JP4280001B2 - 加硫ゴム製品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パーオキサイド架橋により得られる加硫ゴム製品の製造方法に関し、更に詳しくは、熱空気加硫槽、マイクロ波加硫装置(UHF)等の加硫装置により連続的に架橋(加硫)することを可能とし、しかも、耐圧縮永久歪性、耐熱性、強度特性等の特性に優れる加硫ゴム製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)等のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、一般に、耐候性、耐熱性、耐オゾン性に優れており、例えば、自動車用途での例を挙げると、それは、グラスラン製品や窓枠製品等の加硫ゴム製品等に用いられている。これらの加硫ゴム製品は、雨、風、音を防ぐ目的で用いられ、重要なシール部品である。自動車の耐用年数アップやメインテナンスフリーのため、更なるシール性の向上とそのシール性能が維持することが求められている。
【0003】
一般に、耐熱性とシール性は、その架橋形態に大きく依存している。通常用いられているイオウ加硫系は、分子と分子を結びつけているイオウ架橋部分が熱的に弱いため、分子主鎖骨格が有する耐熱性を充分に享受できないでいる。更なるシール性の向上とその性能維持は、熱的に弱いイオウ架橋部分に炭素−炭素結合を可能とするパーオキサイド架橋を用いれば可能であることはよく知られており、本加硫系は物性向上、耐熱性向上の切り札として注目されている。
また昨今は、現在、主に用いられているイオウ加硫は、生産速度を向上させるために多くの加硫促進剤が使用されている。これらから放出されるガスは、成形現場の環境を悪化されるとして、加硫促進剤の種類の限定や量の削減など環境にやさしい加硫系の出現が求められていた。
【0004】
パーオキサイド加硫系による熱空気連続押出加硫法では製品化されていない。なぜならば、この方法では、熱空気加硫槽、マイクロ波加硫装置(UHF)等の加熱手段により架橋(加硫)(以下「熱空気架橋」という。)をする場合、ゴム表面が架橋しない、あるいは崩壊(デグラデイション)を起こし耐傷付き性が著しく劣るという欠点がある。このような製品は商品価値が全くなく、また、期待する耐熱性、シール性も得ることができない。
【0005】
この原因は、熱空気架橋中にゴム表面が酸素に触れると、架橋反応より先に酸素によって主鎖切断反応が起こり、その製品表面の崩壊が進むためである。この酸素を遮断することが可能であるスチーム架橋、被鉛架橋等で架橋させれば、パーオキサイド加硫系による製品を得ることができ、その結果、ゴム表面の耐傷付き性は改良されるものの、その生産はバッチ方式となり、連続生産可能な熱空気架橋方式に比べ、生産コストの面で不利となり、実質的にグラスラン製品等の加硫ゴム製品を生産する方式としては適用されるものではない。
【0006】
こうした状況の中で、その耐熱性と耐候性を向上させるべく、多くの特許出願がなされている。ポリマーに関しては、特開平7−252392号公報、特開平7−228706号公報、特開平10−110071号公報、特開平4−154855号公報、特公昭62−119223号公報、特開平10−45982号公報がある。配合からの取り組みとして、特公昭63−112617号公報、特開平3−124749号公報、特開平7−138429号公報、特開平10−110070号公報があるが、改良効果は不充分であった。また、成形法からの検討として、特公昭57−8255号公報が開示されており、熱空気下でパーオキサイドの連続加硫を可能にするものである。しかし、酸素遮断のため用いられるホウ酸を製品表面から除去することが難しく、グラスラン製品では熱空気架橋による加硫後のウレタン塗装や植毛の表面処理を行い難いこと、また、連続加硫槽がホウ酸で汚れるため実際には本方式で生産することはできなかった。
このように、これまで実用に耐えうる熱空気加硫槽を用いたパーオキサイド加硫による加硫ゴム製品の製造方法はなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、イオウ加硫系よりも格段に優れた耐圧縮永久歪性、耐熱性を示すパーオキサイド加硫系材料を熱空気下連続加硫成形することを可能とし、また、イオウ加硫系では必須であった加硫促進剤を使用する必要がないことから環境にやさしい加硫ゴム製品の製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)加硫ゴム製品の製造に際して、ゴム用押出機と加硫槽との間に、未加硫ゴム成形体の表面に塗布液を塗布するための装置を配置することを特徴とする加硫ゴムの製造方法。
(2)塗布液が周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる単体及び/又は化合物を含む前記(1)に記載の製造方法。
(3)前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる化合物が次式(I):
【0009】
【化2】
Figure 0004280001
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R1は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、nは0、1又は2であり、R2は炭素数1〜6の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、R3は炭素数6〜12のアリーレン基であり、m及びpは、それぞれ0又は1であり、かつ、mとpとが同時に0となることはなく、qは1又は2であり、Bは、qが1であるとき−SCN又は−SHであり、qが2であるとき−Sx−(式中、xは2〜8の整数である。)である。]
で示されるアルコキシシラン化合物の少なくとも1種である請求項2記載の製造方法。
【0010】
(4)塗布液を表面に塗布するに当たり、槽を用い、その塗布液中の実質的に不溶の成分(A)が槽の下層に滞留することがないように、撹拌及び/又は循環する装置が前記槽中に設けられている前記(2)又は(3)に記載の製造方法。
(5)塗布液中の実質的に不溶の成分(A)の濃度が以下の式:
【0011】
【数2】
濃度1(底から1cm部における濃度)/濃度2(水面から1cm部における濃度)=0.3〜1.0
を満たすように撹拌及び/又は循環を行う前記(4)に記載の製造方法。
