の画像からのずれ量を、実際の画像形成装置において測定したデータを図3に示す。図3においては、副走査位置の初期からのずれにおける連続駆動時間依存性を示す。なお、連続駆動は、印字時間を指し、時間は、分単位である。また、データは、記録媒体に印字した画像からの実際の読み取り値である。
【0028】
図3に示すように、副走査方向の色ズレは、駆動時間Toに応じて、右上がりの曲線のようなプロファイルを描いて変動する。その結果、連続して印字するにつれ、10分間で20μm、20分間で40μmのズレが発生することがわかる。すなわち、図4に示す先端のレジストレーションaは、20分で(a−40)μmとなることがわかる。
【0029】
このズレのプロファイルHを関数になるように近似すると図2の関数近似のラインのように、
H=2×To
o≧20分の場合は、To=40
という式によって近似可能である。
【0030】
すなわち、この第1の実施形態による画像形成装置においては、駆動時間Toに応じて、上述した関数に基づいて、副走査位置ズレを補正することにより、図4に示す先端のレジストレーションaを維持することが可能となる。
【0031】
次に、連続印字後の待機状態に入った場合について説明する。図5に示すように、この場合、待機時間Tsに応じて、副走査方向の位置ズレは、右下がりのプロファイルを描きつつ、変動が初期位置に対して復帰するように移動する。
【0032】
そして、図5から、待機時間が10分間で30μmのずれ、20分間で20μmのズレが生じることがわかる。また、元の状態に復帰するまでに約40分間要することがわかる。また、図5に示すプロファイルは、連続印字におけるどの状態から待機を開始しても、その戻り方はほぼ同一である。そこで、この待機時における変化Kを1次関数によって近似すると、
K=−1×Ts
s≧40分の場合はTs=40
という式によって近似可能である。
【0033】
また、実際の印字において連続的に駆動されることは稀である。そのため、連続・待機時間の両方を考慮すると、補正関数Rは、
【数3】
Figure 0004280530
により定義された一次関数で表すことができ、かつ、To≧γの場合においては、To=γとし、
【数4】
Figure 0004280530
の場合においては、R=0として、この第1の実施形態による補正関数Rは、α=2,β=1、γ=20となり、
【数5】
Figure 0004280530
と表すことが可能である。
【0034】
ここで、Toの係数(α)"2"、Tsの係数(β)"1"、Toの限界値(γ)"20"、Tsの限界値"40"は、それぞれの画像形成装置ごとに特有の値であって、実験的に求められる数値であり、この発明において、これらの数値は限定されるものではない。
【0035】
さらに、図6および図7に、実際の走査光学装置の光線の副走査位置を測定することによって、画像形成装置の全体の副走査位置ズレのうちの、走査光学装置に起因するものだけを抽出したものを示す。図6に連続駆動の副走査位置ずれを示し、図7に連続駆動後に待機した際の副走査位置ズレを示す。
【0036】
これらの図6および図7に示すように、図3に示す駆動時間に対する副走査位置ズレには、走査光学装置に起因するもの以外に、例えば、回転ドラムからなる感光体27の位置変動や偏心、転写材Pの搬送誤差、定着器28による発熱などの様々な現象が影響しているため、画像形成装置の個体差や測定におけるばらつきが大きくなってしまう。
【0037】
また、1頁内における変動、すなわちAC成分の影響も大きいため、測定誤差要因も大きくなってしまい、実際の画像においては、補正の効果が少ない場合が生じる可能性がある。
【0038】
そこで、図6および図7に示す走査光学装置に起因する副走査方向のズレのみに関して補正を行う場合、補正関数Rは、
【数6】
Figure 0004280530
となる。
【0039】
この補正関数Rに基づいて補正を行った場合、見かけ上の補正量が減少する。しかしながら、実際の画像における同一頁内における変動や、環境による変動が低下するため、結果的に、ズレの少ない画像を得ることができるとともに、プロファイルの測定も簡単に行うことができる。
【0040】
次に、上述した補正関数Rに基づいた補正を行う、この第1の実施形態による補正手段について、図8を用いて説明する。
【0041】
すなわち、図8に示すように、この第1の実施形態による補正手段は、口述するカウンタからの信号によって、プリント時間とプリント待機時間とをカウント可能な演算装置(CPU)181と、ポリゴンミラーの回転位相を制御するロジック回路IC(ASIC)182と、画像データ(VIDEO)を形成し、出力するビデオコントローラ(VIDEO Controller)183と、モータ駆動部184と、レーザ駆動部185とを有して構成されている。
【0042】
