ところで、特許文献1に係る発明の場合、いかにカバーの意匠を工夫してみても見栄えが悪くなりがちである。最近では、ドアはインテリアの中でも重要な構成要素となっており、外観の美観性の観点から重大な問題である。
本発明の目的は、上記事情に鑑み、外観の美観性を満たしつつ、そしてドア本体の円滑な90°回転を確保しつつ指詰め防止を図ることができるドア構造を提供することにある。
請求項1の発明は、建造物内の一方空間と他方空間とを仕切る壁を有し、この壁には枠部を介して前記一方空間と前記他方空間とを連絡する開口部が形成されており、前記枠部のうちドア本体回転支持用の縦枠には上下方向に伸延する戸当りが前記他方空間に突出するように形成されており、閉状態時に前記縦枠の内側面と対向する側端部を有するドア本体を備えており、このドア本体の側端部は、閉状態時に前記一方空間と面する一方角部と前記他方空間に面する他方角部とを有しており、当該ドア本体はその側端部よりも内側の回転中心線を中心として一方角部が前記縦枠の内側面に近づく方向に90°〜110°回転可能かつ戻し回転可能とされたドア構造において、前記建造物に、一対の固定突出部材が前記ドア本体の回転中心線に対応する上下端部位置に対向するように固設されるとともに、当該ドア本体の上下端部位置には、一対のトライアル係合部材がそれぞれのガイド溝が対応する前記各固定突出部材と接触するように設けられており、前記各固定突出部材は、それぞれ一定の幅および長さを有しており、かつ、平面視で閉状態の前記ドア本体の幅方向中央線を所定の傾斜角度で横切るとともに長さ方向の両端部には半円弧形状の一方端部と他方端部とが形成されており、前記トライアル係合部材は、平面視略正三角形状のガイド溝を有しており、その3つの角部のうちの1つであり前記一方空間寄りの一方角部が前記ドア本体の幅方向中央線に対して当該ドア本体の一方角部と同一側となる位置に形成されており、当該一方角部には、前記固定側突出部の一方端部と摺接しながら相対回転する円弧形状に凹んだ第1の回転支持凹部が形成され、他の2つの角部である各他方角部は前記幅方向中央線に対して前記一方角部とは反対側になるように配設されており、当該各他方角部のうち当該ドア本体の他方角部に近い方の内方他方角部には、前記固定側突出部の他方端部と摺接しながら相対回転する円弧形状に凹んだ第2の回転支持凹部が形成されており、当該内方他方角部ともう1つの他方角部である外方他方角部との間には、前記トライアル係合部材の第1の回転支持凹部が前記固定突出部材の一方端部と摺接しながら相対回転する場合の当該固定突出部材の長さ相当の半径を有する円弧形状の第1大曲率ガイド面が形成されるとともに、当該外方他方角部と前記一方角部との間には、前記トライアル係合部材の第2の回転支持凹部が前記固定突出部材の他方端部と摺接しながら相対回転する場合の当該固定突出部材の長さ相当の半径を有する円弧形状の第2大曲率ガイド面が形成されており、前記第1の回転支持凹部と第2の回転支持凹部との間には、前記固定突出部材の側面に向けて出っ張って当該側面と転がり接触する回転中心移行ガイド面が形成されたことを特徴とするものである。
上記請求項1の発明では、ドア本体10を閉状態から90°〜110°回転させる場合、回転開始から初期のうち(少なくともドア本体の側端部の一方角部が縦枠の内側面に接近する間)は、ドア本体側のトライアル係合部材のガイド溝の第1の回転支持凹部と固定突出部材の一方端部とが摺接して相対回転する。すなわち、トライアル係合部材(したがって、ドア本体)は、固体突出部の一方端部の中心を回転中心線として回転する。
この際、固定突出部材の他方端部がトライアル係合部材のガイド溝の第1の大曲率ガイド面とすべり接触するので、当該トライアル係合部材が固定突出部材の長さ方向へ変位することは規制される。そのため、ドア本体が回転中にがたつくようなことはない。ここで、ドア本体が回転中にがたつかないので、円滑な回転が確保されるとともに、ドア本体の側端部と縦枠の内側面(戸当りも含む)との間に大きな隙間ができないことになる。
このようにして、ドア本体は、回転初期のうちは固体突出部の一方端部の中心を回転中心線として回転することになるが、この際当該回転中心線はドア本体幅方向中央線に対してドア本体の側端部の一方角部と同一側になるような位置にある。そのため、ドア本体の回転に伴う一方角部の軌跡は、回転中心が上記幅方向中央線上に固定された従来例よりは小さい円弧状となり、縦枠の内側面との隙間が狭くても干渉しない。また、ドア本体の側端部の他方角部は回転中心線の反0対側にあり、ドア本体の回転に伴い縦枠5の内側面から離れる方向に回転する。また、戸当りは、ドア本体の側端部の回転軌跡とは触れない範囲で当該軌跡に近い位置に設けることができる。したがって、ドア本体の側端部の他方角部は、縦枠および戸当りとは干渉することはなく、当該ドア本体の側端部と戸当りとの間の隙間を人の指が入らないほどに小さくできる。
さらに、ドア本体を回転させると、トライアル係合部材のガイド溝の回転中心移行ガイド面と固体側突出部材の側面とが転がり接触するようになり、当該トライアル係合部材(したがってドア本体)の回転中心線は、第1の回転支持凹部から回転中心移行ガイド面に沿って第2の回転支持凹部へ滑らかに移ってゆく。この際、固定突出部材の一方端部はトライアル係合部材のガイド溝の第2の大曲率ガイド面とすべり接触するとともに、その他方端部はガイド溝の第1の大曲率ガイド面とすべり接触するので、当該トライアル係合部材は固定突出部材の長さ方向への変位を規制される。そのため、トライアル係合部材のガイド溝の回転中心移行ガイド面と固体側突出部の側面との転がり接触は順調に行われることになり、ドア本体の回転中心線の移行は円滑に行われる。そのため、ドア本体は、がたつくことはない。なお、この際、ドア本体の側端部と戸当りとの間の隙間に人の指が入るようなことがあったとしても、回転するドア本体の側端部によって外に押し出されるので指詰め事故は起こらない。
