JP4277070B2 - 薄板用搬送コンテナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、薄板用搬送コンテナに関し、詳しくは、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、シリコンウエハーあるいはガラス板などの薄板を収容する薄板用搬送コンテナに関し、特に箱体に組立てて前記薄板を収容し、また、前記薄板を収容しないときには折畳んでおける薄板用搬送コンテナに関する。
【0002】
【従来技術】
従来、この種の薄板用搬送コンテナは、箱体に形成し、前記箱体内にガラス板のような薄板を収納し、前記薄板を収容しないときには折畳んで平板状にしておくことができるようになっており、さらに段積みが可能に構成されている(例えば特許文献1)。
【0003】
具体的には、上述した従来の薄板用搬送コンテナは、方形の底板と、前記底板の四隅に固着立設した垂直切り欠き部及び水平切り欠き部からなるカギ形案内溝を備えた4本の脚部と、前記脚部間を連結する横桟及び縦桟からなる架台枠と、前記カギ形案内溝に係合する係合突起を有し、前記カギ形案内溝に沿って前記脚部に摺接する支柱と、前記支柱間で上下にスライド移動することにより着脱自在な一対の側板と、前記支柱に固着した前板及び背板と、前記4本の支柱又は脚部の最上端に係合可能で、四隅上部に半球状の突起部を備えた着脱自在な蓋部とからなるコンテナパレットにおいて、前記案内溝の水平切り欠き部の位置で係合する係合突起を支点として前板を背板とともに内側に回動してこれらを水平状態にし、予め取り外してあった一対の側板を前記前板及び背板の上に載置した後、4本の脚部の最上端に蓋部を載置して折畳み可能に形成して成る。
【0004】
【特許文献1】
特許第3266469号(段落番号[0014]以降の文書、特に段落番号[0022]〜[0024]、図1、図2、図5及び図6)
このような従来の薄板用搬送コンテナは、薄板を収容してこれを安全に搬送することができ、かつ、薄板を搬送しないときには場所を取らないように薄板用搬送コンテナ自体をコンパクトに折畳んでおくことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の薄板用搬送コンテナによれば、前記支柱に固定された前板及び背板を水平切り欠き部で係合する係合突起を支点として前板及び背板を内側に回動させてこれらを水平状態にするために煩雑な作業を多く必要とし、しかも円滑な回動動作をさせるために前記カギ溝と係合突起とのメンテナンスが必要であるという欠点があった。
【0006】
さらに、上記従来の薄板用搬送コンテナによれば、薄板の間に緩衝材を置くものであるため、搬送中に薄板が破損するという恐れがあり、また、コンテナを構成する前板、背板、一対の側板、底板などに木質系板材を使うために消耗してしまい、長年にわたって薄板用搬送コンテナを繰り返して使うことができないという欠点もあった。
【0007】
この発明は、上述した従来技術の欠点を解消し、簡単な構造で、かつ組立て及び折畳みが簡単な作業ででき、かつ、長年にわたって使用できる薄板用搬送コンテナを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決しようとする手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明に係る薄板用搬送コンテナは、
薄板を収容する箱体に組立て可能、又は平板状に折畳み可能とし、かつ組立て時あるいは折畳み時に段積み可能とした薄板用搬送コンテナにおいて、
前記薄板用搬送コンテナが、
矩形状パレットと、
前記矩形状パレットの上面の四隅に固着立設され、かつ複数のL字型ガイドが形成された所定の長さの支柱と、
前記支柱の前記複数のL字型ガイドに係合する係合部によって着脱自在な一対の側板と、
前記支柱間に着脱可能な前板及び背板と、
(1)前記一対の側板の内面、並びに/又は(2)前記前板の内面及び前記背板の内面に配置され、かつ薄板の側端部を収容する溝が形成されてなる少なくとも一対の薄板保持用樹脂製緩衝材、薄板の下端部を支持する支持用樹脂製緩衝材及び薄板の上端部に接する押さえ用樹脂製緩衝材と、
前記一対の側板、前板及び背板の上端面、又は前記支柱に着脱可能に係合する蓋部とを有し、
前記矩形状パレット、前記一対の側板、前記背板、前記前板、及び蓋部はいずれも金属製部材からなり、
前記支柱の高さは、少なくとも一対の側板、前板、背板及び一対の薄板保持用樹脂製緩衝材の厚みの合計に実質的に相当する寸法に設定されて成ることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、前記請求項1に記載の薄板用搬送コンテナにおいて、前記薄板保持用樹脂製緩衝材が、薄板の側端部を収容する溝が形成されてなる面に対する裏面に水平方向に連続する複数の凸状リブを形成してなる緩衝材であって、前記緩衝材の前記凸状リブを形成してなる面同士で重ねた際に、一方の緩衝材の凸状リブが他方の緩衝材の凸状リブの間に収容可能に形成されて成ることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の薄板用搬送コンテナにおいて、前記蓋部の上面における四隅には、前記パレットの下面における四隅又は脚部を収容可能な受け部が設けられてなることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明では、前記薄板用搬送コンテナは、組立てた状態あるいは折畳んだ状態のときに、前記蓋部と共に前記薄板用搬送コンテナ全体を結締手段で結締されて成ることを特徴とする。
