JP4277359B2 - X線ct装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、被検体のX線CT撮影(任意断面のX線コンピュータ断層撮影)を行うX線CT装置に係り、特にX線CT撮影の際の再構成エリアを予め正確に把握できるようにするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、病院等で盛んに使われているX線CT装置は、図14に示すように、ファン状X線ビーム(扇形状X線ビーム)FBを照射するX線管41とX線検出素子42が1列ないし数列でX線ビームの広がりに沿って並ぶよう配列されたX線ライン検出器43とをX線管41とX線ライン検出器43が被検体Mを間にして常に対向配置となるよう装備したX線撮像部44を備え、X線CT撮影実行の際、X線管41とX線ライン検出器43とが被検体Mのまわりを回転するとともに、X線管41によるファン状X線ビームFBの照射に伴ってX線ライン検出器43から出力される透過X線検出データに基づきX線CT画像作成用の再構成処理が行われるよう構成されている。
【0003】
ただ、図14のX線CT装置の場合、ファン状X線ビームFBの幅が極く狭いので、広範囲のX線CT撮影に必要な透過X線検出データを収集するためには、X線撮像部44を被検体Mの体軸方向に変位させて、被検体Mのまわりを何度も回転しなければならない結果、必然的に撮影時間が長くなる。
そこで、ファン状X線ビームFBの代わりに幅の広いコーン状X線ビームを用いるとともに、X線ライン検出器43の代わりにX線検出素子が縦横に配列されている検出面の広いX線面検出器(X線面センサ)を用い、撮影対象の関心部位を幅広のコーン状X線ビームで一挙照射する一方、関心部位からの透過X線も検出面の広いX線面検出器で一挙検出するように構成したX線CT撮影装置が検討されている。このコーン状X線ビーム方式の装置によれば、X線撮像部が被検体Mのまわりを1回転すれば、広範囲の透過X線検出データが得られるので撮影時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のコーン状X線ビーム方式のX線CT撮影装置には、ファン状X線ビーム方式のX線CT撮影装置に比べると、X線CT撮影を実行する場合、再構成エリアを予め把握することが難しいという問題がある。
X線CT撮影の場合、被検体の体軸周りから照射される全X線ビームの重複する部分が任意断面のX線CT画像が得られる再構成エリア、すなわち撮影範囲となる。したがって、撮影を開始する前に、再構成エリアを十分に把握して撮影対象の関心部位が再構成エリアにきっちり納まっていることを確認する必要がある。しかし、コーン状X線ビーム方式のX線CT撮影装置の場合、再構成エリアを予め把握し難いので、撮影が済んでみると、撮影対象の関心部位が再構成エリアから外れてしまっていて、所望の断面のX線CT画像が得られていなかった、という不都合が起こる心配がある。
【0005】
この発明は、上記の事情に鑑み、X線CT撮影の際の再構成エリアを予め正確に把握することができるコーン状X線ビーム方式のX線CT撮影装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、この発明のX線CT装置は、天板上の被検体にコーン状X線ビームを照射するX線管およびX線検出素子が縦横に配列されている透過X線検出用のX線面検出器を具備するX線撮像手段と、X線撮像手段を駆動するX線系駆動手段と、CT撮影モードで駆動されるX線撮像手段のX線面検出器から出力される透過X線検出データに基づきX線CT画像作成用の再構成処理を行う画像再構成手段と、X線画像を表示する画像表示手段とを備えているX線CT装置において、CT撮影モードで駆動されるX線撮像手段のX線面検出器から出力される透過X線検出データに基づきX線透過画像を得て画像表示手段に表示する透過画像撮影手段と、透過画像撮影手段により得られるX線透過画像にX線CT撮影の際の再構成エリアを重畳表示する再構成エリア重畳手段とを備えている。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のX線CT装置において、再構成エリアが重畳表示されたX線透過画像の画面上でX線CT画像作成対象の断面の位置を指定する撮影断面指定手段をも備えている。
【0008】
〔作用〕
次に、この発明のX線CT装置によりX線撮影を実行する際の作用について説明する。
