JP2003344652A - 波長板 - Google Patents

波長板

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JP2003344652A
JP2003344652A JP2002156555A JP2002156555A JP2003344652A JP 2003344652 A JP2003344652 A JP 2003344652A JP 2002156555 A JP2002156555 A JP 2002156555A JP 2002156555 A JP2002156555 A JP 2002156555A JP 2003344652 A JP2003344652 A JP 2003344652A
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film
retardation
wave plate
wavelength
phase difference
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JP2002156555A
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English (en)
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Masayuki Sekiguchi
関口  正之
Tatsuya Hirono
廣野  達也
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JSR Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱や湿度などに対して安定であり、波長の異
なる複数のレーザー光に対して有効であり光学情報記録
・再生装置用波長板として使用可能な広帯域波長板(位
相差板)を提供する。 【解決手段】 透過光に位相差を与える環状オレフィン
系樹脂などからなる樹脂フィルムを複数枚組み合わせた
波長板であって、各当該樹脂フィルムがガラスなどの透
明支持体に接着されている波長板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学情報記録・再
生装置などに使用可能な、透過光に位相差を与える樹脂
フィルムを複数枚組み合わせた波長板であって、広い波
長範囲において長期にわたり良好な偏光特性を示す波長
板に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク装置は、非接触、単位体積あ
たりの情報量の多さ、高速アクセス性、低コストなどか
ら近年大きく伸長している光学情報記録・再生装置であ
り、これらの特徴を生かし、各種の記録媒体が開発され
ている。例えば、あらかじめ記録された情報を音や画像
あるいはコンピュータ用プログラムなどとして再生する
コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録
商標)(LD)、CD−ROM、DVD−ROMなど、
レーザーによって情報を1回だけ書き込め係る情報を再
生できるCD−RやDVD−R、情報の記録再生が繰り
返しできる光磁気ディスク(MO)やDVD−RAM、
DVD−RWなどが開発されている。
【0003】このような光学情報記録・再生装置での情
報の記録および/または再生を行うための光学系装置と
しては、レーザー光源から光検出器にいたる光路の途中
位置に偏光ビームスプリッター(PBS)および1/4
λ波長板(QWP)(以下「1/4波長板」ともいう)
が配置された光ピックアップ装置が知られている。ここ
で、1/4波長板とは、特定波長の直交する2つの偏光
成分の間にλ/4の光路差(したがって、π/2の位相
差)を与えるものである。上記光ピックアップ装置にお
いては、レーザー光源から直線偏光(S波)が照射さ
れ、PBSを通り、1/4波長板を通ることで直線偏光
が円偏光となり、集光レンズにより光学記録媒体に照射
される。光学記録媒体から反射された戻り光は、再び同
じ経路をたどり、1/4波長板を通ることで円偏光が9
0度方位を変換されて直線偏光(P波)となり、PBS
を通過し、光検出器に導かれるように構成されている。
また、書き換え型光磁気ディスク装置として、レーザー
光源からの照射光が、偏光子、PBSを通り光磁気ディ
スクに照射され、光磁気ディスクで反射された戻り光
が、再びPBSを通り、光検出器にいたる光路の途中位
置に1/2λ波長板(以下「1/2波長板」ともいう)
が配置されたものも知られている。ここで、1/2波長
板とは、特定波長の直交する2つの偏光成分の間にλ/
2の光路差(したがって、πの位相差)を与えるもので
ある。
【0004】このような波長板としては、複屈折性を備
える雲母、石英、水晶、方解石、LiNbO3 、Li
TaO3 などの単結晶から形成される波長板、ガラス
基板などの下地基板に対して斜め方向から無機材料を蒸
着することにより得られる下地基板の表面に複屈折膜を
有する波長板、複屈折性を有するLB(Langmuir-Blodg
et)膜を有する波長板など無機系のものが従来使用され
ている。また、ポリカーボネート、ポリビニルアルコー
ル(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン
(PP)、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテ
ルスルホン、アクリル樹脂などの透明樹脂フィルムを延
伸し透過光に位相差を与える機能を付与したフィルム
(以下、「位相差フィルム」という。)を、平坦性、定
形性維持のためガラス基板に接着したり、2枚のガラス
基板で挾持した波長板も使用されている。
【0005】ところで、最近、高密度の情報記録媒体し
てDVDが急速に普及しつつあり、一方、既に市場には
CD、CD−ROM、CD−Rといった再生専用光ディ
スクが広く普及していることから、これら多種の光ディ
スクに対する記録および再生機能が強く要求されてお
り、また、装置の応用分野の拡大に伴い光ディスク装置
の小型化、低価格化が求められていることから、複数の
読み書き用のレーザーに対応するための広帯域波長板
(位相差板)の使用が提案されている(特開2001−
101700号公報、特開2001−208913号公
報)。しかしながら、これらに開示されている広帯域波
長板(位相差板)は、複数枚の位相差フィルムをフィル
ムどうしで積層しているため、ガラス基板などの支持体
に接着固定して使用しても、デバイス組立時や使用時の
熱や湿度などの影響により、支持体に接着された位相差
フィルム(1)とこの位相差フィルム(1)の上に積層
された位相差フィルム(2)との界面などにおいて積層
する際に調整した積層角度(2枚の位相差フィルムの光
軸角度)にずれが生じたり、あるいは位相差値(レター
デーション)が徐々に変化し、初期に有していた良好な
特性が保持できない問題が生じることがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、熱や湿度などに対し
て安定であり、波長の異なる複数のレーザー光に対して
有効であり、光学情報記録・再生装置用波長板として使
用可能な広帯域波長板(位相差板)を提供するものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、複数の位相差フィルム
をフィルムどうし積層するのではなく、それぞれを透明
支持体に接着固定して組み合わせることにより熱や湿度
などに対して安定であり、波長の異なる複数のレーザー
光に対して有効であり、光学情報記録・再生装置用波長
板として使用可能な広帯域波長板(位相差板)を得られ
ることを見出し本発明の完成に至った。また、位相差フ
ィルムとして、環状オレフィン系樹脂を含む材料から得
られる透明樹脂フィルムを使用することで、耐熱性や位
相差の安定性に特に優れた広帯域波長板(位相差板)を
得られることを見出し本発明の完成に至った。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明について、以下に詳細に説
明する。本発明において、波長板に使用する位相差フィ
ルムは、特に限定されるものではなく、上記公知のもの
が使用できる。しかしながら、環状オレフィン系樹脂を
含む材料からなる透明樹脂フィルムを延伸して得られる
位相差フィルムを用いることが、得られる波長板が、耐
熱性や位相差の安定性の面で特に優れたものとなるので
好ましい。ここで、環状オレフィン系樹脂としては、次
のような(共)重合体が挙げられる。 下記一般式(1)で表される特定単量体の開環重合
体。 下記一般式(1)で表される特定単量体と共重合性単
量体との開環共重合体。 上記またはの開環(共)重合体の水素添加(共)
重合体。 上記またはの開環(共)重合体をフリーデルクラ
フト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合
体。 下記一般式(1)で表される特定単量体と不飽和二重
結合含有化合物との飽和共重合体。 下記一般式(1)で表される特定単量体、ビニル系環
状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体
から選ばれる1種以上の単量体の付加型(共)重合体お
よびその水素添加(共)重合体。
【0009】
【化1】
【0010】〔式中、R1〜R4 は、それぞれ水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、また
はその他の1価の有機基であり、それぞれ同一または異
なっていてもよい。R1とR2またはR3 とR4は、一体
化して2価の炭化水素基を形成しても良く、R1または
2とR3またはR4とは互いに結合して、単環または多
環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であ
り、pは0または正の整数である。〕
【0011】<特定単量体>上記特定単量体の具体例と
しては、次のような化合物が挙げられるが、本発明はこ
れらの具体例に限定されるものではない。ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデンビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニルビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシ
カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシ
カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−トリフルオロメチルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−ペンタフルオロエチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジ
フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(トリ
フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフ
ルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,
5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5,5,6,6−テトラフルオ
ロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,
6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジフルオロ
−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5,
6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−5
−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン、5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−
6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−
ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロ
メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5,6−ジクロロ−5,6−ビ
ス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフ
ルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプ
ロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ト
リシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセン、トリシ
クロ[6.2.1.02,7]−3−ウンデセン、
【0012】テトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−フェニルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニ
ルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−ブトキシカ
ルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、8−フェノキシカルボニルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8
−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,1 0]−3−ドデセン、8−メチル
−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,1 0]−3−ドデセン、8−メチル−8−n
−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−イソ
プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−
ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−フ
ェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17 ,10]−3−ドデセン、8−フルオロテトラ
シクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−ジフルオロメチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ペンタ
フルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン、8,8−ジフルオロテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8,8−ビス(トリ
フルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5
7,1 0]−3−ドデセン、8,9−ビス(トリフルオロ
メチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,1 0
−3−ドデセン、8−メチル−8−トリフルオロメチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,1 0]−3−ド
デセン、8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8,9
−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8,
9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8,8,9,9−テト
ラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.
