JP2004230714A - テンター装置 - Google Patents

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Kazuaki Noda
和秋 野田
Tatsuo Shiino
龍雄 椎野
Kiyoshi Fukuzawa
潔 福沢
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

【課題】配向軸を傾斜させたフイルムを、延伸時の応力を緩和させつつ乾燥して、切断などの破損の発生を防く。
【解決手段】レール11,12を、入り口レール部11a,12aと、延伸レール部11b,12bと、屈曲レール部11c,12cと、出口レール部11d,12dとから構成する。フイルム20の入り口16側から出口17側へ向かって順に、予熱区間10a,延伸区間10b,緩和区間10c,熱処理区間10dを設定する。延伸区間10bではフイルム20を加熱及び加湿しながら、レール11,12を走行するクリップ20がフイルムを把持して移動することによりフイルム20が幅方向に延伸される。緩和区間10cでは、延伸区間10bよりも低温、低湿な状態とし、幅方向に延伸されたときにフイルムかかる応力を緩和させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はテンター装置に関し、特に、側縁に対して配向軸を傾斜させたフィルム等のプラスチックフイルムを製造するテンター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2001−281452号公報(第2〜4頁)
【特許文献2】
特開2002−86554号公報(第2〜10頁)
【0003】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置の普及に伴い、偏光板の需要が急増している。偏光板は一般に偏光能を有する偏光層の両面あるいは片面に、接着剤層により保護フィルムを貼り合わせて構成されている。偏光層の素材としてはポリビニルアルコール(以下、PVA)が主として用いられており、PVAフィルムを一軸延伸してから、ヨウ素あるいは二色性染料で染色するかあるいは染色してから延伸し、さらにホウ素化合物で架橋することにより偏光層用の偏光膜が形成される。保護フィルムとしては、光学的に透明で複屈折が小さいことから、主にセルローストリアセテートが用いられている。
【0004】
この偏光板を作製する場合に、製品歩留りを向上するために、一定の配向角度、例えば45°で配向軸が傾斜するように斜め延伸させるテンター装置が例えば特許文献1に記載されている。このようにフィルムを斜め延伸させるテンター装置では、左右のガイドレールに沿って走行するクリップにより、フィルムの側縁部を把持させて移動させる。そして、左右で搬送速度差をつけて移動させることによって斜め方向に延伸している。
【0005】
一方、上記特許文献1に記載されているテンター装置では、左右で搬送速度差をつけて移動させることに起因してツレ、シワ、フィルム寄り( 局部的な厚みむら) などが発生してしまう。そこで、左右の搬送速度差に起因するツレ、シワなどを防いで、配向軸を傾斜させたフイルムを容易にかつ確実に延伸させるため、特許文献2で提案されているテンター装置では、入り口側の搬送方向に対して出口側の搬送方向が傾斜するように、左右のテンターレールの途中が屈曲している屈曲区間を設けており、この屈曲区間を通過することによって、フィルムの配向軸を傾斜させることを可能としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載されているようなテンター装置では、フイルムの配向軸を傾斜させるための屈曲区間を通過するときに、フイルムにかかる力が大きくなるとともに、クリップで把持されている部分に回転方向の力が加わることになり、更に破れやすくなってしまう。
【0007】
さらに、上記特許文献1に記載されているようなテンター装置では、斜め延伸を行っている屈曲区間の途中に、フイルムを乾燥させる熱処理区間を設けており、すなわち、屈曲区間と熱処理区間とが重複しているため、フイルムにかかる力の大きい斜め延伸の他に、乾燥風を吹き付けたり、急激な温度上昇が加えられたりすると、クリップで把持されている部分に回転方向の力が加わり、フイルムが破れ易くなる。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、幅方向に延伸し、かつ配向軸を傾斜させたプラスチックフイルムを、切断、などの破損の発生を防ぎ、確実に形成することが可能なテンター装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のテンター装置では、第1テンターレール及び第2テンターレールと、これらのテンターレールに沿って走行する把持具とからなり、前記把持具によりプラスチックフイルムの側縁部を把持させて移動させながら、前記プラスチックフイルムを搬送方向と交差する方向に延伸した後、前記プラスチックフイルムを乾燥させるテンター装置において、前記プラスチックフイルムを加熱、加湿した状態でプラスチックフイルムを搬送方向と交差する方向に延伸する延伸区間と、前記プラスチックフイルムを乾燥させる熱処理区間と、これら延伸区間と熱処理区間との間に位置し、前記延伸区間よりも低温、低湿状態とした緩和区間とを、それぞれ隔離して区画している。