(6)未加硫ゴム成形体の表面に塗布液を塗布した後、その塗布面を刷毛、ヘラ、ローラー又はダイスで処理する前記(4)又は(5)に記載の製造方法。
(7)未加硫ゴム成形体の表面への塗布液の塗布を、その塗布液を噴霧機で噴霧することにより行う前記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(8)加硫ゴム製品の製造に際して、未加硫ゴム成形体の表面に塗布液を塗布するためにゴム用押出機と加硫槽との間に配置されるディッピング槽であって、その塗布液中の実質的に不溶の成分(A)が該槽の下層に滞留することがないように、撹拌及び/又は循環する装置が設けられているディッピング槽。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるゴム成分としては、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、又は、これらと、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のジエン系ゴムとのブレンド等が、通常用いられる。中でも、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が好ましく、これには、エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又は前記各種ジエン系ゴムがブレンドされていてもよい。
【0013】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体
本発明においてゴム成分として好適に用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(以下「エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)」という。)としては、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとをランダム共重合させることにより得られるものであって、以下のような特性を有しているものが好ましい。
【0014】
(i)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、(a)エチレンから導かれる単位と(b)炭素数3〜20のα−オレフィン(以下単に「α−オレフィン」ということがある。)から導かれる単位とを、通常60/40〜90/10、好ましくは65/35〜90/10、更に好ましくは65/35〜85/15、特に好ましくは65/35〜80/20のモル比[(a)/(b)]で含有している。
このモル比が前記範囲内にあると、耐熱老化性、強度特性及びゴム弾性に優れるとともに、耐寒性及び加工性に優れた加硫ゴム成形体が得られる。
【0015】
(ii)ヨウ素価
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)のヨウ素価は、通常0.1〜40(g/100g)、好ましくは1〜30(g/100g)である。
このヨウ素価が前記範囲内にあると、架橋効率の高いゴム組成物が得られ、耐圧縮永久歪性に優れる押出成形加硫ゴム成形体が得られ、かつコスト的に有利である。
【0016】
(iii) 極限粘度
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常0.5〜5.0dl/g、好ましくは1.0〜4.5dl/g、更に好ましくは1.5〜4.0dl/gである。
この極限粘度[η]が前記範囲内にあると、強度特性及び耐圧縮永久歪性に優れるとともに、加工性に優れた加硫ゴム成形体が得られる。
【0017】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)における炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのα−オレフィンのうち、炭素数3〜8のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)における非共役ポリエンとしては、環状又は鎖状の非共役ポリエンを用いることができる。
【0018】
環状の非共役ポリエンとしては、例えば、メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等のジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン等のトリエンが挙げられる。
【0019】
また、鎖状の非共役ポリエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等のジエン;4−エチリデン−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−7−メチル−1,6−ノナジエン、4−エチリデン−6,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−6,7−ジメチル−1,6−ノナジエン、4−エチリデン−1,6−デカジエン、4−エチリデン−7−メチル−1,6−デカジエン、4−エチリデン−7−メチル−6−プロピル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ウンデカジエン、4−エチリデン−7,8−ジメチル−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−7,8−ジメチル−1,7−デカジエン、4−エチリデン−7,8−ジメチル−1,7−ウンデカジエン、7−エチル−4−エチリデン−8−メチル−1,7−ウンデカジエン、4−エチリデン−7,8−ジエチル−1,7−デカジエン、4−エチリデン−9−メチル−1,8−デカジエン、4−エチリデン−8,9−ジメチル−1,8−デカジエン、4−エチリデン−10−メチル−1,9−ウンデカジエン、4−エチリデン−9,10−ジメチル−1,9−ウンデカジエン、4−エチリデン−11−メチル−1,10−ドデカジエン、4−エチリデン−10,11−ジメチル−1,10−ドデカジエン、3,7−ジメチル−1,4,8−デカトリエン等のトリエンが挙げられる。
これらの非共役ポリエンは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0020】
有機過酸化物
有機過酸化物としては、ゴムの架橋の際に通常使用されている従来公知の有機過酸化物を使用することができ、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