0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8−ジフル
オロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチ
ル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフル
オロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−
9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフ
ルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス
(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロ−
8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオ
ロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、8−クロロ−8,9,9−トリフルオ
ロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17 ,10]−3−
ドデセン、8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフル
オロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン、8−(2,2,2−トリフルオ
ロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−
(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、などを挙げることができる。これらは、1種単独
で、または2種以上を併用することができる。
【0013】特定単量体のうち好ましいのは、上記一般
式(1)中、R1およびR3が水素原子または炭素数1〜
10の炭化水素基、さらに好ましくは水素原子または炭
素数1〜4の炭化水素基、特に好ましくは水素原子また
は炭素数1〜2の炭化水素基であり、R2およびR4が水
素原子または一価の有機基であって、R2およびR4の少
なくとも一つは水素原子および炭化水素基以外の極性を
有する極性基を示であり、mは0〜3の整数、pは0〜
3の整数であり、より好ましくはm+p=0〜4、さら
に好ましくは0〜2、特に好ましくはm=1、p=0で
あるものである。上記特定単量体の極性基としては、ハ
ロゲン、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニ
ル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、
シアノ基、アシル基、シリル基、アルコキシシリル基、
アリロキシシリル基などが挙げられる。これらの中で
は、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリロ
キシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニ
ル基が好ましい。また、これら極性基は、炭素数1〜1
0のアルキレン基、あるいは酸素原子、窒素原子、イオ
ウ原子を含む連結基を介して結合していてもよい。
【0014】特定単量体のうち、特に、R2よびR4の少
なくとも一つが式−(CH2nCOORで表される極性
基である単量体は、得られる環状オレフィン系樹脂が高
いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密
着性を有するものとなる点で好ましい。上記の特定の極
性基にかかる式において、Rは、通常、炭素原子数1〜
12、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2の炭
化水素基であり、アルキル基であることが特に好まし
い。また、nは、通常、0〜5であるが、nの値が小さ
いものほど、得られる環状ポリオレフィン系樹脂のガラ
ス転移温度が高くなるので好ましく、さらにnが0であ
る特定単量体は、その合成が容易である点で、また、得
られる環状オレフィン系樹脂がガラス転移温度の高いも
のとなる点で好ましい。
【0015】さらに、特定単量体は、上記一般式(1)
においてR1またはR2の少なくとも1つがアルキル基で
あることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、さら
に好ましくは1〜2のアルキル基、特にメチル基である
ことが好ましく、特にこのアルキル基が上記の式−(C
2nCOORで表される特定の極性基が結合した炭素
原子と同一の炭素原子に結合されていることが好まし
い。また、一般式(1)においてp=0、m=1である
特定単量体は、ガラス転移温度の高い環状オレフィン系
樹脂が得られる点で好ましい。これらのうち、得られる
開環重合体の耐熱性の面と、本発明の波長板として使用
する時の複数枚貼り合わせる際の貼り合わせ前後におけ
る位相差の変化ならびに長期に使用した場合の熱および
湿度による位相差値や収差等への影響を極力抑えられる
点から、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが
好ましい。
【0016】<共重合性単量体>共重合性単量体の具体
例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘ
プテン、シクロオクテンなどのシクロオレフィンを挙げ
ることができる。シクロオレフィンの炭素数としては、
4〜20が好ましく、さらに好ましいのは5〜12であ
る。これらは、1種単独で、または2種以上を併用する
ことができる。特定単量体/共重合性単量体の好ましい
使用範囲は、重量比で100/0〜50/50であり、
さらに好ましくは100/0〜60/40である。
【0017】<開環重合触媒>本発明において、特定
単量体の開環重合体、および特定単量体と共重合性単
量体との開環共重合体を得るための開環重合反応は、メ
タセシス触媒の存在下に行われる。このメタセシス触媒
は、(a)W、MoおよびReの化合物から選ばれた少
なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素
(例えば、Li、Na、Kなど)、IIA族元素(例え
ば、Mg、Caなど)、IIB族元素(例えば、Zn、
Cd、Hgなど)、IIIA族元素(例えば、B、Al
など)、IVA族元素(例えば、Si、Sn、Pbな
ど)、あるいはIVB族元素(例えば、Ti、Zrな
ど)の化合物であって、少なくとも1つの該元素−炭素
結合あるいは該元素−水素結合を有するものから選ばれ
た少なくとも1種との組合せからなる触媒である。ま
た、この場合に触媒の活性を高めるために、後述の
(c)添加剤が添加されたものであってもよい。
【0018】(a)成分として適当なW、Moあるいは
Reの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl
5 、ReOCl3 などの特開平1−132626号公報
第8頁左下欄第6行〜第8頁右上欄第17行に記載の化
合物を挙げることができる。(b)成分の具体例として
は、n−C49Li、(C253 Al、(C252
AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)Al
Cl2、メチルアルモキサン、LiHなどの特開平1−
132626号公報第8頁右上欄第18行〜第8頁右下
欄第3行に記載の化合物を挙げることができる。添加剤
である(c)成分の代表例としては、アルコール類、ア
ルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いるこ
とができるが、さらに特開平1−132626号公報第
8頁右下欄第16行〜第9頁左上欄第17行に示される
化合物を使用することができる。
【0019】メタセシス触媒の使用量としては、上記
(a)成分と特定単量体とのモル比で「(a)成分:特
定単量体」が、通常、1:500〜1:50,000と
なる範囲、好ましくは1:1,000〜1:10,00
0となる範囲とされる。(a)成分と(b)成分との割
合は、金属原子比で(a):(b)が1:1〜1:5
0、好ましくは1:2〜1:30の範囲とされる。
(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で(c):
(a)が0.005:1〜15:1、好ましくは0.0
5:1〜7:1の範囲とされる。
【0020】<重合反応用溶媒>開環重合反応において
用いられる溶媒(分子量調節剤溶液を構成する溶媒、特
定単量体および/またはメタセシス触媒の溶媒)として
は、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、
ノナン、デカンなどのアルカン類、シクロヘキサン、シ
クロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナ
ンなどのシクロアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素、
クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロ
ロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼ
ン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどの、ハロ
ゲン化アルカン、ハロゲン化アリールなどの化合物、酢
酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロ
ピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン
酸エステル類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げるこ
とができ、これらは単独であるいは混合して用いること
ができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量としては、「溶媒:特定単量体(重量
比)」が、通常、1:1〜10:1となる量とされ、好
ましくは1:1〜5:1となる量とされる。
【0021】<分子量調節剤>得られる開環(共)重合
体の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種
類によっても行うことができるが、本発明においては、
分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節す
る。ここに、好適な分子量調節剤としては、例えばエチ
レン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−
デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げる
ことができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセン
が特に好ましい。これらの分子量調節剤は、単独である
いは2種以上を混合して用いることができる。分子量調
節剤の使用量としては、開環重合反応に供される特定単
量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましく
は0.02〜0.5モルとされる。
【0022】開環共重合体を得るには、開環重合工程
において、特定単量体と共重合性単量体とを開環共重合
させてもよいが、さらに、ポリブタジエン、ポリイソプ
レンなどの共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共
重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボ
ルネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含
む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に特定単量体
を開環重合させてもよい。
【0023】以上のようにして得られる開環(共)重合
体は、そのままでも用いられるが、これをさらに水素添
加して得られた水素添加(共)重合体は、耐衝撃性の
大きい樹脂の原料として有用である。 <水素添加触媒>水素添加反応は、通常の方法、すなわ
ち開環重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常
圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガス
を0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させ
ることによって行われる。水素添加触媒としては、通常
のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるもの
を使用することができる。この水素添加触媒としては、
不均一系触媒および均一系触媒が挙げられる。
【0024】不均一系触媒としては、パラジウム、白
金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒
物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの
担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。ま
た、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエ
チルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/ト
リエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチ
ルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニ
ウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリ
フェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリ
フェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボ
ニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジ
クロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ル
テニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は、粉
末でも粒状でもよい。
【0025】これらの水素添加触媒は、開環(共)重合
体:水素添加触媒(重量比)が、1:1×10-6〜1:
2となる割合で使用するとされる。このように、水素添
加することにより得られる水素添加(共)重合体は、優
れた熱安定性を有するものとなり、成形加工時や製品と
しての使用時の加熱によっても、その特性が劣化するこ
とはない。ここに、水素添加率は、通常、50%以上、
好ましく70%以上、さらに好ましくは90%以上であ
る。
【0026】上記のようにして得られた開環(共)重合
体には、公知の酸化防止剤、例えば2,6−ジ−t−ブ
チル−4−メチルフェノール、2,2′−ジオキシ−
3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチルジフェ
ニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン;紫外線吸収剤、例えば2,4−ジヒドロキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノンなどを添加することによって安定化すること
ができる。また、加工性を向上させる目的で、滑剤など
の添加剤を添加することもできる。
【0027】また、水素添加(共)重合体の水素添加率
は、500MHz、1H−NMRで測定した値が50%
以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは98%
以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が
高いほど、熱や光に対する安定性が優れたものとなり、
本発明の波長板として使用した場合に長期にわたって安
定した特性を得ることができる。なお、本発明の環状オ
レフィン系樹脂として使用される水素添加(共)重合体
は、該水素添加(共)重合体中に含まれるゲル含有量が
5重量%以下であることが好ましく、さらに1重量%以
下であることが特に好ましい。ゲル含量が5重量%を超
えると、係る樹脂から得られるフィルムの平滑性に問題
が生じたり、延伸して位相差フィルムとした際に、位相
差ムラや輝点を発生するなどの光学的な欠陥の原因とな
ったりすることがある。
【0028】また、本発明の環状オレフィン系樹脂とし
て、上記またはの開環(共)重合体をフリーデル
クラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)
重合体も使用できる。 <フリーデルクラフト反応による環化>またはの開
環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化す
る方法は特に限定されるものではないが、特開昭50−
154399号公報に記載の酸性化合物を用いた公知の
方法が採用できる。酸性化合物としては、具体的には、
AlCl3、BF3、FeCl3、Al23、HCl、C
3ClCOOHなどのルイス酸やブレンステッド酸な
どが用いられる。環化された開環(共)重合体は、ま
たはの開環(共)重合体と同様に水素添加できる。
【0029】さらに、本発明の環状オレフィン系樹脂と
して、上記特定単量体と不飽和二重結合含有化合物と
の飽和共重合体も使用できる。 <不飽和二重結合含有化合物>不飽和二重結合含有化合
物としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテンな
ど、好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素
数2〜8のオレフィン系化合物を挙げることができる。
特定単量体/不飽和二重結合含有化合物の好ましい使用
範囲は、重量比で90/10〜40/60であり、さら
に好ましくは85/15〜50/50である。
【0030】本発明において、特定単量体と不飽和二
重結合含有化合物との飽和共重合体を得るには、通常の
付加重合法を使用できる。 <付加重合触媒>上記飽和共重合体を合成するための
触媒としては、チタン化合物、ジルコニウム化合物およ
びバナジウム化合物から選ばれた少なくとも一種と、助
触媒としての有機アルミニウム化合物とが用いられる。
ここで、チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化
チタンなどを、またジルコニウム化合物としてはビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリド、ビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど
を挙げることができる。
【0031】さらに、バナジウム化合物としては、一般
式 VO(OR)ab、またはV(OR)cd 〔ただし、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子であっ
て、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0
≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。〕
で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供
与付加物が用いられる。上記電子供与体としては、アル
コール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン
酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミ
ド、酸無水物、アルコキシシランなどの含酸素電子供与
体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナートな
どの含窒素電子供与体などが挙げられる。
【0032】さらに、助触媒としての有機アルミニウム
化合物としては、少なくとも1つのアルミニウム−炭素
結合あるいはアルミニウム−水素結合を有するものから
選ばれた少なくとも一種が用いられる。上記において、
例えばバナジウム化合物を用いる場合におけるバナジウ
ム化合物と有機アルミニウム化合物の比率は、バナジウ
ム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)が2
以上であり、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜
20の範囲である。
【0033】付加重合に使用される重合反応用溶媒は、
開環重合反応に用いられる溶媒と同じものを使用するこ
とができる。また、得られる飽和共重合体の分子量の
調節は、通常、水素を用いて行われる。
【0034】さらに、本発明の環状オレフィン系樹脂と
して、上記特定単量体、ビニル系環状炭化水素系単量
体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種
以上の単量体の付加型(共)重合体およびその水素添加
(共)重合体も使用できる。 <ビニル系環状炭化水素系単量体>ビニル系環状炭化水
素系単量体としては、例えば、4−ビニルシクロペンテ
ン、2−メチルー4−イソプロペニルシクロペンテンな
どのビニルシクロペンテン系単量体、4−ビニルシクロ
ペンタン、4−イソプロペニルシクロペンタンなどのビ
ニルシクロペンタン系単量体などのビニル化5員環炭化
水素系単量体、4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプ
ロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペ
ニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘ
キセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセ
ンなどのビニルシクロヘキセン系単量体、4−ビニルシ
クロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロ
ヘキサンなどのビニルシクロヘキサン系単量体、スチレ
ン、α―メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メ
チルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタ
レン、2−ビニルナフタレン、4−フェニルスチレン、
p−メトキシスチレンなどのスチレン系単量体、d−テ
ルペン、1−テルペン、ジテルペン、d−リモネン、1
−リモネン、ジペンテンなどのテルペン系単量体、4−
ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプ
テンなどのビニルシクロヘプテン系単量体、4−ビニル
シクロヘプタン、4−イソプロペニルシクロヘプタンな
どのビニルシクロヘプタン系単量体などが挙げられる。
好ましくは、スチレン、α−メチルスチレンである。こ
れらは、1種単独で、または2種以上を併用することが
できる。
【0035】<シクロペンタジエン系単量体>本発明の
付加型(共)重合体の単量体に使用されるシクロペン
タジエン系単量体としては、例えばシクロペンタジエ
ン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロ
ペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メ
チルシクロペンタジエン、5,5−メチルシクロペンタ
ジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これ
らのうち、好ましくはシクロペンタジエン、ジシクロペ
ンタジエンである。これらは、1種単独で、または2種
以上を併用することができる。
【0036】上記特定単量体、ビニル系環状炭化水素系
単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる
1種以上の単量体の付加型(共)重合体は、上記特定
単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体と
同様の付加重合法で得ることができる。また、上記付加
型(共)重合体の水素添加(共)重合体は、上記開環
(共)重合体の水素添加(共)重合体と同様の水添法で
得ることができる。
【0037】本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂
の好ましい分子量は、固有粘度〔η〕inh で0.2〜5
dl/g、さらに好ましくは0.3〜3dl/g、特に
好ましくは0.4〜1dl/gであり、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリス
チレン換算の数平均分子量(Mn)は8,000〜30
0,000、さらに好ましくは10,000〜100,
000、特に好ましくは12,000〜80,000で
あり、重量平均分子量(Mw)は20,000〜50
0,000、さらに好ましくは30,000〜350,
000、特に好ましくは40,000〜250,000
の範囲のものが好適である。固有粘度〔η〕inhまたは
重量平均分子量が上記範囲にあることによって、環状オ
レフィン系樹脂の成形加工性、耐熱性、耐水性、耐薬品
性、機械的特性と、本発明の波長板として使用したとき
の位相差の安定性とのバランスが良好となる。上記のご
とく得られる開環重合体または水添物の23℃における
飽和吸水率は、好ましくは0.05〜2重量%、さらに
好ましくは0.1〜1重量%の範囲にある。飽和吸水率
がこの範囲内であると、位相差が均一であり、得られる
環状オレフィン系樹脂フィルムとガラス基板などとの密
着性が優れ、使用途中で剥離などが発生せず、また、酸
化防止剤などとの相溶性にも優れ、多量に添加すること
も可能となる。なお、上記の飽和吸水率はASTMD5
70に従い、23℃水中で1週間浸漬して増加重量を測
定することにより得られる値である。飽和吸水率が0.