演算装置(CPU)181とロジック回路IC(ASIC)182とは、相互にアドレスデータバスにより接続されている。演算装置(CPU)181においては、ASIC182に対して、アドレスデータバスが用いられる。
【0043】
また、このアドレスデータバスを通じて、ポリゴンミラー17を回転させるためのモータ回転や、ポリゴンミラー17の回転位相制御を指示可能に構成され、ポリゴンミラー17を回転可能に構成されている。また、上述したモータ回転の指示やポリゴンミラーの回転位相制御によって、スキャナモータ187が回転される。
【0044】
また、ASIC182により、モータ駆動部184およびレーザ駆動部185に、それぞれ駆動信号(MOTOR_D,LASER_D)が供給されることにより、それぞれの駆動部を制御可能に構成されている。
【0045】
/BD_I信号および/BD_O信号は、主走査方向の書き出し位置のタイミングを決定する主走査同期信号であり、水平同期信号検出部(以後、BDセンサ)からの/BD_I信号および/BD_O信号のタイミングにより、主走査方向の画像書き出し位置が決定される。
【0046】
また、演算装置(CPU)181は、ビデオコントローラ183に副走査方向の画像書き出し位置タイミング(VSYNC)を指示可能に構成されている。
【0047】
また、画像書き出し位置タイミング(VSYNC)の指示が実行されて、次の/BD_O信号のタイミングにより、ビデオコントローラ183から、画像データ(VIDEO)が出力される。
【0048】
また、CPU181により、プリント時間とプリント待機時間とから副走査方向の画像書き出し位置が算出され、スキャナモータ位相制御が実行されて、主走査方向の書き出し位置を決定可能に構成されている。
【0049】
図9は、スキャナ制御部に関するブロック図である。図9に示すように、スキャナモータ187の回転に応じ、光ビームが光ビーム走査の所定の位置に取り付けられた光ビームの走査に応じて水平同期信号(/BD信号)を出力するBDセンサ186により検出される。
【0050】
この/BD信号は、回転基準信号とともにモータ制御部192に入力される。回転基準信号は、スキャナモータを等速に回転制御するための信号であり、モータ制御部192に供給するための回転基準信号発生部193から出力される。モータ制御部192により、/BD信号と回転基準信号とに基づいてスキャナモータを駆動するモータ駆動部184に、制御信号が供給される。
【0051】
モータ制御部192は、制御信号に基づいてスキャナモータ187を回転制御可能に構成されている。そして、あらかじめ決定されたスキャナモータ回転数の/BD信号の周期の回転基準信号と、BDセンサからの/BD信号の立ち下がりエッジとを比較する。この比較の結果、/BD信号が回転基準信号よりも遅延している間において加速(HIGH)、先に進んでいる間において減速(LOW)、これら以外において保持(MIDDLE)の信号が出力される。
【0052】
以上説明した動作により、スキャナモータ187を、共通の回転基準信号に位相を揃えて回転させることが可能となる。
【0053】
次に、スキャナモータ制御部について説明する。図10に、ポリゴンミラーの回転位相を制御するスキャナモータ制御部におけるモータ制御部のブロック図を示す。
【0054】
図10に示すように、スキャナモータ制御部194におけるモータ制御部192においては、上述した/BD信号が速度ディスクリ204および位相比較器205に入力される。また、回転基準信号は、位相比較器205に入力される。
【0055】
また、速度ディスクリ204の出力および位相比較器205の出力は、それぞれゲイン調整部201およびゲイン位相調整部202において、それぞれゲイン調整および位相補償がされ、積分アンプ203に出力される。
【0056】
このとき、速度ディスクリ204のゲインは、位相比較器205のゲインよりも数10〜数100倍大きくするのが好ましい。また、位相比較器205の出力のゲインおよび位相を調整するゲイン位相調整部202においては、位相進み補償を実行するのが望ましい。
【0057】
上述したゲイン調整部201およびゲイン位相調整部202は、使用するスキャナモータや制御回路などに応じて最適な定数を調整可能に構成されている。また、積分アンプ203においては、上述した2つの入力を加算したものから積分動作が実行され、モータ駆動部184に出力する制御電圧を印加可能に構成されている。
【0058】
また、図11に、速度ディスクリ204の詳細なブロック図を示す。この速度ディスクリにおいては、/BD信号は1/2分周器301に入力されて、1/2の周期に分周され、デューティが50%の信号となる。
【0059】
