JP4270429B2 - テンター装置及び斜め延伸方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はテンター装置及び斜め延伸方法に関し、特に、延伸倍率に関係なく、側辺に対して配向軸を10°以上80°以下の角度で傾斜させたフィルム等のシート状物を製造するテンター装置及び斜め延伸方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
偏光板は、液晶表示装置(以下、LCD)の普及に伴い、需要が急増している。偏光板は一般に偏光能を有する偏光層の両面あるいは片面に、接着剤層により保護フィルムを貼り合わせて構成されている。偏光層の素材としてはポリビニルアルコール(以下、PVA)が主として用いられており、PVAフィルムを一軸延伸してから、ヨウ素あるいは二色性染料で染色するかあるいは染色してから延伸し、さらにホウ素化合物で架橋することにより偏光層用の偏光膜が形成される。保護フィルムとしては、光学的に透明で複屈折が小さいことから、主にセルローストリアセテートが用いられている。通常、長手方向に一軸延伸するため、偏光膜の吸収軸は長手方向にほぼ平行となる。
【0003】
従来のLCDにおいては、画面の縦あるいは横方向に対して偏光板の透過軸を45゜傾けて配置しているため、ロール形態で製造される偏光板の打ち抜き工程において、ロール長手方向に対し45゜方向に打ち抜いていた。しかしながら45゜方向に打ち抜いたときには、ロールの端付近で使用できない部分が発生し、特に大サイズの偏光板では、得率が小さくなるという問題があった。
【0004】
また、位相差膜についても、近年その需要が高まり、着色防止や視野角拡大等の光学補償などを目的にLCDを形成する偏光板等に接着して用いられ、偏光板の透過軸に対し配向軸を種々の角度で設定することが求められている。従来は、縦または横一軸延伸したフィルムより、その配向軸が辺に対して所定の傾斜角度となるように周辺を打ち抜いて裁断する方式がとられており、偏光板同様に得率の低下が問題となっていた。
【0005】
この問題を解決するため、フィルム搬送方向に対しフィルムの配向軸を所望の角度傾斜させる方法がいくつか提案されている。例えば、特開昭50−83482号公報や特開2000−9912号公報では、プラスチックフィルムを横または縦に一軸延伸しつつ、その延伸方向の左右を異なる速度で前期延伸方向とは相違する縦または横方向に引っ張り延伸して、配向軸を前記一軸延伸方向に対し傾斜させることが提案されている。
【0006】
また、特開平3−182701号公報において、連続フィルムの左右両耳端に走行方向と角度θをなす左右対のフィルム保持ポイントを複数対有し、フィルムの走行につれて、各々の対ポイントがθの方向に延伸できる機構により、フィルムの走行方向に対し任意の角度θの延伸軸を有するフィルムを製造する方法が提案されている。
【0007】
更に、特開平2−113920公報において、フィルムの両端部を、所定走行区間内におけるチャックの走行距離が異なるように配置されたテンターレール上を走行する2列のチャック間に把持して走行させることによりフィルムの長さ方向と斜交する方向に延伸する製造方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭50−83482号公報や特開2000−9912号公報に記載のテンター装置では、プラスチックフィルムの両側縁部を把持して異なる速度で延伸するため、左右で搬送速度差をつけなければならず、これに起因するツレ( 不均一な引っ張り応力の結果生じる筋状ムラ) 、シワ、フィルム寄り( 局部的な厚みむら) が発生してしまう。このため、左右速度差を小さくしようとすれば、延伸工程が長くなってしまい、設備コストの増大につながる。また、特開平3−182701号公報のテンター装置でも、フィルム進行速度をフィルムの左右で変えているため、上記同様の問題がある。また、特開平2−113920号公報のテンター装置では、上記のような速度差に起因するツレ、シワの発生は抑制されるものの、前もって机上で計算されパターン化固定された延伸倍率でしか延伸することができないという問題がある。このように従来のテンター装置では、任意の配向角度で任意の延伸倍率のフィルムなどのシート状物を得ることが困難であった。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、任意の配向角度で且つ任意の延伸倍率でシート状物を延伸することができるようにしたテンター装置及び斜め延伸方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のテンター装置では、左テンターレール及び右テンターレールに沿って同一速度で走行する把持具によりシート状物の側縁部を把持させて移動しながら、前記シート状物を幅方向に延伸するテンター装置において、直線状のレール本体を有する入り口レール部、直線状のレール本体を有する屈曲レール部、直線状のレール本体を有する出口レール部、前記入り口レール部と屈曲レール部との間に設けられ、前記レール本体同士を接続するほぼ円弧状に湾曲可能な第1屈曲レール、前記屈曲レール部と出口レール部との間に設けられ、前記レール本体同士を接続するほぼ円弧状に湾曲可能な第2屈曲レール、前記入り口レール部の出口端部と前記屈曲レール部の入り口端部とを回転自在に連結し、前記入り口レール部と前記屈曲レール部とを屈曲自在にする第1連結軸、前記屈曲レール部の出口端部と前記出口レール部の入り口端部とを回転自在に連結し、前記屈曲レール部と前記出口レール部とを屈曲自在にする第2連結軸、前記入り口レール部に回転自在に取り付けられる第1移動軸、前記出口レール部に回転自在に取り付けられる第2移動軸、及び前記第1及び第2連結軸並びに前記第1及び第2移動軸を個別に移動させる幅変更用の位置決め手段から、前記左テンターレール、及び右テンターレールを構成し、前記幅変更用の位置決め手段を介し、前記第1及び第2連結軸、前記第1及び第2移動軸を個別に移動して、前記左右の入り口レール部及び左右の出口レール部を平行にし、且つシート状物の延伸前の幅、延伸後の幅または延伸倍率に応じて入り口レール部の幅、出口レール部の幅を設定するとともに、入り口レール部の走行方向中心線を基準線とし、この基準線に対し出口レール部の走行方向中心線を交差させ、入り口レール部の前記把持具によるシート状物の把持開始位置から前記屈曲レール部を経て出口側レール部に達するまでの左右のテンターレールによる一定移動距離における左右の終端位置を結んだ線分と前記出口レール部の走行方向中心線とのなす角度を延伸後の配向角度とする位置決定用コントローラを備えることを特徴とする。
【0011】
前記位置決定用コントローラは、シート状物の延伸前の幅、延伸後の幅または延伸倍率、及び前記配向角度を入力する入力部を備え、前記入力部から入力された延伸前の幅、延伸後の幅または延伸倍率、及び前記配向角度により、下記式
α=cos −1 {N・W1/(Δx +Δy 1/2
に基づき前記左右の終端位置を結んだ線分の長さ(Δx +Δy 1/2 を決定し、この長さ(Δx +Δy 1/2 が得られるθ2,θ3,θ4を決定し、これに基づき前記第1及び第2連結軸、前記第1及び第2移動軸の位置を求めることを特徴とする。但し、αは配向角度、Nは延伸倍率、W1は延伸前の幅、θ2は前記基準線と前記左屈曲レール部のレール本体とのなす角度、θ3は前記基準線と右屈曲レール部のレール本体とのなす角度、θ4は前記基準線と左右の出口ロール部のレール本体とのなす角度である。
【0012】
また、本発明は、前記屈曲レールは両端がスライド自在に前記レール本体に取り付けられることを特徴とする。
【0013】