【0012】
また、前記矩形状パレットの上面に樹脂製緩衝材を固定する突起を設けるようにしてもよい。この場合には、荷重の一番かかる緩衝材を、振動により位置がずれない構造にすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(薄板用搬送コンテナの構造)
図1ないし図14を参照しながら、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナの構造を説明する。
【0014】
図1に示されるように、薄板用搬送コンテナ1は、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、シリコンウエハー、ガラス板などの薄板を収容することのできる箱体2であって、かつ、箱体2に組立てて前記薄板の収容に使用することができ、あるいは、薄板を収容しないときには箱体2を構成する部材を折畳んで平板状にすることができ、かつ組立て時及び折畳み時のいずれにおいても段積み可能となっている。この箱体2は、前記薄板を収容した状態で搬送することも可能である。
【0015】
前記薄板用搬送コンテナ1を構成する箱体2は、次のように構成されている。すなわち、矩形状に形成されたパレット3は、図1、図2、図3及び図8に示すように、金属製上板3aと金属製底板3bの間に所定寸法の金属製角パイプからなる脚材3cを金属製上板3aと金属製底板3bとの四隅を含んで規則的に配置することにより所定の厚み寸法に形成され、かつ、金属製上板3aと金属製底板3bとの間にフォークリフトなどの搬送装置が有する爪(フォークとも称される。)を挿入することによって容易に移動可能に形成されている。
【0016】
前記パレット3の上面の四隅には、図2に示すように、所定の長さを有する支柱4が固着立設されている。また、前記各支柱4には、図3に示すように、その所定の位置に垂直切り欠き部5Vと水平切り欠き部5Hとからなる複数のL字型ガイド5が穿設して形成されている。前記水平切り欠き部5Hは一方が開口され、他方が垂直切り欠き部5Vの上端部に連続して穿設されている。0
前記一対の支柱4,4には、図1及び図4に示されるように、一枚の側板6が係合される。また、前記一対の支柱4,4に対峙する他方の一対の支柱4,4には、他の一枚の側板6が係合される。その結果、一対の支柱4,4により係合立設された一枚の側板6は、前記一対の支柱4,4に対峙する他方の一対の支柱4,4により係合立設された他の一枚の側板6と相対向して金属製上板3a上に、立設する。前記一対の側板6,6は、前記パレット3に立設された支柱4,4の間の長さでかつ所定の高さの板状に形成されている。
【0017】
また、前記側板6の側面下部には、図3に示すように、前記支柱4の前記L字型ガイド5に係合するコ字状係合部7が設けられている。このコ字状係合部7は、コ字状に一体に形成されているので、上下一対のピンをもって係合部とするよりも部品点数が少なくなり、しかも衝撃に対して容易に変形することがない。前記側板6の側面に設けられたコ字状係合部7の上側係合部分7a,下側係合部分7bは、前記側板6のコ字状係合部7を前記L字型ガイド5に係合し、かつ前記側板6の底側端面が前記パレット3の上面に位置したときに、前記各垂直切り欠き部5V,5Vの底部に配置される位置になるように設けられている。
【0018】
また、前記側板6の支柱4,4側には、図4に示すように、図示縦方向に上から下まででかつ所定の深さの板体収容溝8,8がそれぞれ形成されている。前記側板6の一方(前面側)の板体収容溝8と、前記側板6に対峙する他方の側板6の一方(前面側)の板体収容溝8との間に、前板9が着脱可能に配置される。つまり、一方の支柱4に設けられている板体収容溝8に前記前板9の一方の側端部が嵌め込まれるように、また、前記支柱に対峙する他方の支柱4に設けられている板体収容溝8に前記前板9の他方の側端部が嵌め込まれるように、前板9を上から下に下ろすと、両支柱4,4の間に前板9が立設状態と成って装着され、立設状態と成って装着されている前板9を上方に移動させると、両支柱4,4間から前板9を外すことができる。なお、前記前板9は、立設配置された一対の側板6,6における一方の側板6の板体収容溝8から他方の側板6の板体収容溝8までの横幅、及び側板6の高さと同じ高さの寸法を有する板状に形成されている。
【0019】
同様に、前記側板6,6の他方(背面側)の板体収容溝8,8に、背板10が上下に移動することにより、背板10が着脱可能に装着される。したがって、前記背板10は、支柱4,4の間で上方に移動させると支柱4,4から取り外すことができる。前記背板10は、立設配置された一対の側板6,6における一方の側板6の板体収容溝8から他方の側板6の板体収容溝8までの横幅と側板6の高さと同じ高さとの寸法を有する板状に形成されている。なお、図4に示されている突起30は、前板9の内面に配置する薄板保護用樹脂製緩衝材が内側に倒れないようにするための留め部材である。
【0020】
前記前板9及び背板10の内面の所定の位置には、例えば図8に示すように、一対の薄板保持用樹脂製緩衝材11,11が配置されている。なお、この発明においては、薄板保持用樹脂製緩衝材の配設位置としては、この例におけるように、前記前板9及び背板10の内面に限られず、例えば前記一対の側板6,6の相対向する内面も配設位置とすることができる。したがって、薄板保持用樹脂製緩衝材を配設する態様として、
(a)一対の薄板保持用樹脂製緩衝材11,11が前記前板9及び背板10の相対向する内面に配設されるが、前記一対の側板6,6の相対向する内面には配設されない態様、
