JP4278913B2 - 波長分散と偏波モード分散を共に補償するシステム及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムにおいて、現在進展しつつある大容量化、高速化、長距離化を実現するために不可欠な波長分散補償方法及び偏波モード分散補償方法に関する。特に、本発明は、単一波長又は波長多重された超高速光伝送システムにおいて、波長分散及び偏波モード分散を最適に補償するためのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のネットワーク容量の急激な増加に伴い、ネットワークの更なる大容量化の要求が高まっている。現在、1チャネル当たりの伝送容量10Gb/sをベース技術とした波長多重(WDM)光伝送方式が実用化されているが、今後更なる大容量化が必要であり、周波数利用効率と装置コストの問題により、1チャネルあたり40Gb/s以上の高速光伝送システムの実現が期待されている。
【0003】
しかしながら、このような超高速光伝送システムでは、波長分散及び偏波モード分散に起因する伝送波形劣化が発生するため、光信号の伝送距離が制限されるという問題がある。そのため、超高速光システム実現の上で、波長分散及び偏波モード分散を高精度に補償するシステムが必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
I)波長分散について
まず、波長分散の概略について説明する。
【0005】
伝送速度10Gb/sを超える光通信システムでは、波長分散に対するトレランスが著しく小さくなる。例えば、40Gb/sNRZ方式の波長分散トレランスは、100ps/nm以下となる。
【0006】
一方では、光通信システムの中継間隔は、一定ではない。そのため、例えば、17ps/nm/kmの波長分散値を持つ1.3μm零分散シングルモードファイバ(SMF)を用いた場合、中継間隔が数km異なっただけで、波長分散トレランスを逸脱することになる。
【0007】
一方では、通信キャリアが所有する光ファイバ伝送路は、中継区間毎の距離、波長分散値について正確に把握されておらず、DCF(Dispersion Compensation Fiber)などを用いた固定波長分散補償方法で高精度な波長分散補償を実現 することは困難なケースが多い。
【0008】
更に、波長分散値はファイバ温度や応力などにより経時的に変化するため、システム運用開始時だけではなく、システム運用中も波長分散を厳密に測定しながら、中継区間毎の波長分散量を最適に調整する必要がある。例えば、
光ファイバの種類 DCF
伝送路の長さ 500km
温度変動 100℃
を想定すると、
[波長分散量]=[零分散波長の温度依存性]×「伝送路の温度変化量]×[伝送路の分散スロープ]×[伝送距離]
=0.03nm/℃×100℃×0.07ps/nm2/km×500km
=105ps/nm
となり、この値は、40Gb/s NRZ信号の波長分散トレランスとほぼ同等となってしまう。従って、常時伝送路の波長分散値をモニタし、波長分散補償量の最適制御を行う自動波長分散補償システムは、SMF伝送路だけではなく、1.55μm零分散シフトファイバ(DSF)や、NZ−DSFを伝送路として用いたシステムでも不可欠なものとなる。
II)偏波モード分散について
次に、偏波モード分散(PMD:Polarization Mode Dispersion)について述べる。
【0009】
PMDは、光信号における偏光成分(例えばTEモード及びTMモードのような2つのモード光)の伝搬遅延時間が異なることによって生じる分散であり、あらゆる光ファイバにおいて発生しうるものである。
【0010】
一般的に偏波モード分散の影響は、光信号が大きくなればなるほど、また、光信号の伝送距離が長くなるほど大きくなり、無視できないものとなる。また、主に日本国以外に敷設された古い光伝送路を構成する光ファイバには、単位長当たり1ps/km1/2(ピコ秒/km1/2:ピコは10の−12乗を示す)を超えるような大きなPMD値を持つと言われているものもあり、そのような光ファイバを用いて短距離伝送(例えば50km伝送)を行った場合でも光遅延差(Δτ)は、40Gb/s NRZ信号の1タイムスロット25psに対して、7ps以上となる。このため、前述の波長分散と同様に偏波モード分散の影響も無視できないものとなる。実際には、光通信システムには光増幅器や波長分散補償器などの偏波モード分散を生じる部材を伝送路中に設ける必要があるため、光信号の伝送距離が更に制限されるおそれがある。更に、偏波モード分散は、光ファイバに加わる応力や温度変化によって経時変化を示すため、敷設時だけでなく、運用中も伝送路の偏波モード分散の状態をモニタし、動的に補償する必要がある。
【0011】
上記のように、波長分散と偏波モード分散は光通信システムの性能を制限する大きな要因であり、光通信システムの性能を改善するためには、波長分散、偏波モード分散の双方を個別に動的に補償する、つまり、自動分散補償システムを用意する必要がある。
【0012】
自動分散補償器を実現するための要素技術は、下記の(a)〜(c)の三つにまとめられる。
(a)可変分散補償器の実現
(b)伝送路の分散値モニタの実現
(c)可変分散補償器のフィードバック最適化制御方法の実現
(a)の内、波長分散補償器としては、これまでに一例として、下記のようなものが提案されている。
(1)VIPA
“VARIABLE DISPERSION COMPENSATOR USING THE VIRTUALLY IMAGED PHASED ARRAY(VIPA)FOR 40-GBIT/S WDM TRANSMISSION SYSTEMS”ECOC2000,PD Topic2, 2.3
(2)TUNABLE RING RESONATOR
“TUNABLE RING RESONATOR DISPERSION COMPENSATORS REALIZED IN HIGH REFRACTIVE-INDEX CONTRASTSION TECHNOLOGY”ECOC2000,PD Topic2,2.2
(3)FBG(Fiber Bragg Grating)
“TWIN FIBRE GRATING ADJUSTABLE DISPERSION COMPENSATOR FOR 40GBIT/S”ECOC2000,PD Topic2, 2.4
また、偏波モード分散補償器としても、これまでに一例として、下記のようなものが提案されている。
(1)光信号の送信端に偏波制御器(PC:Polarization Controller)を設け、伝送特性を受信端からフィードバックして、2つの偏波モードへの光強度の分岐比γを0又は1となるように制御する方法。
“Optical Equalization of Polarization Dispersion”、SPIE Vol.1.1787 Multigigabit Fiber Communications, 1992, pp.346-357
(2)光信号の受信端に偏波制御器と偏波保持ファイバ(PMF:Polarization Maintaining Fiber)とを設け、偏波制御器を制御することにより、光伝送路とは逆符号な2つの偏波モード間の遅延差を与える方法。
“Automatic compensation technique for timewise fluctuating Polarization mode dispersion in in−line amplifier systems”、Electro.Lett., vol.30, No.4, 1994, pp348-349
(3)光信号の受信端に、偏波制御器と偏波ビームスプリッタ(PBS:Polarization Beam Splitter)と、この偏波ビームスプリッタにより、2つに分岐された光信号成分をそれぞれ受光する受光器と、これら受光器により得られた2つの電気信号間に遅延差を与える可変遅延素子を設けて、偏波制御器及び可変遅延素子を制御する方法。
“Polarization Control Method for Suppressing Polarization Mode dispersion Influence in Optical Transmission systems”, J.of Lightwave Technol., Vol.12, NO.5, 1994, pp891-898