そして、ドア本体を更に回転させると、トライアル係合部材のガイド溝の第2の回転支持凹部が固体突出部材の他方端部と摺接して相対回転するようになり、当該トライアル係合部材(したがってドア本体)は固体突出部材の他方端部の中心を回転中心線として回転するようになる。この際、固定突出部材の一方端部がトライアル係合部材のガイド溝の第2の大曲率ガイド面とすべり接触するので、当該トライアル係合部材は固定突出部材の長さ方向への変位は規制されることになり、ドア本体はがたつかない。ここで、上記回転中心線は幅方向中央線に対して当該ドア本体の側端部の一方角部と反対側になるような位置にあることになる。
そのため、閉状態から90°〜110°回転されたドア本体は、回転中心線が幅方向中央線に対してドア本体の一方角部と同一側にあった閉状態よりも縦枠の内側面へ寄っていることになる。そのため、ドア本体の側端部の一方角部と戸当りとの隙間を小さくすることができる。なお、ドア本体の戻し回転(開位置から閉鎖状態位置への回転)するときに上記隙間に人の指が入ったとしても、当該ドア本体の側面によって外方に押出されるので指詰め事故は起こらない。
請求項2の発明は、建造物内の一方空間と他方空間とを仕切る壁を有し、この壁には前記一方空間と前記他方空間とを連絡する開口部が形成されており、閉状態時に前記壁の開口部の内側面と対向する側端部を有するドア本体を備えており、このドア本体の側端部は、閉状態時に前記一方空間と面する一方角部と前記他方空間に面する他方角部とを有しており、当該ドア本体はその側端部よりも内側の回転中心線を中心として他方角部が前記縦枠の内側面に近づく方向に90°回転する閉方向回転可能かつ戻し回転可能とされたドア構造において、前記建造物に、一対の固定突出部材が前記ドア本体の回転中心線に対応する上下端部位置に対向するように固設されるとともに、当該ドア本体の上下端部位置には、一対のトライアル係合部材がそれぞれのガイド溝が対応する前記各固定突出部材と接触するように設けられており、前記各固定突出部材は、それぞれ一定の幅および長さを有しており、かつ、平面視で閉状態の前記ドア本体の幅方向中央線を所定の傾斜角度で横切るとともに長さ方向の両端部には半円弧形状の一方端部と他方端部とが形成されており、前記トライアル係合部材は、平面視略正三角形状のガイド溝を有しており、その3つの角部のうちの1つであり前記一方空間寄りの一方角部が前記ドア本体の幅方向中央線に対して当該ドア本体の一方角部と同一側となる位置に形成されており、当該一方角部には、前記固定側突出部の一方端部と摺接しながら相対回転する円弧形状に凹んだ第1の回転支持凹部が形成され、他の2つの角部である各他方角部は前記幅方向中央線に対して前記一方角部とは反対側になるように配設されており、当該各他方角部のうち当該ドア本体の他方角部に近い方の内方他方角部には、前記固定側突出部の他方端部と摺接しながら相対回転する円弧形状に凹んだ第2の回転支持凹部が形成されており、当該内方他方角部ともう1つの他方角部である外方他方角部との間には、前記トライアル係合部材の第1の回転支持凹部が前記固定突出部材の一方端部と摺接しながら相対回転する場合の当該固定突出部材の長さ相当の半径を有する円弧形状の第1大曲率ガイド面が形成されるとともに、当該外方他方角部と前記一方角部との間には、前記トライアル係合部材の第2の回転支持凹部が前記固定突出部材の他方端部と摺接しながら相対回転する場合の当該固定突出部材の長さ相当の半径を有する円弧形状の第2大曲率ガイド面が形成されており、前記第1の回転支持凹部と第2の回転支持凹部との間には、前記固定突出部材の側面に向けて出っ張って当該側面と転がり接触する回転中心移行ガイド面が形成されたことを特徴とするものである。
上記請求項2の発明の場合、ドア本体を開位置から90°回転させて閉状態位置まで変位させるには、回転させ始めはトライアル係合部材のガイド溝の第2の回転支持凹部が固体突出部の他方端部と摺接して相対回転する。すなわち、トライアル係合部材(したがってドア本体)は固体突出部の他方端部の中心を回転中心線として回転する。この際、固定突出部材の一方端部はトライアル係合部材のガイド溝の第2の大曲率ガイド面とすべり接触するので、当該トライアル係合部材は固定突出部材の長さ方向への変位は規制されることになり、ドア本体はがたつかない。
ここで、上記回転中心線は幅方向中央線に対して当該ドア本体の側端部の一方角部と反対側になるような位置にあることになる。そのため、ドア本体は、回転中心線が幅方向中央線に対してドア本体の一方角部と同一側にあった閉状態よりも壁の開口部の内側面へ寄っていることになる。そのため、ドア本体1と壁の開口部の内側面との隙間を小さくできる。また、ドア本体の回転中に、当該ドア本体の側面と壁の開口部の内側面との間の隙間に人の指が入ったとしても、当該ドア本体の側面によって外方に押出されるので指詰め事故は起こらない。
さらに、ドア本体を回転させると、トライアル係合部材のガイド溝の回転中心移行ガイド面と固体側突出部材の側面とが転がり接触するようになり、当該トライアル係合部材(したがってドア本体)の回転中心線は、第2の回転支持凹部から回転中心移行ガイド面に沿って第1の回転支持凹部へ滑らかに移ってゆく。この際、固定突出部材の一方端部はトライアル係合部材のガイド溝の第2の大曲率ガイド面とすべり接触するとともに、その他方端部はガイド溝の第1の大曲率ガイド面とすべり接触するので、当該トライアル係合部材は固定突出部材の長さ方向への変位を規制される。そのため、トライアル係合部材のガイド溝の回転中心移行ガイド面と固体側突出部材の側面との転がり接触は順調に行われることになり、ドア本体の回転中心線の移行は円滑に行われる。そのため、ドア本体は、がたつくことはない。なお、この際、ドア本体の側端部の一方角部と壁の開口部の内側面との間に人の指が入るようなことがあったとしても、回転する当該ドア本体によって外に押し出されるので指詰め事故は起こらない。
