JP4277819B2 - 溶鋼の加熱方法 - Google Patents

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本発明は、溶鋼の加熱方法に関し、具体的には、二本の浸漬管と真空槽とを備えるRH真空脱ガス装置において酸素ガスを吹き付けて溶鋼を加熱する際に、加熱効率を低下させることなく、真空槽の耐火物の寿命向上を図る方法に関する。
二次精錬の主な目的の一つとして溶鋼温度の調整がある。転炉等から取鍋へ出鋼された溶鋼は、二次精錬により、成分調整や脱ガス等が行われるとともに、二次精錬の次行程である鋳造に適正な温度に調整するという重要な処理が行われる。
溶鋼の温度が鋳造に適正な温度よりも高い場合に適正な温度に低下することは、時間延長や冷鉄材の投入等を行えばよく、容易である。一方、溶鋼の温度が適正な温度よりも低い場合に適正な温度に上昇するには、電極加熱や誘導加熱等の加熱方法もあるが、経済的理由から、RH真空脱ガス装置において酸素ガスを溶鋼に吹き付ける方法が一般的に用いられる。
すなわち、溶鋼にAl又はSi等の金属を添加し、RH真空脱ガス装置の真空槽内溶鋼に酸素ガスを吹き付ける。吹き付けられた酸素ガスは溶鋼中のAlと反応して酸化熱を生じる。この酸化熱を用いて溶鋼温度を上昇させる。この処理は操業が容易であることや温度の調整精度が高いため、よく利用されている。
さらに、この処理は、これまでにも様々な改善により清浄度向上や効率向上が図られてきた。例えば、特許文献1には、溶鋼中Al濃度と環流量との積から算出される真空槽内に流入するAl量と、ノズルからの送酸量とを指標として制御することにより、スラグ中のMnO及びFeOの生成を抑制し、溶鋼の清浄性を悪化させることなく、RH真空脱ガス装置で溶鋼を昇熱する発明が開示されている。
しかし、RH真空脱ガス装置において酸素ガスを吹き付けることにより溶鋼を昇温するこの処理には、真空槽の耐火物の損耗が進行し易いという問題があった。この問題を解決すべく、特許文献2には、RH真空脱ガス装置の真空槽の内張り構造を、側壁をマグネシア−炭素質不焼成レンガとするとともに、敷及び環流管を耐火骨材に占める割合で1%未満(本明細書では特にことわりがない限り「%」は「質量%」を意味するものとする)としたキャスタブル耐火物とする発明が、特許文献3には、RH真空脱ガス装置の下部槽の内張り構造を、少なくとも溶鋼接触部をC含有量が5%未満のマグネシアカーボンレンガとし、残余の部分をC含有量が5〜9%のマグネシアカーボンレンガとする発明が、さらに、特許文献4には、RH脱ガス装置の真空槽内に昇降自在に配置されて酸素含有ガスを上吹きする鉛直ランスの中心軸を、環流管内径の領域内に位置させて酸素含有ガスを噴射することにより、真空槽の耐火物の損耗を防止する発明が、それぞれ開示されている。
特開平9−249910号公報 特開2001−89808号公報 特開2002−285228号公報 特開平9−143546号公報
特許文献2〜4により開示された発明により、確かに真空槽内の耐火物の損耗は軽減される。しかし、耐火物の損耗が解消されたわけではなく、さらなる耐火物の寿命向上が望まれる。
RH脱ガス装置を用いた溶鋼の加熱時における耐火物の損耗機構は、以下のように考えられる。溶鋼の表面に吹き付けられた酸素ガスは、溶鋼へ吸収されて主に溶鋼中のAlと反応する。吹き付けられた酸素が全て溶鋼中のAlと反応すればアルミナのみが生成することとなる。しかし、Alと反応できなかった酸素は溶鋼と反応し、FeOxを形成する。このFeOxが耐火物と接触すると、耐火物の主成分であるMgOと反応し、その融点を1600℃以下まで低下させる。一般に溶鋼の加熱中の真空槽の内部の溶鋼の温度は1600℃以上となるため、耐火物は容易に溶損する。