本発明の斜め延伸方法は、左テンターレール及び右テンターレールに沿って同一速度で走行する把持具によりシート状物の側縁部を把持させて移動しながら、前記シート状物を幅方向に延伸するテンター装置を用いて、前記シート状物を斜め延伸する斜め延伸方法において、直線状のレール本体を有する入り口レール部、直線状のレール本体を有する屈曲レール部、直線状のレール本体を有する出口レール部、前記入り口レール部と屈曲レール部との間に設けられ、前記レール本体同士を接続するほぼ円弧状に湾曲可能な第1屈曲レール、前記屈曲レール部と出口レール部との間に設けられ、前記レール本体同士を接続するほぼ円弧状に湾曲可能な第2屈曲レール、前記入り口レール部の出口端部と前記屈曲レール部の入り口端部とを回転自在に連結し、前記入り口レール部と前記屈曲レール部とを屈曲自在にする第1連結軸、前記屈曲レール部の出口端部と前記出口レール部の入り口端部とを回転自在に連結し、前記屈曲レール部と前記出口レール部とを屈曲自在にする第2連結軸、前記入り口レール部に回転自在に取り付けられる第1移動軸、前記出口レール部に回転自在に取り付けられる第2移動軸、及び前記第1及び第2連結軸並びに前記第1及び第2移動軸を個別に移動させる幅変更用の位置決め手段から、前記左テンターレール、及び右テンターレールを構成し、前記幅変更用の位置決め手段を介し、前記シート状物の延伸前の幅、延伸後の幅または延伸倍率に応じて、前記入り口レール部の幅、前記出口レール部の幅を設定すると共に、前記入り口レール部の走行方向中心線を基準線とし、この基準線に対し前記出口レール部の走行方向中心線を交差させ、前記入り口レール部の前記把持具によるシート状物の把持開始位置から前記屈曲レール部を経て出口側レール部に達するまでの左右のテンターレールによる一定移動距離における左右の終端位置を結んだ線分と前記出口レール部の走行方向中心線とのなす角度を延伸後の配向角度とすることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記シート状物の延伸前の幅、延伸後の幅または延伸倍率、及び前記配向角度の入力により、下記式
α=cos −1 {N・W1/(Δx +Δy 1/2
に基づき前記左右の終端位置を結んだ線分の長さ(Δx +Δy 1/2 を決定し、この長さ(Δx +Δy 1/2 が得られるθ2,θ3,θ4を決定し、これに基づき前記第1及び第2連結軸、前記第1及び第2移動軸の位置を求めることを特徴とする。但し、αは配向角度、Nは延伸倍率、W1は延伸前の幅、θ2は前記基準線と前記左屈曲レール部のレール本体とのなす角度、θ3は前記基準線と右屈曲レール部のレール本体とのなす角度、θ4は前記基準線と左右の出口ロール部のレール本体とのなす角度である。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のテンター装置を示す概略の平面図である。このテンター装置10は、右レール11と、左レール12と、これらレール11,12に案内される無端チェーン(エンドレスチェーン)13,14と、各位置決め部21〜28と、チェーン駆動部29とから構成されている。このテンター装置10はフィルム15の入り口16側から出口17へ順に、予熱部10a、延伸部10b、熱処理部10cの各エリアに分けられている。
【0016】
無端チェーン13,14には、周知のように把持具としてのフィルムクリップ30が所定ピッチで多数取り付けられている。このフィルムクリップ30はフィルム15の側縁部を把持しながら、各レール11,12に沿って移動することで、フィルム15を延伸する。
【0017】
無端チェーン13,14は原動スプロケット33,34及び従動スプロケット35,36との間に掛け渡されており、これらスプロケット33〜36の間では、無端チェーン13は右レール11によって、無端チェーン14は左レール12によって案内される。原動スプロケット33,34はフィルム15の入り口16側に設けられており、これらはモータ38及びギヤ列39により回転駆動される。また、従動スプロケット35,36はフィルム15の出口17側に設けられている。
【0018】
これらスプロケット33〜36に近接してフィルムクリップ30の開放部材(図示省略)が配置されている。この開放部材は、入り口16側の原動スプロケット33,34では、フィルム15の把持位置の前で、フィルムクリップ30の図示しない係合部に接触してこれを開放状態にし、フィルム15の側縁部をフィルムクリップ30内に案内する。そして、把持位置を通過するときに開放部材が前記係合部から離れ、フィルムクリップ30が開放位置から把持位置にセットされて、フィルム15の側縁部が把持される。同様にして、出口17側の従動スプロケット35,36では、フィルム15の把持解除位置で開放部材によりフィルムクリップ30が開放位置にされて、フィルム15の側縁部の把持が開放される。上記実施形態では自重落下方式のフィルムクリップ30を用いたが、この他に、バネ付勢により開閉するフィルムクリップや、その他の各種駆動手段を有するフィルムクリップ、さらに、これらの方式を複数組み合わせたフィルムクリップを用いてもよい。
【0019】
図2に示すように、右レール11は、入り口レール部11aと、出口レール部11bと、屈曲レール部11cとから構成されている。同様にして、左レール12も入り口レール部12aと、出口レール部12bと、屈曲レール部12cとから構成されている。
【0020】
右側の屈曲レール部11cは、直線状の延伸レール11dと、これの両端に設けられる屈曲自在な第1及び第2の屈曲レール11e,11fとから構成されており、同様にして、左側の屈曲レール部12cも、直線状の延伸レール部12dと第1及び第2の屈曲レール12e,12fとから構成されている。
【0021】
右側の各レール部11a,11b,11dは、レールベース40,41,42と、このレールベース40〜42上に設けた直線状のレール本体43,44,45とから構成されている。そして、入り口レールベース40と延伸レールベース41とは連結軸46により回転変位可能に取り付けられており、この連結軸46を中心として右レールが屈曲自在にされている。また、延伸レールベース41と出口レールベース42とは連結軸47により屈曲自在に連結されている。同様にして、左側の各レール部12a,12b,12dも、レールベース50,51,52と、レール本体53,54,55とから構成されており、各レールベース50〜52は、連結ピン56,57により屈曲自在に連結されている。また、各レールベース50〜52上にはレール本体53,54,55が取り付けられている。
【0022】
屈曲レール11e,11f,12e,12fは複数のバネ板を重ねて構成されており、その両端は各レール本体43,44,45,53,54,55にスライド可能に取り付けられている。これらの屈曲レール11e,11f,12e,12fはレールベースの連結軸46,47,56,57を中心とした屈曲角度に応じてほぼ円弧状に湾曲する。
【0023】
前記入り口レールベース40,50と出口レールベース42,52とには移動軸48,49,58,59が取り付けられている。この移動軸48,49,58,59と前記連結軸46,47,56,57とは、図1に示すようにそれぞれ位置決め部21〜28に接続されている。位置決め部21〜28は、各軸46〜49,56〜59をフィルム15の幅方向で移動させて、左右のレール11,12の幅方向における距離を変更する。なお、移動軸48,49,58,59は、フィルム15の送り方向でスライド可能に図示しないガイド部材により案内されており、連結部46,47,56,57のフィルム幅方向での変位に対応可能とされている。
【0024】
図1に示すように位置決め部21は、雌ねじ部を有する取付ブロック60と、前記雌ねじ部に螺合するリードネジ棒61と、このリードネジ棒61を回転させる位置決めモータ62とから構成されている。位置決めモータ62はドライバを介してコントローラ70により回転制御される。なお、他の位置決め部22〜28も位置決め部21と同様に、それぞれ取付ブロック(図示省略)、リードネジ棒、位置決めモータを含んで構成されているが、図1中での符号は省略している。