この1/2分周された/BD信号の立ち上がりエッジは、立ち上がり検出部302により、立ち下がりエッジは立ち下がり検出部303により検出される。駆動時間計時手段としてのカウンタ304においては、立ち上がりエッジ検出部の出力をトリガとしてカウントが開始され、あらかじめ決定された/BD信号の周期に相当する時間の所定パルス数だけのクロックがカウントされて停止する。
【0060】
また、カウンタ304においては、クロックを計時している間にLOWが出力され、停止している間にHIGHが出力される。同様にして、待機時間計時手段としてのカウンタ305においては、立ち下がりエッジ検出部の出力がトリガとなってカウントが開始され、あらかじめ決定された/BD信号の周期に相当する時間の所定パルス数だけクロックをカウントしてから停止する。
【0061】
また、このカウンタ305においても、クロックを計時している間にLOWが出力され、停止している間にHIGHが出力される。このような動作をするカウンタ304,305の出力に対して、NAND出力が加速信号となり、OR出力が減速信号となる。これによって、/BD信号の周期が所定の周期よりも長い場合に加速信号を、短い場合に減速信号を、等しい場合に保持する信号を、それぞれ得ることが可能となる。
【0062】
そして、これらの加速信号や減速信号に応じて、チャージポンプ306により、出力電圧が増減されて速度ディスクリ204の出力が生成される。
【0063】
また、図9および図12に示すように、副走査方向の画像書き出し位置の補正においては、回転基準信号の周期をそれぞれ1/nずつ位相をずらしたn個(nは自然数、図12においては、n=4)の位相回転基準信号を発生する位相回転基準信号発生手段によって、副走査方向の画像ずれが最小になる、n個の位相回転基準信号の中から最適な位相回転基準信号を選択することによって行うことができる。
【0064】
したがって、プリント時間とプリント待機時間から決定する補正関数とに基づいて、回転基準信号と/BD信号の周波数の最適な位相とが選択され、ビデオコントローラ183からの画像出力のタイミングが可変される。
【0065】
以上説明したように、この第1の実施形態によれば、上述した構成を採用することにより、画像の先端のレジストレーションのズレを補正することが可能になるとともに、画像の品質悪化を簡易な方法によって補正することが可能となる。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、この発明の第2の実施形態によるカラー画像形成装置について説明する。図13に、この発明の第2の実施形態によるカラー画像形成装置を示す。
【0067】
図13に示すように、この第2の実施形態によるカラー画像形成装置50は、垂直方向に並設された、それぞれの色に対応した4個の感光体ドラム51(51Bk,51M,51Y,51C)を有して構成されている。
【0068】
感光体ドラム51(51Bk,51M,51Y,51C)の周囲には、その回転方向に従って、順に、感光体ドラム1の表面を均一に帯電可能に構成された帯電装置52(52Bk,52M,52Y,52C)が併設されている。
【0069】
また、カラー画像情報に従った、ブラック(Bk),マゼンタ(M),イエロー(Y),シアン(C)のそれぞれの色に分解された画像情報に基づいて、レーザビームを照射し、感光体ドラム51上に静電潜像を形成可能に構成された走査光学装置53(53Bk,53M,53Y,53C)および、感光体ドラム1上のトナー像を転写材Sに転写可能に構成された静電転写装置55(55Bk,55M,55Y,55C)が並設されている。
【0070】
走査光学装置53は、感光体ドラム51に対してほぼ水平方向に位置するように配置されている。これらの走査光学装置53は、レーザダイオード(図示せず)から出射される画像信号に対応して変調された光束が、スキャナモータ16(図示せず)によって、高速回転されるポリゴンミラー17(17Bk,17M,17Y,17C)に照射される。
【0071】
ポリゴンミラー17によって反射された画像光により、結像レンズ18(18Bk,18M,18Y,18C)、19(19Bk,19M,19Y,19C)を介して、帯電された感光体ドラム51の表面を選択的に露光することにより、感光体ドラム51に、静電潜像を形成可能に構成されている。
【0072】
また、現像装置54(54Bk,54M,54Y,54C)は、それぞれブラック、マゼンタ、イエロー、シアンのそれぞれの色のトナーがそれぞれ収納された現像器から構成されており、それぞれの感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像に対してトナーを現像可能に構成されている。
【0073】
また、静電転写ベルト61は、すべての感光体ドラム51Bk,51M,51Y,51Cに対向して接しつつ循環移動可能に配設されている。そして、転写材Sが、静電転写ベルト61によって転写位置まで搬送され、感光体ドラム51上のトナー像が転写される。
