JP4274260B2 - 温度センサ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、内燃機関の排気系に設置されて温度検出に使用される温度センサに関する。
自動車エンジンの燃料噴射制御システムや排気浄化システムにおいて、各種制御を実施するために、サーミスタ素子を用いた温度センサが広く利用されている。かかる温度センサは、一般に、先端の感温部が排気流路内に突出位置するように排気管壁に固定され、排気管外に突出する後端側から信号を取り出すようになっている。感温部は、通常、金属カバー内に、サーミスタ素子のリード線をシースピンの金属芯線と接続した状態で収容しており、サーミスタ素子の抵抗値変化から排気温度を検出するようになっている。
排気温度に基づく触媒温度制御等を精度よく行うため、温度センサには、使用環境下において安定した特性を維持し、応答性よく温度検出することが要求される。従来技術として、特許文献1には、金属カバーの先端部と感温素子の先端部との距離をできるだけ短くし、その間に絶縁部材を充填することで、温度センサの応答性を向上させることが開示されている。特に、その充填率を75%以上と緻密化することで、金属カバーの受ける熱を速やかに感温素子に伝達可能としている。
特開2004−317499号公報
一方、エンジン排気系のように、高温で振動の大きな環境下で使用される温度センサでは、振動による素子特性への影響が懸念される。特に、サーミスタ素子の電極に、耐熱性確保のためPt系金属を用いた場合には、振動により電極の断線といった不具合が発生しやすい。このため、金属カバー内において、サーミスタ素子の周囲にフィラーを充填し、サーミスタ素子の変位を抑制して耐振性を向上させることが検討されている。
近年、排気ガス規制が強化されている中で、排気系に設置される温度センサの使用環境温度が上昇する傾向にあり、900℃以上の高温耐久性が求められている。ところが、感温部の耐振性を高めるため金属カバー内にフィラーを充填した構成において、使用環境温度が750℃以上になると、フィラーで包囲されたサーミスタ素子の特性が不安定となることが判明した。特に、酸化物半導体からなるサーミスタ素子において、フィラーの充填率が高い場合にその傾向が大きく、安定した出力特性を得ることが困難になる問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、内燃機関の排気系のような高温・高振動の使用環境下においても、温度センサの出力特性を安定させることができ、かつ耐熱性、耐振動性に優れて断線等の不具合を生じることがなく、さらに高応答で精度よい検出が可能として、信頼性の高い温度センサを提供することを目的とする。
請求項1の発明は感温部が750℃以上の高温環境下に晒される温度センサであって、
上記感温部が、温度を検出するためのサーミスタ素子と、該サーミスタ素子の出力を取り出すためのシースピン端部に固定され、その内部に上記サーミスタ素子を上記シースピンと接続した状態で収容する金属カバーとを備え、
上記金属カバー内空間には、上記サーミスタ素子の周囲に絶縁性多孔質材料よりなる耐振フィラーを充填するとともに、該耐振フィラーの気孔率を30〜70%としたことを特徴とする。
特性が不安定となる原因は、使用環境温度が750℃以上になると金属カバーが酸化して、サーミスタ素子の周囲の酸素分圧が変動することにあり、これに伴いサーミスタ組成が変動して温度−抵抗値特性が不安定になるものと推測される。これに対し、本発明は、耐振フィラーを絶縁性多孔質材料で構成し、その気孔率を30%以上とすることで、酸素分圧の変動を抑制可能な通気量を確保し、かつ気孔率を70%以下とすることで、応答性と耐振性を確保できることを見出したものである。
よって、内燃機関の排気系のような高温・高振動の使用環境下においても、サーミスタ素子の特性を安定させて高応答で精度よい検出が可能であり、断線等の不具合を生じることのない信頼性の高い温度センサを得ることができる。
請求項2の発明のように、具体的には、上記シースピンは、筒状の金属シース内に金属芯線を絶縁保持し、かつ軸方向に通気可能に構成されている。
