JP2004106421A - テンター装置 - Google Patents

テンター装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004106421A
JP2004106421A JP2002274033A JP2002274033A JP2004106421A JP 2004106421 A JP2004106421 A JP 2004106421A JP 2002274033 A JP2002274033 A JP 2002274033A JP 2002274033 A JP2002274033 A JP 2002274033A JP 2004106421 A JP2004106421 A JP 2004106421A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
pva film
guide roller
roller
pva
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002274033A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuo Shiino
椎野 龍雄
Kiyoshi Fukuzawa
福沢 潔
Kazuaki Noda
野田 和秋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2002274033A priority Critical patent/JP2004106421A/ja
Publication of JP2004106421A publication Critical patent/JP2004106421A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)

Abstract

【課題】フィルムの垂れ下がり及び変形を抑え、クリップによるフィルム把持を確実に行う。
【解決手段】テンター装置4のテンター入口17に、ピンチローラ対31を左右に設ける。テンター入り口17からフィルム把持位置PAの範囲に、下ガイドローラ32a〜32i、右フィルムガイド33、左フィルムガイド34を設ける。ガイドローラ32iに対向した位置に、上ガイドローラ36を設ける。ピンチローラ対31は、上ローラ31a、下ローラ31bから構成され、PVAフィルム6を挟持搬送し、両幅方向への張力を与える。各下ガイドローラ32a〜32iは、下面6bに接触して搬送する。左右のフィルムガイド33、34はPVAフィルム6の両側縁部を案内する。上ガイドローラ36は、PVAフィルム6の上方向への変形を抑える。
【選択図】        図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はテンター装置に関し、安定したフィルム噛み込みを行うことができるように改良したテンター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
実公平2−26660号公報
【特許文献2】
実開平5−35252号公報
【特許文献3】
実開平5−39931号公報
【特許文献4】
特開2000−198138号公報
【0003】
近年、液晶表示装置の普及に伴い偏光板の需要が急増している。この偏光板を作製するテンター装置では、左右のガイドレールに沿って同一速度で走行するクリップにより、フィルムの側縁部を把持させて移動させながら予熱し、予熱後に幅方向に延伸させている。偏光板用のフィルムは軽量化などの要請により薄いフィルムが要求されており、これに伴いフィルム剛性が小さいフィルムの横延伸が必要になってきている。クリップにより側縁部を把持する際に、フィルム剛性が小さいフィルムの場合には、たるみやしわが発生してしまい、延伸後のフィルムに延伸ムラがでてしまう。そこで、たるみやしわが発生することなく、フィルムを把持できるように、特許文献1〜4などで、様々な工夫がなされている
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1〜4では、フィルムの側縁部のたるみやしわを防止しているが、側縁部以外の中央部などのたるみやしわの防止は考慮されていない。特に、フィルム剛性の小さいフィルムでは、自重により中央部が垂れ下がってしまい、両側縁部の位置がずれてしまう。このため、クリップでの噛み込み不良が発生し、延伸ムラが発生するという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、フィルム剛性の小さいフィルムをクリップに確実に噛み込ませることができ、しかもフィルム噛み込み時のフィルムの挙動を抑えるようにしたテンター装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のテンター装置は、把持具により両側縁部が把持されたシート状物を搬送して延伸するテンター装置において、前記シート状物の挿入口から前記把持具の把持開始位置の範囲に設けられ、シート状物の下面を案内する下ガイドローラを有するものである。
【0007】