【0074】
この静電転写ベルト61の内側に当接し、4個の感光体ドラム51Bk,51M,51Y,51Cの対向した位置に、それぞれ設けられた静電転写装置55によって感光体ドラム51に接触中の用紙に、感光体ドラム51上の負極性のトナー像が転写される。
【0075】
4色のトナー像が転写された転写材Sは、定着器70によりトナー像が熱定着された後、排紙部から画像面を下にした状態で排出される。
【0076】
このように印刷された画像における副走査方向に沿った色ズレを、実際の画像から読み取ると、図14に示すように、連続駆動時の副走査位置ズレは、30分の連続駆動で最大(Bk)で60μm、最小(C)で30μmとなり、それぞれの色の相対差は、30μmとなる。
【0077】
これは、画像形成装置内部の配置により発熱源となる定着器70などの位置関係に基づいて表出する差である。この第2の実施形態によるカラー画像形成装置のように、複数の色に対応した感光体ドラムを備えた画像形成装置においては、先端レジストレーションのズレのみならず、それぞれの色を重ねた場合においても、この印刷ズレが色ズレとなって発生する。
【0078】
このような色ずれは、カラー画像にとっては大きな問題となる。そこで、この第2の実施形態においては、補正値を図15に示すように近似することにより、第1の実施形態による印刷ズレの補正と同様にして、近似することができる。
【0079】
また、図14および図15に対応した、連続駆動した状態から待機した場合の色ズレを図16に示す。また、この図16のような色ずれは、図17に示すような近似が可能である。
【0080】
すなわち、図15および図17から、Bk(ブラック)の場合、
【数7】
Figure 0004280530
M(マゼンダ)の場合、
【数8】
Figure 0004280530
Y(イエロー)の場合、
【数9】
Figure 0004280530
C(シアン)の場合、
【数10】
Figure 0004280530
となる。
【0081】
以上の近似式に基づいて、駆動時間タイマー値Toと待機時間タイマー値Tsとから、補正関数に基づく補正値Rが算出される。
【0082】
また、実際に設けられる、この第2の実施形態によるカラー画像形成装置の補正手段の構成を、図18,図19に示す。図中のBk,M,YおよびCは、それぞれブラックBK、マゼンタM、イエローYおよびシアンCに対応している。なお、動作に関しては、それぞれの色において、第1の実施形態における動作と同様の動作を実行するので、その説明を省略する。
【0083】
以上説明したように、この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、カラー画像形成装置において、その色ズレを抑制することが可能となる。
【0084】
また、上述した第2の実施形態においては、変動のプロファイルは、画像形成装置に備えた走査光学装置の光線の変動量を測定したデータを用いて説明したが、実際の画像から読み取ったズレ量から関数を作成して補正することも可能である。
【0085】
(第3の実施形態)
次に、この発明の第3の実施形態による画像形成装置について説明する。図20に、この第3の実施形態によるカラー画像形成装置を示す。
【0086】
図20に示すように、この第3の実施形態によるカラー画像形成装置においては、後述する構成からなる走査光学装置80と、それぞれ等ピッチに配置された像担持体としての感光体ドラム81(81C,81M,81Y,81BK)とを有して構成されている。
【0087】
また、この第3の実施形態によるカラー画像形成装置においては、走査光学装置80から、画像情報に基づいてそれぞれ光変調された、それぞれの光束(レーザビーム)LC,LM,LY,LBkが出射され、それぞれの光束に対応する感光体ドラム81(81C,81M,81Y,81BK)面上を、それぞれ照射することにより静電潜像が形成される。
【0088】
この静電潜像は、1次帯電器82C,82M,82Y,82BKによって、それぞれ一様に帯電されている感光体ドラム81の表面上に形成される。また、現像器84(84C,84M,84Y,84BK)により、それぞれ、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの画像に可視像化され、転写ベルト7上を搬送される転写材Pに、転写ローラ85C,85M,85Y,85BKによって順次静電転写されることによりカラー画像が形成される。
【0089】
その後、それぞれの感光体ドラム81の面上に残った残留トナーは、クリーナー86(86C,86M,86Y,86BK)により除去され、次のカラー画像を形成するために、再度、1次帯電器82により一様に帯電される。
【0090】