【0025】
前記位置決め部21,22により、右入り口レール部11aがフィルム搬送方向に直交する方向で移動する。また、位置決め部25,26により左入り口レール部12aがフィルム搬送方向に直交する方向で平行移動する。これら位置決め部21,22,25,26によって、供給するフィルム15の幅W1に合わせてフィルム入り口16の幅が設定される。また、位置決め部23,24,27,28によって、出口レール部11b,12bが平行移動して、延伸倍率Nで設定された幅W2(=W1×N)に設定される。このとき、図3に示すように、所望の配向角度αが得られるように、フィルム15の左入り口レール部12aと左延伸レール12dとの交差角度θ2と、フィルムの右入り口レール部11aと右延伸レール11dとの交差角度θ3とが決定される。
【0026】
コントローラ70にはキーボード等のデータ入力部71が設けられており、テンター入り口幅W1や延伸倍率N、配向角度αなどの設定値が入力が可能になっている。なお、延伸倍率Nに代えてフィルム出口幅W2を入力してもよい。また、コントローラ70内には延伸パターンの演算式が予めプログラミングされており、これがメモリ72内に格納されている。コントローラ70は、W1,N(またはW2),αなどの設定値が入力されると、これらの設定値に基づき演算式から、左右チェーン11,12による配向延伸時の実質的なフィルム把持長さLA,LB(LA=LB)とその位置を求め、求めた位置になるように、各位置決めモータ62を回転駆動して、各レールの取付部である連結軸及び移動軸46〜49,56〜59をフィルムの幅方向で変位させる。
【0027】
すなわち、自動的に各位置決めモータ62を回転駆動して、設定されたテンター入り口幅W1、延伸倍率Nとなるようにするとともに、レール11,12の開き角度θ2,θ3を変化させることにより、任意の延伸倍率(W2/W1)で任意の配向角度α(10°≦α≦80°)の斜交フィルムが得られるように、各連結軸46〜49,各移動軸56〜59を位置決めする。
【0028】
以下、図3〜図7を参照して、任意の延伸倍率Nで任意の配向角度αを得るための演算式について説明する。図3は、フィルム15の延伸の一例を示す平面図であり、二点鎖線でフィルム15を示し、実線で、左右のレール11,12によるフィルムクリップ30の移動軌跡80,81を示している。なお、この移動軌跡80,81は延伸に寄与する側のみを示している。
【0029】
まず、左側の移動軌跡80において、フィルムクリップ30によってフィルム15の側縁部を保持開始する左側の位置(フィルム保持開始位置)をLP1、入口レール本体53の出口端位置をLP2、入り口レール本体53と延伸レール本体54との延長線における交点をLP3、延伸レール本体54の入口端位置をLP4、同出口端位置をLP5、延伸レール本体54と出口レール本体55との延長線における交点をLP6、出口レール本体55の入口端位置をLP7とする。
【0030】
次に、右側の移動軌跡81において、フィルムクリップ30によってフィルム15の側縁部を保持開始する左側の位置(フィルム保持開始位置)をRP1、入口レール本体43の出口端位置をRP2、入り口レール本体43と延伸レール本体44との延長線における交点をRP3、延伸レール本体44の入口端位置をRP4、同出口端位置をRP5、延伸レール本体44と出口レール本体45との延長線における交点をRP6、出口レール本体45の入口端位置をRP7とする。
【0031】
入り口レール本体43,53によるフィルム送り方向の中心線をCL1とし、出口レール本体45,55によるフィルム送り方向の中心線をCL2とする。また、左延伸レール本体54と左出口レール本体55との交差角度をθ1、CL1と左延伸レール本体54との交差角度をθ2、CL1と右延伸レール本体44との交差角度をθ3、CL1とCL2との交差角度をθ4、右延伸レール本体44と右出口レール本体45との交差角度をθ5とする。
【0032】
ここで、LP1〜LP2間の長さをL1、LP2〜LP3間の長さ及びLP3〜LP4間の長さをr1、LP4〜LP5間の長さをL2、LP5〜LP6間の長さ及びLP6〜LP7間の長さをr2とする。また、RP1〜RP2間の長さをL3、RP2〜RP3間の長さ及びRP3〜RP4間の長さをr3、RP4〜RP5間の長さをL4、RP5〜RP6間の長さ及びRP6〜RP7間の長さをr4とする。また、第1左屈曲レール12eの長さをC1(図4参照)、第2左屈曲レール12fの長さをC2(図5参照)、第1右屈曲レール11eの長さをC3(図6参照)、第2右屈曲レール11fの長さをC4(図7参照)とする。ここで、L1〜L4、r1〜r4は装置の機械寸法であり、固定された長さである。これに対して、各屈曲レールの長さC1〜C4は、各レール本体44,54の屈曲角度に応じて変化する。
【0033】
ここで、LP1〜LP7間、つまり実質的なフィルム保持開始点から実質的なフィルム保持解除点、すなわちフィルム15の延伸が完了する点までの移動軌跡長さLBを求めると、
LB=L1+C1+L2+C2
となる。また、右移動軌跡81において、RP1から長さLB分だけ離れた位置をRP8とする。このLP7とRP8とがフィルムクリップ30によるフィルム15の側縁部の実質的な把持解除位置となる。この把持解除位置LP7,RP8を結ぶ線分A1と、CL2との交差角度をαとし、このαがフィルム15の配向角度になる。
【0034】
ところで、左第2屈曲レール12fの長さC2は、次のようにして求めることができる。ここで図5を参照して、まず、LP5における垂線A2とLP7における垂線A3との交点をP1とし、LP6とP1とを結ぶ線分をA4とする。また、垂線A2と線分A4とのなす角度を(θ1’/2)とする。
線分A2の長さr2’は以下のように求まる。
r2’=r2・tan(θ1/2)・・・(1)
三角形LP5,LP6,P1の各内角の関係から、
(θ1’/2)=(π/2)−(θ1/2)・・・(2)
よって、
C2=2・r2’・θ1
=2・r2・tan(θ1/2)・{(π/2)−(θ1/2)}・・・(3)
また、
θ1=π−θ2−θ4・・・(4)
となり、C2を以下のようにθ2,θ4の関数として表すことができる。
C2=2・r2・{π/2−(π−θ2−θ4)/2}・tan{(π−θ2−θ4)/2}
=2・r2・(θ2+θ4)/2・tan{(π−θ2−θ4)/2}・・・(5)
【0035】
同様にして、右第2屈曲レール11fの長さC4は次のようにして求まる。ここで図7を参照にして、まず、RP5における垂線A5とRP7における垂線A6との交点をP2とし、RP6とP2とを結ぶ線分をA7とする。また、垂線A5と線分A7とのなす角度を(θ5’/2)とし、出口レール本体45と入り口レール本体43の交差する仮想点をP3(図3参照)とする。
線分A5の長さr4’は以下のように求まる。
r4’=r4・tan(θ5/2)・・・(6)
(θ5’/2)=π/2−(θ5/2)・・・(7)
よって、
C4=2・r4’・(θ5’/2)
=2・r4・{π/2−(θ5/2)}tan(θ5/2)・・・(8)
また、三角形RP6,RP3,P3の外角の関係から
θ5=(π−θ4)+θ3・・・(9)
となり、C4を以下のようにθ3,θ4の関数として表すことができる。
C4=2・r4・{π/2−(π+θ3−θ4)/2)}tan((π+θ3−θ4)/2)
=2・r4・(θ4−θ3)/2・tan{(π+θ3−θ4)/2}・・・(10)
【0036】
なお、第1屈曲レール11e,12eの長さC1,C3は、第2屈曲レール11f,12fの長さC2,C4よりも短くされており、このため、入口レール本体43,53と延伸レール本体44,54との交差角度が変化してもその長さはそれほど変化せず無視し得るし、また、この第1屈曲レール11e,12eの長さC1,C3を2r1として演算しても、それほどの誤差は発生しないため、本実施形態では、C1,C3の長さは2r1,2r3として演算している。