これにより、感温部内へ供給される通気量を確保して特性の安定化を図りながら、容易にサーミスタ素子と電気的に接続させることができる。
請求項3の発明では、上記シースピンの軸方向端部に突出する上記金属芯線と、上記サーミスタ素子のリード線とを接続し、上記金属芯線と上記リード線との接続部および上記サーミスタ素子の本体部を包囲するように上記耐振フィラーを充填する。
具体的には、サーミスタ素子の本体部を耐振フィラーにて包囲することで、振動による電極の断線等を防止するとともに、金属芯線とリード線との接続部を包囲して、それぞれの線間の絶縁を保持しながら接続部の耐振性を確保することができる。
請求項4の発明では、上記サーミスタ素子の素子部が酸化物半導体を含有している。
具体的には、酸化物半導体または酸化物半導体を含有するサーミスタ素子が好適に用いられる。酸化物半導体は、雰囲気中の酸素分圧の影響を受けて温度抵抗特性が変動しやすく、本発明の感温部構造を適用することにより、特性を安定化する効果が高い。
請求項5の発明では、上記耐振フィラーの気孔率を40〜60%とする。
好適には、耐振フィラーの気孔率を40〜60%の範囲とすることで、特性の安定化と耐振性を両立させる効果が高まる。
請求項6の発明では、上記耐振フィラーの気孔率を45〜55%とする。
より好適には、耐振フィラーの気孔率を45〜55%の範囲とすることで、特性の安定化と耐振性を両立させる効果が高まる。
請求項7の発明では、上記金属カバーの外径を3mm以下、上記耐振フィラー充填部の軸方向深さを15mm以下とする。
好適には、感温部を小型化して充填される耐振フィラーの容積を小さくすることで、耐振性を保持しつつ応答性を向上させることができる。
以下、図面により本発明の第1実施形態について詳細に説明する。図1(c)は本発明を適用した温度センサSの全体構成図であり、図1(a)には温度センサの主要部である感温部1を拡大して示す。図1(b)は感温部1の先端側の一部を拡大した図で、図1(a)のA−A断面図である。本実施形態の温度センサSは、例えば自動車エンジンの燃料噴射制御システムや排気浄化システムにおいて、システム各部位の温度を検出するために使用される。特に、使用雰囲気が750℃以上の高温となるエンジンの排気系に配置されて排気温度に基づく各種制御を実施するための排気温センサとして、好適に使用することができる。
図1(c)において、温度センサSは、信号取り出し用のシースピン4の一端側(図の左端側)に、温度検出用のサーミスタ素子2を備える感温部1を配設し、他端側(図の右端側)外周に、フランジ51を有する筒状取付部5とカバー部材6を配設してなる。温度センサSを、例えば、排気温センサとして排気管に装着する場合には、感温部1とシースピン4を排気管の取付穴から挿通し、取付部5のフランジ51を取付穴に嵌合させて図示しないナット等で固定する。これにより、先端の感温部1が排気管内に突出して、排気流路を流通する排気に晒される。
シースピン4は、両端が開口する筒状の金属シース41内に、一対の金属芯線42を絶縁保持してなる。シースピン4の基端部(図の右端部)は、取付部5を貫通してカバー部材6内に位置し、金属シース41から突出する金属芯線42が絶縁被覆された一対のリード線61に接続されている。リード線61は図示しない制御部に接続され、サーミスタ素子2の抵抗値変化から排気温度を検出可能となっている。
図1(a)、(b)に示すように、温度センサSの感温部1は、キャップ状の金属カバー3内に、サーミスタ素子2をシースピン4と接続した状態で収容してなる。サーミスタ素子2は、サーミスタ本体部21と、本体部21からシースピン4側へ突出する一対のリード線22を有し、金属シース41から突出する金属芯線42とリード線22とが、金属カバー3内において接続されている。
金属カバー3は、球面状の閉鎖面を有する先端側から、他端開口側へ向けて段付に拡径する筒状体で、開口内にシースピン4を挿通固定することにより、内部に密閉空間を形成している。サーミスタ素子2の本体部21は、最小径の先端部内に収納されて、金属カバー3の内周壁面と近接位置しており、サーミスタ素子2のリード線22と金属芯線42の接続部が位置する金属カバー3の中間部は、先端部よりやや大径に形成されている。
