JP4273321B2 - 波長板 - Google Patents

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Description

本発明は、環状オレフィン系樹脂を原料とするフィルムを加工してなる位相差フィルムを使用した波長板、特に光学情報記録・再生装置用に好適な波長板に関する。
光ディスク装置は、非接触、単位体積あたりの情報量の多さ、高速アクセス性、低コストなどから近年大きく伸長している光学情報記録・再生装置であり、これらの特徴を生かし、各種の記録媒体が開発されている。例えば、あらかじめ記録された情報を音や画像あるいはコンピュータ用プログラムなどとして再生するコンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(LD)、CD−ROM、DVD−ROMなど、レーザーによって情報を1回だけ書き込め係る情報を再生できるCD−RやDVD−R、情報の記録再生が繰り返しできる光磁気ディスク(MO)やDVD−RAM、DVD−RWなどが開発されている。
このような光学情報記録・再生装置での情報の記録および/または再生を行うための光学系装置としては、レーザー光源から光検出器にいたる光路の途中位置に偏光ビームスプリッター(PBS)および1/4λ波長板(QWP)(以下「1/4波長板」ともいう)が配置された光ピックアップ装置が知られている。
ここで、1/4波長板とは、特定波長の直交する2つの偏光成分の間にλ/4の光路差(したがって、π/2の位相差)を与えるものである。上記光ピックアップ装置においては、レーザー光源から直線偏光(S波)が照射され、PBSを通り、1/4波長板を通ることで直線偏光が円偏光となり、集光レンズにより光学記録媒体に照射される。光学記録媒体から反射された戻り光は、再び同じ経路をたどり、1/4波長板を通ることで円偏光が90度方位を変換されて直線偏光(P波)となり、PBSを通過し、光検出器に導かれるように構成されている。
また、書き換え型光磁気ディスク装置として、レーザー光源からの照射光が、偏光子、PBSを通り光磁気ディスクに照射され、光磁気ディスクで反射された戻り光が、再びPBSを通り、光検出器にいたる光路の途中位置に1/2λ波長板(以下「1/2波長板」ともいう)が配置されたものも知られている。
ここで、1/2波長板とは、特定波長の直交する2つの偏光成分の間にλ/2の光路差(したがって、πの位相差)を与えるものである。
このような波長板としては、複屈折性を有する雲母、石英、水晶、方解石、LiNbO3あるいはLiTaO3などの単結晶から形成される波長板、ガラス基板などの下地基板に対して斜め方向から無機材料を蒸着することにより得られる下地基板の表面に複屈折膜を有する波長板、複屈折性を有するLB(Langmuir-Blodget)膜を有する波長板など無機系のものが従来使用されている。しかしながら、これら無機系の波長板は、複屈折性の制御に制限があったり、小型化に難があったりするほか、コスト的にも高いものであった。
そこで、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルアセテート(TAC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アクリル系樹脂などの透明樹脂フィルムを延伸し配向させることにより得られた、複屈折性(透過光に位相差を与える機能)を付与したフィルム(以下、「位相差フィルム」という。)を、平坦性、定形性維持のためガラス基板に接着したり、2枚のガラス基板で挾持したりした波長板が提案されている。さらに、高分子液晶膜を、平坦性、定形性維持および分子配向のためにガラス基板上に形成したり、2枚のガラス基板で挾持したりして複屈折性を付与した波長板も提案されている。
また、最近、高密度の情報記録媒体としてDVDが急速に普及しつつあるが、一方、既に市場にはCD、CD−ROM、CD−Rといった再生専用光ディスクが広く普及していることから、光ディスク装置に対して、これら方式の異なる多種の光ディスクに対する記録あるいは再生を兼用できることが強く要求されており、また、応用分野の拡大に伴い小型化、低価格化も求められている。そして、これらの要求に対応するために、複数の読み書き用のレーザーに対応するための位相差フィルムを使用した広帯域波長板(位相差板)の使用が提案されている(特許文献1〜3)。例えば、特許文献3(特開2002−14228号公報)では、互いに偏波面が平行である2種の入射直線偏光が波長板通過後に、出射した偏光の偏波面が直交化されるという波長板が提案されている。
従来、係る波長板に位相差フィルムを用いる場合には、一軸延伸加工された位相差フィルムが主に使用されている。しかしながら、一軸延伸加工された位相差フィルムを使用した波長板の場合には、延伸加工に伴い得られた延伸フィルムにいわゆる「うねり」が発生して波面収差の悪化が起こり、S/N不良やジッターの許容範囲からの逸脱が発生してしまったり、使用環境によっては、長期の連続使用によりフィルムの熱収縮によって波長板内部に歪が発生し収差が徐々に変化して、結果として初期に得られていた良好な特性が保持できなかったりする問題が指摘されている。
特開2001−101700号公報 特開2001−208913号公報 特開2002−14228号公報
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、初期特性に優れ、使用環境や製造環境の影響を受けにくく長期信頼性に優れた光学情報記録・再生装置用波長板を提供するものである。
本発明は、下記(1)〜(7)の群から選ばれた環状オレフィン系樹脂よりなるフィルムを主延伸方向の延伸倍率が1.01〜10倍、副延伸方向の延伸倍率が主延伸方向倍率に対して0.001〜30%で二軸延伸加工することにより得られた位相差フィルムであり、かつ下記式(a)で定義される値(γ)が7以下である位相差フィルムを用いた波長板であって、波長をλとしたとき、5mmφの測定範囲におけるRMS波面収差が50mλ以下であることを特徴とする波長板に関する。
γ=(|α−β|/Re)×10 ……… 式(a)
[式(a)中、αは主延伸方向の120℃、24時間加熱後の熱収縮率(%)を表し、βは副延伸方向の120℃、24時間加熱後の熱収縮率(%)を表す。また、Reは、位相差フィルムの波長590nmにおける位相差値(nm)を表す。]
ここで、本発明に用いられる上記環状オレフィン系樹脂は、好ましくは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の、数平均分子量(Mn)が8,000〜100,000、重量平均分子量(Mw)が20,000〜300,000である。
また、本発明の波長板は、上記位相差フィルムを少なくとも2枚以上積層してなる波長板であって、主延伸方向の120℃、24時間加熱後の熱収縮率の差が、各フィルムにおいて絶対値で0.08%以下であることが好ましい。
さらに、本発明の波長板は、上記のように、上記位相差フィルムを少なくとも2枚以上積層している場合、各位相差フィルムの光軸が実質的に交差していることが好ましい。
さらに、本発明の波長板は、位相差フィルムの少なくとも1枚が透明基材に接着固定されていることが好ましい。
本発明の波長板は、波面収差が50mλ以下であり、初期特性に優れ、使用環境や製造環境の影響を受けにくく、長期信頼性に優れた光学情報記録・再生装置用波長板として最適である。
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明において、位相差フィルムの位相差は、位相差フィルムの進相軸方向と遅相軸方向のそれぞれの屈折率の差の絶対値とフィルムの厚みの積で定義される値である。
また、本発明においては、二軸延伸を行う場合に各軸方向の延伸倍率に差を設けることが好ましく、延伸倍率が大きい方向を「主延伸方向」、小さい方向を「副延伸方向」と定義する。
本発明の波長板には、環状オレフィン系樹脂フィルムを使用するが、環状オレフィン系樹脂としては、次のような(共)重合体(以下、単に「重合体」という場合には共重合体も含む。)が挙げられる。
(1)下記一般式(I)で表される特定単量体の開環重合体。
(2)下記一般式(I)で表される特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体。
(3)上記(1)または(2)の開環重合体の水素添加重合体。
(4)上記(1)または(2)の開環重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した重合体。
(5)下記一般式(I)で表される特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体。
(6)下記一般式(I)で表される特定単量体と、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型共重合体およびその水素添加重合体。
(7)下記一般式(I)で表される特定単量体とアクリレートとの交互共重合体。
Figure 0004273321
〔式中、R1〜R4 は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一または異なっていてもよい。R1とR2またはR3 とR4は、一体化して2価の炭化水素基を形成しても良く、R1またはR2とR3またはR4とは互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または1である。〕
<特定単量体>
上記特定単量体の具体例としては、次のような化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
特定単量体のうち好ましいのは、上記一般式(1)中、R1 およびR3が水素原子または炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基であり、R2 およびR4 が水素原子または一価の有機基であって、R2 およびR4の少なくとも一つは水素原子および炭化水素基以外の極性を有する極性基を示し、mは0〜3の整数、pは0〜3の整数であり、より好ましくはm+p=0〜4、さらに好ましくは0〜2、特に好ましくはm=1、p=0であるものである。m=1、p=0である特定単量体は、得られる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くかつ機械的強度も優れたものとなる点で好ましい。