【0037】
RP7,RP8間の長さをL5とすると、
右移動軌跡81におけるRP1〜RP8の長さLAは次のようになる。
LA=L3+C3+L4+C4+L5・・・(11)
ここで、
LA=LB・・・(12)
であるから、
L1+C1+L2+C2=L3+C3+L4+C4+L5・・・(11’)
よってL5は、
L5=L1+C1+L2+C2−(L3+C3+L4+C4)・・・(13)
となり、
L1=L3・・・(14)
C1=C3・・・(15)
であるから、
L5=L2−L4+C2−C4
=L2−L4
+2・r2・(θ2+θ4)/2tan((π−θ2−θ4)/2)
−2・r5・{π/2−(π+θ3−θ4)/2)}tan((π+θ3−θ4)/2)・・・(13’)となる。
【0038】
なお、LP3を原点とし、この原点におけるフィルム搬送方向をY軸とし、これに直交する軸をX軸とする。そして、原点から右へ移動する方向をX軸の正方向とし、原点から上へ移動する方向をY軸の正方向とする。
【0039】
原点からLP6へのx成分、y成分はそれぞれ、
x=−(r1+L2+r2)sinθ2・・・(16)
y=(r1+L2+r2)cosθ2・・・(16’)
で表される。
【0040】
また、LP6からLP7へのx成分、y成分はそれぞれ、
x=r2・cos(π/2−θ4)・・・(17)
y=r2・sin(π/2−θ4)・・・(17’)
【0041】
したがって、LP7の座標のx成分、y成分は上記式16,16’,17,17’より次のように表すことができる。
x=r2・cos(π/2−θ4)−(r1+L2+r2)sinθ2・・・(18)
y=r2・sin(π/2−θ4)+(r1+L2+r2)cosθ2・・・(18’)
【0042】
また、RP3からRP6へのx成分、y成分は、
x=(r1+L4+r4)sinθ3・・・(19)
y=(r1+L4+r4)cosθ3・・・(19’)
である。
【0043】
さらに、RP6からRP8へのx成分、y成分は、
x=(r4+L5)cos(π/2−θ4)・・・(20)
y=(r4+L5)sin(π/2−θ4)・・・(20)
である。
【0044】
上記式19,19’,20,20’を成分毎にまとめると、RP3からRP8へのx成分、y成分は、
x=(r1+L4+r4)sinθ3+(r4+L5)cos(π/2−θ4)・・・(21)
y=(r1+L4+r4)cosθ3+(r4+L5)sin(π/2−θ4)・・・(21’)
となる。
【0045】
原点LP3からRP3への各成分は、
x=W1・・・(22)
y=0・・・(22’)
であるので、RP8の座標のX成分、y成分は、上記式21,21’,22,22’より、
x=(r1+L4+r4)sinθ3+(r4+L5)cos(π/2−θ4)+W1・・・(23)
y=(r1+L4+r4)cosθ3+(r4+L5)sin(π/2−θ4)・・・(23’)
となる。
【0046】
LP7からRP8への各成分は、18,18’,23,23’より、
x=(r1+L4+r4)sinθ3+(r4+L5−r2)cos(π/2−θ4)+(r1+L2+r2)sinθ2+W1・・・(24)
y=(r1+L4+r4)cosθ3+(r4+L5−r2)sin(π/2−θ4)−(r1+L2+r2)cosθ2・・・(24’)
となる。
【0047】
これにより、線分A1の長さW3(LP7からRP8までの距離)は、
W3=(Δx2 +Δy2 1/2 ・・・(25)
により求めることができる。
したがって、配向角度αはW2とW3との関係から以下のように求められる。
α=cos-1(W2/W3)
=cos-1(N・W1/W3)
=cos-1{N・W1/(Δx2 +Δy2 1/2 }・・・(26)
【0048】
したがって、供給するフィルムの幅W1と延伸倍率N(=W2/W1)と配向角度αとが与えられると、上記式26を満足するようなΔx2 +Δy2 を決定する。Δx2 +Δy2 は既に説明したように、θ2,θ3,θ4の関数で表すことができるから、上記式26が成立するように、θ2,θ3,θ4を決定すると、各節点での開き角度を設定することができる。実際にはθ4を設定して、θ2とθ3とΔx2 +Δy2 との関係をグラフにプロットしておいた上で、設定のラインを決定し、各軸のセット位置を決定し、このセット位置に位置決め手段でセットする。
【0049】
次に、本実施形態の作用を説明する。まず、キーボード等のデータ入力部71からテンター入り口幅W1と、出口幅W2とを入力する。これらデータが入力されると、コントローラ70は演算式を用いて、各位置決め部21〜28の位置を決定し、この位置になるように、各位置決め部21〜28の位置決めモータ62を回転制御する。この後に、製膜ライン等により製膜されたフィルム15がフィルム入り口16からテンター装置10内に送られる。入り口16では、フィルムフィルムクリップ30が開放状態になっており、送られてきたフィルム15の両側縁部がフィルムクリップ30内に入ると、フィルムクリップ30が閉じられて、フィルム15が把持される。フィルムクリップ30は各チェーン13,14の回動により、レール11,12に沿って移動する。これにより、フィルム15は延伸されて、側縁に対して配向軸が10°以上80°以下の任意の角度で傾斜したフィルム15が製造される。このように、延伸倍率Nに応じて配向軸の角度が10°以上80°以下の任意の角度の斜交フィルムを簡単に製造することができる。
【0050】
図8は、比較例としてのテンター装置100を示している。このテンター装置100では、左右の各レール101,102をリードネジ棒105〜109で変位させている。そして、これらリードネジ棒105〜109のうち、4つのネジ棒105〜108には両ネジが形成されており、1つのリードネジ棒105〜108によって2つのレール101,102を変位させている。なお、符号111,112は無端チェーンを、113は把持具としてのフィルムクリップを、115はチェーン駆動部を示している。また、100aは予熱部、100bは延伸部、100cは熱処理部を示している。
【0051】
このテンター装置100では、各レール101,102の変位角設定が左右連動するために、各レール101,102の変位の自由度が小さく、予め決定されているレールパターンに基づき、限られた延伸倍率でしかフィルム99を延伸することができない。しかも、各リードネジ棒105〜109をハンドル110により手作業で回すことで、左右のレール101,102の距離を調節するため、αが例えば45°±5°となるようなレールパターンに位置決めされるまで、時間と手間がかかる。すなわち、入り口位置PAから熱処理部100cの入り口位置PBまでのチェーン長さLA,LBが同じLA,LBであり、この場合各αが45°±5°となるような、チェーン111,112の周長R1,R2、及びLA,LBを探し求めてレールパターンを決めるため、時間と手間がかかってしまうことになる。また、上記以外の延伸倍率では45°±5°に調整することができず、αが45°±5°となる延伸パターンは、限られた倍率でしか得ることができない。
【0052】
図9は、比較例のテンター装置における位置設定の平面図である。クリップ113が、テンター入り口PA(図8参照)でフィルム99を把持し、延伸しながら搬送し、所定幅になった両側の点P120,P121を通る線分と、フィルム99の両側の屈曲終点P122,P123を通る線分との交点をP124とし、なす角をθ10とする。また、クリップ113の通過する軌跡のなかで、屈曲部であるP121とP123の間の円弧の長さをC10、P120とP122の間の円弧の長さをC11とする。右側のクリップ113の軌跡上の点で、テンター入り口PAからのフィルム99の進行方向における距離がP122と同じ距離である点を符号P125とおく。さらに、P123とP125の間のクリップ113の軌跡の長さを符号C12とする。符号r10,r11は、それぞれ、P121とP124を端点とする線分の長さ、P122とP124を端点とする線分の長さを示す。
