JP5561292B2 - 温度センサ - Google Patents

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Description

本発明は、温度センサに関する。
従来、自動車の排気ガス等の温度を検出するため、温度によって抵抗値が変化するサーミスタ素子等の感温素子を用いた温度センサがある。この種の温度センサとしては、例えば、感温素子と、感温素子に接続された電極線と、電極線に接続された信号線を先端側に露出させた状態で収容するシースピンとを有する温度センサが知られている。電極線材料としてはPt、信号線材料としてはSUS310Sが広く用いられている。
また、電極線と信号線との間に中間層を配置した温度センサも提案されている。例えば、特許文献1には、サーミスタ素子の電極線とシースの信号線とを重ね合わせた部分に、電極線の熱膨張係数と信号線の熱膨張係数との中間の熱膨張係数を有する中間部材を配置し、この中間部材を中心にしてレーザー溶接を行って中間層を形成してなる温度センサが記載されている。
特開2009−294107号公報
しかしながら、例えば、−40℃程度の低温域から1000℃程度の高温域までの広い温度範囲にわたって温度検出が必要な場合、従来広く用いられている温度センサは以下の点で問題がある。
すなわち、電極線材料としてPt、信号線材料としてSUS310Sを用いた温度センサは、電極線の線膨張係数と信号線の線膨張係数との差が大きい。そのため、使用時における冷熱の幅が大きくなるほど、電極線と信号線との接合部における熱応力が増大する。その結果、信号線に比べて材質的に弱い電極線が断線するといった問題が発生する。この問題は、冷熱が繰り返し負荷される環境下に温度センサが曝される場合に特に顕著である。
なお、特許文献1の温度センサは、電極線の熱膨張係数と信号線の熱膨張係数との中間の熱膨張係数を有する中間部材を配置することによって中間層を形成している。しかし、このような構造では、中間層、及び信号線が酸化の影響を受けやすく、電極線の断線を十分に抑制することは難しい。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、従来に比べ、冷熱を繰り返した場合でも電極線の断線を抑制することが可能な温度センサを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、温度によって電気特性が変化する感温素子と、該感温素子に電気的に接続された一対の電極線と、該一対の電極線にそれぞれ重ね合わされて電気的に接続された一対の信号線を備え、かつ、該一対の信号線を先端側に露出させた状態で収容するシースピンとを有する温度センサであって、
上記電極線は、Ptを主成分として含有する金属材料から形成されており、
上記信号線は、上記電極線を形成する金属材料よりも線膨張係数が大きく、かつ、1.0〜1.7質量%のAlを含有するNi基合金から形成されており、
上記電極線と上記信号線との重ね合わせ部には、上記電極線と上記信号線とが部分的に溶融した後、凝固して形成された接合部が存在しており、
上記接合部は、その厚みが1〜50μmの範囲内にあるAlを含む第1の酸化膜を表面に有することを特徴とする温度センサにある(請求項1)。
上記温度センサは、電極線が、Ptを主成分として含有する金属材料から形成されており、信号線が、電極線を形成する金属材料よりも線膨張係数が大きく、かつ、上記Alを含有するNi基合金から形成されている。そして、電極線と信号線との重ね合わせ部には、電極線と信号線とが部分的に溶融した後、凝固して形成された接合部が存在している。したがって、接合部は、電極線を形成する金属材料と信号線を形成する金属材料とが混ざり合っており、電極線と信号線との間の線膨張係数となっている。
そして、上記温度センサは、上記接合部の表面に、さらに、上記Alを含む第1の酸化膜を有している。そのため、電極線と信号線との線膨張係数の差に起因して接合部に生じる熱応力を低減することが可能となる。これは、上記Alを含む第1の酸化膜の熱膨張係数が、上記電極線の線膨張係数と近くなるためであると考えられる。それ故、上記温度センサは、冷熱を繰り返した場合でも、信号線に比べて材質的に弱い電極線の断線を抑制することができる。
実施例1における、温度センサの先端部を示す平面図である。 実施例1における、温度センサの先端部を示す側面図である。 図2における、III−III線の矢視断面図である。 実施例1における、温度センサの縦断面図である。 実施例2における、温度センサの先端部を示す側面図である。 実施例3における、温度センサの先端部の縦断面図である。 実施例3において、温度センサに冷熱を繰り返したときに、接合部にかかる応力と冷熱時の温度との関係を説明するための説明図である。 実施例3における、温度センサの接合部近傍を拡大して模式的に示した拡大図である。 図8における、IX−IX線の矢視断面図である。 実験例1における、従来の温度センサの試料の耐久試験の結果を説明するための図である。 実験例1における、本例の温度センサの試料の耐久試験の結果を説明するための図である。 実験例2における、従来の温度センサの試料のシースピン単品についての耐久試験の結果を説明するための図である。 実験例3における、従来の温度センサの試料の耐久試験の結果を説明するための図である。 実験例3における、本例の温度センサの試料の耐久試験の結果を説明するための図である。
