JP4274307B2 - 遊技機の球取込装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技球にて遊技を行う遊技機、特にスロットマシンに組み込まれる球取込装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スロットマシンには、メダルを投入して遊技を行うものの他に、所定数(例えば、5個)の遊技球を1枚のメダルと同価値とみなして、遊技を行うものがある。この種のスロットマシンには、上皿に貯留された遊技球を取り込むための装置が組み込まれており、その一つとして、取り込まれた遊技球の球数を確認して、その後に直ちに流出(排出)させるのではなく、取り込まれた遊技球を、後続の所定数の遊技球が取り込まれる間だけ、装置内に一旦貯留させ、この貯留された遊技球を「証拠球」として扱うものが現れている。この「証拠球」は、遊技者とホールとの間で何らかの問題が発生した場合に、取り込まれて装置内に貯留されている遊技球の存在により、遊技者が不正を行うことなく、正当な方法で遊技球を取り込んでいることを証明するためのものである。
【0003】
この球取込装置は、球取込口から内部に取り込まれた複数の遊技球を略軸方向に整列された状態で収容する複数の球整列収容部が周方向に沿って設けられた回転体と、該回転体を設定角度ずつ回転させるための回転駆動手段と、球取込位置において回転体の球整列収容部に収容された複数の遊技球の存否を検出するための球取込検出センサと、前記球整列収容部の数と同数の回転停止位置を定めるために回転体に設けた被検出部を検出するための停止位置検出センサとを備えている。
【0004】
そして、球取込口から回転体の球整列収容部に取り込まれた球数が、前記球取込検出センサにより設定数であることが検出された後に、前記回転駆動手段により回転体が回転されて、該回転体の停止位置に設けられた被検出部を前記停止位置検出センサで検出して、回転体を停止させて、次の球整列収容部に遊技球を取り込むことにより、回転体の直前の球整列収容部に取り込まれて収容された球を回転体内に証拠球として一旦貯留した後に流出させるようになっている。
【0005】
よって、例えば、回転体の回転開始直後において、この回転体を(正方向に)回転した角度だけ逆回転させると、本来ならば回転体の球整列収容部に収容されて「証拠球」となるべき所定数の球が球取込検出センサにより、後続の取込球であると誤認識されると共に、回転体に設けられた球整列収容部と同数の被検出部のうち、回転体の逆回転により、直前に検出された被検出部が再度、停止位置検出センサにより誤検出されることになる。これにより、取込装置全体としては、回転体の次の「別の球整列収容部」に所定数の遊技球が取り込まれて収容された後に、回転体が所定角度だけ回転して、直前に検出された被検出部の直後の別の被検出部を検出したのと同様の状態となって、遊技球が適正に取り込まれたと誤認識する。
【0006】
このように、上記構成の従来の球取込装置は、回転体の逆回転による不正行為に対する手段が講じられていなかった。よって、回転体の逆回転による上記不正行為によって、遊技球を使用せずに、遊技ができるのみならず、特定位置で回転体を繰り返して正逆回動させることにより、「多数ユニット(1ユニットとは、1枚のメダルと等価値の遊技球の数をいう)」の遊技球をクレジットすることも可能となって、これを清算することにより、多量の遊技球の不正獲得が可能となる。
【0007】