上記特定単量体の極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの中では、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましい。
さらに、R2およびR4の少なくとも一つが式−(CH2nCOORで表される極性基である単量体は、得られる環状オレフィン系樹脂が高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有するものとなる点で好ましい。上記の特定の極性基にかかる式において、Rは炭素原子数1〜12、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。また、nは、通常、0〜5であるが、nの値が小さいものほど、得られる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くなるので好ましく、さらにnが0である特定単量体はその合成が容易である点で好ましい。
また、上記一般式(I)において、R1またはR3がアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、さらに好ましくは1〜2のアルキル基、特にメチル基であることが好ましく、特に、このアルキル基が上記の式−(CH2nCOORで表される特定の極性基が結合した炭素原子と同一の炭素原子に結合されていることが、得られる環状オレフィン系樹脂の吸湿性を低くできる点で好ましい。
<共重合性単量体>
共重合性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。
シクロオレフィンの炭素数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましいのは5〜12である。
これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
特定単量体/共重合性単量体の好ましい使用範囲は、重量比で100/0〜50/50であり、さらに好ましくは100/0〜60/40である。
<開環重合触媒>
本発明において、(1)特定単量体の開環重合体、および(2)特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体を得るための開環重合反応は、メタセシス触媒の存在下に行われる。
このメタセシス触媒は、(a)W、MoおよびReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例えば、Mg、Caなど)、IIB族元素(例えば、Zn、Cd、Hgなど)、IIIA族元素(例えば、B、Alなど)、IVA族元素(例えば、Si、Sn、Pbなど)、あるいはIVB族元素(例えば、Ti、Zrなど)の化合物であって、少なくとも1つの該元素−炭素結合あるいは該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒である。また、この場合に触媒の活性を高めるために、後述の(c)添加剤が添加されたものであってもよい。
(a)成分として適当なW、MoあるいはReの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl6 、ReOCl3 などの特開平1−132626号公報第8頁左下欄第6行〜第8頁右上欄第17行に記載の化合物を挙げることができる。
(b)成分の具体例としては、n−C49Li、(C253 Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−132626号公報第8頁右上欄第18行〜第8頁右下欄第3行に記載の化合物を挙げることができる。
添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、さらに特開平1−132626号公報第8頁右下欄第16行〜第9頁左上欄第17行に示される化合物を使用することができる。
メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と特定単量体とのモル比で「(a)成分:特定単量体」が、通常、1:500〜1:50,000となる範囲、好ましくは1:1,000〜1:10,000となる範囲とされる。
(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で(a):(b)が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲とされる。
(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で(c):(a)が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲とされる。
<重合反応用溶媒>
開環重合反応において用いられる溶媒(分子量調節剤溶液を構成する溶媒、特定単量体および/またはメタセシス触媒の溶媒)としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素、クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどの、ハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリールなどの化合物、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量としては、「溶媒:特定単量体(重量比)」が、通常、1:1〜10:1となる量とされ、好ましくは1:1〜5:1となる量とされる。
<分子量調節剤>
得られる開環重合体の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。
ここに、好適な分子量調節剤としては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。
これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量としては、開環重合反応に供される特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルとされる。
(2)開環共重合体を得るには、開環重合工程において、特定単量体と共重合性単量体とを開環共重合させてもよいが、さらに、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に特定単量体を開環重合させてもよい。
以上のようにして得られる(1)または(2)の開環重合体は、そのままでも用いることが可能であるが、分子内のオレフィン性不飽和結合を水素添加して得られた(3)水素添加重合体は、耐熱着色性や耐光性に優れるのでより好ましい。
<水素添加触媒>
水素添加反応は、通常の方法、すなわち開環重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が挙げられる。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は、粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、開環重合体:水素添加触媒(重量比)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用される。
このように、水素添加することにより得られる水素添加重合体は、優れた熱安定性を有するものとなり、成形加工時や製品としての使用時の加熱によっても、その特性が劣化することはない。ここに、オレフィン性不飽和結合の水素添加率は、500MHz、1H−NMRで測定した値が50%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優れたものとなり、本発明の波長板として使用した場合に長期にわたって安定した特性を得ることができる。
なお、分子内に芳香族基を有する場合、係る芳香族基は屈折率や複屈折性付与の点で有用な場合もあるため、必ずしも水素添加される必要はなく、オレフィン性不飽和結合のみを選択的に水素添加することがあってもよい。
また、本発明の環状オレフィン系樹脂として、(4)上記(1)または(2)の開環重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した重合体も使用できる。
<フリーデルクラフト反応による環化>
上記(1)または(2)の開環重合体をフリーデルクラフト反応により環化する方法は特に限定されるものではないが、特開昭50−154399号公報に記載の酸性化合物を用いた公知の方法が採用できる。酸性化合物としては、具体的には、AlCl3 、BF3 、FeCl3 、Al23 、HCl、CH3ClCOOH、ゼオライト、活性白土、などのルイス酸、ブレンステッド酸が用いられる。
環化された開環重合体は、上記(1)または(2)の開環重合体と同様に水素添加できる。
さらに、本発明の環状オレフィン系樹脂として、(5)上記特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体も使用できる。
<不飽和二重結合含有化合物>
不飽和二重結合含有化合物としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテンなど、好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のオレフィン系化合物を挙げることができる。
特定単量体/不飽和二重結合含有化合物の好ましい使用範囲は、重量比で90/10〜40/60であり、さらに好ましくは85/15〜50/50である。
本発明において、(5)特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体を得るには、通常の付加重合法を使用できる。
<付加重合触媒>
上記(5)飽和共重合体を合成するための触媒としては、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれた少なくとも一種と、助触媒としての有機アルミニウム化合物とが用いられる。