請求項3の発明は、中空円筒状で基端面から自由端面までの全長が前記固定突出部材よりも短くて当該基端面が前記建造物に固定されるとともに対応する前記固定突出部材の根元部分と接触して被嵌する各補強部材を備え、前記各トライアル係合部材の端面がそれぞれ対応する前記各補強部材の自由端面と摺接するように形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載のドア構造である。
上記請求項3の発明の場合、請求項1又は2記載の発明と同様の作用を奏する他、ドア本体が回転する際(すなわち、各トライアル係合部材のガイド溝と各固定側突出部材とが摺動する際)、当該各固定側突出部材にはドア本体の自重等によって各種荷重(ねじり荷重、曲げ荷重、垂直荷重)が作用する。ここで、各固定側突出部材は、その根元部分を補強部材によってしっかりと保持されているので、過大なねじり荷重・曲げ荷重が作用しても十分に抵抗して塑性変形や破断等が起こさない。また、垂直荷重に対しては、各補強部材の自由端面と当該面に接触している各トライアル係合部材の端面とが協働して抵抗する。このように、各固定側突出部材の強度が補強部材によって増大されるので、一段とドア構造の信頼性を高めることができる。また、ドア本体回転時に、各補強部材の自由端面と各トライアル係合部材の端面とが摺接するので、回転軸線が鉛直方向からずれるのを効果的に抑えることができる。したがって、一段と円滑にドア本体を回転させることができる。
請求項4の発明は、前記各補強部材の自由端面が、その外周面に沿って螺旋状の傾斜面とされるとともに、前記各トライアル係合部材の端面が当該各補強部材の自由端面に対応した螺旋状傾斜面とされたことを特徴とする請求項3記載のドア構造である。
上記請求項4の発明の場合、請求項3記載の発明と同様の作用を奏する他、ドア本体の自重が各トライアル係合部材に作用すると、当該各トライアル係合部材は各補強部材の自由端面に沿って摺動してドア本体ごと下方へ変位する。これにより、例えばドア本体を閉方向へ回動操作した後に当該操作を止めてドア本体から手を離すと、人が操作することなく自動的にドア本体は開き位置まで開方向へ回転する。
請求項5の発明は、前記一対の固定突出部材のうちの上側の固定突出部材の下側の固定突出部材に対する水平方向の位置を調節可能な位置調節手段を設けたことを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1項のドア構造である。
上記構成の請求項5の発明の場合、請求項1〜5のうちのいずれか1項記載の発明と同様の作用を奏する他、経年変化等によってドア本体の回転中心線が鉛直線方向からずれてしまって例えば当該ドア本体の下端部が床面がするなどして回転させずらくなった場合でも、回転中心線の方向を調節して上記不具合を解消することができる。
請求項1の発明によれば、回転突出部材およびトライアル係合部材はドア本体に比べれば小さくしかも目立たない箇所に設けられるので、外観の美観性を満たすことができる。また、両者は協働してドア本体の回転中心線を変えて当該ドア本体と戸当り付きの縦枠との間の隙間を小さくしつつ円滑な回転を約束する。したがって、外観の美観性を満たしつつ、そしてドア本体の円滑な90°回転を確保しつつ指詰め防止を図ることができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様な効果を奏する他、ドア本体を非常時には180°回転させることができる。
請求項3の発明によれば、請求項1又は2記載の発明と同様の効果を奏する他、各固定側突出部材の強度が補強部材によって増大されるので、一段とドア構造の信頼性を高めることができる。また、ドア本体回転時に、その回転軸線が鉛直方向からずれるのを効果的に抑えることができ、一段と円滑にドア本体を回転させることができる。
請求項4の発明によれば、請求項3記載の発明と同様の作用を奏する他、ドア本体を例えば閉方向へ回動操作した後に当該操作を止めてドア本体から手を離すと、自動的にドア本体は開き位置まで開方向へ回転する。
請求項5の発明によれば、上側の固定突出部材の水平方向の位置を調節可能な位置調節手段を設けたので、請求項1〜5のうちのいずれか1項記載の発明と同様の効果を奏する他、経年変化等によってドア本体の回転中心線が鉛直線方向からずれてしまい、例えば当該ドア本体の下端部が床面がするなどして回転させずらくなった場合でも、回転中心線の方向を簡単に調節して上記不具合を解消することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
本発明に係るドア構造は、図6および図7に示すように、建造物内の壁2に枠部4を介して形成された開口部に90から110°回転可能にドア本体10が設けられたドア構造であって、一対の固定突出部材20と一対のトライアル係合部材30とを備え、当該ドア本体10の回転中心線(Y1等)を滑らかに変位させることによって円滑な回転を図りつつ壁2側とドア本体10との隙間を小さくして指詰め防止達成しようとするものである。