上記温度センサは、例えば、内燃機関の排気系等の温度測定に用いることができ、排気管等の内部に挿入した状態で配置して用いることができる。そして、本願においては、温度センサを排気管等に挿入する側、すなわち、感温素子を配設した側を先端側、その反対側を後端側として説明する。また、感温素子は、例えば、温度によって電気抵抗値が変化するサーミスタ素子などによって構成することができる。
上記電極線は、Ptを主成分として含有する金属材料から形成されている。「Ptを主成分として含有する」とは、Ptを50質量%以上含有することを意味する。電極線を形成する金属材料は、具体的には、Ptや、Ptと他の合金成分とを含むPt合金、PtにAu等をめっきしたものなどとすることができる。他の合金成分としては、例えば、Rh、Ir、Pd、Ru、Os等の白金族元素や、Ni、Wなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていてもよい。なお、Pt、Pt合金中には製造上取り除くことが不可避な不純物が含まれていてもよい。また、上記他の合金成分の含有量は、強度や加工性、添加元素の種類等を考慮し、適宜最適な割合を選択することができる。
電極線を形成する金属材料の線膨張係数は、好ましくは、7〜11×10−6(1/℃)程度、より好ましくは、8〜10×10−6(1/℃)程度とすることができる。なお、本願にいう線膨張係数は、JIS Z2285「金属材料の線膨張係数の測定方法」に準拠し、熱機械分析装置を用い、恒温保持測定方法により測定した温度1000℃における値をいう。電極線の断面形状は特に限定されるものではないが、例えば、断面略円形とすることができる。また、この場合、電極線の直径は、例えば、0.1〜0.4mm程度とすることができる。
上記信号線は、Alを含有する金属材料から形成されている。信号線に含まれるAlは、第1の酸化膜や後述する第2の酸化膜を形成するための元素として重要である。Alを含有する金属材料としては、具体的には、Alを含有するNi基合金を用いる。その理由は次の通りである。
従来の温度センサは、信号線を形成する金属材料がSUS310S等からなる。この場合、冷熱を繰り返すと、信号線や接合部の酸化が進行し、信号線や接合部の表面にCr酸化物を主成分とする酸化膜が形成される。このCr系酸化膜は、信号線を形成する金属材料に比較して線膨張係数が低いうえ脆弱である。そのため、冷熱を繰り返すと信号線から容易に剥離し、信号線の断面減少を生じさせる。信号線が減径すると信号線の強度が低下し、信号線が塑性変形しやすくなるため、接合部にかかる熱応力が増加しやすくなる。その結果、電極線に断線が生じやすくなる。
これに対して、信号線が上記金属材料から形成されている場合には、信号線の耐酸化性を向上させることができる。それ故、上記温度センサは、冷熱を繰り返した場合であっても、信号線表面が酸化され難く、酸化膜の剥離による信号線の断面減少が生じ難くなり、信号線の減径による塑性変形を抑制することが可能となる。その結果、接合部にかかる熱応力の増加を抑制しやすくなり、電極線の断線を一層抑制しやすくなる。この効果は、信号線が、Alを含有するNi基合金から形成されている場合に特に大きい。また、この場合には、Alを含有するFe−Cr系合金から信号線が形成されている場合に比べ、信号線を収容するシースピンの加工性も良好なため、製造性に優れた温度センサが得られる。
上記Alを含有するNi基合金としては、例えば、INCONEL(スペシャルメタル社、登録商標、以下省略)601、617などを用いることができる。Alを含有するNi基合金におけるAl含有量は、Alを含む酸化膜の形成性、耐酸化性等の観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上とすることができる。また、上記Al含有量は、加工性等の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下とすることができる。
また、信号線を形成する金属材料は、電極線を形成する金属材料よりも線膨張係数が大きい。信号線の断面形状は特に限定されるものではないが、例えば、断面略円形とすることができる。また、この場合、信号線の直径は、例えば、0.2〜0.5mm程度とすることができる。
上記電極線と信号線との重ね合わせ部は、具体的には、例えば、一対の電極線におけるそれぞれの後端側の一定範囲と一対の信号線におけるそれぞれの先端側の一定範囲とを、電極線および信号線の軸方向が略平行となるように接触させた状態にて重ね合わせることにより構成することができる。なお、重ね合わせ部の軸方向の長さは、特に限定されるものではないが、例えば、0.3〜0.8mm程度とすることができる。