(b)一対の薄板保持用樹脂製緩衝材11,11が前記一対の側板6,6の相対向する内面に配設されるが、前記前板9及び背板10の相対向する内面には配設されない態様、
(c)一対の薄板保持用樹脂製緩衝材11、11が前記前板9及び背板10の相対向する内面、並びに前記一対の側板6,6の相対向する内面の、合計四つの内面に配設される態様、
(d)一対の薄板保持用樹脂製緩衝材11、11が前記前板9及び背板10の相対向する内面、並びに前記一対の側板6,6の相対向する内面の内の何れか一方の内面の、合計三つの内面に配設される態様、
(e)一対の薄板保持用樹脂製緩衝材11,11が前記一対の側板6,6の相対向する内面、並びに前記前板9及び背板10の相対向する内面の内の何れか一方の内面の、合計三つの内面に配設される態様、
等が、挙げられる。
【0021】
前記薄板保持用樹脂製緩衝材11の一方の面側には、図5及び図8に示すように、薄板Cを保持しつつ収容する縦の溝(縦溝)11aが一定間隔で複数形成されている。なお、この発明においては、前記溝は、一対の相対向して配置される薄板保持用樹脂製緩衝材の相対向面に溝が形成されていることにより、この溝に薄板の端部それぞれを収容して一対の薄板保持用樹脂製緩衝材で薄板を保持することができる限り特に制限がなく、薄板を縦に保持するときには前述の用に縦溝が薄板保持用樹脂製緩衝材の片面に形成され、また薄板を横にして保持するときには横溝が薄板保持用樹脂製緩衝材の片面に形成され、更には薄板を若干斜めにして保持するときには斜め方向の溝が薄板保持用樹脂製緩衝材の片面に形成される。さらに、薄板保持用樹脂製緩衝材は、一対の薄板保持用樹脂製緩衝材の相対向する内面に縦又は横に形成された溝で薄板を保持することができるのであれば、前記一対の側板の内面、前板の内面及び背板の内面の四つの内面のうち、薄板を保持する一対の薄板保持用樹脂製緩衝材が配設された内面を除く残りの内面に配設される薄板保持用樹脂製緩衝材の内面には特に溝を形成する必要はない。
【0022】
さらに、前記薄板保持用樹脂製緩衝材11の他方の面(裏面)側には、例えば図5に示すように、水平方向に連続する複数の凸状リブ11c,凹状リブ11bが形成されている。前記箱体2を折畳んで各部材をパレット3の上に重ねて並べる際に、例えば図14に示されるように、一方の薄板保持用樹脂製緩衝材11における裏面の凸状リブ11cが他方の薄板保持用樹脂製緩衝材11の凸状リブの間(凹状リブ11b)に収納できるようになっている。このような構成に成っていると、薄板Cを搬送する際に、薄板保持用樹脂製緩衝材11は軽量で強度の大きなものとなり、一方、折畳んで搬送する際には重ね合わせた薄板保持用樹脂製緩衝材11の厚みを小さくすることができ、薄板用搬送コンテナ1をコンパクトにすることができる。前記凸状リブは、中実である必要はなく、本発明の目的を阻害しない限り、凹状等の各種形状をなす切り欠き又は空洞の肉抜き部を有していてもよい。
【0023】
なお、前記パレット3の一部を構成する金属製上板3aの上面における所定の位置には、前記薄板保持用樹脂製緩衝材11,11によって両側端が保持された薄板Cの下端部を支持して、薄板Cの下端部が直接に前記金属製上板3aの上面に当接しないようにする支持用樹脂製緩衝材14が、配置される。薄板Cの下端部を保護する樹脂製緩衝材としての前記支持用樹脂製緩衝材14は、前記薄板保持用樹脂製緩衝材11とは大きさ及び形状が異なるが、前記薄板保持用樹脂製緩衝材11と同様な材質で形成される。
【0024】
さらに、上述したように前記一対の側板6,6、前板9及び背板10を組立てたときには、それらの上端面に着脱可能に被嵌される蓋部13が設けられている。また、前記蓋部13における内面すなわち前記金属製上板3aに向かう面の所定の位置には、薄板Cの上部に接する押さえ用樹脂製緩衝材12が配置されるようになっている。この押さえ用樹脂製緩衝材12も前記薄板保持用樹脂製緩衝材11とは大きさ及び形状が異なるが、前記薄板保持用樹脂製緩衝材11と同様の材質で形成される。この押さえ用樹脂製緩衝材12は、金属製上板3a上の所定位置に配置された支持用樹脂製緩衝材14とで、一対の薄板保持用樹脂製緩衝材11,11における溝11aで両端が保持された薄板Cが上下にガタつくことが防止され、かつ箱体2内における薄板Cの安定的収容が確保される。
【0025】
この蓋部12は、その下面が前記4本の支柱4の頂部に当接するように、この支柱4に着脱自在に被嵌係合するようになっている。
【0026】
前記パレット3、前記一対の側板6,6、前記前板9、前記背板10及び蓋部13はいずれも金属製部材から構成される。
【0027】
図12及び図13に示されるように、例えばパレット3における金属製上板3aの上に2枚の押さえ用樹脂製緩衝材12を並べ、この押さえ用樹脂製緩衝材12の上に一対の側板6,6を重ね、この側板6の上に支持用樹脂製緩衝材14及び薄板保持用樹脂製緩衝材11を並べ、薄板保持用樹脂製緩衝材11の上に背板10、もう一方の薄板保持用樹脂製緩衝材11及び前板9をこの順に重ね、最後に蓋部13を支柱4に取り付けた場合に、蓋部13の下面が、重ねた部材の上面とほぼ一致するように、前記支柱4の高さが設定される。そして、このような寸法に支柱4の高さが設計されているから、薄板用搬送コンテナを折畳んだ状態にあっては、パレット3と蓋部13との間に並べられ、重ねられた各部材が搬送中に移動することなく、パレット3と蓋部13とで挟持された状態となる。なお、本発明において、支柱の高さが、少なくとも一対の側板、前板、背板及び一対の薄板保持用樹脂製緩衝材の厚みの合計に実質的に相当する寸法に設定されるのは、薄板用搬送コンテナを折畳んだ状態において、パレット3上に配置され、重ねられた各部材がガタつきなく蓋部13とパレット3との間に存在せることを目的とするものであり、かかる目的が達成される限り、支柱の高さと少なくとも一対の側板、前板、背板及び一対の薄板保持用樹脂製緩衝材の厚みの合計とに若干の相違があってもそれは「実質的に相当」する範囲と言える。
