JP4279365B2 - プルアウト片の直接作用によって針を設定する機構を備えた時計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モーション・ワーク中間ホィールに対するプルアウト片の直接作用によって針を設定する機構を備えており、その機構がプルアウト片の特殊な形状によってロッキングバーを省略できるようにした時計に関する。
更に詳細には、本発明はそのような針設定機構を取り付けたアナログ表示時計に関する。
【0002】
【従来の技術】
モーション・ワーク中間ホィールの切り離し、及び逆に針設定を行うための係合または噛み合いを実施するために、様々な機構が提案されている。
例えば、スイス特許第583,933号は、弾性トングによって噛み合い位置に保持されている中間ホィールの切り離しを、巻きステムの端部の円錐形肩部が中間ホィール軸の端部に作用することによって行う機構を開示している。
【0003】
他のもっと一般的な解決方法では、巻きステムに加えた移動によって中間可動部材に作用するプルアウト片を動作させる。中間可動部材は、一般的に、ロッキングバーによって形成され、それの1つのアームが中間ホィールをモーション・ワークホィールに対して係脱させるようにしている。この原理は、様々な変更形を生み出している。例えば、スイス特許第613,588号を引用することができ、これではニュートラル位置とも呼ばれる切り離し位置または針設定用の噛み合い位置が、時計の一般平面に直交する平面上のロッキングバーとして作用する曲がりストリップによって滑りピニオンを垂直方向に変位、すなわち時計の一般平面に直交する方向に変位させることによって達成され、そのストリップ自体は、針設定ステムによって制御されるプルアウト片のアームの作用を受けるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明による機構は、上記カテゴリーに属するが、モーション・ワークホィールの係脱を行うためにプルアウト片と滑りピニオンとの間に介在させていた中間可動部材を省略した簡略形構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ヘッド及びベースを端部に設けた中間ホィールによって針を設定する機構を備えた、少なくとも1つのアナログ表示部を有する時計である。その中間ホィールは、時計のプレートの一般平面に垂直な軸に沿って、モーション・ワークホィールから切り離される少なくとも1つのニュートラル位置と、モーション・ワークホィールと噛み合う針設定位置との間を移動することができる。また、その中間ホィールは、プルアウト片と協働する円形溝を備えた針設定ステムの移動によって一方の位置から他方の位置へ移動するようになっている。この中間ホィールは、また、弾性手段によってベースで押し上げられて針設定位置に入るようになっている。一方、プルアウト片は、弾性手段に対抗するように中間ホィールのヘッドに直接作用して中間ホィールをニュートラル位置に入れることができるアームを備えている。
【0006】
弾性手段は、例えば連結ばねで形成される。以下に詳細に説明する実施形態では、針設定機構は、一端部がプレートに固定された板ばねを備えている。
プルアウト片を回動させた時、プルアウト片のアームが中間ホィールのヘッドに作用しやすくするため、アームの端部を時計の一般平面から外向きに傾斜させると共に、中間ホィールの前記端部に面取り部を設けている。同様に、プルアウト片のアームにも簡単な面取り部を設けることができ、中間ホィールの端部を円錐形または円すい台形にすることができる。
本発明の他の特徴及び利点は、例として挙げられているだけである添付の図面を参照した以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、それぞれステムを押し込んだニュートラル位置及びステムを引き出した針設定位置にある針設定機構だけをを斜視図で示している。時計のムーブメント及び針による表示手段は、当該分野の専門家が一般的に知っていることであるので、ここでは示されていない。
図1を参照すれば、本機構は基本的に、時計の一般平面を定めるプレートP上にプルアウト片4を動作させるステム1を備えている。このプルアウト片4は中間ホィール10に直接作用する。中間ホィール10は、断面図に示されているように時計の一般平面に垂直な軸13に沿って移動する。連結ばね15の弾性力に抗して軸13の方向に沿って圧力を加えて移動させると、中間ホィール10はモーション・ワークホィール20から切り離した状態に保持される。ニュートラル位置では、針表示を駆動するモーション・ワークホィールがこのように針設定部の運動連鎖から完全に切り離されている。プルアウト片4は、全体的に細長い形状の本体5で構成されており、この本体の一端部はプレート上でスタッド3の回りに回動可能である。プルアウト片4は、さらに本体5に対してほぼ直交する向きに設けられ、ステム1の円形溝2と協働する制御アーム6を備えており、かつ本体5の他端部には第2アーム7が設けられている。第2アームの端部8はプレートPから外向きに傾斜している。すなわち、端部8は第2アームの先端から突出する形状で、その先端部に向かうにつれて順次プレートPの面から離れる向きに傾斜している。
【0008】
