JP4275765B2 - 電動シリンダ装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電動シリンダ装置に係り、特に電動モータとボールねじとを利用して操作アームを伸縮させる電動シリンダ装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動モータとボールねじとを組み合わせた電動シリンダ装置は、アクチユエー夕として各種の装置に用いられている。電動シリンダ装置は、円筒状のシリンダ内にボールねじのねじ軸を回転自在に支承するとともに、このねじ軸に螺合するボールナットを備えた中空状の操作アームをねじ軸に被せ、更にこの操作アームを上記シリンダに対してスライド自在に支承して構成されている。
【0003】
図8は、従来の電動シリンダ装置の一例を示す断面図である。図8において、符号1は円筒状のシリンダであり、シリンダ1の一端には減速機ハウジング2が固定されている。減速機ハウジング2には軸受3が保持されており、この軸受3によってボールねじ4のねじ軸5が回転自在に支承されている。ねじ軸5の一端は、プーリ9A,9B及びベルト10からなる減速機8を介して減速機ハウジング2に固定された電動モータ11に連結されている。
【0004】
図9及び図10にも示したように、ボールねじ4のねじ軸5には多数のボール6を介してボールナット7が螺合する。また、ボールナット7はボールナット収容筒12にボルト13を利用して固定されている。
【0005】
図8に示すように、シリンダ1の他端にはボールスプライン14のスプライン外筒15が固定されている。このスプライン外筒15の中心部には中空のスプライン軸16がボールねじ4のねじ軸5と同軸に取り付けられている。スプライン軸16は、スプライン外筒15によってシリンダ1に対する回り止めがなされた状態で軸方向に進退自在である。このスプライン軸16が電動シリンダ装置の操作アームとして機能する。スプライン軸16の一端はシリンダ1内でボールナット収容筒12を介してボールナット7に連結され、他端はシリンダ1から突出している。スプライン軸16のシリンダ1からの突出端部およびハウジング2には、例えばユニバーサルジョイント17A,17Bが取り付けられる。これらユニバーサルジョイント17A,17Bを介して電動シリンダ装置とその駆動対象とが連結される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の電動シリンダ装置A0においては、スプライン軸16とボールナット7とを個別に製作し、ボールナット7をスプライン軸16の一端に固定している。即ち、ボールナット7をボールナット収容筒12に収容した後に、ボールナット7のフランジ部7aをボルト13によってボールナット収容筒12に固定し、かつボールナット7を固定したボールナット収容筒12をスプライン軸16に固定している。この構造では、ボールナット7のナット部7bおよびスプライン軸16の外周にボールナット筒12が覆い被さる。従って、ボールナット収容筒12の外径が大きくなってねじ軸5とスプライン軸16との連結部分の質量が増加するとともに、大径化したナット収容筒12を収容するシリンダ1も大きくなって装置全体の質量が増加する。
【0007】
ここで、ボールナット7、スプライン軸16およびねじ軸5の力学的関係を考察してみると、スプライン軸16はスプライン外筒15によって片持支持され、ねじ軸5は軸受3によって片持支持されている。即ち、ボールナット7とねじ軸5との螺合部は、ねじ軸5およびスプライン軸16のいずれにとっても自由端になっている。従って、ボールナット収容筒12の質量が大きいと、スプライン軸16の自由端側に大きな荷重が加わることになり、その結果、ねじ軸5の回転に伴ってボールナット収容筒12には比較的大きな慣性力が働き、スプライン軸16の一端がスプライン外筒15との嵌合部(以下、スプライン嵌合部と称する場合がある。)の中央を支点として振れ回わり運動をする。
【0008】