壁2は、図6および図7に示すように、建造物(例えば、一般住宅やオフィスビルなど)内の一方空間S1と他方空間S2とを仕切るものである。この壁2には、枠部4を介して一方空間S1と他方空間S2とを連絡する開口部が形成されている。なお、枠部4は、ドア本体10を90°〜110°回転可能に支持するドア本体回転支持用の縦枠5と、この縦枠5に対向して立設された縦枠5aと、上下方向に対向して配設された一対の横枠8とから形成されている。縦枠5には、図7に示すように、戸当り7が上下方向に伸延しかつ他方空間S2に突出するように取り付けられている。なお、戸当り7は、ドア本体10の側端部11の回転軌跡とは触れない範囲で当該軌跡に近い位置に設けられている。
ドア本体10は、壁2の開口部を開閉するための部材である。ドア本体10は、一対の固定突出部材(20U,20D)と一対のトライアル係合部材(30U,30D)との協働によって、その側端部11よりも内側の回転中心線(Y1等)を中心として90°回転可能に構成されている。
このドア本体10を図7実線で示す閉状態から90°〜110°回転させて同図想像線で示す開位置まで変位させれば壁2の開口部は開いて一方空間S1と他方空間S2とは連通する。また、ドア本体10を開位置から閉状態位置まで回転(すなわち、戻し回転)すれば、壁2の開口部3は閉じて一方空間S1と他方空間S2とは遮断される。
このドア本体10は、図7実線で示す閉状態時に、その側端部11が縦枠5の内側面6と対向する。このドア本体10の側端部11は、図1に示すように、閉状態時に一方空間S1と面する一方角部13と他方空間S2に面する他方角部12とを有している。ドア本体10を、図7実線で示す閉状態位置から同図想像線で示す開位置まで90°回転させ始めると、その側端部11の一方角部13は縦枠5の内側面6に近づき、その後に最接近した位置からしだいに離れる。この際、ドア本体10の他方角部12は、回転の始めから縦枠5の内側面6から離れる。
次に、本ドア構造の特徴部である固定突出部材(20U,20D)は、図6に示すように、ドア本体10の回転中心線(Y1等)に対応する上下端部位置に対向するように建造物(縦枠5)に固設されている。また、本ドア構造の特徴部の一つであるトライアル係合部材(30U,30D)は、ドア本体10の上記した上下端部(上側端部15,下側端部16)位置に固設されている。各トライアル係合部材(30U,30D)は、それぞれガイド溝31を有しており、当該各ガイド溝31には対応する固定係合部材(20U,20D)が接触して、ドア本体10を90°回転する際にはその回転中心線(Y1等)を変位させる役目を果たす。
詳しくは、上方の固定突出部材20Uは、図6および図11に示すように、ドア本体10の回転中心線(Y1等)に対応する上側端部15位置に対向するように縦枠5の内側面6に取付部材29等を介して固定されている。また、下方の固定突出部材20Dは、図8に示すように、ドア本体10の回転中心線(Y1等)に対応する下側端部16位置に対向するように取付部材29等を介して縦枠5の内側面6に固定されている。
各固定突出部材(20D,20U)は、図10に示すように、それぞれ一定の幅(w3)および長さ(L3)を有しており、長さ方向の両端部には半円形状(半径a)の一方端部21と他方端部22とが形成されている。なお、各固定突出部材(20D,20U)は、所定の厚みt3を有する。なお、図10において、26は固定突出部材20(20D,20U)の側面、25は天地面で水平面とされている。
上記各両固定突出部材(20D,20U)は、対応するドア本体10の上下端部(上側端部15,下側端部16)へ向けて突出しており、図8および図11に示すように、縦枠5の内側面6と直角の方向に対して所定角度α(例えば67°)だけ傾くように設けられている。各固定突出部材(20D,20U)は鏡像関係にあり、真上から見た形状は同一である。
一対のトライアル係合部材(30D,30U)は、図9および図12に示すように、それぞれガイド溝31を有している。そして、各トライアル係合部材(30D,30U)は、それぞれのガイド溝31が対応する各固定突出部材(20D,20U)と接触するようにドア本体10の回転中心線(Y1等)に対応する上下端部(15,16)位置に設けられている。すなわち、下のトライアル係合部材30Dは、図9に示すように、そのガイド溝31が下側を向くようにドア本体10の回転中心線(Y1等)に対応する下端部位置16に取付部材41を介して固定されている。また、上のトライアル係合部材30Uは、図12に示すように、そのガイド溝31が上側を向くようにドア本体10の回転中心線(Y1等)に対応する上端部15位置に取付部材41を介して固定されている。これらのトライアル係合部材(30D,30U)は鏡像関係にあり、真上から見た形状は同一である。
各トライアル係合部材のガイド溝31は、図13に示すように、平面視略正三角形状をしており、3つの角部(32,34,36)のうち外側の1つの角部である一方角部32が図11に示すドア本体10の幅方向中央線Cに対して当該ドア本体10の側端部11の一方角部13と同一側となるように配設されている。そして、この一方角部32には、固定側突出部(20D,0U)の一方端部21と摺接しながら相対回転する円弧形状に凹んだ第1の回転支持凹部33が形成されている。
他の2つの角部(34,36)は、前記幅方向中央線Cに対して前記一方角部32とは反対側になるように配設されており、当該角部(34,36)のうちドア本体10の側端部11の他方角部12に近くに配設される角部(内方他方角部)34には、前記固定側突出部(20D,20U)の他方端部22と摺接しながら相対回転する円弧形状に凹んだ第2の回転支持凹部35が形成されている。第2の回転支持凹部35が形成された内方他方角部34と他方の角部(外方他方角部)36との間には、第1の大曲率ガイド面37が形成されている。この第1の大曲率ガイド面37は、前記トライアル係合部材(30D,30U)の第1の回転支持凹部33が前記固定突出部材(20D,20U)の一方端部21と摺接しながら相対回転する場合の当該固定突出部材20の長さL3相当の半径b(=L3)を有する円弧形状に形成されている。