【0021】
これらのうち、臭気性、スコーチ安定性の点で、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましい。
このような有機過酸化物は、ゴム成分100重量部に対し、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.5〜10重量部程度の割合で用いられ、その分散のため炭酸カルシウム等で40%程度に希釈したものを用いてもよい。
【0022】
その他の成分
本発明で用いる未加硫ゴム組成物中には、意図する架橋物の用途等に応じて、ポリオレフィン樹脂、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、発泡剤、発泡助剤、架橋助剤、着色剤、分散剤、難燃剤等の従来公知の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0023】
前記ポリオレフィン樹脂は、熱可塑性樹脂であり、具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のエチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜8のα−オレフィンとからなる結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体;プロピレン単独重合体、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体などのポリプロピレン;プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどの炭素数3〜20、好ましくは3〜8のα−オレフィンの結晶性単独重合体又は共重合体などが挙げられる。これらのポリオレフィンの融点は250℃以下である。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特にポリエチレンが好ましい。
【0024】
ポリオレフィン樹脂の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、通常0〜40重量部、好ましくは0〜30重量部である。
ゴム成分とポリオレフィン樹脂を混ぜる方法としては、ゴム混練機として通常使用されるバンバリーミキサー、インターナルミキサー、ニーダー、オープンロールなどを用いて、必要に応じて補強剤、充填剤、軟化剤などのその他の成分と一緒に、当該ポリオレフィン樹脂の融点以上の温度で混練する方法でもよいが、この場合、ポリオレフィン樹脂の混練不良物が異物となる可能性が高いので、混練温度80〜250℃、混練時間1〜20分、好ましくは1〜10分、混練・混合比エネルギー0.001〜10Kw・h/kgの条件で混練を行うことが好ましい。
【0025】
また、別の好ましい混練方法として、下記のように、予め、ゴム成分と有機溶媒とからなるゴム混合物にポリオレフィン樹脂を添加し、混練、脱溶媒することにより、当該ポリオレフィン樹脂を前記ゴム成分中に均一に分散させた混練物を調製した後、これに、補強剤、充填剤、軟化剤、発泡剤などの添加剤を配合して混練する方法が挙げられる。
【0026】
前記有機溶媒としては、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体等のゴム成分を溶液重合法において調製する際に用いられる従来公知の炭化水素溶媒が挙げられる。このような炭化水素溶媒としては、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素及びそのハロゲン誘導体、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素及びそのハロゲン誘導体、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、及びクロロベンゼン等のハロゲン誘導体などが用いられる。これらの溶媒は、単独で、あるいは組み合わせて用いてもよい。
【0027】
前記ゴム成分と有機溶媒との混合物であるゴム混合物における有機溶媒の含有量は、ゴム成分100重量部に対して、通常3〜10重量部である。
前記のようにして調製された、ゴム組成物ペレットは、通常は、更にバンバリーミキサー、インターミックス、ニーダー等の通常のゴム混練機で、カーボンブラック等のゴム補強剤、タルク、クレー等の充填剤、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、架橋助剤、加工助剤、着色剤、老化防止剤、発泡剤、発泡助剤等の配合剤と混練される。この混練によって得られるゴムコンパウンド中のポリオレフィン樹脂は、分散状態が極めて良好である。
【0028】
前記ゴム補強剤は、架橋(加硫)ゴムの引張強度、引き裂き強度、耐摩耗性等の機械的性質を高める効果がある。このようなゴム補強剤としては、具体的には、カーボンブラック(例えば、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT)、シリカ、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微粉ケイ酸、ケイ酸塩等が挙げられる。これらはシランカップリング剤等により表面処理が施されていてもよい。
【0029】
シリカの具体例としては、煙霧質シリカ、沈降性シリカ等が挙げられる。これらのシリカは、メルカプトシラン、アミノシラン、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の反応性シランあるいは低分子量のシロキサン等で表面処理されていてもよい。
これらのゴム補強剤の種類及び配合量は、その用途により適宜選択できるが、ゴム補強剤の配合量は、通常、ゴム成分100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0030】
前記無機充填剤としては、具体的には、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー等が挙げられる。これらの無機充填剤の種類及び配合量は、その用途により適宜選択できるが、無機充填剤の配合量は、通常、ゴム成分100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0031】