【0010】
なお、前記延伸区間、前記緩和区間、及び前記熱処理区間をそれぞれ区画する隔壁が、前記プラスチックフイルムを延伸する延伸方向に沿って配置されていることが好ましい。また、前記プラスチックフイルムは、洗浄液、染色剤の水溶液、硬膜剤の水溶液の中を搬送して、洗浄、染色、硬膜処理が施されたPVAフイルムであることが好ましい 。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のテンター装置を示す概略の平面図である。このテンター装置10は、第1レール11と、第2レール12と、これらレール11,12に案内される無端チェーン(エンドレスチェーン)13,14とから構成されている。このテンター装置10で延伸されるフイルム20としては、ポリビニルアルコール(PVA)フイルムが用いられる。なお、このテンター装置10での工程の前には、フイルム20は、洗浄液、染色剤の水溶液、硬膜剤の水溶液がそれぞれ所定量貯留された洗浄槽、染色槽、硬膜槽の中を搬送されており、これによって、洗浄、染色、硬膜処理が施されている。なお、これらフイルム20の前処理は、必要に応じて行われ、洗浄、染色、硬膜処理のうち少なくともいずれか1つが行われる。
【0012】
無端チェーン13,14には、周知のように把持具としてのフイルムクリップ21が所定ピッチで多数取り付けられている。このフイルムクリップ21はフイルム20の側縁部を把持しながら、各レール11,12に沿って移動することで、フイルム20を延伸する。
【0013】
無端チェーン13,14は原動スプロケット23,24及び従動スプロケット25,26との間に掛け渡されており、これらスプロケット23〜26の間では、無端チェーン13は第1レール11によって、無端チェーン14は第2レール12によって案内される。原動スプロケット23,24はフイルム20の入り口16側に設けられており、これらは図示しない駆動部により回転駆動される。また、従動スプロケット25,26はフイルム20の出口17側に設けられている。なお、スプロケット23〜26の構成はこれに限らず、出口17側を原動スプロケットとし、入り口16側を従動スプロケットとしてもよい。
【0014】
これらスプロケット23〜26に近接してフイルムクリップ21の開放部材(図示省略)が配置されている。この開放部材は、入り口16側の原動スプロケット23,24では、フイルム20の把持位置の前で、フイルムクリップ21の図示しない係合部に接触してこれを開放状態にし、フイルム20の側縁部をフイルムクリップ21内に案内する。そして、把持位置を通過するときに開放部材が前記係合部から離れ、フイルムクリップ21が開放位置から把持位置にセットされて、フイルム20の側縁部が把持される。同様にして、出口17側の従動スプロケット25,26では、フイルム20の把持解除位置で開放部材によりフイルムクリップ21が開放位置にされて、フイルム20の側縁部の把持が開放される。本実施形態では自重落下方式のフイルムクリップ21を用いているが、この他に、バネ付勢により開閉するフィルムクリップや、その他の各種駆動手段を有するフィルムクリップ、さらに、これらの方式を組み合わせたフィルムクリップを用いてもよい。
【0015】
第1レール11は、入り口16側から出口17側に向かって順に、入り口レール部11aと、延伸レール部11bと、屈曲レール部11cと、出口レール部11dとから構成されている。同様にして、第2レール12も入り口レール部12aと、延伸レール部12bと、屈曲レール部12cと、出口レール部12dとから構成されている。
【0016】
一方の延伸レール部11bの入り口16側には、連結レール部11eが設けられている。連結レール部11eは、入り口レール部11aと、延伸レール部11bとの間を湾曲するようにそれぞれ連結する。同様にして他方の延伸レール部12bにも連結レール部12eが設けられている。
【0017】
各入り口レール部11a,12aは、入り口16から供給されるときのフイルム20の幅W1に合わせるように互いに平行に位置しており、かつ搬送方向の中心が、入り口16側の搬送方向の中心CL1に合わせて配置されている。また、各入り口レール部11a,12a及び各出口レール部11d,12dは、入り口16側の搬送方向と、出口17側の搬送方向とがなす角度がθとなるように設定されている。そして各出口レール部11d,12dは、フイルム延伸方向の延伸倍率N´(=W2/(W1×cosθ))で設定された幅W2(=W1×N´×cosθ)に合わせて平行に位置しており、かつ搬送方向の中心が出口17側の搬送方向の中心CL2に合わせて配置されている。なお、実際にフイルム20が延伸方向に延伸される延伸倍率は上述したN´=W2/(W1×cosθ)であるが、出口17から出るときの見かけの延伸倍率は、N=W2/W1である。