上述した転写材Pは、給紙トレイ83上に積載され、給紙ローラ91によって1枚ずつ順に給紙される。そして、この転写材Pは、レジストローラ85により、画像の書き出しタイミングの同期がとられ、転写ベルト87上に送出される。
【0091】
この転写材Pが、転写ベルト87上を精度よく搬送されている間、感光体ドラム81の表面上に形成された、それぞれのシアンの画像、マゼンダの画像、イエローの画像、ブラックの画像は、順次転写材P上に、転写される。これにより、転写材Pにカラー画像が形成される。
【0092】
このとき、駆動ローラ52は、回転ムラの小さな駆動モータ(図示しない)と接続されており、転写ベルト87の送りを精度よく実行可能に構成されている。また、転写材Pは、その表面に形成されたカラー画像が、定着器88によって熱定着された後、排紙ローラ89などによって搬送されて装置外に排出される。
【0093】
図21に、この第3の実施形態による走査光学装置80の構成を示す。図21Aに、上面図を示し図21Bに、B−B線に沿った断面図を示す。
【0094】
図21に示すように、半導体レーザ90(90C,90M,90Y,90Bk)から出射されたビームLC,LM,LY,LBkは、シリンドリカルレンズ99(99C,99M,99Y,99Bk)を通過して、回転多面鏡92a,92bの異なる面に入射され、それぞれ異なる方向に走査される。
【0095】
回転多面鏡92a,92bにより走査されたビームLC,LM,LY,LBkは、それぞれ1枚目の走査レンズ93(93C,93M,93Y,93Bk)を透過して、感光体ドラムピッチと同一ピッチであって、入射光束に対して同一角度になるように配置された折り返しミラー94(94C,94M,94Y,94Bk)によって方向を、所定の角度だけ変えられ、2枚目の走査レンズ95(95C,95M,95Y,95Bk)を透過し、4つの感光体ドラム上に走査光を結像させることが可能となる。
【0096】
走査光学装置80は、回転多面鏡92a、92bをそれぞれ備えた偏向器96a,96bを1つの筐体97の同一平面上に備え、かつ、その他の折り返しミラーや走査レンズなどの走査光学系の全てが、樹脂などによって成型された筐体内に備えられている。
【0097】
また、この第3の実施形態による走査光学装置における副走査方向に沿った走査線位置ズレは、図22に示すように、20分の連続駆動で最大(Bk)で60μm、最小(M)で−50μm、それぞれの色の相対差は110μmとなる。
【0098】
このように、偏向器を挟んで両側において走査する走査光学装置の場合、偏向器や半導体レーザによる発熱によって筐体が伸長する。ところが、走査光学装置の固定位置などにより、それらの要素が複雑に絡み合うことにより、結果的に副走査方向の色ズレも、図22のように色ごとによって異なる動きで変動することになる。
【0099】
特に、回転多面鏡を挟んで対向する色においては、ずれる方向までも逆になってしまう。そのため、先端のレジストレーションのズレのみならず、それぞれの色を重ねた場合に色ズレが発生する。このような色ずれは、カラー画像において、致命的な問題となってしまう。
【0100】
そこで、この場合の補正値としては、図23に示す近似線で表すことができるように設定される。
【0101】
すなわち、Bk(ブラック)の場合、
【数11】
Figure 0004280530
M(マゼンダ)の場合、
【数12】
Figure 0004280530
Y(イエロー)の場合、
【数13】
Figure 0004280530
C(シアン)の場合、
【数14】
Figure 0004280530
となる。
【0102】
以上のように、この第3の実施形態においては、それぞれの色ごとで、互いに異なる補正値を用いる必要がある。
【0103】
また、この第3の実施形態による補正手段については、第2の実施形態におけると同様の構成(図13,図14参照)を有するとともに、動作に関しても、第1および第2の実施形態におけると同様であるので、その説明を省略する。
【0104】
この第3の実施形態によれば、第2の実施形態の効果と同様の効果を得ることができるとともに、画像の先端のレジストレーションズレの変動や色ズレを抑制することが可能となる。また、上述した補正を行った場合、先端レジストレーションおよび色ズレの変動が低減された画像形成装置を得ることが可能となる。
【0105】
また、この第3の実施形態においては、変動のプロファイルとして、画像形成装置に備えられた走査光学装置の光線の変動量を測定したものを用いているが、実際の画像から読み取ったズレ量から関数を作成して、補正を実行することも可能である。
【0106】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0107】
例えば、上述の実施形態において挙げた数値や、補正関数Rと種々の係数はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値や、補正関数Rと種々の係数を用いてもよい。