前記軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩;ナフテン酸;パイン油、ロジン又はその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油等が挙げられる。中でも石油系軟化剤、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。これらの軟化剤の配合量は、加硫物の用途により適宜選択される。
【0032】
前記老化防止剤としては、例えばアミン系、フェノール系又はイオウ系老化防止剤等が挙げられるが、これらの老化防止剤は、本発明の目的を損なわない範囲で用いられる。
アミン系老化防止剤としては、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類等の通常ゴムに使用されるアミン系老化防止剤が用いられる。
【0033】
ジフェニルアミン類としては、具体的には、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、ジフェニルアミンとアセトンとの高温反応生成物、ジフェニルアミンとアセトンとの低温反応生成物、ジフェニルアミンとアニリンとアセトンとの低温反応生成物、ジフェニルアミンとジイソブチレンとの反応生成物、オクチル化ジフェニルアミン、ジオクチル化ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0034】
フェニレンジアミン類としては、具体的には、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、n−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニルオクチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン類等が挙げられる。
これらの中でも、特に4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンが好ましい。
これらの化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
フェノール系老化防止剤としては、具体的には、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオ−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル 3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ホスホネート−ジエチルエステル、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメイト)]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等を挙げることができる。中でも、特にテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0036】
イオウ系老化防止剤としては、具体的には、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルイミダゾールの亜鉛塩等のイミダゾール系老化防止剤;ジミリスチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオプロピオネート)等の脂肪族チオエーテル系老化防止剤等を挙げることができる。これらの中でも、特に2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオプロピオネート)が好ましい。
【0037】
前記加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される加工助剤を使用することができる。具体的には、リノール酸、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;前記高級脂肪酸のエステル類等が挙げられる。このような加工助剤は、ゴム成分100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0038】
本発明で用いるゴム組成物中には、架橋助剤を配合してもよい。架橋助剤としては、具体的には、イオウ;p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼン等が挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して0.5〜2モル、好ましくは約等モルの量で用いられる。
【0039】
本発明で用いるゴム組成物中には、加硫促進剤を配合してもよい。加硫促進剤としては、具体的には、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミン及びアルデヒド−アンモニア系化合物;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;酸化亜鉛(亜鉛華)などの化合物を挙げることができる。
【0040】
加硫促進剤は単独で用いてもよいが、2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。
加硫促進剤としてイオウ原子を含む加硫促進剤を用いるときは、架橋による粘度上昇率の制御、金属腐食性、電気製品の接触不良防止、耐熱老化性の点で、その添加する量は、ゴム成分100gに対して、1×10-2mol以下であることが望ましい。
【0041】
前記発泡剤としては、具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物等が挙げられる。
【0042】
また、発泡剤としてプラスチック微小中空体を使用することができる。かかるプラスチック微小中空体は熱により膨張することを特徴としている。この微小中空体の外殻となるプラスチックとしては、ゴム組成物の硬化温度に合わせて軟化温度が適当な範囲内にあるものを選択すればよい。
【0043】
このようなプラスチックとしては、具体的には、エチレン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン等の重合体及びこれらの共重合体;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等が挙げられる。
【0044】