外方他方角部36と前記一方角部32(第1の回転支持凹部33)との間には、第2の大曲率ガイド面38が形成されている。この第2の大曲率ガイド面38は、前記トライアル係合部材(30D,30U)の第2の回転支持凹形状ガイド面35が前記固定突出部材(20D,20U)の他方端部22と摺接しながら相対回転する場合の当該固定突出部材(20D,20U)の長さL3相当の半径b(=L3)を有する円弧形状に形成されている。前記第1の回転支持凹部33と第2の回転支持凹部35との間は、前記固定突出部材(30D,30U)の側面26に向けて出っ張って(半径cの円弧形状)、当該側面26と転がり接触する回転中心移行ガイド面39が形成されている。
上記第1の実施形態に係るドア構造の場合の作用を以下に説明する。なお、各固定側突出部(20D,20U)は前記したように鏡像関係にあり、図6の矢視線Eから視た形状は同一であるので、当該同一形状のものを符号20で表わして固定突出部材を説明する。同様に、各トライアル係合部材(30D,30U)も前記したように鏡像関係にあり、図の矢視線Eから視た形状は同一であるので、当該同一形状のものを符号30で表わしてトライアル係合部材を説明する。なお、取付部材(29,41)は図示を省略する。また、上記したように、固定突出部材20は、縦枠5の内側面6と直角な方向に対して所定角度α(例えば67°)だけ傾斜しており、図1に示す閉状態のドア本体10の幅方向中央線Cを上記角度αで横切っている。
ドア本体10を図1に示す閉状態から90°〜110°回転させて開状態位置まで変位させる場合には、図2,3に示すように、回転開始から初期のうち(少なくともドア本体10の側端部11の一方角部13が縦枠5の内側面6に接近する間)は、ドア本体10側のトライアル係合部材30のガイド溝31の第1の回転支持凹部33と固定突出部材20の一方端部21とが摺接して相対回転する。すなわち、トライアル係合部材30(したがって、ドア本体10)は、固体突出部20の一方端部21の中心を回転中心線(Y1)として回転する。
この際、固定突出部材20の他方端部22がトライアル係合部材30のガイド溝31の第1の大曲率ガイド面37とすべり接触するので、当該トライアル係合部材30は固定突出部材20の長さ方向へ変位することが規制される。そのため、ドア本体10が回転中にがたつくようなことはない。ここで、ドア本体10が回転中にがたつかないので、円滑な回転が確保されるとともに、当該ドア本体10の側端部11と縦枠5の内側面6(戸当り7も含む)との間に大きな隙間ができないことになる。
このようにして、ドア本体10は、回転初期のうちは固体突出部20の一方端部21の中心を回転中心線(Y1)として回転することになるが、この際当該回転中心線(Y1)はドア本体幅方向中央線(C)に対してドア本体10の側端部11の一方角部13と同一側になるような位置にある。そのため、ドア本体10の回転に伴う一方角部13の軌跡は、回転中心が上記幅方向中央線(C)上に固定された従来例(図25)よりは小さい円弧状となり、縦枠5の内側面6との隙間(G1)が狭くても干渉しない。また、ドア本体10の側端部11の他方角部12は回転中心線(Y1)の反対側にあり、ドア本体10の回転に伴い縦枠5の内側面6から離れる方向に回転する。また、戸当り7は、上記したように、ドア本体10の側端部11の回転軌跡とは触れない範囲で当該軌跡に近い位置に設けてある。したがって、ドア本体10の他方角部12は、縦枠5および戸当り7とは干渉することはなく、ドア本体10の側端部11と戸当り7との間の隙間(G2)を小さくできる。このように、ドア本体10と縦枠5(戸当り7も含む)との隙間(G1,G2)が人の指などが入りこめないほどに小さくできる。そのため、指詰め事故を防止できる。
さらに、図4に示すように、ドア本体10を回転させると、トライアル係合部材30のガイド溝31の回転中心移行ガイド面39と固体側突出部20の側面26とが転がり接触するようになり、当該トライアル係合部材30(したがってドア本体10)の回転中心線(Y12)は、第1の回転支持凹部33から回転中心移行ガイド面39に沿って第2の回転支持凹部35へ滑らかに移ってゆく。この際、固定突出部材20の一方端部21はトライアル係合部材30のガイド溝31の第2の大曲率ガイド面38とすべり接触するとともに、その他方端部22はガイド溝31の第1の大曲率ガイド面37とすべり接触するので、当該トライアル係合部材30は固定突出部材20の長さ方向への変位を規制される。そのため、トライアル係合部材30のガイド溝31の回転中心移行ガイド面39と固体側突出部20の側面26との転がり接触は順調に行われることになり、ドア本体10)の回転中心線(Y12)の移行は円滑に行われる。そのため、ドア本体10は、がたつくことはない。なお、この際、ドア本体10の側端部11と戸当り7との間の隙間(G3)に人の指が入るようなことがあったとしても、回転するドア本体10の側端部11によって外に押し出されるので指詰め事故は起こらない。
そして、ドア本体10を更に回転させると、トライアル係合部材30のガイド溝31の第2の回転支持凹部35が固体突出部20の他方端部22と摺接して相対回転するようになり、当該トライアル係合部材30(したがってドア本体10)は固体突出部20の他方端部22の中心を回転中心線(Y2)として回転するようになる。この際、固定突出部材20の一方端部21はトライアル係合部材30のガイド溝31の第2の大曲率ガイド面38とすべり接触するので、当該トライアル係合部材30は固定突出部材20の長さ方向への変位は規制されることになり、ドア本体10はがたつかない。