ここで、回転体の逆回転による上記不正を防止する一手段として、回転体を駆動回転させる駆動モータ(ステッピングモータ)を励磁する方法もあるが、強制的に回転体が逆回転された場合には対処できないのみならず、励磁することにより、回転体の位置決めが容易となって、逆に上記不正がし易くなる欠点がある。また、励磁によって、駆動モータは常時加熱され続けるために、過熱の問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、遊技機の球取込装置において、回転体の逆回転により、取り込まれたものと認識済の遊技球を、新規に取り込まれたものと再度認識させて、遊技球を取り込むことなく遊技を行う不正行為を防止することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、所定個数単位の遊技球の使用に基づいてゲームを展開する遊技機に装備されて毎回のゲーム開始にあたり所定個数単位の遊技球を機内に取込むようにした球取込装置において、前記球取込装置は、遊技球収容上皿側に連通する球取込位置で球取込口から内部に流入した遊技球を、連続一列状態にして所定個数単位で収容する複数列の球整列収容部が、回転円周方向の等角度間隔位置に区画形成された回転体と、該回転体を複数列の球整列収容部毎に合わせた所定角度ずつ回転停止駆動 する回転駆動手段と、前記球取込位置で前記回転体の球整列収容部内に収容された所定個数単位の遊技球の存在を検出するための球取込検出センサと、前記回転体の軸端部側に配置されて各球整列収容部毎の回転停止位置を定めるための複数個の被検出部を検出する停止位置検出センサと、前記回転体の所定角度毎の回転により前記球取込口の反対側に位置する球流出口に移行された各球整列収容部から放出された所定個数単位の遊技球を受入れて機内に取込むための取込通路と、前記回転体の軸端部側に配置されて前記回転体の逆方向回転を防止する逆転防止機構とを備え、前記逆転防止機構は、前記回転体の軸端部側に連結されて外周に前記球整列収容部の列数の整数倍の歯を形成したラチェット歯車板と、該ラチェット歯車板の離隔部位側に傾動自在に支持されて常には前記ラチェット歯車板に係合する向きに付勢保持されたラチェット爪レバーとを有するラチェット機構で構成され、前記停止位置検出センサによる前記被検出部の検出毎の回転体の停止状態で、ラチェット歯車板の歯とラチェット爪レバーの爪とが、前記回転体の逆回転方向に遊びのない状態で係合し得るように設定されると共に、前記ラチェット歯車板の円周方向に前記停止位置検出センサで検出される前記被検出部が、前記球整列収容部の列数と同数個で等角度位置に形成配置され、前記逆回転防止機構のラチェット歯車板が、逆転防止盤としての機能と、停止位置検出センサに対する被検出部を形成した回転停止位置決め用検出盤としての機能を兼用していることを特徴としている。
【0010】
請求項1の発明によれば、逆転防止機構によって、回転体の逆回転が不能となって、上記不正行為が防止される。
【0011】
また、前記ラチェット機構を構成するラチェット歯車板の歯数は、回転体の球整列収容部の数の整数倍であって、しかも停止位置検出センサにより回転体の被検出部が検出されて回転体が停止した状態から正転を開始して、停止位置検出センサにより回転体の被検出部が検出されなくなった時点で、ラチェット歯車板とラチェット爪レバーとは、回転体の逆転方向に遊びのない状態で係合する構成になっているので、停止位置検出センサにより回転体の被検出部が検出されて回転体が停止した後に、次の球整列収容部に遊技球を取り込んで正転を開始して、停止位置検出センサにより回転体の被検出部が検出されなくなった時点で、ラチェット歯とラチェット爪レバーとは、回転体の逆転方向に遊びのない状態で係合する構成となる。よって、上記不正行為が可能な機会は、ラチェット歯車板が正転を開始してから、ラチェット歯とラチェット爪レバーとが、回転体の逆転方向に遊びをなしにして係合する直前の状態の間のみ、換言すれば、前記被検出部の中心角と同一角度だけラチェット歯車板が正転する間のみであって、極めて小さな回転角度の間しか存在してしない。
【0012】
【0013】