05重量%未満であると、ガラス基板や透明支持体との
密着性が乏しくなり、剥離を生じやすくなり、一方、2
重量%を超えると、環状オレフィン系樹脂フィルムが吸
水により寸法変化を起こしやすくなる。
【0038】本発明おいては、光弾性係数(CP)が0
〜100(×10-12Pa-1)であり、かつ応力光学係
数(CR)が1500〜4000(×10-12Pa-1)で
あるような環状オレフィン系樹脂が好適に使用される。
光弾性係数(CP)および応力光学係数(CR)について
は、種々の文献(Polymer Journal,Vol.27,No,9 pp
943-950(1995),日本レオロジー学会誌,Vol.19,No.2,
pp93-97(1991),光弾性実験法,日刊工業新聞社,昭和
50年第7版)に記載されており、前者がポリマーのガ
ラス状態での応力による位相差の発生程度を表すのに対
し、後者は流動状態での応力による位相差の発生程度を
表す。光弾性係数(CP)が大きいことは、ポリマーを
ガラス状態下で使用した場合に外的因子または自らの凍
結した歪みから発生した歪みから発生する応力などにお
いて敏感に位相差を発生しやすくなってしまうことを表
し、例えば本発明のように、積層した際の貼り合わせ時
の残留歪みや、温度変化や湿度変化などにともなう材料
の収縮により発生する微小な応力によって不必要な位相
差変化を発生しやすいことを意味する。このことから、
できるだけ光弾性係数(CP)は小さい程よい。一方、
応力光学係数(CR)が大きいことは、環状オレフィン
系樹脂フィルムに位相差の発現性を付与する際に少ない
延伸倍率で所望の位相差を得られるようになったり、大
きな位相差を付与しうる位相差フィルムを得やすくなっ
たり、同じ位相差を所望の場合には応力光学係数
(CR)が小さいものと比べてフィルムを薄肉化できる
という大きなメリットがある。以上のような見地から、
光弾性係数(CP)は、通常、0〜100(×10-12
-1)、好ましくは0〜80(×10-12Pa-1)、さ
らに好ましくは0〜50(×10-12Pa-1)、より好
ましくは0〜30(×10-12Pa-1)、特に好ましく
は0〜20(×10-12Pa-1)である。光弾性係数が
100(×10-12Pa-1)を超えた場合には、本発明
で用いられる積層位波長板においては、貼り合わせ時に
発生する応力、使用する際の環境変化などによって発生
する位相差変化によって最適貼り合わせ光軸角度の許容
誤差範囲からのずれが発生してしまい、波長板として使
用したときに透過光量が低下してしまうため好ましくな
い。また、応力光学係数(CR)としては、好ましくは
1,500〜4,000(×10-12Pa-1)、さらに
好ましくは1,700〜4,000(×10-12
-1)、特に好ましくは2,000〜4,000(×1
-12Pa-1)のものが好適に使用される。応力光学係
数(CR)が1,500(×10-12Pa-1)未満では所
望の位相差を発現させる際の延伸時に位相差ムラが発生
しやすくなり、一方、4,000(×10-12Pa-1
を超える場合には延伸時の延伸倍率コントロールがしに
くくなる問題が発生することがある。
【0039】本発明に使用される環状オレフィン系樹脂
の水蒸気透過度は、40℃,90%RHの条件下で25
μm厚のフィルムとしたときに、通常、1〜400g/
2・24hrであり、好ましくは5〜350g/m2
24hrであり、さらに好ましくは10〜300g/m
2・24hrである。水蒸気透過度を本範囲とすること
で、透明支持体と位相差フィルムとの貼り合わせに使用
した粘着剤や接着剤の含有水分や波長板が使用される環
境の湿度による特性変化を低減・回避することができる
ことから好ましい。
【0040】本発明に使用される環状オレフィン系樹脂
は、上記のような,開環(共)重合体、,水素
添加(共)重合体、飽和共重合体、または付加型
(共)重合体およびその水素添加(共)重合体より構成
されるが、これに公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤など
を添加してさらに安定化することができる。また、加工
性を向上させるために、滑剤などの従来の樹脂加工にお
いて用いられる添加剤を添加することもできる。
【0041】本発明に使用される環状オレフィン系樹脂
のガラス転移温度(Tg)としては、好ましくは110
〜350℃、さらに好ましくは115〜250℃、特に
好ましくは120〜200℃である。Tgが110℃未
満の場合は、レーザー光源やその隣接部品からの熱によ
り、波長板としたときの特性変化が大きくなり好ましく
ない。一方、Tgが350℃を超えると、延伸加工など
でTg近辺まで加熱して加工する場合に樹脂が熱劣化す
る可能性が高くなり好ましくない。
【0042】本発明の波長板に用いられる環状オレフィ
ン系樹脂フィルムは、上記の環状オレフィン系樹脂を溶
融成形法あるいは溶液流延法(溶剤キャスト法)などに
よりフィルムもしくはシートとすることで得ることがで
きる。このうち、膜厚の均一性および表面平滑性が良好
になる点から溶剤キャスト法が好ましい。溶剤キャスト
法により環状オレフィン系樹脂フィルムを得る方法とし
ては、特に限定されるものではなく、公知の方法を適用
すればよいが、例えば、本発明の環状オレフィン系樹脂
を溶媒に溶解または分散させて適度の濃度の液にし、適
当なキャリヤー上に注ぐかまたは塗布し、これを乾燥し
た後、キャリヤーから剥離させる方法が挙げられる。
【0043】以下に、溶剤キャスト法により環状オレフ
ィン系樹脂フィルムを得る方法の諸条件を例示するが、
本発明は係る諸条件に限定されるものではない。環状オ
レフィン系樹脂を溶媒に溶解または分散させる際には、
該樹脂の濃度を、通常は0.1〜90重量%、好ましく
は1〜50重量%、さらに好ましくは10〜35重量%
にする。該樹脂の濃度を上記未満にすると、フィルムの
厚みを確保することが困難になる、また、溶媒蒸発にと
もなう発泡などによりフィルムの表面平滑性が得にくく
なるなどの問題が生じる。一方、上記を超えた濃度にす
ると、溶液粘度が高くなりすぎて得られる環状オレフィ
ン系樹脂フィルムの厚みの均一性や表面平滑性に問題が
生じることがあり好ましくない。なお、室温での上記溶
液の粘度は、通常は1〜1,000,000mP・s、
好ましくは10〜100,000mP・s、さらに好ま
しくは100〜50,000mP・s、特に好ましくは
1,000〜40,000mP・sとされる。
【0044】使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、
エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノールな
どのセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセト
ン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチ
ル−2−ペンタノンなどのケトン系溶媒、乳酸メチル、
乳酸エチルなどのエステル系溶媒、シクロヘキサノン、
エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキ
サンなどのシクロオレフィン系溶媒、2,2,3,3−
テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、ク
ロロホルムなどのハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、1−ペンタノー
ル、1−ブタノールなどのアルコール系溶媒を挙げるこ
とができる。
【0045】また、上記以外でも、SP値(溶解度パラ
メーター)が、通常、10〜30(MPa1/2)、好ま
しくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは1
5〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20
(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用することにより、表
面均一性と光学特性の良好な環状オレフィン系樹脂フィ
ルムを得ることができる。
【0046】上記溶媒は、単独でもしくは複数を混合し
て使用することができる。その場合には、混合系とした
ときのSP値の範囲を上記範囲内とすることが好まし
い。このとき、混合系でのSP値の値は、重量比で予測
することができ、例えば二種の混合ではそれぞれの重量
分率をW1,W2、SP値をSP1,SP2とすると混
合系のSP値は下記式: SP値=W1・SP1+W2・SP2 により計算した値として求めることができる。
【0047】環状オレフィン系樹脂フィルムを溶剤キャ
スト法により製造する方法としては、上記溶液をダイス
やコーターを使用して金属ドラム、スチールベルト、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナ
フタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポ
リテトラフルオロエチレン(商品名;テフロン)ベルト
などの基材の上に塗布し、その後、溶剤を乾燥して基材
よりフィルムを剥離する方法が一般に挙げられる。ま
た、スプレー、ハケ、ロールスピンコート、デッピング
などで溶液を基材に塗布し、その後、溶剤を乾燥して基
材よりフィルムを剥離することにより製造することもで
きる。なお、繰り返し塗布することで厚みや表面平滑性
等を制御してもよい。
【0048】上記溶剤キャスト法の乾燥工程について
は、特に制限はなく一般的に用いられる方法、例えば多
数のローラーを介して乾燥炉中を通過させる方法などで
実施できるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴い気泡
が発生すると、フィルムの特性を著しく低下させるの
で、これを避けるために、乾燥工程を2段以上の複数工
程とし、各工程での温度あるいは風量を制御することが
好ましい。
【0049】また、環状オレフィン系樹脂フィルム中の
残留溶媒量は、通常は10重量%以下、好ましくは5重
量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好まし
くは0.5重量%以下である。ここで、残留溶媒量が1