酸素ガスの溶鋼への吸収:(1/2)O(g)→[O]・・・(6)
吸収された酸素の反応 :3[O]+2[Al]→Al・・・(7)
Fe+x[O]→FeO・・・(8)
このため、溶鋼加熱時の耐火物の損耗を低減するには、(8)式に示す反応を極力抑制し、(7)式に示す反応を推進すればよいこととなる。
しかしながら、これまでは、このような考え方に基づいて溶鋼を加熱することは検討されてこなかった。そこで、本発明者らは、このような考え方を前提として鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成した。
本発明は、二本の浸漬管と真空槽とを備えるRH真空脱ガス装置にて、Al濃度が0.01%以上0.1%以下である溶鋼の表面に酸素ガスを吹き付け、溶鋼中のAlと吹き付けた酸素ガスとを反応させることにより溶鋼を加熱する方法であって、吹き付ける酸素ガスの流量V(Nm/min)と、溶鋼の環流量Q(ton/min)との比(V/Q)(Nm/ton)0.2以上0.5以下に調整しかつ、加熱処理前の真空槽内の雰囲気圧力を5.3kPa以上として、(1)〜(3)式にしたがって前記真空槽の内部の圧力を段階的に変動させることを特徴とする溶鋼の加熱方法である。
A1≦t/T≦A2:5.3kPa≦P≦13kPa ・・・・・・・(1)
A3≦t/T≦A4:2.7kPa≦P≦4.7kPa ・・・・・・・(2)
A5≦t/T≦A6:P≦1.3kPa ・・・・・・・(3)
ただし、A1=0.2、A2=0.55、A3=0.6、A4=0.75、A5=0.8、A6=1.0、5≦T≦12であり、tは加熱開始(酸素上吹き開始)からの経過時間(min)を示し、Tは総加熱処理時間(総酸素上吹き時間,酸素上吹き開始から酸素上吹き終了までの時間)(min)であり、Pは真空槽内の圧力(kPa)である。
本発明に係る溶鋼の加熱方法により、二本の浸漬管と真空槽とを備えるRH真空脱ガス装置において酸素ガスを吹き付けて溶鋼を加熱する際に、加熱効率を低下させることなく、真空槽の耐火物の寿命向上を図ることができる。
以下、本発明に係る溶鋼の加熱方法を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を、転炉、RH真空脱ガス装置及び連続鋳造機を用いて鋼を製造する場合を例にとって、説明する。
転炉で脱炭処理を行った後、溶鋼を取鍋へ出鋼し、取鍋をRH真空脱ガス装置へ移動する。RH真空脱ガス装置において溶鋼の加熱処理を行うが、この加熱処理はRH真空脱ガス処理の初期、中期又は末期のいずれの時期に行ってもよい。
通常はRH真空脱ガス処理の開始直後に所定量のAlを含有した溶鋼表面に酸素上吹きを行い、溶鋼を加熱する。溶鋼中Alは酸素上吹きを行う前に予め添加しておくことが望ましい。酸素上吹きを行いながら適宜Alを添加することも可能であるが、最適時期を誤ると速度バランスが崩れてしまうため好ましくない。
加熱処理時の酸素供給方法は酸素ガスを溶鋼表面に吹き付ける方法を用いる。吹き付けは、真空槽内溶鋼直上に配置した上吹きランスや、真空槽側壁に配した斜め挿入ランス等を用いて行うことが例示される。用いるランスのノズル形状は特に問わないが、単孔ノズルであることが望ましい。複孔ノズルであると火点面積が雰囲気圧力により大きく変動することがあるからである。
このように、本実施の形態では、2本の浸漬管と真空槽とを備えるRH真空脱ガス装置において真空槽の内部の溶鋼の表面に酸素ガスを吹き付ける方法を対象とする。これは、この方法における耐火物の損耗機構が、(6)〜(8)式を参照しながら上述したものであるためである。
