JP2005164834A - 波長板 - Google Patents

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JP2005164834A JP2003401690A JP2003401690A JP2005164834A JP 2005164834 A JP2005164834 A JP 2005164834A JP 2003401690 A JP2003401690 A JP 2003401690A JP 2003401690 A JP2003401690 A JP 2003401690A JP 2005164834 A JP2005164834 A JP 2005164834A
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関口  正之
Takuhiro Ushino
卓浩 牛野
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Abstract

【課題】初期特性に優れ、使用環境や製造環境の影響を受けにくく長期信頼性に優れた、光学情報記録・再生装置用波長板を提供すること。
【解決手段】2枚以上の位相差フィルムからなる波長板であって、レーザー光の透過部分において位相差フィルムどうしが接着されていない波長板。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー光学系に用いられる波長板に関する。さらに詳しくは、透過光に位相差を与える機能を有する透明樹脂フィルム(以下、「位相差フィルム」という。)を少なくとも2枚以上用いた波長板に関する。
光ディスク装置は、非接触、単位体積あたりの情報量の多さ、高速アクセス性、低コストなどの理由から、近年、大きく伸長している光学情報記録・再生装置であり、これらの特徴を生かし、各種の記録媒体が開発されている。例えば、あらかじめ記録された情報を音や画像あるいはコンピュータ用プログラムなどとして再生するコンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(LD)、CD−ROM、DVD−ROMなど、レーザーによって情報を1回だけ書き込め、係る情報を再生できるCD−RやDVD−R、情報の記録・再生が繰り返しできる光磁気ディスク(MO)やDVD−RAM、DVD−RWなどが開発されている。
このような光学情報記録・再生装置での情報の記録および/または再生を行うための光学系装置としては様々なものが知られているが、その1つとして書き換え型光磁気ディスク装置が広く知られている。書き換え型光磁気ディスク装置では、レーザー光源からの照射光が、偏光子、偏光ビームスプリッター(PBS)を通り光磁気ディスクに照射され、光磁気ディスクで反射された戻り光が、再びPBSを通り、光検出器にいたる光路の途中位置に1/2λ波長板(以下、「1/2波長板」ともいう。)が配置された光ピックアップ装置が知られている。
ここで、1/2波長板とは、特定波長の直交する2つの偏光成分の間にλ/2の光路差(したがって、πの位相差)を与えるものである。
このような波長板としては、複屈折性を備える雲母、石英、水晶、方解石、LiNbO3、LiTaO3などの単結晶から形成される波長板、ガラス基板などの下地基板に対して斜め方向から無機材料を蒸着することにより得られる下地基板の表面に複屈折膜を有する波長板、複屈折性を有するLB(Langmuir-Blodget)膜を有する波長板など無機系のものが従来使用されている。
また、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルアセテート(TAC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アクリル樹脂などの透明樹脂フィルムを延伸し配向させることにより得られる位相差フィルムを、平坦性、定形性維持のためガラス基板に接着したり、2枚のガラス基板で挾持したりした波長板も使用されている。さらに、高分子液晶膜を、平坦性、定形性維持および分子配向のためにガラス基板上に形成したり、2枚のガラス基板で挾持したりして複屈折性を付与した波長板も使用されている。
また、最近、高密度の情報記録媒体としてDVDが急速に普及しつつあるが、一方、既に市場にはCD、CD−ROM、CD−R、DVDといった再生専用や書き込み型の光ディスクが広く普及していることから、光ディスク装置に対して、これら方式の異なる多種の光ディスクに対する記録あるいは再生を兼用できることが強く要求されており、また、応用分野の拡大に伴い小型化、低価格化も求められている。そして、これらの要求に対応するために、複数の読み書き用のレーザーに対応するための広帯域波長板(位相差板)の使用が提案されている(特許文献1〜3)。例えば、特許文献3(特開2002−14228号公報)では、互いに偏波面が平行である2種の入射直線偏光が波長板通過後に、出射した偏光の偏波面が直交化されるという波長板が提案されている。このような波長板では、所望の光学特性を得るために位相差フィルムが2枚以上使用されているため、ガラス基板に接着固定されるだけでなく、通常、位相差フィルムどうしも接着固定されていた。ところが、上記フィルムどうしを接着する構成の波長板では、面内収差が長期の連続使用によって変化してしまい、初期に得られていた良好な特性が保持できないという問題があった。また、位相差フィルムの物性が波長板の特性として反映されるため、使用環境によっては、長期の連続使用により波長板の位相差値(レターデーション)が徐々に変化したり、あるいは、フィルムの厚みむらによって面内収差が大きくなってしまったりして、結果として初期に得られていた良好な特性が保持できない場合が生じる問題が指摘されていた。
上記問題を抑制する方法としては、位相差フィルムどうしの接着を行わず、各々のフィルムを独立にレーザー光学系に組み込むことも考えられるが、その場合には、各位相差フィルムの光軸を精密に調整した上で組み込むことが必須となり機器の製造に手間が掛かるばかりでなく、使用時の振動などにより各位相差フィルムの光軸の相互関係にズレが生じて特性が低下するなどの問題が生じる。
特開2001−101700号公報 特開2001−208913号公報 特開2002−14228号公報
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、初期特性に優れ、使用環境や製造環境の影響を受けにくく長期信頼性に優れた、光学情報記録・再生装置用波長板を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、2枚以上の位相差フィルムからなる波長板であって、レーザー光の透過部分において位相差フィルムどうしが接着されておらず、さらにレーザー光の透過部分を除く部分の少なくとも一部において位相差フィルムどうしが接着された波長板が、初期特性に優れ、使用環境や製造環境の影響を受けにくく長期信頼性に優れた光学情報記録・再生装置用波長板として最適であることを見出して本発明の完成に至った。
また、本発明者らは、耐熱性に優れ、低吸湿性であり、位相差の安定性に優れかつ位相差の波長依存性が小さい環状オレフィン系樹脂を原料としたフィルム(以下、「環状オレフィン系樹脂フィルム」という。)を延伸配向させた位相差フィルムを用いた波長板が、特に初期特性に優れ、使用環境や製造環境の影響を受けにくく長期信頼性に優れた光学情報記録・再生装置用波長板として最適であることを見出して本発明の完成に至った。
本発明の波長板は、位相差フィルムのレーザー光の透過部分が接着されておらず隙間を有しており、また、必要に応じてレーザー光の透過部分に支持体を存在させないようにして固定されているため、長期にわたり波面収差の変化が極めて小さい高性能の波長板である。したがって、本発明の波長板を使用すると、長期にわたり高性能を維持した光学情報記録・再生装置を製造することができる。
本発明で用いられる位相差フィルムとしては、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルアセテート(TAC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アクリル樹脂、環状オレフィン系樹脂などの透明樹脂フィルムを延伸し配向させたものが挙げられる。なかでも、環状オレフィン系樹脂フィルムを延伸し、配向させたものが好ましく用いられる。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂としては、次のような(共)重合体が挙げられる。
(1)下記一般式(I)で表される特定単量体の開環重合体。
(2)下記一般式(I)で表される特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体。
(3)上記(1)または(2)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体。