応答性を確保するには、感温部1を小型化するのがよく、金属カバー3の外径は、耐振フィラー11充填部において、通常3mm以下、好ましくは2.5mm以下とするのがよい。また、金属カバー3内において、耐振フィラー11充填部の軸方向深さは、通常15mm以下、好ましくは10mm以下とするのがよい。これにより、感温部1内に充填される耐振フィラー11の容積を小さくして耐振性を保持しつつ応答性を向上させることができる。
サーミスタ素子2の本体部21には、通常公知の酸化物半導体または酸化物半導体を含有するもの、例えば、Cr−Mn系金属酸化物半導体等からなるサーミスタが用いられる。本体部21は、これら金属酸化物を円板状に成形する際に、Pt系金属材料よりなる一対のリード線22を埋設して成形体とし、一体に焼結することにより得られる。酸化物半導体は雰囲気の酸素分圧の影響を受けやすく、本発明では、後述する耐振フィラー11の充填構造により特性の安定化を図っている。
シースピン4は、サーミスタ素子2の信号をノイズ無く伝達することが要求される。通常、金属シース41、金属芯線42は、ステンレス、例えばSUS310S等の耐熱金属材料にて構成され、金属シース41内には、金属芯線42間、金属芯線42と金属シース41間の絶縁を確保するために、多孔質の絶縁材料、例えば、酸化マグネシウム(MgO)やアルミナ(Al2 3 )を通気可能に充填している。この時、シースピン4内の通気路により、排気管内の感温部1に外部から空気(酸素)を供給可能となる。
金属カバー3は、排気流路に排出される自動車排ガスに直接晒されるため、耐食性があり、高強度で、高温まで使用可能な金属材料が適している。特に、ステンレス製とすることが望ましく、具体的にはSUS310S等が用いられる。金属カバー3は、開口端部がシースピン4の金属シース41外周に覆着されて、レーザ溶接等により接合されている。金属カバー3内空間には、サーミスタ素子2の耐振性を確保するために、耐振フィラー11が素子周辺を包囲するように充填されている。
この耐振フィラー11は、本発明の特徴部分であり、以下に詳述する。耐振フィラー11は、絶縁性多孔質材料からなり、特に、充填時の気孔率を30〜70%とすることで、耐振性および応答性を確保すると同時に、通気性を確保してサーミスタ素子2の特性を安定化させることができる。具体的には、図1(a)、(b)に示すように、金属カバー3の先端部内および中間部内に充填されて、サーミスタ素子2の本体部21およびリード線22の周囲と、さらにリード線22と金属芯線42との接続部の周囲を覆っている。気孔率は、耐振フィラー11の嵩比重(測定値)と真比重との差分[(1−嵩比重/真比重)×100] %から算出することができる。
排気管内に設置される温度センサSには、900〜1000℃の高温環境下での耐久性が要求されるようになっており、特に750℃以上では、金属カバー3の酸化が開始するために酸化物半導体の特性への影響が問題となる。また、現状の耐熱金属材料では、750℃以上でも酸化しない金属カバー3を得ることは困難である。そこで、本発明では、感温部1内の耐振フィラー11の気孔率を30%以上とすることで、シースピン4から導入される空気を耐振フィラー11を介して本体部21近傍まで運び届ける。これにより、酸化物半導体に必要な酸素を供給し、周辺雰囲気の酸素分圧が低下するのを抑制して、酸化物半導体の特性を安定化させるとともに、金属カバー3が受ける熱を耐振フィラー11を介して本体部21に速やかに伝熱する。気孔率が30%に満たないと、高温時に酸化物半導体の組成が不安定となり、抵抗値が変動しやすくなる。また、金属カバー3から本体部21への熱伝達が抑制され応答性が低下する。
一方、耐振フィラー11の気孔率を70%以下とすることで、耐振フィラー11によりサーミスタ素子2およびシースピン4との接続部の変位を抑制して、耐振性を向上し、断線等を防止することができる。耐振フィラー11の気孔率が70%を超えると、耐振フィラー11にてサーミスタ素子2の周囲を保持する効果が低下し、耐振性が不十分となるおそれがある。好適には、気孔率を40〜60%、より好適には気孔率を44〜55%の範囲とすると、耐振性および応答性と、特性の安定化とを両立させる効果をさらに高めることができる。