(7)式の反応を優先的に進行させるには酸素との反応部、すなわち真空槽内への溶鋼供給速度が高いほうがよい。これは、反応部でのAl欠乏を抑制することにより(7)式の反応を優先させるとともに(8)式の反応を抑制するためである。
また、このAl供給速度は酸素供給速度、すなわち上吹き酸素流量とのバランスを考慮する必要もある。Alの供給速度は環流量Q(ton/min)により示すことが可能であり、また酸素供給量は上吹き酸素流量V(Nm/min)により示されるため、環流量Q(ton/min)及び上吹き酸素流量Vのバランスが重要となる。ここで、溶鋼に吹き付ける上吹き酸素流量V(Nm/min)は、V=標準状態での酸素ガス供給総量(Nm3)/上吹き時間(min)として求められ、環流量Q(ton/min)は、Q=11.4×G1/3×D4/3×{ln(P1/P0)}1/3、ただし、G:ガス流量(Nl/min)、D:浸漬管内径(m)、P1、P0:吹き込み位置、真空槽における圧力(Pa)として求められる。
本例では、環流量Q(ton/min)と上吹き酸素流量V(Nm/min)との比(V/Q)が0.2(Nm/ton)以上0.5(Nm/ton)以下である範囲について検討した。また、(6)〜(8)式の反応は、溶鋼中Al濃度の影響も受ける可能性があるため、本例では、溶鋼中Al濃度が0.01%以上0.1%以下である条件で検討した。
以上は物質収支の観点から検討した結果であるが、(7)式の反応と(8)式の反応のバランスは、さらに複雑な因子の影響を受ける。
第一の因子は、酸素吸収速度である。前述したように、Alと反応できなかった、いわば余剰酸素がFeOを形成する。余剰酸素は前述した比(V/Q)にもよるが、(7)式の反応速度を、(6)式の反応速度が上回った場合に発生する。つまり、(7)式の反応と(6)式の反応のバランスも重要となる。ここで、(6)式の反応速度は酸素流量の他に雰囲気圧力の影響を受ける。(6)式の反応速度は(9)式により示される。
d[O]/dt=k([O]e―[O])・・・(9)
(9)式においてkは速度定数であり、[O]eは平衡酸素濃度である。平衡酸素濃度[O]eは(10)式により示されるが、平衡酸素濃度[O]eは酸素分圧PO2が高いほど高くなる。すなわち、雰囲気圧力が高いほど、酸素吸収速度は大きくなる。
K=[O]/PO2 1/2・・・(10)
以上から、真空槽の内部の圧力(雰囲気圧力)を制御することにより(6)式の反応の速度を制御し、余剰酸素の発生を抑制することにより(8)式の反応を抑制できる。しかし、過度の制御は(7)式の反応の速度も低下させてしまう。
第二の因子は、生成したFeOのAlによる還元の影響である。(8)式の反応により生成したFeOは、(11)式の反応にしたがってAlに還元される。
FeOx+(2/3)xAl→(x/3)Al+Fe・・・(11)
(11)式の反応は、Al濃度が高い場合と撹拌が強い場合に早く進行する。溶鋼中Al濃度が低くなると、(11)式の反応はより速度が低下するため、撹拌をより強くする必要がある。しかし、RH真空脱ガス装置では、通常の取鍋精錬装置とは異なり、撹拌を自由に制御できない。真空槽内の撹拌を強めるには、より高真空として環流ガスによる撹拌を強める方法が最も簡便である。
以上から、比(Q/V)がある値の場合において(8)式の反応を抑制して(7)式の反応を優先的かつ効率的に進行させるには、溶鋼中Al濃度に応じて(i)酸素吸収速度を制御すること、及び(ii)真空槽内の撹拌を強めることが重要である。
