JP4274657B2 - 濁水の油分除去装置及び処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水処理プラントにおいて、油分の混ざった濁水から油分を効果的に除去するための濁水の油分除去装置及び処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に鉄道、自動車道等のトンネル掘削現場においては、各種の重機を使って坑内で作業を行っている。これら重機の整備の際や、油圧ホースの破損等によって、潤滑油や作動油が漏れる。漏れた潤滑油等は、濁水とともにポンプで坑外に排出され、トンネル掘削現場の近傍に設けられた濁水処理プラントに送られる。この濁水処理プラントに送り込まれた濁水中の油分は、濁水処理プラントである程度除去される。しかし、除去されなかった油分は、濁水処理プラントから放流処理水とともに浮遊して河川へ流れてしまうため、公害問題を引き起こす要因となっている。
【0003】
そこで、従来は、濁水に含まれる油分を濁水処理プラントで除去するために、濁水の流れ込む原水槽およびシックナー(凝集槽)の表面に吸着マットを敷き詰め、この吸着マットによって、濁水の表面に浮遊している油分を吸着させ、除去していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、原水槽およびシックナー内での濁水の流れのある場所では、浮遊する油分が流されて吸着マットによる吸着効果が悪かった。また、吸着マットは、飽和状態になると沈降するので常に管理しておかなければならず、その管理も面倒であった。
【0005】
本発明は、上記のような点に鑑みて開発されたものである。その目的とするところは、濁水に混ざって浮遊している油分を簡単な構成によって効果的に除去できるようにした濁水の油分除去装置及び処理装置を提供することにある。
【0006】
上記の目的を有効に達成するために、本発明は次のような構成にしてある。すなわち、本発明の濁水の油分除去装置は、油分を含む濁水の油分除去装置であって、濁水の貯留槽と、この貯留槽に設けた水出口と、下部を水面下に位置させかつ上記水出口の上流側を仕切る仕切板と、この仕切板を介して上流側の水面近傍に配設された油分の抜取口、とからなることを特徴とする構成にしてある。
【0007】
請求項2記載の本発明の濁水の油分除去装置は、請求項1記載の濁水の油分除去装置の構成において、上記水出口は、下部を水面下に位置させかつ上端より上澄水が越流するように構成された集水溝と、この集水溝に越流した上澄水を槽外に排出する排出口、とからなることを特徴とする構成にしてある。
【0008】
請求項3記載の本発明の濁水の処理装置濁は、油分を含む濁水の処理装置であって、濁水の貯留槽と、この貯留槽に設けた水出口と、下部を水面下に位置させかつ上記水出口の上流側を仕切る仕切板と、この仕切板を介して上流側の水面近傍に配設された油分の抜取口と、この抜取口の下流に設けられた油分の吸着部と、この吸着部を介して油分と分離された水を上記貯留槽に戻す分離水返送部、とからなることを特徴とする構成にしてある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明の濁水の油分除去装置を備えた凝集槽(貯留槽)の平面図、図2は図1の矢印Aから見た説明図、図3は図1の矢印Bから見た説明図、図4は油分(黒矢印)と濁水(白矢印)の流れを示す凝集槽の説明図、図5は本発明の濁水の処理装置の説明図である。
【0010】
上記の図1〜図4に示すように、1は本発明の濁水の油分除去装置2を備えた貯留槽の一例である凝集槽であり、3は凝集槽1の上流側に設けられた凝集反応槽であり、4は凝集槽1の一部に設けられ凝集反応槽3からの反応水を受ける反応水受槽である。
【0011】
凝集反応槽3(図1、図2参照)は、流入する油分を含む濁水に凝集剤を投入して濁水中のコロイド状の汚泥と凝集剤とを反応させて、汚泥を沈降可能な塊状にする。そして油分および汚泥フロックを含む濁水が、反応水として反応水受槽4に送り込まれる。反応水受槽4に送り込まれた反応水は、油分除去装置2を設けた凝集槽部1aに下方から送り込まれる。