この発明の装置によるX線CT撮影の場合、先ずX線透過撮影(単純X線撮影)により再構成エリアを確認するためのX線透過画像を得る。すなわちX線撮像手段を透過撮影モードで駆動して適当な位置に停めた状態でX線管から被検体へコーン状X線ビームを照射する一方、X線面検出器によって透過X線像を検出するとともに、透過画像撮影手段により、X線面検出器から出力される透過X線検出データに基づきX線透過画像を得て画像表示手段に表示する。そして、この時、この発明のX線CT装置の場合、再構成エリア重畳手段により、X線透過画像にX線CT撮影の際の再構成エリアが重ねて同時表示(重畳表示)されるのである。
【0009】
ファン状X線ビームによるX線CT撮影の場合と違い、コーン状X線ビームによるX線CT撮影の場合は、撮影中心の周りから照射されるX線ビームが全て重なり合う重畳区域だけが再構成エリア(つまり撮影範囲)となる。被検体の体軸のまわりから照射されるコーン状X線ビームが全て重なる再構成エリアはガントリ中心(撮影中心)を中心として表面がコーン状X線ビームに内接する球の内側全域であり、X線透過画像に重畳された時は再構成エリアは円の形となって画像中に出現することになる。
【0010】
そこで、オペレータは再構成エリアが重畳表示されたX線透過画像の上で撮影対象の関心部位が再構成エリアの中にあるか否かをチェックし、関心部位が再構成エリアの中にあれば、X線CT撮影へ移行する。しかし、もし関心部位が再構成エリアから外れておれば、オペレータは被検体の関心部位が再構成エリアの中に入るよう被検体を移動させて再びX線透過画像を得て上のチェックを繰り返すことになる。
このように、この発明の装置の場合、撮影対象の関心部位が再構成エリア内にあることを予め確認してからX線CT撮影が実行されることから、所望の断面のX線CT画像が確実に得られる。
【0011】
また、この発明の装置によるX線CT撮影の場合、やはり、撮影対象の関心部位に幅の広いコーン状X線ビームが一挙に照射されるとともに、関心部位からの透過X線もX線面検出器の広い検出面で一挙に検出されるので、広範囲の透過X線検出データが迅速に収集される結果、撮影時間が短くて済む。
【0012】
また、請求項2の発明のX線CT装置では、オペレータが、撮影断面指定手段により、再構成エリアが重畳表示されたX線透過画像の画面上でX線CT画像を作成する断面の位置を予め指定する。撮影範囲を示す再構成エリアは、X線CT画像を作成する断面の位置の指定可能範囲を示すものでもあるので、オペレータは、X線CT画像を作成する断面の位置が適正かつ簡単に指定できることとなる。そして、続いて実行されるX線CT撮影において、撮影断面指定手段により指定された断面についてのX線CT画像が作成されることになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
続いて、この発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。図1は実施例に係るX線CT装置の全体構成を示すブロック図、図2は実施例で用いられるコーン状X線ビームを説明するための模式図、図3は実施例のX線CT装置のガントリを示す斜視図、図4は実施例のX線CT装置のX線撮像部の動きを示す模式図である。
図1のX線CT装置は、被検体Mを載置する天板1と、天板1の上に載置された被検体Mへコーン状X線ビームCBを照射するX線管2と、被検体Mを挟んでX線管2に対向配置されている透過X線検出用のフラットパネル型X線センサ(X線面検出器)3とを装備したX線撮像部4を備えている。
【0014】
X線管2は、図2(a)に示すように、X線源(X線焦点)2aの前方にコーン状X線ビームCBの水平断面形状を規定するX線遮蔽材製のコリメータ2bが配設されていて、実施例では水平断面が正方形の四角錐状のコーン状X線ビームCBが放出される構成となっている。なお、図2(b)に示すように、コーン状X線ビームCBの幅を示すビーム開き角θは、X線源2aとコリメータ2bのジオメトリー(幾何学的配置関係)により一義的に決まる。フラットパネル型X線センサ(以下、適宜「パネル型X線センサ」と略記)3は、詳しくは後述するように多数のX線検出素子が縦横に配列された構成となっている広い2次元検出面を有するX線面センサである。
【0015】