【0028】
さらに、前記パレット3を構成する一部材である金属製上板3aの上面における所定の位置には、図2に示すように、前記押さえ用樹脂製緩衝材12を固定し、位置決めする突起15,15を所定間隔で設けてなる。
【0029】
前記蓋部13の上面四隅には、図6及び図7に示すように、前記パレット3の下面における四隅又は脚部を収容可能な受け部16が設けられている。前記受け部16は、図6及び図7に示すように、三角平面形状をした固定片16aと、前記固定片16aの直角を挟む2つの側辺部分から起立した所定高さの起立片16b,16bとから構成されている。前記起立片16bは、図7に示すように、固定片16aの側辺部分から外側に向けて所定角度傾けて構成されている。このような構成が採用されていると、段積みの際に、パレットの下面における四隅又は脚部が少々ずれても前記起立片16bに誘導されて薄板用搬送コンテナの配置位置が整う。さらに、輸送中であっても振動により位置ずれすることがない。
【0030】
前記薄板用搬送コンテナは、図9に示すように、例えば1つ又は複数の、結締手段の一例であるひも17がピン18によって固定されている。パレット3上に一対の側板6,6、前板9及び背板10を組立てかつ蓋部13をした状態、あるいは、折畳んで一対の側板6,6、前板9、背板10及薄板保持用樹脂製緩衝材11、薄板Cの下端部を支持する支持用樹脂製緩衝材14、薄板Cの上端部に当接する押さえ用樹脂製緩衝材12及び蓋部13を平らに積み重ねてなる折畳み状態のときに、前記ひも17は、前記状態が崩れて分離散逸しないように、前記各部材を一体に締め付ける。なお、この発明において、結締手段は、前記機能を発揮することができる限り様々の態様を採ることができる。例えば、結締手段として前記ひもの代わりに、ベルト、鎖、チェーン等を採用することができ、いずれを採用するかは任意である。
【0031】
なお、この発明における一対の薄板保持用樹脂製緩衝材11,11、支持用樹脂製緩衝材14及び押さえ用樹脂製緩衝材12は、発泡体であっても非発泡体であっても良い。この発明における樹脂製緩衝材が非発泡体である場合、そのような樹脂製緩衝材として、例えば射出成形品、ブロー成形品、異型押出成形品等を挙げることができる。樹脂製緩衝材が発泡体である場合、そのような樹脂製緩衝材として、例えば射出発泡成形品、ブロー発泡成形品、異型押出し発泡成形品、発泡粒子型内成形体等を挙げることができる。前記した中でも、樹脂製緩衝材としては、軽量である観点から、発泡体が好ましく、発泡体の中でも高倍率化や複雑な形状が容易であり、しかも緩衝性に優れるという観点から、発泡粒子型内成形体が好ましい。
【0032】
前記樹脂製緩衝材を構成する樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)及びポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート及びポリアクリレート等のポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6及びナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、並びに、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及びフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等の単体又は2以上の混合物を挙げることができる。
【0033】
前記各種の樹脂の中でも、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、並びにフッ素系樹脂が、柔軟性を付与する点において好適な樹脂である。前記薄板がガラス板であるときには、ガラス板と樹脂製緩衝材との摩擦により「かす」が発生し難いという観点からすると、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びフッ素系樹脂が好適である。
【0034】
前記ポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分を50モル%以上の割合で含有する樹脂であるのが好ましく、例えば分岐状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−ブテンブロック共重合体、エチレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋したエチレン系アイオノマー系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体、プロピレン−アクリル酸共重合体、及びプロピレン−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また、前記ポリオレフィン系樹脂にスチレン等のビニルモノマーを含浸させてグラフト重合させて得られるグラフト変性ポリオレフィン系樹脂を樹脂製緩衝材に使用することができる。
【0035】
