JP4276469B2 - コバルト酸リチウムの製造方法 - Google Patents

コバルト酸リチウムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池の正極活物質として有用なF原子及びMg原子を含有するコバルト酸リチウム(以下、「リチウムコバルト系複合酸化物」ともいう。)の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭電器においてポータブル化、コードレス化が急速に進むに従い、ラップトップ型パソコン、携帯電話、ビデオカメラ等の小型電子機器の電源としてリチウムイオン二次電池が実用化されている。このリチウムイオン二次電池については、1980年に水島等によりコバルト酸リチウムがリチウムイオン二次電池の正極活物質として有用であるとの報告(「マテリアル リサーチブレティン」vol15,P783-789(1980)〕)がなされて以来、リチウム系複合酸化物に関する研究開発が活発に進められており、これまで多くの提案がなされている。
【0003】
例えば、正極活物質としてF原子を含有するリチウムコバルト系複合酸化物が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0004】
特許文献1(特開平7−33443号公報)のF原子を含有するリチウムコバルト系複合酸化物は、コバルト酸リチウムとガス状ハロゲン化合物とを接触させて得られるものであり、通常このようなにして得られるコバルト酸リチウムはその表面層においてのみF原子が存在しF原子を粒子内部にまで存在させることができない。
また、特許文献2(特開2002−298846号公報)及び特許文献3(特開2002−216760号公報)のF原子を含有するリチウムコバルト系複合酸化物はフッ素化合物としてフッ化リチウム(LiF)を用いているが、単にフッ化リチウムを用いただけではリチウムコバルト系複合酸化物の粒子内部のF原子の含有率を高めることができず、また、これを1000〜1100℃で焼成して平均粒径が10μm以上とした正極活物質を用いたリチウム二次電池に至っても、未だ満足のできる電池性能、特に負荷特性、サイクル特性を実現することができない。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−33443号公報
【特許文献2】
特開2002−298846号公報
【特許文献3】
特開2002−216760号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、かかる実情において鋭意研究を重ねた結果、リチウム化合物、コバルト化合物、フッ素化合物及びアルカリ土類金属化合物とを混合し、次いで焼成を行うF原子を含有するリチウムコバルト系複合酸化物の製造方法において、特定比表面積のコバルト化合物とフッ化リチウム(LiF)を用い、尚且つ焼成温度を特定範囲として焼成して得られるリチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池は、電池性能、特にサイクル特性及び負荷特性が向上することを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の目的はリチウム二次電池の正極活物質として用いたときに、電池性能、特にサイクル特性及び負荷特性を向上させることができるリチウムコバルト系複合酸化物の製造方法を提供することにある。
【0008】
【問題を解決するための手段】
本発明が提供しようするコバルト酸リチウムの製造方法は、リチウム化合物、コバルト化合物、フッ素化合物及びマグネシウム化合物とを混合し、次いで焼成を行うF原子及びMg原子を含有するコバルト酸リチウムの製造方法において、コバルト化合物としてBET比表面積が1m/g以上のものを用い、フッ素化合物としてBET比表面積が1m/g以上のフッ化リチウム(LiF)を用いて、温度800〜1100℃で焼成を行うことを特徴とするF原子及びMg原子を含有するコバルト酸リチウムの製造方法である。
かかるコバルト酸リチウムの製造方法において、前記焼成は1000〜1100℃で行うことが好ましい。また、前記コバルト化合物はBET比表面積が2m/g以上であることが好ましく、また、前記マグネシウム化合物はBET比表面積が1m/g以上のものを用いることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るリチウムコバルト系複合酸化物の製造方法は、リチウム化合物、コバルト化合物、フッ素化合物及びマグネシウム化合物(以下、「アルカリ土類金属化合物」ともいう。)とを混合し、次いで焼成を行うF原子及びMg原子を含有するリチウムコバルト系複合酸化物の製造方法において、原料として特定比表面積のコバルト化合物と特定比表面積のフッ化リチウム(LiF)を用い、尚且つ特定温度範囲で焼成を行うことにその特徴がある。