ここで、ドア本体10が図5に示す開位置に達した場合、その回転中心線〈Y2〉は幅方向中央線(C)に対して当該ドア本体10の側端部11の一方角部13と反対側になるような位置にあることになる。そのため、図15に示す開位置に位置決めされたドア本体10は、回転中心線が幅方向中央線(C)に対してドア本体10の一方角部13と同一側にあった閉状態よりも縦枠5の内側面6へ寄っていることになる。詳しくは、ドア本体10は、第2の回転支持凹部35と第1の回転支持凹部33との間のドア本体幅方向の距離分だけ寄ることになる。そのため、ドア本体10の側端部11の一方角部13と戸当り7との隙間を略零とすることができる。
なお、この第1の実施形態では、固定突出部材20の縦枠5に対する傾斜角度αを67°としたので、ドア本体10は、図5に示す90°回転位置から更に20°ほど固定突出部材20の一端部21がトライアル係合部材30の外側他方角部36に達するまで回転する。上記固定突出部材20の縦枠5に対する傾斜角度αを67°以上とすることによって90°〜110°の範囲の任意の角度まで回転させることができる。ドア本体10を110°まで回転させても、当該ドア本体10の即短部11の一方角部13と戸当り7との間の隙間は小さい。この際、ドア本体10の側面と縦枠5の内側面6との間の隙間(G4)に人の指が入ったとしても、当該ドア本体10は図5に示す90°回転位置からあまり回転せず縦枠5との距離はあまり縮まらないので、指詰めするようなことはない。また、ドア本体10の戻し回転(開位置から閉鎖状態位置への回転)するときに上記隙間(G4)に人の指が入ったとしても、当該ドア本体10の側面は指を外方に押出すので指詰め事故は起こらない。
なお、上記した場合は、固定突出部材20を縦枠5の内側面6に固定したが、図21に示すように、当該縦枠5の内側面6とドア本体10の側端部11との間に蝶番50を介装することによって、指詰め防止を図りつつドア本体10を90°回転可能、かつ、図23に示すように非常事(例えば特別大型の荷物を出し入れする場合等)の場合は当該ドア本体10を180°回転させることができる。
ここで、蝶番50は、縦枠5の内側面6に固定される固定側板材51と、当該固定側板材51とヒンジ部53を介して180°回転可能に接続された移動側板材52とから構成されている。この蝶番50の移動側板材52に上記した各固定突出部材(20D,20U)を固設する。このように構成すれば、上記した場合と同様に、豆21および豆22に示すようにドア本体10と縦枠5との隙間を小さくした状態で円滑に90°回転させることができるとともに、豆23に示すように非常時には当該ドア本体10を180°回転させることができる。
上記第1の実施形態に係るドア構造によれば、回転突出部材20およびトライアル係合部材30はドア本体10に比べれば小さくしかも目立たない箇所に設けられるので、外観の美観性を満たすことができる。また、両者(20,30)は協働してドア本体10の回転中心線を変えて当該ドア本体10と戸当り7付きの縦枠5との間の隙間を小さくしつつ円滑な回転を約束する。したがって、外観の美観性を満たしつつ、そしてドア本体10の円滑な90°回転を確保しつつ指詰め防止を図ることができる。
なお、上記第1の実施形態では、固定突出部材(20U,20D)はドア本体10の回転中心線(Y1等)に対応する上下端部位置に対向するように建造物(縦枠5)に固設するとともに、トライアル係合部材(30U,30D)はドア本体10の上下端部(上側端部15,下側端部16)位置に固設したが、これとは逆に配設してもよい。すなわち、各固定突出部材(20U,20D)をドア本体10の上下端部(上側端部15,下側端部16)側に固設するとともにトライアル係合部材(30U,30D)を建造物(縦枠5)側に固設してもよい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る発明は、図14〜図20に示される。
本発明に係るドア構造は、図18に示すように、建造物内の壁2Pの開口部3Pに90°回転可能にドア本体10Pが設けられたドア構造であって、第1の実施形態と同様構成の一対の固定突出部材20と一対のトライアル係合部材30とを備え、当該ドア本体10Pの回転中心線(Y1等)を滑らかに変位させることによって円滑な回転を図りつつ壁2P側とドア本体10Pとの隙間を小さくして指詰め防止達成しようとするものである。
壁2Pは、図18に示すように、建造物(例えば、公衆トイレやデパートなど)内の一方空間S1と他方空間S2とを仕切るものである。この壁2Pには、一方空間S1と他方空間S2とを連絡する開口部3Pが形成されている。なお、壁2Pの開口部3Pの内側面6Pは、外方へ向けて円弧状に凹んだ形状とされている。
ドア本体10Pは、壁2Pの開口部3Pを開閉するための部材である。ドア本体10Pは、図18に示す閉状態時に、その側端部11Pが壁2Pの内側面6Pと対向する。このドア本体10Pの側端部11Pは、壁2Pの内側面6Pへ出っ張る円弧形状とされている。かかる構成としたのは、ドア本体10Pと壁2Pの内側面6Pとの隙間から中(他方空間S2)が見えないようにするためである。なお、ドア本体10Pの側端部11Pは、閉状態時に一方空間S1と面する一方角部13Pと他方空間S2に面する他方角部12Pとを有している。
上記ドア本体10Pは、第1の実施形態で説明した一対の固定突出部材20と一対のトライアル係合部材30との協働によって、その側端部11Pよりも内側の回転中心線(Y1等)を中心として90°回転可能に構成されている。なお、上記壁2Pとドア本体10Pとは、第1の実施形態で説明した壁2およびドア本体10と同様構成であるので、その説明は簡略化または省略する。また、一対の固定突出部材20と一対のトライアル係合部材30との形態や配設状態も第1の実施形態と同様であるので、その説明は簡略化または省略する。