耐振フィラー11となる絶縁性多孔質材料は、耐熱性の点からは無機セラミック粉体を主成分とするものを用いることが望ましい。好適には、耐熱性および熱伝導性の良好なアルミナが骨材として用いられる。アルミナ以外の骨材として、シリカ(SiO2 )、酸化マグネシウム等の無機セラミック粉体を用いてもよい。これに焼結助剤として公知の無機結合材と溶媒を添加し、均一性を確保するための分散剤を適宜添加してスラリー状としたものを、金属カバー3とサーミスタ素子2の間に充填し、熱処理して耐振フィラー11とする。
溶媒としては水が好適に使用される。水以外にエチルアルコール等を用いることもできる。また、スラリーの充填性、均一性の観点から分散剤の他、潤滑剤、表面活性剤等を適宜添加してもよい。この時、熱処理の際にスラリー中の水分が蒸発することで気孔が形成されるので、添加する水分量と熱処理温度を調整することによって、耐振フィラー11を所望の気孔率に調整可能である。通常は、無機セラミック粉体に焼結助剤等を添加した成形材料に対し、水分添加量を10〜40重量%、熱処理温度を900〜1100℃の範囲で適宜設定するのがよい。
上記構成の温度センサSを製造する場合には、図2(a)に示すように、予め、サーミスタ素子2のリード線22とシースピン4の金属芯線42をレーザ溶接で接続しておく。一方、上述した方法で耐振フィラー11となるスラリーを調製し、図2(b)に示すように、このスラリーを金属カバー3内に、ディスペンサーを用いて所望量を充填する(例えば、金属カバー3の先端部外径:2.3mm、耐振フィラー11充填部深さ:6mm)。そこへサーミスタ素子2をシースピン4と接続した状態で、静かに挿入する。その後、耐振フィラー11となるスラリー中の水分を100℃で乾燥後、金属カバー3とシースピン4の金属シース41とをレーザ溶接で固定する。さらに、耐振フィラー11を所望の嵩密度と耐振性を発揮させるために、上述した温度範囲で所定時間、熱処理を実施して感温部1を完成させる。
図3に第2の実施形態として示すように、温度センサSに、両端開口の円筒状ガイド部材31と蓋状体32からなる金属カバー3を用いた構成とすることもできる。この構成の温度センサSを製造する場合には、図3(a)に示すように、予めサーミスタ素子2とシースピン4をレーザ溶接で接続したものに、ガイド部材31を外挿してシースピン4に固定する。次いで、ガイド部材31の上端開口部から、上述した方法で調製したスラリーを充填する。次いで、耐振フィラー11となるスラリー中の水分を100℃で乾燥した後、図3(b)に示すように、ガイド部材31の上端開口部に蓋状体32を接合し、上述した温度範囲で所定時間、熱処理を実施して感温部1を完成させる。
次に、本発明の効果を確認するために、図4(a)に示す構造の感温部1を有する評価用温度センサを作製して、気孔率と通気量の関係を調べた。本実施例の感温部1は、上記図3(b)に示した方法と同様にして、サーミスタ素子2とシースピン4を予めレーザ溶接で接続し、金属カバー3となるガイド部材31をシースピン4の外周に固定した後、ガイド部材31内に耐振フィラー11を充填することにより得た。耐振フィラー11の調製は、以下のようにして行った。
骨材としてアルミナ(平均粒径2.5μm)を用い、焼結助剤としてカオリン、タルク等の無機結合材を、91:9の重量割合となるように添加した無機セラミック粉体100gを秤量した。これに対して、溶媒として水を25gと、分散剤1gを調合し、混合してスラリーを調製した。得られたスラリーを、ガイド部材31内に空隙なきよう充填し、900℃で10時間の熱処理を実施した。
本実施例では、通気量を測定するために、感温部1の金属カバー3に上記図3(b)のような蓋状体32を接合せず、通気性のシースピン4基端側(図4(a)の右端:入力側)から、サーミスタ素子2が収納されているガイド部材31内へ空気を供給し、ガイド部材31先端側(図4(a)の左端:出力側)の開口から導出される空気量から、耐振フィラー11の通気量を測定したところ、10-3ml/sec/MPaであった。この時、通気量は、耐振フィラー11からの出力(空気)を、例えば水上置換法により捕集し、その体積と時間により算出した。