また、プラスチック微小中空体内部には、膨張率を大きくするために、揮発性の溶媒、ガス等の揮発性物質を内包させたものが好ましい。このような揮発性物質としては、ブタン、イソブタン等の炭化水素が例示される。
また、プラスチック微小中空体は、粒度が通常1〜50μmであるものが使用され、その形状は通常球状であるが、特にこれらに限定されない。
これらの発泡剤は、ゴム成分100重量部に対して、通常0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部、更に好ましくは0〜40重量部の割合で用いられる。
【0045】
本発明においては、必要に応じて、発泡剤とともに発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化等の作用をする。
このような発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸等の有機酸、尿素又はその誘導体等が挙げられる。
これらの発泡助剤は、ゴム成分100重量部に対して、通常0〜30重量部、好ましくは0〜15重量部、更に好ましくは0〜10重量部の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0046】
また、本発明で用いるゴム組成物中には、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の他のゴムをブレンドして用いることができる。このような他のゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等のイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等の共役ジエン系ゴムを挙げることができる。
【0047】
更に、従来公知のエチレン・α−オレフィン系共重合体を用いることもでき、例えばエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)以外のエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体(例えばEPDM等)を用いることができる。
【0048】
塗布液
本発明に用いる塗布液としては、周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる単体及び/又は化合物を含む塗布液が好ましい。
目的の熱空気存在下でのパーオキサイド加硫を充分に行い、かつ製品表面へのイオウ粉末の付着を防止する点から、前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる単体及び/又は化合物の塗布液中の濃度又は混合割合は5〜80重量%であることが好ましい。
【0049】
前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)としては、例えばイオウ、セレニウム(セレン)、テルリウム(テルル)、ポロニウムのカルコゲン(酸素族元素)が挙げられる。
前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる化合物としては、本発明の目的を達成しうるものであれば制限はない。
【0050】
前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる化合物のうち、イオウ化合物としては、例えば、塩化イオウ、二塩化イオウ等の無機イオウ化合物;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(OBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオウレア(EUR)、ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア、ジオルソトリルチオウレア、エチレンチオウレア等のチオウレア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩;モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド等のジスルフィド化合物;ザンテート系化合物;並びに次式(I):
【0051】
【化3】
Figure 0004280001
[式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R1は、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、nは、0、1又は2であり、R2は、炭素数1〜6の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、R3は、炭素数6〜12のアリーレン基であり、m及びpは、それぞれ0又は1であり、かつ、mとpとが同時に0となることはなく、qは、1又は2であり、Bは、qが1であるとき−SCN又は−SHであり、qが2であるとき−Sx−(式中、xは2〜8の整数である。)である。]
で示されるアルコキシシラン化合物が挙げられ、特に前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物の少なくとも1種類を用いることが好ましい。
【0052】
前記式(I)において、R又はR1で示される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が挙げられる。Rで示される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基が挙げられる。
【0053】
前記式(I)において、R2で示される炭素数1〜6の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、例えばメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、ジメチルエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のアルキレン基;シクロヘキシリデン基等のアルキリデン基;ジフェニルメチレン基、ジフェニルエチレン基等のアリールアルキレン基が挙げられる。R3で示される炭素数6〜12のアリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基が挙げられる。
【0054】