次に、フィードバック制御に不可欠な(b)伝送路の分散値モニタについても幾つかの提案がなされている。
【0013】
まず、波長分散値の測定方法としては、複数の異なる波長の光を光ファイバに入力し、出力光間の群遅延や位相差を測定するパルス法や位相法が、従来より提案されている。しかし、これらの方法を用いて、システム運用中に通信の品質を落とすことなく常時波長分散測定を行うためには、(1)各中継区間毎に一組の波長分散測定器が必要となる、(2)データ信号とは異なる波長の測定光を波長多重する必要がある、といった課題があり、これらを実現することは経済性及び装置サイズの面から見て現実的ではない。
【0014】
このような問題を解決する波長分散モニタの一例として、幾つかの手法が提案されている。以下に波長分散モニタの一例を示す。
(1)波形歪みにより、特定の周波数成分強度が変化する性質を利用し、受信ベースバンド信号中の特定周波数成分強度を用いる方法(“Automatic Dispersion Equalization in 40 Gbit/s Transmission by Seamless-Switching between Multiple Signal Wavelengths”, ECOC’99, pp.l-150-151)。
(2)エラーレートを用いた方法
受信器でエラーレートをモニタし、エラーレートが最良になるように波長分散補償器をフィードバック制御する方法。
【0015】
実用的な分散モニタは、いずれの場合も分散に起因する波形歪みを直接又は間接に用いる。このため、波長分散と偏波モード分散が同時に生じているようなケースでは、波形歪みが波長分散に起因するものか、偏波モード分散に起因するものか区別できないため、波長分散と偏波モード分散双方を同時に補償する自動分散補償器の実現は困難である。
【0016】
また、偏波モード分散の測定方法としては、
(1)消光法(セナルモン法)
(2)回転検光子法
(3)回転移相子法
(4)位相変調法
等が提案されており、偏光状態の表示(表現)方法としては、
(1)ポアンカレ球
(2)ジョーンズベクトル
(3)ストークスベクトル
が提案されている(「偏光状態の表示法と測定法」、OPTRONICS, (1997), No.5 pp.109-117)。
【0017】
ジョーンズベクトルを用いた偏波モード分散の測定方法及びその装置は、一例として特開平9−72827に提案されている。また、波長分散が存在する環境下での適用は困難であるが、受信信号中の特定周波数成分をモニタすることによる偏波分散モニタも提案されている(本出願人の下で特許出願中)。
【0018】
本発明の課題は、波長分散と偏波モード分散を共に最適に補償することの出来るシステム及び方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のシステムは、光ファイバを伝送線路として用いる通信システムにおいて、光ファイバを伝送することによって光信号が受ける偏波モード分散を補償する偏波モード分散補償手段と、該偏波モード分散補償手段に、該光信号が受けている偏波モード分散の状態に関する情報をフィードバックする偏波モード分散測定手段と、該光ファイバを伝送することによって光信号が受ける波長分散を補償する波長分散補償手段と、該波長分散補償手段に、該光信号が受けている波長分散の状態に関する情報をフィードバックする、該偏波モード分散補償手段よりも受信側に設けられた波長分散測定手段とを備えることを特徴とする。
本発明の方法は、光ファイバを伝送することによって光信号が受ける偏波モード分散の状態を測定し、偏波モード分散を補償する偏波モード分散補償手段と、該光ファイバを伝送することによって光信号が受ける波長分散を測定し、波長分散を補償する、該偏波モード分散補償手段より受信側に波長分散の測定点を持つ波長分散補償手段とを備える通信システムにおける偏波モード分散及び波長分散の補償方法であって、該偏波モード分散補償手段によって、該光信号が受けた偏波モード分散を補償するステップと、該偏波モード分散の補償が行われた後に、該波長分散補償手段によって、該光信号が受けた波長分散を補償するステップとを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、波長分散補償を行うための波長分散の測定位置を、偏波モード分散補償手段の後段に設けたので、波長分散は、偏波モード分散が補償された後の状態で測定することが出来る。偏波モード分散は、波長分散の大小に関わらず、精度良く測定が可能であるので、先に偏波モード分散補償を行い、偏波モード分散補償を行った後の状態で波長分散を測定し、この測定結果に基づいて波長分散補償を行うことで、偏波モード分散と波長分散を共に最適に補償することが出来る。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、光通信システムにおいて、波長分散と偏波モード分散の双方をそれぞれ最適にフィードバック制御する自動波長分散補償器と自動偏波モード分散補償器を併せ持つ自動分散補償システムを提供する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態の基本構成を示すブロック構成図である。図2は、図1の構成において、必要となる制御アルゴリズムを示すフローチャートである。
【0023】
図1においては、偏波モード分散補償器1の次段に可変波長分散補償器2が設けられ、その次段に受信装置の光/電気変換器3が設けられる。また、偏波モード分散モニタ5は、偏波モード分散補償器1の出力をモニタし、偏波モード分散補償器1にフィードバックをかける。また、波長分散モニタ4は、可変波長分散補償器2の出力をモニタし、可変波長分散補償器2にフィードバックをかける。波長分散モニタは、自動波長分散補償器のフィードバック制御には不可欠である。しかし、これまでに提案されている実用的な波長分散モニタは、
(1)特定周波数抽出方式
同様の提案が偏波モード分散モニタとしても提案されているように、偏波モード分散と波長分散のいずれの変動に起因するものか切り分けができない。従って、偏波モード分散耐力が弱い。
(2)エラーレートを用いた方式
エラーレートの変動は、波長分散のみならず偏波モード分散によっても生じる。従って、偏波モード分散と波長分散のいずれの変動に起因するものか切り分けが出来ない。従って、偏波モード分散耐力が弱い。
と偏波モード分散耐力に乏しい。このため、可変波長分散補償器のフィードバック制御は、偏波モード分散が安定した状態でモニタされた波長分散の情報に基づいて行う必要がある。
【0024】
そこで、本発明の実施形態では、図1に示すように偏波モード分散補償器(PMDC:Polarization Mode Dispersion Compensator)を可変波長分散補償 器(VDC:Variable Chromatic Dispersion Compensator)の前段に配置する。
【0025】
偏波モード分散補償器後段に自動波長分散補償器を配置することにより、自動波長分散補償器に入力する伝送信号から偏波モード分散に起因する波形歪みを排除することが可能となる。
【0026】
ただし、偏波モード分散補償後に波長分散補償を行うことが前提であるため、常に偏波モード分散値が十分に補償され安定した状態で波長分散補償を行う必要がある。このため、図2のフローチャートに示す制御が必要となる。
【0027】
図2によれば、最初、偏波モード分散補償器も自動波長分散補償器も起動していない状態から始まる場合には、ステップS1において、偏波モード分散補償器PMDCの制御から開始する。そして、ステップS3において、PMDが許容範囲内になったか否かを判断し、許容範囲内でないと判断した場合には、ステップS2において、PMDC制御を行い、ステップS3において、許容範囲内になったと判断された場合には、ステップS4に進む。
【0028】
ステップS4においては、自動波長分散補償器VDCの制御を開始する。そして、ステップS6において、波長分散は許容値範囲内か否かを判断し、許容値範囲外である場合には、ステップS5において、VDC制御を行い、許容値範囲内であると判断された場合には、ステップS7に進んで、通常監視状態に移る。
【0029】
ステップS7においては、PMDは許容値範囲内か否かを判断し、範囲内である場合には、ステップS9に進む。ステップS7において、PMDが許容値範囲内にないと判断された場合には、ステップS8においてPMDC制御を行い、ステップS7に戻って、PMDが許容値範囲に入るまで制御を行う。
