JP4883618B2 - 超解像理論によるデジタルパノラマx線撮影装置及び超解像断層画像構築方法 - Google Patents
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Description
また、フィルムカセットの代わりに、CCDセンサを用いて透過X線の像を、フィルム送り速度と同様にCCD電荷転送クロックの周波数を変化させることによって、所望のパノラマ画像を画像表示装置(例えば、CRTまたは液晶表示装置上に歯列弓に沿った全歯顎のX線断層画像として写し出すデジタルパノラマX線撮影装置が提案されている。「例えば、特許文献1、特許文献2参照」
解像力を上げるには、
1. CCDセンサのピクセルサイズを小さくする、
2. 管球焦点サイズを小さくする、
3. 焦点・被写体・CCDセンサの幾何学的配置を変更して拡大撮影を行う、
等の手段が考えられるが、技術的に未開発であったり、高価であったり、また、設置スペースが広くなるという問題がある。
しかし、この提案は画像の横方向の解像度のみを高めるものであり、縦方向の解像度を高めることはできなかった。
従来のデジタルパノラマ撮影装置は、単断層を撮影する原理であり、撮影原理は、本願人による歯科用パノラマ断層撮影装置で説明されている。次に多断層を撮影する原理は図1に示すように、X線を発生し被写体1に照射するX線源2と、被写体1を通過したX線を検出するX線撮像手段3と、被写体1を中心に位置させてX線源2とX線撮像手段3とを一定距離に相互に対向して固着し、前記被写体1の周りを旋回駆動手段4によって相対的に旋回させるものとし、撮影は旋回駆動手段4を回転軸とし、該回転軸を回転中心aとして1回転させる。この時、前記被写体1は、前記旋回駆動手段4の真下、すなわち、回転中心aに位置するものとする。(特開2004-375011号公報参照)
まず、図1に示すように、被写体1をX線源2とX線撮像手段3との間の中心位置に導入する。これらX線源2とX線撮像手段3は、円の直径方向に対向して配置し、旋回駆動手段4に回転自在に固着し、これらX線源2とX線撮像手段3の回転中心aに被写体1が位置し得るように配置する。撮影は旋回駆動手段4を回転駆動しながらX線源2からX線を照射し、被写体1を透過したX線をX線撮像手段3(CCDセンサ)で受け、得られたX線画像をA/D変換手段5によりA/D変換し、フレーム画像のデジタル電気信号に変換する。このA/D変換されたフレーム画像を大容量フレーム画像記憶手段6に記憶させるという手順をとる。
例えば、CCDセンサの画素サイズは1列のラインセンサで1ピクセル×横6ピクセルとし、CCDセンサの1画素サイズを100μmとして、回転半径300mm上に位置している被写体の撮影部位を360°の撮影角度で1画素ずつシフトしながら段歩的にまたは連続的に撮影すると、前記大容量フレーム画像記憶手段6に記憶されるフレーム画像枚数は以下のようになる。
(a)半径300mmの円周は2πr=1884mmとなる。
ここで、得られるフレーム枚数をnとし、1画素づつシフトさせて撮影を行うと、CCDセンサの1画素の画素サイズが100μmであるため、半径300mm上で得られるフレーム枚数nは、n=1884000μm/100μm=18840枚となる。
今、必要とするのは『フレーム飛び越し法』によって、必要とする断層像の回転中心aからの距離、つまり回転半径rを決定し、決定した回転半径rに位置する断層像から微少間隔の距離±△rで、なおかつ微少間隔で得られる断層像間が一定間隔である±△r上の断層像を取得することである。
ここでは、一例として、必要とする断層像の回転半径rを50.0mmに設定し、CCDセンサの1画素サイズよりも小さい間隔のフレーム移動によって、微少間隔かつ一定間隔の距離での画像構築を行い、半径50.0mm近傍のr±△r上に位置する断層像の構築を行う。
この画像メモリ上に変換されたフレーム画像のうち、復調用周波数格子に覆われたピクセル部分の画像情報を消去する。逐次送られてくる各フレーム画像について上述の処理を行った後、順次書き込み加算合成し、1枚のパノラマ像を形成する。このようにして得られた最終画像は、大容量メモリ上に高解像度のパノラマ像が得られることになる。
従って、本発明では超解像理論を用いた画像の縦方向の解像力向上を図るようにしたデジタルパノラマX線撮影装置を提供せんとするものである。
すなわち、本来は図24に示すような横縞模様の変調用周波数格子を用いて、回転方向に対し垂直に変調用周波数格子を移動させなければならないが、回転方向に対して垂直に変調用周波数格子を矢印の方向に上下移動させることは実際には困難である。そこで、角度θを有する斜め縞変調用周波数格子を用いることによって、見かけ上は回転方向に対して垂直に移動したことになり、画像の縦方向(Y軸方向)の高解像化を達成することができる。