前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物のうち、当該式中のBが−S4−である、下記のようなトリアルコキシシラン化合物が好ましく用いられる。(1)ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド
(CH3O)3Si−(CH23−S4−(CH23−Si(OCH33
(2)ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド
(C25O)3Si−(CH23−S4−(CH23−Si(OC253
(3)ビス[3−(トリプロポキシシリル)プロピル]テトラスルフィド
(C37O)3Si−(CH23−S4−(CH23−Si(OC373
前記化合物のうち、特に前記(2)のビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィドが好ましい。
前記塗布液中には、周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる化合物として、次式(II):
【0055】
【化4】
(R−O−CS−S−)nn+ (II)
(式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基であり、nは1〜3の整数であり、Mn+はn価の金属イオン又はアンモニウムイオンである。)
で示されるキサントゲン酸塩系加硫促進剤を添加してもよい。塗布液中の前記キサントゲン酸塩系加硫促進剤の濃度は、0.01〜0.09重量%にすることが好ましく、0.1重量%未満にすることが更に好ましい。
【0056】
前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる単体及び/又は化合物は、固体及び液体のいずれであっても、水及び/又は有機溶媒と混合して、好ましくは溶解及び/又は懸濁化して用いることができる。
この塗布液に用いる溶媒としては、前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる単体及び/又は化合物を溶解しうる溶媒、又は溶解することはできないが、ミキサー等で撹拌して懸濁状態で使用可能になるような溶媒、具体的には、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム等の有機溶媒又はこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0057】
また、前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる単体及び/又は化合物がアルコキシシラン化合物のように液体である場合、又はイオウもしくはイオウ化合物のように溶融するものである場合には、溶媒を用いることなく、液体となる条件下で用いることもできる。
前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物は、粘度調節の必要に応じて、他のシランカップリング剤とブレンドしてもよい。
【0058】
なお、塩化イオウのように刺激臭のある油状液体等の場合には、ベンゼン等の溶媒に2〜4重量%に希釈して用いることが好ましい。
また、各種の界面活性剤を溶媒に添加して前記の単体及び/又は化合物を溶解又は懸濁化してもよい。前記界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩が挙げられる。また、ステアリン酸アルミニウム、寒天、カラギーナン等の増粘剤を塗布液に添加してもよい。
塗布液による表面処理方法としては、押し出し機の口金部にインサートする、あるいは刷毛による塗布、ディッピング、噴霧等の方法が挙げられるが、連続的に塗布する場合には、ディッピングによる表面処理方法が好ましい。
【0059】
加硫ゴム製品成形体及びその調製
本発明で用いるゴム組成物は、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤等の添加剤を80〜170℃の温度で2〜20分間混練した後、有機過酸化物、及び必要に応じて架橋助剤をオープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、必要に応じて加硫促進剤、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
【0060】
前記のようにして調製されたゴム組成物は、ゴム用押出機により意図する形状とし、前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる単体及び/又は化合物を含む塗布液にディッピングし、未加硫ゴム表面の細部に薄膜を形成させ、引き続き押出材料を加硫槽内に導入し、140〜270℃の温度で1〜30分間加熱することにより、加硫することができる。加硫の工程は、通常連続的に実施される。
【0061】
この際、未加硫ゴム表面細部に薄膜を形成させることが重要で、そのためには、まず、ディッピング槽内の塗布液(例えば、懸濁液、溶液)が均一であることが好ましい。槽下部と槽表面部における前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる単体及び/又は化合物の濃度が異なっていると、未加硫ゴム材料の薄膜層の厚みが異なること、また表面に塗布液の斑が生じ、その結果、部分的にデグラデイションが発生するため好ましくない。
【0062】
例えば、周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる単体及び/又は化合物のうち、イオウは、前記の溶媒のいずれにも実質的に不溶であり、また前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物は、アルコール及びその他の有機溶媒には溶解するが、水には実質的に不溶であるので、塗布液がアルコキシシラン化合物と水からなる場合は、前記イオウと同様に、塗布液中でこれらの成分が下層に滞留することがないように、撹拌及び/又は循環する装置を前記槽中に設けることが好ましい。好ましい塗布液としては、例えば、アルコキシシラン化合物の中にイオウを分散させたものが挙げられる。未加硫ゴム表面に塗布液の斑が生じ、その結果、部分的にデグラデイションが発生するのを防止する点から、塗布液中の実質的に不溶の成分の濃度が以下の式:
【0063】
【数3】
濃度1(底から1cm部における濃度)/濃度2(水面から1cm部における濃度)=0.3〜1.0