【0010】
用いることができる第1の原料のリチウム化合物は、例えば、リチウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩及び有機酸塩等が挙げられるが、これらの中で、工業的に安価な炭酸リチウムが好ましい。
かかるリチウム化合物の物性等は特に制限されるものではないが、微細なものが反応性の面で好ましく、レーザー回折法から求められる平均粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下のものが特に好ましい。
【0011】
本発明において第2の原料のコバルト化合物は、BET比表面積が1m2/g以上である必要がある。コバルト化合物の比表面積を当該範囲とする理由は、BET比表面積が1m2/gより小さくなると、F原子を粒子内部まで均一に分布させることが困難となり、また、該リチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池のサイクル特性及び負荷特性の向上が見られないためである。また、本発明において、コバルト化合物としてBET比表面積が2m2/g以上のものを用いると、後述するフッ化リチウム(LiF)との相乗効果が高まり粒子内部のF原子の含有量を更に高め、該リチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池のサイクル特性及び負荷特性、更には低温特性を向上させることができる。
かかるコバルト化合物としては、例えば、コバルトの酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩及び有機酸塩等が挙げられるが、工業的に安価で、反応性、更には焼成中に副生する副生物の安全性の面で四酸化三コバルト(Co34)又はオキシ水酸化コバルト(CoOOH)を用いることが特に好ましい。
【0012】
本発明のリチウムコバルト系複合酸化物の製造方法において、前記の特定比表面積のコバルト化合物を用いることに加えて第3の原料のフッ化リチウム(LiF)としてBET比表面積が1m2/g以上のものを用いることも重要な要件となる。フッ化リチウム(LiF)の比表面積を当該範囲とする理由は、1m2/g未満ではリチウムコバルト系複合酸化物の粒子内部にF原子を均一に分布させることが困難になる傾向があり、また、該リチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池のサイクル特性及び負荷特性の向上が見られないためである。また、本発明においてフッ化リチウム(LiF)としてBET比表面積が5m2/g以上のものを用いると、前記コバルト化合物との相乗効果が高まり粒子内部のF原子の含有量を更に高め、該リチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池のサイクル特性及び負荷特性、更には低温特性を向上させることができる。また、該フッ化リチウム(LiF)はレーザー回折法から求められる平均粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下であると、更に均一にF原子を粒子内部に分布させることができることから特に好ましい。
【0013】
用いることができる第4の原料のアルカリ土類金属化合物は、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩及び有機酸塩等が挙げられ、これらのアルカリ土類金属化合物は1種又は2種以上で用いることができる。本発明において前記アルカリ土類金属化合物は原子半径が小さく粒子内部まで均一に分布させることができ、また、リチウム二次電池の安全性を向上させる効果が高いことからマグネシウム化合物が特に好ましい。
かかるアルカリ土類金属化合物の物性等は特に制限されるものではないが、BET比表面積が1m2/g以上、好ましくは5m2/g以上のものを用いると、リチウムコバルト系複合酸化物の粒子内部にアルカリ土類金属原子を均一に分布させることができることから好ましく、特に該アルカリ土類金属化合物はレーザー回折法から求められる平均粒径が20μm以下、好ましくは15μm以下であると、更に均一にアルカリ土類金属原子を粒子内部に分布させることができることから特に好ましい。