前記樹脂製緩衝材は、例えばポリオレフィン系樹脂を過酸化物等の架橋剤又は紫外線等の放射線により架橋してなる架橋樹脂であっても良い。もっとも、架橋樹脂と無架橋の樹脂とを比較すると、生産工程が簡易であり、しかもリサイクルが可能であるという点で、無架橋の樹脂が好ましい。
【0036】
前記フッ素系樹脂で樹脂製緩衝材を構成する場合、そのフッ素系樹脂は、50重量%以上の割合でポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体等を含有する樹脂であるのが好ましい。
【0037】
樹脂製緩衝材は、前記各種の樹脂と共に各種の添加剤を含有することができる。前記添加剤としては、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、気泡調整剤、収縮防止剤、及び導電性付与剤等を挙げることができる。
【0038】
この発明における一対の薄板保持用樹脂製緩衝材11,11、支持用樹脂製緩衝材14、及び押さえ用樹脂製緩衝材12は、温度変化による寸法の変化、及び樹脂製緩衝材の寸法精度等を向上させるためには、金属製の枠に嵌められていることが、好ましい。
【0039】
この発明に係る薄板用搬送コンテナにおける薄板保持用樹脂製緩衝材11が、以下の式(1)、(2)及び式(3)を満たす寸法を有するように設計された複数の薄板保持用樹脂製緩衝材が用意されていると、薄板用搬送コンテナの寸法を変えることなく、薄板Cの長手方向の寸法が異なる複数種の薄板Cを適宜に選択してこの薄板用搬送コンテナに収容し、搬送することができる。
【0040】
Tb=(Ta+×/2)(単位:mm) ・・・(1)
Tc=2×Ta(単位:mm) ・・・(2)
Td=X(単位:mm) ・・・(3)
ただし、Tb(mm)は、その薄板用搬送コンテナに収容しようとする薄板Cの中でも長手方向の長さがもっとも短い薄板Cを保持する薄板保持用樹脂製緩衝材の厚み(最大厚み)であり、Ta(mm)は、その薄板用搬送コンテナに収容しようとする薄板Cの中でも長手方向の長さがもっとも長い薄板Cを保持する薄板保持用樹脂製緩衝材の厚み(最大厚み)であり、X(単位:mm)は長手方向の長さがもっとも長い薄板Cと長手方向の長さがもっとも短い薄板Cとの差であり、Tc(mm)は薄板の長手方向の長さがもっとも短い薄板を保持する薄板保持用樹脂製緩衝材をその裏面に形成された凸状リブ同士が接するように重ねたときの合計厚みであり、Tdは長手方向の長さがもっとも短い薄板C用の薄板用樹脂製緩衝材であってその裏面に形成された凹状リブの深さ(mm)である。なお、最大厚みとは、平らな平面に薄板保持用樹脂製緩衝材を水平に載置したときの厚み方向の最大値を言う。また、長手方向の長さがもっとも長い薄板CL用の薄板保持用樹脂製緩衝材は、その裏面に水平方向に連続する複数の凸状リブを形成したものであっても構わない。
【0041】
この発明における金属製部材としては、異型品であることが剛性及び軽量性の点において優れているので好ましい。異型品は、従来から公知の成形方法例えばプレス成形、及び押出し成形等の成形方法により製造されることができる。
【0042】
金属製部材における金属としては、例えばアルミニウム、ステンレス、及び鉄等を挙げることができる。これらの中でも、軽量で異型押出品を容易に得ることができ、しかも加工性に優れるという観点からすると、アルミニウムが好ましい。なお、この発明において、アルミニウムは、アルミニウム単体及びアルミニウム合金を含む概念である。
【0043】
(薄板用搬送コンテナの組立てと薄板の収容)
このような薄板用搬送コンテナ1の組立て、あるいは、折畳むことについて、図1〜図14を参照しながら説明する。
【0044】
一枚の側板6が持ち上げられる。前記パレット3の上面における隅部に立設配置された一対の支柱4,4に形成された各L字型ガイド5の水平切り欠き部5Hに、持ち上げられた前記側板6の側端部に設けられたコ字状係合部7における上側係合部分7a及び下側係合部分7bを合わせる。つまり、上部の水平切り欠き部5Hと上側係合部分7aとの位置合わせ、及び下部の水平切り欠き部5Hと下側係合部分7bとの位置合わせを、行う。その後、前記側板6を水平方向に移動させ、前記上側係合部分7a及び下側係合部分7bを上下の前記L字型ガイド5の水平切り欠き部5Hの最深部に移動させる。前記上側係合部分7a及び下側係合部分7bが前記L字型ガイド5の水平切り欠き部5Hの最深部に達したところで、前記側板6を下方に移動させ、前記上側係合部分7a及び下側係合部分7bをL字型ガイド5の垂直切り欠き部5Vの最深部に移動させる。これにより、一方の側板6が独立して起立した状態になる。
【0045】
同様に、上記一対の支柱4,4に対峙する他方の一対の支柱4,4についても、他方の側板6を固定する。これにより、他方の側板6が独立して起立した状態になり、一方の側板6と他方の側板6とが相対向した状態となる。
【0046】
次に、前板9を持ち、前記側板6の一方(前面側)の板体収容溝8と前記側板6に対峙する他方の側板6の一方(前面側)の板体収容溝8との間に前板9を上から差し込み、その前板9を下方に移動させる。これにより、前記板体収容溝8に前板9の側端部が収納された状態となって、前板9は、支柱4,4の間に立設配置される。
【0047】
同様に、背板10を持ち、前記側板6,6の他方(背面側)の板体収容溝8,8に背板10を差し込み、背板10を垂直下方に移動させる。これにより、前記板体収容溝8に背板10の側端部が収納された状態となって、背板10は、支柱4,4の間に立設配置される。
【0048】
ついで、前板9及び背板10の内面に、薄板保持用樹脂製緩衝材11,11を配置する。
【0049】