(4)上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合体。
(5)下記一般式(I)で表される特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体。
(6)下記一般式(I)で表される特定単量体、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体。
(7)下記一般式(I)で表される特定単量体とアクリレートとの交互共重合体。
Figure 2005164834
〔式中、R1〜R4 は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一または異なっていてもよい。R1とR2またはR3 とR4は、一体化して2価の炭化水素基を形成しても良く、R1またはR2とR3またはR4とは互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。〕
<特定単量体>
上記特定単量体の具体例としては、次のような化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
特定単量体のうち好ましいのは、上記一般式(1)中、R1 およびR3が水素原子または炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基であり、R2 およびR4 が水素原子または一価の有機基であって、R2 およびR4の少なくとも一つは水素原子および炭化水素基以外の極性を有する極性基を示し、mは0〜3の整数、pは0〜3の整数であり、より好ましくはm+p=0〜4、さらに好ましくは0〜2、特に好ましくはm=1、p=0であるものである。m=1、p=0である特定単量体は、得られる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くかつ機械的強度も優れたものとなる点で好ましい。
上記特定単量体の極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの中では、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましい。
さらに、R2およびR4の少なくとも一つが式−(CH2nCOORで表される極性基である単量体は、得られる環状オレフィン系樹脂が高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有するものとなる点で好ましい。上記の特定の極性基にかかる式において、Rは炭素原子数1〜12、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。また、nは、通常、0〜5であるが、nの値が小さいものほど、得られる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くなるので好ましく、さらにnが0である特定単量体はその合成が容易である点で好ましい。
また、上記一般式(I)においてR1またはR3がアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、さらに好ましくは1〜2のアルキル基、特にメチル基であることが好ましく、特に、このアルキル基が上記の式−(CH2nCOORで表される特定の極性基が結合した炭素原子と同一の炭素原子に結合されていることが、得られる環状オレフィン系樹脂の吸湿性を低くできる点で好ましい。
<共重合性単量体>
共重合性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましいのは5〜12である。これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
特定単量体/共重合性単量体の好ましい使用範囲は、重量比で100/0〜50/50であり、さらに好ましくは100/0〜60/40である。
<開環重合触媒>
本発明において、(1)特定単量体の開環重合体、および(2)特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体を得るための開環重合反応は、メタセシス触媒の存在下に行われる。
このメタセシス触媒は、(a)W、MoおよびReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例えば、Mg、Caなど)、IIB族元素(例えば、Zn、Cd、Hgなど)、IIIA族元素(例えば、B、Alなど)、IVA族元素(例えば、Si、Sn、Pbなど)、あるいはIVB族元素(例えば、Ti、Zrなど)の化合物であって、少なくとも1つの該元素−炭素結合あるいは該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒である。また、この場合に触媒の活性を高めるために、後述の(c)添加剤が添加されたものであってもよい。
(a)成分として適当なW、MoあるいはReの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl6 、ReOCl3 などの特開平1−132626号公報第8頁左下欄第6行〜第8頁右上欄第17行に記載の化合物を挙げることができる。
(b)成分の具体例としては、n−C49Li、(C253 Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−132626号公報第8頁右上欄第18行〜第8頁右下欄第3行に記載の化合物を挙げることができる。
添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、さらに特開平1−132626号公報第8頁右下欄第16行〜第9頁左上欄第17行に示される化合物を使用することができる。
メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と特定単量体とのモル比で「(a)成分:特定単量体」が、通常、1:500〜1:50,000となる範囲、好ましくは1:1,000〜1:10,000となる範囲とされる。
(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で(a):(b)が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲とされる。
(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で(c):(a)が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲とされる。
<重合反応用溶媒>
開環重合反応において用いられる溶媒(分子量調節剤溶液を構成する溶媒、特定単量体および/またはメタセシス触媒の溶媒)としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素、クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどの、ハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリールなどの化合物、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量としては、「溶媒:特定単量体(重量比)」が、通常、1:1〜10:1となる量とされ、好ましくは1:1〜5:1となる量とされる。
<分子量調節剤>
得られる開環(共)重合体の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節する。
ここに、好適な分子量調節剤としては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。
これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量としては、開環重合反応に供される特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルとされる。
(2)開環共重合体を得るには、開環重合工程において、特定単量体と共重合性単量体とを開環共重合させてもよいが、さらに、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に特定単量体を開環重合させてもよい。
以上のようにして得られる開環(共)重合体は、そのままでも用いられるが、さらに分子中のオレフィン性不飽和結合を水素添加して得られた(3)水素添加(共)重合体は、耐熱着色性や耐光性に優れた波長板が得られるので好ましい。
<水素添加触媒>