しかも、従来の装置では、スプライン軸16、ボールナット7およびボールナット収容筒12を相互に組み合せているため、加工上及び組立上の誤差が積み重なってスプライン軸16とボールナット7との軸心がずれる場合がある。この軸心のずれが生じている場合には、スプライン軸16の振れ回りが更に増幅される。スプライン軸16やねじ軸5の振れ回りの周期がそれらの固定振動数に一致した場合には共振が発生し、精度の劣化等の不都合がさらに拡大する。
【0009】
また、スプライン軸16の他端に設けられたユニバーサルジョイント17Aも同様にスプライン嵌合部の中央を支点として振れ回わり運動をする。この場合、振れ回わりの振幅は、ボールナット7からスプライン嵌合部の中央までのスパンと、ユニバーサルジョイント17Aからスプライン嵌合部の中央までのスパンとの比率に対応することになり、スプライン軸16が伸びきった場合にユニバーサルジョイント17Aの振れ回わりの振幅は最大となる。このように、従来の電動シリンダ装置は、ユニバーサルジョイント17Aが伸長しながら振れ回わり運動をするので、高精度の直線運動が要求される装置のアクチュエータとしては使用できないという間題点があった。
【0010】
さらに、ねじ軸5を片持支持する構造においては、ねじ軸5の危険速度(共振を起こす回転数)が両端支持等の他の支持構造と比較して低くなるため、これを改善するためにねじ軸5の直径をなるべく大きく設定することが望ましい。しかしながら、ねじ軸5を大径化すればボールナット7も大径化し、その結果、ナット収容筒12がさらに大きく重くなって上述したスプライン嵌合部の振れ回り運動が生じ易くなる。ボールナット7やナット収容筒12が大径化すれば、これらを収容するシリンダ1も大きくなり、装置全体の質量がさらに増加する。これらの事情からねじ軸5の直径が小さい値に制限され、その結果、ボールねじ4の定格荷重も小さい値に制限されていた。
【0011】
また、ボールナット7とスプライン軸16との固定部は、他の部分より肉厚が薄い部分が存在するため、この部分が強度不足になるという問題点がある。この場合、操作アームとしてのスプライン軸16には、座屈荷重、引張荷重及び曲げ荷重が繰り返し作用するため、前記薄肉部が直ちに破壊に至ることはなくても、長期問の使用によって疲労破壊を起こすという問題点があった。
【0012】
さらにまた、従来の装置はナット収容筒12の存在により部品点数が増加する欠点もある。
【0013】
本発明は上述の事情に鑑みなされたもので、操作アームの先端部の振れ回わりを防止して高精度の直線運動を行なうことができ、装置の大きさや質量の増加を防止しつつボールねじのねじ軸を大径化してボールねじの危険速度や定格荷重等の物理特性を改善でき、操作アームに十分な機械的強度を確保でき、部品点数も削減できる電動シリンダ装置およびそれに適した製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0015】
請求項1の発明は、筒状のシリンダ(1)と、このシリンダ(1)の内部に配置されるボールねじ(20)と、シリンダ(1)の一端側でボールねじ(20)のねじ軸(21)と連結されて当該ねじ軸(21)を回転駆動するモータ(11)と、シリンダ(1)の他端側に設けられた案内手段(42)と、案内手段(42)により、ねじ軸(21)の軸線に沿ってシリンダ(1)の他端側から突出動作可能に支持された操作アーム(41)と、を具備する電動シリンダ装置において、操作アーム(41)の一端部の内周に、当該一端部をボールねじ(20)のボールナット(22)として機能させるためのねじ溝(22a)が一体に設けられ、前記シリンダ(1)の他端側にボールスプライン(40)が配置され、そのボールスプラインの外筒(42)が前記案内手段として、スプライン軸(41)が前記操作アームとしてそれぞれ使用され、前記スプライン軸(41)は、前記ねじ軸(21)の回転に伴って、前記ねじ溝(22a)の一端まで転走したボール(6)を前記ねじ溝(22a)の他端に戻すリターンチューブ(24)を備えている電動シリンダ装置により、上述した課題を解決する。
【0016】