さらに、パレット3の上の突起15,15に支持用樹脂製緩衝材12を配置する。この状態が完了すると、図8に示すように、パレット3における金属製上板3aと一対の側板6,6と前板9と背板10とで形成された有底箱体と、その有底箱体内において金属製上板3aの上面に配置された支持用樹脂製緩衝材12、前板9及び背板10の内面に取り付けられた薄板保持用樹脂製緩衝材11,11からなる樹脂製緩衝材とで、上方から薄板Cを収容することのできる薄板収納部が形成される。収容される薄板Cは、薄板Cを縦にして収納しても横にして収納しても構わない。薄板Cが割れやすいものであれば、薄板Cを縦にして収納することが輸送する際の振動により割れにくくなるので好ましい。
【0050】
そこで、一方の背板10の内面に配置された前記薄板保持用樹脂製緩衝材11の溝11aと、他方の前板10の内面に配置された前記薄板保持用樹脂製緩衝材11の溝11aとに、薄板Cの両側端部を差し込む。所望枚数の薄板Cが収容されたところで、押さえ用樹脂製緩衝材14を薄板Cの上に載置し、その後に、図8に示すように蓋部13を被嵌する。
【0051】
ついで、ひも17で結束することにより、薄板用搬送コンテナ1は、図1に示す状態になる。これで輸送可能な状態になる。
【0052】
(薄板用搬送コンテナーの折畳み)
輸送場所に運ばれた薄板用搬送コンテナ1は、ひも17を外し、蓋部13を取り外した後、薄板Cの上に載置された押さえ用樹脂製緩衝材14を取り外し、取り敢えず別な場所に置く。
【0053】
これで、薄板用搬送コンテナ1は、図8に示すように、上部を開放した状態になる。そこで、薄板Cを収容部から順次に取り出す。
【0054】
全ての薄板Cを薄板用搬送コンテナ1の収容部から取り出した後には、まず、パレット3上の支持用樹脂製緩衝材12を外す。ついで、薄板保持用樹脂製緩衝材11,11を、図10に示すように前板10及び背板9の内面から取り外し、取り敢えず別な場所に置く。
【0055】
次に、前板9を持ち、前記側板6の一方(前面側)の板体収容溝8と前記側板6に対峙する他方の側板6の一方(前面側)の板体収容溝8との間に差し込まれていた前板9を上方に持ち上げる。これにより、前板9が支柱4,4の間から取り外される。この前板9を、別な場所にとりあえず置く。
【0056】
同様に、背板10を持ち、前記側板6,6の他方(背面側)の板体収容溝8,8に差し込まれていた背板10を垂直上方に移動させる。これにより、背板10は、支柱4,4の間から取り外される。この背板10を、別な場所にとりあえず置く。
【0057】
ついで、一枚の側板6を垂直上方に持ち上げ、前記コ字状係合部7の上側係合部分7a及び下側係合部分7bを前記L字型ガイド5の垂直切り欠き部5Vの最深部から最上部に持ち上げ、移動させる。前記コ字状係合部7の上側係合部分7a及び下側係合部分7bが前記L字型ガイド5の垂直切り欠き部5Vの最上部に達したところで、図11に示すように、側板6を水平方向内側に移動させる。これにより、前記コ字状係合部7の上側係合部分7a及び下側係合部分7bが前記L字型ガイド5の水平切り欠き部5Hの最深部から開放部を抜けて、側板6は支柱4,4から自由になる。この側板6は取り敢えず別な場所に置く。
【0058】
同様に、他の側板6についても、上述したのと同様に操作して取り外しを行う。
【0059】
ついで、パレット3の上に重ねる例として、例えば2枚の押さえ用樹脂製緩衝材12,12を並べ、この押さえ用樹脂製緩衝材12,12の上に一対の側板6,6を重ね、この側板6の上に支持用樹脂製緩衝材14及び薄板保持用樹脂製緩衝材11を並べ、薄板保持用樹脂製緩衝材11の上に背板10、もう一方の薄板保持用樹脂製緩衝材11及び前板9をこの順に重ね、最後に、パレット3の四隅に立設する支柱4,4,4,4の上に蓋部13を被嵌させた後、ひも17で固定することにより、薄板用搬送コンテナ1は、図12に示すように平板状態になる。また、図12及び図13に示したほかに、図13において、支持用樹脂製緩衝材14の上部空間に押さえ用樹脂製緩衝材12を配置し、パレット3の上面には一対の側板6,6、薄板保持用樹脂製緩衝材11、背板10、薄板保持用樹脂製緩衝材11、前板10を順次に重ね、最後に蓋部13を覆うように重ねることもできる。なお、図14に示されるように、薄板保持用樹脂製緩衝材11が、薄板の側端部を収容する溝が形成されて成る面に対する裏面に水平方向に連続する複数の凸状リブを形成している場合に、この凸状リブを形成してなる面同士で重ねることができる。
【0060】
なお、このように折畳まれて平板状態となった薄板用搬送コンテナ1であっても、また、箱体の形状に組立てられた薄板用搬送コンテナ1であっても、蓋部13の上部に受け部16が設けられているため、段積み可能である。
【0061】
この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナは、上述したように構成されているので、次のような利点がある。
(1)パレット3の四隅に立設する支柱4と、これら支柱4に形成されたL字型ガイド5と、前記側板6に設けた前記L字型ガイド5に係合するコ字状係合部7とにより、組立・折畳みする際、側板が内側に倒れないので、一人で作業ができ、作業能率が高い。また、単に、支柱4に水平切り欠き部5H及び垂直切り欠き部5VからなるL字型ガイド5を形成し、側板6の側面に上側係合部分7a及び下側係合部分7bからなるコ字状係合部7を形成しているだけなので、部品点数が少なくかつ構造も簡単で確実に係合状態を得ることができる。
(2)前記パレット3、前記一対の側板6,6、前記前板9、前記背板10及び蓋部13がいずれも金属製部材からなり、一対の側板6,6のコ字状係合部7が支柱4の複数のL字型ガイド5に係合することから輸送中の振動により、薄板用搬送コンテナ1のねじれが抑えられ、薄板の破損が阻止される。