水素添加反応は、通常のオレフィン性化合物の水素添加方法により行うことができる。すなわち、開環重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が挙げられる。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は、粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、開環(共)重合体:水素添加触媒(重量比)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用される。
オレフィン性不飽和結合の水素添加率は、500MHz、1H−NMRで測定した値が50%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優れたものとなり、本発明の波長板として使用した場合に長期にわたって安定した特性を得ることができる。
なお、分子中に芳香族基を有する場合、係る芳香族基は耐熱着色性や耐光性を低下させることが少なく、逆に光学特性、例えば屈折率や波長分散などにおいて有利な特性を発現することもあるので、必ずしも水素添加される必要はない。
また、本発明の環状オレフィン系樹脂として、(4)上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合体も使用できる。
<フリーデルクラフト反応による環化>
上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化する方法は特に限定されるものではないが、特開昭50−154399号公報に記載の酸性化合物を用いた公知の方法が採用できる。酸性化合物としては、具体的には、AlCl3 、BF3 、FeCl3 、Al23 、HCl、CH3ClCOOH、ゼオライト、活性白土、などのルイス酸、ブレンステッド酸が用いられる。
環化された開環(共)重合体は、上記(1)または(2)の開環(共)重合体と同様に水素添加できる。
さらに、本発明の環状オレフィン系樹脂として、(5)上記特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体も使用できる。
<不飽和二重結合含有化合物>
不飽和二重結合含有化合物としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテンなど、好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のオレフィン系化合物を挙げることができる。
特定単量体/不飽和二重結合含有化合物の好ましい使用範囲は、重量比で90/10〜40/60であり、さらに好ましくは85/15〜50/50である。
本発明において、(5)特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体を得るには、通常の付加重合法を使用できる。
<付加重合触媒>
上記(5)飽和共重合体を合成するための触媒としては、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれた少なくとも1種と、助触媒としての有機アルミニウム化合物とが用いられる。
ここで、チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化チタンなどを、またジルコニウム化合物としてはビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどを挙げることができる。
さらに、バナジウム化合物としては、一般式
VO(OR)ab、またはV(OR)cd
〔ただし、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子であって、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。〕
で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与付加物が用いられる。
上記電子供与体としては、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナートなどの含窒素電子供与体などが挙げられる。
さらに、助触媒としての有機アルミニウム化合物としては、少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合あるいはアルミニウム−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも一種が用いられる。
上記において、例えばバナジウム化合物を用いる場合におけるバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物の比率は、バナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)が2以上であり、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20の範囲である。
付加重合に使用される重合反応用溶媒は、開環重合反応に用いられる溶媒と同じものを使用することができる。また、得られる(5)飽和共重合体の分子量の調節は、通常、水素を用いて行われる。
さらに、本発明の環状オレフィン系樹脂として、(6)上記特定単量体、およびビニル系環状炭化水素系単量体またはシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型共重合体およびその水素添加共重合体も使用できる。
<ビニル系環状炭化水素系単量体>
ビニル系環状炭化水素系単量体としては、例えば、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテンなどのビニルシクロペンテン系単量体、4−ビニルシクロペンタン、4−イソプロペニルシクロペンタンなどのビニルシクロペンタン系単量体などのビニル化5員環炭化水素系単量体、4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンなどのビニルシクロヘキセン系単量体、4−ビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキサンなどのビニルシクロヘキサン系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−フェニルスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン系単量体、d−テルペン、1−テルペン、ジテルペン、d−リモネン、1−リモネン、ジペンテンなどのテルペン系単量体、4−ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテンなどのビニルシクロヘプテン系単量体、4−ビニルシクロヘプタン、4−イソプロペニルシクロヘプタンなどのビニルシクロヘプタン系単量体などが挙げられる。好ましくは、スチレン、α−メチルスチレンである。
これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
<シクロペンタジエン系単量体>
本発明の(6)付加型共重合体の単量体に使用されるシクロペンタジエン系単量体としては、例えばシクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−メチルシクロペンタジエンなどが挙げられる。好ましくはシクロペンタジエンである。
これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
上記特定単量体、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型(共)重合体は、上記(5)特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体と同様の付加重合法で得ることができる。
また、上記付加型(共)重合体の水素添加(共)重合体は、上記(3)開環(共)重合体の水素添加(共)重合体と同様の水添法で得ることができる。
さらに、本発明の環状オレフィン系樹脂として、(7)上記特定単量体とアクリレートとの交互共重合体も使用できる。
<アクリレート>
本発明の(7)上記特定単量体とアクリレートとの交互共重合体の製造に用いられるアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどの炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状または環状アルキルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−テトラヒドロフルフリルアクリレートなどの炭素原子数2〜20の複素環基含有アクリレート、ベンジルアクリレートなどの炭素原子数6〜20の芳香族環基含有アクリレート、イソボロニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどの炭素数7〜30の多環構造を有するアクリレートが挙げられる。
本発明において、(7)上記特定単量体とアクリレートとの交互共重合体を得るためには、ルイス酸存在下、上記特定単量体とアクリレートとの合計を100モルとしたとき、通常、上記特定単量体が30〜70モル、アクリレートが70〜30モルの割合で、好ましくは上記特定単量体が40〜60モル、アクリレートが60〜40モル割合で、特に好ましくは上記特定単量体が45〜55モル、アクリレートが55〜45モルの割合でラジカル重合する。
(7)上記特定単量体とアクリレートとの交互共重合体を得るために使用するルイス酸の量は、アクリレート100モルに対して0.001〜1モルとなる量とされる。また、公知のフリーラジカルを発生する有機過酸化物またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることができ、重合反応温度は、通常、−20℃〜80℃、好ましくは5℃〜60℃である。また、重合反応用溶媒には、開環重合反応に用いられる溶媒と同じものを使用することができる。
なお、本発明でいう「交互共重合体」とは、上記特定単量体に由来する構造単位が隣接しない、すなわち、上記特定単量体に由来する構造単位の隣は必ずアクリレートに由来する構造単位である構造を有する共重合体のことを意味しており、アクリレート由来の構造単位どうしが隣接して存在する構造を否定するものではない。
本発明に使用される環状オレフィン系樹脂は、上記のような(1)〜(2)開環(共)重合体、(3)〜(4)水素添加(共)重合体、(5)飽和共重合体、(6)付加型(共)重合体、もしくはその水素添加(共)重合体、または(7)交互共重合体より構成されるが、これに公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加してさらに安定化することができる。
酸化防止剤、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2′−ジオキシ−3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン;紫外線吸収剤、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどを添加することによって安定化することができる。また、加工性を向上させる目的で、滑剤などの添加剤を添加することもできる。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂の好ましい分子量は、固有粘度〔η〕inhで0.2〜5dl/g 、さらに好ましくは0.3〜3dl/g 、特に好ましくは0.4〜1.5dl/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は8,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜80,000、特に好ましくは12,000〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)は20,000〜300,000、さらに好ましくは30,000〜250,000、特に好ましくは40,000〜200,000の範囲のものが好適である。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量および重量平均分子量が上記範囲にあることによって、環状オレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、本発明の波長板として使用したときの位相差の安定性とのバランスが良好となる。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、通常、120℃以上、好ましくは120〜350℃、さらに好ましくは130〜250℃、特に好ましくは140〜200℃である。Tgが120℃未満の場合は、レーザー光源やその隣接部品からの熱により、得られる環状オレフィン系樹脂フィルムの光学特性変化が大きくなり好ましくない。一方、Tgが350℃を超えると、延伸加工など、Tg近辺まで加熱して加工する場合に樹脂が熱劣化する可能性が高くなる。
本発明において使用される環状オレフィン系樹脂中に含まれるゲル含有量は可能な限り少ないことが望ましく、通常、5重量%以下、好ましくは1重量%以下である。ゲル含有量が多いと、波長板とした際に光学欠陥となることがある。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂の23℃における飽和吸水率は、好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%の範囲にある。飽和吸水率がこの範囲内であると、位相差が均一であり、得られる環状オレフィン系樹脂フィルムとガラス基板などとの密着性が優れ、使用途中で剥離などが発生せず、また、酸化防止剤などとの相溶性にも優れ、多量に添加することも可能となる。飽和吸水率が0.05重量%未満であると、ガラス基板や透明支持体などの支持体との密着性が乏しくなり、剥離を生じやすくなり、一方、2重量%を超えると、環状オレフィン系樹脂フィルムが吸水により寸法変化を起こしやすくなる。
なお、上記の飽和吸水率はASTM D570に従い、23℃水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより得られる値である。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂としては、その光弾性係数(CP)が0〜100(×10-12Pa-1)であり、かつ応力光学係数(CR)が1,500〜4,000(×10-12Pa-1)を満たすようなものが好適に使用される。
ここで、光弾性係数(CP)および応力光学係数(CR)については、種々の文献(Polymer Journal,Vol.27,No,9 pp 943-950(1995),日本レオロジー学会誌,Vol.19,No.2,pp93-97(1991),光弾性実験法,日刊工業新聞社,昭和50年第7版に記載されており公知の事実であり、前者がポリマーのガラス状態での応力による位相差の発生程度を表すのに対し、後者は流動状態での応力による位相差の発生程度を表す。
光弾性係数(CP)が大きいことは、ポリマーをガラス状態下で使用した場合に外的因子または自らの凍結した歪みから発生した歪みから発生する応力などにおいて敏感に位相差を発生しやすくなってしまうことを表し、例えば、積層したり支持体に固定したりした際の残留歪みや、温度変化や湿度変化などにともなう材料の収縮により発生する微小な応力によって不必要な位相差を発生しやすいことを意味する。このことから、できるだけ光弾性係数(CP)は小さい程よい。
一方、応力光学係数(CR)が大きいことは、例えば、少ない延伸倍率で所望の位相差を得られるようになったり、大きな位相差を付与しうるフィルムを得やすくなったり、同じ位相差を所望の場合には応力光学係数(CR)が小さいものと比べてフィルムを薄肉化できるという大きなメリットがある。
以上のような見地から、光弾性係数(CP)が好ましくは0〜100(×10-12Pa-1)、さらに好ましくは0〜80(×10-12Pa-1)、特に好ましくは0〜50(×10-12Pa-1)、より好ましくは0〜30(×10-12Pa-1)、最も好ましくは0〜20(×10-12Pa-1)である。光弾性係数(CP)が100(×10-12Pa-1)を超えた場合には、位相差フィルムを支持体に固定した時に発生する応力や使用する際の環境変化などによって発生する位相差変化などによって、最適光軸角度の許容誤差範囲からのずれが発生してしまい波長板として使用したときに透過光量が低下してしまう場合があり好ましくない。
また、本発明に使用される環状オレフィン系樹脂の水蒸気透過度は、40℃,90%RHの条件下で25μm厚のフィルムとしたときに、通常、1〜400g/m2・24hrであり、好ましくは5〜350g/m2・24hrであり、さらに好ましくは10〜300g/m2・24hrである。水蒸気透過度を本範囲とすることで、ガラス板や透明支持体などの支持体と位相差フィルムとの貼り合わせに使用した粘着剤や接着剤の含有水分や波長板が使用される環境の湿度による特性変化を低減・回避することができることから好ましい。
本発明の波長板に用いられる環状オレフィン系樹脂フィルムは、上記の環状オレフィン系樹脂を溶融成形法あるいは溶液流延法(溶剤キャスト法)などによりフィルムもしくはシートとすることで得ることができる。このうち、膜厚の均一性および表面平滑性が良好になる点から溶剤キャスト法が好ましい。