本発明によれば、操作アーム(41)の一端部にボールナット(22)のねじ溝(22a)を一体に形成したため、ボールねじ(20)のボールナット(22)と操作アーム(41)との間から、別部材としての中間部材が排除される。従って、ねじ軸(21)と操作アーム(41)との連結部分に作用する荷重が減少するとともに、ボールナット(22)のねじ溝(22a)と操作アーム(41)の案内手段(42)に案内される部分との間から組立誤差が排除されてねじ軸(21)と操作アーム(41)との同軸度が向上する。従って、ねじ軸(21)と操作アーム(41)との連結部分の慣性力に起因して生ずる操作アーム(41)の振れ回わりを最小限に抑えることができる。
【0017】
また、中間部材が省略されたことによりシリンダ(1)内に生じるスペースを利用して操作アーム(41)およびその一端のボールナット(22)を外周側に拡大でき、それに伴ってボールねじ(20)のねじ軸(21)を大径化できる。これにより、ねじ軸(21)の危険速度が大きくなり、従来のものよりねじ軸(21)を高速で回転させることができる。ねじ軸(21)の大径化により、ねじ軸(21)とボールナット(22)との間に介在して荷重を受ける転動体(ボール)の数が増えるので、ボールねじ(20)の負荷容量が増加して定格荷重が大きくなる。
【0018】
さらに、操作アーム(41)の全長に亘って薄肉部が存在することがなく、強度および耐久性をともに向上させることができる。ねじ軸(21)と操作アーム(41)との間の中間部材の省略により部品点数が減少する。
【0020】
さらにまた、この発明によれば、スプライン軸(41)が外筒(42)により周方向に回り止めされつつボールねじ(20)のねじ軸(21)の軸線方向に案内される。従って、操作アームの回り止めを別に設ける必要がない。また、操作アーム(41)が案内手段(42)によって周方向に回り止めされているので、操作アーム(41)とその駆動対象との間にベアリング等を介在させて操作アーム(41)と駆動対象との間の周方向の相対運動を許容することもできる。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1記載の電動シリンダ装置において、前記操作アームとしてのスプライン軸(41)の外周およびスプライン溝(41a)がスプライン軸(41)に形成された所定の加工基準部に対して所定精度に研削加工され、その研削加工された外周を基準としてねじ溝(22a)が所定精度に研削加工されていることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、スプライン溝(41a)とねじ溝(22a)との間に組立誤差が介在せず、両溝の同軸度を向上させることができる。
【0023】
請求項3の発明は、筒状のシリンダ(1)と、このシリンダ(1)の内部に配置されるボールねじ(20)と、シリンダ(1)の一端側でボールねじ(20)のねじ軸(21)と連結されて当該ねじ軸(21)を回転駆動するモータ(11)と、シリンダ(1)の他端側に設けられた案内手段(42)と、案内手段(42)により、ねじ軸(21)の軸線に沿ってシリンダ(1)の他端側から突出動作可能に支持された操作アーム(41)とを具備し、シリンダ(1)の他端側にボールスプライン(40)が配置され、そのボールスプラインの外筒(42)が前記案内手段として、スプライン軸(41)が前記操作アームとしてそれぞれ使用された電動シリンダ装置の製造方法において、スプライン軸(41)の外周およびスプライン溝(41a)をスプライン軸(41)に形成された所定の加工基準部に対して所定精度に研削加工する工程と、スプライン軸(41)の一端部の内周に、当該一端部をボールねじ(20)のボールナット(22)として機能させるためのねじ溝(22a)を、前記研削加工された外周を基準として所定精度に研削加工する工程と、前記スプライン軸(41)に、前記ねじ軸(21)の回転に伴って、前記ねじ溝(22a)の一端まで転走したボール(6)を前記ねじ溝(22a)の他端に戻すリターンチューブ(24)を取り付ける工程と、を含む電動シリンダ装置の製造方法により、上述した課題を解決する。