また、この耐振フィラー11の気孔率を測定したところ、50%であった。気孔率の測定方法としては、嵩比重を測定し、真比重との差分から下記式に基づいて、気孔率を算出した。
気孔率=[(1−嵩比重/真比重)×100] %
さらに、スラリーに添加する溶媒としての水分量、熱処理温度等を変更することにより、耐振フィラー11の気孔率を変化させたものについて、同様にして通気量を測定した。その結果を図4(b)に、耐振フィラー11の気孔率を横軸、通気量を縦軸として示した。図示されるように、耐振フィラー11の気孔率と通気量には明らかな相関があり、気孔率が大きいほど、通気量が多くなっていることが分かる。
そこで、通気量によるサーミスタ素子2の特性への影響を調べるために、耐振フィラー11の気孔率を、20〜55%の範囲で変化させたものについて、サーミスタ素子2の抵抗値出力の変化を、次の方法で評価した。所望の気孔率となるように、水分量、熱処理温度等を調整した耐振フィラー11を、同様にしてガイド部材31内に充填し、上記図3(b)の蓋状体32を接合して感温部1とした。これを金属カバー3が十分酸化するように、1000℃で2時間放置し、放置前後の抵抗値(600℃)の変化を測定した。その結果を図4(c)に、耐振フィラー11の気孔率を横軸、抵抗値変化率を縦軸として示した。
図に明らかなように、耐振フィラー11の気孔率が20%程度と小さい場合には、抵抗値変化率が20%ないしそれ以上と、極めて大きい。耐振フィラー11の気孔率が大きくなるにつれて、抵抗値変化率が急減し、気孔率が30%以上で抵抗値変化率が5%以下、気孔率が40%以上で抵抗値変化率が2%以下となり、気孔率が45%以上で抵抗値変化率は0%にほぼ収束する。したがって、図4(b)、(c)より、抵抗値変化率の許容範囲を±5%以内とすると、気孔率は30%以上、すなわち通気量として10-6 ml/sec/MPa以上が必要であり、これ以上の通気量を確保することで、サーミスタ素子2の抵抗値出力の変化を抑制できることが分かる。
ここで、図5により、サーミスタ素子2の導電性と抵抗値変化のメカニズムについて説明する。一般に、サーミスタ素子2の本体部21を構成する酸化物半導体は、図5(a)に示すABO3 型の結晶構造を有するP型半導体で、ホールhがキャリアとなって導電性を示す。また、感温部1の金属カバー3は、図5(b)のように、750℃以上高温雰囲気下で酸化して、雰囲気中の酸素を奪う。この時、通気性のシースピン4から金属カバー3内へ導入される酸素が、本体部21近傍へ十分供給されないと、酸化物半導体の酸素が奪われてホールhが消失し、抵抗値が上昇する。酸素が戻るとホールhが生成して抵抗値が低下する(図5(c))。つまり、酸素分圧の変動により抵抗値が上下し、特性が不安定となる。
これに対し、上記実施例のように、耐振フィラー11の気孔率が30%以上(通気量10-6 ml/sec/MPa以上)であれば、金属カバー3の酸化を補うだけの酸素を、耐振フィラー11内の気孔を介して本体部21まで運び届ける役割を果たすことができる。その結果、素子周辺の酸素分圧が下がるのを抑制して、抵抗値出力特性の安定性を大幅に向上させることが可能となる。
図6は、耐振フィラー11となるスラリーに添加する水分量(重量%)および熱処理温度と、気孔率の関係を調べた結果である。図示されるように、添加する水分量が増加するほど、気孔率が増加し、また、熱処理温度が低いほど、気孔率の気孔率が増加する傾向があり、これら水分量と熱処理温度によって気孔率が制御可能であることが分かる。したがって、耐振フィラー11の主成分となる無機セラミック粉体に対して、添加する水分量や熱処理温度等を変化させた時の気孔率を、予め実験等により評価しておくことで、所望の気孔率を実現することができる。