ここで、チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化チタンなどを、またジルコニウム化合物としてはビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどを挙げることができる。
さらに、バナジウム化合物としては、一般式
VO(OR)ab、またはV(OR)cd
〔ただし、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子であって、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。〕
で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与付加物が用いられる。
上記電子供与体としては、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナートなどの含窒素電子供与体などが挙げられる。
さらに、助触媒としての有機アルミニウム化合物としては、少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合あるいはアルミニウム−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも一種が用いられる。
上記において、例えばバナジウム化合物を用いる場合におけるバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物の比率は、バナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)が2以上であり、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20の範囲である。
付加重合に使用される重合反応用溶媒は、開環重合反応に用いられる溶媒と同じものを使用することができる。また、得られる(5)飽和共重合体の分子量の調節は、通常、水素を用いて行われる。
さらに、本発明の環状オレフィン系樹脂として、(6)上記特定単量体、およびビニル系環状炭化水素系単量体またはシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型共重合体およびその水素添加共重合体も使用できる。
<ビニル系環状炭化水素系単量体>
ビニル系環状炭化水素系単量体としては、例えば、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテンなどのビニルシクロペンテン系単量体、4−ビニルシクロペンタン、4−イソプロペニルシクロペンタンなどのビニルシクロペンタン系単量体などのビニル化5員環炭化水素系単量体、4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンなどのビニルシクロヘキセン系単量体、4−ビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキサンなどのビニルシクロヘキサン系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−フェニルスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン系単量体、d−テルペン、1−テルペン、ジテルペン、d−リモネン、1−リモネン、ジペンテンなどのテルペン系単量体、4−ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテンなどのビニルシクロヘプテン系単量体、4−ビニルシクロヘプタン、4−イソプロペニルシクロヘプタンなどのビニルシクロヘプタン系単量体などが挙げられる。
好ましくは、スチレン、α−メチルスチレンである。
これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
<シクロペンタジエン系単量体>
本発明の(6)付加型共重合体の単量体に使用されるシクロペンタジエン系単量体としては、例えばシクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−メチルシクロペンタジエンなどが挙げられる。好ましくはシクロペンタジエンである。
これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
上記特定単量体と、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型共重合体は、上記(5)特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体と同様の付加重合法で得ることができる。
また、上記付加型共重合体の水素添加共重合体は、上記(3)開環重合体の水素添加重合体と同様の水添法で得ることができる。
さらに、本発明の環状オレフィン系樹脂として、(7)上記特定単量体とアクリレートとの交互共重合体も使用できる。
<アクリレート>
本発明の(7)上記特定単量体とアクリレートとの交互共重合体の製造に用いられるアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどの炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状または環状アルキルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−テトラヒドロフルフリルアクリレートなどの炭素原子数2〜20の複素環基含有アクリレート、ベンジルアクリレートなどの炭素原子数6〜20の芳香族環基含有アクリレート、イソボロニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどの炭素数7〜30の多環構造を有するアクリレートが挙げられる。
本発明において、(7)上記特定単量体とアクリレートとの交互共重合体を得るためには、ルイス酸存在下、上記特定単量体とアクリレートとの合計を100モルとしたとき、通常、上記特定単量体が30〜70モル、アクリレートが70〜30モルの割合で、好ましくは上記特定単量体が40〜60モル、アクリレートが60〜40モル割合で、特に好ましくは上記特定単量体が45〜55モル、アクリレートが55〜45モルの割合でラジカル重合する。
(7)上記特定単量体とアクリレートとの交互共重合体を得るために使用するルイス酸の量は、アクリレート100モルに対して0.001〜1モルとなる量とされる。また、公知のフリーラジカルを発生する有機過酸化物またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることができ、重合反応温度は、通常、−20℃〜80℃、好ましくは5℃〜60℃である。また、重合反応用溶媒には、開環重合反応に用いられる溶媒と同じものを使用することができる。
なお、本発明でいう「交互共重合体」とは、上記特定単量体に由来する構造単位が隣接しない、すなわち、上記特定単量体に由来する構造単位の隣は必ずアクリレートに由来する構造単位である構造を有する共重合体のことを意味しており、アクリレート由来の構造単位どうしが隣接して存在する構造を否定するものではない。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂の好ましい分子量は、固有粘度〔η〕inhで0.2〜5dl/g、さらに好ましくは0.3〜3dl/g 、特に好ましくは0.4〜1.5dl/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は8,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜80,000、特に好ましくは12,000〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)は20,000〜300,000、さらに好ましくは30,000〜250,000、特に好ましくは40,000〜200,000の範囲のものが好適である。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量および重量平均分子量が上記範囲にあることによって、環状オレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、本発明の波長板として使用したときの位相差の安定性とのバランスが良好となる。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、通常、120℃以上、好ましくは120〜350℃、さらに好ましくは130〜250℃、特に好ましくは140〜200℃である。Tgが120℃未満の場合は、レーザー光源やその隣接部品からの熱により、得られる環状オレフィン系樹脂フィルムの光学特性変化が大きくなり好ましくない。一方、Tgが350℃を超えると、延伸加工など、Tg近辺まで加熱して加工する場合に樹脂が熱劣化する可能性が高くなる。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂の23℃における飽和吸水率は、好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%の範囲にある。飽和吸水率がこの範囲内であると、位相差が均一であり、得られる環状オレフィン系樹脂フィルムとガラス基板などとの密着性が優れ、使用途中で剥離などが発生せず、また、酸化防止剤などとの相溶性にも優れ、多量に添加することも可能となる。飽和吸水率が0.05重量%未満であると、ガラス基板や透明支持体との密着性が乏しくなり、剥離を生じやすくなり、一方、2重量%を超えると、環状オレフィン系樹脂フィルムが吸水により寸法変化を起こしやすくなる。
なお、上記の飽和吸水率はASTM D570に従い、23℃水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより得られる値である。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂としては、その光弾性係数(CP)が0〜100(×10-12Pa-1)であり、かつ応力光学係数(CR)が1,500〜4,000(×10-12Pa-1)を満たすようなものが好適に使用される。