なお、前記挿入口に設けられ、前記シート状物に幅方向への張力を与えるピンチローラ対を有することが好ましい。また、前記挿入口から前記把持具の把持開始位置までの範囲に設けられ、フィルムを把持具内に案内するフィルムガイドを有することが好ましい。さらに、前記把持開始位置直前に設けられ、前記シート状物の上面を案内する上ガイドローラを有することが好ましい。また、前記上ガイドローラは、前記下ガイドローラに対向した位置に設けられ、上ガイドローラと下ガイドローラとにより、前記シート状物に張力を与えることが好ましい。さらに、前記シート状物は、液処理後に導入されるフィルムであることが好ましい。また、ヤング率0.01MPa〜5000MPaのPVAフィルムを延伸することが好ましい。なお、ヤング率は好ましくは0.1MPa〜500MPaであり、さらに好ましくは1MPa〜50MPaである。さらに、前記下ガイドローラ、張力ローラ、上ガイドローラはゴム製のものを用い、硬度を50〜90°、表面粗さを0.5〜10Sとすることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、液槽処理され湿潤したフィルムを延伸するテンターに安定的に導入することができるが、以下は、偏光板作製に際し、特に、得率の良いとされる斜め延伸、より好ましくは45°延伸の態様について説明する。なお、テンターとして一般的な一軸延伸、二軸延伸、多段延伸でも効果的である。図1は、本発明を実施したPVAフィルム延伸機2を示す概略の平面図である。PVAフィルム延伸機2は、処理装置3とテンター装置4とから構成される。処理装置3には、PVA(ポリビニルアルコール)フィルム6の搬送方向上流側(図中左側)から順に、洗浄槽7、染色槽8、硬膜槽9が設けられている。洗浄槽7には洗浄液が、染色槽8には沃素等の染色剤の水溶液が、硬膜槽9には硼酸等の硬膜剤の水溶液が所定量貯留されており、入口10から挿入され、図示しない搬送機構により各槽7〜9を搬送されるPVAフィルム6を洗浄、染色、硬膜処理する。
【0009】
各槽7〜9で処理されたPVAフィルム6は、水分を多く含む膨潤状態となっており、ヤング率が0.01MPa〜5000MPaとなっており、柔らかくなっている。なお、ヤング率は好ましくは0.1MPa〜500MPaであり、さらに好ましくは1MPa〜50MPaである。弾性率が低すぎると延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなり、また高すぎると延伸時にかかる張力が大きくなり、PVAフィルム6の両側縁部を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、テンター装置4に対する負荷が大きくなる。
【0010】
図1に示すように、テンター装置4は、右レール11と、左レール12と、これらレール11,12に案内される無端チェーン(エンドレスチェーン)13,14とから構成されている。無端チェーン13,14には、把持具としてのクリップ15が所定ピッチで多数取り付けられている。このクリップ15はPVAフィルム6の側縁部を把持しながら、図示しない駆動機構により各レール11,12に沿って移動することで、PVAフィルム6を延伸する。なお、テンター装置4としては、一般的な横延伸や多段延伸する装置であってもよい。
【0011】
テンター装置4は、予熱部4a、延伸部4b、熱処理部4cに分かれており、予熱部4a、延伸部4bはPVAフィルム6を延伸しやすくするために高温、高湿に保たれている。
【0012】
図2及び図3に示すように、クリップ15は、略コ字形状のフレーム21、フラッパ22、レール取付部23から構成されている。フラッパ22は、取付軸21aによりフレーム21に回動自在に取り付けられている。レール取付部23には、右チェーン13または左チェーン14が取り付けられる。図2は把持開始直前の状態を示している。フラッパ22は鉛直状態となるフィルム把持位置(閉位置)と、開放部材25に係合頭部22aが接触して斜めに回転した状態となる開放位置との間で変位し、通常は自重によりフィルム把持位置となるように付勢されている。フィルム把持位置PAでは、フィルム把持面21bとフラッパ下面22bとによりPVAフィルム6が把持される。
【0013】
図3及び図4に示すように、テンター入り口17には、PVAフィルム6に幅方向への張力を与えるピンチローラ対31が左右に設けられている。このピンチローラ対31は、PVAフィルム6の上面6aに接触する上ローラ31a、下面6bに接触する下ローラ31bからなり、PVAフィルム6を挟み込む構成になっている。上ローラ31aと下ローラ31bとは、回転自由に取り付けられており、図示しないモータにより回転駆動され、処理装置3から送られてきたPVAフィルム6を挟持搬送する。上ローラ31a、下ローラ31bの回転軸は、フィルム搬送方向A1に直交するフィルム幅方向に平行な基準線B1からそれぞれ外側に10°傾いて配置されている。これにより、PVAフィルム6は、両幅方向への張力を与えられ、シワが取られた状態で搬送される。なお、各ローラ31a、31bの回転軸の傾きは10°に限定されることなく、適宜変更してもよいが、3〜45°が好ましい。45°を超えると寄せる効果がなく、水平でも同様に効果がない。
【0014】
各ローラ31a、31bは、ゴム製のものが用いられ、硬度は40〜90°、表面粗さは0.5〜50S、線圧は10〜100N/mである。なお、硬度は50〜90°、表面粗さは0.5〜10S、線圧は10〜50N/mが好ましく用いられる。これにより、PVAフィルム6を傷つけることがない。
【0015】