【0024】
本発明によって製造された電動シリンダ装置によれば、請求項2の電動シリンダ装置と同様の作用効果を奏することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1〜図6は本発明の実施形態に係る電動シリンダ装置を示すものであり、各図において図8〜図10の電動シリンダ装置と共通する部分には同一符号を付してある。
【0026】
図1から明らかなように、本実施形態の電動シリンダ装置A1は、モータ11にて発生した回転運動が減速機構8を介してボールねじ20のねじ軸21に伝達され、そのねじ軸21の回転がボールナット22の直線運動に変換され、その直線運動に応じてボールスプライン40の中空のスプライン軸41が軸方向に駆動される点で、上述した図8の電動シリンダ装置A0と共通する。しかしながら、従来の装置A0では、ボールナット7とスプライン軸16(図8参照)とが別部材として構成されていたのに対して、本実施形態の電動シリンダ装置A1は、スプライン軸41の一端部の内周にねじ溝22aが一体に形成され、それによりスプライン軸41の一端部がボールナット22として機能する。
【0027】
図2はボールナット22が形成されたスプライン軸41の一端部を拡大して示す図であり、図3はその一端部の平面図、図4は軸方向断面図である。これらの図から明らかなように、ボールナット22は、ねじ軸21のねじ溝21aに対応してスプライン軸41の内周面に形成されたねじ溝22aと、ねじ軸21の回転に伴って両ねじ溝21a、22aの間をねじ溝22aの一端まで転走したボール(転動体)6をねじ溝22aの他端へ戻すべくスプライン軸41に取り付けられたリターンチューブ24と、そのリターンチューブ24を所定位置に保持すべくスプライン軸41の外周の切欠平面部41bにボルト25を用いて固定されたチューブホルダ26とを有している。また、スプライン軸41の一端には、ねじ軸21の外周と接触する環状のシール部材27が止め輪28を用いて装着されている。
【0028】
図5および図6はボールスプライン40の詳細を示すものである。このボールスプライン40は、操作アームとしてのスプライン軸41の一端部にボールナット22が一体に設けられている点を除き、一般のボールスプラインと同様の構成を有している。すなわち、スプライン軸41の外周を3等分する位置には、2条で一組をなすスプライン溝41aがスプライン軸41の軸線と平行に形成されており、スプライン外筒42の内周にはそれらスプライン溝41aと協働してボール44を挟み込むボール転走溝45が形成されている。スプライン外筒42はシリンダ1の他端側(図1の右端側)の内周に固定されて案内手段として機能する。スプライン外筒42の内周にはスプライン軸41が抜き取られたときのボール44の脱落を防止するリテーナ46が挿入され、そのリテーナ46は止め輪47により軸方向に抜け止めされている。リテーナ46には、ボール転走溝45の一端まで転走したボール44をボール転走溝45の他端まで戻すための戻し路48が形成されている。止め輪47の内周にはスプライン軸41の外周に接触する環状のシール部材49が取り付けられている。
【0029】
以上の構成によれば、スプライン軸41のスプライン溝41aの内周にボールナット22のねじ溝22aを一体に設けたので、ボールナット22とスプライン軸41との間に、従来の収容筒12(図8参照)のような大径で質量の嵩む中間部材を設ける必要がない。従って、スプライン軸41の自由端部に加わる荷重を低減できる。しかも、ねじ溝22aとスプライン溝41aとを同一部材に加工しているので、これらの間から組立誤差を排除でき、両者の同軸度を容易に高められる。これにより、スプライン軸41の自由端に設けられたボールナット22の振れ回りを最小限に抑え、スプライン軸41を高精度に直線運動させることができるとともに、ボールねじ20やボールスプライン40の摩耗や損傷を抑えてそれらの耐久性を向上させることができる。
【0030】