また、重ね合わせ部は、軸方向に直交する断面において、互いに重なり合う一方の電極線と信号線とをそれぞれの中心において結ぶ直線と、互いに重なり合う他方の電極線と信号線とをそれぞれの中心において結ぶ直線とが、互いに非平行となるように構成されていてもよいし、互いに平行となるように構成されていてもよい。前者の場合には、重ね合わせ部に対して斜め方向からレーザーを照射しやすくなるなど、レーザー溶接における接合条件の自由度が向上する。そのため、後者の場合に比べ、接合部の接合強度の向上を図りやすくなる。
上記接合部は、重ね合わせ部において、電極線と信号線とが部分的に溶融した後、凝固して形成されたものである。したがって、接合部は、電極線を形成する金属材料と信号線を形成する金属材料とが混合された状態となっている。接合部は、一つの接合部位から構成されていてもよいし、複数の接合部位から構成されていてもよい。後者の場合、複数の接合部位は、互いに離れていてもよいし、連結していてもよい。さらにはこれらの組合せとすることもできる。また、接合部の形成領域は、製造性等の観点から、電極線と信号線とをそれぞれの中心において結ぶ直線よりも外側に多く存在させることができる。また、接合部の形成領域は、電極線側と信号線側とにおいて同等程度の割合で存在していてもよいし、電極線側あるいは信号線側のいずれか一方に多く存在していてもよい。接合部の線膨張係数を適切な範囲に設定しやすい、電極線との線膨張係数の差が小さくなる等の観点から、接合部の形成領域は、電極線側に多く存在しているとよい。
上記接合部表面の第1の酸化膜は、接合部表面の略全部を一様に覆っていることが好ましい。第1の酸化膜は、電極線と信号線との重ね合わせ部を、例えば、酸素を含む雰囲気中にてレーザー溶接することなどにより形成することができる。なお、上記雰囲気は、具体的には、大気中や、アシストガスとして窒素ガスを供給した大気中などを例示することができる。
1の酸化膜の厚みは、接合部にかかる熱応力の低減、耐酸化性の向上等の観点から、冷熱を繰り返す前の初期状態において、1μm〜50μmとされている。
ここで、シースピンから露出する信号線は、Alを含む第2の酸化膜を外周面に有する構成とすることができる(請求項2)。
この場合には、信号線の耐酸化性を一層向上させることができる。そのため、冷熱を繰り返しても信号線の減径が生じ難く、信号線の塑性変形を抑制しやすくなる。それ故、接合部にかかる熱応力を抑制しやすく、電極線の断線を一層抑制しやすくなる。なお、第2の酸化膜は、信号線の露出部における外周面の略全部を一様に覆っていることが好ましい。
第2の酸化膜の厚みは、上記作用効果を奏する限り、特に限定されるものではない。第2の酸化膜の厚みは、耐酸化性の向上などの観点から、冷熱を繰り返す前の初期状態において、1μm〜50μm程度とすることができる。
上記第1の酸化膜、上記第2の酸化膜は、Alを主成分とすることができる(請求項4、請求項5)。なお、ここにいう「Alを主成分とする」とは、その50質量%以上がAlであることを意味する。
この場合には、膜質が強固となるため、冷熱の繰り返しによっても第1の酸化膜、第2の酸化膜が一層剥離し難くなる。第2の酸化膜を有するときには、信号線の減径による塑性変形を抑制しやすくなる。それ故、接合部にかかる熱応力の増加を抑制しやすく、電極線の断線を一層抑制しやすくなる。
第1の酸化膜、第2の酸化膜におけるAl含有量はそれぞれ、好ましくは、50質量%以上、より好ましくは、70質量%以上、さらに好ましくは、90質量%以上とすることができる。なお、第1の酸化膜、第2の酸化膜は、上記作用効果を奏する限りにおいて、Al以外にも他の酸化物を含有することができる。他の酸化物としては、上記信号線を形成する金属材料に含まれる金属元素の酸化物等を例示することができる。具体的には、例えば、Cr等の酸化物などが挙げられる。
上記温度センサは、シースピンの先端部に設けられ、感温素子、電極線および信号線の外周を覆うカバーと、カバー内に充填されたフィラーとを有する構成とすることができる。この場合には、感温素子、電極線および信号線とカバー内壁面との間に形成される空隙にフィラーが充填されることになるため、振動に対する信頼性を向上させることができる。
カバーは、金属材料より形成することができ、その金属材料としては、例えば、Ni基合金、Fe−Cr系合金などを用いることができる。具体的には、INCONEL600、INCONEL601、SUH21(JIS G4312)などを用いることができる。
上記のようにカバーを設ける場合、電極線および信号線とカバーとは、フィラーを介して固定された構成とすることができる(請求項3)。上記固定は、例えば、電極線および信号線とフィラーとの固着、フィラーとカバーとの固着によることができる。また例えば、上記固定は、電極線および信号線とフィラーとの摩擦接触、フィラーとカバーとの摩擦接触によることもできる。
この場合、最外周に位置するカバーは、昇温時に先に加熱され、降温時に先に冷却される。一方、カバー内の電極線および信号線は、カバーに比べ、加熱され難く、一旦加熱されると冷却され難い上、フィラーによって拘束されている。そのため、接合部にかかる熱応力は、フィラーがない場合に比べて、増大しやすくなる。上記温度センサは、このような厳しい熱応力状況下であっても、電極線の断線を抑制することができる。