【0030】
ステップS9では、波長分散が許容値範囲内か否かを判断し、範囲内にない場合には、ステップS10において、VDC制御を行い、ステップS9に戻って、波長分散が許容値範囲内になるまで制御を繰り返す。ステップS9で、波長分散値が許容値範囲内にあると判断された場合には、ステップS7に戻って、通常監視制御を続ける。
【0031】
この実施形態では、偏波モード分散補償を先にやってから波長分散補償を行う構成例を示したが、後の実施形態に示されるように、偏波モード分散補償器PMDCを波長分散モニタの前段に持ってきていれば、補償器の位置が前後しても同じ効果が得られる。すなわち、波長分散モニタは、偏波モード分散補償された状態で観測を行うようにすればよいので、偏波モード分散補償器PMDCより後ろに波長分散モニタの観測点を設けるようにする。
【0032】
更に、本発明の実施形態では、偏波モード分散のモニタ値としてストークスパラメータを用いることを提案する。
図3は、本発明の第2の実施形態を説明するブロック構成図である。
【0033】
同図においては、図1と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。ただし、同図においては、偏波モード分散モニタ5がストークスパラメータをモニタすることとなっている。ストークスパラメータは、伝送路の波長分散の状態に依存ずることなく、偏波モード分散の状態のモニタが可能である。
【0034】
前段に挿入されたPMDC1(Polarization Mode Dispersion Compensator :偏波モード分散補償器)はストークスパラメータによりモニタリングされた偏波モード分散の情報により、偏波モード分散最適値にフィードバック制御可能とされる。VDC2(Variable Chromatic Dispersion Compensator:可変波長分散補償器)には、偏波モード分散補償された伝送信号が入力するため、波長分散モニタ4の偏波モード分散耐力の如何に関わらず、正確な波長分散の情報がモニタでき、可変波長分散補償器2を波長分散最適値にフィードバック制御することが可能となる。
【0035】
以上により、偏波モード分散と波長分散の同時補償可能な自動分散補償システムの提供が可能となる。
図4は、本発明の第3の実施形態を示すブロック構成図である。
【0036】
同図において、図1と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明を省略する。
上記実施形態では、波長分散補償器に偏波モード分散補償された伝送信号を入力する必要があるため、偏波モード分散補償器と波長分散補償器の配置順に制約がある。この対策として、提案をするのが本実施形態である。
【0037】
波長分散補償器2、偏波モード分散補償器1の配置順に関わらず、偏波モード分散補償器1の出力を使用して波長分散をモニタすることにより、偏波モード分散の影響を除去した信号により波長分散をモニタすることが可能である。
【0038】
図3及び図4の場合も、図2のフローチャートに従った処理が必要である。図2のフローチャートは既に説明したので、ここでは、説明を省略する。
図5及び図6は、偏波モード分散の測定パラメータとしてのストークスパラメータの有効性を説明する図である。
【0039】
ここで、ストークスパラメータの定義を説明する。
光は、電磁波であり、光の進行方向に対し垂直に電気ベクトルが振動する横波である。ここで、光の進行方向に垂直な平面内で、直交する二つの電気ベクトルを各々、
Eu=Au・sin(ωt+δu)
Ev=Av・sin(ωt+δv) ・・・・(1)
とする。ここで、Eu、Evは、直交する二つの電気ベクトルの成分であり、Au、Avは、電気ベクトルの振幅を表す時間に依存しない値である。また、ωは各振動数であり、δu、δvは、それぞれの直交成分の位相である。
【0040】
一般に、ストークスパラメータは、光の直交する二つの成分Eu、Evを用いて次のように定義される。
S0=<Eu・Eu*+Ev・Ev*>
S1=<Eu・Eu*−Ev・Ev*>
S2=<Eu*・Ev+Eu・Ev*>
S4=<Eu*・Ev−Eu・Ev*> ・・・・(2)
ここで、*は、複素共役を表し、<・・・>は、時間平均を表す。今の場合、電気ベクトルは実数で示されているので、複素共役をとっても同じ電気ベクトル成分となる。これらS0〜S3の4つの量は強度の次元を持ち、S1、S2、S3は、正、負、または、0の値を取る。
【0041】
このようにして定義されるストークスパラメータは波長分散の影響をほとんど受けることなく、偏波の状態を示すことが出来る。
具体的に、S0、S1、S2、S3の得るための手段について説明する。
【0042】
S0は、入力光をビームスプリッタで4つに光分離した内の1つの光を直接検出することで得られる。
S1は入力光をビームスプリッタで4つに光分離した内の1つの光を予め定めた軸から90度または0度の位置に軸を有する偏光子を設け、偏光子の出力を検出することで得ることができる。
【0043】
S2は入力光をビームスプリッタで4つに光分離した内の1つの光を予め定めた軸から45度または125度の位置に軸を有する偏光子を設け、偏光子の出力を検出することで得ることができる。
【0044】
S3は入力光をビームスプリッタで4つに光分離した内の1つの光を予め定めた軸から90度または0度の位置にc軸を有するλ/4板に入射し、λ/4板からの出力をS2の偏光子の軸と同じ軸を有する偏光子を設け、偏光子出力を検出することで得ることができる。
【0045】
また、検出する光に対して偏光子を2π/nの角度で回転させてn回測定することでもS0、S1、S2、S3を得ることができる。
更に、検出する光に対して移相子を2π/nの角度で回転させて回転し、その光を固定した偏光子を介して測定することでも、S0、S1、S2、S3を得ることができる。
【0046】
図5は、分散変動時のストークスパラメータを使ったPMDモニタの有効性確認実験の実験設定を示す図である。
すなわち、波長分散及び偏波モード分散(PMD)同時補償を実現するために、波長分散の状態に依存せず、PMDを安定してモニタできる方法としてストークスパラメータを使用する場合の動作を実証するための実験として、伝送路中の波長分散値を変えた場合でも、安定してDOP(偏光度:Degree Of Polarization)が測定できるか確認した。
【0047】
同図(a)は、波長分散のみがあるときのDOP測定系を示す図であり、波長分散を与える構成としてDCFを用いている。なお、ここでは、偏波状態を1/2波長板と1/4波長板を用いて制御している。
【0048】
同図(b)は、偏波モード分散のみがあるときのDOP測定系を示す図であり、偏波モード分散を与える構成としてPMDE(Polarization Mode Dispersion Emulator)を使用した場合である。
【0049】
同図(c)は、偏波モード分散と波長分散が混在する場合のDOP測定系を示す図であり、同図(a)と(b)を組み合わせた構成をしている。
これらにおいては、送信系として、40Gb/sのNRZ送信器を使用している。また、受信系としては、ストークスパラメータによって定義されるDOPの測定器が設けられている。なお、DOPは、以下の式で定義される。
DOP=√(S12+S22+S32)/S0
図6は、図5の測定系を用いたDOPの測定結果を示す図である。
【0050】
同図(a)は、DCFの波長分散値を−407ps/nmに設定した場合であって、図5(a)〜(c)の場合のDOPの測定結果(%)が示されている。DOPは、値が100%に近いほど、偏波状態が安定になっていることを示している。また、図6(a)〜(c)の項1〜3は、それぞれ、PMDEの偏波分散値をDOPでほぼ70%、80%、90%に設定して測定を行った場合を示している。
【0051】
図6(a)〜(c)を見ると、DCFのみの場合では、偏波分散がPMDEが設けられていないので、DOPの値はほぼ100%に近い値を示している。ここで、実際にDOPを測定すると、偏波分散がほとんどない状態でも10%位の誤差は常にあるということを認識されたい。
【0052】
次に、図6(a)〜(c)のPMDEを設けた場合を見ると、項1〜3に対応して、それぞれ、測定値がほぼ70%、80%、90%を示していることが分かる。
【0053】