0重量%を超えると、実際に使用したときに経時による
寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒に
よりTgが低くなり、耐熱性も低下することから好まし
くない。
【0050】なお、後述する延伸工程を好適に行うため
には、上記残留溶媒量を上記範囲内で適宜調節する必要
がある場合がある。具体的には、延伸配向時の位相差を
安定して均一に発現させるために、残留溶媒量を通常は
10〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さ
らに好ましくは1〜0.1重量%にすることがある。溶
媒を微量残留させることで、延伸加工が容易になる、あ
るいは位相差の制御が容易になる場合がある。
【0051】本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムの
厚さは、通常は0.1〜500μm、好ましくは0.1
〜300μm、さらに好ましくは1〜300μmであ
る。0.1μm未満の厚みの場合実質的にハンドリング
が困難となる。一方、500μmを超える場合、ロール
状に巻き取ることが困難になるとともに、レーザー光の
高透過度を目的とする本発明の波長板としては、透過率
が低下することがあるので好ましくない。
【0052】本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムの
厚み分布は、通常は平均値に対して±20%以内、好ま
しくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特
に好ましくは±3%以内である。また、1cmあたりの
厚みの変動は、通常は10%以下、好ましくは5%以
下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5
%以下であることが望ましい。かかる厚み制御を実施す
ることにより、延伸配向した際の位相差ムラを防ぐこと
ができ、また、波長板とした時に収差特性が良好となる
ことから好ましい。
【0053】本発明の波長板に使用される位相差フィル
ムには、上記方法によって得た環状オレフィン系樹脂フ
ィルムを延伸加工したものが好適に使用される。具体的
には、公知の一軸延伸法あるいは二軸延伸法により製造
することができる。すなわち、テンター法による横一軸
延伸法、ロール間圧縮延伸法、周遠の異なるロールを利
用する縦一軸延伸法など、あるいは横一軸と縦一軸を組
合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法
などを用いることができる。
【0054】一軸延伸法の場合、延伸速度は、通常、1
〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,00
0%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000
%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分で
ある。二軸延伸法の場合、同時2方向に延伸を行う場合
や一軸延伸後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸処理
する場合がある。これらの場合、2つの延伸軸の交わり
角度は、通常は120〜60度の範囲である。また、延
伸速度は各延伸方向で同じであってもよく、異なってい
てもよく、通常は1〜5,000%/分であり、好まし
くは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは
100〜1,000%/分であり、特に好ましくは10
0〜500%/分である。
【0055】延伸加工温度は、特に限定されるものでは
ないが、本発明の環状オレフィン系樹脂のガラス転移温
度(Tg)を基準として、通常はTg±30℃、好まし
くはTg±10℃、さらに好ましくはTg−5〜Tg+
10℃の範囲である。上記範囲内とすることで、位相差
ムラの発生を抑えることが可能となり、また、屈折率楕
円体の制御が容易になることから好ましい。
【0056】延伸倍率は、所望する特性により決定され
るため特に限定はされないが、通常は1.01〜10
倍、好ましくは1.1〜5倍、さらに好ましくは1.1
〜3倍である。延伸倍率が10倍を超える場合、位相差
の制御が困難になる場合がある。
【0057】延伸したフィルムは、そのまま冷却しても
よいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくと
も10秒以上、好ましくは30秒〜60分、さらに好ま
しくは1分〜60分静置されることが好ましい。これに
より、位相差特性の経時変化が少なく安定した位相差フ
ィルムが得られる。
【0058】また、本発明の環状オレフィン系樹脂フィ
ルムの線膨張係数は、温度20℃から100℃の範囲に
おいて好ましくは1×10-4(1/℃)以下であり、さ
らに好ましくは9×10-5(1/℃)以下であり、特に
好ましくは8×10-5(1/℃)であり、最も好ましく
は7×10-5(1/℃)である。また、延伸した場合に
は、延伸方向とそれに垂直方向の線膨張係数差が好まし
くは5×10-5(1/℃)以下であり、さらに好ましく
は3×10-5(1/℃)以下であり、特に好ましくは1
×10-5(1/℃)以下である。線膨張係数を上記範囲
内とすることで、本発明の環状オレフィン系樹脂フィル
ムからなる位相差フィルムを積層して本発明の波長板と
したときに、使用時の温度および湿度などの影響からな
る応力変化が及ぼす位相差の変化が抑えられ、本発明の
波長板として使用したときに長期の特性の安定が得るこ
とができる。
【0059】上記のようにして延伸したフィルムは、延
伸により分子が配向し透過光に位相差を与えるようにな
るが、この位相差は、延伸前のフィルムの位相差値と延
伸倍率、延伸温度、延伸配向後のフィルムの厚さにより
制御することができる。ここで、位相差は複屈折光の屈
折率差(△n)と厚さ(d)の積(△nd)で定義され
る。延伸前のフィルムが一定の厚さの場合、延伸倍率が
大きいフィルムほど位相差の絶対値が大きくなる傾向が
あるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相
差値の位相差フィルムを得ることができる。
【0060】本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂
フィルムからなる位相差フィルムの光線波長550nm
における位相差値は、好ましくは10〜900nm、さ
らに好ましくは50〜500nm、特に好ましくは80
〜400nm、最も好ましくは100〜300nmであ
る。位相差値が上記の範囲から外れた場合には、目的と
する広範囲にわたる光の波長に対して安定した位相状態
を制御しにくくなる。さらに、複数のレーザー波長、例
えばCD−R用の785nmやDVD用の650nmの
光に対し、同時に(X+1/4)λ[ここでXは0また
は1以上の整数]の位相差を得るためには、光線波長5
50nmにおける位相差値が、100〜150nmのも
のと250〜300nmの位相差フィルムを組み合わせ
て使用することが好ましい。
【0061】また、複数のレーザー波長、例えばCD−
R用の785nmやDVD用の650nmの光に対し、
同時に(X+1/2)λ[ここでXは0または1以上の
整数]の位相差を得るためには、光線波長550nmに
おける位相差値が、250〜300nm位相差フィルム
を複数枚組み合わせて使用することが好ましい。さら
に、複数枚の位相差フィルムの位相差値は、同一もしく
は同程度であることが、より広範囲にわたって(X+1
/2)λに近づけることができ好ましい。各々の位相差
値の差については、通常、0nm〜50nm、好ましく
は0nm〜30nm、さらに好ましくは0〜10nmで
ある。この差が大きくなると、各々の位相差フィルムの
持つ光の波長に対する位相差の波長分散性の影響が大き
くなり、広範囲にわたって光の波長に対して(X+1/
2)λを得ることが難しくなる。
【0062】本発明の波長板は、上記の位相差フィルム
複数枚を、それぞれの光軸が交差するように、もしくは
全部または一部の光軸が平行に重なるように、透明支持
体を介して積層したものである。それにより、広範囲に
わたる特定のレーザー光に対する位相差値を任意に制御
でき、広い波長域にわたり所定の位相差値を示し、さら
に熱や湿度などの環境条件に対して特性変化が極めて小
さい本発明の波長板を得ることができる。
【0063】位相差フィルムの積層枚数については特に
限定されないが、積層枚数が多くなると、各位相差フィ
ルムの光軸の角度を調整して積層することが難しくな
り、また、厚みも増すため、通常、2〜10枚、好まし
くは2〜5枚、さらに好ましくは2〜3枚である。
【0064】本発明の波長板は、広範囲の光線波長、例
えば400nm〜800nmにある任意の波長のレーザ
ー光において、(X+1/4)λ[ここでXは0または
1以上の整数]の位相差が得られるためには、下記式
(a)で表される波長依存性の値が(0.20〜0.3
0)+Xであることが好ましく、さらに好ましくは
(0.22〜0.28)+X、特に好ましくは(0.2
4〜0.26)+Xである。なお、ここで、Xは0また
は1以上の整数を表すが、X=0の場合が、製造しやす
いので好ましい。 Re(λ)/λ 式(a) [式中、λは光線波長、Re(λ)は当該光線波長にお
けるnmで表された位相差値である。] 上記式(a)の値を表す式(0.20〜0.30)+X
の( )内の値は、0.25に近い方が入射直線偏光に
対する出射偏光が円偏光に近くなり好ましく、0.20
よりも低い値、もしくは0.30を超えた値であると、
(X+1/4)λの位相差を要求される部位に使用され
たときに、出射光が楕円偏光になることから光学情報記
録再生装置に使用したときの読みとり精度が悪くなるた
めに好ましくない。
【0065】また、本発明の波長板は、広範囲の光線波
長、例えば400nm〜800nmにある任意の波長の
レーザー光において、(X+1/2)λ[ここでXは0
または1以上の整数]の位相差が得られるためには、上
記式(a)で表される波長依存性の値が(0.40〜
0.55)+Xであることが好ましく、さらに好ましく
は(0.43〜0.55)+X、特に好ましくは(0.