そして、ラチェット歯車板の歯数は、回転体の球整列収容部の数の整数倍であるために、回転体の停止時におけるラチェット歯車板の各歯の位置は、回転体の1回転中における複数の各停止位置のみならず、1回転後における回転体の複数の各停止位置においても、常に一定している。換言すれば、回転体の各停止時点において、停止位置検出センサの配置位置に対する各ラチェット歯の回転方向に沿った位相は、常に同一である。このため、回転体の停止毎に、上記状態(不正行為が可能な機会は、回転体が正転開始した後において、ラチェット歯車板が被検出部の中心角だけ回転する間のみである状態)が実現されるので、この不正行為を一層効果的に防止できる。
【0014】
また、前記ラチェット機構を構成するラチェット歯車板の歯数は、回転体の球整列収容部の数の整数倍であって、しかも停止位置検出センサにより回転体の被検出部が検出されて回転体が停止した状態で、ラチェット歯とラチェット爪レバーとは、回転体の逆転方向に遊びのない状態で係合する構成になっているため、上記不正行為が可能な機会は、ラチェット歯車板が正転を開始してから、ラチェット歯車板が、被検出部の中心角だけ正転した後であって、ラチェット歯とラチェット爪レバーとが、回転体の逆転方向に遊びのない状態で係合する間のみである。換言すれば、ラチェット歯車板が正転を開始してから、ラチェット歯車板が、被検出部の中心角だけ正転する間は、不正行為が不能であって、上記理由により回転体の停止毎に、この状態が実現されるので、不正行為を一層効果的に防止できる。
【0015】
【0016】
また、回転体の停止時において、ラチェット歯車板のラチェット歯とラチェット爪レバーのラチェット爪とは、回転体の逆転方向に遊びのない状態で係合しているので、回転体の停止時、即ち、回転体の球整列収容部に遊技球を取り込んでいる状態において、遊技球の取り込みによって、回転体が逆転方向に回転しようとしても、この逆転が防止される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。図1は、本発明に係る球取込装置Aが組み込まれたスロットマシンSの正面図であり、図2は、球取込装置Aを裏面側から見た部分断面図であり、図3は、同じく右側面から見た部分断面図であり、図4は、同じく正面図であり、図5は、球取込装置Aを構成する回転体Dの斜視図であり、図6は、球取込装置Aを構成する回転体Dの作用説明図である。
【0018】
このスロットマシンSは、遊技球を使用して遊技を行うものであって、1枚のメダルと等価値を有する遊技球の個数は5個であって、1枚のメダルと等価値の遊技球の数を「1ユニット」と定める。従って、例えば、「3ユニット」は、遊技球で15個(3枚分のメダル)に相当する。
【0019】
最初に、図1を参照して、スロットマシンSの全体構成の概略について説明し、その後に、これに組み込まれた本発明に係る球取込装置Aについて詳細に説明する。スロットマシンSには、横方向に並べられた3本の各リール31,32,33が静止した状態で一以上の図柄が表示可能な表示窓34,35,36、複数本(図1に示される実施形態では5本)の有効ライン37に対応して入賞図柄等を報知可能な有効ランプ38、クレジット数を表示可能なクレジット表示器39、ボーナスゲームにおける消化ゲーム数を表示可能なゲーム数表示器41、払い出しを行うユニット数を表示可能なユニット数表示器42、1回の遊技に掛けるユニット数を設定するベットスイッチ43,44,45、3本の各リール31,32,33を回転させ始める始動スイッチ46、回転している各リール31,32,33を個別に停止させる停止スイッチ47,48,49等を備える。各リール31,32,33の回転及び停止させる構成等は、周知であるので、その説明を省略する。
【0020】
また、有効ライン37の数は、ユニット数に応じて異なる。例えば、1ユニットを掛けるベットスイッチ43は、中段の水平の1ラインのみが有効となり、2ユニットを掛けるベットスイッチ44は、上段・中段・下段の水平の3ラインのみが有効となり、3ユニットを掛けるベットスイッチ45は、水平の3ラインと斜めの2ラインとの計5ラインの全てが有効となる。