この第2の実施形態に係る固定突出部材20は、壁2Pの開口部3Pの内側面6Pと直角に伸延するように設けられている。なお、第1の実施形態の場合は、図8(B)および図11(B)に示すように、両固定突出部材20は、縦枠5の内側面6と直角の方向に対して所定角度α(=67°)だけ傾くように設けられている。
また、この第2の実施形態では、固定突出部材20は、図20に示すように、長さ方向および幅方向に傾斜した形状とされている。すなわち、固定突出部材20は、その天地面25が一方端部21から他方端部22へ行くにつれて低くなるように傾斜するとともに、当該天地面25は幅方向にも傾斜した形状とされている。また、上記固定突出部材20に合わせてトライアル係合部材30の天地面45も図19に示すように傾斜されている。かかる構成によって、ドア本体10Pは、自らの重みで自動的に(人手を介することなく)開位置まで回転して当該開位置に位置決めされる。なお、第1の実施形態のように固定突出部材20の天地面45を長さ方向および幅方向に傾斜させずに水平面とし、また、トライアル係合部材30の天地面45を傾斜させずに水平面としてもよい。この場合は、ドア本体10Pは自動的へ回転して開位置に位置決めされない。
このドア本体10を図14に示す開状態から90°回転させて、図18で示す閉状態位置まで変位させれば壁2Pの開口部3Pは閉じて一方空間S1と他方空間S2とは遮断される。反対に、ドア本体10を閉状態位置から開位置まで回転すれば、壁2Pの開口部3Pは開放されて一方空間S1と他方空間S2とは連通される。
この第2の実施形態二係るドア構造の場合の作用を以下に説明する。なお、上記したように、固定突出部材20は、壁2Pの内側面6Pと直角な方向に伸延しており、図18に示す閉状態のドア本体10Pの幅方向中央線Cを直角に横切っている。
ドア本体10Pを図14に示す開位置から90°回転させて図18に示す閉状態位置まで変位させる場合には、図14および図15に示す回転させ始めはトライアル係合部材30のガイド溝31の第2の回転支持凹部35が固体突出部20の他方端部22と摺接して相対回転する。すなわち、トライアル係合部材30(したがってドア本体10P)は固体突出部20の他方端部22の中心を回転中心線(Y2)として回転する。この際、固定突出部材20の一方端部21はトライアル係合部材30のガイド溝31の第2の大曲率ガイド面38とすべり接触するので、当該トライアル係合部材30は固定突出部材20の長さ方向への変位は規制されることになり、ドア本体10Pはがたつかない。
ここで、上記回転中心線〈Y2〉は幅方向中央線(C)に対して当該ドア本体10Pの側端部11Pの一方角部13Pと反対側になるような位置にあることになる。そのため、ドア本体10は、回転中心線が幅方向中央線(C)に対してドア本体10Pの一方角部13Pと同一側にある閉状態よりも壁2Pの開口部3Pの内側面6Pへ寄っていることになる。詳しくは、ドア本体10Pは、第2の回転支持凹部35と第1の回転支持凹部33との間のドア本体幅方向の距離分だけ寄ることになる。そのため、ドア本体10Pと壁2Pの開口部3Pの内側面6Pとの隙間(G5)を小さくできる。そのため、かかる隙間(G5)に人の指は入らず指詰め事故は起こらない。
さらに、ドア本体10Pを回転させると、図16に示すように、トライアル係合部材30のガイド溝31の回転中心移行ガイド面39と固体側突出部20の側面26とが転がり接触するようになり、当該トライアル係合部材30(したがってドア本体10P)の回転中心線(Y12)は、第2の回転支持凹部35から回転中心移行ガイド面39に沿って第1の回転支持凹部33へ滑らかに移ってゆく。この際、固定突出部材20の一方端部21はトライアル係合部材30のガイド溝31の第2の大曲率ガイド面38とすべり接触するとともに、その他方端部22はガイド溝31の第1の大曲率ガイド面37とすべり接触するので、当該トライアル係合部材30は固定突出部材20の長さ方向への変位を規制される。そのため、トライアル係合部材30のガイド溝31の回転中心移行ガイド面39と固体側突出部20の側面との転がり接触は順調に行われることになり、ドア本体10Pの回転中心線(Y12)の移行は円滑に行われる。そのため、ドア本体10Pは、がたつくことはない。なお、この際、ドア本体10Pの側端部11の一方角部13Pと壁2Pの開口部3Pの内側面6Pとの間(G6)に人の指が入るようなことがあったとしても、回転する当該ドア本体10によって外に押し出されるので指詰め事故は起こらない。
そして、ドア本体10を更に回転させると、トライアル係合部材30のガイド溝31の第1の回転支持凹部33が固体突出部20の一方端部21と摺接して相対回転するようになり、当該トライアル係合部材30(したがってドア本体10P)は固体突出部20の一方端部21の中心を回転中心線(Y1)として回転して図18に示す閉状態位置に位置決めされる。この際、ドア本体10Pの一方角部13Pは壁2Pの開口部3Pの内側面6Pに近づくが、上記回転中心線(Y1)はドア本体幅方向中央線(C)に対して当該ドア本体10Pの一方角部13Pと同一側であるので、当該一方角部13Pの回転軌跡は小さい円弧状となり、壁2Pの内側面部6Pとの隙間(G7)が狭くなる。したがって、ドア本体10Pと壁2Pとの隙間に人の指は入らないので、指詰め事故は起こらない。