【0053】
例えば、テンター入り口幅W1を200mm、出口のフィルム幅W2を600mm、配向角度αを45°とすると、
C12=W2=600mm、
C11−C10=600mmより、
(r11−r10)・θ10=600mm
ここで、r11−r10=600mmであるから、
θ10=1rad=57.3°
である。
【0054】
ここで、延伸倍率を1倍から3倍に変化させると考えて、C11の範囲は、
(r11−200)θ10≦C11≦r11・θ10
である。同様に、C10の範囲は、
r10・θ10≦C10≦(r10+200)
となる。C10のx軸方向の位置設定範囲は200mmであるので、c10の全長は概ね600mm、C11の全長は1200mm以上となってしまう。このように、入り口幅W1や延伸倍率Nが大きくなると、それに伴ってレール101,102の長さが大きくなり、装置100が大きくなるとともに、フィルム99に対する負荷を低減するのにもっとも適した円弧形状に調製することが困難となる。
【0055】
これに対して、本実施形態では、各レール部及びレール連結部の位置を自由に設定することができるため、自由度が高くなる。したがって、任意の入り口幅及び出口幅を設定すると、これに応じた延伸倍率にすることができる。しかも、αが10°以上80°以下の任意の角度となるようなレールパターンを簡単に設定することができ、しかも延伸倍率に関係なく、αが10°以上80°以下の任意の角度の斜交フィルムが得られる。なお、ラインCL2の装置に対する角度θC(図1または図3参照)は、製品の配向角度αと同一である必要はなく、したがって、10°以上80°以下に限定されるものではない。
【0056】
上記実施形態では、位置決め部21〜28として、リードネジ棒61と雌ねじ部とを用いて構成したが、各レール部及びレール連結部を独自に位置変更可能な構成であればよく、上記構成に限定されない。
【0057】
また、各レール11,12は、入り口レール部11a,12a、出口レール部11b,12b、屈曲レール部11c,12cの3つを組み合わせることにより構成したが、これら用いるレール数は3つに限定されず、適宜に変更してよい。
【0058】
一般に、テンター型の延伸機の場合、フィルムクリップが固定されたチェーンがレールに沿って進む構造が多いが、本発明のように左右不均等な延伸方法をとったときは、実質的に把持する移動軌跡長LA,LBで出入口位置を規定してしまうと出入口でレール11,12の終端がずれ、左右同時に噛み込み、離脱をしなくなることがある。この場合には、一方のレール端を他方のレール端に合わせるように延長して、左右同時の噛み込み及び離脱を行うようにするとよい。
【0059】
延伸工程出口17でフィルム15の左右に進行速度差があると、延伸工程出口17におけるシワ、寄りが発生するため、左右のフィルムクリップ30の速度差は、実質的に同速度であることが求められる。速度差は好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.5%未満であり、最も好ましくは0.05%未満である。ここで述べる速度とは、毎分当たりに左右各々のフィルムクリップ30が進む軌跡の長さのことである。一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明で述べる速度差には該当しない。
【0060】
さらに、フィルム15のシワ、寄りの発生を解決するために、本発明のテンター装置10では、フィルム15の支持性を保ち、揮発分率が5vol%以上の状態を存在させて延伸した後、収縮させながら揮発分率を低下させることが好ましい。フィルム15の支持性を保つとは、フィルム15の膜性を損なうことなく両側縁を把持することを意味する。揮発分率については、延伸操作工程において常に5vol%以上の状態を維持していてもよいし、延伸操作工程の一部の区間に限って揮発分率が5vol%以上の状態を維持してもよい。後者の場合、入り口位置PAを起算点として全延伸区間の50%以上の区間、揮発分率が12vol%以上の状態となっていることが好ましい。いずれにせよ、延伸前に揮発分率が12vol%以上の状態を存在させておくことが好ましい。ここで、揮発分率(単位;vol%)とは、フィルムの単位体積あたりに含まれる揮発成分の体積を表し、揮発成分体積をフィルム体積で除した値とする。
【0061】
本発明のテンター装置10による延伸工程の前に、揮発分を含有させる工程を少なくとも1工程以上設けることが好ましい。揮発分を含有させる方法としては、フィルム15をキャストし、水や溶剤などの揮発分を含有させたり、あるいは、水や溶剤などの揮発分に浸漬させるという方法がある。あるいはフィルム15に水・溶媒等を塗布・噴霧してもよい。ポリビニルアルコールなど親水性ポリマーのフィルムの場合は、高温高湿雰囲気下で水を含有するので、高湿雰囲気下で調湿後延伸、もしくは高湿条件下で延伸することにより揮発分を含有させることができる。これらの方法以外でも、上記のとおり揮発分率を5%以上にさせることができれば、いかなる手段を用いても良い。
【0062】
好ましい揮発分率は、フィルム15の種類によって異なる。揮発分率の最大は、フィルム15の支持性を保つ限界とすることができる。好ましい揮発分率は、ポリビニルアルコールでは10%〜100%、セルロースアシレートでは10%〜200%である。
【0063】
本発明のテンター装置10により延伸することによって、フィルム15は優れた偏光能を有する偏光膜として利用することができる。得られた偏光膜としてのフィルム15の両面又は片面に保護膜(保護フィルム)を接着剤層を介して設けることにより、偏光板が得られる。本発明によると、フィルム15の配光軸の角度αを、10°以上80°以下の範囲で任意に設定することができるので、他の光学部材と組み合わせて使用する際にも非常に有効である。得られた偏光板は、優れた単板透過率及び偏光度を有する。したがって、液晶表示装置として用いる場合に、画像のコントラストを高めることができ、有利である。
【0064】
偏光板を作製する際には、さらに、本発明のテンター装置による延伸工程の前に、延伸するフィルム、例えば偏光膜用として用いるポリビニルアルコール等を、ヨウ素−ヨウ化カリウム等の偏光子を含む水溶液で染色することが好ましい。その後、延伸工程に付し、延伸工程後あるいは延伸工程の最終段階付近で、保護膜と貼り合わせるとよい。
【0065】
本発明のテンター装置10を用いる延伸は、特に限定されたポリマーフィルムに対するものではなく、特に、偏光膜を形成するための延伸を対象とする熱可塑性の適宜なポリマーからなるフィルムに対して有効である。ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、セルロースアシレート、ポリスルホンなどを挙げることができる。好ましくはポリビニルアルコールを包含するポリビニルアルコール系ポリマーである。ポリビニルアルコールは通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を少量含有しているものでも構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性ポリビニルアルコールもポリビニルアルコール系ポリマーに含まれ好ましく用いることができる。なかでも、ポリビニルアルコールが最も好ましい。
【0066】
ポリビニルアルコールのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またポリビニルアルコールの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
【0067】