溶剤キャスト法により環状オレフィン系樹脂フィルムを得る方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を適用すればよいが、例えば、本発明の環状オレフィン系樹脂を溶媒に溶解または分散させて適度の濃度の液にし、適当なキャリヤー上に注ぐかまたは塗布し、これを乾燥した後、キャリヤーから剥離させる方法が挙げられる。
以下に、溶剤キャスト法により環状オレフィン系樹脂フィルムを得る方法の諸条件を示すが、本発明は係る諸条件に限定されるものではない。
環状オレフィン系樹脂を溶媒に溶解または分散させる際には、該樹脂の濃度を、通常は0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは10〜35重量%にする。該樹脂の濃度を上記未満にすると、フィルムの厚みを確保することが困難になる、また、溶媒蒸発にともなう発泡などによりフィルムの表面平滑性が得にくくなるなどの問題が生じる。一方、上記を超えた濃度にすると、溶液粘度が高くなりすぎて得られる環状オレフィン系樹脂フィルムの厚みや表面が均一になりにくくなるために好ましくない。
また、室温での上記溶液の粘度は、通常は1〜1,000,000mPa・s、好ましくは10〜100,000mPa・s、さらに好ましくは100〜50,000mPa・s、特に好ましくは1,000〜40,000mPa・sである。
使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノールなどのセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサンなどのシクロオレフィン系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、1−ペンタノール、1−ブタノールなどのアルコール系溶媒を挙げることができる。
また、上記以外でも、SP値(溶解度パラメーター)が、通常は10〜30(MPa1/2)、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用すれば、表面均一性と光学特性の良好な環状オレフィン系樹脂フィルムを得ることができる。
上記溶媒は、単独でもしくは複数を混合して使用することができる。その場合には、混合系としたときのSP値の範囲を上記範囲内とすることが好ましい。このとき、混合系でのSP値の値は、重量比で予測することができ、例えば二種の混合ではそれぞれの重量分率をW1,W2、SP値をSP1,SP2とすると混合系のSP値は下記式:
SP値=W1・SP1+W2・SP2
により計算した値として求めることができる。
環状オレフィン系樹脂フィルムを溶剤キャスト法により製造する方法としては、上記溶液をダイスやコーターを使用して金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン(商品名;テフロン)ベルトなどの基材の上に塗布し、その後、溶剤を乾燥して基材よりフィルムを剥離する方法が一般に挙げられる。また、スプレー、ハケ、ロールスピンコート、デッピングなどで溶液を基材に塗布し、その後、溶剤を乾燥して基材よりフィルムを剥離することにより製造することもできる。なお、繰り返し塗布することで厚みや表面平滑性などを制御してもよい。
上記溶剤キャスト法の乾燥工程については、特に制限はなく一般的に用いられる方法、例えば多数のローラーを介して乾燥炉中を通過させる方法などで実施できるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴い気泡が発生すると、フィルムの特性を著しく低下させるので、これを避けるために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程での温度あるいは風量を制御することが好ましい。
また、環状オレフィン系樹脂フィルム中の残留溶媒量は、通常は10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。ここで、残留溶媒量が10重量%を超えると、実際に使用したときに経時による寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりTgが低くなり、耐熱性も低下することから好ましくない。
なお、後述する延伸工程を好適に行うためには、上記残留溶媒量を上記範囲内で適宜調節する必要がある場合がある。具体的には、延伸配向時の位相差を安定して均一に発現させるために、残留溶媒量を通常は10〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%にすることがある。
溶媒を微量残留させることで、延伸加工が容易になる、あるいは位相差の制御が容易になる場合がある。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムの厚さは、通常は0.1〜500μm、好ましくは0.1〜300μm、さらに好ましくは1〜250μmである。0.1μm未満の厚みの場合実質的にハンドリングが困難となる。一方、500μmを超える場合、ロール状に巻き取ることが困難になるとともに、レーザー光の高透過度を目的とする本発明の波長板としては、透過率が低下するので好ましくない。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムの厚み分布は、通常は平均値に対して±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であることが望ましい。かかる厚み制御を実施することにより、延伸配向した際の位相差ムラを防ぐことができる。
本発明の波長板に使用される環状オレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムは、上記方法によって得た環状オレフィン系樹脂フィルムを延伸加工したものが好適に使用される。具体的には、公知の一軸延伸法あるいは二軸延伸法により製造することができる。すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、周遠の異なるロールを利用する縦一軸延伸法などあるいは横一軸と縦一軸を組み合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法などを用いることができる。
一軸延伸法の場合、延伸速度は、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
二軸延伸法の場合、同時2方向に延伸を行う場合や一軸延伸後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸処理する場合がある。これらの場合、2つの延伸軸の交わり角度は、通常は120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
延伸加工温度は、特に限定されるものではないが、本発明の環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)を基準として、通常はTg±30℃、好ましくはTg±15℃、さらに好ましくはTg−5〜Tg+15℃の範囲である。上記範囲内とすることで、位相差ムラの発生を抑えることが可能となり、また屈折率楕円体の制御が容易になることから好ましい。
延伸倍率は、所望する特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は1.01〜10倍、好ましくは1.1〜5倍、さらに好ましくは1.1〜3.5倍である。延伸倍率が10倍を超える場合、位相差の制御が困難になる場合がある。
延伸したフィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒以上、好ましくは30秒〜60分、さらに好ましくは1分〜60分静置されることが好ましい。これにより、位相差特性の経時変化が少なく安定した環状オレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムが得られる。
また、本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムの線膨張係数は、温度20℃から100℃の範囲において好ましくは1×10-4(1/℃)以下であり、さらに好ましくは9×10-5(1/℃)以下であり、特に好ましくは8×10-5(1/℃)以下であり、最も好ましくは7×10-5(1/℃)以下である。また、位相差フィルムの場合には、延伸方向とそれに垂直方向の線膨張係数差が好ましくは5×10-5(1/℃)以下であり、さらに好ましくは3×10-5(1/℃)以下であり、特に好ましくは1×10-5(1/℃)以下である。線膨張係数を上記範囲内とすることで、本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムを本発明の波長板としたときに、使用時の温度および湿度などの影響からなる応力変化が及ぼす位相差の変化が抑えられ、本発明の波長板として使用したときに長期の特性の安定が得ることができる。