上記フィラーは、Alを主成分とすることができる(請求項)。なお、ここにいう「Alを主成分とする」とは、その50質量%以上がAlであることを意味する。
この場合には、第1の酸化膜、第2の酸化膜と主成分を揃えやすくなり、接合部にかかる熱応力の抑制に対して有利に働く。そのため、電極線の断線抑制に寄与しやすい。
上記フィラーとしては、具体的には、例えば、Alにバインダーとしてガラス等を添加したものなどを例示することができる。なお、バインダー量は、強度確保や電極線の拘束力などを考慮して最適な割合を選択することができる。バインダー量は、具体的には、Alに対して2〜10質量%程度とすることができる。
上記温度センサは、例えば、次の工程を経ることにより製造することができる。すなわち、Ptを主成分とする金属材料からなる一対の電極線を感温素子に電気的に接続する。感温素子に接続された一対の電極線の後端側の一定範囲と、Alを含有する金属材料からなる一対の信号線の先端側の一定範囲とを接触させて重ね合わせ、重ね合わせ部を形成する。酸素を含む雰囲気中にて、例えば、一対の信号線の中心を結ぶ直線に平行な方向などから、重ね合わせ部に対してレーザーを照射し、電極線と信号線とを接合する。これにより、電極線と信号線とが部分的に溶融した後、再凝固して接合部が形成される。また、信号線に含まれていたAlに起因して、接合部表面にAlを含む第1の酸化膜が形成される。
また、信号線の外周面にAlを含む第2の酸化膜を形成する場合には、次のようにすればよい。すなわち、上記接合部を形成した後、信号線を、例えば、大気中等の酸素を含む雰囲気中、900℃〜1000℃程度にて加熱処理する。これにより、信号線に含まれていたAlに起因して、信号線の外周面に第2の酸化膜を形成することができる。また、電極線および信号線とカバーとをフィラーを介して固定する構成を採用する場合には、例えば、次のようにすればよい。すなわち、加熱により固まるスラリー状のフィラー材料をカバー内に入れ、カバー内のフィラー材料中に感温素子側から、接合部が形成されている重ね合わせ部を挿入する。そして、大気中等の酸素を含む雰囲気中、フィラー材料が固まるのに適した温度にて加熱処理する。この手法によれば、上記フィラーを介した固定と第2の酸化膜の形成とを同時に行うことができるので、製造工程を簡略化することができる。
以下、実施例にかかる温度センサについて説明する。なお、同一の構成については同一の符号を付して説明する。
(実施例1)
実施例1にかかる温度センサについて、図1〜図4を用いて説明する。
本例の温度センサ1は、図1〜図4に示すように、温度によって電気特性が変化する感温素子2と、感温素子2に電気的に接続された一対の電極線3と、一対の電極線3にそれぞれ重ね合わされて電気的に接続された一対の信号線4を備え、かつ、一対の信号線4を先端側に露出させた状態で収容するシースピン5と、を有する。
電極線3は、Ptを主成分として含有する金属材料から形成されている。信号線4は、電極線3を形成する金属材料よりも線膨張係数が大きく、かつ、Alを含有する金属材料から形成されている。本例では、具体的には、電極線3は、イリジウムを10質量%含有するPt合金(Pt−10%Ir)からなり、1000℃における線膨張係数は9.88×10−6(1/℃)である。信号線4は、Alを含有するNi基合金であるINCONEL(インコネル)601(Al含有量:1.4質量%)からなり、1000℃における線膨張係数は17.7×10−6(1/℃)である。なお、電極線3、信号線4はともに断面略円形である。また、電極線3の直径は0.25mm、信号線4の直径は0.35mmである。
電極線3と信号線4との重ね合わせ部には、電極線3と信号線4とが部分的に溶融した後、凝固して形成された接合部6が存在している。接合部6は、Alを含む第1の酸化膜61を表面に有している。
以下、本例の温度センサ1を詳説する。
本例の温度センサ1は、自動車の排ガスの温度を検出するために用いられる。温度センサの使用温度領域は、−40℃程度の低温域から1000℃程度の高温域までの広範囲の温度領域とすることができる。
感温素子2は、温度によって電気抵抗が変化するサーミスタ素子からなる。感温素子2は、略直方体形状を有している。感温素子2の一方面には、一方の電極線3の先端側が接合されており、他方面には、他方の電極線3の先端側が接合されている。これにより、感温素子2は、一対の電極線3の間に配設されている。なお、一対の電極線3の中心間距離は、一対の信号線4の中心間距離よりも小さく設定されている。また、感温素子2から延びる一対の電極線3の後端側の一定範囲が、信号線4と重ね合わされて接合部6の一部が形成される重ね合わせ領域33とされる。また、感温素子2は、一対の電極線3の先端側を含んだ状態でガラス11によって封止されている。
一対の信号線4は、シースピン5内から延びている。信号線4は、シースピン5に保持される保持領域42と、電極線3と重ね合わされて接合部6の一部が形成される重ね合わせ領域43と、保持領域42と重ね合わせ領域43との間を繋ぐ屈曲部44とを有している。そして、一対の信号線4の中心軸を含む平面は、重ね合わせ領域43における一対の信号線4の中心軸を含む平面よりも、一対の電極線3の中心軸を含む平面に近い。