(3)パレット3の四隅に設けた支柱4の高さが、少なくとも一対の側板6,6、前板9及び背板10の厚みと、一対の薄板保持用樹脂製緩衝材11,11の厚みの合計に実質的に相当する寸法に設定されてなることから分解して折畳む際に、非常にコンパクトになる。
(4)前記薄板保持用樹脂製緩衝材11が、薄板Cの側端部を収容する溝が形成されて成る面に対する裏面に水平方向に連続する複数の凸状リブを形成してなる樹脂製緩衝材であって、この樹脂製緩衝材の前記凸状リブを形成してなる面同士で重ねた場合に一方の緩衝材の凸状リブ11cが他方の緩衝材における凸状リブ11aの間に収容されることから薄板を搬送する際に樹脂製緩衝材は軽量で強度が大きなものとなり、一方、折畳んで搬送する際には重ね合わせた樹脂製緩衝材の厚みを薄くすることができ、支柱4の高さを低くすることができることから、さらに折畳んだ状態の薄板用搬送コンテナをコンパクトにすることができる。
(5)矩形状のパレット3の上面に、支持用樹脂製緩衝材12を固定するための突起15を設けたので、荷重の一番かかる樹脂製緩衝材が振動により位置がずれない構造にすることができる。
(6)前記蓋部13の上面における四隅には前記パレット3の下面における四隅又は脚部を収容可能な受け部16が設けられてなるので、折畳んだ態にした薄板用搬送コンテナ1であっても、また、組立てた状態の薄板用搬送コンテナ1であっても、確実に段積みすることができる。
(7)前記薄板用搬送コンテナ1は、組立てた状態又は折畳んだ状態のときに、前記蓋部と共に薄板用搬送コンテナ1の全体を結締手段例えばひもで結締されてなるので、三種の樹脂製緩衝材11,12,14、一対の側板6,6、前板9、背板10及び蓋部13を確実に結束しておくことができる。
【0062】
以上、この発明の一実施形態である薄板用搬送コンテナについて説明したが、この発明は前記一実施形態に限定されることはなく、この発明の要旨の範囲内で適宜に変形可能である。
【0063】
パレットは、箱体をなす薄板用搬送コンテナの底面部をなす限り、図1に示される形状に限定されることはなく、一枚板であってもよい。
【0064】
L字型ガイドは、側板をパレットの上面に立設させたときに、側板の両側端部にそれぞれ設けられた係合部との協同によって側板が自立可能になるように形成されている限り、図3に示されるような切り欠き構造である必要はなく、例えば側板の側端部に設けられた上下一対のピンをガイドするL字状溝であっても良い。
【0065】
上述のように、側板の側端部に形成される係合部は、図3に示されるようなコ字状の突起である必要はなく、前記L字型ガイドと協同して側板が自立可能に成るように、かつ支柱にこの側板を取り付けることができるように形成されている限り様々の変形が可能であり、例えば側板の側部下端に設けられた一対のピンであっても良い。
【0066】
前板及び背板は、前記一対の側板におけるそれぞれの側端部に装着されることにより、前記パレット、一対の側板、前板及び背板によって上方を開口する有底箱体が形成される限り、様々の変形乃至設計変更が行われる。図4に示されるように、側板6の両側部に設けられた板体収容溝8に前板9又は背板10の側端部を差し込むことにより両側板間に前板9及び背板10を装着する組立て形式に限らず、立設された側板の端であって側板の相対向面に前板及び背板の端面を当接させ、適宜の固定部材で前板及び背板が倒れないように固定する組立て形式を採用することもできる。
【0067】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、次のような効果がある。
(1)L字型ガイドに係合するコ字状係合部を有する一対の側板があることにより、組立て・折畳みする際、側板が内側に倒れないので、一人で作業ができる。また、単に、支柱にL字型ガイドを、側板にコ字状係合部を、それぞれ設けているだけなので、部品点数が少なくかつ構造も簡単である。
(2)前記パレット、前記一対の側板、前記背板、前記前板及び蓋部がいずれも金属製部材からなり、一対の側板が複数のL字型ガイドに係合することから輸送中の振動によりコンテナのねじれが抑えられ、薄板の破損が阻止される。
(3)支柱の高さが特定の寸法であることから折畳む際に、コンパクトになる。
【0068】
請求項2記載の発明では、請求項1に記載の薄板用搬送コンテナにおいて、前記薄板保持用樹脂製緩衝材が、薄板の側端部を収容する溝が形成されて成る面に対する裏面に水平方向に連続する複数の凸状リブを形成してなる樹脂製緩衝材であって、この樹脂製緩衝材の前記凸状リブを形成してなる面同士で重ねた場合に一方の緩衝材の凸状リブが他方の樹脂製緩衝材の凸状リブの間に収容されることから、薄板を搬送する際に、樹脂製緩衝材は軽量で強度が高いものとなり、一方、折り畳んで搬送する際は、重ね合わせた樹脂製緩衝材の厚みを薄くすることができ、支柱の高さを低くすることができることから、さらに折畳んだ状態の薄板用搬送コンテナをコンパクトにできる。
【0069】
請求項3記載の発明では、前記蓋部の上面における四隅に前記パレットの下面における四隅又は脚部を収容可能な受け部が設けられてなるので、折畳んだ薄板用搬送コンテナであっても、また、箱体形状の薄板用搬送コンテナであっても、確実に段積みすることができる。
【0070】
請求項4記載の発明では、前記薄板搬送用コンテナは、組立てた状態又は折畳んだ状態のときに、前記蓋部と共に薄板用搬送コンテナ全体を結締手段例えばひもで結締されてなるので、樹脂製緩衝材、一対の側板、前板、背板及び蓋部を確実に結束しておくことができる。