【0108】
また、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、以下の技術的思想を含み、これらの技術的思想のあらゆる組み合わせを包含するものである。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、先端レジストレーションの変動、或いは副走査方向の色ズレを防止して、画像品質を向上させることができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態による画像形成装置を示す模式断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態による画像形成装置に備えた走査光学装置を示す模式断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態による駆動時の副走査方向の走査位置ズレを示すグラフである。
【図4】この発明の第1の実施形態による副走査方向の走査位置ズレを示す模式図である。
【図5】この発明の第1の実施形態よる画像形成装置における待機時の副走査方向に沿った走査位置ズレを示すグラフである。
【図6】この発明の第1の実施形態による画像形成装置の駆動時における副走査方向に沿った、走査光学装置に起因する走査位置ズレを示すグラフである。
【図7】この発明の第1の実施形態による画像形成装置の待機時における副走査方向に沿った、走査光学装置に起因する走査位置ズレを示すグラフである。
【図8】この発明の第1の実施形態による画像形成装置の補正手段を示すブロック図である。
【図9】この発明の第1の実施形態による画像形成装置の補正手段を示すブロック図である。
【図10】この発明の第1の実施形態による画像形成装置の補正手段を示すブロック図である。
【図11】この発明の第1の実施形態による画像形成装置の補正手段を示すブロック図である。
【図12】この発明の第1の実施形態による補正手段を説明するためのタイミングチャートである。
【図13】この発明の第2の実施形態による画像形成装置を示す模式断面図である。
【図14】この発明の第2の実施形態による画像形成装置の駆動時における副走査方向に沿った走査光学装置に起因する走査位置ズレを示すグラフである。
【図15】この発明の第2の実施形態による画像形成装置の駆動時における副走査方向に沿った走査光学装置に起因する走査位置ズレの近似関数を示すグラフである。
【図16】この発明の第2の実施形態による画像形成装置の待機時における副走査方向に沿った走査光学装置に起因する走査位置ズレを示すグラフである。
【図17】この発明の第2の実施形態による画像形成装置の待機時における副走査方向に沿った走査光学装置に起因する走査位置ズレの近似関数を示すグラフである。
【図18】この発明の第2の実施形態による画像形成装置における補正手段を示すブロック図である。
【図19】この発明の第2の実施形態による画像形成装置における補正手段を示すブロック図である。
【図20】この発明の第3の実施形態による画像形成装置を示す模式断面図である。
【図21】この発明の第3の実施形態による画像形成装置に設けられた走査光学装置を示す模式図である。
【図22】この発明の第3の実施形態による画像形成装置の駆動時における副走査方向に沿った走査光学装置に起因する走査位置ズレを示すグラフである。
【図23】この発明の第3の実施形態による画像形成装置の駆動時における副走査方向に沿った走査光学装置に起因する走査位置ズレの近似関数を示すグラフである。
【図24】この発明の第3の実施形態による画像形成装置の待機時における副走査方向に沿った走査光学装置に起因する走査位置ズレを示すグラフである。
【図25】この発明の第3の実施形態による画像形成装置の待機時における副走査方向に沿った走査光学装置に起因する走査位置ズレの近似関数を示すグラフである。
【図26】従来技術による走査光学装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1,1Bk,1M,1Y,1C 感光体ドラム
7 転写ベルト
10 画像形成装置
12 走査光学装置
13 センターフレーム
14 レーザユニット
15 シリンドリカルレンズ
16 モータ
17 ポリゴンミラー
18,19 結像レンズ
20 ミラー
21 筐体
24 レーザ出射口
25 レーザ光通過口
27 感光体
28 定着器
28 定着用ユニット
29 制御回路
30 搬送手段
50 カラー画像形成装置
51,51Bk,51M,51Y,51C 感光体ドラム
52,52Bk,52M,52Y,52C 帯電装置
53,53Bk,53M,53Y,53C 走査光学装置
54,54Bk,54M,54Y,54C 現像装置