また、従来の収容筒12に相当する部材が省略されるため、それによってシリンダ1内に生じたスペースを利用してスプライン軸41およびその一端のボールナット22を拡大できる。これにより、ねじ軸21を大径化してその危険速度を増加させ、ねじ軸21を従来よりも高速で回転させることができる。また、ねじ軸21およびボールナット22の大径化によって、それらの間に介在して荷重を受けるボール6の数が増加する。このため、ボールねじ20の負荷容量が増えてその定格荷重が大きくなる。ねじ軸21の座屈荷重に対する強さも増す。
【0031】
さらに、ボールねじ20とスプライン軸41との間に中間部材が存在しないため、部品点数が減少するとともに、その中間部材を取り付けるロスや、強度を保持するためのロスがなくなり、電動シリンダ装置の長さを短縮でき、その結果装置のコンパクト化が可能となる。
【0032】
また、上記の電動シリンダ装置によれば、ねじ溝22aをスプライン軸41の内周に直接形成しているので、スプライン軸41の内径とボールナット22のねじ溝22aの内径とを近似させることができ、この点でもねじ軸21を大径化できる。さらに、スプライン軸41をその全長に亘ってほぼ均一な断面に形成できるので、スプライン軸41に作用する軸方向の圧縮や引張荷重、あるいは軸方向と直交する曲げ荷重に対するスプライン軸41の強さを高めてその疲労強度を向上させることができる。
【0033】
次に、スプライン軸41の製造手順の一例を図7により説明する。この手順では、まずスプライン軸41の素材となる棒材またはパイプ材の内周および外周を粗加し(ステップS1)、次いでその素材の両端にセンタ穴を加工する(ステップS2)。その後、加工されたセンタ穴を基準として外周を仕上げ加工し(ステップS3)、その仕上げ加工された外周を基準としてねじ溝22aが形成される部分を仕上げ加工する(ステップS4)。続いて、仕上げ加工された外周を基準として素材の内周にねじ溝22aを粗加工し(ステップS5)、さらにセンタ穴を基準として外周にスプライン溝41aを加工する(ステップS6)。
【0034】
その後、ボールナット22を設けるために必要な部位、例えば切欠平面部41bやリターンチューブ24を取り付ける穴を、既に形成されたねじ溝22aに合わせて加工し(ステップS7)、続いてねじ溝22aおよびスプライン溝41aの両者に対して焼き入れ焼戻しの熱処理を行なう(ステップS8)。
【0035】
熱処理後は研削による仕上げ工程に移行し、まずセンタ穴を研削加工する(ステップS9)。続いて、研削されたセンタ穴を基準として素材の外周を研削仕上げし(ステップS10)、さらにセンタ穴を基準としてスプライン溝41aを研削仕上げする(ステップS11)。次に、外周の研削面を基準としてねじ溝22aが形成された部分の内周を研削仕上げし(ステップS12)、その後、外周の研削面を基準としてねじ溝22aを研削仕上げする(ステップS13)。以上により加工工程を終了し、その後、リターンチューブ24やチューブホルダ26を組み付ける(ステップS14)。これによりスプライン軸41が完成する。
【0036】
以上の製造手順はあくまで一例であり、適宜変更、省略、追加が可能である。例えばステップS10とステップS11は同一個所を基準として研削しているので、順番を入れ替えてもよい。ステップS12とステップS13についても順番を変更可能である。スプライン溝41aとねじ溝22aとの同軸度を向上させるためには、ステップS8、ステップS9、ステップS11およびステップS13が特に重要である。
【0037】
図1の電動シリンダ装置A0においては、スプライン軸41の先端部(図1の右端部)およびハウジング2にはユニバーサルジョイント51,52がそれぞれ取り付けられる。これらのユニバーサルジョイント51,52は、例えば図11の6軸パラレルリンク機構100に電動シリンダ装置A0を組み込む場合に使用される。
【0038】