図1、図3及び図4に示されているニュートラル位置では、自由端部16が中間ホィール10のベース12に作用し、他端部17がプレートに取り付けられている板ばね15によって加えられる反対力に対抗することによって第2アーム7が中間ホィール10のヘッド11に当接するため、モーション・ワークホィール20が中間ホィールから切り離される。
【0009】
図2、図5及び図6に示されている針設定位置では、ステム1が図2に矢印で示されている方向に引き出されて、それによってプルアウト片4がスタッド3の回りに回動しているため、アーム7の曲がり端部8が中間ホィール10を解放する。従って、ばね15の作用で軸13に沿って中間ホィール10が移動してモーション・ワークホィール20と噛み合うことができる。
【0010】
図3及び図5は、図1及び図2に示されている位置にそれぞれ対応した上面図であり、本発明に従った機構の動作の理解を助けるものである。
次に図4を参照しながら説明すると、これは図3のIV−IV破線に沿った断面図であって、左から右に向かって順にプレートP、スタッド3までの制御アーム6の中央部分、プルアウト片4のアーム7までの本体5、最後に中間ホィール10を示している。端部17でプレートPに取り付けられた連結ばね15が、中間ホィール10のベース12に対して作用している。この板ばねは、連結または噛み合い機能だけを行う弾性部材でも、あるいは反対に、他の機能を行う部品の一部分、例えばジャンパのアーム等でもよい。同様に、プルアウト片4には、斜視図及び上面図に見えるピン9で概略的に示されているような、他の機能を行うための噛み合い部分を設けることもできる。
【0011】
針設定運動連鎖に関して説明すると、図3及び図4にはさらに第1中間ホィール21及びそれに噛み合った第2中間ホィール22も示されている。この第2中間ホィール22は中間ホィール10に、それの軸13に沿った位置に関係なく、常に噛み合っている。
【0012】
図6及び図7は、それぞれ図5のVI−VI破線及び図3のVII−VII破線に沿った断面図であり、それぞれ針設定位置及びニュートラル位置における様々なホィール及びピニオンの位置をさらにわかりやすく示している。これらの図面に示されている矢印は、それぞれ針設定位置においてばね15の力が加えられる方向、及びニュートラル位置においてプルアウト片4のアーム7の圧力が加えられる方向を示している。
【0013】
公知のように、第1中間ホィール21は、制御ステム1の方形部分24に取り付けられたピニオン(図示せず)と噛み合うクラウン状の歯を備えている。そのピニオンは一般的に滑りピニオンである。
【0014】
本発明による針設定機構は、ロッキングバーを省略するという経済的な利益、この省略に付随した空間的利得によって得られる構造的利益、及びニュートラル位置では運動連鎖が休止していることによる時計の寿命に関する利益を与える。この最後の点は、モーション・ワークホィールによる針の駆動トルク、従ってエネルギ消費量の低減にも役立つので、特に電池式の電子時計の場合、一定の利益を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ニュートラル位置にある機構の斜視図である。
【図2】 針設定位置にある機構の斜視図である。
【図3】 図1の部分上面図である。
【図4】 図3のIV−IV線に沿った、連結ばねを通る縮小断面図である。
【図5】 図2の部分上面図である。
【図6】 図5のVI−VI線に沿った、モーション・ワークホィールを通る縮小断面図である。
【図7】 図3のVII−VII線に沿った、モーション・ワークホィールを通る縮小断面図である。
【符号の説明】
4 プルアウト片、 7 アーム、 10 中間ホィール、
11 中間ホィールヘッド、 12 中間ホィールベース、 15 板ばね
Claims (3)
- ヘッド(11)及びベース(12)をそれぞれの端部に設けた中間ホィール(10)によって針を設定する機構を備えたアナログ表示時計であって、
その中間ホィールは、
時計のプレート(P)の一般平面に垂直な軸(13)に沿って、モーション・ワークホィール(20)から切り離される少なくとも1つのニュートラル位置と、モーション・ワークホィール(20)と噛み合う針設定位置との間を移動することができ、かつ
プルアウト片(4)と協働する円形溝(2)を備えた針設定ステム(1)の移動によって、一方位置から他方位置へ移動するようになっており、さらに、
その中間ホィール(10)は、
弾性手段(15)によってベース(12)から押し上げられて針設定位置に入るようになっており、
一方、プルアウト片(4)は、弾性手段(15)に対抗するように中間ホィール(10)のヘッド(11)に直接当接できる傾斜した端部(8)を有するアーム(7)を備え、これによって前記中間ホィール(10)をニュートラル位置に入れることができることを特徴とする時計。 - 弾性手段(15)は、プレートに固定された板ばねで形成されており、その板ばねは中間ホィール(10)のベース(12)に作用する自由端部(16)を備えていることを特徴とする請求項1記載の時計。
- 中間ホィール(10)のヘッド(11)に作用するアーム(7)の端部(8)がプレート(P)から外向きに傾斜していることを特徴とする請求項1記載の時計。
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