次に、図5(c)の実験系に対応する測定結果を図6(a)〜(c)で見ると、項1〜3のいずれにおいても、DCFの波長分散値の値によらず、ほぼ10%の誤差の範囲内で、70%、80%、90%のDOPの値が測定されていることが分かる。
【0054】
これらの実験結果より、ストークスパラメータによる偏波モード分散モニタが、波長分散耐力特性に優れ、波長分散の状態によらずに偏波モード分散モニタとして有効であることが確認できる。
【0055】
図7は、本発明の第4の実施形態を示す図である。
図7の構成は、波長多重光通信方式において、自動波長分散補償器と自動偏波モード分散補償器を併せ持つ自動分散補償システムを実現する構成である。
【0056】
本実施形態においては、第1の実施形態の自動分散補償器を分波器により分波された波長毎に個別に配置し、個別補償を行うことにより波長多重方式において、自動分散補償方式を実現する。
【0057】
なお、ここで、λ1〜λnの記号は、異なる波長を特定するためのものであって、実際の波長多重光に含まれる信号光の波長を特定の配列で順序づけるものではない。
【0058】
図7の構成においては、各波長λ1〜λnの光送信機10−1〜10−nから送信された光信号は、合波器11において合波され、伝送線路12を通って、受信機の分波器13に入力される。分波器13では、波長多重光を各波長λ1〜λnの光信号に分波し、それぞれPMDC1〜n、VDC1〜nを通ることによって、前述した実施形態のように、偏波モード分散補償され、波長分散補償された後、O/E1〜nによって受信される。
【0059】
図8は、本発明の第5の実施形態を示す図である。
同図においては、図7と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明を省略する。
【0060】
本実施形態では、第4の実施形態において、偏波モード分散モニタのモニタ値としてストークスパラメータを利用する。前述したように、ストークスパラメータは、波長分散の状態に依存せずに、偏波の状態をモニタすることが出来るため、波長分散と偏波モード分散とが混在している状態から偏波モード分散による影響を抽出し、適切な偏波モード分散補償を行うことが出来る。そして、このような偏波モード分散補償を行った後の状態を、波長分散モニタで検出し、波長分散補償を行うことによって、偏波モード分散と波長分散補償とを適切に行うことが出来る。
【0061】
その他の構成については、図7と同様であるので説明を省略する。
図9は、本発明の第6の実施形態を示す図である。
同図においては、図7と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0062】
図4で提案する自動分散補償器を分波器により分波された波長毎に個別に配置し、個別補償を行うことにより波長多重通信方式において、波長分散補償器、偏波モード分散補償器の配置順に関わらず、自動分散補償器を実現する。
【0063】
すなわち、本実施形態は、第4あるいは第5の実施形態において、偏波モード分散補償器と波長分散補償器の構成を図4の構成としたものである。
ここで、前述したように、波長分散モニタは偏波モード分散による分散と波長分散による分散を区別できないが、偏波モード分散モニタは、偏波モード分散の影響を切り分けられるという事実がある。従って、波長分散モニタの観測点が偏波モード分散補償器PMDCの後ろに有れば、偏波モード分散補償後の信号を観測することが出来るので、波長分散と偏波モード分散とをそれぞれ適切に補償することが出来る。このような見解に基づき、波長分散補償器VDCは、偏波モード分散補償器PMDCより送信器側(前段)に設けられているが、波長分散モニタの観測点は、偏波モード分散補償器の後段(受信側)に配置するようにしている。
【0064】
その他の構成については、図8と同じなので説明を省略する。
図10〜15は、本発明の第7の実施形態の各構成例を示す図である。
なお、図10〜図15においては、図7と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0065】
図7〜図9に示した、波長毎に個別に波長分散補償を行う自動分散補償システムの場合、波長多重される波長数分の波長分散補償器(偏波モード分散補償器と波長分散補償器の組み合わせ)が必要となり、コスト、サイズ面での負荷が大きい。この解決策として、波長分散補償器を波長多重光全体を一括して補償する構成として設ける。
【0066】
図10〜12は、伝送線路の受信端あるいは受信機の中(図10)、送信端あるいは、送信機の中(図11)又は中継器の中あるいは、伝送路の途中の独立した場所(図12)のいずれか1カ所以上で、伝送される波長多重信号を一括して補償する可変波長分散補償器と、分波器で分波された波長毎に個別に補償を行う偏波モード分散補償器を有し、1つ以上の偏波モード分散補償器の出力を波長分散モニタとして使用し、可変波長分散補償器をフィードバック制御することにより、自動分散補償システムを実現する。
【0067】
ここで、図10〜12においては、分波器によって分波された後の全ての波長の光信号の波長分散をモニタし、これを用いて、波長分散補償器VDCを制御する構成を図示しているが、前述のように、波長分散値をモニタする光信号は必ずしも全てでなくても良い。すなわち、波長分散の仕組み等は、現在多くの部分が解明されており、伝送線路として使用される光ファイバの特性が分かれば、ある程度、どのような波長分散が生じるかを予測することが出来るためである。従って、ただ1つのみの光信号の波長分散値を測定しても、この値から他のチャネルの光信号がどのような波長分散を受けるかをある程度精度良く推定することが出来るので、これを用いて波長分散補償すれば十分だからである。
【0068】
図13〜15は、(可変)波長分散補償器VDCと合わせて、ファイバグレーティング、DCFなどの固定波長分散スロープ補償器を配置し、波長分散スロープも合わせて補償する構成の提案。ただし、可変波長分散補償器、固定波長分散スロープ補償器の配置の順は問わない。
【0069】
すなわち、図13は、固定波長分散スロープ補償器と波長分散補償器VDCを受信機側、あるいは受信機の中に設けたものであり、図14は、これらを送信機側あるいは送信機の中に設けたものであり、図15は、これらを中継器の中あるいは伝送線路の途中の独立した位置に設けた場合を示している。
【0070】
この場合も、波長分散モニタは、受信側で分波された全ての波長の光信号の波長分散値をモニタする必要はなく、1以上の光信号について波長分散値を測定すればよい。ここで重要なのは、やはり、偏波モード分散補償器PMDCの後段 (受信側、O/Eに近い方)に波長分散モニタの観測地点があることである。
【0071】
固定波長分散スロープ補償器は、伝送線路である光ファイバの波長分散スロープを平坦化するためのものであり、予め使用する光ファイバの特性を調べておき、これに従って、固定波長分散スロープ補償器の補償値を決定するようにする。
【0072】
なお、固定波長分散スロープ補償器は、既に公知であるため、説明を省略する。
可変波長分散補償器をフィードバック制御するために、受信端で分波後、一つ以上のチャネルの伝送信号をモニタとして利用するが、偏波モード分散補償されていることが前提であるため、図16のフローチャートに従った制御が必要となる。
【0073】
図16は、図10〜図15の実施形態における分散補償制御処理のフローチャートである。
まず、制御の開始段階では、VDCの動作は行わず、VDCは光信号を通過させるのみとしておく。そして、ステップS20において、波長多重光信号のチャネルの識別番号であるλを「1」に設定する。次に、ステップS21において、PMDC制御を開始し、ステップS22において、PMDは許容値内か否かを判断する。PMDが許容値内でない場合には、ステップS23において、PMD制御を行い、ステップS22に戻って、PMDが許容値内になるまで、制御を繰り返す。そして、PMDが許容値内になった場合には、ステップS24に進み、全てのチャネルについて制御を完了したかを判断する。ステップS24において、まだ全てのチャネルについて制御が完了していないと判断された場合には、すてS25において、λを1増やし、ステップS21に戻って、処理を繰り返す。ステップS24において、全てのチャネルについてPMDの制御が完了したと判断された場合には、ステップS26において、VDCの制御を開始する。
【0074】