これを実現するには幾つかの方法が考えられるが、最も簡便な方法は、溶鋼の加熱処理中に連続的に雰囲気圧力を変化させることである。一般的には雰囲気圧力を一定として酸素上吹きを行うが、この雰囲気圧力を適正に変化させることが有効である。
しかしながら、これらの方法は各速度過程のバランスを適正化することが重要であり、条件を推算することが難しい。そこで、溶鋼の加熱処理中の真空度を制御し、反応効率と耐火物損耗速度とを調査した。
調査は300トン溶鋼を処理するRH真空脱ガス装置を用い、上吹きランスから溶鋼表面に酸素を吹き付けた。この時、環流量Q(ton/min)と、上吹き酸素流量V(Nm/min)とを、比(V/Q)が0.35〜0.42(Nm/ton)となるように、調整した。また、溶鋼中Al濃度は溶鋼加熱処理後で0.013%以上0.095%以下とした。
さらに、酸素上吹き中の真空槽の真空度を幾つかのパターンで変化させ、反応効率と耐火物寿命とを測定した。また、一般的な処理条件である加熱処理中の雰囲気圧力を8kPaで一定とした条件を基準条件イとした。なお、測定値には以下の整理を行ったので、基準条件イの反応効率指数及び耐火物寿命指数はいずれも1となる。
反応効率指数={(Alと反応した添加酸素ガス量)/(添加した酸素ガスの総量)}
/(基準条件イの反応効率)
耐火物寿命指数=(基準条件イでの損耗速度)/(各条件での損耗速度)
図1は、溶鋼加熱処理時間における真空槽内の雰囲気圧力制御パターンa〜fを、基準条件イとともに示すグラフであり、図2は、溶鋼加熱処理時間における真空槽内の雰囲気圧力制御パターンg〜jを示すグラフである。なお、溶鋼加熱処理時間は処理毎に異なるために処理時間の長さを用いるのは妥当ではないので、溶鋼加熱処理時間を、無次元時間=実時間{加熱開始(酸素上吹き開始)からの経過時間}/{総溶鋼加熱処理時間(純酸素上吹き時間)}として整理した。なお、本調査における溶鋼加熱処理時間は5〜12分である。
図3は、図1、2に示す雰囲気圧力制御パターンa〜jにより得られた反応効率指数及び耐火物寿命指数を示すグラフである。なお、反応効率指数及び耐火物寿命指数ともに50回の処理を行った際のデータである。
図3にグラフで示すように、雰囲気圧力を一定とした雰囲気圧力制御パターンa、hは基準条件イに近い結果となった。一方、雰囲気圧力を低位で一定とした雰囲気圧力制御パターンe、fは反応効率が基準条件イよりも低くなったが、耐火物の損耗は抑制された。これは、雰囲気圧力が低いために(6)式の反応が抑制され、結果として(7)式の反応が低下したことにより反応効率は低下するものの、(6)式の反応の抑制により(8)式の反応が抑制されたことにより耐火物の損耗が抑制されたものと考えられる。しかし、反応効率が低く実操業には必ずしも適当ではない。
一方、段階的に雰囲気圧力を変動させた雰囲気圧力制御パターンb、c、dは、反応効率が高く、かつ耐火物の損耗速度も小さい。一方、同様に段階的に雰囲気圧力を変動制御した雰囲気圧力制御パターンg、i、jに関して、雰囲気圧力制御パターンgは効果が殆どなく、雰囲気圧力制御パターンi、jは寿命指数がやや改善するものの反応効率が低い。このことは、段階的な雰囲気圧力制御パターンの変更は有効であるが、雰囲気圧力制御パターンには最適な条件が存在することを示している。
さらに、図3に示すグラフから本実験条件において最も高い効果を得られたのは雰囲気圧力制御パターンb、c、dである。よって、最適な条件は雰囲気圧力制御パターンbと雰囲気圧力制御パターンdとの間に存在すると考えることができ、雰囲気圧力制御パターンbと雰囲気圧力制御パターンdとから設定される3つの領域A、B、Cを同時に満足することが有効であると考えられる。なお、雰囲気圧力制御パターンb、c、dともに領域A、B、Cへの移行パターンは異なるが、ある時間域にある圧力領域をA、B、Cを通過することで高い効果が得られることから、3つの領域A、B、Cの全領域を通過ことが最も重要な条件であるとともに、各領域A〜C間の移行パターンの影響は小さいことがわかる。さらに、雰囲気圧力制御パターンf、h、i、jでは、3つの領域A、B、Cの何れか一つ、あるいは二つの通過では効果が得られないことからも、3つの領域A、B、Cを全て満足することが有効であることがわかる。