さらに、実施例のX線CT装置は、パネル型X線センサ3の後段に、透過X線検出データを収集するデータ収集部(DAS)5と、データ収集部5により収集された透過X線検出データを処理してX線CT画像あるいはX線透過画像を得るデータ処理部6を備えている他、X線CT画像やX線透過画像などを映し出す表示モニタ(画像表示手段)7を備えていて、X線撮像部4がCT撮影モードで駆動された場合は、表示モニタ7の画面にX線CT画像が映し出され、またX線撮像部4が透過撮影モードで駆動された場合は、表示モニタ7の画面にX線透過画像が映し出されるよう構成されている。
以下、実施例のX線CT装置の各部構成をより具体的に説明する。
【0016】
天板1は被検体Mを載せたままの状態で、天板駆動部8のコントロールにより前後・左右の他、上下に移動させられるよう構成されている。この天板駆動部8は、操作卓9からの操作入力に伴って撮影制御部10から送出される指令信号に従って天板1の動きをコントロールする。
X線管2は、高電圧発生器などを含む照射制御部11のコントロールにより、設定された照射条件でX線を被検体Mにコーン状X線ビームCBを照射するよう構成されている。照射制御部11によるコントロールも、操作卓9からの操作入力により撮影制御部10から送出される指令信号に従って行われる。
【0017】
また、図3に示すように、X線撮像部4のX線管2の方はガントリ12のハウジング中に配置されていて見えないが、パネル型X線センサ3の方はガントリ12のリング状内側空間12aに露出した状態で配置されており、X線管2から出るX線はハウジング内面に周方向に沿って切れ目なく設けられたスリット12bを通して被検体Mに照射されることになる。そして、撮像系駆動部13のコントロールにより、X線管2およびパネル型X線センサ3が対向配置状態を維持したままの状態で連動して被検体Mの体軸Zのまわりを矢印RA,RBの向きへ移動する構成となっている。
【0018】
つまり、X線管2とパネル型X線センサ3は、図4に示すように、ガントリ12のハウジング内に配設された回転リング14に一体的に取り付けられているとともに、モータ(図示省略)から回転力を受けてプーリ15aおよびベルト15bが、回転リング14を矢印RA,RBの向きへ回転させるのに伴って、X線管2およびパネル型X線センサ3が対向配置状態を維持したままで回転リング14と共に移動するのである。なお、撮像系駆動部13によるコントロールも、やはり操作卓9からの操作入力により撮影制御部10から送出される指令信号に従って行われる。
【0019】
そして、照射制御部11および撮像系駆動部13は、CT撮影モードと透過撮影モードとでX線撮像部4の駆動態様が異なるようにX線撮像部4をコントロールする。
CT撮影モードの場合のコントロールでは、X線管2が被検体Mの体軸Zの周りを1回転ながらコーン状X線ビームCBを被検体Mに連続的に照射するとともに、X線管2と連動して移動するパネル型X線センサ3により透過X線が連続的に検出される。X線管2の回転に伴って被検体MへのX線照射角が変わってゆく結果、パネル型X線センサ3によりX線CT画像の作成に必要な被検体全周からの透過X線が検出されることとなる。
透過撮影モードの場合のコントロールでは、図4に一点鎖線で示すように、X線管2とパネル型X線センサ3が適宜の方向(図4ではラテラル方向)に対向したまま停止した状態で、X線管2が単発的(もしくは必要に応じて連続的)にコーン状X線ビームCBを被検体Mに照射するとともに、パネル型X線センサ3により1画面分の透過X線が検出される。
【0020】
次にデータ処理部6について具体的に説明する。データ処理部6には、CT撮影モード時にデータ収集部5から送出される(ディジタル信号の)透過X線検出データを記憶する検出データメモリ6aと、検出データメモリ6aに記憶されているデータに基づきX線CT画像作成用の再構成処理を行う画像再構成部6bと、画像再構成部6bにより作成される所望の断面のX線CT画像を記憶するCT画像メモリ6cとが設けられている他に、透過撮影モード時にデータ収集部5から送出される(ディジタル信号の)透過X線検出データを1枚のX線透過画像として記憶する透過画像メモリ6dが設けられている。CT画像メモリ6cや透過画像メモリ6dに記憶されている画像は適時に読みだされて表示モニタ7の画面に表示される。
【0021】
さらに、実施例のX線CT装置の場合、データ処理部6には、この発明を特徴づける構成として、透過画像メモリ6dのX線透過画像にX線CT撮影の際の再構成エリアを重畳表示する再構成エリア重畳部6eと、X線透過画像にX線CT撮影の際のX線照射エリアを重畳表示する照射エリア重畳部6fが設けられていて、表示モニタ7の画面に被検体MのX線透過画像が映し出された場合、図5に示すように、再構成エリア重畳部6eおよび照射エリア重畳部6fにより、再構成エリアPaとX線照射エリアPb1〜Pb3とがX線透過画像に重畳表示されるよう構成されているのである。