ステップS27においては、波長分散のモニタの結果、波長分散は許容値内にあるか否かを判断する。ここで、モニタする光信号は、全てのチャネルでも良いし、一部チャネルだけでも良いし、1つのチャネルだけでも良い。波長分散が許容値内にない場合には、ステップS28において、VDC制御を行い、ステップS27に戻って、波長分散が許容値内になるまで制御を続ける。ステップS27において、波長分散が許容値内にあると判断された場合には、ステップS29に進み、通常監視状態に移る。
【0075】
通常監視状態では、ステップS29において、チャネルを特定するλを「1」に設定し、ステップS30において、PMDが許容値内にあるか否かを判断する。PMDが許容値内にない場合には、ステップS31において、PMDCを制御し、ステップS30に戻って、PMDが許容値内に入るまで制御を続ける。ステップS30において、PMDが許容値内に入ったと判断された場合には、ステップS32に進む。ステップS32では、全てのチャネルについて、PMDの補償が終わったか否かを判断し、終わっていないと判断された場合には、ステップS33において、チャネルを特定するλを1増やし、ステップS30に戻って、他のチャネルのPMDの補償を行う。ステップS32において、全てのチャネルのPMDの補償が終わったと判断された場合には、ステップS34に進み、波長分散は許容値内であるか否かを判断する。これは、前述の通り、全てのチャネルの波長分散を測定しても良いし、一部チャネルのみでも、1つのチャネルのみでもかまわない。そして、波長分散が許容値内に無いと判断された場合には、ステップS35において、VDCを制御し、ステップS34に進む。
【0076】
ステップS34において、波長分散が許容値内にないと判断されているうちは、ステップS35に進み、VDC制御を繰り返し、ステップS34において、波長分散が許容値内にあると判断されると、波長分散補償が完了したとして、ステップS29に戻る。通常監視状態では、ステップS29からステップS34までの処理を繰り返し、常時行い、偏波モード分散と波長分散の状態を最適に保つようにする。
【0077】
図17及び図18は、本発明の第8の実施形態を示す図である。
図17及び図18において、図15と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。図17は、波長多重信号を受信端等に挿入する分波器で分波後に、複数チャネル毎に一括して可変波長分散補償器を挿入し、更に、可変波長分散補償器の後段に挿入する分波器で単一チャネルに分波した各個別波長毎に偏波モード分散補償器を配置する。偏波モード分散補償器により、偏波モード分散補償された複数チャネルの伝送信号を波長分散モニタとして利用し、可変波長分散補償器をフィードバック制御することにより、自動分散補償システムを実現する。
【0078】
ここでも、チャネルを区別するλ1〜λnは、単にチャネルを区別するための記号であり、波長の値そのものとは特に関係がない。従って、分波器で波長多重光を分波後、複数チャネル毎にまとめる場合のまとめ方は特に本発明の実施形態では限定しない。
【0079】
図17の実施形態の一構成例においては、各VDCに複数のグループ分けされたチャネルの内の1グループが入力され、波長分散補償される。これは、VDCの動作帯域が限定されており、波長多重されている全ての光信号を包含するような帯域幅を有していない場合に有効である。例えば、VDCとしてファイバグレーティングを使った装置を使用する場合、一般にファイバグレーティングは、その動作帯域が狭いため、波長多重光の全体帯域をいっぺんに波長分散補償するということができない。この場合、動作帯域の中心波長が異なるファイバグレーティングを使ったVDCを複数用意し、これらの動作帯域に対応するチャネルの光信号をグループ化して入力し、VDCに波長分散補償させるようにすることが考えられる。
【0080】
図18は、可変波長分散補償器と合わせて、ファイバグレーティング、DCFなどの個別波長分散スロープ補償器を配置し、波長分散スロープも合わせて補償する構成である。ただし、可変波長分散補償器、固定波長分散スロープ補償器の配置の順は問わない。
【0081】
本実施形態の図18の構成例は、第7の実施形態と図17の構成を組み合わせたものであり、波長分散値のみの補償ではなく、波長分散スロープも補償しようと言うものである。この場合、ここで使用しているのは、固定波長分散スロープ補償器であるので、補償すべき波長分散スロープは、予め伝送線路である光ファイバの特性を調べた結果に基づいて設定されるべきである。
【0082】
上記第8の実施形態においては、可変波長分散補償されていることが前提であるため、可変波長分散補償器毎に、図19のフローチャートに従った制御が必要となる。
【0083】
図19は、第8の実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
まず、PMDCもVDCも動作していない状態において、ステップS40において、チャネルを特定するλを「1」に設定する。そして、ステップS41において、PMDC制御を開始する。まず、ステップS42において、PMDは許容値範囲内か否かを判断する。ステップS42において、PMDが許容値範囲内にないと判断された場合には、ステップS43において、PMDC制御を行い、ステップS42に戻って、PMDが許容値範囲内におさまるまで制御を繰り返す。ステップS42において、PMDが許容範囲内におさまったと判断された場合には、ステップS44に進み、全てのチャネルについてPMD補償が済んだか否かを判断する。まだ済んでいない場合には、ステップS45において、チャネルを特定するλを「1」だけ増やし、ステップS41に戻って、異なるチャネルについて、PMDC制御を行う。ステップS44において、全てのチャネルについて制御が終わったと判断された場合には、ステップS46において、VDCの制御を開始する。
【0084】
まず、ステップS47において、波長分散は許容値範囲か否かを判断し、許容値範囲内でないと判断した場合には、ステップS48において、VDC制御を行い、ステップS47に戻って、波長分散が許容値範囲内に収まるまで、VDC制御を行う。ステップS47において、波長分散が許容値範囲内に収まったと判断された場合には、ステップS49に進んで、通常監視状態に入る。
【0085】
ステップS49においては、チャネルを特定するλを「1」に設定し、ステップS50において、PMDは許容値範囲内か否かを判断する。ステップS50において、PMDが許容値範囲外と判断された場合には、ステップS51のPMD制御を行い、ステップS50に戻る。そして、ステップS50において、PMDが許容値範囲内に収まるまで、処理を繰り返す。ステップS50において、PMDが許容値範囲内となった場合には、ステップS52に進み、全てのチャネルについてPMD補償が最適に行われたかを判断し、まだ、処理していないチャネルがある場合には、ステップS53において、λを「1」増やし、ステップS50に進む。
【0086】
ステップS52において、全てのチャネルについてPMD補償が適切にされたと判断されたと判断された場合には、ステップS54に進んで、波長分散が許容値内であるか否かを判断する。波長分散が許容値範囲外であると判断された場合には、ステップS55において、VDC制御が行われ、ステップS54に戻る。ステップS54において、波長分散が許容値範囲内であると判断された場合には、ステップS49に戻って、処理を繰り返し、監視制御を続ける。
【0087】
なお、第8の実施形態においても、前述の実施形態と同様に、全てのチャネルの波長分散値を波長分散モニタで測定する必要はなく、少なくとも1つ以上のチャネルについて測定し、その他は、伝送線路の特性と、測定値から推定した波長分散量に基づいて、他のチャネルの波長分散を補償しても良い。
【0088】
図20、及び図21は、本発明の第9の実施形態を示す図である。
図20及び図21においては、図17と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。本実施形態においては、全波一括で波長分散補償を行う構成に、新たに可変分散スロープ補償器を追加し、自動波長分散スロープ補償も行う自動分散補償システムを実現する。
【0089】