ここで、光弾性係数(CP)および応力光学係数(CR)については、種々の文献(Polymer Journal,Vol.27,No,9 pp 943-950(1995),日本レオロジー学会誌,Vol.19,No.2,pp93-97(1991),光弾性実験法,日刊工業新聞社,昭和50年第7版に記載されており公知の事実であり、前者がポリマーのガラス状態での応力による位相差の発生程度を表すのに対し、後者は流動状態での応力による位相差の発生程度を表す。
光弾性係数(CP)が大きいことは、ポリマーをガラス状態下で使用した場合に外的因子または自らの凍結した歪みから発生した歪みから発生する応力などにおいて敏感に位相差を発生しやすくなってしまうことを表し、例えば本発明のように、積層した際の貼り合わせ時の残留歪みや、温度変化や湿度変化などにともなう材料の収縮により発生する微小な応力によって不必要な位相差を発生しやすいことを意味する。このことから、できるだけ光弾性係数(CP)は小さい程よい。
一方、応力光学係数(CR)が大きいことは、環状オレフィン系樹脂フィルムに位相差の発現性を付与する際に少ない延伸倍率で所望の位相差を得られるようになったり、大きな位相差を付与しうるフィルムを得やすくなったり、同じ位相差を所望の場合には応力光学係数(CR)が小さいものと比べてフィルムを薄肉化できるという大きなメリットがある。
以上のような見地から、光弾性係数(CP)が好ましくは0〜100(×10-12Pa-1)、さらに好ましくは0〜80(×10-12Pa-1)、特に好ましくは0〜50(×10-12Pa-1)、より好ましくは0〜30(×10-12Pa-1)、最も好ましくは0〜20(×10-12Pa-1)である。光弾性係数(CP)が100(×10-12Pa-1)を超えた場合には、本発明で用いられる積層位波長板においては、貼り合わせ時に発生する応力、使用する際の環境変化などによって発生する位相差変化によって最適貼り合わせ光軸角度の許容誤差範囲からのずれが発生してしまい、波長板として使用した時に透過光量が低下してしまう場合があり好ましくない。
また、本発明に使用される環状オレフィン系樹脂の水蒸気透過度は、40℃,90%RHの条件下で25μm厚のフィルムとしたときに、通常、1〜400g/m2・24hrであり、好ましくは5〜350g/m2・24hrであり、さらに好ましくは10〜300g/m2・24hrである。水蒸気透過度を本範囲とすることで、透明支持体と位相差フィルムとの貼り合わせに使用した粘着剤や接着剤の含有水分や波長板が使用される環境の湿度による特性変化を低減・回避することができることから好ましい。
本発明に使用される環状オレフィン系樹脂は、上記のような(1)〜(2)開環重合体、(3)〜(4)水素添加重合体、(5)飽和共重合体、(6)付加型共重合体、もしくはその水素添加共重合体、または(7)交互共重合体より構成されるが、本発明の効果を損なわない範囲において、これに公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加してさらに安定化することができる。具体的には、公知の酸化防止剤、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2′−ジオキシ−3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン;紫外線吸収剤、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどを添加することによって安定化することができる。また、加工性を向上させるために、滑剤などの従来の樹脂加工において用いられる添加剤を添加することもできる。
なお、本発明の環状オレフィン系樹脂中に含まれるゲル含有量は可能な限り少ないことが好ましく、通常、5重量%以下であり、好ましくは1重量%以下である。ゲルが多くなると、位相差フィルムとしたときに光学的な欠陥が多発する原因となることがある。
本発明の波長板に用いられる環状オレフィン系樹脂フィルムは、上記の環状オレフィン系樹脂を溶融成形法あるいは溶液流延法(溶剤キャスト法)などによりフィルムもしくはシートとすることで得ることができる。このうち、膜厚の均一性および表面平滑性が良好になる点から溶剤キャスト法が好ましい。
溶剤キャスト法により環状オレフィン系樹脂フィルムを得る方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を適用すればよいが、例えば、本発明の環状オレフィン系樹脂を溶媒に溶解または分散させて適度の濃度の液にし、適当なキャリヤー上に注ぐかまたは塗布し、これを乾燥した後、キャリヤーから剥離させる方法が挙げられる。
以下に、溶剤キャスト法により環状オレフィン系樹脂フィルムを得る方法の諸条件を示すが、本発明は係る諸条件に限定されるものではない。
環状オレフィン系樹脂を溶媒に溶解または分散させる際には、該樹脂の濃度を、通常は0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは10〜35重量%にする。該樹脂の濃度を上記未満にすると、フィルムの厚みを確保することが困難になる、また、溶媒蒸発にともなう発泡などによりフィルムの表面平滑性が得にくくなるなどの問題が生じる。一方、上記を超えた濃度にすると、溶液粘度が高くなりすぎて得られる環状オレフィン系樹脂フィルムの厚みや表面が均一になりにくくなるために好ましくない。
また、室温での上記溶液の粘度は、通常は1〜1,000,000mPa・s、好ましくは10〜100,000mPa・s、さらに好ましくは100〜50,000mPa・s、特に好ましくは1,000〜40,000mPa・sである。
使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノールなどのセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサンなどのシクロオレフィン系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、1−ペンタノール、1−ブタノールなどのアルコール系溶媒を挙げることができる。
また、上記以外でも、SP値(溶解度パラメーター)が、通常は10〜30(MPa1/2)、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用すれば、表面均一性と光学特性の良好な環状オレフィン系樹脂フィルムを得ることができる。
上記溶媒は、単独でもしくは複数を混合して使用することができる。その場合には、混合系としたときのSP値の範囲を上記範囲内とすることが好ましい。このとき、混合系でのSP値の値は、重量比で予測することができ、例えば二種の混合ではそれぞれの重量分率をW1,W2、SP値をSP1,SP2とすると混合系のSP値は下記式:
SP値=W1・SP1+W2・SP2
により計算した値として求めることができる。
環状オレフィン系樹脂フィルムを溶剤キャスト法により製造する方法としては、上記溶液をダイスやコーターを使用して金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン(商品名;テフロン)ベルトなどの基材の上に塗布し、その後、溶剤を乾燥して基材よりフィルムを剥離する方法が一般に挙げられる。また、スプレー、ハケ、ロールスピンコート、デッピングなどで溶液を基材に塗布し、その後、溶剤を乾燥して基材よりフィルムを剥離することにより製造することもできる。なお、繰り返し塗布することで厚みや表面平滑性などを制御してもよい。
上記溶剤キャスト法の乾燥工程については、特に制限はなく一般的に用いられる方法、例えば多数のローラーを介して乾燥炉中を通過させる方法などで実施できるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴い気泡が発生すると、フィルムの特性を著しく低下させるので、これを避けるために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程での温度あるいは風量を制御することが好ましい。
また、環状オレフィン系樹脂フィルム中の残留溶媒量は、通常は10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。残留溶媒量が10重量%を超えると、実際に使用したときに経時による寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりTgが低くなり、耐熱性も低下することから好ましくない。
なお、後述する延伸工程を好適に行うためには、上記残留溶媒量を上記範囲内で適宜調節する必要がある場合がある。具体的には、延伸配向時の位相差を安定して均一に発現させるために、残留溶媒量を通常は10〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%にすることがある。
溶媒を微量残留させることで、延伸加工が容易になる、あるいは位相差の制御が容易になる場合がある。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムの厚さは、通常は0.1〜500μm、好ましくは0.1〜300μm、さらに好ましくは1〜250μmである。0.1μm未満の厚みの場合、延伸加工や貼合加工などにおいてハンドリングが困難となることがある。一方、500μmを超える場合、ロール状に巻き取ることが困難になりハンドリングが困難となることがある。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムの厚み分布は、通常は平均値に対して±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であることが望ましい。係る厚み制御を実施することにより、延伸加工した際の位相差ムラや波面収差の発生を抑制することができる。
また、本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムの線膨張係数は、温度20℃〜100℃の範囲において、好ましくは1×10-4(1/℃)以下であり、さらに好ましくは9×10-5(1/℃)以下であり、特に好ましくは8×10-5(1/℃)以下であり、最も好ましくは7×10-5(1/℃)以下である。また、位相差フィルムの場合には、延伸方向とそれに垂直方向の線膨張係数差が好ましくは5×10-5(1/℃)以下であり、さらに好ましくは3×10-5(1/℃)以下であり、特に好ましくは1×10-5(1/℃)以下である。線膨張係数を上記範囲内とすることで、本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムを本発明の波長板としたときに、使用時の温度および湿度などの影響からなる応力変化が及ぼす位相差の変化が抑えられ、本発明の波長板として使用したときに長期の特性の安定が得ることができる。