【0014】
また、前記第1〜第4の原料のリチウム化合物、コバルト化合物、フッ化リチウム(LiF)及びアルカリ土類金属化合物は、製造履歴は問わないが、高純度リチウムコバルト系複合酸化物を製造するために、可及的に不純物含有量が少ないものであることが好ましい。
【0015】
反応操作は、まず、前記第1〜第4の原料のリチウム化合物、コバルト化合物、フッ化リチウム(LiF)及びアルカリ土類金属化合物とを所定量混合する。混合は、乾式又は湿式のいずれの方法でもよいが、製造が容易であるため乾式が好ましい。乾式混合の場合は、原料が均一に混合するようなブレンダー等を用いることが好ましい。
【0016】
上記した第1〜第4の原料のリチウム化合物、コバルト化合物、フッ化リチウム(LiF)及びアルカリ土類金属化合物の配合割合は、Co原子に対するモル比で、Li原子0.90〜1.10、好ましくは0.95〜1.05、F原子0.001〜0.15、好ましくは0.002〜0.10、アルカリ土類化合物中のアルカリ土類金属として0.0005〜0.075、好ましくは0.001〜0.05とすることが、該リチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池の電池性能、特に負荷特性及びサイクル特性を効果的に向上させることができることから好ましい。
【0017】
次いで、前記第1〜第4の原料のリチウム化合物、コバルト化合物、フッ化リチウム(LiF)及びアルカリ土類金属化合物が均一混合された混合物を焼成する。
【0018】
本発明においてこの焼成温度を800〜1100℃とすることが一つの重要な要件となる。本発明において、焼成温度を当該範囲とする理由は、800℃未満ではリチウム化合物、コバルト化合物、フッ化リチウム(LiF)及びアルカリ土類金属化合物との固相反応が十分に起こらないためF原子及びMg原子が粒子内部まで入りにくく、また、1100℃を越えると目的とするリチウムコバルト系複合酸化物が分解を起こすため好ましくない。特に本発明のリチウムコバルト系複合酸化物の製造方法において1000℃を越える温度、即ち1000〜1100℃で焼成を行うと粒子成長が著しいため平均粒径が10μm以上となり、これに伴って比表面積が小さくなるため、該リチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池の安全性を更に向上させることができる。
【0019】
焼成時間は2〜24時間、好ましくは5〜10時間とすることが好ましい。焼成は大気中又は酸素雰囲気中のいずれで行ってもよく、特に制限されるものではない。また、これら焼成は必要により何度でも行うことができる。
【0020】
焼成後は、適宜冷却し、必要に応じ粉砕してリチウムコバルト系複合酸化物を得る。
なお、必要に応じて行われる粉砕は、焼成して得られるリチウムコバルト系複合酸化物がもろく結合したブロック状のものである場合等に適宜行うが、該リチウムコバルト系複合酸化物の粒子自体は特定の平均粒径、BET比表面積を有するものである。即ち、得られるリチウムコバルト系複合酸化物は、平均粒径が1.0〜20μm、好ましくは5.0〜20μmであり、BET比表面積が0.1〜2.0m2/g、好ましくは0.2〜1.5m2/g、さらに好ましくは0.3〜1.0m2/gである。
【0021】
かくして得られるリチウムコバルト系複合酸化物は、好ましくはF原子を0.02〜3.0重量%含有し、下記計算式(1)から求められる粒子内部のF原子の含有量(C)が好ましくは10〜30重量%であり、また、アルカリ土類金属原子を好ましくは0.013〜1.9重量%含有する。
【数1】
Figure 0004276469
式中のA、B及びCは以下のことを示す。
A;リチウムコバルト系複合酸化物の粒子表面上に存在するF原子の量。
B;リチウムコバルト系複合酸化物中に含有されているF原子の全量。
C;リチウムコバルト系複合酸化物の粒子内部に存在するF原子の量。
【0022】
また、本発明の製造方法で得られるリチウムコバルト系複合酸化物は、残存アルカリの含有量が0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下で、該リチウムコバルト系複合酸化物20gを水100mlに分散させたときの分散液の25℃におけるpHが9.5〜12.0、好ましくは9.5〜10.5であると、不純物、例えば炭酸リチウム、水酸化リチウム等の残存アルカリに由来するガスの発生を抑制し、該リチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池の高温保存特性を向上させることができる。