45〜0.55)+Xである。なお、ここで、Xは0ま
たは1以上の整数を表すが、X=0の場合が、製造しや
すいので好ましい。上記式(a)の値を表す式(0.4
0〜0.55)+Xの( )内の値は、0.5に近い方
が入射直線偏光に対する出射直線偏光の変換効率が高く
なるため好ましく、0.4よりも低い値、もしくは0.
55を超えた値であると、出射光の変換効率が低下す
る。
【0066】また、本発明の波長板は、例えば、求めら
れる広範囲にわたる光の波長に対する位相状態が、(X
+1/2)λ[ここでXは0または1以上の整数]であ
る場合には、波長板の広い範囲にわたる光線波長、例え
ば400nm〜800nmの領域における入射偏光に対
する出射偏光角度は使用するフィルムの位相差と貼り合
わせ時の光軸調整により任意に調整できる。例えば、偏
光板などの光の透過を制御する部材にレーザー光を透過
させる際の透過軸に効率よく入射させるためには、好ま
しくは計算から求められる理想の出射偏光角度に対して
±10度以内であり、さらに好ましくは±7度以内であ
り、特に好ましくは±5度以内である。
【0067】本発明における位相差フィルムの積層方法
としては、公知の接着剤や粘着剤、UV硬化型接着剤な
どを利用して、 1)1枚の位相差フィルムをガラスや透明プラスチック
などの透明支持体の片面に接着固定し、位相差フィルム
の光軸が所望の角度となるように係る支持体を積層する
方法、 2)上記透明支持体の両面に各1枚、光軸が所望の角度
となるように位相差フィルムを接着固定する方法、ある
いは、 3)これらの組み合わせ が挙げられる。このうち、透明支持体の両面に各1枚位
相差フィルムを接着固定する方法が、得られる波長板の
厚みを低減できるため好ましい。なお、本発明において
は、透明支持体に接着固定された位相差フィルムの上に
ガラスなどの透明基材を積層してもよく、また、位相差
フィルムもしくはその上に積層された透明基材に反射防
止処理が施されていてもよい。
【0068】本発明において、透明支持体は実質的に複
屈折を持たないものであることが好ましい。透明支持体
が複屈折を持つと、波長板としての特性に影響を与える
ことから好ましくない。また、透明支持体としては有機
材料および/または無機材料からなるものが使用できる
が、無機材料からなる場合が好ましく、複屈折が実質的
になく透明性に優れているなどの光学特性と波長板とし
ての長期安定性の面からガラスが特に好ましい。一方、
有機材料を使用する場合には、支持体に成形された状態
で連続使用可能温度(1,000時間以上曝されても変
形や着色が発生しない温度)が、通常100℃以上、好
ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上
であり、水蒸気透過度が40℃、90%RHの条件下
で、通常20g/m2・24hr以下、好ましくは10
g/m2・24hr以下、さらに好ましくは5g/m2
24hr以下のものが使用される。連続使用可能温度や
水蒸気透過度が上記範囲外の場合、波長板として長期に
わたり使用した時に、着色や変形のために初期特性が変
化して問題が生じることがあり好ましくない。また、有
機材料を使用する場合には、熱や応力による変形をより
防ぐために、支持体の厚みは、通常、0.5〜5mm、
好ましくは0.5〜1mmである。厚みをこれよりも薄
くすると、熱や応力により変形したり、あるいは水蒸気
透過度が上記範囲を外れることがあり、一方、厚くしす
ぎると加工しにくくなるとともに光線透過率が低下する
ことがあり好ましくない。透明支持体として使用できる
有機材料としては、例えば、熱硬化型エポキシ樹脂、ポ
リアリレート、耐熱アクリル樹脂、ポリスルホン、ポリ
カーボネート、ポリエーテルスルホン、環状オレフィン
系樹脂などが挙げられる。なお、上記透明支持体は、同
一もしくは異種の透明材料を組み合わせて得られたも
の、例えば、ガラス表面に蒸着、スパッタリングあるい
はコーティングなどの方法で無機酸化物層や有機材料層
を設けたものであってもよい。
【0069】また、透明支持体の屈折率と接着層との屈
折率差は、好ましくは0.20以内、さらに好ましくは
0.15以内、特に好ましくは0.10以内、最も好ま
しくは0.05以内であり、また、透明支持体と本発明
の樹脂フィルムとの屈折率差は、好ましくは0.20以
内、さらに好ましくは0.15以内、特に好ましくは
0.10以内、最も好ましくは0.05以内である。屈
折率差を本範囲内とすることで、透過光の反射によるロ
スを最小限に抑えることができ好ましい。
【0070】本発明において、透明支持体の形状は特に
限定されるものではなく、平板状であっても格子形状や
プリズム形状など光学的な機能を有する形状であっても
よい。また、厚さは、通常、0.01〜5mm、好まし
くは0.05〜3mm、さらに好ましくは0.05〜1
mmである。0.01mm未満であると、剛性が不足す
るとともにハンドリング性に劣り、一方、5mmを超え
ると波長板としての大きさが大きくなり、光学系装置の
小型化が難しくなる。
【0071】本発明において位相差フィルムを透明支持
体に接着固定するための粘着剤や接着剤としては、光学
用のものであれば公知のものが使用でき、具体的には天
然ゴム系、合成ゴム系、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリ
マー系、ポリビニルエーテル系、アクリル系、変性ポリ
オレフィン系の粘着剤、およびこれらにイソシアナート
などの硬化剤を添加した硬化型粘接着剤、ポリウレタン
系樹脂溶液とポリイソシアナート系樹脂溶液を混合する
ドライラミネート用接着剤、合成ゴム系接着剤、エポキ
シ系接着剤、アクリル系接着剤などが挙げられる。ま
た、形態で分類するならば、溶剤型、水分散型、無溶剤
型何れでもよく、硬化方法で分類するならば、2液混合
熱硬化型、1液熱硬化型、溶媒乾燥型、紫外線などの放
射線硬化型など、公知のものが挙げられる。これらの中
で、アクリル系の紫外線硬化型の接着剤が好ましく、特
に無溶剤型のものは位相差ムラが生じにくく好ましい。
【0072】本発明において、位相差フィルムまたは透
明支持体の片面または両面に、反射防止膜を形成する方
法としては、例えば、蒸着やスパッタにより金属酸化物
の透明皮膜を設ける公知の方法が挙げられる。このよう
にして設けられる反射防止層は、係る金属酸化物の多層
膜となっていることが、広い波長領域にわたって低い反
射率を得られるので好ましい。また、フッ素系共重合体
などの屈折率が位相差フィルムもしくは透明基材よりも
低い透明有機材料を有機溶媒に溶解し、その溶液をバー
コーター、スピンコーターあるいはグラビアコーターな
どを用いて、位相差フィルムや透明基材の上に塗布し、
加熱・乾燥(硬化)させることにより反射防止層を設け
る方法も挙げられる。なお、この場合、係る反射防止層
と位相差フィルムもしくは透明基材との間に、位相差フ
ィルムもしくは透明基材よりも屈折率の高い透明材料層
を設けておくと、反射率をより低減できる。
【0073】また、本発明の波長板の好ましい面内収差
は、30(mλ)以内、さらに好ましくは20(mλ)
以内、特に好ましくは10(mλ)以内、最も好ましく
は5(mλ)以内であり、波長板の面内収差を上記範囲
内とすることで、良好なS/Nや許容されるジッター範
囲となるために好ましい。ここでλは透過光の波長であ
る。
【0074】また、本発明の波長板中の異物数として
は、可能な限り少ない方がよく、平均粒径10μm以上
のものが、通常、10(個/mm2)以下、好ましくは
5(個/mm2)以下、さらに好ましくは1(個/m
2)以下である。10μm以上の異物が波長板中に1
0(個/mm2)を超えた数だけ存在すると、ノイズ信
号が多くなりS/N比が小さくなり好ましくない。ここ
で、波長板中の異物とは、レーザー光の透過を低下させ
るものやその異物の存在によりレーザー光の進行方向を
大きく変えるものが含まれる。前者の例としては塵や
埃、樹脂の焼けや金属粉末、鉱物などの粉末などが挙げ
