JP4275798B2 - アンプル受渡装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アンプル供給装置から払い出されたアンプルを一方向に送る搬送コンベアとこれに交叉する搬送コンベア間でアンプルを受渡すアンプル受渡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアンプル払出し装置の一例として、アンプルを水平に上下方向に重ねて収納した収納カセットを複数個取り付けた引出しユニットを複数組並べて設け、各カセットに設けた払出し手段によりアンプルを下方に払い出すようにしたアンプル貯留供給装置が特開平5−229660号公報に開示されている。この貯留供給装置は、払い出されたアンプルを一方向に送る第1搬送コンベアからこれに交叉する第2搬送コンベアへ落下させて外部へ送り出す搬送手段を備えており、両搬送コンベア間にはアンプルの受渡しの際の衝撃を和らげるスポンジ等の緩衝部材が設けられている。
【0003】
他のアンプル払出し装置の例として特開平10−265052号公報に開示された注射剤払出装置が公知である。この払出装置もアンプルの貯留供給装置部分は第1の公報と同様であり、多数のアンプルを収納した収納カセットの複数個を引出ユニットに取付けてそのユニットを複数列備え、各ユニットのそれぞれの収納カセットの払出し手段からアンプルが払い出される。払い出されたアンプルは、第1搬送コンベアで一方向に送られてその端に設けた中間収容器に収集され、これに交叉して設けられた第2搬送コンベアへ払い出されて外部へ送り出される。中間収容器は払出し効率を向上させる目的から底板開放式とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のアンプル払出装置に設けられている搬送コンベア間におけるアンプルの受渡手段では次のような問題がある。第1の公報(特開平5−229660号公報)による受渡手段では、搬送コンベア間に衝撃吸収材を設けることによりアンプル落下時の衝撃を緩和するようにしているが、複数のアンプルが多数同時に払い出されると、搬送コンベア上でアンプル同士が相互衝突して割れる可能性がある。
【0005】
第2の公報(特開平10−265052号公報)による受渡手段では、搬送コンベア間にアンプルの一時的なストック部として設けた中間収容器にアンプルを受け渡す際、及び中間収容器から第2搬送コンベアに排出する際のいずれの場合もアンプル同士の相互衝突による割れが発生する可能性がある。特に、中間収容器に多数のアンプルを貯留すると、これらのアンプルを第2搬送コンベアへ排出する際に一気に排出される虞れがあり、この現象は排出体数が増えると顕著となる。
【0006】
この発明は、かかる従来のアンプル払出装置に設けられているアンプルの受渡し手段の問題に留意して、高さに差のある搬送手段へアンプルを移載する際にアンプル同士の相互衝突、落下衝撃による割れをなくし安全で確実にアンプルを受け渡しできるアンプル受渡装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決する手段として、アンプルを受け取り、そのアンプルを搬送手段へ受渡しするアンプル受渡装置において、アンプルを貯留するストック部を昇降自在に設け、このストック部に設けた排出口を弾性的に閉じる蓋板とこの蓋板をロックする手段とを設け、ストック部の下降位置でロック手段から蓋板を開放して開き、ストック部を上昇させながらアンプルを連続的に搬送手段へ受渡しすることを特徴とするアンプル受渡装置としたのである。
【0008】
上記構成のアンプル受渡装置は、高さに段差のある搬送手段へアンプルを受渡しする位置に設置されて用いられる。所定数のアンプル(バイアルを含む)が供給されるとストック部が受取位置に上昇した状態でアンプルを受取り、それらはストック部に一時的に貯留される。そして、ストック部が下降すると下降位置でロック手段から蓋板が開放され排出口が開かれる。
【0009】
排出口から先頭のアンプルが排出され、それに伴ってストック部を上昇させると排出口から残るアンプルの全数が連続的に排出される。このようにしてアンプルを排出する動作は、ストック部が搬送手段に接近した下降位置から始まるためアンプルは搬送手段に対してソフトランディング状態で受渡しされる。
【0010】