上記のようにして延伸したフィルムは、延伸により分子が配向し透過光に位相差を与えるようになるが、この位相差は、延伸前のフィルムの位相差値と延伸倍率、延伸温度、延伸配向後のフィルムの厚さにより制御することができる。ここで、位相差は複屈折光の屈折率差(△n)と厚さ(d)の積(△nd)で定義される。
延伸前のフィルムが一定の厚さの場合、延伸倍率が大きいフィルムほど位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相差値の位相差フィルムを得ることができる。
本発明では少なくとも2枚の位相差フィルムが使用されるが、波長板としての所望の光学特性を得るためには、各々の位相差フィルムの位相差値は同じであっても良く、異なっていても良い。一枚当たりの位相差値は、所望する波長板の光学特性にもよるが、一般的に2,000nm以下が好ましく、より好ましくは1,500nm以下、さらに好ましくは1,000nm以下である。一枚当たりの位相差値が2,000nmよりも大きくなると、延伸倍率が大きすぎてフィルムの厚さむら、位相差値むらが大きくなるために好ましくない。位相差値が2,000nmよりも大きい位相差フィルムが必要な場合には、位相差値が2,000nm以下の複数の位相差フィルムを、各位相差フィルムの光軸を平行にして積層することで上記問題を回避可能である。
本発明で得られる波長板の光学特性は特に限定されるものではないが、例えば、光の波長が400〜800nmの範囲で「1/4波長板」として機能するものや、「1/2波長板」として機能するものなどが知られている。このような広帯域において特定の機能を発現する波長板を得るためには、2枚以上の位相差フィルムをその光軸を適宜交差して積層する。
本発明の波長板は、2枚以上の位相差フィルムからなる波長板であって、レーザー光の透過部分において位相差フィルムどうしが接着されておらず、各々の位相差フィルムの間に通常隙間を有する。このときの隙間の厚さには特に制限は無いが、好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下、特に好ましくは0.1mm以下である。このとき、係る隙間を設けるために必要に応じて光学特性を損ねない範囲でフィルムどうしが重なる面に凹凸が形成されていても良い。その際のフィルム面の面粗さ(Rmax)は、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、特に好ましくは5〜0.1μm、最も好ましくは1〜0.1μmである。レーザー光の透過部分位において位相差フィルムどうしの間に隙間が存在することで、各々のフィルムで発生する使用環境における温度や湿度の変化による変形や収縮を各フィルム単位にとどめ、相互に影響をおよぼしあうことを最小限にすることができ、本発明の波長板の収差特性や位相差の特性を初期から長期使用にわたって良好に発現することが可能となる。
また、レーザー光の透過部分以外は、接着剤や粘着剤などで位相差フィルムどうしを接着しても良く、また単に挟み合わせただけで保持しても良いが、機器に組み込む際の振動や使用時の振動などにより各位相差フィルムの光軸の相互関係に影響がでることを抑制できる点で接着してある方が好ましい。位相差フィルムどうしを接着する場合には、各位相差フィルム間の隙間に存在する空気が自由に外に出入りできるような経路を形成させても良い。係る経路を設けることにより、使用時の温度や湿度の変化などの環境変化に対しても安定であり良好な特性を長期にわたって維持することが可能となる。
なお、本発明でいう「位相差フィルムどうしの接着」とは、位相差フィルムどうしが直接接着されている場合の他、スペーサーなどを介して互いに接着されている場合も含む。
本発明の波長板は、製造環境や使用環境による特性の低下を防ぐ観点から、支持体で固定されていることが好ましい。係る波長板の固定は、市販の接着剤や粘着剤を用いて行ってもよいし、ピンやビスなどを用いて機械的に行ってもよい。
支持体の形状としては、所望の特性やデザインにより決定されるものであり、特に限定されるものではないが、レーザー光の透過部分に支持体が存在しない形状の場合には、材質に対する制限が特になくコスト、加工性、製造環境あるいは使用環境などに応じて適宜材質を選択できるほか、レーザー光の透過部分にも支持体がある場合と比較して、支持体自体のもつ収差の影響や支持体と位相差フィルムを固定した際に新たに生じる収差や位相差の変化の影響を抑制することが可能となるので好ましい。
なお、レーザー光の透過部分にも支持体が存在するような形状の場合には、当然のことながら光学的に透明である必要があり、ガラスや透明樹脂などに材質も限定される。また、係る場合には光学的に均一である、すなわち、複屈折性を有さない支持体であることが好ましい。支持体が複屈折性を有する場合、所望の特性を得られなかったり、得られても微妙な補正が必要となったりする問題が生じることがある。さらに、レーザー光の透過部分においては、支持体と位相差フィルムが接着されていないことが好ましい。特に、支持体を介して位相差フィルムどうしが積層される構造の場合、レーザー光の透過部分において各位相差フィルムと支持体とが接着されていると、本発明の効果が得られない場合がある。
上記レーザー光の透過部分に支持体が存在しない形状の具体例としては、例えば、「コ」の字型や丸型、あるいは一箇所が欠けた丸型であり、厚さは、通常、0.01〜5mm、好ましくは0.05〜3mm、さらに好ましくは0.05〜1mmである。0.01mm未満であると、剛性が不足するとともにハンドリング性に劣り、一方、5mmを超えると波長板としての大きさが大きくなり、光学系装置の小型化が難しくなる。
また、支持体は、位相差フィルムの間に存在させたり、各位相差フィルムの片面もしくは両面に、または積層した位相差フィルムの片面もしくは両面に存在させたりすることができる。位相差フィルムの間に安定した隙間を形成させる目的で、いわゆるスペーサーとして位相差フィルムの間に存在させることが好適に行われる。
本発明においては、位相差フィルムの片面または両面に、反射防止膜を積層することができる。
反射防止膜の形成方法としては、例えば、フッ素系共重合体を有機溶媒に溶解し、その溶液をバーコーターなどを用いて、キャスト法などにより上記位相差フィルムの上に塗布形成し、加熱し、硬化させる方法が挙げられる。加熱温度としては、通常は80〜165℃、好ましくは100〜150℃の温度で、加熱時間としては、通常は10分〜3時間、好ましくは30分〜2時間であるとされている。
反射防止膜の厚みは、通常は5〜2,000nm、好ましくは10〜1,000nm、さらに好ましくは50〜200nmとされている。5nm未満であると、反射防止効果が発揮できず、一方、2,000nmを超えると、塗膜の厚みにムラが生じやすくなり、外観などが悪化し好ましくないとされている。
また、蒸着法やスパッタ法を用いて、アルミニウム、マグネシウムあるいはケイ素などの透明無機酸化物の被覆層を設けて反射防止膜を形成することもできる。
係る無機系反射防止膜の場合、透明無機酸化物被覆層の厚みは、特定の光波長の1/4とされている。さらに、係る透明無機酸化物被覆層を多層積層することで、より反射防止性能を向上できるとされている。
本発明において、位相差フィルムどうしや位相差フィルムと支持体とを接着するために使用される接着剤や粘着剤としては、天然ゴム系、合成ゴム系、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー系、シリコン系、ポリビニルエーテル系、アクリル系、変性ポリオレフィン系、エポキシ系あるいはウレタン系など公知のものから適宜選択される。なかでも、アクリル系の粘着剤が被接着物との密着性に優れており好ましく用いられる。なお、粘着にあたって、位相差フィルムや支持体の表面をコロナ処理、プラズマ処理、カップリング剤処理あるいはアンカーコート処理などの下地処理を施すことがあってもよい。
接着剤や粘着剤を使用する場合の接着剤あるいは粘着剤層の厚さは、好ましくは1μm〜100μm、さらに好ましくは2μm〜70μm、特に好ましくは3μm〜50μm、最も好ましくは4μm〜30μmである。粘着剤や接着剤の厚さを本範囲とすることで、良好な収差や位相差特性が得られやすくなるとともに長期にわたって安定維持することができる。
また、本発明の波長板の透過波面収差は、当然のことながら小さければ小さいほど好ましいが、通常、50(mλ)以内、好ましくは30(mλ)以内、さらに好ましくは20(mλ)以内であり、波長板の透過波面収差を上記範囲内とすることで、良好なS/N比や許容されるジッター範囲となるために好ましい。ここで、λは透過光の波長を表し、一般には使用されるレーザー光の波長が用いられる。