また、ポリビニルアルコール,ポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造をつくり、共役二重結合により偏光を得るいわゆるポリビニレン系偏光膜の製造にも、本発明のテンター装置は好ましく用いることができる。
【0068】
延伸前のフィルム15の好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01Mpa以上5000Mpa以下、更に好ましくは0.1Mpa以上500Mpa以下である。弾性率が低すぎると延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなり、また高すぎると延伸時にかかる張力が大きくなり、フィルム15の両側縁部を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、テンター装置10に対する負荷が大きくなる。
【0069】
延伸前のフィルムの厚味は特に限定されないが、フィルム把持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。
【0070】
偏光膜は、偏光膜用フィルム、例えばポリビニルアルコールフィルムを配向すると共に、上記のとおり偏光子で染色して得られる。本発明のテンター装置により延伸されたフィルム15を偏光膜として利用する場合、好ましく使用される偏光子は、ヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3-、I5-等の多ヨウ素イオンおよび/または有機二色性色素である。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物を挙げることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。また、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の具体例としては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー 67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号の各公報記載の色素等が挙げられる。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光板として吸収軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏光度とも優れており好ましい。本発明のテンター装置10により延伸されたフィルムに対しては、特にヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3-、I5-等の多ヨウ素イオンが好ましく使用される。
【0071】
本発明のテンター装置10によりポリビニルアルコールフィルムを延伸した場合には、偏光子による染色を気相または液相吸着により行うことができるが、液相で行うことが好ましい。ヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3-、I5-等の多ヨウ素イオンを偏光子として使用する場合、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液にポリビニルアルコールフィルムを浸漬させて行われる。ヨウ素は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウムは1〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜200が好ましい。染色時間は10〜5000秒が好ましく、液温度は5〜60℃が好ましい。染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。染色工程は、本発明の延伸工程の前後いずれに置いても良いが、貼り合わせ時の含水率を10%未満とするため、延伸工程前に液相で染色することが特に好ましい。
【0072】
本発明のテンター装置10により延伸するものが、偏光膜用途のフィルムの場合は、ポリマーを架橋させる添加物を用いることが好ましい。特に本発明のテンター装置を用いて、斜め方向の延伸を行う場合、延伸工程出口でフィルムが十分に硬膜されていないと、工程のテンションでフィルムの配向方向がずれてしまうことがあるため、延伸前工程あるいは延伸工程で架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して硬膜剤(架橋剤)を含ませるのが好ましい。硬膜剤(架橋剤)を偏光膜用ポリマーフィルムに付与する手段は、特に限定されるものではなく、フィルムの液への浸漬あるいは塗布や噴霧等任意の方法を用いることができるが、特に浸漬法と塗布法が好ましい。塗布手段としてはロールコータ、ダイコータ、バーコータ、スライドコータ、カーテンコータ等、通常知られている任意の手段をとることができる。また、溶液を含浸させた布、綿、多孔質素材等をフィルムに接触する方式も好ましい。硬膜剤(架橋剤)としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩も併せて用いることができる。
【0073】
硬膜剤(架橋剤)の付与は、テンター装置10への導入前に行ってもよいし、テンター工程のによる噛み込後に行っても良く、延伸部10bの工程の終端までのいずれかの工程で行えばよい。また、硬膜剤(架橋剤)を添加した後に洗浄・水洗工程を設けてもよい。
【0074】
本発明のテンター装置10で製造された偏光膜の両面あるいは片面に保護フィルムを貼り付ける場合は、保護フィルムの種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができるが、保護フィルムのレターデーション値が一定値以上であると、偏光軸と保護フィルムの配向軸が斜めにずれているため、直線偏光が楕円偏光に変化し、好ましくない。このため保護フィルムのレターデーションは低いことが好ましい。この観点から特に好ましくはセルローストリアセテートである。
【0075】
長尺、特にロール形態の偏光板を得るまで、一貫工程で作製する場合には、染色のムラや抜けがないことが必要とされる。本発明のテンター装置10による延伸の前のフィルム中に揮発成分に分布のムラ(フィルム面内の場所による揮発成分量の差異)があると染色ムラ、抜けの原因となる。従って、延伸前のフィルム15の揮発分成分の含有分布は小さいほうが好ましく、少なくとも5%以下であることが好ましい。揮発分成分の分布とは、上記で定義された揮発分率の平均揮発分率に対する、最大値または最小値と該平均揮発分率との差の大きい方の比を表す。揮発分成分の含有分布を小さくする方法として、フィルム15の表裏表面を均一なエアーでブローする、ニップローラーにて均一に絞る、ワイパーなどで拭き取る(ブレード、スポンジ拭き取りなど)などの方法挙げられるが、分布が均一になればいかなる方法を用いても良い。
【0076】
延伸させたフィルム15の収縮は、延伸時、延伸後のいずれの工程でも行って良い。収縮は、斜め方向に配向する際の発生するポリマーフィルムのシワが解消すればよく、その手段としては、加熱することにより揮発分を除去する方法などが挙げられるが、フィルム15を収縮させればいかなる手段を用いても良い。好ましいフィルム15の収縮率は、配向軸の角度αを用いると、1/sinα以上とすることが好ましい。
【0077】
斜め方向に配向する際に発生するフィルム15のシワは、本発明のテンター装置10における熱処理部10cの終端までに消失していればよい。しかし、シワの発生から消失までに時間がかかると、延伸の方向性にばらつきが生じることがあるので、好ましくは、シワが発生した地点からできるだけ短い移行距離でシワが消失することが良い。このためには、揮発分量の揮発速度を高くするなどの方法がある。