図13は本発明デジタルパノラマX線撮影装置の超解像断層画像を作成する装置を示す。
図中、11は被写体を示し、その頭部12のほぼ両側に、即ち、頭部を回転中心とし直径的に対向する位置に、X線を発生するX線源13および被写体11の頭部12を通過したX線を検出するX線撮像手段14を配設し、これらX線源13およびX線撮像手段14を固定枠15により固定し、該固定枠15の中央上部に回転軸16を介して旋回駆動手段17を設けて前記X線源13およびX線撮像手段14を回動自在に旋回せしめるようにする。また、X線撮像手段14には、そのX線入射面に、即ち被写体11の頭部12と対向する箇所に変調用周波数格子手段18を設ける。この変調用周波数格子手段の格子は回転方法をX軸とすると、このX軸に直交するように配置するものとする。X線撮像手段14の出力画像情報はA/D変換手段19を介して大容量フレーム画像記憶手段20に供給する。この大容量フレーム画像記憶手段20の後段には復調画像処理手段21、大容量復調処理画像記憶手段22、全画像表示記憶手段23および出力画像表示手段24を夫々順次に接続する。
すなわち、変調用周波数格子手段18と復調用周波数格子(アルゴリズム)を移動させることによって、モアレ像を平均化し消去しなければならないので、周波数格子の移動は絶対に必要な条件となる。しかし、パノラマ撮影においては、CCD画像面には時々刻々画像が流れ、相対的には格子を移動させていることと等価である。このことからパノラマ撮影においては格子移動の必要はなく、そのままフレーム画像の加算による画像合成を行えばモアレ像は消去されることになる。
図17は、パノラマX線撮影系について2つのスペクトル曲線を示す。図中、O(ω)は被写体のスペクトル、E(ω)は撮影系のスペクトル、即ち、撮影系の周波数伝達特性であるMTF曲線を表す。ここで撮影系のcut-off周波数をμ0とする。
図18に示すように、この撮影系で被写体を撮影すると、写し出される画像のスペクトルはO(ω)×E(ω)となる。そこには被写体の周波数成分のうち、μ0より高い周波数の伝達は存在しない。
図20は、被写体のスペクトル (μM)に変調用周波数格子(μm)を重ねた像のスペクトルを求めたものである。現れるスペクトルは、μM、μmの周波数以外に両者の和と差の周波数、即ち、(μM + μm)と(μM - μm)の周波数成分が側帯波として出現する。
(μM - μm)< μ0 ≦ μm、μM、(μM + μm)
であることから、cut-off周波数(μ0)より小さい(μM -μm)のみが撮影系を通過することができ、画像として写し出されることになる。μm、μM、(μM + μm)はμ0より高周波数領域にあるため、これを撮影しても画像にはならない。(μM - μm)画像はモアレ像として出現する。
図22に示すように、図21で出現した(μM - μm)のモアレ像に復調用周波数格子(μm)を重ねた像のスペクトルには、
μm 、[(μM - μm)- μm]および[(μM - μm)+ μm]が出現する。
このうち[(μM - μm)+ μm] = μM、即ち、被写体とした周波数(μM)が、撮影系の周波数伝達特性(MTF)の範囲(cut-off周波数(μ0)を超えて、画像として出現することになる。しかし、ここに(μM - 2μm)の周波数に相当するモアレ像が重なって出現している。
変調用周波数格子は、X線減弱特性の大きい物質である鉛を例にあげたが、一般的にX線の遮蔽物に使用される物質を用いることも可能である。
12 頭部
13 X線源
14 X線撮像手段
15 固定枠
16 回転軸
17 旋回駆動手段
18 変調用周波数格子手段
19 A/D変換手段
20 大容量フレーム画像記憶手段
21 復調画像処理手段
22 大容量復調処理画像記憶手段
23 全画像表示記憶手段
24 出力画像表示手段
Claims (5)
- X線を発生し被写体に照射するX線源と、該被写体を通過したX線を検出するX線撮像手段と、被写体を中心に位置させて前記X線源と前記X線撮像手段とを一定距離互に対向して固定し、前記被写体の周りを旋回させる旋回駆動手段と、該X線撮像手段の前面に取り付けられた角度θを有する斜め縞変調用周波数格子手段と、該変調用周波数格子手段を通して前記X線撮像手段で得られた、変調された画像情報(被写体像)をフレーム画像として記憶する大容量フレーム画像記憶手段と、該大容量フレーム画像記憶手段から変調されたフレーム画像を抽出し前記変調されたフレーム画像の復調を、デジタル処理によって行う復調画像処理手段と、該復調画像処理されたフレーム画像をフレームごとに一定距離ずらせて重ね合わせを行い、これを記憶する大容量復調処理画像記憶手段と、該大容量復調処理画像記憶手段の処理されたフレーム画像を画像表示し記憶する全画像表示記憶手段と、該全画像表示記憶手段の全画像を出力する出力画像表示手段とを備えるデジタルパノラマX線撮影装置を用いて、多数の断層像を構築するに当たり、撮影時に、該変調用周波数格子手段により変調された被写体画像情報を有するn枚のフレーム画像を前記大容量フレーム画像記憶手段に記憶しておき、該大容量フレーム画像記憶手段に記憶されているn枚の変調されたフレーム画像から、断層像生成のために所望のフレーム画像を取り出し、該取り出されたフレーム画像から、超解像断層像生成のために、1画素(1ピクセル)よりも小さいピクセル数に拡張したフレーム画像を作成し、該拡張したフレーム画像に対し、変調用周波数格子の正確な位置、すなわち、変調用周波数格子と復調用周波数格子を同位相とし、変調用周波数格子のX線遮へい部分に相当するフレーム画像の画素部分を消去して画像情報のない状態とし、該消去した画素以外の空き画素にはフレーム画像情報を書き残す処理を行って復調画像処理を施し、n枚のフレーム画像に対しこの消去処理を順次行い、斯様に処理されたフレーム画像を該大容量復調処理画像記憶手段上でCCDセンサの1画素(1ピクセル)よりも小さい範囲のフレーム画像の微少ずらし処理を施した後に、加算合成し、これによって、構築された当該断層面の回転半径から微少間隔毎の回転半径の超解像断層像を各々構築することを特徴とする超解像断層画像構築方法。
- 前記大容量フレーム画像記憶手段に記憶されているn枚のフレーム画像の平面上のデータを曲面上での円弧データに変換し、該変換された円弧データにフレーム飛越し法およびフレーム微少移動法による断層像構築処理を施して画像を鮮明化することを特徴とする請求項1に記載の超解像断層画像構築方法。
- X線を発生し被写体に照射するX線源と、該被写体を通過したX線を検出するX線撮像手段と、被写体を中心に位置させて前記X線源と前記X線撮像手段とを一定距離に相互に対向して固定し前記被写体の周りを旋回させる旋回駆動手段と、該X線撮像手段の前面に取り付けられた角度θを有する斜め縞変調用周波数格子手段と、該変調用周波数格子手段を通して前記X線撮像手段で得られ、変調された画像情報(被写体像)をフレーム画像として記憶する大容量フレーム画像記憶手段と、該大容量フレーム画像記憶手段から変調されたフレーム画像を抽出し前記変調されたフレーム画像の復調を、デジタル処理によって行う復調画像処理手段と、該復調画像処理されたフレーム画像をフレームごとに一定距離ずらせて重ね合わせを行い、これを記憶する大容量復調処理画像記憶手段と、該大容量復調処理画像記憶手段で処理されたフレーム画像を画像表示し記憶する全画像表示記憶手段と、該全画像表示記憶手段の全画像を出力する出力画像表示手段とを設けたデジタルパノラマX線撮影装置において、撮影時に、該変調用周波数格子手段により変調された被写体画像情報を有するn枚のフレーム画像を前記大容量フレーム画像記憶手段に記憶する手段と、該大容量フレーム画像記憶手段に記憶されているn枚の変調されたフレーム画像から、断層像生成のために取り出したあるフレーム画像を、1画素(1ピクセル)よりも小さいピクセル数に拡張したフレーム画像を作成する手段と、該拡張したフレーム画像に対し、変調用周波数格子の正確な位置、すなわち、変調用周波数格子と復調用周波数格子を同位相とし、変調用周波数格子のX線遮へい部分に相当するフレーム画像の画素部分を消去して画像情報のない状態とし、該消去した画素以外の空き画素にはフレーム画像情報を書き残す処理を行う復調画像処理手段を設け、n枚のフレーム画像に対しこの消去処理を順次行い、斯様に処理されたフレーム画像を前記大容量復調処理画像記憶手段上でCCDセンサの1画素(1ピクセル)よりも小さい範囲のフレーム画像の微少ずらし処理を施した後に、加算合成を行うことにより構築した当該断層面の回転半径から微少間隔毎の回転半径上の超解像断層像を各々構築する手段とを備えることを特徴とする超解像理論によるデジタルパノラマX線撮影装置。
- 前記X線撮像手段は、CCDセンサ、TFTセンサ、MOSセンサ、XII(Xray Image intensifier)センサ、FPD(Flat Panel Detector)センサ、CdTeセンサ等から選択されたセンサを備えることを特徴とする請求項1に記載の超解像断層画像構築方法。
- 前記X線撮像手段は、CCDセンサ、TFTセンサ、MOSセンサ、XII(Xray Image intensifier)センサ、FPD(Flat Panel Detector)センサ、CdTeセンサ等から選択されたセンサを備えることを特徴とする請求項3に記載の超解像理論によるデジタルパノラマX線撮影装置。
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