【実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は実施形態のアンプル受渡装置の概略構成の側面図を示す。図示のように、アンプル受渡装置Aは、アンプル貯留供給装置(払出装置)Bから払い出されたアンプルaを一方向へ搬送する第1搬送コンベアC1 と、これと交叉してアンプルを受取り搬送する第2搬送コンベアC2 との間に設けられている。
【0011】
アンプル貯留供給装置Bは公知のものであり、複数のカセットK内に種々サイズの異なるアンプルaが多数水平多段状に収納され、払出手段の払出しローラR(半円状)を回転させることにより払い出されるようにしたものを引出ユニット(一列のみ示している)に収納し、これを図示しない本体ケース内に複数列備えている(特開平5−22960号公報参照)。払い出されたアンプルaは第1搬送コンベアC1 により一方向に送られ、アンプル受渡装置Aに供給される。
【0012】
図2にアンプル受渡装置Aの平面図を示す。図3、図4は、図2の矢視III −III 、IV−IVから見た縦断面図である。アンプル受渡装置Aは、支持フレームとして対向配置された2つの側板1、1の間にアンプルを一時的に貯留するストック部2と、その片側端寄りの上方に側板1、1に回転自在に設けられている可動式の案内ガイド3とを備えている。
【0013】
4はストック部2を昇降させる昇降ユニット、5はストック部2を昇降させるためのリンク機構、6はストック部2を開閉させるための開閉ユニットである。ストック部2は第1搬送コンベアC1 から払い出されるアンプルを受取る受取位置と第2搬送コンベアC2 へアンプルを排出する排出位置間を昇降ユニット4により昇降動作する。
【0014】
ストック部2は断面が略コの字形の皿状で、ストック部2を形成するための側板で囲まれた略箱形状とされ、側板に設けた軸2xの周りに大きく開閉される1次開閉部2aと、ストック基部2bの2つの半部分から成る。ストック部2の1次開閉部2aは、その側板が図示のように、ストック基部2bの側板と重ねて設けられ、1次開閉部2aの下方にはストック部2を部分的に開閉する2次開閉部2cが設けられている。
【0015】
この2次開閉部2cはストック部2の開口を蓋板7でコイルばね8により弾性的に閉じ、アンプルの自重で自然開閉されるように形成されている。なお、蓋板7の開閉はストック部2の昇降動作にも関係しているがそれについては後で動作説明において説明する。蓋板7の基端は軸の周りに回転自在であり、その先端側には蓋板7の開放をロックするロック部材としての係止部又は係止片9(以下係止部9という)がストック基部2b側に固定して設けられている。ストック基部2bの内側底面にはアンプルへの衝撃を吸収するための弾性シート10が敷設されている。なお、上記コイルばね8は板ばねとしてもよいし、その他弾性的に蓋板7を閉じる手段であればどんな形式でもよい。
【0016】
案内ガイド3は第1搬送コンベアから払い出されるアンプルをストック部2に案内し、アンプル受取り時にアンプルの相互衝突による破損を防止するためのものであり、軸3xの周りに回転自在に設けたガイド板3aから成る。軸3xがガイド板3aの片端寄りに設けられ、第1搬送コンベアC1 から送られて来るアンプルaをその端部で受取るためそのやや下方で待機するように設けられている。ガイド板3aの上にも弾性シート10が敷設されている。3pは側板1、1に設けられた回転止めである。
【0017】
ストック部2には、片側2つずつの平行リンク5aの2対から成るリンク機構5が側板1、1との間に連結され、ほぼ平行にストック部2は昇降自在とされている。平行リンク5a、5aは一端が軸5xにより側板1、1に連結され、他端が軸5yによりストック部2の側板に連結されている。ストック部2のストック基部2bの下底の中央には昇降アーム11の一端が取付座12を介して軸11xを中心に回転自在に取り付けられ、昇降アーム11の他端は軸11yを介して回転板13に偏心状にクランク接続されている。
【0018】
回転板13は軸13xにより昇降モータ14の出力軸に連結されている。従って、上記昇降モータ14と回転板13と昇降アーム11により昇降ユニット4が形成され、昇降動作がリンク機構5により上下方向となるように規制されている。Phは回転板13の回転及び角度から昇降アーム11によるストック部2の昇降を検出する昇降センサであり、この昇降センサの信号によりストック部2の受取位置と排出位置の検出を行っている。昇降センサPhの検出方式は光電式であるが、その検出方式は磁気、超音波など他のどんな方式のものでもよい。