可変波長分散補償器のみをフィードバック制御する場合には、個別に偏波モード分散された伝送信号の1チャネルのみのモニタにより、可変波長分散補償器を制御することが原理的に可能であるが、可変波長分散スロープ補償器を制御する場合には、複数のチャネルのモニタが必要となる。なぜなら、波長分散スロープの影響は、複数のチャネル間の波長分散の受け方の違いに現れるからである。
【0090】
例えば、2チャネルの波長分散モニタを行う場合、次のような考え方となる。・モニタする波長をλ1、λ2とし、その波長差がλ2−λ1=dであるものとする。
・λ1の波長分散値がcd1、λ2の波長分散値がcd2であるものとする。
・波長分散スロープは、
(cd2−cd1)/d
であり、波長分散スロープについても、フィードバック制御することが可能となる。
【0091】
図20及び図21の構成においては、図13〜図15の構成の固定波長分散スロープ補償器の代わりに、(可変)波長分散スロープ補償器が設けられている。この可変波長分散スロープ補償器には、波長分散モニタでモニタされた波長分散スロープに基づいた制御信号が入力されている。可変波長分散スロープ補償器の位置は、VDCの前段でも後段でも良く、また、可変波長分散スロープ補償器とVDCの組み合わせの配置位置は、どちらが前段に来るようにしても良い。すなわち、図20のような配置でも良いし、図21のような配置でも良い。
【0092】
また、波長分散モニタがモニタする(観測する)波長(チャネル)の数は、複数チャネルとする。すなわち、前述したように、波長分散スロープを動的に補償するために、常時チャネル間の波長分散を受けた量の違いを測定する必要があるからである。
【0093】
図22及び図23は、本発明の第10の実施形態を示す図である。
図22及び図23において、図17と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。波長多重信号を受信端等に挿入する分波器で分波後に、複数チャネル毎に一括して可変波長分散補償器と、可変波長分散スロープ補償器を挿入し、更に、可変波長分散補償器の後段に挿入する分波器で単一チャネルに分波した各個別波長毎に偏波モード分散補償器を配置する。偏波モード分散補償器により、偏波モード分散補償された複数チャネルの伝送信号を波長分散モニタとして利用し、可変波長分散補償器と、可変波長分散スロープ補償器をフィードバック制御することにより、波長分散スロープも合わせて補償する自動分散補償システムを実現する。
【0094】
本実施形態により、自動波長分散補償と偏波モード分散補償を合わせて実現する自動分散補償システムの実現が果たされる。その結果、光通信システムにおける自動分散補償を効果的に行うことが可能となり、超高速化、長距離化が可能となる。
【0095】
図22及び図23においては、受信側で、分波器によって波長多重光を分波した後、グループ化し、各グループ毎に、波長分散補償及び波長分散スロープ補償を行って、その後に、分波器によって各グループを各波長に分波し、偏波モード分散を行う構成となっている。ここで、λと下付文字で示された各波長の信号は、このλによって区別されているのみであって、波長のグループ分けの仕方を制限するものではない。
【0096】
このようなグループ分けは、前述したように、VDCの動作帯域が制限されている場合にしばしば行われることである。
また、波長分散モニタがモニタするチャネルの数は、各グループ内で複数チャネルとする。
【0097】
図24は、偏波モード分散補償器の一構成例を示す図である。
図24においては、偏波モード分散補償器20は、偏波制御器21、偏波保存ファイバ22、カプラ23、ストークスパラメータ抽出回路24、及び制御回路25からなっている。一般に、偏波モード分散補償器20は、波長板やファラデー回転子などからなる偏波制御器21と、偏波保存ファイバ22(PMF:Polarization Maintaining Fiber)と、制御回路25とからなるが、本発明の実施形態で使用する偏波モード分散補償器20では、偏波モード分散の検出パラメータとして、ストークスパラメータを使用するので、ストークスパラメータ抽出回路24が設けられている。ストークスパラメータは、従来技術で記載した偏波モード分散の観測方法で得られた光の電気ベクトルの傾きから、ストークスパラメータを定義に従って演算することによって得る。
【0098】
図24に示されるように、偏波モード分散補償器20では、フィードバック回路が形成されているが、これは、前述の実施形態に示したように、偏波モード分散モニタからのストークスパラメータを制御回路に入力し、偏波制御器21を制御して、最適な偏波モード分散の補償を行うためのフィードバック回路である。
【0099】
図25は、波長分散補償器の一例として、VIPA(Virtually Imaged Phased Array)の構成を使った構成を示す図である。
VIPA板は、光ファイバから出力された光がコリメートレンズによって平行光にされた後、半円筒レンズなどによって、VIPA板の照射窓を介して線状に集光される光を受け入れる。そして、VIPA板内で、この光を多重反射させつつ、少しずつVIPA板から出射させて、出射された光同士が干渉するようにする。この干渉により、波長によって異なった方向に進む光が生成される。この干渉結果の出力光は、レンズによって平行光にされた後、グレーティング対などの、波長によって経路を変える手段によって、異なる波長の光の経路を変える。そして、特殊な表面形状をした分散平坦化3次元ミラーの表面に光を当てる。このとき、波長毎に経路が異なっているので、3次元ミラーのどの位置に光が当たるかは、波長によって異なってくる。反射された光は、元来た路と同じ経路を戻って、VIPA板に入力され、照射窓から出射される。
【0100】
3次元ミラーにあたる場所が波長によって異なることによって波長毎に与えられる分散量が異なるので、全体の光に対して一定の波長分散量を与えられると共に、グレーティング対の間隔を変えることによって、異なる波長が3次元ミラーにあたる場所を、VIPA板が出力光を出力する方向とは独立に可変する事が出来るので、波長分散スロープを制御することが出来る。
【0101】
したがって、伝送路で光信号が受けた波長分散と逆符号の波長分散を、この装置によって与えることによって波長分散を補償することが出来る。特に、波長毎に異なった波長分散を与えることが出来るので、波長分散スロープを可変する事が出来、従って、波長分散スロープの補償も行うことが出来る。
【0102】
図26は、波長分散補償、偏波モード分散補償の双方を一括補償する場合の第1の構成例を示す図である。同図においては、図17と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明を省略する。
【0103】
偏波モード分散モニタ、波長分散モニタは分波後の1チャネル以上を利用して偏波モード分散の状態及び波長分散の状態をモニタし、これをVDC及びPMDCにフィードバックし、波長多重光全体を一括して分散補償する。ここで、重要なことは、波長分散モニタの観測地点が、偏波モード分散補償器PMDCより後段に来ていることである。これにより、前述の実施形態と同じように、偏波モード分散と波長分散とを最適に補償することができる。
【0104】
図27は、波長分散補償、偏波モード分散補償の双方を一括補償する場合の第2の構成例である。同図においては、図17と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明を省略する。
【0105】
ここで、前述の実施形態でも述べたように、図26の構成において、VDC、PMDCの配置順は任意でよいため、図27では、図26の構成のVDCとPMDCの配置順を入れ替えた構成となってる。その他については、前述の実施形態と同じ動作となるので、説明を省略する。
【0106】
なお、ここでは、波長分散モニタの観測地点が偏波モード分散モニタの観測地点より前段に来ているが、これは問題ではなく、前述したように、偏波モード分散補償器PMDCより後段に波長分散モニタの観測地点を設けている点が重要である。
【0107】
図28は、波長分散補償、偏波モード分散補償の双方を一括補償する場合の第3の構成例を示す図である。同図においては、図17と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明を省略する。
【0108】