以上の結果から、(a)雰囲気圧力を一定に制御するよりも、処理進行に伴い雰囲気圧力を制御することが必要であること、(b)処理進行に伴う雰囲気圧力制御パターンの変更には最適条件が存在すること、及び(c)この最適条件とは雰囲気圧力制御パターンb、c、dであることがわかる。
そして、雰囲気圧力制御パターンb、c、d、すなわち、(6)〜(8)式ならびに(11)式のバランスを最適化し、高反応効率と損耗抑制とを同時に図ることができる条件は、図1、2のグラフにおける領域A、B及びCをいずれも通過するように加熱処理時の真空槽の雰囲気の圧力を制御することであり、これは(1)〜(3)式により表される。ただし、比(V/Q)は0.2以上0.5以下であり、溶鋼中Al濃度は0.01%以上0.1%以下である。
A1≦t/T≦A2:5.3kPa≦P≦13kPa・・・(1)
A3≦t/T≦A4:2.7kPa≦P≦4.7kPa・・・(2)
A5≦t/T≦A6:P≦1.3kPa・・・(3)
ただし、A1=0.2、A2=0.55、A3=0.6、A4=0.75、A5=0.8、A6=1.0であり、tは加熱開始(酸素上吹き開始)からの経過時間(min)を示し、Tは総加熱処理時間(総酸素上吹き時間)(min)であり、Pは真空槽内の圧力(kPa)である。
さらに、図3のグラフにおける雰囲気圧力制御パターンb、c、dのバラツキにおける最大値を得た条件を整理した結果、図4のグラフを得た。(1)〜(3)式を満足すれば図3のグラフに示す効果が得られるが、さらにその効果を高めるには図4に示すグラフから、(4)及び(5)式を満足することが望ましい。
A3=0.74(V/Q)−0.12・・・(4)
A5=0.96(V/Q)−0.95・・・(5)
これは、先に述べたように、比(V/Q)も余剰酸素の生成に影響するため、比(V/Q)に応じて真空槽の雰囲気の圧力変化を厳密に制御することにより、さらに効果が高まることを示している。
また、本実施の形態では、加熱処理以外の雰囲気圧力は特に限定を要さないが、加熱処理中の雰囲気圧力は(1)〜(3)式を満足することが必須であり、さらに、(4)式及び(5)式をともに満足することが望ましい。また、加熱処理前の雰囲気圧力が5.3kPa未満である場合、加熱処理前に5.3kPa以上の圧力に高めることが望ましい。
真空槽の内部の雰囲気圧力の制御は、真空槽の排気装置の運転を制御する方法や、真空槽の内部あるいは排気系へ不活性ガス等の導入量を調整する方法等により行えばよい。
各雰囲気圧力への変更は、以下の手順で行うことが例示される。溶鋼の目標温度と現状温度測定値とから必要な温度上昇量を求める。現状温度は例えば消耗型熱電対等を用いて測定することができる。必要な温度上昇量を求めたら、これに応じて必要な総酸素量とAl量とが決定される。酸素量と温度上昇量との関係は、実績を基に求めておけばよい。設備の上吹き酸素流量が既知であるので、総酸素上吹き時間が計算される。これをTとする。次に、実処理時間tとTの比(t/T)を用いて(1)〜(3)式を満足するように雰囲気圧力を制御する。
これにより、二本の浸漬管と真空槽とを備えるRH式真空脱ガス装置において酸素ガスを用いて溶鋼を加熱する際に、加熱効率を低下させることなく、真空槽の耐火物の寿命向上を図ることができるようになる。