られ、後者の例としては他樹脂のコンタミや屈折率が異
なる透明物質などが挙げられる。
【0075】なお、本発明の波長板は、ノイズの低減な
どの必要に応じて所望する波長以外の光の透過を遮断も
しくは低下させるために、公知の着色剤などを用いた着
色が施されたものであっても良い。
【0076】本発明の波長板は、広帯域波長板(位相差
板)であるだけでなく、位相差フィルムが透明支持体に
直接接着固定されているため、その特性が熱や湿度など
の環境により殆ど変化することがなく、長期にわたり安
定した性能を発揮することができる。また、特に、耐熱
性、光学特性の安定性および他素材との接着性に優れる
環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる位相差フィル
ムを使用することで、より信頼性の高い波長板を得るこ
とができ、係る波長板を使用すると、安価で長期信頼性
に優れた複数のレーザー光学系に対応した高性能の光学
情報記録・再生装置を製造することができる。
【0077】なお、本発明の波長板を使用した光学情報
記録・再生装置は、複数のレーザー光学系に対応するこ
とができるため、CD−ROM、CD−R、DVD−R
OM、DVD−RAM、MOなどの各種方式に対応した
設計をすることができる。すなわち、音声、画像あるい
はコンピューター用プログラムなど情報の記録・再生に
関して、1台で再生専用記録媒体、追記型記録媒体、お
よび書き換え可能型記録媒体のいずれにも適用できるよ
うに設計することができる。係る光学情報記録・再生装
置はOA機器、音響記録・再生装置、画像記録・再生装
置、コンピューター用データ記録・再生装置、ゲーム機
などに用いることができる。
【0078】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限
定されるものではない。なお、実施例中の部および%
は、特に断らない限り重量部および重量%である。ま
た、実施例中の各種の測定は、次のとおりである。
【0079】固有粘度(〔η〕inh ) 溶媒にクロロホルムまたはシクロヘキサンを使用し、
0.5g/dlの重合体濃度で30℃の条件下、ウベロ
ーデ粘度計にて測定した。ゲル含有量 25℃の温度で、水素添加(共)重合体50gを1%濃
度になるようにクロロホルムに溶解し、この溶液をあら
かじめ重量を測定してある孔径0.5μmのメンブラン
フィルター〔アドバンテック東洋(株)〕を用いてろ過
し、ろ過後のフィルターを乾燥後、その重量の増加量か
らゲル含有量を算出した。
【0080】水素化率 水素添加単独重合体の場合には、500MHz、 1H−
NMRを測定し、エステル基のメチル水素とオレフィン
系水素のそれぞれの吸収強度の比、またはパラフィン系
水素とオレフィン系水素のそれぞれの吸収強度の比から
水素化率を測定した。また、水素添加共重合体の場合に
は、重合後の共重合体の 1H−NMR吸収と水素化後の
水素添加共重合体のそれを比較して算出した。ガラス転移温度 走査熱量計(DSC)により、チッ素雰囲気下におい
て、10℃/分の昇温速度で測定した。
【0081】膜の厚み キーエンス(株)製、レーザーフォーカス変位計、LT
−8010を用い、測定した。位相差値 王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADHを用
い、波長480、550、590、630、750nm
で測定し、当該波長以外の部分については上記波長での
位相差値を用いてコーシー(Cauchy)の分散式を用いて
算出した。
【0082】<合成例1>8−メチル−8−メトキシカ
ルボニルテトラシクロ[4.4.0.12・5
7・10]−3−ドデセン(特定単量体)250部と、1
−ヘキセン(分子量調節剤)27部と、トルエン(開環
重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器に
仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容
器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム
(1.5モル/1)のトルエン溶液0.62部と、t−ブ
タノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステ
ン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.
35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度
0.05モル/1)3.7部とを添加し、この系を80
℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて
開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化
率は97%であり、得られた開環重合体について、30
℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh)は
0.62dl/gであった。このようにして得られた開環
重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、こ
の開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6H533
0.48部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2
反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素
添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体
溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶
液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、
これを乾燥して、水素添加重合体を得た。これを樹脂A
とする。このようにして得られた水素添加重合体につい
1H−NMRを用いて水素添加率を測定したところ9
9.9%であった。また、当該樹脂についてDSC法に
よりガラス転移温度(Tg)を測定したところ165℃で
あった。また、当該樹脂について、GPC法(溶媒:テ
トラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均
分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したと
ころ、数平均分子量(Mn)は42,000、重量平均分
子量(Mw)は180,000、分子量分布(Mw/Mn)は
4.29であった。また、当該樹脂について、23℃に
おける飽和吸水率を測定したところ0.3%であった。
また、SP値を測定したところ、19(MPal/2)であっ
た。また、当該樹脂について、30℃のクロロホルム中
で固有粘度(ηinh)を測定したところ0.67dl/gで
あった。また、ゲル含有量は0.4%であった。
【0083】<合成例2>特定単量体として8−メチル
−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.
2・5.17・10]−3−ドデセン225部とビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン25部とを使用し1−ヘ
キセン(分子量調節剤)の添加量を43部としたこと以
外は、合成例1と同様にして水素添加重合体を得た。得
られた水素添加重合体〔以下樹脂Bという。〕の水素添
加率は99.9%であった。
【0084】<合成例3>特定単量体として8−メチル
−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.