図7(a)は、耐振フィラー11の気孔率によるサーミスタ素子2の耐振性への影響を調べた結果である。この時、テストサンプルとして、図7(b)に示す円板状の成形体(直径13mm×厚さ3mm)を、耐振フィラー11の構成材料を用いて作製した。耐振フィラー11の気孔率を20〜70%の範囲で変化させたものについて、上方から荷重を加えることにより、圧壊強度を測定した。図に明らかなように、気孔率が大きくなると、圧壊強度が低下する傾向にあるものの、気孔率60〜70%において圧壊強度は、ほぼ1MPa程度と、車両において振動加速度50G以上に耐えられる強度a(図中に横斜線で示す)に対して、十分大きい。一方、気孔率が55%以下になると、圧壊強度が1MPaを超え、気孔率が小さくなるほど、圧壊強度は向上するが、上述したように気孔率が30%を下回ると、通気量が低下して特性に影響する懸念がある。
以上、図4、図7の結果をまとめると、耐振フィラー11の気孔率は30〜70%、好ましくは40〜60%、より好ましくは44〜55%であるとよく、十分な通気量を確保して酸素分圧の低下を抑制し、特性を安定化させるとともに、振動や衝撃を吸収して素子の変位によるリード線の断線や素子の損傷を防止することが可能となる。よって、自動車エンジンの排気系のように、高温・高振動の使用環境下においても出力の安定性に優れ、高い信頼性と耐振性および応答性とを兼ね備えた温度センサを実現することができる。
本発明の第1実施形態を示し、(a)は温度センサの主要部である感温部構成を示す拡大断面図、(b)は(a)の一部を示すA−A線断面図、(c)は温度センサの全体構成図である。 (a)、(b)は、本発明の第1実施形態における温度センサの製造方法を説明するための図である。 (a)、(b)は、本発明の第2実施形態における温度センサの製造方法を説明するための図である。 (a)は本発明の実施例における通気量の測定方法を説明するための温度センサの断面図、(b)は本発明の実施例における気孔率と通気量の関係を示す図、(c)は本発明の実施例における気孔率と抵抗値変化率の関係を示す図である。 (a)はサ−ミスタ素子を構成する酸化物半導体構造の一例を示すモデル図、(b)は温度センサ感温部への通気とカバー酸化の関係を説明するための概略断面図、(c)は酸素分圧と抵抗値との関係を説明するための図である。 本発明の実施例において耐振フィラーの構成材料に添加した水分量と気孔率の関係を示す図である。 本発明の実施例における気孔率と圧壊強度の関係を示す図である。
符号の説明
S 温度センサ
1 感温部
11 耐振フィラー
2 サ−ミスタ素子
21 本体部
22 リード線
3 金属カバー
31 ガイド部材
52 蓋状体
4 シースピン
41 金属シース
42 金属芯線
5 取付部
51 フランジ
6 カバー部材
61 リード線

Claims (7)

  1. 感温部が750℃以上の高温環境下に晒される温度センサであって、
    上記感温部が、温度を検出するためのサーミスタ素子と、該サーミスタ素子の出力を取り出すためのシースピン端部に固定され、その内部に上記サーミスタ素子を上記シースピンと接続した状態で収容する金属カバーとを備え、
    上記金属カバー内空間には、上記サーミスタ素子の周囲に絶縁性多孔質材料よりなる耐振フィラーを充填するとともに、該耐振フィラーの気孔率を30〜70%としたことを特徴とする温度センサ。
  2. 上記シースピンは、筒状の金属シース内に金属芯線を絶縁保持し、かつ軸方向に通気可能に構成されている請求項1に記載の温度センサ。
  3. 上記シースピンの軸方向端部に突出する上記金属芯線と、上記サーミスタ素子のリード線とを接続し、上記金属芯線と上記リード線との接続部および上記サーミスタ素子の本体部を包囲するように上記耐振フィラーを充填した請求項2に記載の温度センサ。
  4. 上記サーミスタ素子の本体部が酸化物半導体を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の温度センサ。
  5. 上記耐振フィラーの気孔率を40〜60%とした請求項1ないし4のいずれかに記載の温度センサ。
  6. 上記耐振フィラーの気孔率を45〜55%とした請求項1ないし5のいずれかに記載の温度センサ。
  7. 上記金属カバーの外径が3mm以下、上記耐振フィラー充填部の軸方向深さが15mm以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の温度センサ。
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