【0021】
また、スロットマシンSには、図柄を用いる表示演出によってビッグボーナスゲームや期待度等を報知可能な液晶表示器51、音(音声、音楽、効果音等)を出すスピーカ52、遊技状態に応じた表示演出を行う演出ランプ53、遊技球を一時的に貯留する上皿54と下皿55、上皿54内の遊技球を流入通路56及び球取込装置Aを通じてスロットマシンS内に取り込むことを指示する取込スイッチ57、クレジットしている遊技球の返却を指示する貯留清算スイッチ58、前記流入通路56や球取込装置Aに残存する遊技球を下皿55に返却するための返却ボタン59、タバコの吸殻を入れる灰皿61等を備える。
【0022】
また、回転している各リール31,32,33が特定の表示態様(例えば、ボーナス図柄や小役図柄等)で停止すると、これらに対応する個数の遊技球が払出口62から払い出されて、前記上皿54に貯留される。また、球貸機(図示せず)によって貸し出された遊技球は、漏斗状をした誘導通路63を経て上皿54に貯留される。また、開閉錠64に所定のキーを差し込んで回すと、上下二段から成るフロントドア65を個別に開閉でき、前記取込みスイッチ57、貯留清算スイッチ58、誘導通路63等は、上段側のフロントドア65に備える。
【0023】
次に、図2ないし図6を参照して、本発明に係る球取込装置Aについて詳細に説明する。この球取込装置Aは、前記流入通路56を経て上皿54内に貯留されている遊技球BをスロットマシンS内に取り込む装置であって、フレーム枠1に回転体Dが軸心を水平にして回転可能に支持された構成であって、上皿54内の遊技球Bは、前記流入通路56を経て、装置の右側面に設けられた球取込口2を通って内部に流入して、球流出口3から流出して取込通路(図示せず)を経てスロットマシンS内に取り込まれるか、或いは該球取込装置A内に設けられた球返却通路15を経て球返却口4から下皿55に返却されるかのいずれかの経路を経て、該球取込装置Aの外部に排出(流出)される。この球取込装置Aにおいて、球取込口2、球流出口3及び球返却口4は、いずれも装置の同一側である右側に設けられている。
【0024】
また、図2ないし図5に示されるように、球取込装置Aを構成する回転体Dは、遊技球Bの球径の約1.7倍の外径を有する二重中空状をした回転軸5の外周面に複数枚(実施形態では6枚)の羽根体6が、ほぼ半径方向に沿い、しかも軸方向に対しては僅かに傾斜した状態で一体に取付けられていて、相隣接する各羽根体6の間の空間は、前記球取込口2から流入した「1ユニット」分の、即ち5個の遊技球Bを軸方向に整列した姿勢で収容するための球整列収容部7を構成している。回転軸5に対する前記各羽根体6の軸方向に沿った傾斜は、球取込口2から内部に流入する遊技球Bが奥側に転動し得る方向となっている。因みに、前記回転体Dにおいて、球取込装置Aの前記球整列収容部7に整列収容された「1ユニット」分の遊技球Bは、回転体Dのほぼ半回転により、球取込装置Aの裏面側に達して、球取込口2と同一側に配置されている球流出口3から、後に流入した遊技球Bが先となって順次流出されて、取込通路10(図3参照)を経てスロットマシンSの内部に取り込まれる。
【0025】
また、回転体Dの回転軸5の右端部は、フレーム枠1の右端部に支持されていると共に、その左端部は、フレーム枠1の左端部に固定されたステッピングモータから成る駆動モータ8の駆動軸8aにカップリング9を介して連結され、回転体Dは、駆動モータ8により所定角度(本実施形態では、球整列収容部7の数が6であるので、60°)ずつ回転して停止する構成になっている。即ち、回転体Dの左端側(駆動モータ8が配置された側)には、側板を兼用したラチェット歯車板11が一体に設けられていて、該ラチェット歯車板11の外周部には、球整列収容部7の数に対応した6個の透光孔12が周方向に沿って等分して設けられている。