図3及び図4に示すように、テンター装置4には、テンター入り口17からフィルム把持位置PAの範囲に、PVAフィルム6の下面6bを案内する下ガイドローラ32が9個設けられている。図2及び図3に示すように、これら9個の下ガイドローラ32a〜32iは、移動するクリップ15に接触しないようにサイズ及び幅を変えて形成されている。各下ガイドローラ32a〜32iは、回転自由に取り付けられており、図示しないモータにより回転駆動され、処理装置3から送られてきたPVAフィルム6の下面6bに接触し、回転することでPVAフィルム6をフィルム把持位置PAに搬送する。これにより、PVAフィルム6の自重による垂れ下がりを抑えることができる。なお、下ガイドローラ32を9個設けたが、これに限定されることなく、下ガイドローラ32間ピッチがクリップ15間ピッチと同等となるように個数を決定することがより好ましい。また、下ガイドローラ32a〜32は、駆動されなくてもよい。この場合、下ガイドローラ32a〜32iは、PVAフィルム6から受ける駆動力でPVAフィルム6と同速で回転する。
【0016】
各下ガイドローラ32a〜32iは、ゴム製,樹脂製,金属製のものが用いられ、ゴム製であれば、硬度は40〜90°、表面粗さは0.5〜50S、線圧は10〜100N/mである。なお、硬度は50〜90°、表面粗さは0.5〜10S、線圧は10〜50N/mが好ましく用いられる。これにより、PVAフィルム6の下面6bを傷つけることがない。
【0017】
図3に示すように、各クリップのフィルム把持位置PAでフィルムを確実に把持するために、右フィルムガイド33、左フィルムガイド34が設けられている。図4〜図6に示すように、左フィルムガイド34は、上ガイド板34a、下ガイド板34b、及びこれらを連結するとともにフィルム側縁を案内する側縁ガイド部34cから構成されている。同様にして右フィルムガイド33も、上ガイド板33a、下ガイド板33b、側縁ガイド部33cから構成されている。これらフィルムガイド33,34は、低摩擦係数を有し、耐薬品性に優れたPTFE(テトラフルオロエチレン)樹脂や、FEP (パーフロロエチレンプロペン共重合)樹脂、PFA (パーフルオロアルコキシ)樹脂などのフッ化樹脂により一体的に形成されている。または、耐食性が優れたSUS304材により形成され、フィルム接触面に低摩擦係数及び非接着性を有する処理(PTFEによる処理)が施されたフィルムガイド33,34を用いてもよい。
【0018】
図5,図6に示すように、上ガイド板34aは、フィルム搬送方向A1に向かうに従い次第に肉厚となるようにテーパー状に構成されており、PVAフィルム6を下方へ向けて案内するフィルムガイド面34dを備えている。同様にして、下ガイド板34bもフィルム搬送方向に向かうに従い次第に肉薄になるテーパー状に構成されており、PVAフィルム6を下方へ向けて案内するフィルムガイド面34eを備えている。PVAフィルム6はこれらガイド面34d,34eに挟まれるようにして案内され、且つフィルム側縁が側縁ガイド部34cにより案内される。また、各フィルムガイド33,34には切欠き部33f,34fが形成されており、この切欠き部33f,34fによって、クリップ15の移動時にこれらがフィルムガイド33,34に当たることがないようにしている。なお、上ガイド板34a及び下ガイド板34bを、PVAフィルム6の入り口の経路に合わせて、PVAフィルム6を下方へ向けて案内するテーパー状に構成しているが、これに限定されることなく、水平にしてもよい。
【0019】
図4に示すように、テンター装置4には、フィルム把持位置PAの直前の位置にPVAフィルム6の上面6aを案内する上ガイドローラ36が設けられている。図2に示すように、上ガイドローラ36は、各フィルムガイド33,34に接触しないように形成されている。上ガイドローラ36は、回転自由に取り付けられており、図示しないモータにより回転駆動され、処理装置3から送られてきたPVAフィルム6の上面6bに接触し、下ガイドローラ31とにより、PVAフィルム6をフィルム把持位置PAに挟持搬送する。これにより、PVAフィルム6は、上方向への変形を抑えることができ、正しい搬送位置でPVAフィルム6をフィルム把持位置PAに搬送することができる。
【0020】
上ガイドローラ36は、ゴム製のものが用いられ、硬度は40〜90°、表面粗さは0.5〜50S、線圧は10〜100N/mである。なお、硬度は50〜90°、表面粗さは0.5〜10S、線圧は10〜50N/mが好ましく用いられる。これにより、PVAフィルム6の上面6aを傷つけることがない。
【0021】
次に、本実施形態の作用を説明する。入口10から挿入されたPVAフィルム6は、処理装置3の洗浄槽7に搬送される。図示しない搬送機構により洗浄槽7、染色槽8、硬膜槽9を搬送されるPVAフィルム6は洗浄、染色、硬膜処理される。各槽7〜9で処理されたPVAフィルム6は、テンター装置4に搬送される。
【0022】
処理装置3から送られてきたPVAフィルム6は、各槽7〜9による処理により、水分を多く含む膨潤状態となっており、ヤング率が0.01MPa〜5000MPaとなっており、柔らかくなっている。そこで、図3及び図4に示すように、PVAフィルム6は、テンター入口17からフィルム把持位置PAの間では、図示しないモータにより回転駆動される各下ガイドローラ32a〜32iにより、自重による垂れ下がりが抑えられた状態で搬送される。各下ガイドローラ32a〜32iにより搬送されるPVAフィルム6は、テンター入口17の左右に設けられ、図示しないモータにより回転駆動されるピンチローラ対31により、両幅方向への張力を与えられ、シワが取られる。
【0023】
ピンチローラ対31によりシワが取られたPVAフィルム6は、図4に示すように、フィルムガイド33,34によって、フィルムの両側縁部が案内されるため、フィルム先端がフィルム把持位置PAに確実に送り込まれる。さらに、PVAフィルム6は、フィルム把持位置PAの直前では、図示しないモータにより回転駆動される上ガイドローラ36により上方向への変形が抑えられるとともに、両幅方向への張力を与えられ、正しい搬送位置でフィルム把持位置PAに搬送される。
【0024】
クリップ15は、テンター入り口17では開放状態になっており、フィルム把持位置PAでクリップ15が閉じられて、PVAフィルム6が把持される。クリップ15は、PVAフィルム6の側縁部を把持しながら、図示しない駆動機構により各レール11,12に沿って移動し、PVAフィルム6を延伸する。予熱部4a、延伸部4bはPVAフィルム6を延伸しやすくするために高温、高湿に保たれている。延伸されたPVAフィルム6は、テンター出口18付近でクリップ15による把持が開放され、テンター出口18から排出される。
【0025】
テンター出口18から排出されたPVAフィルム6は、45°延伸によって延伸軸が45°傾いており、偏光膜として最適なものとなる。この偏光膜にTACフィルムを貼り合わせることにより、偏光板が製造される。
【0026】
このように、PVAフィルム6は、シワ、自重による垂れ下がり、上方向への変形、端部の折れ曲がりが抑えられ、正しい搬送位置でフィルム把持位置PAに搬送されるから、噛み込み不良が発生することがなく、クリップ15は、確実にPVAフィルム6を把持することができる。
【0027】
また、上記実施形態では、ピンチローラ対31の各ローラ31a、31b、各下ガイドローラ32a〜32i、上ガイドローラ36をモータにより回転駆動する構成にしたが、フリーローラとして構成してもよい。この場合、各ローラ31a、31b、各下ガイドローラ32a〜32i、上ガイドローラ36は、PVAフィルム6から受ける駆動力でPVAフィルム6と同速で回転する。
【0028】
さらに、上記実施形態では、上ローラ31aと下ローラ31bとからなるピンチローラ対31を用いて、PVAフィルム6を挟持搬送し、幅方向への張力を与える構成にしたが、上ローラ31aのみを用いて、下ガイドローラ32とにより挟持搬送し、PVAフィルム6に幅方向への張力を与える構成にしてもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、自重落下方式のクリップを用いたが、この他に、バネ付勢により開閉するクリップや、その他の各種駆動手段を有するクリップを用いてもよい。
【0030】
図7に他の実施形態を示す。上記実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。この実施形態では、テンター入り口17には、PVAフィルム6のシワを取るパスローラ対41が設けられている。パスローラ対41は、上側に配置され下面6bに接触する上パスローラ41a、下側に配置され上面6aに接触する下パスローラ41bからなる。これら各パスローラ41a、41bは回転自由に取り付けられており、図示しないモータにより回転駆動され、表面処理装置3から送られてきたPVAフィルム6を搬送する。これにより、PVAフィルム6はシワが取られ、端部の折れ曲がりが抑えられた状態で搬送される。
【0031】
フィルム把持位置PAの直前のガイドローラ32iに対向した位置に、PVAフィルム6の上面6aを案内する上ガイドローラ43が左右に設けられている。左右に配置された上ガイドローラ43は、PVAフィルム6に両幅方向への張力を与えるように、その回転軸が、フィルム搬送方向A1に直交するフィルム幅方向に平行な基準線B1からそれぞれ外側に10°傾いて配置されている。上ガイドローラ43は、各フィルムガイド33,34に接触しないように形成されている。上ガイドローラ43は、回転自由に取り付けられており、図示しないモータにより回転駆動され、処理装置3から送られてきたPVAフィルム6の上面6bに接触し、下ガイドローラ31とにより、PVAフィルム6をフィルム把持位置PAに挟持搬送する。これにより、PVAフィルム6は、上方向への変形が抑えられるとともに、両幅方向への張力を与えられ、シワが取られた状態で搬送されるから、正しい搬送位置でPVAフィルム6をフィルム把持位置PAに搬送することができる。
【0032】
テンター装置4の出口18でPVAフィルム6の左右に進行速度差があると、出口18におけるシワ、寄りが発生するため、左右のクリップ35の速度差は、実質的に同速度であることが求められる。速度差は好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.5%未満であり、最も好ましくは0.05%未満である。ここで述べる速度とは、毎分当たりに左右各々のクリップ35が進む軌跡の長さのことである。一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明で述べる速度差には該当しない。
【0033】
本発明を実施したPVAフィルム延伸機2により延伸することによって、PVAフィルム6は優れた偏光能を有する偏光膜として利用することができる。得られた偏光膜としてのPVAフィルム6の両面又は片面に保護膜(保護フィルム)を接着剤層を介して設けることにより、偏光板が得られる。得られた偏光板は、優れた単板透過率及び偏光度を有する。したがって、液晶表示装置として用いる場合に、画像のコントラストを高めることができ、有利である。
【0034】