【0022】
再構成エリアPaは被検体Mの全周から照射されるX線ビームが全て重なり合う区域であり、照射センターラインPcの上のガントリ中心(撮影中心)Pdを中心としてX線照射エリアPb1,Pb2に内接する円の内側全域が再構成エリアとなる。
なお、再構成エリアPaの大きさは、図2(b)に示すように、コーン状X線ビームCBのビーム開き角θと、X線源2aとガントリ中心(撮影中心)Pdの距離によって予め計算で求めることができるので、後は表示モニタ7の画面上でのX線透過画像の画像比率に応じた寸法の円を画面に描かれるように構成すれば、再構成エリアPaを示すことができる。したがって、オペレータは、図5に示す画面を見て、撮影対象の関心部位Maが再構成エリアPaの内にあるか否を予め簡単に確認できるので、関心部位Maの一部が撮影範囲から外れる心配がなくなる。
【0023】
X線照射エリアPb1〜Pb3も再構成エリアPaの場合と同様にして表示されており、X線照射エリアPb1がX線ビームを上方から照射した場合の被爆域を示し、X線照射エリアPb2がX線ビームを下方から照射した場合の被爆域を示し、X線照射エリアPb3がX線ビームを側方から照射した場合の被爆域を示す。したがって、オペレータは、図5に示す画面を見て、被検体Mの被爆域を予め簡単にチェックできるようになる。
【0024】
さらに、実施例のX線CT装置は、再構成エリアが重畳表示されたX線透過画像の画面上でX線CT画像作成対象の断面の位置を指定する撮影断面指定手段を備えている。すなわち、実施例のX線CT装置の場合、再構成エリアが重畳表示されたX線透過画像の画面上において、操作卓9によるカーソル操作によりX線CT画像を作成する断面の位置を指定すると、図6に示すように、操作卓9で指定されたX線CT画像作成対象の断面の位置Pe1〜Pe4がX線透過画像の画面上にラインとして重畳表示されるとともに、X線CT撮影が実行された場合に予め指定された断面の位置Pe1〜Pe4のX線CT画像が画像再構成部6bにより自動的に作成されるよう構成されているのである。そのためデータ処理部6は、操作卓9で指定されたX線CT画像作成対象の断面の位置Pe1〜PeをX線透過画像の画面上にラインとして重畳表示する指定断面重畳部6gを備えている。したがって、オペレータはX線透過画像に重畳表示されている再構成エリアPaの示す指定可能範囲を外れないように注意して操作を行いさえすれば、X線CT画像を作成する断面の位置が適正かつ簡単に指定できることになる。
【0025】
続いて、パネル型X線センサ3まわりの構成を説明する。図7に示すように、パネル型X線センサ3におけるX線検出素子XDの配列としては、例えば横(x)方向1024,縦(y)方向1024の正方形マトリックス構成であって、大きさとしては縦50cm・横50cm程度の寸法のものが挙げられる。
パネル型X線センサ3は、図8(a),(b)に示すように、入射X線を電荷あるいは光に変換するX線変換層16と、X線変換層16で生じた電荷あるいは光を検出する素子が縦横にマトリックス状に配置形成されている検出アレイ層17との積層構造となっており、図8(a)に示す直接変換タイプのセンサと、図8(b)に示す間接変換タイプのセンサとがある。
【0026】
前者の直接変換タイプの場合、X線変換層16が入射X線を直に電荷に変換するセレン層やCdZnTe層などからなり、検出アレイ層17の表面に電荷検出素子18として表面電極19に対向形成された電荷収集電極でもって電荷の検出を行いコンデンサC1に蓄電するとともに蓄積電荷がTFT(Thin Film Transister:薄膜トランジスタ) 20を介して取り出される構成となっていて、各電荷検出素子18と、その上のX線変換層16の一部分と、コンデンサC1およびTFT20とで1個のX線検出素子XDが形成される。
後者の間接変換タイプの場合、X線変換層16が入射X線を光に変換するシンチレータ層からなり、検出アレイ層17の表面に光検出素子21として形成されたフォトダイオードでもって光の検出を行いコンデンサC1に蓄電するとともに、蓄積電荷がTFT20を介して取り出される構成となっていて、各光検出素子21と、その上のX線変換層16の一部分と、コンデンサC1とおよびTFT20とで1個のX線検出素子XDが形成される。
【0027】