【0019】
開閉ユニット6は、ストック部2の1次開閉部2aを大きく開閉させるためのものであり、開閉モータ20を取付板21でストック基部2bの裏面に固定し、開閉モータ20の出力軸に開閉カム22が連結されている。カム板22は略卵形であり、その偏心位置でモータ出力軸に連結されている。開閉カム22はこれに接続される三角板23と開閉アーム24を含んで1次開閉部2aの開閉手段を形成している。なお、この開閉手段は片側にのみ設けられている。
【0020】
又、1次開閉部2aの開閉タイミング及び開放角度はアンプルの形状、仕様等に対応して変更できるが、その場合カム板22の形状変更によって行える。
【0021】
開閉カム22は図示しないセンサにより開放位置と閉位置を取るように形状、位置決めがされている。
【0022】
上記開閉手段の三角板23にはその一頂部位置にローラ25が軸25xにより回転自在に設けられ、ローラ25は常に開閉カム22の外周に滑動しながら接触している。三角板23は取付板26によりストック基部2bの底板に三角板の他の一頂部位置で軸26xを介して回転自在に取り付けられている。三角板23は他の一頂部位置で軸24xを介して開閉アーム24の一端に回転自在に連結され、開閉アーム24の他端は軸24yを介して1次開閉部2aの側板に回転自在に連結されている。
【0023】
上記の構成とした実施形態のアンプル受渡装置Aの作用について説明する。第1搬送コンベアC1 から送られて来るアンプルaを受渡しする動作の初期にはストック部2は、図3、図4に示すように、上昇した受取り位置で待機している。このとき案内ガイド3はストック部2で片端が押し上げられて略水平に近いわずかな傾斜状態となっている。搬送されたアンプルaは案内ガイド3上に落下してストック部2へと転がり、ストック部2内のアンプルaは傾斜している底を通り蓋板7で閉じられている開口側へと集まる。
【0024】
ストック部2は平らな皿状に底が傾斜しているため、上記のようにアンプルaが案内ガイド3から順次ストック部2内に集められ、従ってアンプル受取りの際の相互干渉による割れが防止される。
【0025】
アンプル貯留供給装置から払い出される全てのアンプルがストック部2内に集められると昇降ユニットの作動によりストック部2が下降して図6に示す排出位置の状態となる。このとき、案内ガイド3は軸3xが偏心位置にあるため自重で略水平に近い傾斜状態から所定角度の少し大きい傾斜状態に回転し、このため案内ガイド3上にアンプルaが残留していてもそれらのアンプルaは確実にストック部2へ落下する。又、ストック部2がアンプル受取り位置にあるときアンプルがストック部2と案内ガイド3の両部材間にまたがってブリッジ状態となっていてもストック部2が下降しかつ案内ガイドが少し大きい傾斜状態に回転するため、このようなブリッジ状態も確実に解消される。
【0026】
ストック部2が排出位置の状態に下降すると、開閉モータ20が作動してストック部2の1次開閉部2aの開放動作を開始する。なお、開閉モータ20はストック部2の裏底に固定して設けられているからストック部2の昇降と一緒に昇降する。開閉モータ20が作動を始めると、開閉カム22の回転位相が図4の状態から図7の状態に変化し、ローラ25を介して三角板23を押圧する。
【0027】
このため、開閉アーム24が1次開閉部2aを押し始めて1次開閉部2aが軸2xを中心にわずかに回転すると、蓋板7の先端が係止部9から外れる。すると、蓋板7はコイルばね8で上方に押えられているが、その弾性力はアンプルaの自重が作用すると下がる程の大きさに設定されているため、アンプルの自重で蓋板7が下がり開放されて先頭のアンプルaが第2搬送コンベアC2 上に排出される。
【0028】
その後、1次開閉部2aがさらに回転するとストック基部2bと1次開閉部2a間の開口が大きく開かれながら蓋板7も上昇するため先頭のアンプルaをせき止める部材がなくなりストック基部2bの底が大きく傾斜することにより残るアンプルaも次々と第2搬送コンベアC2 上へと移動し、図8に示すように、全てのアンプルaが排出される。なお、蓋体7はアンプルaをせき止めていた状態より上へ1次開閉部2aが上がるとコイルばね8の弾性力により再び開口を閉じる。
【0029】