【0078】
発生したシワが消失する条件であれば、乾燥条件はいかようでもかまわない。ただし、所望の配向角度が得られた後できるだけ短い移動距離で乾燥点が来るように調節するのが好ましい。乾燥点とは、フィルム15の表面膜温度が環境雰囲気温度と同じになる場所を意味する。このことから、乾燥速度もできるだけ速いほうが好ましい。乾燥温度については、本発明のテンター装置10でポリビニルアルコールを延伸する場合、20℃以上100℃以下が好ましく、さらに好ましくは40℃以上90℃以下である。
【0079】
本発明のテンター装置10による延伸を行うフィルム15が、ポリビニルアルコール系ポリマーのとき、揮発分としては水が好ましい。そして、配向板を得ることが目的の場合は、保護膜の貼り合わせ時の含水率(揮発分率)が10%未満となるように乾燥することが好ましい。さらに好ましい含水率は8%未満である。
【0080】
本発明において、フィルム15がポリビニルアルコール系ポリマーフィルムで、硬膜剤を使用した場合、斜め方向に延伸した状態を緩和せずに保つために、延伸前後で水に対する膨潤率が異なることが好ましい。具体的には、延伸前の膨潤率が高く、延伸・乾燥後の膨潤率が低くなることが好ましい。更に好ましくは、延伸する前の水に対する膨潤率が3%以上で、乾燥後の膨潤率が3%以下であることである。
【0081】
本発明のテンター装置において、フィルムクリップ30の軌跡を規制するレール11,12には、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲による把持具同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部ではフィルムクリップ30の軌跡が円弧を描くようにすることが望ましい。
【0082】
また、フィルム15を延伸する速度は、単位時間当りの延伸倍率で表すと、1.1倍/分以上、好ましくは2倍/分以上で、早いほうが好ましい。また、長手方向の進行速度は、0.1m/分以上、好ましくは1m/分以上で、早いほうが生産性の観点から見て好ましい。いずれの場合も、上限は、延伸するフィルム15及びテンター装置10により異なる。
【0083】
本発明のテンター装置において、延伸前のフィルム15に異物が付着していると、表面が粗くなるため、異物を取ることが好ましい。異物が存在していると、特に偏光板作製時には、色むら・光学むらの原因となる。また、偏光板を製造するときには、保護膜を張り合わせるまでの間に、異物が付着しないことも重要で、極力浮遊するゴミが少ない環境下で製造することが好ましい。本発明のテンター装置10での延伸に供するフィルム15の異物の量とは、フィルム表面に付着している異物の重量を表面積で割った値で、平方メートルあたりのグラム数を表す。異物は、1g/m2 以下が好ましく、更に好ましくは0.5g/m2 以下であり、少ないほど好ましい。
【0084】
異物の除去方法としては特に限定されず、延伸前のフィルム15に悪影響を与えることなく、異物を除去することができれば、いずれの方法でもよい。例えば、水流を吹き付けることにより異物を掻き落とす方法、気体噴射により異物を掻き落とす方法、布、ゴム等のブレードを用いて異物を掻き落とす方法等が挙げられる。
【0085】
本発明のテンター装置10において、フィルム15の両側縁をフィルムクリップ30により把持する際、把持しやすいようにフィルム15を張った状態にしておくことが好ましい。具体的には、フィルム15の長手方向に張力をかけてフィルムを張るなどの方法が挙げられる。張力としては、延伸前のフィルム状態により異なるが、弛まない程度にすることが好ましい。
【0086】
延伸時の環境温度は、少なくともフィルム15に含まれる揮発分の凝固点以上であればよい。フィルム15がポリビニルアルコール系のものである場合には、25℃以上が好ましい。また、偏光膜を作製するためのヨウ素・ホウ酸を浸漬したポリビニルアルコール系フィルムを延伸する場合には、25℃以上90℃以下が好ましく、さらに好ましい温度範囲は40℃以上90℃以下である。
【0087】
延伸時の湿度に関しては、揮発分が水であるフィルム、例えばポリビニルアルコール、セルロースアシレートなどの場合は、調湿雰囲気下で延伸することが好ましい。ポリビニルアルコールである場合は、50%以上100%以下が好ましく、さらに好ましい湿度範囲は80%以上100%以下である。
【0088】
本発明のテンター装置で得られた偏光膜には、各種機能膜を保護膜として直接片面または両面に貼合することができる。機能膜の例としては、λ/4板、λ/2板などの位相差膜、光拡散膜、偏光板と反対面に導電層を設けたプラスチックセル、異方性散乱や異方性光学干渉機能等をもつ輝度向上膜、反射板、半透過機能を持つ反射板等があげられる。
【0089】
保護膜としては、上に述べた好ましい保護膜を一枚、または複数枚積層して用いることができる。偏光膜の両面に同じ保護膜を貼合しても良いし、両面に異なる機能、物性をもつ保護膜をそれぞれ貼合しても良い。また、片面のみに上記保護膜を貼合し、反対面には直接液晶セルを貼合するために、粘着剤層を直接設けて保護膜を貼合しないことも可能である。この場合粘着剤の外側には、剥離可能なセパレータフィルムを設けることが好ましい。
【0090】
本発明のテンター装置10で延伸を行うフィルム15としては、その膜厚が薄いものが多いが、ハンドリング時のフィルム15の裂け等のトラブルを回避するため、フィルム15を延伸後、収縮させ揮発分率を低下させる乾燥工程において、乾燥中もしくは乾燥直後に少なくとも片面に保護膜を貼り合わせ、後加熱する工程を有することが好ましい。具体的な貼り付け方法として、乾燥工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いてフィルム15に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりする、耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせ直後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上80℃以下である。これらの工程は一貫した製造ラインで行われることが、性能上及び生産性を高くする上で好ましい。
【0091】
【実施例】
ポリビニルアルコールのフィルム15をヨウ素5.0g/l、ヨウ化カリウム10.0g/lの水溶液に25℃にて90秒浸漬し、さらにホウ酸10g/lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、テンター装置10に導入し、約50℃、98%雰囲気下で5倍に一旦延伸した後、以降幅を一定に保ち、70℃で乾燥した後テンター装置10より離脱した。乾燥後の揮発分率は2%であった。テンター入り口幅W1を200mm、出口幅W2を705mm、α=45とした。θ2 =13.5°、θ3 =13.5°、θ4 =31.5°として、テンター装置10の各レール11,12の位置設定を行った。
【0092】
さらに、ポリビニルアルコール((株)クラレ製ポリビニルアルコール−117H)3%水溶液を接着剤として上記延伸フィルムとケン化処理した富士写真フィルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm)とを貼り合わせ、さらに70℃で乾燥して有効幅650mmの偏光板を得た。得られた偏光板の吸収軸方向は、長手方向に対し45°傾斜していた。この偏光板の550nmにおける透過率は43.3%、偏光度は99.98%であった。 さらに310×233mmサイズに裁断したところ、95%の面積効率で辺に対し45°吸収軸が傾斜した偏光板を得ることができた。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、各レールの変位の自由度を高めることができ、側縁に対して配向軸が10°以上80°以下の範囲で任意の角度に傾斜させたフィルム等のシート状物を任意の延伸倍率、任意の幅でロスの少ない状態で製造することができる。しかも、種々のレールパターンの変更も短時間で簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のテンター装置の概略を示す機能ブロックを含む平面図である。