本発明の波長板に使用される環状オレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムとしては、上記方法によって得た環状オレフィン系樹脂フィルムを二軸延伸加工したものが好適に使用される。具体的には、上記環状オレフィン系樹脂フィルムを用いて公知の二軸延伸法により製造することができ、二軸延伸としては、段階的に2方向の延伸を実施してもよく、同時に2方向の延伸を行ってもよい。すなわち、テンター法による横一軸延伸法とロール間圧縮延伸法あるいは周遠の異なるロールを利用する縦一軸延伸法などを組み合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法などを用いることができる。
主延伸方向と副延伸方向の交わり角度は、通常は120〜60度の範囲である。特に本発明による、初期特性に優れ、使用環境や製造環境の影響を受けにくく長期信頼性に優れた光学情報記録・再生装置用波長板を提供するためには、すなわち、上記式(a)で定義される値γが7以下の位相差フィルムを得るためには、2つの延伸方向の交わり角度は、好ましくは80〜100度、さらに好ましくは85〜95度、最も好ましくは89度〜91度である。
各延伸方向の延伸速度は、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
また、主延伸方向の延伸倍率は、通常は1.01〜10倍、好ましくは1.1〜5倍、さらに好ましくは1.1〜3.5倍である。主延伸方向の延伸倍率が10倍を超える場合、位相差の制御が困難になる場合がある。
一方、副延伸方向の延伸倍率は、主延伸方向より小さいことが好ましく、主延伸方向の倍率に対して副延伸方向の倍率は、通常は0.001〜30%、好ましくは0.01〜10%である。例えば、主延伸方向の倍率が2倍であったとすると、副延伸方向の延伸倍率は、通常は1.001〜1.3倍、好ましくは1.01〜1.1倍となる。副延伸方向の延伸倍率を上記範囲内とすることで、波面収差が小さく、使用環境や製造環境による収差の変化が少ない波長板を得ることができる。
なお、テンターなどによりフィルム幅を固定したまま縦一軸延伸した場合などにおいては、見掛け上副延伸方向の延伸倍率が1倍、すなわち、延伸されていないように見える場合もあるが、係る場合においても、縦一軸延伸により発生するネッキングのために本来収縮するはずのフィルム幅が、固定されているが故に変化しないのであって、実質的には延伸されている。このような場合の延伸倍率は、固定されていない場合の収縮したフィルム幅から見積もることができる。
延伸加工温度は、特に限定されるものではないが、本発明の環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)を基準として、通常はTg±30℃、好ましくはTg±10℃、さらに好ましくはTg−5〜Tg+10℃の範囲である。上記範囲内とすることで、位相差ムラの発生を極力抑えることが可能となり、また屈折率楕円体の制御が容易になることから好ましい。
延伸したフィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒以上、好ましくは30秒〜60分、さらに好ましくは1分〜60分静置されることが好ましい。これにより、位相差特性の経時変化が少なく安定した環状オレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムが得られる。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂よりなる位相差フィルムは、上記の条件により二軸延伸することにより得られるが、波長をλとしたとき、その波面収差が、通常、50mλ以下、好ましくは40mλ以下、さらに好ましく35mλ以下であることが望ましい。位相差フィルムの波面収差が50mλを超える場合、係る位相差フィルムを用いて得られた波長板の波面収差も50mλを超えることがあり、S/N不良やジッターの許容範囲からの逸脱が発生して所望の性能を得られないことがある。
本発明において、下記式(a)で定義される値γは、通常、7以下であり、好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下である。値γを上記範囲内とすることで、使用環境による収差変化を抑えることができる。
γ=(|α−β|/Re)×104 ……… 式(a)
[式(a)中、αは主延伸方向の120℃、24時間加熱後の熱収縮率(%)を表し、βは副延伸方向の120℃、24時間加熱後の熱収縮率(%)を表す。また、Reは、位相差フィルムの波長590nmにおける位相差値(nm)を表す。]
ここで、Reの値は、通常、10〜3,000nm、好ましくは50〜1,000nm、特に好ましくは100〜500nmである。Reの値が10nm未満ではレーザーの偏光状態が好ましく変化せず、また3,000nmを超えると初期収差を好ましい範囲に調整しづらくなる場合がある。
本発明において、波長板の波面収差は、波長をλとしたとき、通常、50mλ以下であり、好ましくは45mλ以下であり、さらに好ましくは40mλ以下である。波長板の波面収差を上記範囲内とすることで、良好なS/Nや許容されるジッター範囲となるために好ましい。
本発明においては、所望の特性を得るために、環状オレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムを複数枚積層してもよい。係る積層は、フィルムどうしの積層であってもよく、また、ガラスなどの透明支持体を間に挟んでもよく、さらに、フィルムを接着した透明支持体を複数積層してもよく、積層したフィルムをガラスなどの透明支持体で挟んでもよい。これらのうち、透明支持体を用いる方法が、得られる波長板の耐久性が向上する点で好ましい。
なお、積層にあたっては、天然ゴム系、合成ゴム系、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー系、シリコン系、ポリビニルエーテル系、アクリル系、変性ポリオレフィン系、エポキシ系あるいはウレタン系などの接着剤、紫外線硬化型接着剤、アクリル系粘着剤などの公知の光学用粘・接着剤を使用することができる。また、積層にあたって、位相差フィルムや透明支持体の表面をコロナ処理、プラズマ処理、カップリング剤処理あるいはアンカーコート処理などの下地処理を施すことがあってもよい。
複数の位相差フィルムどうしを積層して波長板を得る場合には、各位相差フィルムの主延伸方向(光軸)が交差するように積層することにより、波長板の熱収縮率による影響を少なくすることができる。この場合、各位相差フィルムの主延伸方向の120℃、24時間加熱後の熱収縮率の差の絶対値を、通常は0.08%以内、好ましくは0.07%以内、さらに好ましくは0.06%以内とすることで、使用環境による収差変化をより小さく抑えることができる。
本発明においては、環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムあるいは透明支持体の片面または両面に、反射防止膜を積層することができる。
反射防止膜の形成方法としては、例えば、フッ素系共重合体を有機溶媒に溶解して得られる溶液(JSR社製オプスターJN7215など)を、バーコーターなどを用いてキャスト法などにより上記フィルムやシート材や位相差板などの上に塗布形成し、プレスを用いて加熱し、硬化させる方法が挙げられる。加熱温度としては、通常は80〜165℃、好ましくは100〜150℃の温度で、加熱時間としては、通常は10分〜3時間、好ましくは30分〜2時間であるとされている。
反射防止膜の厚みは、通常は5〜2,000nm、好ましくは10〜1,000nm、さらに好ましくは50〜200nmとされている。5nm未満であると、反射防止効果が発揮できず、一方、2,000nmを超えると、塗膜の厚みにムラが生じやすくなり、外観などが悪化し好ましくないとされている。
また、蒸着法やスパッタ法を用いて、アルミニウム、マグネシウムあるいはケイ素などの透明無機酸化物の被覆層を設けて反射防止膜を形成することもできる。
係る無機系反射防止膜の場合、透明無機酸化物被覆層の厚みは、特定の光波長の1/4とされている。さらに、係る透明無機酸化物被覆層を多層積層することで、より反射防止性能を向上できるとされている。
本発明においては、位相差フィルムを透明支持体に接着することで、波長板としての耐久安定性を向上させることができる。係る透明支持体としては、実質的に複屈折を持たないものであることが好ましい。透明支持体が複屈折を持つと、波長板としての特性に影響を与えることから好ましくない。また、透明支持体としては、有機材料および/または無機材料からなるものが使用できるが、無機材料からなる場合が好ましく、複屈折が実質的になく透明性に優れているなどの光学特性の面からガラスが特に好ましい。
一方、有機材料を使用する場合には、支持体に成形された状態で連続使用可能温度(1,000時間以上曝されても変形や着色が発生しない温度)が、通常は100℃以上、好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、水蒸気透過度が40℃、90%RHの条件下で、通常は20g/m2・24hr以下、好ましくは10g/m2・24hr以下、さらに好ましくは5g/m2・24hr以下のものが使用される。連続使用可能温度や水蒸気透過度が上記範囲外の場合、波長板として長期にわたり使用した時に、着色や変形のために初期特性が変化して問題が生じることがあり好ましくない。また、有機材料を使用する場合には、熱や応力による変形をより防ぐために、支持体の厚みは通常は0.5〜5mm、好ましくは0.5〜1mmである。厚みをこれよりも薄くすると、熱や応力により変形したり、あるいは水蒸気透過度が上記範囲を外れたりすることがあり、一方、厚くしすぎると加工しにくくなるとともに光線透過率が低下することがあり好ましくない。
透明支持体として使用できる有機材料としては、例えば、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリアリレート、耐熱アクリル系樹脂、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、環状オレフィン系樹脂などが挙げられる。