【0026】
そして、図2、図3及び図5に示されるように、回転体Dの停止位置を定めるための停止位置検出センサS1 が前記ラチェット歯車板11の外周部を両側から覆うような形態となって配置されていて、回転体Dの回転により、その外周部の透光孔12が前記停止位置検出センサS1 の部分に達すると、遮光されていた光が前記透光孔12を通過することにより、回転体Dの周方向の位置が検出されて、その検出信号により駆動モータ8が停止されて、回転体Dが停止される構成になっている。従って、回転体Dは、その周囲に等分して設けられた6個の球整列収容部7が球取込口2と合致する位置で停止するように構成されている。このため、回転体Dの停止位置において、球取込口2から球整列収容部7に遊技球Bがスムーズに流入することとなる。
【0027】
また、球取込位置(球取込口2の位置)において球整列収容部7の収容された「1ユニット(5個)」の遊技球Bのうち最も奥側(駆動モータ8の側)のものは、フレーム枠1における当該位置に固定された固定板(図示せず)に当接保持されると共に、球収容位置から回転体Dが回転して、球整列収容部7の傾斜方向が逆方向となることにより、該球整列収容部7に収容された「1ユニット(5個)」の遊技球Bが手前側(球取込口2の側)に転動しようとした場合には、最も手前側の遊技球Bは、フレーム枠1の右端側の内側に一体に設けられた固定板13(図2参照)に当接する。そして、球取込位置から回転体Dがほぼ半回転して、その反対側に達した球流出位置においては、前記固定板13は欠落されていて、球整列収容部7に収容された「1ユニット」の遊技球Bは、その最も手前側の遊技球Bの支持を失うために、球整列収容部7の傾斜に沿って順次流出する構成となっている。
【0028】
また、回転体Dにおける球取込位置に位置する球整列収容部7の奥側の固定板(図示せず)の部分は、通常時は開閉板(図示せず)により覆われて、該球整列収容部7に「1ユニット」の遊技球の収容が可能になっている。そして、上皿54に貯留されている遊技球Bを下皿55に返却する場合には、前記返却ボタン59を押して、返却レバー14を下方に押し下げ、リンク機構を介して前記開閉板を移動させることにより、球取込位置に位置する球整列収容部7の奥側が開放されて、球取込口2から回転体Dの球整列収容部7に流入した遊技球Bは、そのまま球整列収容部7を素通りして、フレーム枠1の左側から右側に向けて低くなるように傾斜した球返却通路15を通って、その終端の球返却口4から下皿55に返却されるようになっている。
【0029】
また、球取込位置において、フレーム枠1に設けられた球取込口2から、回転体Dの球整列収容部7に「1ユニット」の遊技球Bが流入して収容されているか否かは、5対の球取込検出センサS2 により検出される。即ち、球取込位置において、回転体Dの球整列収容部7に収容された「1ユニット(5個)」の各遊技球Bの上下には、各遊技球Bによって発光光線が遮断されるように、発光体S21と受光体S22とから成る5対の球取込検出センサS2 が配置されている。これにより、5対の球取込検出センサS2 により「1ユニット(5個)」の遊技球Bがそれぞれ検出されると、その検出信号が駆動モータ8に伝達されて、回転体Dが回転を開始して、1回転角度である60°だけ回転すると、ラチェット歯車板11の外周部に設けられた透光孔12が停止位置検出センサS1 により検出されて、前記駆動モータ8が停止する。これにより、球取込位置には、「1ユニット(5個)」の遊技球Bが収容された球整列収容部7に後続する別の球整列収容部7が位置することとなって、この「別の球整列収容部7」に「1ユニット(5個)」の遊技球Bが取り込まれて収容される。そして、回転体Dの球整列収容部7に収容された遊技球Bは、証拠球として、回転体Dがほぼ半回転する間だけ貯留された後に、裏面側において、球流出口3から流出されて、取込通路10を通ってスロットマシンSに取り込まれる。