さらに、図9に示すように、各X線検出素子XDの薄膜トランジスタ20のソースがX方向の読出し配線22に接続され、ゲートがY方向の読出し配線23に接続されている。読出し配線22はプリアンプ群24を介してマルチプレクサ25に接続されているとともに、読出し配線23はゲートドライバ26に接続されている。そして、マルチプレクサ25およびゲートドライバ26へキャリア取り出し用の走査信号が送り込まれることになる。パネル型X線センサ3の各X線検出素子XDの特定は、X方向・Y方向の配列に沿って各X線検出素子XDへ順番に割り付けられているアドレス(例えば0〜1023)に基づいて行われるので、取り出し用の走査信号は、それぞれX方向アドレスまたはY方向アドレスを指定する信号となる。
【0028】
Y方向の走査信号に従ってゲートドライバー26からY方向の読出し配線23に対し取り出し用の電圧が印加されるのに伴い、各X線検出素子XDが列単位で選択される。そして、X方向の走査信号に従ってマルチプレクサ25が切替えられることにより、選択された列のX線検出素子XDのコンデンサC1に蓄積されたキャリア(電子またはキャリア)が順にプリアンプ群24およびマルチプレクサ25を経由して、AD変換部27でディジタル化された後、透過X線検出信号として出力される。
上のことから、パネル型X線センサ3からのキャリアの取り出し方式は、概ね通常のTVカメラなどの映像機器に類似の構成であり、プリアンプ群24、マルチプレクサ25、ゲートドライバ26およびAD変換部27などがデータ収集部5を構成していることになる。
【0029】
なお、実施例のX線CT装置には他に、X線CT画像あるいはX線透過画像をフィルムに焼き付けてX線写真として出力するレザー式の画像焼付け器(図示省略)や、X線CT画像あるいはX線透過画像を画像信号のかたちのままで保存する画像保存メモリ(図示省略)なども必要に応じて装備される。
【0030】
続いて、上述した構成を有する実施例のX線CT装置によりX線撮影を実行する時の装置動作を図面を参照しながら説明する。図10は、実施例のX線CT装置によるX線撮影の状況を経時的に示すフローチャートである。
〔ステップS1〕被検体Mを天板1の上に載せた後、天板1を移動して被検体Mをガントリ12の撮影位置へセット。
【0031】
〔ステップS2〕X線撮像部4を透過撮影モードで駆動してラテラル方向からコーン状X線ビームCBを被検体Mに照射しX線透過画像を得るとともに、図11に示すように、表示モニタ7の画面に再構成エリアPaを重畳表示したX線透過画像を映し出す。
【0032】
〔ステップS3〕表示モニタ7の画面上で被検体Mの関心部位Maが再構成エリアPaの内側であるか否かをチェックする。図11に示すように、関心部位Maが再構成エリアPaから外れている場合は、被検体Mを少し移動させてからステップS2へ戻る。そして、図5に示すように、関心部位Maが再構成エリアPaの内側にある場合はステップS4へ進む。
【0033】
〔ステップS4〕操作卓9によるカソール操作により、図6に示すように、X線CT画像作成対象の断面の位置Pe1〜Pe4を指定する。
【0034】
〔ステップS5〕操作卓9の操作によりX線CT撮影を開始する。
【0035】
〔ステップS6〕X線撮像部4をCT撮影モードで駆動してX線CT撮影を実行する。
【0036】
〔ステップS7〕パネル型X線センサ3から出力されるX線検出データに基づき画像再構成部6にてデータ処理が行われ、予め指定された断面の位置Pe1〜PeのX線CT画像が作成されて表示モニタ7の画面に映し出される。
【0037】
〔ステップS8〕次に撮影する関心部位があれば、天板1を移動して被検体Mの関心部位ををガントリ12の撮影位置へセットしてからステップS2へ戻る。撮影する関心部位が無ければX線撮影は終了となる。
【0038】
この発明は上記実施の形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)実施例の装置の場合、透過X線モードでは被検体Mの側方(ラテラル方向)からコーン状X線ビームを照射してX線透過画像を得て再構成エリアと一緒に表示する構成であったが、再構成エリアと一緒に表示するX線透過画像はコーン状X線ビームを被検体Mの側方から照射して得る画像に限られるものではない。例えば、コーン状X線ビームを被検体Mの上方から照射して、図12に示すように、表示モニタ7の画面に被検体Mの正面から撮影したX線透過画像を再構成エリアPaと重畳表示することもできる装置が、変形例として挙げられる。