電極線3と信号線4との重ね合わせ部34は、一対の電極線3における重ね合わせ領域33と、一対の信号線4における重ね合わせ領域43とを、電極線3および信号線4の軸方向が略平行となるように接触させた状態にて重ね合わせることにより構成されている。この際、図3に示すように、軸方向に直交する断面において、互いに重なり合う一方の電極線3と信号線4とをそれぞれの中心において結ぶ直線M1と、互いに重なり合う他方の電極線3と信号線4とをそれぞれの中心において結ぶ直線M2とは、互いに非平行である。なお、本例において、直線M1と直線M2との間の角度θは、45°である。
接合部6は、重ね合わせ部34に対して外側からレーザー溶接することにより、電極線3と信号線4とが部分的に溶融した後、凝固して形成されたものである。接合部6は、一組の電極線3と信号線4との間にまたがって存在しており、電極線3を形成するPt合金と信号線4を形成するINCONEL601(Alを1.4質量%含有するNi基合金)とが混ざり合っている。そのため、接合部6は、電極線3の線膨張係数と信号線4の線膨張係数との間の線膨張係数を有している。本例において、接合部6は、外側から見た場合、略円形状の2つの接合部位60から構成されており、各接合部位60は互いに周縁にて連結している。
第1の酸化膜61は、レーザー溶接による接合部6の形成時に、信号線4を形成するINCONEL601中に含まれるAl成分が酸化されて形成されたものである。本例において、第1の酸化膜61は、具体的には、その90質量%以上がAlである。また、第1の酸化膜61は、接合部6の表面をほぼ一様に覆っている。
なお、上記レーザー溶接は、一対の信号線4の中心を結ぶ直線に垂直な方向かつ信号線4側からアシストガスとしての窒素ガスを供給した大気雰囲気中において、一対の信号線4の中心を結ぶ直線に平行な方向から、重ね合わせ部34における電極線3と信号線4との接触部に対して、レーザー溶接装置からのレーザーを照射することにより行った。この際のレーザーの焦点位置は、上記接触部に合わせてある。レーザーの集光径は、直径0.4mmである。レーザーのパワーは0.5kWである。
図4に示すように、シースピン5は、一対の信号線4と、信号線4の周りに配置したマグネシア等の絶縁粉末からなる絶縁部51と、絶縁部51の外周を覆う外管部52とを有している。一対の信号線4のうち、重ね合わせ領域43、屈曲部44および保持領域42の一部は、シースピン5の外管部52から露出している。外管部52の外周には、シースピン5を保持するリブ12が固定されている。リブ12の後端部には、シースピン5およびその後端部に接続されるリード(図示略)を保護する保護チューブ13が全周溶接により固定されている。外管部52、リブ12、保護チューブ13は、それぞれ、SUS310S、SUS304、SUS304から形成されている。
シースピン5の先端部の外周には、カバー7が嵌合され溶接されている。カバー7は、シースピン5に嵌合する大径部71と、感温素子2、電極線3および信号線4の露出部の外周に配される小径部72とを有する。そして、小径部72の先端部は、略半球形状に閉塞されている。なお、カバー7は、INCONEL601から形成されている。
次に、本例の温度センサの作用効果について説明する。
本例の温度センサ1は、電極線3が、Pt合金から形成されており、信号線4が、Pt合金よりも線膨張係数が大きく、かつ、Alを含有するNi基合金であるINCONEL601から形成されている。そして、電極線3と信号線4との重ね合わせ部34には、電極線3と信号線4とが部分的に溶融した後、凝固して形成された接合部6が存在している。したがって、接合部6は、両者の形成材料が混ざり合っており、電極線3と信号線4との間の線膨張係数となっている。そして、上記温度センサ1は、この接合部6の表面に、さらに、Alを主成分とする第1の酸化膜61を有している。そのため、電極線3と信号線4との線膨張係数の差に起因して接合部6に生じる熱応力を低減することができる。それ故、室温と950℃あるいは1000℃程度の温度範囲にて冷熱を繰り返しても、信号線4に比べて材質的に弱い電極線3の断線を抑制することができる。したがって、本例の温度センサ1は、例えば、ターボを備える自動車における排ガスの温度検出等に特に好適に用いることができる。
また、本例では、第1の酸化膜61がAlを主成分とする。そのため、第1の酸化膜61が強固となり、冷熱の繰り返しによっても剥離し難い。それ故、本例の温度センサ1は、接合部6にかかる熱応力を抑制しやすく、電極線3の断線を一層抑制しやすい。
また、本例では、信号線4が、Alを含有するNi基合金から形成されている。そのため、信号線4の耐酸化性が向上する。それ故、本例の温度センサ1は、冷熱を繰り返した場合でも、信号線4の表面が酸化され難く、酸化膜の剥離による信号線4の断面減少が生じ難くなり、信号線4の減径による塑性変形を抑制することができる。その結果、接合部6にかかる熱応力を抑制しやすく、電極線3の断線を一層抑制しやすい。また、信号線4を収容するシースピン5の加工性を損なうこともないので、本例の温度センサ1は、製造性にも優れる。