を満たすように撹拌及び/又は循環を行うことが好ましい。
前記式で表される濃度比は、更に好ましくは0.4〜1.0、最も好ましくは0.6〜1.0である。
【0064】
更に、前記薄膜層の厚みを一定に制御するためには、未加硫ゴム成形体の表面に塗布液を塗布した後、その塗布面を刷毛、ヘラ、ローラー又はダイスで処理することが好ましい。例えば、槽内に刷毛、ヘラ、スポンジローラー、あるいは押出し形状より若干大きいダイスを設け、これらを通過させることで未加硫ゴム材料表面の余分な塗布液を取り除き、また、表面をその塗布液で均一化することが好ましい。そのため、それらの装置は、ディッピング槽液面より上部に設置されることが好ましい。更に好ましくは、槽内で塗布液を充分に未加硫ゴム材料にのせるために、ローラー、好ましくはスポンジローラーを槽内外に設置し(図3参照)、塗布液中を通過させることにより、より塗布液の均一化が図れる。ここで、槽内に設けるローラーを一般にK、槽外に設けるローラーを一般にGと呼ぶ。このような処理は、前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる単体及び/又は化合物が水又は前記有機溶媒に溶解しない場合に特に効果的である。
【0065】
前記周期律表第6族の元素(酸素を除く)からなる単体及び/又は化合物が水又は前記有機溶媒に溶解可能な場合は、未加硫ゴム成形体の表面に塗布液を塗布するために、その塗布液を噴霧機等で噴霧する装置をゴム用押出機と連続加硫槽の間に設置することにより、パーオキサイド加硫系の熱空気下連続加硫を行うこともできる。
【0066】
加硫槽における加熱方法としては、熱空気加硫槽(HAV)、ガラスビーズ流動床、マイクロ波加硫装置(UHF)、スチーム等の加熱手段を用いることができる。連続押出しラインの組み合わせとしては、▲1▼押出機、▲2▼ディッピング槽又は噴霧機、▲3▼UHF、▲4▼HAV、あるいは▲1▼押出機、▲2▼ディッピング槽又は噴霧機、▲3▼HAV、▲4▼UHFが好ましい。
【0067】
パーオキサイド加硫系で得られる製品の大部分が型成形により得られていることから、その材料に加わる熱効率は、連続加硫成形時では低下し易い。連続加硫成形では、UHF加硫槽を組み合わせることが好ましい。
以上のような製造方法を採用することによって、耐熱性に優れ、製品加工時に環境に対して有害な成分を放出する量が極めて少なくなる加硫ゴム成形体を得ることが可能となる。
【0068】
本発明方法により製造される加硫ゴム製品は、自動車用途では、グラスラン製品、窓枠製品、水切り製品、モール、自動車ルーフ部、トランク周りのシール部品、あるいは、ダンパープーリーやエンジンマウント、ストラットマウント、マフラーハンガー、ブッシュ等の防振ゴム製品;建材用途では、サッシのガスケット、建材目地製品;家電製品では、電気接触不良を引き起こすイオウを用いていないゴムシール製品として用いられる。
【0069】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら限定するものではない。
なお、実施例及び比較例で用いた共重合体及び得られた加硫ゴム製品の物性の測定方法は、以下のとおりである。
[135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]]
135℃のデカリン中でFitz-Simons型粘度計を用いた一点法により求めた。
[ヨウ素価]
共重合体のヨウ素価は、滴定法により求めた。
[圧縮永久歪試験]
JIS K6262(1993年)に従い、図2に示す形状の製品を得、6枚重ねて12mmとして圧縮永久歪試験を行った。この試験条件は150℃×22時間である。
[加硫表面のスクラッチ試験]
連続押出し成形直後に(温度210℃)製品表面から35mm×35mmの範囲を特定し、幅7mm毎に、この正方形に縦線、横線をそれぞれ4本ずつ厚み1mmのマイナスドライバーにて強くひっかき、縦線と横線で区切られた線の中で実際に製品表面に残った線の数を数えた(すべて傷がついた場合は40本)。
[製品肌官能試験]
5点:くすみなく極めて良好
4点:くすみなく良好
3点:塗りむらあるが良好
2点:塗り斑あり悪い
1点:塗り斑あり極めて悪い
【0070】
(実施例1〜5及び比較例1〜4)
自動車用防振ゴム製品を成形するに当たり、ゴム成分として、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネンランダム共重合体、エチレン/プロピレンのモル比=70/30、ヨウ素価=12、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]=3.5dl/g
前記共重合体100重量部、FEFカーボンブラック[旭カーボン(株)製、商品名:旭#60G]100重量部、軟化剤[出光興産(株)製、商品名:ダイアナプロセスPW−380]80重量部、亜鉛華[堺化学工業(株)製、商品名:1号]5重量部及びステアリン酸1重量部を容量16リットルのバンバリータイプのミキサー[(株)神戸製鋼所製]で混練した。この混練は充填率70%で行った。
【0071】
混練方法は、先ず前記共重合体を30秒素練りし、次いで、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤を入れ、最後にカーボンブラックを投入して4分間混練し、排出した。排出後のコンパウンド温度は155℃であった。
次に、このコンパウンドを、14インチオープンロール(前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、パーオキサイド加硫剤として、下記の加硫系を入れ6分間分散混練した後、混練物を厚み10mm、幅70mmのリボン状に分出し、50mmゴム用押出機に投入し、押出し未加硫ゴム材料を、図1に示すディッピング槽(以下に示す組成の塗布液を10リットル含有)中に通し、マイクロ波加硫装置(UHF)加硫槽(180℃・4kw)と熱空気加硫槽(HAV)(240℃・5分)が直列につながれた成形ライン(下記の組み合わせ(1)又は(2))に連続的に通しながら図2に示す形状のひも状加硫ゴム製品(防振ゴム製品)を得た。但し、比較例2及び4については、それぞれ下記の組み合わせ(4)及び(3)の成形ラインを用いた。
【0072】
塗布液の組成(数値は重量%)
(1)粉末イオウ(10)/水(85.8)/界面活性剤(4.2)
(2)アルコキシシラン化合物(100)
粉末イオウ:軽井沢精練所社製