【0018】
各延伸レール部11b,12bは、入り口16側の幅W1から徐々に、互いの間隔が離れていくように位置しており、かつ搬送方向の中心が、入り口16側の搬送方向の中心CL1に合わせて配置されている。屈曲レール部11c及び屈曲レール部12cは、入り口16側の搬送方向の中心CL1と出口17側の搬送方向の中心CL2とが傾斜するように屈曲して配置されている。
【0019】
このテンター装置10は、フイルム20の入り口16から出口17へ順に、予熱区間10a、延伸区間10b、緩和区間10c、熱処理区間10dの各エリアに分けられ、連続して設けられている。この各区間10a〜10dは、上述した各レール部11a〜11d,12a〜12dに合わせて配置されており、予熱区間10aは入り口レール部11a,12aの位置に、延伸区間10bは延伸レール部11b,12bの位置に合わせて配置されている。なお、本実施形態では、レール11,12で、各クリップ20がフイルム20を実質的に保持する位置がずれる(第1レール11を走行するクリップ20の方が先に搬送方向の下流側へ進む。)ため、実際にフイルム20が幅方向に延伸される区間は屈曲レール部12cの一部まで連続しているので、延伸区間10bは、それらの屈曲レール部12cの上流側の一部を含んでいる。緩和区間10cは屈曲レール部12cの下流側の部分と出口レール部12dの上流側の一部、及び屈曲レール部11cと出口レール部11dの上流側の一部の位置に合わせて配置されている。熱処理区間10dは出口レール部11dの下流側の部分、及び出口レール部12dの下流側の部分の位置に合わせて設定されている。
【0020】
これらの各エリアのうち、予熱区間10aを除く、延伸区間10b、緩和区間10c、熱処理区間10dは、詳しくは図2に示すように、箱状に形成された空調ボックス31によって覆われている。この空調ボックス31の内部には、隔壁32,33が形成されており、入り口16側の側壁31aには開口34が、出口17側の側壁31bには開口35が形成されている。開口34,35は水平方向に長いスリット状に形成されており、上流側から搬送されてきたフイルム20が開口34を介して空調ボックス31の内部へ送られ、開口35を介して空調ボックス31から出て行く。
【0021】
隔壁32,33によって、延伸区間10b、緩和区間10c、熱処理区間10dの各エリアはそれぞれ隔離して区画されている。隔壁32,33には、開口32a,33aがそれぞれ形成されている。この開口32a,33aは水平方向に長いスリット状に形成されている。これにより、開口32a,33aを介してフイルム20の通過を可能としている。なお、この開口部32a,33aの付近には送風機をそれぞれ配置し、隔壁32,33に沿って、かつ開口32a,33aに近接した位置を通過するように送風させるようにしてもよい。これによって、区間10a〜10dの空気がそれぞれ流入することを防ぐことができ、より高精度に内部の温度、湿度の制御を行うことができる。
【0022】
隔壁32,33は、フイルム20が延伸される延伸方向に沿って配置されている。すなわち、隔壁32は、延伸区間10bで延伸されるフイルム20の幅方向に沿って配置されており、隔壁33は、緩和区間10c及び熱処理区間10dでフイルム20が斜め延伸されるときのフイルム20の側縁に対して傾斜した斜め延伸方向に対して平行に配置されている。
【0023】
延伸区間10bの上方部には、ダクト36が設けられている。このダクト36の内部、あるいはダクト36によって連結される外部に置かれた空調機の中に、送風機、ヒータ、スチーム管などが設けられている。またダクト36の下面には、多数の吹き出し口が形成されている。吹き出し口は、フイルム20の延伸方向に合わせたスリット状に形成されている。このように構成されたダクト36で、送風機から空気が送られると、ヒータ及びスチーム管によって所定の温湿度に調節された加熱湿潤空気39が、吹き出し口からフイルム20へと向かって吹き付けられる。これによって、延伸区間10bの内部は、高温かつ高湿な状態となる。
【0024】
緩和区間10cの内部には、空調ボックス31の外部の空間と接続されたダクト37が設けられており、このダクト37からは、延伸区間10cとは異なる温湿度条件に調整された空気40、例えばテンター装置10の外部の空気が緩和区間10cの内部へ吹き出される。これによって緩和区間10cの内部は、空調ボックス31の外部と同じ温湿度状態となり、延伸区間10bの内部よりも低温かつ低湿な状態となる。なお、緩和区間10cの内部に除湿器、又は空気中の水分を吸収する吸収剤などを設け、より積極的に緩和区間10cの内部を低湿状態にするようにしてもよい。
【0025】
熱処理区間10dの上方部には、ダクト38が設けられている。このダクト38は、その内部、あるいはダクト38によって連結され、外部に置かれた空調機の中に、送風機、ヒータ33などが設けられており、下面には、多数の吹き出し口が形成されている。このように構成されたダクト38で、送風機から空気が送られると、ヒータによって所定の温度に調節された乾燥風41が吹き出し口からフイルム20へと向かって吹き付けられる。