(実施例2)
次に、実施例2にかかる温度センサについて、図5を用いて説明する。
本例の温度センサ1は、図5に示すように、シースピン5から露出する信号線4が、Alを含む第2の酸化膜41を外周面に有している。具体的には、信号線4の露出部における外周面のほぼ全てが、第2の酸化膜41により覆われている。また、本例では、第2の酸化膜41は、Alを主成分とする。具体的には、第2の酸化膜41は、その90質量%以上がAlである。その他は、実施例1と同様の構成を有している。なお、第2の酸化膜41は、接合部6を形成した後、大気中にて、シースピン5から露出する信号線4を900℃で熱処理することにより形成したものである。
この場合、信号線4の外周面に、第2の酸化膜41を当初から有しているので、信号線4の耐酸化性が一層向上する。そのため、冷熱を繰り返しても信号線4の減径が生じ難く、信号線4の塑性変形を抑制しやすい。それ故、接合部6にかかる熱応力を抑制しやすく、電極線3の断線を一層抑制しやすい。特に、Alを主成分とする第2の酸化膜41は強固であるため、上記効果を得るのに有利である。その他は、実施例1と同様の作用効果を奏する。
(実施例3)
次に、実施例3にかかる温度センサについて、図6〜図9を用いて説明する。
本例の温度センサ1は、図6に示すように、カバー7内にフィラー8が充填されている。具体的には、フィラー8は、カバー7の小径部72内をほぼ満たしている。そして、電極線3および信号線4とカバーとは、フィラー8を介して固定されている。本例では、フィラー8は、具体的には、Alを主成分とし、1000℃における線膨張係数は、約8×10−6(1/℃)である。また、電極線3および信号線4とフィラー8とは固着しており、フィラー8とカバー7も固着している。その他は、実施例2と同様の構成を有している。
なお、カバー7内のフィラー8は、次のようにして作製されたものである。すなわち、スラリー状のフィラー材料をカバー7内に入れる。なお、フィラー材料は、Al粉末、ガラス粉末、分散剤を含み、スラリー全体の水分量が19質量%となるように調製したものであり、分散剤の添加量は粉末に対し1質量%である。このカバー7内のフィラー材料中に、感温素子2側から、接合部6が形成されている重ね合わせ部34を挿入する。その後、大気中、900℃にて加熱処理することによりフィラー8とする。また、第2の酸化膜41は、このフィラー8の形成時の加熱により、信号線4の外周面に形成したものである。
この場合、最外周に位置するカバー7は、昇温時に先に加熱され、降温時に先に冷却される。一方、カバー7内の電極線3および信号線4は、カバー7に比べ、加熱され難く、一旦加熱されると冷却され難い上、フィラー8によって拘束されている。そのため、接合部6にかかる熱応力は、フィラー8がない場合に比べて、増大しやすい。本例の温度センサ1は、このような厳しい熱応力状況下であっても、電極線3の断線を抑制することができる。このメカニズムについて、図7〜図9を用いてより詳細に説明する。
図7に示すように、フィラーが固着したときの温度をT(本例ではT=900℃)とする。この温度Tにおいて、接合部6にかかる応力σをゼロとする。ここで、室温R.Tと、Tよりも高温であるT(本例では例えば、T=950℃)との間の温度範囲にて、本例の温度センサ1に対して冷熱を繰り返す場合を考える。なお、本例では、電極線3、信号線4、カバー7およびフィラー8の各線膨張係数は、フィラー8の線膨張係数<電極線3の線膨張係数<接合部6の線膨張係数<信号線4の線膨張係数、カバー7の線膨張係数の関係を満たしている。
上記において、温度TからTに至るまでの温度センサ1の挙動を考える。この場合、最外周に位置するカバー7が先に加熱されて大きく熱膨張すると、フィラー8を介して感温素子2とこれに接続された電極線3が引っ張られる。そのため、図8、図9に示すように、接合部6における電極線3と信号線4との重なり部分である切欠き部62には、矢印A1の引張応力が作用する。一方、カバー7内は、カバー7に比べて加熱され難いが、ある程度の熱が加わっている。そのため、カバー7の熱膨張ほどではないが、信号線4も熱膨張する。そのため、切欠き部62には、矢印A2の引張応力が作用する。よって、切欠き部62には、矢印A1と矢印A2の差分の引張応力がかかる。また、切欠き部62には、矢印A3に示すように、切欠き部62が開く方向の応力も接合部6に沿って生じている。これは、フィラー8が無い場合であっても電極線3と信号線4との間に単純な熱膨張の差があることや、これに加えフィラー8があるために、線膨張係数が大きいカバーに引張られて電極線3に引張力がかかるからである。
次に、温度TからR.Tに至るまでの温度センサ1の挙動を考える。この場合、最外周に位置するカバー7が先に冷却されて大きく収縮すると、フィラー8を介して感温素子2とこれに接続された電極線3が圧縮される。そのため、切欠き部62には、矢印B1の圧縮応力が作用する。一方、カバー7内は、カバー7に比べて冷却され難いため、熱を持った状態となっており、信号線4はすぐには収縮し難いものの、ある程度は収縮する。そのため、切欠き部62には、矢印B2の圧縮応力が作用する。よって、切欠き部62には、矢印B1と矢印B2の差分の圧縮応力(せん断応力)がかかる。