界面活性剤:ポリメタクリル酸(2.0)/ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(2.2)(当該処方は、水溶性高分子の最新技術:シーエムシー刊、堀内照夫、p.23(2000)を参考とした。)
アルコキシシラン化合物:ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド[デグサ・ヒュルス社製、商品名Si−69]
【0073】
塗布液(1)の作成方法
秤量したイオウを水中に添加し、界面活性剤を加えた後、充分に撹拌してディッピング槽用の懸濁液を得た。
【0074】
連続押出しラインの組み合わせ
(1)▲1▼押出機、▲2▼ディッピング槽、▲3▼HAV
(2)▲1▼押出機、▲2▼ディッピング槽、▲3▼UHF、▲4▼HAV
(3)▲1▼押出機、▲2▼HAV、▲3▼ディッピング槽、▲4▼UHF
(4)▲1▼押出機、▲2▼UHF、▲3▼HAV
【0075】
ディッピング槽(図1)
押し出された未加硫ゴム表面にできる限り塗布液を均一に付着させるために、ディッピング槽の入り口及び出口に、槽外、中にスポンジローラーを設けてある(図3)。また、塗布液中で懸濁しているイオウが沈降しないように、槽内に図3に示すような撹拌装置1(懸濁したイオウが均一に分散されるようにスクリュー状の羽を回転させる装置)又は撹拌装置2(槽底のホースから気体を強く噴出させてイオウを均一に分散させる装置)が設置されている。また、実施例3では、槽の下層溶液をポンプで吸い込み、槽に逆流させることにより塗布液を撹拌させる装置(撹拌装置3)を用いた。
以上のようにして得られた製品について、前記の評価試験を行った。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0004280001
【0077】
加硫系−1:加硫促進剤N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(三新化学工業(株)製サンセラーCM)1.5重量部、加硫促進剤2−メルカプトベンゾチアゾール(三新化学工業(株)製サンセラーM)2.5重量部、加硫促進剤テトラメチルチウラムジスルフィド(三新化学工業(株)製サンセラーTT)2.0重量部、加硫促進剤ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(三新化学工業(株)製サンセラーTRA)1.5重量部、イオウ3.0重量部
加硫系−2:1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを炭酸カルシウム等で40%に希釈したもの(パーヘキサ3M)8.2重量部、トリアリルイソシアヌレート(日立化成(株)製)6.75重量部
実施例1〜3から、押出機と連続加硫槽の間にディッピング槽を設置し、ディッピング槽中の塗布液の濃度を撹拌装置により均一化すると耐圧縮永久歪性、耐熱性、強度特性等の特性に優れる加硫ゴム製品が得られることがわかる。
【0078】
比較例1から、ディッピング槽が配置されていなければ、全くパーオキサイド連続加硫ができないことがわかる。
比較例2から、イオウ加硫系を用いた場合には、スクラッチ性は良好だが、耐圧縮永久歪性が極めて悪いことがわかる。
実施例4から、ディッピング槽中外に付加装置が設置されていることによって、意匠性が向上されることがわかる。
実施例5から、連続ラインとしてはUHF加硫槽を組み合わせた方が良好な物性が得られることがわかる。
比較例3から、ディッピング槽が押出機の直後に配置されていなければ、全くパーオキサイド連続加硫ができないことがわかる。
実施例6から、撹拌装置2を用いると塗布液が均一化し、更に良好な耐圧縮永久歪性が得られることがわかる。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、パーオキサイド架橋系での連続架橋成形が可能となり、これまでにない耐圧縮永久歪性、耐熱性を有している加硫ゴム製品を製造することができる。また、本発明方法は、加硫促進剤を使用する必要がないため、製品成形中に体に有害なニトロソアミン等が発生せず、環境にやさしい加硫ゴムの成形方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたディッピング槽を示す図である。
【図2】実施例で製造した防振ゴム製品の形状及び圧縮永久歪試験方法を示す図である。
【図3】ディッピング槽中の撹拌装置1、2と塗布液の薄膜化装置を示す図である。

Claims (6)

  1. パーオキサイド架橋系の加硫ゴム製品の製造に際して、ゴム用押出機と加硫槽との間に、未加硫ゴム成形体の表面に塗布液を塗布するための装置を配置する加硫ゴムの製造方法であって、塗布液がイオウ、セレニウム(セレン)、テルリウム(テルル)、ポロニウムのカルコゲン(酸素族元素)からなる単体及び/又は化合物を含むことを特徴とする加硫ゴムの製造方法。
  2. 前記合物が次式(I):
    Figure 0004280001
    [式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、nは0、1又は2であり、Rは炭素数1〜6の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、Rは炭素数6〜12のアリーレン基であり、m及びpは、それぞれ0又は1であり、かつ、mとpとが同時に0となることはなく、qは1又は2であり、Bは、qが1であるとき−SCN又は−SHであり、qが2であるとき−Sx−(式中、xは2〜8の整数である。)である。]
    で示されるアルコキシシラン化合物の少なくとも1種である請求項記載の製造方法。
  3. 塗布液を表面に塗布するに当たり、槽を用い、その塗布液中の実質的に不溶の成分(A)が槽の下層に滞留することがないように、撹拌及び/又は循環する装置が前記槽中に設けられている請求項又は記載の製造方法。
  4. 塗布液中の実質的に不溶の成分(A)の濃度が以下の式:
    【数1】
    濃度1(底から1cm部における濃度)/濃度2(水面から1cm部における濃度)=0.3〜1.0
    を満たすように撹拌及び/又は循環を行う請求項記載の製造方法。
  5. 未加硫ゴム成形体の表面に塗布液を塗布した後、その塗布面を刷毛、ヘラ、ローラー又はダイスで処理する請求項又は記載の製造方法。
  6. 未加硫ゴム成形体の表面への塗布液の塗布を、その塗布液を噴霧機で噴霧することにより行う請求項1又は2記載の製造方法。
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