なお、上述した本発明に係る溶鋼の加熱方法は、Alと酸素ガスを用いて溶鋼を加熱する技術であるが、溶鋼がそれ以外の成分、例えばC、Si、Mn、Ti等を含有していても適用でき、またその濃度には依存しない。ただし、Cr含有量が10%超、Ni含有量が15%超であると、Cr、Ni等の優先酸化も進行するため、溶鋼のCr含有量は10%以下、Ni含有量は15%以下であることが望ましい。また、溶鋼の加熱処理前に、真空脱炭による極低炭素化処理を施された溶鋼に対しても適用可能である。
表1に示す溶鋼量及び組成を有する転炉出鋼後の溶鋼を、溶鋼300トンを処理するRH真空脱ガス装置、又は溶鋼90トンを処理するRH真空脱ガス装置へ移動し、いずれかのRH真空脱ガス装置によりはじめに溶鋼加熱処理を行い、引き続き真空脱ガス処理および成分調整を行い、番号1〜25の試料を得た。
Figure 0004277819
表1に示した溶鋼成分ならびに加熱処理時間は、各処理条件での平均値を示した。表中、Aは本発明の(1)式におけるA1を示し、Bは本発明の(2)式におけるA3を示し、Cは本発明の(3)式におけるA5を示す。また、反応効率指数は平均値を、耐火物損耗指数は約50回処理後の値である。
なお、表1における番号2、5、14、17の試料は、RH真空脱ガス装置で真空脱炭処理を行った後に、溶鋼にAlを添加してから溶鋼加熱処理を行ったものである。
番号1〜25の試料について反応効率指数及び耐火物損耗指数を求めた。結果を表1に併せて示す。
表1に示すように、本発明によれば、反応効率が高く、同時に耐火物損耗を抑制できることがわかる。一方、比較例では、耐火物損耗抑制効果がほとんど認められず、また、反応効率も高められないことがわかる。
溶鋼加熱処理時間における雰囲気圧力制御パターンを示すグラフである。 溶鋼加熱処理時間における雰囲気圧力制御パターンを示すグラフである。 雰囲気圧力制御パターンにより得られた反応効率指数及び耐火物寿命指数を示すグラフである。 (V/Q)と、雰囲気圧力切り替えの無次元処理時間との関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 二本の浸漬管と真空槽とを備えるRH真空脱ガス装置にて、Al濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下である溶鋼の表面に酸素ガスを吹き付け、溶鋼中のAlと吹き付けた酸素ガスとを反応させることにより溶鋼を加熱する方法であって、吹き付ける前記酸素ガスの流量V(Nm/min)と、前記溶鋼の環流量Q(ton/min)との比(V/Q)(Nm/ton)0.2以上0.5以下に調整しかつ、加熱処理前の前記真空槽内の雰囲気圧力を5.3kPa以上として、(1)〜(3)式にしたがって前記真空槽の内部の圧力を段階的に変動させることを特徴とする溶鋼の加熱方法。
    A1≦t/T≦A2:5.3kPa≦P≦13kPa ・・・・・・・(1)
    A3≦t/T≦A4:2.7kPa≦P≦4.7kPa ・・・・・・・(2)
    A5≦t/T≦A6:P≦1.3kPa ・・・・・・・(3)
    ただし、A1=0.2、A2=0.55、A3=0.6、A4=0.75、A5=0.8、A6=1.0、5≦T≦12であり、
    t:加熱開始(酸素上吹き開始)からの経過時間(min)
    T:総加熱処理時間(総酸素上吹き時間)(min)
    P:真空槽内の圧力(kPa)
    である。
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