【0012】
凝集槽部1aに送り込まれた反応水は、油分除去装置2によって油分が除去されることになると共に、汚泥フロックは下部に沈降し、図4に示すスクリュウコンベヤにより適宜、抜き取られることになる。
【0013】
この油分除去装置2は、凝集槽部1a内の上部にコ字枠状に設けた仕切板5と、この仕切板5を介して反応水受槽4寄りの上流側の水面近傍に配設された油分の抜取口6と、凝集槽部1a内の仕切板5の外側に設けられた水出口7とによって構成されている。
【0014】
仕切板5は、下部5aを凝集槽部1a内に満たされる上記反応水の水面下に位置させかつ上記水出口7の上流側を仕切るように設けてある。
【0015】
また、水出口7は、下部7aを水面下に位置させかつ上端7bより上澄水が越流するように構成された有底の集水溝8と、この集水溝8に越流した上澄水を槽外に排出する排出口9(図5参照)とからなる。集水溝8の底部8aは、反応水受槽4側から排出口9方向に低く傾斜するようにして、上澄水を自然に排出口9に導けるようにしてある。また、集水溝8の鋸刃状に形成した上記上端7bは、仕切板5の上端5b(図2、図3参照)より低くしてある。
【0016】
また、抜取口6は、その呑み口の中央付近に油の液面が位置するように配置されており、反応水受槽4寄りの仕切板5並びに集水溝8の側壁近傍及び凝集槽部1aの外壁部11を貫くように水平に設けたパイプ10と、凝集槽部1aの外側のパイプ10に設けたコック12とからなる。
【0017】
さらに、凝集槽部1a内の上記仕切板5で囲繞した部分の下方には、多数の傾斜板19(図2、 図4参照)が設けられていて、上記反応水に含まれる汚泥フロックが浮上するのを受け止めて、汚泥の塊とし沈降させることができるようにしてある。
【0018】
上述のような構成からなる油分除去装置2を備えた凝集槽1を、凝集反応槽3の下流側に設けることによって、凝集反応槽3から反応水受槽4内に流入された反応水は、反応水受槽4の下部から凝集槽部1aに流入する。
【0019】
凝集槽部1aに流入した反応水の中に含まれる油分は、比重が水より軽いために浮上する。一方、汚泥フロックは傾斜板19によって浮上を妨げられて、再び塊となって沈降する。沈降した汚泥の塊等は、排出装置(図4に示すスクリュウコンベヤ)などに因って槽外に排出される。
【0020】
一方、傾斜板13を通過して水面上に浮上した油分は、仕切板5で囲繞された内側に漂う。この油分は、抜取口6のパイプ10からコック12を開とすることにより槽外に排出されることになる。
【0021】
抜取口6から油分の除去された上澄水は、集水溝8の上端7bから集水溝8内に流入し、自然に排出口9方向に導かれて凝集槽1から油分の除去された水として排出されていく。
【0022】
なお、本発明の油分除去装置においては、浮上する油分を囲繞できれば、仕切板5を上記のようにコ字状にすることなく、如何なる枠形状にするも自由である。すなわち、水出口7の上流側を仕切ることができればよく、たとえば、水出口7を排出口9のみとし、排出口9の上流側を仕切るように仕切板5を設けるように構成してもよい。
【0023】
次に本発明の濁水の処理装置(図5参照)について説明する。なお、この処理装置を構成する濁水の貯留槽の一例である凝集槽1に設けられている油分除去装置2については、上記した構成と同様であり、その説明を省略する。
【0024】
そこで、この処理装置において、上記抜取口6の下流には油分の吸着部13が設けられている。この吸着部13は、内部に複数(図示の例では2枚)の吸着マット14を設けたタンクである。
【0025】
凝集槽1から抜き取られた油分の多く含む水は、この吸着部13に導かれる。吸着部13に導かれた水に多量に含まれる油分は、吸着マット14に吸着される。
【0026】
吸着部13で油分を除去された水は、上記凝集槽1に戻す分離水返送部18に導かれる。この分離水返送部18は、原水槽15、中和装置16からなる。上記吸着部13の油分を除去された水は、原水槽15に導かれ、原水槽15に沈めたポンプ17によって中和装置16から各凝集槽1の凝集反応槽3に導かれる。