【0071】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナを示す斜視図である。
【0072】
【図2】図2は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナの一部を構成するパレット及び支柱を示す斜視図である。
【0073】
【図3】図3は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナにおいて側板の係合部とパレットから立設した支柱のL字型ガイドとの係合状態を説明するために拡大して示す斜視図である。
【0074】
【図4】図4は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナにおいて側板と前板との係合関係を説明するために一部省略しかつ拡大して示す斜視図である。
【0075】
【図5】図5は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナの一例に使用される樹脂製緩衝材を示す斜視図である。
【0076】
【図6】図6は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナにおいて蓋部に設けた受け部を拡大して示す斜視図である。
【0077】
【図7】図7は、図6のVII線に沿う拡大断面図である。
【0078】
【図8】図8は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナに薄板を収納した状態を示す斜視図である。
【0079】
【図9】図9は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナの一例においてパレット下部に設けた結束バンドの例を示す図である。
【0080】
【図10】図10は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナを折畳みする工程を説明するための図である。
【0081】
【図11】図11は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナを折畳みする工程を説明するための図である。
【0082】
【図12】図12は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナを折畳んだ状態の一例を示す正面断面図である。
【0083】
【図13】図13は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナを折畳んだ状態の一例を示す側面断面図である。
【0084】
【図14】図14は、この発明の実施の形態に係る薄板用搬送コンテナを折畳みしたときに薄板保持用樹脂製緩衝材を組み合わせた状態を説明するために拡大して示す図である。
【0085】
【符号の説明】
1 薄板用搬送コンテナ
2 箱体
3 パレット
4 支柱
5 L字型ガイド
5H 水平切り欠き部
5V 垂直切り欠き部
7 コ字状係合部
7a 上側係合部分
7b 下側係合部分
8 板体収容溝
9 前板
10 背板
11,12,14 樹脂製緩衝材
13 蓋部
16 受け部
17 ひも

Claims (4)

  1. 薄板を収容する箱体に組立て可能、又は平板状に折畳み可能とし、かつ組立て時あるいは折畳み時に段積み可能とした薄板用搬送コンテナにおいて、
    前記薄板用搬送コンテナが、
    矩形状パレットと、
    前記矩形状パレットの上面の四隅に固着立設され、かつ複数のL字型ガイドが形成された所定の長さの支柱と、
    前記支柱の前記複数のL字型ガイドに係合する係合部によって着脱自在な一対の側板と、
    前記支柱間に着脱可能な前板及び背板と、
    (1)前記一対の側板の内面、並びに/又は(2)前記前板の内面及び前記背板の内面に配置され、かつ薄板の側端部を収容する溝が形成されてなる少なくとも一対の薄板保持用樹脂製緩衝材、薄板の下端部を支持する支持用樹脂製緩衝材及び薄板の上端部に接する押さえ用樹脂製緩衝材と、
    前記一対の側板、前板及び背板の上端面、又は前記支柱に着脱可能に係合する蓋部とを有し、
    前記矩形状パレット、前記一対の側板、前記背板、前記前板、及び蓋部はいずれも金属製部材からなり、
    前記支柱の高さは、少なくとも一対の側板、前板、背板及び一対の薄板保持用樹脂製緩衝材の厚みの合計に実質的に相当する寸法に設定されて成ることを特徴とする薄板用搬送コンテナ。
  2. 前記薄板保持用樹脂製緩衝材が、薄板の側端部を収容する溝が形成されてなる面に対する裏面に水平方向に連続する複数の凸状リブを形成してなる緩衝材であって、前記緩衝材の前記凸状リブを形成してなる面同士で重ねた際に、一方の緩衝材の凸状リブが他方の緩衝材の凸状リブの間に収容可能に形成されて成ることを特徴とする前記請求項1に記載の薄板用搬送コンテナ。
  3. 前記蓋部の上面における四隅には、前記パレットの下面における四隅又は脚部を収容可能な受け部が設けられてなることを特徴とする請求項1又は2記載の薄板用搬送コンテナ。
  4. 前記薄板用搬送コンテナは、組立てた状態あるいは折畳んだ状態のときに、前記蓋部と共に前記薄板用搬送コンテナ全体を結締手段で結締されて成ることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の薄板用搬送コンテナ。
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