本発明の波長板中の異物数としては、可能な限り少ない方がよく、平均粒径10μm以上のものが、通常、5(個/mm2)以下、好ましくは1(個/mm2)以下、さらに好ましくは0(個/mm2)以下である。10μm以上の異物が波長板中に5(個/mm2)を超えた数だけ存在すると、ノイズ信号が多くなりS/N比が小さくなり好ましくない。ここで、波長板中の異物とは、レーザー光の透過を低下させるものやその異物の存在によりレーザー光の進行方向を大きく変えるものが含まれる。前者の例としては、塵や埃、樹脂の焼けや金属粉末、鉱物などの粉末などが挙げられ、後者の例としては、他樹脂のコンタミや屈折率が異なる透明物質などが挙げられる。
なお、本発明の波長板は、ノイズの低減などの必要に応じて所望する波長以外の光の透過を遮断もしくは低下させるために、公知の着色剤などを用いた着色が施されたものであっても良い。
本発明の波長板は、2枚以上の位相差フィルムどうしをレーザー光の透過部位において位相差フィルムどうしが接着されておらず、各々の位相差フィルムの間に隙間を有しており、さらには、必要に応じてレーザー光の透過部分を除く部分を支持体で固定してあるため、本発明の波長板を使用することで長期耐久性に優れた高性能の光学情報記録再生装置を製造することができる。
なお、本発明の波長板を使用した光学情報記録再生装置は、前述のように音声、画像などの記録に関して、再生専用記録媒体、追記型記録媒体、および書き換え可能型記録媒体のいずれにも適用でき、 CD−ROM、CD−R、書き換え可能DVDなどの記録装置およびそれらを用いたOA機器、CDなどの音響再生装置、DVDなどの画像再生装置およびそれらを用いたAV機器、上記のCD、DVDなどを用いたゲーム機などに用いることができる。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。また、実施例中の各種の試験・測定は、次のとおりである。
固有粘度(〔η〕 inh
溶媒にクロロホルムまたはシクロヘキサンを使用し、0.5g/dlの重合体濃度で30℃の条件下、ウベローデ粘度計にて測定した。
ゲル含有量
25℃の温度で、水素添加(共)重合体50gを1%濃度になるようにクロロホルムに溶解し、この溶液をあらかじめ重量を測定してある孔径0.5μmのメンブランフィルター〔アドバンテック東洋(株)〕を用いてろ過し、ろ過後のフィルターを乾燥後、その重量の増加量からゲル含有量を算出した。
水素化率
水素添加単独重合体の場合には、500MHz、1H−NMRを測定し、エステル基のメチル水素とオレフィン系水素のそれぞれの吸収強度の比、またはパラフィン系水素とオレフィン系水素のそれぞれの吸収強度の比から水素化率を測定した。また、水素添加共重合体の場合には、重合後の共重合体の 1H−NMR吸収と水素化後の水素添加共重合体のそれを比較して算出した。
ガラス転移温度
走査熱量計(DSC)により、チッ素雰囲気下において、10℃/分の昇温速度で測定した。
膜の厚み
キーエンス(株)製、レーザーフォーカス変位計、LT−8010を用い、測定した。
面内収差
富士写真光機(株)製、小口径レーザー干渉計R10を用い、5mmφの範囲について波長650nmのレーザー光を使用して透過波面収差を測定した。
位相差値
王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADHを用い、波長480、550、590、630、750nmで測定し、当該波長以外の部分については上記波長での位相差値を用いてコーシー(Cauchy)の分散式を用いて算出した。
高温高湿試験
エスペック(株)製、環境試験機を95℃、95%RHに設定した。1000時間槽内に入れた後に取り出し、目視観察、位相差値の測定、面内収差の測定を行なった。
<合成例1>
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(特定単量体)250部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/1)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/1) 3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh)は0.75dl/gであった。
このようにして得られた開環重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C65)33 0.48部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下、「樹脂A」という。)を得た。
このようにして得られた樹脂Aについて1H−NMRを用いて水素添加率を測定したところ99.9%であった。また、当該樹脂についてDSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ165℃であった。また、当該樹脂について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、Mnは32,000、Mwは137,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.29であった。また、当該樹脂について、23℃における飽和吸水率を測定したところ、0.3%であった。また、SP値を測定したところ、19(MPal/2)であった。また、当該樹脂について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh)を測定したところ、0.78dl/g であった。また、ゲル含有量は0.4%であった。
<合成例2>
特定単量体として8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン 215部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 35部とを使用し1−ヘキセン(分子量調節剤)の添加量を18部としたこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体を得た。得られた水素添加重合体(以下、「樹脂B」という。)の水素添加率は99.9%であった。また、当該樹脂についてDSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ125℃であった。また、当該樹脂について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、Mnは46,000、Mwは190,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.15であった。また、当該樹脂について、23℃における飽和吸水率を測定したところ、0.18%であった。また、SP値を測定したところ、19(MPal/2)であった。また、当該樹脂について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh)を測定したところ、0.69dl/g であった。また、ゲル含有量は0.2%であった。
<合成例3>
特定単量体として8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン 225部を使用し1−ヘキセン(分子量調節剤)の添加量を30部、開環重合反応用溶媒としてトルエンの代わりにシクロヘキサンを使用したこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体を得た。得られた水素添加重合体(以下、「樹脂C」という。)の水素添加率は99.9%であった。また、当該樹脂についてDSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ138℃であった。また、当該樹脂について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、Mnは50,000、Mwは190,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.80であった。また、当該樹脂について、23℃における飽和吸水率を測定したところ、0.01%であった。また、SP値を測定したところ、17(MPal/2)であった。また、当該樹脂について、30℃のシクロヘキサン中で固有粘度(ηinh)を測定したところ、0.72dl/g であった。また、ゲル含有量は0.4%であった。
<フィルム製造例1>
樹脂Aをトルエンに濃度30%(室温での溶液粘度は30,000mPa・S)になるように溶解し、井上金属工業製、INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着)の表面処理した厚さ100μmのPETフィルム(東レ製、ルミラーU94)に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを50℃で一次乾燥の後、90℃で二次乾燥を行った。PETフィルムより剥がした樹脂フィルムAを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.5%であった。