なお、ポリビニルアルコールのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またポリビニルアルコールの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
【0035】
延伸前のPVAフィルム6の好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01MPa以上5000MPa以下、更に好ましくは0.1MPa以上500MPa以下である。弾性率が低すぎると延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなり、また高すぎると延伸時にかかる張力が大きくなり、PVAフィルム6の両側縁部を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、テンター装置4に対する負荷が大きくなる。
【0036】
延伸前のPVAフィルム6の厚味は特に限定されないが、フィルム把持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。
【0037】
本発明に用いられる染色剤としては、ヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンおよび/または有機二色性色素である。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物を挙げることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。また、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の具体例としては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー 67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号の各公報記載の色素等が挙げられる。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光板として吸収軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏光度とも優れており好ましい。本発明のPVAフィルム延伸機2により延伸されたフィルムに対しては、特にヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンが好ましく使用される。
【0038】
ヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンを偏光子として使用する場合、ヨウ素は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウムは1〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜200が好ましい。染色時間は10〜5000秒が好ましく、液温度は5〜60℃が好ましい。
【0039】
硬膜剤(架橋剤)としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩も併せて用いることができる。
【0040】
また、PVAフィルム6を延伸する速度は、単位時間当りの延伸倍率で表すと、1.1倍/分以上、好ましくは2倍/分以上で、早いほうが好ましい。また、長手方向の進行速度は、0.1m/分以上、好ましくは1m/分以上で、早いほうが生産性の観点から見て好ましい。いずれの場合も、上限は、延伸するPVAフィルム6及びテンター装置4により異なる。
【0041】
本発明を実施したPVAフィルム延伸機2において、PVAフィルム6の両側縁をクリップ35により把持する際、把持しやすいようにPVAフィルム6を張った状態にしておくことが好ましい。具体的には、PVAフィルム6の長手方向に張力をかけてフィルムを張るなどの方法が挙げられる。
【0042】
延伸時の環境温度は、25℃以上90℃以下が好ましく、さらに好ましい温度範囲は40℃以上90℃以下である。
【0043】
延伸時の湿度に関しては、調湿雰囲気下で延伸することが好ましく、より好ましくは50%以上100%以下、さらに好ましくは80%以上100%以下である。
【0044】
本発明を実施したPVAフィルム延伸機2で得られた偏光膜には、各種機能膜を保護膜として直接片面または両面に貼合することができる。機能膜の例としては、λ/4板、λ/2板などの位相差膜、光拡散膜、偏光板と反対面に導電層を設けたプラスチックセル、異方性散乱や異方性光学干渉機能等をもつ輝度向上膜、反射板、半透過機能を持つ反射板等があげられる。
【0045】
保護膜としては、上に述べた好ましい保護膜を一枚、または複数枚積層して用いることができる。偏光膜の両面に同じ保護膜を貼合しても良いし、両面に異なる機能、物性をもつ保護膜をそれぞれ貼合しても良い。また、片面のみに上記保護膜を貼合し、反対面には直接液晶セルを貼合するために、粘着剤層を直接設けて保護膜を貼合しないことも可能である。この場合粘着剤の外側には、剥離可能なセパレータフィルムを設けることが好ましい。
【0046】