【0030】
なお、回転軸5の外周部に取付けられた各羽根体6は、断面視において緩やかな「くの字形」に屈曲されていて、球取込時、及び取込まれた遊技球Bが最上部に達する間は、収容された遊技球Bがこぼれ落ちるのを防止する機能を果たすと共に、収容された遊技球Bが最上部に達した後には、収容されている遊技球Bの流出を容易にする機能を果たす。また、図2及び図4に示されるように、各羽根体6の先端部(自由端部)における球取込検出センサS2 の光線L2 と干渉する部分には、スリット16が形成されて、前記干渉を回避している。
【0031】
また、回転体Dには、ラチェット機構Rが設けられて、その逆転が不能となっている。即ち、ラチェット機構Rは、回転体Dの左側(駆動モータ8の側)の側板を兼用したラチェット歯車板11と、これに噛合するラチェット爪レバー17とで構成されて、回転体Dの逆回転(右側面視で時計回転)を不能にしている。ラチェット爪レバー17は、ラチェット歯車板11の奥側に僅かに前傾姿勢となって、支点18を中心に僅かに回動可能に配置されて、引張バネ19の引張力により、その先端のラチェット爪Kと、ラチェット歯車板11の外周部に設けられた各ラチェット歯Tとの係合を確実にしている。このように、回転体Dの逆回転による上記不正行為を防止するには、駆動モータ8の回転軸8aの逆回転を防止しても実現可能であるが、不正行為防止の目的は、回転体Dそのものの逆転防止であるので、この回転体Dに直接にラチェット機構Rを設けてある。なお、図3において、21は、回転体Dの回転時に、その球整列収容部7に収容された遊技球Bがこぼれ落ちるのを防止するカバーを示す。
【0032】
そして、ラチェット歯車板11の外周部に設けられた多数のラチェット歯Tの歯数(N)は、回転体Dの球整列収容部7の数(=6)の整数倍である5倍の「30」となっている。図7(イ), (ロ)は、それぞれ回転中の回転体Dの透光孔12が停止位置検出センサS1 により検出されて、回転体Dが停止した状態、及び停止中の回転体Dが回転を開始してラチェット歯Tとラチェット爪Kとが遊びをなしにして係合した状態の作用説明図である。このため、ラチェット歯車板11の外周部に設けられる各ラチェット歯T及び各透光孔12との周方向に沿った位置関係(位相)を、図7(イ) に示されるように、停止位置検出センサS1 により回転体の透光孔12が検出されて回転体Dが停止して、次の球整列収容部7に遊技球Bが収容されて正転を開始して、図7(ロ)に示されるように、停止位置検出センサS1 により回転体Dの透光孔12が検出されなくなった時点で、ラチェット歯Tとラチェット爪Kとは、回転体Dの逆転方向に遊びのない状態で係合する構成にすると、以下の特有の作用効果が奏される。
【0033】
即ち、上記不正行為が可能な機会は、回転体Dが正転を開始してから、そのラチェット歯Tとラチェット爪Kとが、回転体の逆転方向に遊びをなしにして係合する直前の状態の間のみ、換言すれば、前記透光孔12の中心角(θ)と同一角度だけ回転体Dが正転する間のみであって、極めて小さな回転角度しか存在しない。そして、ラチェット歯車板11の歯数は、回転体Dの球整列収容部7の数の整数倍であるために、回転体Dの停止時におけるラチェット歯車板11の各歯の位置は、回転体の1回転中における複数の各停止位置のみならず、1回転後における回転体の複数の各停止位置においても、常に一定している。換言すれば、回転体Dの各停止時点において、停止位置検出センサS1 の配置位置に対する各ラチェット歯Tの回転方向に沿った位相は、常に同一である。
【0034】