図11の6軸パラレルリンク機構100は、一対のフレーム101,102と、6本の電動シリンダ装置A0…とを有しており、各フレーム101,102にはそれぞれ3本のアーム101a…,102a…が設けられている。下部フレーム101の各アーム101aには、それぞれ二本の電動シリンダ装置A0のハウジング2がユニバーサルジョイント52を介して連結される。そして、同一のアーム101a上に取り付けられた二本の電動シリンダ装置A0のスプライン軸41は、ユニバーサルジョイント51を介して上側フレーム102の異なるアーム102aに連結される。
【0039】
このパラレルリンク機構100では、電動シリンダ装置A0のスプライン軸41の伸縮に応じてフレーム101,102とハウジング2およびスプライン軸41との連結点に種々の方向の回転変位が生じる。そのためにユニバーサルジョイント51,52が必要となる。
【0040】
図1に示すユニバーサルジョイント51は、スプライン軸41をその軸線の回りに回転自在に支持するスラストベアリング53およびラジアルベアリング54が組み込まれている点で、ハウジング2側のユニバーサルジョイント52と異なっている。これらのベアリング53,54は、上述した6軸パラレルリンク機構100でスプライン軸41とフレーム102との間に生じるねじり変位を許容するために設けられたものである。なお、図11の使用例の場合、ユニバーサルジョイント51に代えて球面軸受けを利用してもよい。
【0041】
以上の実施形態では、ボールスプライン40のスプライン軸41を操作アームとして、スプライン外筒42を操作アームに対する案内手段としてそれぞれ使用したが、本発明はボールスプラインを使用する例に限定されない。すなわち、操作アームはそれと連結される駆動対象によって回り止めされる場合があり、そのような場合には案内手段としてボールブッシュやすべりブッシュ等の回り止め機能を有しないものを利用し、操作アームをそれらブッシュと嵌合する中空軸として構成できる。図1のユニバーサルジョイント51や球面軸受けが使用される場合のように、駆動対象によって操作アームを回り止めできない場合でも、ボールブッシュやすべりブッシュと操作アームとの間にすべりキー等を追加して操作アームを回り止めすることもできる。
【0042】
本発明において、操作アームは必ずしも単一材料にて構成される必要はない。例えば操作アームの一端部に別部材からなる筒体を焼き嵌めや圧入等の固着手段を用いて脱着不能に嵌合させ、その後に操作アームの外周形状やねじ溝をそれぞれ加工してもよい。要は、操作アームの案内手段にて案内される部分と、ねじ溝がそれらの加工後の組立工程を経ることなく一体化されている構成であれば、本発明でいう「ねじ溝が一体に設けられた」概念に含まれる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、操作アームの一端部の内周にボールナットのねじ溝を一体に設けたため、操作アームの自由端部に加わる荷重を低減できるとともに、ボールナットのねじ溝と操作アームの案内手段にて案内される部分との間の組立誤差を排除してねじ軸と操作アームとの同軸度を高めることができ、その結果、操作アームの振れ回わりを最小限に抑えることができる。したがって、スプライン軸の高度な直線運動を確保することができるとともに、ボールねじおよびボールスプラインの摩耗や損傷を防いでそれらの耐久性を向上させることができる。
【0044】
また、ボールナットと操作アームとの間から両者を連結するための中間部材が省略され、それに伴ってシリンダ内に生じたスペースを利用して操作アームおよびボールナットを拡大してねじ軸を大径化できるので、ねじ軸の危険速度を増加させてねじ軸を従来よりも高速で回転させることができるとともに、ねじ軸とボールナットとの間に介在して荷重を受ける転動体の数を増やしてボールねじの負荷容量を増大させ、それによりボールねじの定格荷重を従来よりも大きくできる。ねじ軸の大径化によってその座屈強度も増加させることができる。
【0045】
さらに、ボールナットと操作アームとの間に中間部材が存在しないため、部品点数が減少するとともに、その中間部材を取り付けるロスや、強度を保持するためのロスがなくなり、電動シリンダ装置の長さを短縮でき、その結果装置のコンパクト化が可能となる。
【0046】