上記第2の実施形態に係るドア構造によれば、回転突出部材20およびトライアル係合部材30はドア本体10Pに比べれば小さくしかも目立たない箇所に設けられるので、外観の美観性を満たすことができる。また、両者(20,30)は協働してドア本体10Pの回転中心線を変えて当該ドア本体10Pと壁2の内側面6Pとの間の隙間を小さくしつつ円滑な回転を約束する。したがって、外観の美観性を満たしつつ、そしてドア本体10Pの円滑な90°回転を確保しつつ指詰め防止を図ることができる。
なお、上記第2の実施形態でも、固定突出部材20はドア本体10Pの回転中心線(Y1等)に対応する上下端部位置に対向するように建造物(縦枠5)に固設するとともに、トライアル係合部材30はドア本体10Pの上下端部(上側端部15,下側端部16)位置に固設したが、これとは逆に配設してもよい。すなわち、各固定突出部材20をドア本体10Pの上下端部側に固設するとともにトライアル係合部材30を建造物(縦枠5)側に固設してもよい。
なお、上記第1および第2の実施形態において、上記各固定突出部材(下方および上方の固定突出部材)20を補強するための所定個数の補強部材を設けてもよい。
下方の補強部材60は、図24に示すように、全体が中空円筒状とされており、その基端面61から自由端面62までの全長L5が上記各固定突出部材20よりも短くて当該基端面61が上記建造物に固定されるとともに当該各固定突出部材20の根元部分と接触して被嵌する構成とされている。この補強部材60は、建造物の床面9に取付部材69を介して固定されている。なお、上方の固定突出部材20用の補強部材(60)は図示を省略するが、上記床面9の代わりに図6に示す上枠8に取付部材69を介して固定されている他は下方の補強部材60と同様構成である。
上記補強部材60に対応して、図25に示すように、トライアル係合部材30の端面91が当該補強部材60の自由端面62と摺接するように形成されている。なお、図25において、63はカバーであり、トライアル係合部材30を図6の取付部材41に固定するための役目を果たすものである。
このように構成した場合、上記第1又は第2の実施形態と同様の作用・効果を奏する他、ドア本体10が回転する際(すなわち、各トライアル係合部材30のガイド溝31と各固定側突出部材20とが摺動する際)、当該各固定側突出部材20にはドア本体10の自重等によって各種荷重(ねじり荷重、曲げ荷重、垂直荷重)が作用するが、当該各固定側突出部材20は、その根元部分を補強部材60によってしっかりと補強されているので、過大なねじり荷重・曲げ荷重が作用しても十分に抵抗して塑性変形や破断等が起こさない。
また、垂直荷重に対しては、各補強部材60の自由端面62と当該面62に接触している各トライアル係合部材30の端面81とが協働して抵抗する。このように、各固定側突出部材20の強度が補強部材60によって増大されるので、一段とドア構造の信頼性を高めることができる。また、ドア本体10回転時に、各補強部材60の自由端面62と各トライアル係合部材30の端面81とが摺接するので、回転軸線Yが鉛直方向からずれるのを効果的に抑えることができる。したがって、一段と円滑にドア本体10を回転させることができる。
なお、上記各補強部材60を次のように変形してもよい。
すなわち、各補強部材60の自由端面62を、図33に示すように、その外周面63に沿って螺旋状の傾斜面64とする。そして、これに対応して、上記各トライアル係合部材30の端面81を上記各補強部材60の自由端面62に対応した螺旋状傾斜面82とする。
このように補強部材60を変形した場合、上記と同様な作用・効果を奏する他、ドア本体10の自重が各トライアル係合部材30に作用すると、当該各トライアル係合部材30は各補強部材60の自由端面62(傾斜面64)に沿って摺動してドア本体10ごと下方へ変位する。これにより、例えばドア本体10を閉方向へ回動操作した後に当該操作を止めてドア本体10から手を離すと、人が操作することなく自動的にドア本体10は開き位置まで開方向へ回転する。
さらに、上側のトライアル係合部材30の水平方向の位置を調節可能な位置調節手段70を設けてもよい。
ここで、上記第1および第2の実施形態では、固定突出部材20は建造物の上枠8に、そしてトライアル係合部材30はドア本体10の上側端部15にそれぞれ設けられていたが、反対に設けられていてもよいので、以下の例では、固定突出部材20はドア本体10の上側端部15に、そしてトライアル係合部材30は建造物の上枠8に設けられているとした場合について説明する。
位置調節手段70は、図28に示すように、第1スライド板と第2スライド板とから構成されている。
第1スライド板71は、上方のトライアル係合部材30を上枠8に水平方向に位置変更可能に固定する部材で、当該上枠8にその長手方向(図28中矢印E,F方向)に移動可能で止めねじ(図示省略)で固定可能に設けられている。この第1スライド板71の図28中右端面は傾斜面72とされている。
第2スライド板73は、上記上枠8にその長手方向と直角方向(図28中矢印G,H方向)に移動可能で止めねじ(図示省略)で固定可能に形成されている。この第2スライド板73の図中左端面は上記第1スライド板71の傾斜面72と摺接する傾斜面74とされている。したがって、第1,第2スライド板(71,73)の固定を少し緩めて、当該第2スライド板73を矢印GH方向)に適宜移動すれば、その移動量に応じて第1スライド板71も矢印EF方向に移動する。このような移動操作を適宜行えば。上方のトライアル係合部材30の水平方向位置を調節できる。
かかる構成にすれば、経年変化等によってドア本体10の回転中心線が鉛直線方向からずれてしまって例えば当該ドア本体10の下端部が床面9とするなどして回転させ難くなった場合でも、回転中心線(Y)の方向を簡単に調節して上記不具合を解消することができる。