【0023】
本発明の製造方法で得られるリチウムコバルト系複合酸化物は、正極、負極、セパレータ、及びリチウム塩を含有する非水電解質からなるリチウム二次電池の正極活物質として用いることができ、また、本発明のリチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池は、電池性能、特に負荷特性及びサイクル特性が向上する。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<酸化コバルト(Co34)の調製>
・試料Co−1、Co−2
特開平4−321523号公報の四酸化三コバルトの製造方法に従って、硫酸コバルト・6水和物13.7kgを純水15Lに溶解し、コバルト水溶液を作成した。次いで炭酸水素アンモニウム9kgを純水6Lに溶解した後、攪拌しながら前記のコバルト水溶液を1時間かけて添加した。添加終了後30分間攪拌して沈澱を生成させ、次いで濾過して沈澱物を回収し、60Lの純水で2回リパルプして洗浄を行った。次いで、沈澱物を420℃で3時間電気炉で焼成し、冷却後、粉砕し得られたものを、X線回折測定で確認したところ四酸化三コバルトであることを確認した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)より観察した結果、平均粒径が0.02μmで、BET比表面積は44.5m2/gであった。この四酸化三コバルト試料をCo−1とし、更にこのCo−1を粉砕及び分級してBET比表面積が104m2/gの四酸化三コバルトを調製し、これをCo−2試料とした。
・試料Co−3、Co−4
特願2002−162726号の四酸化三コバルトの製造方法に従って、20L容量のステンレスタンクに、予め1.8mol/L(CoSO4として)の硫酸コバルト水溶液を4L張り、これを60℃に加温し、そこに1mol/Lの炭酸水素ナトリウム水溶液14.4Lを2時間かけて60℃に温度を維持しながら滴下した。なお、滴下終了後の反応系内のpHは6.7であった.
次いで滴下終了後、温度を60℃に維持したままpH8になるまで4mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、このpHと温度を維持しながら3時間の熟成を行った。
次いで、濾過に要する時間を確認しながら、固液分離後、回収した沈澱物を10%スラリーとした時の25℃における電気伝導度を電気伝導度計で確認しながら電気伝導度が100μs/cm以下となるまで十分に押水洗浄を行い、乾燥して沈澱物856.1gを得た(収率99.96%)。
次に、この沈澱物を900℃で5時間電気炉で焼成し、冷却後、粉砕し得られたものを、X線回折測定で確認したところ凝集状の四酸化三コバルトであることを確認した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)より観察した結果、一次粒子の粒径が0.5〜2μmで、二次粒子の平均粒径が14.1μmで、BET比表面積は0.62m2/gであった。これをCo−4試料とした。
次いで、上記で得られたCo−4試料を粉砕及び分級してBET比表面積が1.02m2/gの四酸化三コバルトを調製し、これをCo−3試料とした。
また、前記で調製したCo−1、Co−2、Co−3及びCo−4試料のBET比表面積を表1に示した。
【表1】
Figure 0004276469
【0025】
実施例1〜4及び比較例1
表2に示したCo原子、Li原子及びMg原子のモル比となるように各酸化コバルト試料、Li2CO3(平均粒径7μm)及び炭酸マグネシウム(BET比表面積6.7m2/g、平均粒径14μm、関東化学社製)を秤量し、更に表2に示したF原子のモル比となるようにLiF(比表面積30.2m2/g、平均粒径5μm、Aldrich社製)を乾式で十分に混合した後1020℃又は900℃で5時間焼成した。該焼成物を粉砕、分級してFとMg原子を含有するリチウムコバルト系複合酸化物を得た。得られたものの主物性を表3に示す。
【0026】
比較例2
表2に示したCo原子、Li原子及びMg原子のモル比となるように酸化コバルト(試料Co−1)、Li2CO3(平均粒径7μm)及び炭酸マグネシウム(BET比表面積6.7m2/g、平均粒径14μm、関東化学社製)を秤量し、更に表2に示したF原子のモル比となるように市販のLiF(BET比表面積0.6m2/g、平均粒径45μm)を乾式で十分に混合した後700℃で5時間焼成した。該焼成物を粉砕、分級してFとMg原子を含有するリチウムコバルト系複合酸化物を得た。得られたものの主物性を表3に示す。