【0026】
次に、本実施形態の作用を説明する。製膜ライン等により製膜されたフイルム20がフィルム入り口16からテンター装置10内に送られてくると、開放状態になっていたフイルムクリップ21が閉じられてフイルム20が把持される。フイルムクリップ21は各チェーン13,14の回動により、レール11,12に沿って移動する。入り口16から予熱区間10aに搬送されてきたフイルム20は、例えば、25°C以上に予熱される。
【0027】
予熱区間10aを通過したフイルム20が延伸区間10bに送られてくると、ダクト36から吹き出された空気がフイルム20へと吹き付けられる。所定の温湿度、例えば温度60°C、湿度95%に設定された加熱湿潤空気39が吹き付けられたフイルム20は、破れることなく延伸されて延伸区間10bを通過し、開口32aを介して緩和区間10cへと搬送されていく。
【0028】
次に、緩和区間10cでは、隔壁32によって延伸区間10bと隔離され、その内部が延伸区間10bよりも低温かつ低湿状態とされているので、この緩和区間10cの通過中にフイルム20は延伸区間10bで与えられた応力が確実に緩和されていくことになる。また、この緩和区間10cからフイルム20の斜め延伸が開始される。
【0029】
そして緩和区間10cを通過し、開口33aを介して熱処理区間10dへとフイルム20が搬送されてくると、ダクト38から乾燥風41が吹き付けられてフイルム20が乾燥される。このように、フイルム20を延伸区間10bで延伸した後、その延伸によって与えられた応力を確実に緩和してから乾燥しているので、配向軸が傾斜したフイルム20を、切断などの破損が発生することなく簡単に製造することができる。
【0030】
さらに、隔壁32,33がフイルム20の延伸される方向に沿って配置されているので、フイルム20を把持するフイルムクリップ21の実質的把持位置が、第1レール11と、第2レール12とで同じ位置にあるときに開口32a,33aを通過する。これによって両側のフイルムクリップ21からフイルム20にかかる応力が均等な状態で、フイルム20の位置が延伸区間10bから緩和区間10cへと、あるいは緩和区間10cから熱処理区間10dへと切り替わることが可能になる。もし、隔壁32,33の位置がフイルム20の延伸方向に対して傾斜していると、フイルム20を把持するフイルムクリップ21の実質的把持位置が第1レール11と第2レール12とで、どちらかが先行した状態で開口32a,33aを通過することになり、先行して通過したフイルム20の側縁部側の方が先に緩和区間10c及び熱処理区間10dに搬送され、応力の緩和及び乾燥が進行し、その部分のみが先に収縮してしまうので、フイルム20にかかる応力が不均等となり、片伸びや切断などの破損が発生してしまうが、本実施形態ではこのようなことがない。
【0031】
また、上記実施形態では、延伸区間10b、緩和区間10c、及び熱処理区間10dに、ダクト36〜ダクト38をそれぞれ設け加熱湿潤空気39、外部の空気40、及び乾燥風41をフイルム20に吹き付けているが、これに限らず、延伸区間10bの内部全体を高温かつ高湿状態とするようにヒータ及びスチームを設けて温度及び湿度の調節をしてもよい。また、ダクト36〜38の吹き出し口の形状としてはスリット状に限らず、多くの孔を配列した多孔板状に、ダクト36〜38の下面を形成してもよい。また、緩和区間10cには単に外部の空間と連続する開口部のみを設けて外部の温湿度と同じ状態にしてもよい。あるいは、熱処理区間10dの全体を乾燥するように除湿器を設けたりしてもよい。
【0032】
さらにまた、上記実施形態では、隔壁32,33を設けた空調ボックス31を設けることによって、延伸区間、緩和区間、熱処理区間を区画し、各エリアをそれぞれ隔離するようにしているが、これに限るものではない。隔壁を設けずに、別の手段によって各エリアを隔離している例を図3に示す。なお、図3においては、上記実施形態と同じ部材、及び部品を用いている場合には、同符号を使用して説明を省略する。
【0033】
図3に示すテンター装置50では、ダクト36の上流側及び下流側の端部にそれぞれガイド部材51a,51bが一体に設けられている。同様に、ダクト37にはガイド部材52a,52bが、ダクト38にはガイド部材53a,53bがそれぞれ設けられている。ガイド部材51b、52aは、テンター装置50の延伸区間50bと、緩和区間50cとの境界線55に対して平行に、かつガイド部材51bは境界線55の下流側に、ガイド部材52aは境界線55の上流側に位置するように設けられている。そしてガイド部材51b,52aの上方には、吸引機が配置されており、境界線55付近の空気はこの吸引機によって吸引されるので、延伸区間50bと緩和区間50cとの間は隔離される。さらに、緩和区間50cと熱処理区間50dとの境界線56の下流側及び上流側には、ガイド部材52b,53aがそれぞれ配置されており、このガイド部材52b,53aの上方に位置する吸引機で吸引されることによって緩和区間50cと熱処理区間50dとが隔離される。