本発明の光学用ポリマーフィルム延伸機2で延伸を行うPVAフィルム6としては、その膜厚が薄いものが多いが、ハンドリング時のPVAフィルム6の裂け等のトラブルを回避するため、PVAフィルム6を延伸後、少なくとも片面に保護膜を貼り合わせ、後加熱する工程を有することが好ましい。具体的な貼り付け方法として、熱処理工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いてPVAフィルム6に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりする、耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせ直後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上80℃以下である。これらの工程は一貫した製造ラインで行われることが、性能上及び生産性を高くする上で好ましい。なお、上記実施形態ではテンター装置4内でPVAフィルム6に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりしたが、PVAフィルム6がテンター装置4の出口18から出た後に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりしてもよい。
【0047】
本発明を実施したPVAフィルム延伸機2で延伸を行うPVAフィルム6としては、その膜厚が薄いものが多いが、ハンドリング時のPVAフィルム6の裂け等のトラブルを回避するため、PVAフィルム6を延伸後、収縮させ揮発分率を低下させる乾燥工程において、乾燥中もしくは乾燥直後に少なくとも片面に保護膜を貼り合わせ、後加熱する工程を有することが好ましい。具体的な貼り付け方法として、乾燥工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いてPVAフィルム6に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりする、耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせ直後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上80℃以下である。これらの工程は一貫した製造ラインで行われることが、性能上及び生産性を高くする上で好ましい。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シート状物の挿入口から把持具の把持開始位置までの範囲に設けられ、シート状物の下面を案内する下ガイドローラを有するから、シート状物の自重により垂れ下がりを抑えた状態で確実に把持することができ、噛み込み不良の発生を抑制することができる。また、挿入口に設けられ、シート状物に幅方向への張力を与えるピンチローラ対と、挿入口から把持開始位置までの範囲に設けられ、シート状物を把持具内に案内するフィルムガイドとを有するから、シート状物のシワを取ることができるとともに、シート状物先端を確実に把持具内へ案内することができ、シート状物先端が斜めに噛み込まれることがなくなる。さらに、前記把持開始位置直前に設けられ、前記シート状物の上面を案内する上ガイドローラを有し、この上ガイドローラを下ガイドローラに対向した位置に設けられ、上ガイドローラと下ガイドローラとにより、シート状物に張力を与えるから、シート状物の上方向への変形を抑えた状態で確実に把持することができ、より一層噛み込み不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したPVAフィルム延伸機の概略を示す平面図である。
【図2】クリップの把持開始直前の状態を示す側面図である。
【図3】テンター入口からフィルム把持位置PAまでの概略を示す平面図である。
【図4】張力ローラ対、下ガイドローラ、上ガイドローラ、フィルムガイド、クリップを示す斜視図である。
【図5】フィルムガイドを分解して示す斜視図である。
【図6】フィルムガイドの側面図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 PVAフィルム延伸機
3 処理装置
4 テンター装置
6 PVAフィルム
6a 下面
6b 上面
15 クリップ
17 テンター入口
31 ピンチローラ対
31a 上ローラ
31b 下ローラ
32a〜32i 下ガイドローラ
33 右フィルムガイド
34 左フィルムガイド
33a、34a 上ガイド板
33b、34b 下ガイド板
33c、34c 側縁ガイド板
33d、34d フィルムガイド面
33e、34e フィルムガイド面
33f、34f 切欠き部
36,43 上ガイドローラ
41 パスローラ対
41a 上パスローラ
41b 下パスローラ

Claims (6)

  1. 把持具により両側縁部が把持されたシート状物を搬送して延伸するテンター装置において、
    前記シート状物の挿入口から前記把持具の把持開始位置までの範囲に設けられ、シート状物の下面を案内する下ガイドローラを有することを特徴とするテンター装置。
  2. 前記挿入口に設けられ、前記シート状物に幅方向への張力を与えるピンチローラ対を有することを特徴とする請求項1記載のテンター装置。
  3. 前記挿入口から前記把持具の把持開始位置までの範囲に設けられ、フィルムを把持具内に案内するフィルムガイドを有することを特徴とする請求項1または2記載のテンター装置。
  4. 前記把持開始位置直前に設けられ、前記シート状物の上面を案内する上ガイドローラを有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載のテンター装置。