スプライン軸を全長に亘って略均一な断面とすることができ、スプライン軸に加わる各種の荷重に対して充分な強度を確保することができるとともに疲労強度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動シリンダ装置のシリンダ軸線に沿った断面図。
【図2】図1の電動シリンダ装置に設けられたボールねじとボールスプラインとの連結部分を拡大して示す図。
【図3】図2の矢印III方向からの平面図。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図。
【図5】図1の電動シリンダ装置に設けられたボールスプラインを一部破断して示した斜視図。
【図6】図5のボールスプラインの外筒を一部破断して示した正面図。
【図7】図1のボールスプライン軸の製造手順を示す工程図。
【図8】従来の電動シリンダ装置のシリンダ軸線に沿った断面図。
【図9】図8の電動シリンダ装置に設けられたボールねじとボールスプラインとの連結部分を拡大して示す図。
【図10】図9のX−X線に沿った断面図。
【図11】図1の電動シリンダ装置を使用した6軸パラレルリンク機構の斜視図。
【符号の説明】
1 シリンダ
11 モータ
20 ボールねじ
21 ねじ軸
21a ねじ軸のねじ溝
22 ボールナット
22a ボールナットのねじ溝
24 リターンチューブ
26 チューブホルダ
40 ボールスプライン
41 スプライン軸(操作アーム)
41a スプライン溝
42 スプライン外筒(案内手段)
51,52 ユニバーサルジョイント
Claims (3)
- 筒状のシリンダと、
このシリンダの内部に配置されるボールねじと、
前記シリンダの一端側で前記ボールねじのねじ軸と連結されて当該ねじ軸を回転駆動するモータと、
前記シリンダの他端側に設けられた案内手段と、
前記案内手段により、前記ねじ軸の軸線に沿って前記シリンダの他端側から突出動作可能に支持された操作アームと、
を具備する電動シリンダ装置において、
前記操作アームの一端部の内周に、当該一端部を前記ボールねじのボールナットとして機能させるためのねじ溝が一体に設けられ、
前記シリンダの他端側にボールスプラインが配置され、そのボールスプラインの外筒が前記案内手段として、スプライン軸が前記操作アームとしてそれぞれ使用され、
前記スプライン軸は、前記ねじ軸の回転に伴って、前記ねじ溝の一端まで転走したボールを前記ねじ溝の他端に戻すリターンチューブを備えている
ことを特徴とする電動シリンダ装置。 - 前記操作アームとしての前記スプライン軸の外周およびスプライン溝が前記スプライン軸に形成された所定の加工基準部に対して所定精度に研削加工され、その研削加工された外周を基準として前記ねじ溝が所定精度に研削加工されていることを特徴とする請求項1記載の電動シリンダ装置。
- 筒状のシリンダと、このシリンダの内部に配置されるボールねじと、前記シリンダの一端側で前記ボールねじのねじ軸と連結されて当該ねじ軸を回転駆動するモータと、前記シリンダの他端側に設けられた案内手段と、前記案内手段により、前記ねじ軸の軸線に沿って前記シリンダの他端側から突出動作可能に支持された操作アームとを具備し、前記シリンダの他端側にボールスプラインが配置され、そのボールスプラインの外筒が前記案内手段として、スプライン軸が前記操作アームとしてそれぞれ使用された電動シリンダ装置の製造方法において、
前記スプライン軸の外周およびスプライン溝を前記スプライン軸に形成された所定の加工基準部に対して所定精度に研削加工する工程と、
前記スプライン軸の一端部の内周に、当該一端部を前記ボールねじのボールナットとして機能させるためのねじ溝を、前記研削加工された外周を基準として所定精度に研削加工する工程と、
前記スプライン軸に、前記ねじ軸の回転に伴って、前記ねじ溝の一端まで転走したボールを前記ねじ溝の他端に戻すリターンチューブを取り付ける工程と、
を含むことを特徴とする電動シリンダ装置の製造方法。
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