55,55Bk,55M,55Y,55C 静電転写装置
61 静電転写ベルト
70 定着器
80 走査光学装置
81,81C,81M,81Y,81BK 感光体ドラム
82,82C,82M,82Y,82Bk 一次帯電器
83 給紙トレイ
84,84C,84M,84Y,84Bk 現像器
85 レジストローラ
85,85C,85M,85Y,85Bk 転写ローラ
86,86C,86M,86Y,86Bk クリーナー
87 転写ベルト
88 定着器
89 排紙ローラ
90,90C,90M,90Y,90Bk 半導体レーザ
91 給紙ローラ
92 コリメータレンズ
92a,92b 回転多面鏡
93,93C,93M,93Y,93Bk,95,95C,95M,95Y,95Bk 走査レンズ
94,94C,94M,94Y,94Bk ミラー
96a,96b 偏向器
97 筐体
99,99C,99M,99Y,99Bk シリンドリカルレンズ
101 光源手段
102 コリメータレンズ
103 絞り
104 シリンダレンズ
105 光偏向器
105a 偏向面
108 感光体ドラム面
184 モータ駆動部
185 レーザ駆動部
186 センサ
187 スキャナモータ
192 モータ制御部
193 回転基準信号発生部
194 スキャナモータ制御部
201 ゲイン調整部
202 ゲイン位相調整部
203 積分アンプ
204 速度ディスクリ
205 位相比較器
301 1/2分周器
302,303 検出部
304,305 カウンタ
306 チャージポンプ

Claims (6)

  1. 像担持体と、
    レーザビームを出射する半導体、出射されたレーザビームを偏向走査する回転多面鏡、及び偏向走査されたレーザビームを前記像担持体に照射する走査レンズを筺体に備えた走査光学手段と、
    前記像担持体に対するレーザビームの副走査方向の照射位置が変動することで生じる、記録媒体に転写される画像の印字ズレを補正する補正手段と、
    記録媒体に印字を行う際の装置本体の駆動時間を計時する駆動時間計時手段と、
    前記印字を待機している間の装置本体の待機時間を計時する待機時間計時手段と、
    を備え、
    前記補正手段が、
    前記駆動時間及び前記待機時間に対する前記照射位置の変動量に関するプロファイルを近似的に表した、前記駆動時間及び前記待機時間を変数に含む補正関数Rと、
    前記駆動時間計時手段及び前記待機時間計時手段によって計時された時間と、
    に基づいて前記印字ズレの補正値を算出する画像形成装置であって、
    前記補正関数Rは、計時される前記駆動時間をT o 、計時される前記待機時間をT s とした場合に、
    Figure 0004280530
    によって定義されるとともに、
    計測されたT o がT o ≧γの場合には、前記補正関数RにおいてT o =γとして前記補正値を算出し、
    Figure 0004280530
    の場合には、R=0とすることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記補正手段が、
    レーザビームを偏向走査する際の前記回転多面鏡の回転位相を変化させることにより、前記印字ズレを補正するように構成されていることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
  3. 前記補正手段が、
    副走査方向に画像を出力する際のタイミングを変化させることで、前記印字ズレを補正するように構成されていることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
  4. 前記補正手段は、
    前記回転多面鏡の回転位相を変化させて行う補正と、
    副走査方向に画像を出力する際のタイミングを変化させる補正と、
    を同時に実行可能に構成されていることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
  5. 装置本体は、
    トナーの色に夫々対応する複数の前記像担持体と、
    前記像担持体に夫々対応する前記走査光学手段と、
    を備えており、
    前記照射位置の変動量に関するプロファイルを近似的に表した前記補正関数Rがトナーの色毎に定められており、前記印字ズレの補正値がトナーの色毎に算出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
  6. 前記α、β、γは、トナーの色に応じて決められる値であることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
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