  5. 前記上ガイドローラは、前記下ガイドローラに対向した位置に設けられ、上ガイドローラと下ガイドローラとにより、前記シート状物に張力を与えることを特徴とする請求項4記載のテンター装置。
  6. 前記シート状物は、液処理後に導入されるフィルムであることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載のテンター装置。
JP2002274033A 2002-09-19 2002-09-19 テンター装置 Pending JP2004106421A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002274033A JP2004106421A (ja) 2002-09-19 2002-09-19 テンター装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002274033A JP2004106421A (ja) 2002-09-19 2002-09-19 テンター装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004106421A true JP2004106421A (ja) 2004-04-08

Family

ID=32270632

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002274033A Pending JP2004106421A (ja) 2002-09-19 2002-09-19 テンター装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004106421A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009274353A (ja) * 2008-05-15 2009-11-26 Nippon Pillar Packing Co Ltd 延伸フッ素樹脂チューブ及びその製造方法
KR101560645B1 (ko) 2014-04-07 2015-10-15 정연국 염색물 건조용 텐터
JP2016505384A (ja) * 2013-11-01 2016-02-25 エルジー・ケム・リミテッド レーザを用いた正極カッティング装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009274353A (ja) * 2008-05-15 2009-11-26 Nippon Pillar Packing Co Ltd 延伸フッ素樹脂チューブ及びその製造方法
JP2016505384A (ja) * 2013-11-01 2016-02-25 エルジー・ケム・リミテッド レーザを用いた正極カッティング装置
US10005157B2 (en) 2013-11-01 2018-06-26 Lg Chem, Ltd. Cathode cutting device using laser
KR101560645B1 (ko) 2014-04-07 2015-10-15 정연국 염색물 건조용 텐터

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5831249B2 (ja) 偏光フィルムとその製造方法及び偏光板
KR101774620B1 (ko) 광학 기능 필름 연속 롤 및 그것을 사용한 액정 표시 소자의 제조 방법, 및 광학 기능 필름 접합 장치
JP2004160665A (ja) 光学用フィルムの製造方法
WO2012029592A1 (ja) 光学機能フィルム、及びこれを用いた液晶表示装置の製造方法
JP4270429B2 (ja) テンター装置及び斜め延伸方法
JP4203265B2 (ja) テンター装置
JP2005035097A (ja) 溶液製膜設備及び方法ならびにフィルム製品
JP4289615B2 (ja) 溶液製膜方法及びポリマーフィルム
JP2005035131A (ja) テンター装置
JP5986401B2 (ja) 偏光板の製造方法
US20040056380A1 (en) Method and apparatus for orienting an optical polymer film, and tenter apparatus for the same
KR101614961B1 (ko) 편광판
JP2004106421A (ja) テンター装置
JP2004109698A (ja) 光学用ポリマーフィルムの延伸方法及び装置
JP5985791B2 (ja) 偏光子の製造方法
TWI821519B (zh) 偏光膜、偏光板及該偏光膜之製造方法
JP2005262677A (ja) プラスチックフィルムの製造方法
JP2004230714A (ja) テンター装置
JP2004106423A (ja) テンター装置
JP2004284319A (ja) シート状物搬送方向修正装置及びこれを有する延伸設備
JP2004106422A (ja) テンター装置
JP2005262678A (ja) プラスチックフイルムの製造方法
JP2004160840A (ja) テンター装置
JP2004246186A (ja) 偏光板、その製造方法、および液晶表示装置
JP2004230713A (ja) テンター装置