また、透明支持体の屈折率と接着層との屈折率差は、好ましくは0.20以内、さらに好ましくは0.15以内、特に好ましくは0.10以内、最も好ましくは0.05以内であり、また、透明支持体と本発明の樹脂フィルムとの屈折率差は、好ましくは0.20以内、さらに好ましくは0.15以内、特に好ましくは0.10以内、最も好ましくは0.05以内である。屈折率差を係る範囲内とすることで、透過光の反射によるロスを最小限に抑えることができ好ましい。
本発明において、透明支持体の形状は特に限定されるものではなく、平板状であっても格子形状やプリズム形状など光学的な機能を有する形状であってもよい。また、厚さは、通常、0.01〜5mm、好ましくは0.05〜3mm、さらに好ましくは0.05〜1mmである。0.01mm未満であると、剛性が不足するとともにハンドリング性に劣り、一方、5mmを超えると波長板としての大きさが大きくなり、光学系装置の小型化が難しくなる。
本発明の波長板中の異物数としては、可能な限り少ない方がよく、平均粒径10μm以上のものが、通常、10(個/mm2)以下、好ましくは5(個/mm2)以下、さらに好ましくは1(個/mm2)以下である。10μm以上の異物が波長板中に10(個/mm2)を超えた数だけ存在すると、ノイズ信号が多くなりS/N比が小さくなり好ましくない。ここで、波長板中の異物とは、レーザー光の透過を低下させるものやその異物の存在によりレーザー光の進行方向を大きく変えるものが含まれる。前者の例としては、塵や埃、樹脂の焼けや金属粉末、鉱物などの粉末などが挙げられ、後者の例としては、他樹脂のコンタミや屈折率が異なる透明物質などが挙げられる。
なお、本発明の波長板は、ノイズの低減などの必要に応じて所望する波長以外の光の透過を遮断もしくは低下させるために、公知の着色剤などを用いた着色が施されたものであっても良い。
本発明の波長板は、高い耐熱性、低い吸湿性、各種材料との高い密着性、および安定な位相差値を有する環状オレフィン系樹脂フィルムを使用するため、安価で長期にわたり高性能の波長板であり、本発明の波長板を使用すると安価で長期にわたり高性能の光学情報記録再生装置を製造することができる。
なお、本発明の波長板を使用した光学情報記録再生装置は、前述のように音声、画像の記録に関して、再生専用記録媒体、追記型記録媒体、および書き換え可能型記録媒体のいずれにも適用でき、 CD−ROM、CD−R、書き換え可能DVDなどの記録装置およびそれらを用いたOA機器、CDなどの音響再生装置、DVDなどの画像再生装置およびそれらを用いたAV機器、上記のCD、DVDなどを用いたゲーム機などに用いることができる。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。また、実施例中の各種の試験・測定は、次のとおりである。
固有粘度(〔η〕 inh
溶媒にクロロホルムまたはシクロヘキサンを使用し、0.5g/dlの重合体濃度で30℃の条件下、ウベローデ粘度計にて測定した。
ゲル含有量
25℃の温度で、水素添加(共)重合体50gを1%濃度になるようにクロロホルムに溶解し、この溶液をあらかじめ重量を測定してある孔径0.5μmのメンブランフィルター〔アドバンテック東洋(株)〕を用いてろ過し、ろ過後のフィルターを乾燥後、その重量の増加量からゲル含有量を算出した。
水素化率
単独重合体の場合には、500MHz、1H−NMRを測定し、エステル基のメチル水素とオレフィン系水素のそれぞれの吸収強度の比、またはパラフィン系水素とオレフィン系水素のそれぞれの吸収強度の比から水素化率を測定した。また、共重合体の場合には、重合後の共重合体の1H−NMR吸収と水素化後の水素添加共重合体のそれを比較して算出した。
ガラス転移温度
走査熱量計(DSC)により、チッ素雰囲気下において、10℃/分の昇温速度で測定した。
膜の厚み
キーエンス(株)製、レーザーフォーカス変位計、LT−8010を用い、測定した。
位相差値
王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADHを用い、波長590nmにおけるフィルム面内の位相差値を測定した。
面内収差
富士写真光機(株)製、FUJINON R10レーザー干渉計を用い、5mmφの範囲について波長650nmのレーザー光を使用して透過波面収差を測定した。
高温試験
ヤマト科学(株)製、オーブンDK43を120℃に設定した。24時間槽内に入れた後に取り出し、収縮率測定、目視観察、位相差値の測定、面内収差の測定を行なった。
高温高湿試験
エスペック(株)製、環境試験機を95℃、95%RHに設定した。1000時間槽内に入れた後に取り出し、面内収差の測定を行なった。
収縮率測定
ミツトヨ(株)製、顕微鏡型マイクロゲージを用いて、あらかじめ位相差フィルムに眼科手術用メスを用いて評線を薄く引いて、収縮前後の評線間の寸法変化を測定した。
なお、主延伸方向の収縮率をαとし、それと副延伸方向の収縮率をβとしたとき、位相差フィルムの収縮率の示標をγとして下記式によって求めた。
γ=(|α−β|/Re)×104 ……… 式
[なお、Reは位相差フィルムの光の波長590nmにおける位相差(nm)を表す。]
また、位相差フィルムを複数枚使用する場合は、各々の位相差フィルムの主延伸方向の120℃、24時間加熱した後における熱収縮率αをそれぞれ差し引き、そのなかで絶対値の最も大きい値を比較した。
ジッター測定
DVD再生装置内に波長板を組み込み、KIKUSUI製 KJM6775ジッターメーターを用いてタイムインターバル方式で測定した。
<合成例1>
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(特定単量体)250部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/1)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/1)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh)は0.75dl/gであった。
このようにして得られた開環重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C65)33 0.48部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下、「樹脂A」という。)を得た。
このようにして得られた樹脂Aについて、1H−NMRを用いて水素添加率を測定したところ99.9%であった。また、当該樹脂についてDSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ165℃であった。また、当該樹脂について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、Mnは32,000、Mwは137,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.29であった。また、当該樹脂について、23℃における飽和吸水率を測定したところ、0.3%であった。また、SP値を測定したところ、19(MPal/2)であった。また、当該樹脂について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh)を測定したところ、0.78dl/g であった。また、ゲル含有量は0.4%であった。
<合成例2>
特定単量体として8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン 225部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 25部とを使用し、1−ヘキセン(分子量調節剤)の添加量を30部としたこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体を得た。得られた水素添加重合体(以下、「樹脂B」という。)の水素添加率は99.9%であった。また、当該樹脂についてDSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ140℃であった。また、当該樹脂について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、Mnは36,000、Mwは137,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.81であった。また、当該樹脂について、23℃における飽和吸水率を測定したところ、0.22%であった。また、SP値を測定したところ、19(MPal/2)であった。また、当該樹脂について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh)を測定したところ、0.75dl/g であった。また、ゲル含有量は0.2%であった。
<フィルム製造例1>
樹脂Aをトルエンに濃度30%(室温での溶液粘度は30,000mPa・S)になるように溶解し、井上金属工業(株)製、INVEXラボコーターを用い、アクリル系樹脂で親水化(易接着)の表面処理した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[東レ(株)製、ルミラーU94]に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを50℃で一次乾燥の後、90℃で二次乾燥を行った。PETフィルムより剥がした樹脂フィルムAを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.5%であった。
このフィルムを次の方法により光弾性係数(CP)および応力光学係数(CR)を求めた。具体的には、光弾性係数(CP)は短冊状のフィルムサンプルに室温(25℃)で数種類の一定荷重を加え、発生する位相差とそのときサンプルが受けた応力とから計算した。応力光学係数(CR)については、フィルム状サンプルを用いてTg以上にて数種類の一定荷重をかけて数パーセント伸びた状態でゆっくりと冷やして室温まで戻した後に発生した位相差を測定してかけた応力とから計算した。結果は、それぞれCP=4(×10-12pa-1),CR=1750(×10-12pa-1)であった。
樹脂フィルムAの特性値を表1に示した。