【0027】
比較例3
Li原子、Co原子のモル比が1.03:1.00となるように酸化コバルト(試料Co−1)、Li2CO3(平均粒径7μm)を乾式で十分に混合した後1020℃で5時間焼成した。該焼成物を粉砕、分級してリチウムコバルト系複合酸化物を得た。得られたものの主物性を表3に示す。
【表2】
Figure 0004276469
【0028】
<物性の評価>
▲1▼リチウムコバルト系複合酸化物の粒子内部のF原子の量
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られたリチウムコバルト系複合酸化物0.5gに水100mlを加え、25℃で十分に攪拌して、リチウムコバルト系複合酸化物の粒子表面からF原子を水に溶出させ、溶液中のF原子の量をイオンクロマトグラフィーにより定量した。次に、原料のフッ素化合物の添加量から求められる理論量から下記計算式(1)により、リチウムコバルト系複合酸化物の粒子内部のF原子の存在割合(C)を求めた。その結果を表3に示した。
【数2】
Figure 0004276469
式中のA、B、Cは下記のことを示す。
A:リチウムコバルト系複合酸化物を水に分散させて粒子表面から溶出するF原子の量をイオンクロマトグラフィーで定量分析した値。
B:フッ化リチウム(LiF)の添加量から求められるリチウムコバルト系複合酸化物粒子中に理論上含有された全F原子の量。
C:リチウムコバルト系複合酸化物の粒子内部に存在するF原子の量。
▲2▼分散液のpH及び残存アルカリの含有量
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られたリチウムコバルト系複合酸化物20gに水100mlを加え、25℃で5分間十分に攪拌した。次いで、濾過し、その濾過液のpHをpHメーターで測定した。更に、該濾過液60gを0.1NのHClを用いてアルカリ滴定により、該リチウムコバルト系複合酸化物に含まれる残存アルカリ分を測定し、その結果を表3に示した。
▲3▼平均粒径
平均粒径はレーザー回折法により求めた。
【表3】
Figure 0004276469
【0029】
<電池性能試験>
(1)リチウム二次電池の作製;
上記のように製造した実施例1〜4及び比較例1〜3で得られたリチウムコバルト系複合酸化物91重量%、黒鉛粉末6重量%、ポリフッ化ビニリデン3重量%を混合して正極剤とし、これをN−メチル−2−ピロリジノンに分散させて混練ペーストを調製した。該混練ペーストをアルミ箔に塗布したのち乾燥、プレスして直径15mmの円盤に打ち抜いて正極板を得た。
この正極板を用いて、セパレーター、負極、正極、集電板、取り付け金具、外部端子、電解液等の各部材を使用してリチウム二次電池を製作した。このうち、負極は金属リチウム箔を用い、電解液にはエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートの1:1混練液1リットルにLiPF6 1モルを溶解したものを使用した。
【0030】
(2)電池の性能評価
作製したリチウム二次電池を室温で作動させ、下記の電池性能を評価した。
<容量維持率、エネルギー維持率の測定>
室温にて正極に対して定電流電圧(CCCV)0.5Cで4.3Vまで充電した後、0.2Cで2.7Vまで放電させる充放電を1サイクルとして、放電容量およびエネルギー密度を測定した。
次いで、上記放電容量及びエネルギー密度の測定における充放電を20サイクル行い、下記式(2)により容量維持率を算出し、また、下記式(3)によりエネルギー維持率を算出した。その結果を表4に示す。また、実施例1〜4及び比較例3で調製したリチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質として用いたリチウム二次電池のこの条件下での放電特性図を図1〜5にそれぞれ示した。
【数3】
Figure 0004276469
【数4】
Figure 0004276469
【0031】
<負荷特性の評価>
まず、正極に対して定電流電圧(CCCV)充電により0.5Cで5時間かけて、4.3Vまで充電した後、放電レート0.2C、1.0C、2.0Cで2.7Vまで放電させる充放電を行い、これらの操作を1サイクルとして1サイクル毎に放電容量とエネルギー密度を測定した。
このサイクルを各放電レートで3サイクル繰り返し、3サイクル目の放電容量とエネルギー密度を求めた。その結果を表4に示す。