【0034】
なお、テンター装置10の出口17でフイルム20の左右に進行速度差があると、出口17におけるシワ、寄りが発生するため、左右のフイルムクリップ21の速度差は、実質的に同速度であることが求められる。速度差は好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.5%未満であり、最も好ましくは0.05%未満である。ここで述べる速度とは、毎分当たりに左右各々のフイルムクリップ21が進む軌跡の長さのことである。一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明で述べる速度差には該当しない。
【0035】
本発明を実施したテンター装置10により延伸することによって、フイルム20は優れた偏光能を有する偏光膜として利用することができる。得られた偏光膜としてのフイルム20の両面又は片面に保護膜(保護フィルム)を接着剤層を介して設けることにより、偏光板が得られる。得られた偏光板は、優れた単板透過率及び偏光度を有する。したがって、液晶表示装置として用いる場合に、画像のコントラストを高めることができ、有利である。
【0036】
なお、ポリビニルアルコールのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またポリビニルアルコールの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
【0037】
延伸前のフイルム20の好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01MPa以上5000MPa以下、更に好ましくは0.1MPa以上500MPa以下である。弾性率が低すぎると延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなり、また高すぎると延伸時にかかる張力が大きくなり、フイルム20の両側縁部を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、テンター装置10に対する負荷が大きくなる。
【0038】
延伸前のフイルム20の厚みは特に限定されないが、フィルム把持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。
【0039】
本発明に用いられる染色剤としては、ヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンおよび/または有機二色性色素である。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物を挙げることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。また、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の具体例としては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー 67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号の各公報記載の色素等が挙げられる。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光板として吸収軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏光度とも優れており好ましい。特にヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンが好ましく使用される。
【0040】
ヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンを偏光子として使用する場合、ヨウ素は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウムは1〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜200が好ましい。染色時間は10〜5000秒が好ましく、液温度は5〜60℃が好ましい。
【0041】
硬膜剤(架橋剤)としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩も併せて用いることができる。
【0042】
また、フイルム20を延伸する速度は、単位時間当りの延伸倍率で表すと、1.1倍/分以上、好ましくは2倍/分以上で、早いほうが好ましい。また、長手方向の進行速度は、0.1m/分以上、好ましくは1m/分以上で、早いほうが生産性の観点から見て好ましい。いずれの場合も、上限は、延伸するフイルム20及びテンター装置10により異なる。
【0043】