本構成例は、固定波長分散スロープ補償器を合わせて配置する場合であり、各補償器の配置順は任意である。ただし、波長分散モニタの観測点は、偏波モード分散補償器PMDCの後段に設ける必要がある。また、波長分散モニタは、分波された全ての波長(チャネル)の波長分散を測定する必要はなく、少なくとも1以上のチャネルについて波長分散をすればよい。
【0109】
図29は、波長分散補償、偏波モード分散補償の双方を一括補償する場合の第4の構成例を示す図である。同図において、図17と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明を省略する。
【0110】
本構成例は、可変波長分散スロープ補償器を合わせて配置し、波長分散スロープについても、フィードバック制御する構成である。各補償器の配置順は任意であるが、複数チャネルの波長分散を観測する波長分散モニタが必要となる。すなわち、複数チャネル間にわたる波長分散スロープの時間的変化を観測する必要があるからである。
【0111】
図30は、波長分散補償、偏波モード分散補償の双方を一括補償する場合の第5の構成例を示す図である。同図において、図17と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明を省略する。
【0112】
本構成例では、分波後に、複数チャネル毎に波長分散補償、偏波モード分散補償の双方を一括補償する構成である。前述の実施形態で述べたように、波長分散補償器VDCの動作帯域が狭い場合、波長多重光を複数の帯域に分け、それぞれについて、波長分散補償器VDCを使って、分割された帯域内の光信号を一括して波長分散補償しようとするものである。このように、光信号を複数の帯域毎に複数のグループに分けて分散補償を行う場合、波長分散モニタはそのグループ内の全ての光信号の波長分散量を測定する必要はなく、1以上の波長について観測を行えばよい。この場合も、波長分散モニタの観測点は、偏波モード分散補償器PMDCの後段である必要がある。
【0113】
また、図30には記載されていないが、可変あるいは固定の波長分散スロープ補償器を設けることも可能である。
なお、前述の実施形態、構成例においては、偏波モード分散補償後の光信号の波長分散を測定できるように、偏波モード分散補償器PMDCの後段に波長分散モニタを設けると共に、幾つかのフローチャートでも説明したように、分散補償を行う場合、先に、偏波モード分散補償を行ってから波長分散補償を行うことが重要である。
【0114】
(付記1)光ファイバを伝送線路として用いる通信システムにおいて、
光ファイバを伝送することによって光信号が受ける偏波モード分散を補償する偏波モード分散補償手段と、
該偏波モード分散補償手段に、該光信号が受けている偏波モード分散の状態に関する情報をフィードバックする偏波モード分散測定手段と、
該光ファイバを伝送することによって光信号が受ける波長分散を補償する波長分散補償手段と、
該波長分散補償手段に、該光信号が受けている波長分散の状態に関する情報をフィードバックする、該偏波モード分散補償手段よりも受信側に設けられた波長分散測定手段と、
を備えることを特徴とするシステム。
【0115】
(付記2)前記偏波モード分散の状態に関する情報は、ストークスパラメータを使用したものであることを特徴とする付記1に記載のシステム。
(付記3)前記偏波モード分散補償手段による偏波モード分散の補償を行った後に、前記波長分散補償手段による波長分散補償を行うことを特徴とする付記1に記載のシステム。
【0116】
(付記4)前記システムは、波長分割多重通信システムに適用されることを特徴とする付記1に記載のシステム。
(付記5)前記偏波モード分散測定手段は、前記波長分割多重通信システムの波長多重光に含まれる光信号を各チャネル毎の光信号に分波した後の、各チャネルの光信号のそれぞれの偏波モード分散を測定することを特徴とする付記4に記載のシステム。
【0117】
(付記6)前記波長分散測定手段は、前記波長分割多重通信システムの波長多重光に含まれる光信号を各チャネル毎の光信号に分波した後の、各チャネルの光信号の内、1以上のチャネルについて波長分散を測定することを特徴とする付記4に記載のシステム。
【0118】
(付記7)前記波長分散補償手段は、前記波長多重光の波長分散補償を一括して行うことを特徴とする付記4に記載のシステム。
(付記8)前記偏波モード分散補償手段は、前記波長多重光の偏波モード分散補償を一括して行うことを特徴とする付記4に記載のシステム。
【0119】
(付記9)前記波長分散補償手段は、前記波長多重光を分波し、グループ化した後、グループ毎に一括して波長分散補償を行うことを特徴とする付記4に記載のシステム。
【0120】
(付記10)前記偏波モード分散補償手段は、前記波長多重光の各チャネル毎に偏波モード分散補償を行うことを特徴とする付記4に記載のシステム。
(付記11)波長分散スロープを補償する波長分散スロープ補償手段を更に備えることを特徴とする付記1に記載のシステム。
【0121】
(付記12)前記波長分散スロープ補償手段は、補償すべき分散スロープの補償量を可変出来ることを特徴とする付記11に記載のシステム。
(付記13)光ファイバを伝送することによって光信号が受ける偏波モード分散の状態を測定し、偏波モード分散を補償する偏波モード分散補償手段と、該光ファイバを伝送することによって光信号が受ける波長分散を測定し、波長分散を補償する、該偏波モード分散補償手段より受信側に波長分散の測定点を持つ波長分散補償手段とを備える通信システムにおける偏波モード分散及び波長分散の補償方法であって、
該偏波モード分散補償手段によって、該光信号が受けた偏波モード分散を補償するステップと、
該偏波モード分散の補償が行われた後に、該波長分散補償手段によって、該光信号が受けた波長分散を補償するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【0122】
(付記14)前記偏波モード分散の状態は、ストークスパラメータによって表されることを特徴とする付記13に記載の方法。
(付記15)前記システムは、波長分割多重通信システムに適用されることを特徴とする付記13に記載の方法。
【0123】
(付記16)前記偏波モード分散測定手段は、前記波長分割多重通信システムの波長多重光に含まれる光信号を各チャネル毎の光信号に分波した後の、各チャネルの光信号のそれぞれの偏波モード分散を測定することを特徴とする付記15に記載の方法。
【0124】
(付記17)前記波長分散測定手段は、前記波長分割多重通信システムの波長多重光に含まれる光信号を各チャネル毎の光信号に分波した後の、各チャネルの光信号の内、1以上のチャネルについて波長分散を測定することを特徴とする付記15に記載の方法。
【0125】
(付記18)前記波長分散補償手段は、前記波長多重光の波長分散補償を一括して行うことを特徴とする付記15に記載の方法。
(付記19)前記偏波モード分散補償手段は、前記波長多重光の偏波モード分散補償を一括して行うことを特徴とする付記15に記載の方法。
【0126】
(付記20)前記波長分散補償手段は、前記波長多重光を分波し、グループ化した後、グループ毎に一括して波長分散補償を行うことを特徴とする付記15に記載の方法。
【0127】
(付記21)前記偏波モード分散補償手段は、前記波長多重光の各チャネル毎に偏波モード分散補償を行うことを特徴とする付記15に記載の方法。
(付記22)波長分散スロープを補償するステップを更に備えることを特徴とする付記13に記載の方法。
【0128】
【0129】
【発明の効果】
本発明によれば、高速光通信で問題となる波長分散と偏波モード分散の両方を適切に補償することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の基本構成を示すブロック構成図である。
【図2】図1の構成において、必要となる制御アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態を説明するブロック構成図である。
【図4】本発明の第3の実施形態を示すブロック構成図である。
【図5】偏波モード分散の測定パラメータとしてのストークスパラメータの有効性を説明する図(その1)である。
【図6】偏波モード分散の測定パラメータとしてのストークスパラメータの有効性を説明する図(その2)である。
【図7】本発明の第4の実施形態を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施形態を示す図である。
【図9】本発明の第6の実施形態を示す図である。