このため、回転体Dの停止毎に、「不正行為が可能な機会は、回転体Dが正転開始した後において、回転体Dが透光孔12の中心角だけ回転する間のみである状態」が実現されるので、この不正行為を一層効果的に防止できる。また、ラチェット歯車板11のラチェット歯Tと透光孔12の周方向の位相を上記のように定めると、ラチェット歯Tの歯数(N)とは、無関係に上記作用が奏される利点がある。なお、図7においてL1 は、停止位置検出センサS1 の発光光線の位置を示すものであり、実際には、紙面に対して垂直な方向に存在するが、図示可能にするため、及び理解容易のために、図7のように図示してある。
【0035】
また、図8(イ),(ロ) は、それぞれ回転中の回転体Dの透光孔12が停止位置検出センサS1 により検出されて、ラチェット歯Tとラチェット爪Kとが遊びをなしにして係合した状態、及び停止中の回転体Dが回転を開始して、停止位置検出センサS1 により透光孔12が検出されなくなった状態の作用説明図である。このように、図8は、図7に対して、ラチェット歯Tと透光孔12との周方向の位相がずれている構成のみが異なって、ラチェット歯車の歯数(T)は、回転体Dの球整列収容部7の数(=6)の整数倍である5倍の「30」となっている構成歯、図7と同一である。
【0036】
よって、図8の位相では、上記不正行為が可能な機会は、回転体Dが正転を開始してから、回転体D(ラチェット歯車板11)が、透光孔12の中心角だけ正転した後であって、ラチェット歯Tとラチェット爪Kとが、回転体Dの逆転方向に遊びのない状態で係合する直前の間のみである。換言すれば、回転体Dが正転を開始してから、この回転体Dが、透光孔12の中心角だけ正転する間は、不正行為が不能であって、上記理由により回転体の停止毎に、この状態が実現されるので、不正行為を一層効果的に防止できる。
【0037】
そして、図8の構成においては、ラチェット歯車板11の歯数(N)が多くなって、1歯の中心角が小さくなる程、或いは透光孔12の中心角が大きくなる程、不正行為が可能となる回転体D(ラチェット歯車板11)の位相が少なくなって、当該不正行為を効果的に防止できる。ここで、透光孔12の中心角が、ラチェット歯車板11の1歯の中心角と同等又はこれよりも大きくなると、ラチェット歯車板11のラチェット歯Tと透光孔12の周方向の位相とは無関係に、前記不正行為を完全に防止できる。その理由は、回転体Dを逆回転させて、同一の透光孔12が停止位置検出センサS1 により検出されている間に、ラチェット歯Tとラチェット爪Kとが遊びのない状態で係合するからである。
【0038】
また、図8の構成において、回転体Dの停止時において、ラチェット歯Tとラチェット爪Kとは、常に回転体Dの逆転方向に遊びのない状態で係合しているので、回転体Dの停止時、即ち、回転体Dの球整列収容部7に遊技球Bを取り込んでいる状態において、遊技球Bの取り込みによって、回転体Dが逆転方向に回転しようとしても、この逆転が防止される利点もある。
【0039】
また、ラチェット歯車板11の構成に関しては、回転体Dが停止して、そのラチェット歯車板11がラチェット爪Kと係合する部分の前後にのみ2〜3個のラチェット歯Tを設けて、残りの部分は、円弧面のままにしておいてもよい。これにより、ラチェット歯Tとラチェット爪Kとの接触による騒音の発生を抑制できる。
【0040】
また、上記実施形態のように、回転体Dに直接に逆転防止機構を設けることが好ましいが、駆動モータ8の駆動軸8aにラチェット機構Rを設けて、回転体Dの逆転を防止する構成にしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、球取込装置に逆転防止機構を設けてあるので、回転体の逆回転を防止できて、前記回転体の逆回転により、取り込まれたものと認識済の遊技球を、新規に取り込まれたものと再度認識させて、遊技球を使用せずに遊技を行う不正行為を防止できる。
【0042】
また、逆転防止機構がラチェット機構であって、このラチェット機構を構成するラチェット歯車の歯数を、回転体の球整列収容部の数の整数倍にし、しかも停止位置検出センサにより検出される回転体の被検出部と、ラチェット歯との周方向に沿った位相を上記した特定の位相にすると、回転体の逆回転による上記不正行為を一層確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る球取込装置Aが組み込まれたスロットマシンSの正面図である。