さらにまた、フイルム20の両側縁をフイルムクリップ21により把持する際、把持しやすいようにフイルム20を張った状態にしておくことが好ましい。具体的には、フイルム20の長手方向に張力をかけてフィルムを張るなどの方法が挙げられる。
【0044】
延伸時の環境温度は、25℃以上90℃以下が好ましく、さらに好ましい温度範囲は40℃以上90℃以下である。
【0045】
フイルム20には、各種機能膜を保護膜として直接片面または両面に貼合することができる。機能膜の例としては、λ/4板、λ/2板などの位相差膜、光拡散膜、偏光板と反対面に導電層を設けたプラスチックセル、異方性散乱や異方性光学干渉機能等をもつ輝度向上膜、反射板、半透過機能を持つ反射板等があげられる。
【0046】
保護膜としては、上に述べた好ましい保護膜を一枚、または複数枚積層して用いることができる。偏光膜の両面に同じ保護膜を貼合しても良いし、両面に異なる機能、物性をもつ保護膜をそれぞれ貼合しても良い。また、片面のみに上記保護膜を貼合し、反対面には直接液晶セルを貼合するために、粘着剤層を直接設けて保護膜を貼合しないことも可能である。この場合粘着剤の外側には、剥離可能なセパレータフィルムを設けることが好ましい。
【0047】
フイルム20としては、その膜厚が薄いものが多いが、ハンドリング時のフイルム20の裂け等のトラブルを回避するため、フイルム20を延伸後、少なくとも片面に保護膜を貼り合わせ、後加熱する工程を有することが好ましい。具体的な貼り付け方法として、熱処理工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いてフイルム20に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりする、耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせ直後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上80℃以下である。これらの工程は一貫した製造ラインで行われることが、性能上及び生産性を高くする上で好ましい。なお、上記実施形態ではテンター装置10内でフイルム20に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりしたが、フイルム20がテンター装置10の出口17から出た後に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明のテンター装置によれば、プラスチックフイルムを加熱、加湿した状態でプラスチックフイルムを搬送方向と交差する方向に延伸する延伸区間と、プラスチックフイルムを乾燥させる熱処理区間と、これら延伸区間と熱処理区間との間に位置し、延伸区間よりも低温、低湿状態とした緩和区間とを、それぞれ隔離して区画しているので、延伸区間でかかった応力が緩和区間で緩和されてから熱処理区間での乾燥が行われるため、配向角度が側縁に対して傾斜したフイルムを、破損することなくスムーズに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のテンター装置の概略を示す平面図である。
【図2】図1に示すテンター装置のうち延伸区間、緩和区間、及び熱処理区間の部分のみ搬送方向に沿って切断した断面図である。
【図3】別の実施例のテンター装置を、延伸区間、緩和区間、及び熱処理区間の部分のみ搬送方向に沿って切断した断面図である。
【符号の説明】
10,50 テンター装置
10a 予熱区間
10b 延伸区間
10c 緩和区間
10d 熱処理区間
11,12 レール
20 フィルム
21 クリップ
32,33 隔壁

Claims (4)

  1. 第1テンターレール及び第2テンターレールと、これらのテンターレールに沿って走行する把持具とからなり、前記把持具によりプラスチックフイルムの側縁部を把持させて移動させながら、前記プラスチックフイルムを搬送方向と交差する方向に延伸した後、前記プラスチックフイルムを乾燥させるテンター装置において、
    前記プラスチックフイルムを加熱、加湿した状態でプラスチックフイルムを搬送方向と交差する方向に延伸する延伸区間と、前記プラスチックフイルムを乾燥させる熱処理区間と、これら延伸区間と熱処理区間との間に位置し、前記延伸区間よりも低温、低湿状態とした緩和区間とを、それぞれ隔離して区画したことを特徴とするテンター装置。
  2. 前記延伸区間、前記緩和区間、及び前記熱処理区間をそれぞれ区画する隔壁が、前記プラスチックフイルムが延伸される延伸方向に対して平行に配置されていることを特徴とする請求項1記載のテンター装置。
  3. 前記プラスチックフイルムは、ポリビニルアルコールフイルムであることを特徴とする請求項1又は2記載のテンター装置。
  4. 前記プラスチックフイルムは、洗浄、染色、硬膜処理のうち少なくともいずれか1つの処理が施されているポリビニルアルコールフイルムであることを特徴とする請求項1又は2記載のテンター装置 。
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