また、実施例1〜4及び比較例3で調製したリチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質として用いたリチウム二次電池について同様に試験を行い、0.2C、1.0C、2.0Cでの放電特性図を図6〜10にそれぞれ示した。
なお、エネルギー密度の値が高い方が、高負荷放電時でもより多くのエネルギーを利用でき、同じ放電容量の場合にはより高電圧での放電が可能である事を示し、即ち、負荷特性が優れていることを示す。
【表4】
Figure 0004276469
【0032】
表4の結果より、本発明のリチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質として用いたリチウム二次電池は比較例3のリチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質として用いたものと比べ、容量維持率が高く、負荷特性が優れていることが分かる。更に、図6〜図10の結果より、比較例3のLiCoO2を正極活物質として用いたものと比べ、放電カーブ末期にはっきりとした肩が見られ、放電の最後まで高電圧を維持していることが分かる。
【0033】
【発明の効果】
上記したとおり、本発明の製造方法で得られるリチウムコバルト系複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池は、特に、負荷特性、サイクル特性が優れたリチウム二次電池となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたリチウム二次電池正極活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性を示す図。
【図2】実施例2で得られたリチウム二次電池正極活物質を用いたリチウム二次電池ののサイクル特性を示す図。
【図3】実施例3で得られたリチウム二次電池正極活物質を用いたリチウム二次電池ののサイクル特性を示す図。
【図4】実施例4で得られたリチウム二次電池正極活物質を用いたリチウム二次電池ののサイクル特性を示す図。
【図5】比較例3で得られたリチウム二次電池正極活物質を用いたリチウム二次電池ののサイクル特性を示す図。
【図6】実施例1で得られたリチウム二次電池正極活物質を用いたリチウム二次電池の0.2C、1Cと2Cでの負荷特性を示す図。
【図7】実施例2で得られたリチウム二次電池正極活物質を用いたリチウム二次電池の0.2C、1.0Cと2.0Cでの負荷特性を示す図。
【図8】実施例3で得られたリチウム二次電池正極活物質を用いたリチウム二次電池の0.2C、1.0Cと2.0Cでの負荷特性を示す図。
【図9】実施例4で得られたリチウム二次電池正極活物質を用いたリチウム二次電池の0.2C、1.0Cと2.0Cでの負荷特性を示す図。
【図10】比較例3で得られたリチウム二次電池正極活物質を用いたリチウム二次電池の0.2C、1.0Cと2.0Cでの負荷特性を示す図。

Claims (5)

  1. リチウム化合物、コバルト化合物、フッ素化合物及びマグネシウム化合物とを混合し、次いで焼成を行うF原子及びMg原子を含有するコバルト酸リチウムの製造方法において、コバルト化合物としてBET比表面積が1m/g以上のものを用い、フッ素化合物としてBET比表面積が1m/g以上のフッ化リチウム(LiF)を用いて、温度800〜1100℃で焼成を行うことを特徴とするF原子及びMg原子を含有するコバルト酸リチウムの製造方法。
  2. 前記焼成は1000〜1100℃で行う請求項1記載のF原子及びMg原子を含有するコバルト酸リチウムの製造方法。
  3. 前記コバルト化合物はBET比表面積が2m/g以上のものを用いる請求項1又は2記載のF原子及びMg原子を含有するコバルト酸リチウムの製造方法。
  4. 前記マグネシウム化合物はBET比表面積が1m/g以上のものを用いる請求項1乃至3のいずれかに記載のF原子及びMg原子を含有するコバルト酸リチウムの製造方法。
  5. 前記リチウム化合物、前記コバルト化合物、前記フッ素化合物及び前記マグネシウム化合物の配合割合が、Co原子に対するモル比で、Li原子0.90〜1.10、F原子0.001〜0.15、Mg原子0.0005〜0.075である請求項1乃至4のいずれかに記載のF原子及びMg原子を含有するコバルト酸リチウムの製造方法。
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