したがって、室温R.TとTとの間の温度範囲にて冷熱のサイクルを繰り返すと、上記引張応力と圧縮応力とが繰り返し生じ、上記切欠き部62は厳しい熱応力状況下におかれることになる。
このような場合であっても、本例の温度センサ1は、接合部6の表面に、Alを主成分とする第1の酸化膜61が形成されているので、接合部6にかかる熱応力を抑制しやすい。さらに、シースピン5から露出する信号線4の外周面は、Alを主成分とする第2の酸化膜41により覆われているので、冷熱の繰り返しによっても第2の酸化膜41が剥離し難く、信号線4の減径による塑性変形が抑制され、接合部6にかかる熱応力を抑制しやすい。よって、本例の温度センサ1は、このような厳しい熱応力状況下であっても、電極線3の断線を効果的に抑制することができる。
なお、本例では、信号線4の線膨張係数とカバー7の線膨張係数は材質が同じであるので同一であるが、これに限定されず、信号線4の線膨張係数<カバー7の線膨張係数、カバー7の線膨張係数<信号線4の線膨張係数の関係あっても同様のことがいえる。
(実験例1)
実験例1は、従来の温度センサ91の試料と本例の温度センサ1の試料について、初期状態と、耐久試験を行った後の状態とを比較した例である。上記耐久試験の条件は、室温から950℃まで昇温した後、再び室温まで降温するというサイクルを5000サイクル繰り返すという条件(以下、これを耐久条件1という)とした。
なお、実験に用いた本例の温度センサ1の試料は、基本的には、実施例3と同様の構成を有している。但し、電極線3および信号線4とフィラー8とは完全な固着まではされていない。これに対し、比較に用いた従来の温度センサ91の試料は、信号線94がSUS310Sからなる点で、本例の温度センサ1の試料と大きく構成が異なっている。そのため、従来の温度センサ91の試料の接合部96は、Pt合金とSUS310Sとが混ざり合っており、表面にAlを主成分とする第1の酸化膜61を有していない。また、信号線94の表面は、Alを主成分とする第2の酸化膜41を有していない。
図10は、従来の温度センサ91の試料の耐久試験の結果である。図10(a)に、初期および耐久試験後の試料のX線写真を示す。これらX線写真を比較すると、耐久試験後に、接合部96近傍の電極線3側に亀裂Cが生じていることがわかる。また、耐久試験後に、信号線94の角部が丸くなっていることもわかる。図10(b)に、耐久試験後に、試料を解体して外観を確認した結果を示す。その結果、接合部96の表面および信号線94の表面が著しく酸化されていることが確認された。また、この結果から、耐久試験後に、X線写真で信号線94が丸くなっていたのは、酸化により信号線94の表面に形成された酸化膜が冷熱サイクルの繰り返しによって剥離し、信号線94が減径したためであることがわかる。図10(c)に、耐久試験後に、試料の接合部96を含む断面を確認した結果を示す。この結果から、信号線94に比べて材質的に弱い電極線3に多数の亀裂Cが発生していることがわかる。
次に、図11は、本例の温度センサ1の試料の耐久試験の結果である。図11(a)に、初期および耐久試験後の試料のX線写真を示す。これらX線写真を比較すると、耐久試験後、接合部6近傍の電極線3側には全く亀裂が生じていないことがわかる。また、耐久試験後の信号線4には大きな変化が見られないことがわかる。図11(b)に、耐久試験後に、試料を解体して外観を確認した結果を示す。その結果、図10(b)の従来の温度センサ91の試料に見られたような、接合部96の表面および信号線94の表面の著しい酸化の進行や、酸化膜の剥離による信号線94の減径などは全く確認されなかった。これは、接合部6の表面、信号線4の表面に、強固な第1の酸化膜61、第2の酸化膜41を有していたためである。図10(c)に、耐久試験後に、試料の接合部6を含む断面を確認した結果を示す。この結果から、電極線3は、信号線4に比べて材質的に弱いものの、冷熱サイクルを繰り返し受けても亀裂Cが発生していない、つまり、断線が生じていないことがわかる。これは、基本的に、第1の酸化膜61により接合部6に生じる熱応力を低減することができたことや、さらに、第2の酸化膜41が剥離することなく信号線4の減径による塑性変形が抑制されたことにより、上記熱応力の低減効果が一層発揮されたためである。
(実験例2)
実験例2は、従来の温度センサ91の試料のシースピン95単品と本例の温度センサ1の試料のシースピン5単品について、初期状態と、条件の異なる2つの耐久試験を行った後の状態とを比較した例である。上記耐久試験の条件は、実験例1と同じ耐久条件1と、耐久条件1における上限温度を1000℃とした条件(以下、これを耐久条件2という)とした。なお、各試料のシースピン5、95には、実験例1と同じものを用いた。