【0039】
(2)実施例では、関心部位MaがひとつのX線透過画像に納まる大きさであったが、関心部位MaがひとつのX線透過画像に納まらない大きさの場合、図13に示すように、オーバーラップないし隣接する2か所で透過撮影モードによるX線透過画像をそれぞれ得るとともに、二つのX線透過画像の主要部分を結合して表示モニタ7の画面に再構成エリアと一緒に映し出して、関心部位Maと再構成エリアPaとの関係をチェックすることもできる構成となっている装置が、変形例として挙げられる。
【0040】
(3)この発明のX線CT装置のX線面検出器はフラットパネル型X線センサに限られるものではない。
【0041】
【発明の効果】
以上に詳述したように、請求項1の発明に係るX線CT装置によれば、X線CT撮影の際の再構成エリアが重畳表示された被検体のX線透過画像が画像表示手段に映し出される構成を備えているので、X線CT撮影を始める前に、撮影対象の関心部位が再構成エリアの中にあることを画像の上で予め確認してからX線CT撮影に取りかかれるようになる結果、所望の断面のX線CT画像を確実に得ることができる。
【0042】
また、請求項2の発明のX線CT装置によれば、X線CT画像を作成する断面の位置の指定可能範囲を示す再構成エリアが重畳表示されたX線透過画像の画面上で、X線CT画像を作成する断面の位置の指定が行える構成を備えており、オペレータは、再構成エリアを目印にしてX線CT画像を作成する断面の位置を適正かつ簡単に指定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のX線CT装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施例で用いられるコーン状X線ビームを説明するための模式図である。
【図3】実施例のX線CT装置のガントリを示す斜視図である。
【図4】実施例のX線CT装置のX線撮像部の動きを示す模式図である。
【図5】実施例において再構成エリアが重畳表示されたX線透過画像を示す図である。
【図6】実施例においてX線CT画像作成対象として指定された断面の位置が重畳表示されたX線透過画像を示す図である。
【図7】実施例で使われているパネル型X線センサの基本構成を示す平面図である。
【図8】パネル型X線センサの層構造を示す断面図である。
【図9】パネル型X線センサまわりの構成を示すブロック図である。
【図10】実施例装置によるX線撮影の状況を経時的に示すフローチャートである。
【図11】実施例における透過撮影モードにより撮影したX線透過画像を示す図である。
【図12】X線を上方から照射した時のX線透過画像を示す図である。
【図13】被検体の異なる2か所のX線透過画像を結合した画像を示す図である。
【図14】従来装置の撮像系の概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 …天板
2 …X線管
3 …フラットパネル型X線センサ(X線面検出器)
4 …X線撮像部
6a …画像再構成部
7 …表示モニタ
6 …データ処理部
6b …画像再構成部
6d …透過画像メモリ
6e …再構成エリア重畳部
6g …指定断面位置重畳部
CB …コーン状X線ビーム
M …被検体
Pa …再構成エリア
Pe1〜Pe4 …断面の位置
XD …X線検出素子
Claims (2)
- 天板上の被検体にコーン状X線ビームを照射するX線管およびX線検出素子が縦横に配列されている透過X線検出用のX線面検出器を具備するX線撮像手段と、X線撮像手段を駆動するX線系駆動手段と、CT撮影モードで駆動されるX線撮像手段のX線面検出器から出力される透過X線検出データに基づきX線CT画像作成用の再構成処理を行う画像再構成手段と、X線画像を表示する画像表示手段とを備えているX線CT装置において、CT撮影モードで駆動されるX線撮像手段のX線面検出器から出力される透過X線検出データに基づきX線透過画像を得て画像表示手段に表示する透過画像撮影手段と、透過画像撮影手段により得られるX線透過画像にX線CT撮影の際の再構成エリアを重畳表示する再構成エリア重畳手段とを備えていることを特徴とするX線CT装置。
- 請求項1に記載のX線CT装置において、再構成エリアが重畳表示されたX線透過画像の画面上でX線CT画像作成対象の断面の位置を指定する撮影断面指定手段をも備えているX線CT装置。
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