<フィルム製造例2>
樹脂Bを使用し、フィルム製造例1と同様にして樹脂フィルムBを得た。得られた樹脂フィルムBの残留溶媒量は0.5%であり、光弾性係数(CP)および応力光学係数(CR)はそれぞれCP=9(×10-12pa-1),CR=2,350(×10-12pa-1)であった。
樹脂フィルムBの特性値を表1に示した。
<実施例1>
上記樹脂フィルムAをテンター内で、Tg+10℃である175℃に加熱し、延伸速度400%/分で1.5倍に一軸延伸した後、110℃の雰囲気下で1分間この状態を保持し、その後室温まで冷却して取り出した後に、さらに175℃のテンター内で、先の延伸軸に対して90度方向に120%/分で1.05倍に延伸を行ない、その後、110℃の雰囲気下で1分間この状態を保持し、その後、室温まで冷却して取り出したところ、厚み86μmの位相差フィルムAを得ることができた。この位相差フィルムAの透過波面収差を測定したところ、RMSで35mλであった。また、この位相差フィルムAの光の波長650nmにおける位相差は164nmであった。この位相差フィルムAを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に熱収縮率を測定したところ、主延伸方向の熱収縮率αは0.13%、それと垂直方向の熱収縮率βは0.05%であり、この位相差フィルムの収縮率の示標γは、4.9であった。この加熱後の位相差フィルムAの透過波面収差を測定したところ、RMSで35mλであり、収差の変化は無かった。また、位相差フィルムA中の10μm以上の異物数は10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。
また、この位相差フィルムAついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差におけるRMSの変化は10mλ以下であった。
<実施例2>
上記樹脂フィルムBをテンター内で、Tg+10℃である150℃に加熱し、延伸速度400%/分で1.3倍に一軸延伸した後、110℃の雰囲気下で1分間この状態を保持し、その後、室温まで冷却して取り出した後に、さらに150℃のテンター内で、先の延伸軸に対して90度方向に120%/分で1.05倍に延伸を行ない、その後、110℃の雰囲気下で1分間この状態を保持し、その後、室温まで冷却して取り出したところ、厚み90μmの位相差フィルムBを得ることができた。この位相差フィルムBの透過波面収差を測定したところ、RMSで33mλであった。また、この位相差フィルムBの光の波長650nmにおける位相差は164nmであった。この位相差フィルムBを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に熱収縮率を測定したところ、主延伸方向の熱収縮率αは0.12%、それと垂直方向の熱収縮率βは0.04%であり、この位相差フィルムの収縮率の示標γは、4.9であった。この加熱後の位相差フィルムBの透過波面収差を測定したところ、RMSで33mλであり、収差の変化は無かった。また、位相差フィルムB中の10μm以上の異物数は10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。
また、この位相差フィルムBついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差におけるRMSの変化は10mλ以下であった。
<実施例3>
樹脂フィルムAを用いて、主延伸方向の延伸条件を延伸倍率2.2倍とした以外は、実施例1と同様にして厚み78μmの位相差フィルムCを得た。この位相差フィルムCの透過波面収差を測定したところ、RMSで40mλであった。また、この位相差フィルムCの光の波長650nmにおける位相差は328nmであった。この位相差フィルムCを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に熱収縮率を測定したところ、主延伸方向の熱収縮率αは0.2%、それと垂直方向の熱収縮率βは0.06%であり、この位相差フィルムの収縮率の示標γは、4.3であった。この加熱後の位相差フィルムCの透過波面収差を測定したところ、RMSで40mλであり、収差の変化は無かった。また、位相差フィルムC中の10μm以上の異物数は10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。また、この位相差フィルムCついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差におけるRMSの変化は10mλ以下であった。
さらに、この加熱前の位相差フィルムCと位相差フィルムAの主延伸軸を58度で交差するように、厚さ10μmのアクリル系接着剤 [協立化学産業(株)製、XVL−90]を用いて積層し、さらにその両面に、同じ接着剤を用いて、厚さ250μmのガラス板を積層することによって、積層した各々の位相差フィルムの主延伸方向の熱収縮率差の絶対値が0.07%の波長板Aを得た。この波長板Aの透過波面収差を測定したところ、RMSで44mλであった。また、この波長板Aを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に透過波面収差を測定したところ、RMSで44mλであった。また、この波長板Aついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差におけるRMSの変化は10mλ以下であった。
この波長板A中の10μm以上の異物数は、10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。
この高温高湿試験前後の波長板Aを用いたジッター評価結果を表2に示す。
<実施例4>
樹脂フィルムBを用いて、主延伸方向の延伸条件を延伸倍率1.55倍とした以外は、実施例2と同様にして厚み86μmの位相差フィルムDを得た。この位相差フィルムDの透過波面収差を測定したところ、RMSで37mλであった。また、この位相差フィルムDの光の波長650nmにおける位相差は328nmであった。この位相差フィルムDを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に熱収縮率を測定したところ、主延伸方向の熱収縮率αは0.17%、それと垂直方向の熱収縮率βは0.05%であり、この位相差フィルムの収縮率の示標γは、3.7であった。この加熱後の位相差フィルムDの透過波面収差を測定したところ、RMSで37mλであり、収差の変化は無かった。また、位相差フィルムD中の10μm以上の異物数は、10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。また、この位相差フィルムDついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差におけるRMSの変化は10mλ以下であった。
さらに、この加熱前の位相差フィルムDと位相差フィルムBの主延伸軸を58度で交差するように、厚さ10μmの上記アクリル系接着剤[協立化学産業(株)]製、XVL−90]を用いて積層し、さらにその両面に、同じ接着剤を用いて、厚さ250μmのガラス板を積層することによって、積層した各々の位相差フィルムの主延伸方向の熱収縮率差の絶対値が0.05%の波長板Bを得た。この波長板Bの透過波面収差を測定したところ、RMSで40mλであった。また、この波長板Bを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に透過波面収差を測定したところ、RMSで40mλであった。また、この波長板Bついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差におけるRMSの変化は10mλ以下であった。
この波長板B中の10μm以上の異物数は、10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。
この高温高湿試験前後の波長板Bを用いたジッター評価結果を表2に示す。
<比較例1>
上記樹脂フィルムAをテンター内で、Tg+10℃である175℃に加熱し、延伸速度400%/分で1.4倍に一軸延伸した後、110℃の雰囲気下で1分間この状態を保持し、その後、室温まで冷却して取り出したところ、厚み88μmの位相差フィルムEを得ることができた。この位相差フィルムEの透過波面収差を測定したところ、RMSで40mλであった。また、この位相差フィルムEの光の波長650nmにおける位相差は164nmであった。この位相差フィルムEを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に熱収縮率を測定したところ、主延伸方向の熱収縮率αは0.19%、それと垂直方向の熱収縮率βは−0.02%であり、この位相差フィルムの収縮率の示標γは、12.8であった。この加熱後の位相差フィルムEの透過波面収差を測定したところ、RMSで55mλであり、収差の変化が認められた。また、この位相差フィルムEついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差はRMSで77mλであった。
また、位相差フィルムE中の10μm以上の異物数は、10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。
<比較例2>
上記樹脂フィルムBをテンター内で、Tg+10℃である150℃に加熱し、延伸速度400%/分で1.18倍に一軸延伸した後、110℃の雰囲気下で1分間この状態を保持し、その後、室温まで冷却して取り出したところ、厚み92μmの位相差フィルムFを得ることができた。この位相差フィルムFの透過波面収差を測定したところ、RMSで38mλであった。また、この位相差フィルムFの光の波長650nmにおける位相差は164nmであった。この位相差フィルムFを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に熱収縮率を測定したところ、主延伸方向の熱収縮率αは0.19%、それと垂直方向の熱収縮率βは−0.02%であり、この位相差フィルムの収縮率の示標γは、13.1であった。この加熱後の位相差フィルムFの透過波面収差を測定したところ、RMSで52.3mλであり、収差の変化が認められた。また、この位相差フィルムFついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差はRMSで73mλであった。