【図10】本発明の第7の実施形態の各構成例を示す図(その1)である。
【図11】本発明の第7の実施形態の各構成例を示す図(その2)である。
【図12】本発明の第7の実施形態の各構成例を示す図(その3)である。
【図13】本発明の第7の実施形態の各構成例を示す図(その4)である。
【図14】本発明の第7の実施形態の各構成例を示す図(その5)である。
【図15】本発明の第7の実施形態の各構成例を示す図(その6)である。
【図16】図10〜図15の実施形態における分散補償制御処理のフローチャートである。
【図17】本発明の第8の実施形態を示す図(その1)である。
【図18】本発明の第8の実施形態を示す図(その2)である。
【図19】第8の実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第9の実施形態を示す図(その1)である。
【図21】本発明の第9の実施形態を示す図(その2)である。
【図22】本発明の第10の実施形態を示す図(その1)である。
【図23】本発明の第10の実施形態を示す図(その2)である。
【図24】偏波モード分散補償器の一構成例を示す図である。
【図25】波長分散補償器の一例として、VIPA(Virtually Imaged Phased Array)の構成を使った構成を示す図である。
【図26】波長分散補償、偏波モード分散補償の双方を一括補償する場合の第1の構成例を示す図である。
【図27】波長分散補償、偏波モード分散補償の双方を一括補償する場合の第2の構成例である。
【図28】波長分散補償、偏波モード分散補償の双方を一括補償する場合の第3の構成例を示す図である。
【図29】波長分散補償、偏波モード分散補償の双方を一括補償する場合の第4の構成例を示す図である。
【図30】波長分散補償、偏波モード分散補償の双方を一括補償する場合の第5の構成例を示す図である。
【符号の説明】
10−1〜10−n 光送信機
11 合波器
12 伝送線路
13 分波器
Claims (21)
- 光ファイバを伝送線路として用いる通信システムにおいて、
光ファイバを伝送することによって光信号が受ける偏波モード分散を補償する偏波モード分散補償手段と、
該偏波モード分散補償手段に、該光信号が受けている偏波モード分散の状態に関する情報としてストークスパラメータをフィードバックする偏波モード分散測定手段と、
該光ファイバを伝送することによって光信号が受ける波長分散を補償する波長分散補償手段と、
該波長分散補償手段に、該光信号が受けている波長分散の状態に関する情報をフィードバックする、該偏波モード分散補償手段よりも受信側に設けられた波長分散測定手段と、
を備え、
前記偏波モード分散補償手段が前記光信号が受けている偏波モード分散を許容値以内に補償した後に、前記波長分散補償手段が該光信号が受けている波長分散を補償することを特徴とするシステム。 - 前記偏波モード分散補償手段は、1/2波長板と1/4波長板を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
- 前記システムは、波長分割多重通信システムに適用されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
- 前記偏波モード分散測定手段は、前記波長分割多重通信システムの波長多重光に含まれる光信号を各チャネル毎の光信号に分波した後の、各チャネルの光信号のそれぞれの偏波モード分散を測定することを特徴とする請求項3に記載のシステム。
- 前記波長分散測定手段は、前記波長分割多重通信システムの波長多重光に含まれる光信号を各チャネル毎の光信号に分波した後の、各チャネルの光信号の内、1以上のチャネルについて波長分散を測定することを特徴とする請求項3に記載のシステム。
- 前記波長分散補償手段は、前記波長多重光の波長分散補償を一括して行うことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
- 前記偏波モード分散補償手段は、前記波長多重光の偏波モード分散補償を一括して行うことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
- 前記波長分散補償手段は、前記波長多重光を分波し、グループ化した後、グループ毎に一括して波長分散補償を行うことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
- 前記偏波モード分散補償手段は、前記波長多重光の各チャネル毎に偏波モード分散補償を行うことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
- 波長分散スロープを補償する波長分散スロープ補償手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
- 前記波長分散スロープ補償手段は、補償すべき分散スロープの補償量を可変出来ることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
- 光ファイバを伝送線路として用い、偏波モード分散補償手段と波長分散補償手段とを備える通信システムにおける偏波モード分散及び波長分散の補償方法であって、
光ファイバを伝送することによって光信号が受ける偏波モード分散を前記偏波モード分散補償手段により補償する偏波モード分散補償ステップと、
該光信号が受けている偏波モード分散の状態に関する情報としてストークスパラメータを測定し、該偏波モード分散補償手段にフィードバックする偏波モード分散測定ステップと、
該光ファイバを伝送することによって光信号が受ける波長分散を前記波長分散補償手段により補償する波長分散補償ステップと、
該波長分散補償手段に、該光信号が受けている波長分散の状態に関する情報を該偏波モード分散補償手段よりも受信側に設けられた波長分散の測定点で測定しフィードバックする波長分散測定ステップと、
を備え、
前記偏波モード分散補償ステップにおいて前記光信号が受けている偏波モード分散を許容値以内に補償した後に、前記波長分散補償ステップにおいて該光信号が受けている波長分散を補償することを特徴とする方法。 - 前記偏波モード分散の補償は、1/2波長板と1/4波長板によってなされることを特徴とする請求項12に記載の方法。
- 前記通信システムは、波長分割多重通信システムであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
- 前記偏波モード分散測定ステップにおいて、前記波長分割多重通信システムの波長多重光に含まれる光信号を各チャネル毎の光信号に分波した後の、各チャネルの光信号のそれぞれの偏波モード分散を測定することを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記波長分散測定ステップにおいて、前記波長分割多重通信システムの波長多重光に含まれる光信号を各チャネル毎の光信号に分波した後の、各チャネルの光信号の内、1以上のチャネルについて波長分散を測定することを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記波長分散補償ステップにおいて、前記波長多重光の波長分散補償を一括して行うことを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記偏波モード分散補償ステップにおいて、前記波長多重光の偏波モード分散補償を一括して行うことを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記波長分散補償ステップにおいて、前記波長多重光を分波し、グループ化した後、グループ毎に一括して波長分散補償を行うことを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記偏波モード分散補償ステップにおいて、前記波長多重光の各チャネル毎に偏波モード分散補償を行うことを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 波長分散スロープを補償するステップを更に備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
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