凝集反応槽3に導かれた水は、再び各凝集槽1に設けた油分除去装置2によって、さらに油分が除去される。なお、原水槽15および中和装置16を介さずに、直接、分離水返送部18から凝集反応槽3に導くようにしてもよい。
【0027】
このように上記処理装置によって油分の混ざった濁水を繰り返し処理して上澄水を排出することにより、この上澄水からなる放流処理水には、殆ど油分が含んでいない。したがって、上記処理装置を備えた濁水処理プラントで処理した放流処理水を外部に放出しても、河川等を汚染して公害問題を引き起こすといった懸念はない。
【0028】
【発明の効果】
このように本発明の濁水の油分除去装置は、構成簡単にして濁水に含まれる油分を効果的に除去することができる。また、従来のように油分の吸着マットを貯留槽内に設ける必要もないので、油分除去効果が時間経過とともに低減するといったこともなく、しかも従来に比べ貯留槽の維持・管理を容易に行ことができる。
【0029】
また、本発明の濁水の油分除去装置では、上澄水のみを急激な流れをつくることなく広範囲から取ることができ、処理効率を向上させることができる。
【0030】
また、本発明の濁水の処理装置では、貯留槽に導かれた油分の混ざった濁水から、油分を上澄水とともに抜き取り、この水から油分を吸着部等で除去し、再び上記貯留槽に導に導いて油分除去装置で油分を除去するといった処理を繰り返し、貯留槽から油分の含まない水を放流するので、公害問題の生じることのない綺麗な水を自然界に戻すことができる。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の濁水の油分除去装置の平面図である。
【図2】図1のA矢視の説明図である。
【図3】図1のB矢視の説明図である。
【図4】油分と濁水の流れを示す凝集槽の説明図である。
【図5】本発明の濁水の処理装置の説明図である。
【符号の説明】
1 凝集槽(貯留槽)
2 油分除去装置
5 仕切板
6 抜取口
7 水出口
8 集水溝
9 排出口
13 吸着部
18 分離水返送部

Claims (3)

  1. 油分を含む濁水の油分除去装置であって、その一辺側から濁水が送り込まれる平面視矩形状の貯留槽と、この貯留槽内の濁水が送り込まれる一辺側に向けて取付けられ、下部水面下に位置し上端が水面上に露出して浮上する油分を囲めるような枠状に形成される仕切板と、この仕切板の外側に配設される水出口と、この仕切板内の水面近傍に開口して油分を抜き取るための抜取口と、を備え、水出口は、下部を水面下に位置させかつ上端より上澄水が越流するように構成されて仕切板の外側を囲むように貯留槽内に配設される有底の集水溝と、この集水溝を越流してきた上澄水を槽外に排出する排出口とからなることを特徴とする濁水の油分除去装置。
  2. 上記水出口は、下部を水面下に位置させかつ上端より上澄水が越流するように構成された集水溝と、この集水溝に越流した上澄水を槽外に排出する排出口、とからなることを特徴とする請求項1記載の濁水の油分除去装置。
  3. 油分を含む濁水の処理装置であって、その一辺側から濁水が送り込まれる平面視矩形状の貯留槽と、この貯留槽内の濁水が送り込まれる一辺側に向けて取付けられ、下部水面下に位置し上端が水面上に露出して浮上する油分を囲めるような枠状に形成される仕切板と、この仕切板の外側に配設される水出口と、この仕切板内の水面近傍に開口して油分を抜き取るための抜取口と、この抜取口の下流に設けられた油分の吸着部と、この吸着部を介して油分と分離された水を上記貯留槽に戻す分離水返送部と、を備え、水出口は、下部を水面下に位置させかつ上端より上澄水が越流するように構成されて仕切板の外側を囲むように貯留槽内に配設される有底の集水溝と、この集水溝を越流した上澄水を槽外に排出する排出口とからなることを特徴とする濁水の処理装置。
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