また、位相差フィルムF中の10μm以上の異物数は、10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。
<比較例3>
樹脂フィルムAを用いて、延伸条件を延伸倍率2.1倍とした以外は、比較例1と同様にして厚み80μmの位相差フィルムGを得た。この位相差フィルムGの透過波面収差を測定したところ、RMSで45mλであった。また、この位相差フィルムGの光の波長650nmにおける位相差は328nmであった。この位相差フィルムGを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に熱収縮率を測定したところ、主延伸方向の熱収縮率αは0.33%、それと垂直方向の熱収縮率βは−0.1%であり、この位相差フィルムの収縮率の示標γは、13.1であった。この加熱後の位相差フィルムGの透過波面収差を測定したところ、RMSで63mλであり、収差の変化が認められた。また、この位相差フィルムGついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差はRMSで88mλであった。
また、位相差フィルムG中の10μm以上の異物数は、10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。さらに、この加熱前の位相差フィルムGと位相差フィルムEの主延伸軸を58度で交差するように、厚さ10μmの上記アクリル系接着剤[協立化学産業(株)製、XVL−90]を用いて積層し、さらにその両面に、同じ接着剤を用いて、厚さ250μmのガラス板を積層することによって、積層した各々の位相差フィルムの主延伸方向の熱収縮率差の絶対値が0.14%の波長板Cを得た。この波長板Cの透過波面収差を測定したところ、RMSで45mλであった。また、この波長板Cを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に透過波面収差を測定したところ、RMSで71mλであった。また、この波長板Cついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差はRMSで94mλであった。
この波長板C中の10μm以上の異物数は、10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。
この高温高湿試験前後の波長板Cを用いたジッター評価結果を表2に示す。
<比較例4>
樹脂フィルムBを用いて、延伸条件を延伸倍率1.45倍とした以外は、比較例2と同様にして厚み88μmの位相差フィルムHを得た。この位相差フィルムHの透過波面収差を測定したところ、RMSで42mλであった。また、この位相差フィルムHの光の波長650nmにおける位相差は328nmであった。この位相差フィルムHを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に熱収縮率を測定したところ、主延伸方向の熱収縮率αは0.32%、それと垂直方向の熱収縮率βは−0.09%であり、この位相差フィルムの収縮率の示標γは、12.5であった。この加熱後の位相差フィルムHの透過波面収差を測定したところ、RMSで60mλであり、収差の変化が認められた。また、この位相差フィルムHついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差はRMSで84mλであった。
また、位相差フィルムH中の10μm以上の異物数は、10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。さらに、この加熱前の位相差フィルムHと位相差フィルムFの主延伸軸を58度で交差するように、厚さ10μmの上記アクリル系接着剤[協立化学産業(株)製、XVL−90]を用いて積層し、さらにその両面に、同じ接着剤を用いて、厚さ250μmのガラス板を積層することによって、積層した各々の位相差フィルムの主延伸方向の熱収縮率差の絶対値が0.13%の波長板Dを得た。この波長板Dの透過波面収差を測定したところ、RMSで43mλであった。また、この波長板Dを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に透過波面収差を測定したところ、RMSで68mλであった。また、この波長板Dついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差はRMSで86mλであった。
この波長板D中の10μm以上の異物数は、10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。
この高温高湿試験前後の波長板Dを用いたジッター評価結果を表2に示す。
<比較例5>
出光石油化学(株)製のポリカーボネート A2700を原料とし、溶媒を塩化メチレンとした以外は、フィルム製造例1と同様にして、ポリカーボネートフィルムを得た。得られたポリカーボネートフィルムの特性値を表1に示した。
さらに、このフィルムをテンター内で、Tg+5℃である160℃に加熱し、延伸速度200%/分で1.1倍に延伸した後、110℃の雰囲気下で1分間この状態を保持しながら冷却し、室温へとさらに冷却して取り出したところ、厚み95μmのポリカーボネート製位相差フィルムIを得ることができた。この位相差フィルムIの透過波面収差を測定したところ、RMSで75mλであった。また、この位相差フィルムIの光の波長650nmにおける位相差は328nmであった。
この位相差フィルムIを120℃の高温槽に入れ、24時間後に取り出し、さらに24時間室温放置した後に熱収縮率を測定したところ、主延伸方向の熱収縮率αは0.15%、それと垂直方向の熱収縮率βは−0.01%であり、この位相差フィルムの収縮率の示標γは、9.8あった。この加熱後の位相差フィルムIの透過波面収差を測定したところ、RMSで240mλであり、収差の変化が認められた。また、この位相差フィルムIついて高温高湿試験を行なったところ、透過波面収差はRMSで650mλであった。
また、位相差フィルムI中の10μm以上の異物数は10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。
Figure 0004273321
Figure 0004273321
○: 3.5(ns)以下
×: 3.5(ns)を超える。
本発明の波長板は、延伸配向させた環状オレフィン系樹脂からなるフィルムを使用した波長板であり、本発明の波長板を使用すると、初期特性に優れ、使用環境や製造環境の影響を受けにくく長期信頼性に優れた光学情報記録・再生装置用波長板を製造することができる。
本発明の波長板を使用した光学情報記録再生装置は、前述のように音声、画像の記録に関して、再生専用記録媒体、追記型記録媒体、および書き換え可能型記録媒体のいずれにも適用でき、 CD−ROM、CD−R、書き換え可能DVDなどの記録装置およびそれらを用いたOA機器、CDなどの音響再生装置、DVDなどの画像再生装置およびそれらを用いたAV機器、上記のCD、DVDなどを用いたゲーム機などに用いることができる。

Claims (5)

  1. 下記(1)〜(7)の群から選ばれた環状オレフィン系樹脂よりなるフィルムを主延伸方向の延伸倍率が1.01〜10倍、副延伸方向の延伸倍率が主延伸方向倍率に対して0.001〜30%で二軸延伸加工することにより得られた位相差フィルムであり、かつ下記式(a)で定義される値(γ)が7以下である位相差フィルムを用いた波長板であって、波長をλとしたとき、5mmφの測定範囲におけるRMS波面収差が50mλ以下であることを特徴とする波長板。
    (1)下記一般式(I)で表される特定単量体の開環重合体。
    (2)下記一般式(I)で表される特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体。
    (3)上記(1)または(2)の開環重合体の水素添加重合体。
    (4)上記(1)または(2)の開環重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した重合体。
    (5)下記一般式(I)で表される特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体。
    (6)下記一般式(I)で表される特定単量体と、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型共重合体およびその水素添加重合体。
    (7)下記一般式(I)で表される特定単量体とアクリレートとの交互共重合体。
    Figure 0004273321
    〔式中、R〜Rは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一または異なっていてもよい。RとRまたはR
    とRは、一体化して2価の炭化水素基を形成しても良く、RまたはRとRまたはRとは互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または1である。〕

    γ=(|α−β|/Re)×10 ……… 式(a)
    [式(a)中、αは主延伸方向の120℃、24時間加熱後の熱収縮率(%)を表し、βは副延伸方向の120℃、24時間加熱後の熱収縮率(%)を表す。また、Reは、位相差フィルムの波長590nmにおける位相差値(nm)を表す。]
  2. 環状オレフィン系樹脂が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の、数平均分子量(Mn)が8,000〜100,000、重量平均分子量(Mw)が20,000〜300,000である請求項1記載の波長板。
  3. 位相差フィルムを少なくとも2枚以上積層してなる波長板であって、主延伸方向の120℃、24時間加熱後の熱収縮率の差が、各フィルムにおいて絶対値で0.08%以下である請求項1〜いずれか1項に記載の波長板。
  4. 各位相差フィルムの光軸が実質的に交差してなる請求項に記載の波長板。
  5. 位相差フィルムの少なくとも1枚が透明基材に接着固定されてなる請求項1〜いずれか1項に記載の波長板。
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