このフィルムを次の方法により光弾性係数(CP)および応力光学係数(CR)を求めた。具体的には、光弾性係数(CP)は短冊状のフィルムサンプルに室温(25℃)で数種類の一定荷重を加え、発生する位相差とそのときサンプルが受けた応力とから計算した。応力光学係数(CR)については、フィルム状サンプルを用いてTg以上にて数種類の一定荷重をかけて数パーセント伸びた状態でゆっくりと冷やして室温まで戻した後に発生した位相差を測定してかけた応力とから計算した。結果は、それぞれCP=4(×10-12pa-1),CR=1750(×10-12pa-1)であった。
樹脂フィルムAの特性値を表1に示した。
<フィルム製造例2>
樹脂Bを使用し、フィルム製造例1と同様にして樹脂フィルムBを得た。得られた樹脂フィルムBの残留溶媒量は0.5%であり、光弾性係数(CP)および応力光学係数(CR)はそれぞれCP=9(×10-12pa-1),CR=2,350(×10-12pa-1)であった。
樹脂フィルムBの特性値を表1に示した。
<フィルム製造例3>
樹脂Cを使用し、溶媒をシクロヘキサンとした以外は、フィルム製造例1と同様にして、樹脂フィルムCを得た。得られた樹脂フィルムCの残留溶媒量は0.4%であり、光弾性係数(CP)および応力光学係数(CR)はそれぞれCP=4(×10-12pa-1),CR=1,950(×10-12pa-1)であった。
樹脂フィルムCの特性値を表1に示した。
<実施例1>
上記樹脂フィルムAをテンター内で、Tg+10℃である175℃に加熱し、延伸速度400%/分で1.4倍に一軸延伸した後110℃の雰囲気下で1分間この状態を保持し、その後室温まで冷却して取り出したところ、厚みが89μmで、波長655nmにおける位相差が160nmである位相差フィルムA−1を得ることができた。また、上記樹脂フィルムAをテンター内で、Tg+10℃である175℃に加熱し、延伸速度400%/分で2.1倍に一軸延伸した後110℃の雰囲気下で1分間この状態を保持し、その後室温まで冷却して取り出したところ、厚みが81μmで、波長655nmにおける位相差が330nmである位相差フィルムA−2を得ることができた。なお、各々のフィルム面の面粗さ(Rmax)を確認したところ0.1μmであった。
これらの位相差フィルムA−1とA−2を、直径10mmの円形にカットするとともに、各々の光軸が60°となるようにして円周部分に幅1mmの糊代で厚さ10μmのアクリル系接着剤(住友スリーエム(株)製、8142)を用いて貼り合わせた。このとき、糊代の一部分に約1mmの幅で上記接着剤をつけない部分を空気抜けとして作り、波長板Aを得た。本波長板Aを図1に示す。
波長板A中の10μm以上の異物数は10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。さらに、波長板Aの面内収差を確認したところ、18mλであった。
この波長板Aについて高温高湿試験を行なったところ、位相差値の変化量は3%以内であり、面内収差の変化量も5mλ以下、外観変化も見られず良好な特性が維持していることを確認した。
<実施例2>
樹脂フィルムBを用いて、延伸条件を延伸倍率1.3倍、加熱温度130℃とした以外は、実施例1と同様にして厚みが89μmで、波長655nmにおける位相差が275nmである位相差フィルムBを得た。なお、フィルム面の面粗さ(Rmax)を確認したところ0.1μmであった。
この位相差フィルムBを2枚、直径10mmの円形にカットするとともに、各々の光軸が45°となるようにして円周部分に幅1mmの糊代で厚さ10μmのアクリル系接着剤(住友スリーエム(株)製、8142)を用いて貼り合わせた。このとき、糊代の一部分に約1mmの幅で上記接着剤をつけない部分を空気抜けとして作った。さらに、係る積層した位相差フィルムの片面に、樹脂Aを射出成形して得られた厚さ1mmのドーナツ円盤状の支持体を、アクリル系接着剤(住友スリーエム(株)製、8142)を用いて貼り合わせて波長板Bを得た。本波長板Bを図2に示す。
波長板B中の10μm以上の異物数は10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。さらに、波長板Bの面内収差を確認したところ、12mλであった。
この波長板Bについて高温高湿試験を行なったところ、位相差値の変化量は3%以内であり、面内収差の変化量も5mλ以下、外観変化も見られず良好な特性が維持していることを確認した。
<実施例3>
樹脂フィルムCを用いて、延伸条件を延伸倍率1.08倍、加熱温度148℃とした以外は、実施例1と同様にして厚みが96μmで、波長655nmにおける位相差が125nmである位相差フィルムC−1を得た。また、樹脂フィルムCを用いて、延伸条件を延伸倍率1.18倍、加熱温度148℃とした以外は、実施例1と同様にして厚みが91μmで、波長655nmにおける位相差が250nmである位相差フィルムC−2を得た。なお、フィルム面の面粗さ(Rmax)を確認したところ0.1μmであった。
これらの位相差フィルムC−1とC−2を、各々の光軸が55°となるようにした以外は実施例1と同様にして波長板Cを得た。
波長板C中の10μm以上の異物数は10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。さらに、波長板Cの面内収差を確認したところ、16mλであった。
この波長板Cについて高温高湿試験を行なったところ、位相差値の変化量は3%以内であり、面内収差の変化量も5mλ以下、外観変化も見られず良好な特性が維持していることを確認した。
<比較例1>
フィルムの全面に厚さ10μmの接着剤層を設けてフィルムどうしを接着したこと以外は、実施例1と同様にして波長板Dを得た。
波長板D中の10μm以上の異物数は10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。さらに、波長板Dの面内収差を確認したところ、24mλであった。
この波長板Dについて高温高湿試験を行なったところ、位相差値の変化量は3%以内であり外観変化も見られなかったが、面内収差の変化量は18mλであり、波長板としての特性に問題が生じる可能性があることが明らかとなった。
<比較例2>
波長板Dの両面に厚さ10μmのアクリル系接着剤層(協立化学産業(株)製、XVL−90)を設けて厚さ250μmのガラス板を接着し、波長板Eを得た。この波長板Eの構成図を図3に示す。
波長板E中の10μm以上の異物数は10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。さらに、波長板Eの面内収差を確認したところ、22mλであった。
この波長板Eについて高温高湿試験を行なったところ、位相差値の変化量は3%以内であり外観変化も見られなかったが、面内収差の変化量は16mλであり、波長板としての特性に問題が生じる可能性があることが明らかとなった。
<比較例3>
フィルムの全面に厚さ10μmの接着剤層を設けてフィルムどうしを接着したこと以外は、実施例2と同様にして波長板Fを得た。
波長板F中の10μm以上の異物数は10個以下であることを偏光顕微鏡により確認した。さらに、波長板Fの面内収差を確認したところ、19mλであった。
この波長板Fについて高温高湿試験を行なったところ、位相差値の変化量は3%以内であり外観変化も見られなかったが、面内収差の変化量は14mλであり、波長板としての特性に問題が生じる可能性があることが明らかとなった。
Figure 2005164834
本発明の波長板を使用した光学情報記録・再生装置は、音声、画像の記録に関して、再生専用記録媒体、追記型記録媒体、および書き換え可能型記録媒体のいずれにも適用でき、CD−ROM、CD−R、書き換え可能DVDなどの記録装置およびそれらを用いたOA機器、CDなどの音響再生装置、DVDなどの画像再生装置およびそれらを用いたAV機器、上記のCD、DVDなどを用いたゲーム機などに用いることができる。
実施例1で作製された波長板の構成図で、(a)は上からの観察図、(b)は横からの観察図である。 実施例2で作製された波長板の構成図で、(a)は上からの観察図、(b)は横からの観察図である。 比較例2で作製された波長板の構成図で、(a)上からの観察図、(b)は横からの観察図である。

Claims (4)

  1. 2枚以上の位相差フィルムからなる波長板であって、レーザー光の透過部分において位相差フィルムどうしが接着されていないことを特徴とする波長板。
  2. レーザー光の透過部分を除く部分の少なくとも一部において位相差フィルムどうしが接着されている請求項1に記載の波長板。
  3. 位相差フィルムの少なくとも一部が支持体に固定されている請求項1または2に記載の波長板。
  4. 位相差フィルムが環状オレフィン系樹脂フィルムからなる請求項1〜3いずれかに記載の波長板。
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