図12は、従来の温度センサ91の試料のシースピン95単品についての耐久試験の結果である。図12(a)に示す耐久条件1の場合、初期状態と耐久後とを比較すると、耐久後に、信号線94が約15%程度断面減少していることがわかる。また、図12(b)に示す耐久条件2の場合、初期状態と耐久後とを比較すると、耐久後に、信号線94が約35%程度断面減少していることがわかる。これは、従来のシースピン95は、信号線94の耐酸化性が低いため、冷熱の繰り返しにより信号線94の表面が著しく酸化されるとともに、脆弱な酸化膜が剥離したためである。この結果から、従来のシースピン95を用いた場合には、信号線94の減径による強度低下によって塑性変形が生じやすく、これによって接合部96にかかる熱応力が増加しやすいため、電極線3の断線抑制に不利であることがわかる。これに対し、本例の温度センサ1の試料のシースピン5単品は、図示はしないが、上記のような信号線4の断面減少はほとんど確認されなかった。したがって、INCONEL601のような、Alを含有するNi基合金により信号線4を形成した場合には、上記塑性変形が生じ難いので、接合部6にかかる熱応力の増加を抑制しやすく、電極線3の断線抑制に有利であるといえる。
(実験例3)
実験例3は、従来の温度センサ91の試料と本例の温度センサ1の試料について、初期状態と、条件の異なる3つの耐久試験を行った後の状態とを比較した例である。上記耐久試験の条件は、実験例1と同じ耐久条件1と、実験例2と同じ耐久条件2と、耐久条件1におけるサイクル数を14000回とした条件(以下、これを耐久条件3という)と、耐久条件1における上限温度を1000℃とするとともにサイクル数を6000回とした条件(以下、これを耐久条件4という)とした。なお、各試料の温度センサ1、91には、実験例1と同じものを用いた。
図13は、従来の温度センサ91の試料の耐久試験の結果である。図13に示すように、従来の温度センサ91の試料は、信号線94が断面減少し、塑性変形していることがわかる。また、電極線3が湾曲していることもわかる。そのため、接合部96に大きな圧縮応力が作用したことがわかる。図14は、本例の温度センサ1の試料の耐久試験の結果である。図14に示すように、本例の温度センサ1の試料は、耐久条件がより厳しい状況下であっても、信号線4の断面減少による塑性変形や電極線3の湾曲などが生じ難く、接合部6に亀裂Cが発生していない。したがって、本例の温度センサ試料は、電極線の断線抑制を効果的に抑制できていることがわかる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
1 温度センサ
2 感温素子
3 電極線
4 信号線
5 シースピン
6 接合部
7 カバー
8 フィラー
34 重ね合わせ部
61 第1の酸化膜
41 第2の酸化膜

Claims (6)

  1. 温度によって電気特性が変化する感温素子(2)と、
    該感温素子(2)に電気的に接続された一対の電極線(3)と、
    該一対の電極線(3)にそれぞれ重ね合わされて電気的に接続された一対の信号線(4)を備え、かつ、該一対の信号線(4)を先端側に露出させた状態で収容するシースピン(5)とを有する温度センサ(1)であって、
    上記電極線(3)は、Ptを主成分として含有する金属材料から形成されており、
    上記信号線(4)は、上記電極線(3)を形成する金属材料よりも線膨張係数が大きく、かつ、1.0〜1.7質量%のAlを含有するNi基合金から形成されており、
    上記電極線(3)と上記信号線(4)との重ね合わせ部(34)には、上記電極線(3)と上記信号線(4)とが部分的に溶融した後、凝固して形成された接合部(6)が存在しており、
    上記接合部(6)は、その厚みが1〜50μmの範囲内にあるAlを含む第1の酸化膜61を表面に有することを特徴とする温度センサ(1)。
  2. 請求項1に記載の温度センサ(1)であって、
    上記信号線(4)は、Alを含む第2の酸化膜(41)を外周面に有することを特徴とする温度センサ(1)。
  3. 請求項1または2に記載の温度センサ(1)であって、
    上記シースピン(5)の先端部に設けられ、上記感温素子(2)、上記電極線(3)および上記信号線(4)の外周を覆うカバー(7)と、該カバー(7)内に充填されたフィラー(8)とを有し、
    上記電極線(3)および上記信号線(4)と上記カバー(7)とは、上記フィラー(8)を介して固定されていることを特徴とする温度センサ(1)。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の温度センサ(1)であって、
    上記第1の酸化膜(61)は、Alを主成分とすることを特徴とする温度センサ(1)。
  5. 請求項2に記載の温度センサ(1)であって、
    上記第2の酸化膜(41)は、Alを主成分とすることを特徴とする温度センサ(1)。
  6. 請求項3に記載の温度センサ(1)であって、
    上記フィラー(8)は、Alを主成分とすることを特徴とする温度センサ(1)。
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