又、1次開閉部2aを全開放したときにストック基部2bとの間に形成される開口寸法は収容するアンプルaの長さより大きく設定しており、ストック部2内で縦向きになったアンプルaを確実に排出できるようにしている。
【0030】
ストック部2からアンプルaの全てを排出すると、昇降ユニットによりストック部2を上昇させながら、所定高さ以上になると開閉モータ20も作動させて1次開閉部2aを閉じるようにして、初期の待機位置では元の状態に戻る。
【0031】
上記実施形態では、2つの搬送コンベアが互いに交叉する位置にアンプル受渡装置を設ける例について説明したが、これに限らず搬送ライン上のトレー内へのアンプル投入の場合や薬袋への袋詰め投入の場合にも利用できることは言うまでもない。
【0032】
上記実施形態では1次開閉部2aは軸2xで回転して開閉する方式としたが、ストック基部2bに対して閉じた状態で上下方向にスライドして排出口を大きく開閉するようにしてもよい。又、上記2次開閉部2cの蓋板7は係止部9と1次開閉部2aによりロック開閉するようにしているが、係止部9をストック基部2bの底板に沿って例えばシリンダなどにより突出、引込み自在なロック手段とすれば、ロック手段は1次開閉部2aとは無関係に構成できる。
【0033】
さらに、ストック部2の昇降はリンク機構と昇降ユニット4により行っているが、側方に上下方向に移動を案内することができるリニアガイド手段を設けて昇降させるようにしてもよい。又、可動式の案内ガイド3は側板1、1に固定して設けているが、ストック部2に設置してストック部2と一緒に昇降させるようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明のアンプル受渡装置は、昇降自在に設けたストック部の排出口を弾性的に閉じる蓋板をロック手段で閉じ、ストック部の下降位置で蓋板を開放し、ストック部の上昇に伴ってアンプルを連続して排出するようにしたから、搬送手段へのアンプルの受渡しの際アンプル同士の相互衝突、落下衝撃による割れをなくし、安全で確実にアンプルを搬送手段へ受渡しできるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のアンプル受渡装置の外形側面図
【図2】同上の平面図
【図3】図2の矢視III −III から見た断面図
【図4】図2の矢視IV−IVから見た断面図
【図5】アンプル受渡装置の全体概略斜視図
【図6】アンプル受渡装置の作動(ストック部下降時)の説明図
【図7】アンプル受渡装置の作動(蓋板開放時)の説明図
【図8】アンプル受渡装置の作動(1次開閉部開放時)の説明図
【符号の説明】
1 側板
2 ストック部
3 可動案内ガイド
4 昇降駆動部
5 リンク機構
5a 平行リンク
6 開閉駆動部
7 蓋板
8 コイルばね
9 係止部
10 弾性シート
11 昇降アーム
13 回転板
14 昇降モータ
20 開閉モータ
22 開閉カム
23 三角板
24 開閉アーム

Claims (5)

  1. アンプルを受け取り、そのアンプルを搬送手段へ受渡しするアンプル受渡装置において、アンプルを貯留するストック部を昇降自在に設け、このストック部に設けた排出口を弾性的に閉じる蓋板とこの蓋板をロックする手段とを設け、ストック部の下降位置でロック手段から蓋板を開放して開き、ストック部又はストック部の一部を上昇させながらアンプルを連続的に搬送手段へ受渡しすることを特徴とするアンプル受渡装置。
  2. 前記ストック部を互いに開放自在な2つの半部分から形成し、2つの半部分の一方を他方に対して開放自在とした1次開閉部の下底に排出口を設け、その排出口を前記蓋板と弾性部材で閉じる2次開閉部を1次開閉部に取付けたことを特徴とする請求項1に記載のアンプル受渡装置。
  3. 前記ロック手段が前記2つの半部分の他方に設けた係止片と1次開閉部とから成ることを特徴とする請求項2に記載のアンプル受渡装置。
  4. 前記2次開閉部を1次開閉部に連動して開放自在に設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載のアンプル受渡装置。
  5. 前記アンプルを受取る受取位置に水平軸を中心に回転自在な可動案内ガイドを設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のアンプル受渡装置。
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