【図2】 球取込装置Aを裏面側から見た部分断面図である。
【図3】 同じく右側面から見た部分断面図である。
【図4】 同じく正面図である。
【図5】 球取込装置Aを構成する回転体Dの斜視図である。
【図6】 球取込装置Aを構成する回転体Dの作用説明図である。
【図7】(イ), (ロ)は、それぞれ回転中の回転体Dの透光孔12が停止位置検出センサS1 により検出されて、回転体Dが停止した状態、及び停止中の回転体Dが回転を開始してラチェット歯Tとラチェット爪Kとが遊びをなしにして係合した状態の作用説明図である。
【図8】(イ), (ロ)は、それぞれ回転中の回転体Dの透光孔12が停止位置検出センサS1 により検出されて、ラチェット歯Tとラチェット爪Kとが遊びをなしにして係合した状態、及び停止中の回転体Dが回転を開始して、停止位置検出センサS1 により透光孔12が検出されなくなった状態の作用説明図である。
【符号の説明】
A:球取込装置
B:遊技球
D:回転体
K:ラチェット爪
R:ラチェット機構
S1 :停止位置検出センサ
S2 :球取込検出センサ
T:ラチェット歯
2:球取込口
7:球整列収容部
8:駆動モータ(回転駆動手段)
11:ラチェット歯車板
12:透光孔(回転体の被検出部)
17:ラチェット爪レバー
Claims (1)
- 所定個数単位の遊技球Bの使用に基づいてゲームを展開する遊技機に装備されて毎回のゲーム開始にあたり所定個数単位の遊技球Bを機内に取込むようにした球取込装置Aにおいて、
前記球取込装置Aは、
遊技球収容上皿54側に連通する球取込位置で球取込口2から内部に流入した遊技球Bを、連続一列状態にして所定個数単位で収容する複数列の球整列収容部7が、回転円周方向の等角度間隔位置に区画形成された回転体Dと、
該回転体Dを複数列の球整列収容部7毎に合わせた所定角度ずつ回転停止駆動する回転駆動手段と、
前記球取込位置で前記回転体Dの球整列収容部7内に収容された所定個数単位の遊技球Bの存在を検出するための球取込検出センサS 2 と、
前記回転体Dの軸端部側に配置されて各球整列収容部7毎の回転停止位置を定めるための複数個の被検出部を検出する停止位置検出センサS 1 と、
前記回転体Dの所定角度毎の回転により前記球取込口2の反対側に位置する球流出口3に移行された各球整列収容部7から放出された所定個数単位の遊技球Bを受入れて機内に取込むための取込通路10と、
前記回転体Dの軸端部側に配置されて前記回転体Dの逆方向回転を防止する逆転防止機構と、
を備え、
前記逆転防止機構は、前記回転体Dの軸端部側に連結されて外周に前記球整列収容部7の列数の整数倍の歯を形成したラチェット歯車板11と、該ラチェット歯車板11の離隔部位側に傾動自在に支持されて常には前記ラチェット歯車板11に係合する向きに付勢保持されたラチェット爪レバー17とを有するラチェット機構Rで構成され、前記停止位置検出センサS 1 による前記被検出部の検出毎の回転体Dの停止状態で、ラチェット歯車板11の歯とラチェット爪レバー17の爪とが、前記回転体Dの逆回転方向に遊びのない状態で係合し得るように設定されると共に、前記ラチェット歯車板11の円周方向に前記停止位置検出センサS 1 で検出される前記被検出部が、前記球整列収容部7の列数と同数個で等角度位置に形成配置され、
前記逆回転防止機構のラチェット歯車板11が、逆転防止盤としての機能と、停止位置検出センサS 1 に対する被検出部を形成した回転停止位置決め用検出盤としての機能を兼用していることを特徴とする遊技機の球取込装置。
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