【図2】本発明のテンター装置の概略を示す平面図である。
【図3】本発明のテンター装置の位置設定を示す平面図である。
【図4】本発明のテンター装置の左側の第1屈曲レール位置設定を示す平面図である。
【図5】本発明のテンター装置の左側の第2屈曲レール位置設定を示す平面図である。
【図6】本発明のテンター装置の右側の第1屈曲レール位置設定を示す平面図である。
【図7】本発明のテンター装置の右側の第2屈曲レール位置設定を示す平面図である。
【図8】比較例としてのテンター装置の概略を示す平面図である。
【図9】比較例としてのテンター装置の位置設定を示す平面図である。
【符号の説明】
10 テンター装置
11,12 レール
13,14 無端チェーン
15 フィルム
16 入り口
17 出口
21〜28 位置決め部
29 チェーン駆動部
30 クリップ
33〜36 スプロケット
46,47、56,57 連結軸
48,49,58,59 移動軸
61 リードネジ棒
62 モータ
70 コントローラ
71 データ入力部
N 延伸倍率
W1 テンター入口幅
W2 テンター出口幅

Claims (5)

  1. 左テンターレール及び右テンターレールに沿って同一速度で走行する把持具によりシート状物の側縁部を把持させて移動しながら、前記シート状物を幅方向に延伸するテンター装置において、
    直線状のレール本体を有する入り口レール部、
    直線状のレール本体を有する屈曲レール部、
    直線状のレール本体を有する出口レール部、
    前記入り口レール部と屈曲レール部との間に設けられ、前記レール本体同士を接続するほぼ円弧状に湾曲可能な第1屈曲レール、
    前記屈曲レール部と出口レール部との間に設けられ、前記レール本体同士を接続するほぼ円弧状に湾曲可能な第2屈曲レール、
    前記入り口レール部の出口端部と前記屈曲レール部の入り口端部とを回転自在に連結し、前記入り口レール部と前記屈曲レール部とを屈曲自在にする第1連結軸、
    前記屈曲レール部の出口端部と前記出口レール部の入り口端部とを回転自在に連結し、前記屈曲レール部と前記出口レール部とを屈曲自在にする第2連結軸、
    前記入り口レール部に回転自在に取り付けられる第1移動軸、
    前記出口レール部に回転自在に取り付けられる第2移動軸、
    及び前記第1及び第2連結軸並びに前記第1及び第2移動軸を個別に移動させる幅変更用の位置決め手段から、
    前記左テンターレール、及び右テンターレールを構成し、
    前記幅変更用の位置決め手段を介し、前記第1及び第2連結軸、前記第1及び第2移動軸を個別に移動して、前記左右の入り口レール部及び左右の出口レール部を平行にし、且つシート状物の延伸前の幅、延伸後の幅または延伸倍率に応じて入り口レール部の幅、出口レール部の幅を設定するとともに、入り口レール部の走行方向中心線を基準線とし、この基準線に対し出口レール部の走行方向中心線を交差させ、入り口レール部の前記把持具によるシート状物の把持開始位置から前記屈曲レール部を経て出口側レール部に達するまでの左右のテンターレールによる一定移動距離における左右の終端位置を結んだ線分と前記出口レール部の走行方向中心線とのなす角度を延伸後の配向角度とする位置決定用コントローラを備えることを特徴とするテンター装置。
  2. 前記位置決定用コントローラは、
    シート状物の延伸前の幅、延伸後の幅または延伸倍率、及び前記配向角度を入力する入力部を備え、
    前記入力部から入力された延伸前の幅、延伸後の幅または延伸倍率、及び前記配向角度により、下記式に基づき前記左右の終端位置を結んだ線分の長さ(Δx +Δy 1/2 を決定し、この長さ(Δx +Δy 1/2 が得られるθ2,θ3,θ4を決定し、これに基づき前記第1及び第2連結軸、前記第1及び第2移動軸の位置を求めることを特徴とする請求項1記載のテンター装置。
    α=cos −1 {N・W1/(Δx +Δy 1/2
    但し、αは配向角度、Nは延伸倍率、W1は延伸前の幅、θ2は前記基準線と前記左屈曲レール部のレール本体とのなす角度、θ3は前記基準線と右屈曲レール部のレール本体とのなす角度、θ4は前記基準線と左右の出口ロール部のレール本体とのなす角度である。
  3. 前記屈曲レールは両端がスライド自在に前記レール本体に取り付けられることを特徴とする請求項1または2項記載のテンター装置。
  4. 左テンターレール及び右テンターレールに沿って同一速度で走行する把持具によりシート状物の側縁部を把持させて移動しながら、前記シート状物を幅方向に延伸するテンター装置を用いて、前記シート状物を斜め延伸する斜め延伸方法において、
    直線状のレール本体を有する入り口レール部、
    直線状のレール本体を有する屈曲レール部、
    直線状のレール本体を有する出口レール部、
    前記入り口レール部と屈曲レール部との間に設けられ、前記レール本体同士を接続するほぼ円弧状に湾曲可能な第1屈曲レール、
    前記屈曲レール部と出口レール部との間に設けられ、前記レール本体同士を接続するほぼ円弧状に湾曲可能な第2屈曲レール、
    前記入り口レール部の出口端部と前記屈曲レール部の入り口端部とを回転自在に連結し、前記入り口レール部と前記屈曲レール部とを屈曲自在にする第1連結軸、
    前記屈曲レール部の出口端部と前記出口レール部の入り口端部とを回転自在に連結し、前記屈曲レール部と前記出口レール部とを屈曲自在にする第2連結軸、
    前記入り口レール部に回転自在に取り付けられる第1移動軸、
    前記出口レール部に回転自在に取り付けられる第2移動軸、
    及び前記第1及び第2連結軸並びに前記第1及び第2移動軸を個別に移動させる幅変更用の位置決め手段から、
    前記左テンターレール、及び右テンターレールを構成し、
    前記幅変更用の位置決め手段を介し、前記シート状物の延伸前の幅、延伸後の幅または延伸倍率に応じて、前記入り口レール部の幅、前記出口レール部の幅を設定すると共に、前記入り口レール部の走行方向中心線を基準線とし、この基準線に対し前記出口レール部の走行方向中心線を交差させ、
    前記入り口レール部の前記把持具によるシート状物の把持開始位置から前記屈曲レール部を経て出口側レール部に達するまでの左右のテンターレールによる一定移動距離における左右の終端位置を結んだ線分と前記出口レール部の走行方向中心線とのなす角度を延伸後の配向角度とすることを特徴とする斜め延伸方法。
  5. 前記シート状物の延伸前の幅、延伸後の幅または延伸倍率、及び前記配向角度の入力により、下記式に基づき前記左右の終端位置を結んだ線分の長さ(Δx +Δy 1/2 を決定し、この長さ(Δx +Δy 1/2 が得られるθ2,θ3,θ4を決定し、これに基づき前記第1及び第2連結軸、前記第1及び第2移動軸の位置を求めることを特徴とする請求項4記載の斜め延伸方法。
    α=cos −1 {N・W1/(Δx +Δy 1/2
    但し、αは配向角度、Nは延伸倍率、W1は延伸前の幅、θ2は前記基準線と前記左屈曲レール部のレール本体とのなす角度、θ3は前記基準線と右屈曲レール部のレール本体とのなす角度、θ4は前記基準線と左右の出口ロール部のレール本体とのなす角度である。
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