2・5.17・10]−3−ドデセン215部と、ビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン35部とを使用し1
−ヘキセン(分子量調節剤)の添加量を18部としたこ
と以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体を得
た。得られた水素添加重合体〔以下樹脂Cという。〕の
水素添加率は99.9%であった。
【0085】<フィルム製造例1>合成例1で得られた
樹脂Aをトルエンに30%濃度(室温での溶液粘度は3
0,000mPa・S)になるように溶解し、井上金属工業
製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化
(易接着)の表面処理した厚さ100μmのPETフィル
ム(東レ(株)製、ルミラ)U94)に、乾燥後のフィル
ム厚みが100μmになるように塗布し、これを50℃
で一次乾燥の後、90℃で二次乾燥を行った。PETフィ
ルムより剥がした樹脂フィルムAを得た。得られたフィ
ルムの残留溶媒量は、0.5%であった。このフィルム
を次の方法により光弾性係数(Cp)および応力光学係数
(CR)を求めた。具体的には、光弾性係数(Cp)は短冊
状のフィルムサンプルに室温(25℃)で数種類の一定
荷重を加え、発生する位相差とそのときサンプルが受け
た応力とから計算した。応力光学係数(CR)について
は、フィルム状サンプルを用いてTg以上にて数種類の一
定荷重をかけて数パーセント伸びた状態でゆっくりと冷
やして室温まで戻した後に発生した位相差を測定してか
けた応力とから計算した。結果は、それぞれCp=4(×
10-12pa-1),CR=1,750(×10-12pa-1)であっ
た。この樹脂フィルムAをテンター内で、Tg+5℃で
ある170℃に加熱し、延伸速度400%/分、延伸倍
率を1.3倍として延伸した後、110℃の雰囲気下で
約2分間この状態を保持しながら冷却し、室温へとさら
に冷却して取り出したところ、波長550nmで135
nmの位相差を持つ90μm厚みの位相差フィルムA−
1を得ることができた。また、上記の延伸方法において
延伸倍率を1.7倍とし、波長550nmで275nm
の位相差を持つ85μm厚みの位相差フィルムA−2を
得ることができた。樹脂フィルムAの特性値を表1に示
した。
【0086】<フィルム製造例2>合成例2で得られた
樹脂Bを使用し、フィルム製造例1と同様にして樹脂フ
ィルムBを得た。得られた樹脂フィルムBの残留溶媒量
は、0.5%であり、光弾性係数(Cp)および応力光学
係数(CR)はそれぞれCp=6(×10-12pa-1),CR=2,
000(×10-12pa-1)であった。また、樹脂フィルム
Bを用いて、延伸条件を延伸倍率1.15倍、加熱温度
145℃としたこと以外は、フィルム製造例1と同様に
して位相差フィルムB−1を得た。この位相差フィルム
B−1の位相差は波長550nmで135nmであり、
厚みは93μmであった。また、延伸倍率を1.3倍に
して、位相差が波長550nmで275nmであり、フ
ィルム厚み88.5μmの位相差フィルムB−2を得る
ことができた。樹脂フィルムBの特性値を表1に示し
た。
【0087】<フィルム製造例3>合成例3で得られた
樹脂Cを使用し、フィルム製造例1と同様にして樹脂フ
ィルムCを得た。この得られた樹脂フィルムCの残留溶
媒量は、0.5%であり、光弾性係数(Cp)および応力
光学係数(CR)はそれぞれCp=9(×10-12pa-1),CR
=2,350(×10-12pa-1) であった。また、樹脂フ
ィルムCを用いて、延伸条件を延伸倍率1.1倍、加熱
温度130℃とした以外は、フィルム製造例1と同様に
して位相差フィルムC−1を得た。この位相差フィルム
C−1の位相差は波長550nmで135nmであり、
厚みは95μmであった。また、延伸倍率を1.2倍に
して、位相差が波長550nmで275nmであり、フ
ィルム厚み89.5μmの位相差フィルムC−2を得る
ことができた。樹脂フィルムCの特性値を表1に示し
た。
【0088】
【表1】
【0089】<実施例1>上記位相差フィルムA−1お
よびA−2各1枚を、屈折率1.52、厚さ0.2mm
のガラス板の両面に、各々の光軸が60度になるよう
に、厚さ10μmのアクリル系接着剤を用いて積層し、
波長板Aを得た。この波長板Aの位相差の波長分散性
[Re(λ)/λ,Re(λ)は波長λでの位相差]を
測定した。結果、400〜800nmの波長領域の光に
対して0.24〜0.26の間であった。ここで、波長
板A中の10μm以上の異物数は10個以下であること
を顕微鏡により確認した。
【0090】<実施例2>上記位相差フィルムB−1お
よびB−2を用いた以外は、実施例1と同様にして波長
板Bを得た。この波長板Bの位相差の波長分散性は、4
00〜800nmの波長領域の光に対して0.24〜
0.26の間であった。ここで、波長板B中の10μm
以上の異物数は10個以下であることを顕微鏡により確
認した。
【0091】<実施例3>上記位相差フィルムC−1お
よびC−2を用いた以外は、実施例1と同様にして波長
板Cを得た。この波長板Cの位相差の波長分散性は、4
00〜800nmの波長領域の光に対して0.24〜
0.26の間であった。ここで、波長板C中の10μm
以上の異物数は10個以下であることを顕微鏡により確
認した。
【0092】<実施例4>波長板A、B、Cを、温度9
0℃、湿度90%RHの環境下に3,000時間放置
し、位相差の波長分散性の変化を調べた。結果は、3,
000時間後でも初期特性に対して変化率はいずれも1
%以内であり、良好な安定性を示すことが分かった。特
に、波長板Aについては変化率は0.5%以内であり、
特性の安定性が極めて優れていることが分かった。
【0093】<比較例1>上記位相差フィルムA−1、
B−1、C−1の位相差を測定したところ、550nm
を基準にして短波長側、長波長側にずれるに従って0.
24〜0.26からのずれが大きくなった。
【0094】<比較例2>ガラスを使用せず、フィルム
どうしを直接接着した以外は、実施例1と同様にして波
長板Dを得た。この波長板Dの位相差の波長分散性を測
定したところ、400〜800nmの波長領域の光に対
して0.24〜0.26の間であったものの、実施例4
と同様にして温度90℃、湿度90%の環境下に3,0
00時間放置し、位相差の波長分散性の変化を調べたと
ころ、3,000時間後の変化率は初期特性に対して最
大8%であった。
【0095】<比較例3>上記波長板Dを実施例1で使
用したガラス板の片面に厚さ10μmのアクリル系接着
剤を用いて積層し、波長板Eを得た。この波長板Eの位
相差の波長分散性を測定したところ、400〜800n
mの波長領域の光に対して0.24〜0.26の間であ
ったものの、実施例4と同様にして温度90℃、湿度9
0%の環境下に3,000時間放置し、位相差の波長分
散性の変化を調べたところ、3,000時間後の変化率
は初期特性に対して最大3%であった。
【0096】
【発明の効果】本発明の波長板は、透明支持体の少なく
とも片面に1枚の位相差フィルム(透過光に位相差を与
える樹脂フィルム)を接着固定したものを組み合わせた
ものであり、長期にわたって初期特性を維持できる耐久
性に優れた波長板である。特に、位相差フィルムとして
環状オレフィン系樹脂を含む樹脂フィルムを用いた場
合、環状オレフィン系樹脂自身が高耐熱性、低吸湿性、
各種材料との高い密着性、および位相差の安定性に優れ
るため、より高耐久性の波長板が得られる。このため、
本発明の波長板を使用すると長期にわたり高性能の光学
情報記録再生装置を安価に製造することができる。本発
明の波長板を使用した光学情報記録再生装置は、前述の
ように音声、画像の記録に関して、再生専用記録媒体、
追記型記録媒体、および書き換え可能型記録媒体のいず
れにも適用でき、CD−ROM、CD−R、書き換え可
能DVDなどの記録装置およびそれらを用いたOA機
器、CDなどの音響再生装置、DVDなどの画像再生装
置およびそれらを用いたAV機器、上記のCD、DVD
などを用いたゲーム機などに用いることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透過光に位相差を与える樹脂フィルムを
    複数枚組み合わせた波長板であって、各当該樹脂フィル
    ムが透明支持体に接着されていることを特徴とする波長
    板。
  2. 【請求項2】 透過光に位相差を与える樹脂フィルム
    が、透明支持体の両面に各1枚接着されている請求項1
    に記載の波長板。
  3. 【請求項3】 透過光に位相差を与える樹脂フィルム
    が、環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる請求項1
    または2に記載の波長板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005202270A (ja) * 2004-01-19 2005-07-28 Citizen Watch Co Ltd 複合型光学装置およびその製造方法
JP2008506214A (ja) * 2004-07-08 2008-02-28 エルジーエス コーポレーション リミテッド 位相遅延板及びこれを用いた光ピックアップ装置
WO2008108199A1 (ja) * 2007-03-02 2008-09-12 Jsr Corporation 位相差フィルム、その製造方法および偏光板

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